第4章さぁ、輸入部門を立ち上げよう
1簡単にできる驚くほど結果が出るはじめ方
最初は、社長1人で輸入ビジネスをはじめ、順調になってきたら部下を1人、2人とつけていけばいいでしょう。新たな業務として少しだけ手伝ってもらうなどすれば、新たに雇うこともなく進められます。あなたがすでに販売ルートをお持ちの場合は、より有利に働きます。
例えば、商品の告知も今のビジネスのルートに乗せていくことで、新たな経費をかけることなくある程度はできるはずです。
ホームページ、フェイスブックなどのSNSやメールマガジンなど、あなたがお使いの媒体に、新たに輸入する商品の紹介を載せるだけです。
本業で利益が出ている状態なら、経費もある程度はかけやすいでしょうし、仮に赤字の期間があっても耐えられるはずです。しっかりと商品の発掘に取り組めるでしょう。
基本は、最初は自分で動く。それによって特別な投資はしないようにする。新規事業立ち上げとして、最初の半年、1年は見守る気持ちも重要です。
そして、利益が出てくるようになれば、それに合わせて発展させればいいのです。初期投資も経費もほとんどかからないので、時間をかけて進めても継続しやすいのです。スピーディーにやろうと思えば、それも不可能ではありません。
すぐ海外へ行き、展示会で商品を発掘し、気の合うメーカーと知り合いになって、半年以内に国内の展示会でサンプルを展示する。その後、国内の展示会で顧客を見つけられれば、売り上げのメドが立つ可能性があります。
万が一、100万円を投じてうまくいかなかったとしても、知見を広げたと思えばいいのです。まったく後腐れがないスマートなビジネスです。
社長1人ではじめていれば、うまくいかなくても誰も文句は言いません。やると決めたら、すぐに動き出していいのですが、最初はそれほど大げさな準備は必要ありません。
私がはじめたときは、パソコン、電話、FAX。その他に英和中辞典、和英中辞典、ビジネス英文レター文例集2冊が机の上にありました。しかも場所は福島県の会津。
地図をご覧いただければわかるように、猪苗代湖の近く。海も空港も近くにはないところではじめたのです。都心から距離もあり、不便さを感じたこともあります。今の時代、メールはパソコンでもスマホでもできます。
辞書や文例は検索すれば豊富に出てきますし、翻訳も可能です。さらに、安い費用で翻訳をしてくれる人を見つけることも可能でしょう。
つまり、ネット環境とバッグに入るパソコンやタブレットがあれば、どこでもできるのです。事務所は今あるところで十分ですし、なければ自宅でも可能なのです。
2取引の流れを押さえる
「輸入ビジネスは科学である」と私は考えています。科学ですから、方程式があります。この方程式をキッチリやれば、ビジネスとして動きはじめます。
とくに間違いが起こりやすいのは③④⑤です。この順番を間違えると大変な損失を被ることもありえます。さあ、方程式を見てみましょう。
①海外の展示会で商品を発掘する
もっとも短期間に低コストで発掘したいなら、あなた自身が海外の展示会へ直接行ってください。輸入ビジネスのキモは、1人でもできることであり、あなたが直接商品を発掘し、海外メーカーと話をして、さらに国内の販売業者に営業をすることです。自身でやるから成功するのです。
ネットでも未知の商品を調べることは不可能ではないかもしれません。多少はできるでしょうが、時間と根気がいります。さらにネット上の商品の多くは、すでに多数のライバルがいます。
もしくは、すでに売れる時期を逸していたり、私たちの求めるような粗利が得られない商品が多いのです。中でもネックなのは、ネットではメーカーの顔が見えないことです。どんな人がどんな思いでつくっているのか、よくわからないのです。しかし、あなたが直接会えば、こうしたことはすぐにわかるはずです。
②海外メーカーに商品や会社の詳細を聞く
その商品や会社の成り立ち、姿勢などをきちんと聞くこと。もし輸入するとなったら、どのような価格、荷姿、スケジュール、条件になるのかを確認します。日本への輸出実績があるかも確認してください。
日本は世界でもっとも品質に厳しい国なので、実績があるなら、それに耐えられる力があるということです。ただし、そういった相手は競合も多いので、交渉が難しくなるかもしれません。
実績がない場合は、情報が少なく、品質は未知数。ただし競合はいませんので、交渉はしやすいでしょう。専従の営業員を持たない海外メーカーは、展示会で販売先を探しています。ですから、私たちはその販売先たりえる存在としてきちんと交渉していきましょう。
③サンプルを注文する
展示会ですぐに契約や価格交渉をしてはいけません。サンプルを注文するまでが最終目的と考えてください。展示会でサンプルを購入したとしても、持ち帰らず別送してもらうのが通常です。展示会に出展しているメーカーも、そこで販売するほどの在庫を現場には持ってきていないことが多いからです。
メーカーの工場に乗り込み、商談が具体的になった場合は別ですが、展示会の場なら、サンプルは手続きだけして別送してもらいましょう。
④日本国内の展示会に出展する
サンプルが届いたら日本国内の展示会に出して、お客様の反応を見ます。もちろん自分たちでアポ取りをして営業をかける方法もありますが、時間がかかってしまいます。展示会には多くの買い手がきます。一流のバイヤーがこぞってくるのです。その中から得られる声にしっかり耳を傾けてください。
⑤海外メーカーに発注する
見込みで大量に仕入れてはいけません。まとめて多めに発注したら「売れなくて困る」とか「3割ぐらい不良品だ」といったこともありえます。日本のメーカーであれば不良品はまずありません。
しかし、海外メーカーではあなたが思った以上に多くあるのも事実です。一度にたくさん発注しないことで、失敗を最小限にできます。販売が順調であることを確認してから、本格的に輸入して、流通チャネルを増やすように営業していきましょう。
3日本人である、これが最大のメリット
私は、「日本人の国際競争力、国際的な価値を世界のナンバーワンにする」をミッションとして活動しています。日本人の多くは、日本の国際的な価値の高さに気づいていません。海外に行けば肌で感じます。
日本と取引をしたい企業はたくさんあるのです。展示会へ行けば、あちらこちらから声がかかります。日本の話で盛り上がります。こうした事実を知ってください。
その日本にいる私たちが、今から輸入ビジネスをはじめることは、とても優位でしかも意義があることなのです。あなたが思っている以上に、海外メーカーから見ると、「日本」は安心できる顧客がたくさんおり、是が非でも進出したい市場なのです。「日本からきました」と言えば、他のどの国や地域の人たちよりも優先されることが多く、最初はビックリします。
彼らのイメージは、「日本はGDPで世界第3位」であり、小さい国にもかかわらずアメリカや中国と経済的にしのぎを削っている国なのです。さらに日本製品は優れており他を圧倒しています。支払いも良く、日本は信用できると判断してくれています。
「日本」はある種ブランドとなっています。その日本からきたあなたは、有利な立場にいるのです。日本への製品輸出に積極的な国では、その国の政府から私たちを展示会に招待してくれることもあるのです。旅行費用を負担しても、招きたい相手なのです。私も何度も招待を受け、スペインなどに行っています。
私のクライアントも、ギリシャ大使館から招待を受けて展示会へ行き、すばらしいオリーブオイルに出会って、その輸入を手がけています。
こういう場合、あなたはVIP扱いされ、普段は会うことのできない、さまざまな人と出会えるチャンスがやってきます。大使館主催の晩餐会などに招待されると、来日している有力メーカーのトップや、その国の名士、政治家などとも交流ができるのです。
4契約より信頼関係
本書で何度か述べましたが、問屋というものは、日本以外では存在しません。海外の流通はシンプルで、基本あるのはメーカーと小売店だけです。ですから、日本のようにメーカーに問い合わせたら「問屋から仕入れてくれ」と言われるようなことはないのです。
例えば総合商社は英語でも「Sogoshosha」と表記されています。そのような形態を持つ企業は、海外には滅多にありません。
ですから、海外では、自分たちは問屋(ホールセール)だ、と言われても鵜呑みにしないことです。そのようなところと契約する必要はなく、メーカーと直接取引してください。
●パートナーとして
未知の商品を発掘し、それを日本市場に紹介するのが主な業務となりますが、そこで終わりにしてはいけません。
より売れるように、あなたはメーカーにアドバイスをしてパートナーとして活動しますが、同時に国内で販売してくれる販売先ともパートナーの関係になります。
メーカーに対しては「日本で売るなら、こういうパッケージがいい」とか「ネーミングもこうしよう」といったアドバイスをあなたがしていくことになります。より売れる方法を一緒に考えるのです。
そして小売店側とも「こう売ればもっと売れる」を一緒に探っていきます。「この間、こういう使い方をしているお客様がいてね」と小売店から聞いた話をヒントにして、商品の新しい側面をアピールしていくことも考えられます。それをメーカーにフィードバックして「そういう使い方なら」と改良につなげていくことにもなります。
●契約に縛られるな!
契約書は雛形がありますので、それで対応できます。
その他手続き上、輸出する側は通関などを含めて手続きはいろいろありますが、輸入側で用意するのは発注書ぐらいで、とても簡単です。
メーカー側で自社用の発注書を用意しているところも多く、発注についてはそれに記入して送付するだけ。先方にあるなら、それを活用すればいいでしょう。
「でも、なんだかんだ、契約書で揉めるのではないでしょうか?外国企業との交渉はそれが大変そうです」と言う人がいます。
でも、これも私たちのやろうとしている輸入ビジネスでは、ほとんど関係がありません。もちろん、契約書を交わすことはビジネスの基本です。ですが、実務として輸入ビジネスを考えたとき、それは必ずしも最初にすべきことではないのです。
欧州の展示会で私たちが出会うメーカーの多くは中小企業です。いわゆるファミリービジネスです。伝統的に口頭契約も多く、それを紳士協定としてお互いに守っていけば、煩雑な書類のやりとりなどはありません。
書面に残すことで、メーカー側も私たちもそれに縛られて、その後のビジネスがやりにくくなることを嫌うのです。口頭で合意し、ビジネスを前に進めていくのが一般的です。
ですから、あなたが恐れている以上に、自由度が高いビジネスだと言えるでしょう。契約書を整えてからビジネスをしていこうとすれば、半年や1年はあっという間にすぎてしまいます。
これは総合商社や大手企業のやり方と言えます。私たちが輸入ビジネスで、果敢に業績を伸ばしていくためには、スピードを優先させていくことです。そのスピードで大手をしのいでいくのですから。
そもそも論ですが、契約書で揉めそうな相手とは最初から組まないことです。自由にやれないなら、お互いにつまらないでしょう。そもそも、売れなければどれほど立派な契約をしたところで意味がありません。
なお、アメリカのメーカーに関しては、契約書ベースとなる場合が多いので、きっちりと取り交わすことになります。この場合は、外国企業との契約に詳しい人の手を借りるなどしてしっかり対応しなければなりません。
私は、はじめて輸入ビジネスをする人には、その後のハードルも高いため、アメリカからの輸入はあまりオススメしていません。
●契約書を鵜呑みにするな!
契約書は、相手側のものをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険です。ギャランティーの項目があるときは、慎重に対応しなければなりません。ギャランティーとは、「これだけ売らないときには」といったように、販売数量などの保証をする項目です。
あなたが一定数を売れなければ、一方的に契約が破棄されてしまったり、ペナルティが課せられたりすることもありえます。
こうした点は、「こんな項目があるから契約できない」ではなく、「これは了承できるが、こっちは削除してください」といったやりとりをしながら完成させていくことになります。
このような場合、あなたが英語が苦手なら、専門家を交えて対応するべきです。このように、契約書については、メーカー側が言い出したときはともかく、輸入ビジネス側の私たちが言い出すことではありません。
たいがい、契約となったときには、私たちの自由度が減ります。そうまでしても欲しい商品ならともかく、どれだけ売れるかわからない商品では、こうしたことをしている時間がもったいないでしょう。
契約ベースで輸入ビジネスをはじめたある人の例をあげておきましょう。その人はとても気に入ったコーヒーを見つけ、メーカーと契約することにしました。
契約の内容には、売れても売れなくても毎月一定量を購入する約束が含まれていたのです。従って、問答無用で毎月コーヒーが送られてきてしまいます。もちろん代金は払わなければなりません。
結局、過剰な在庫を抱え、鮮度の問題もあることから、売れない分は社員や家族で消費しているという笑えない話になってしまいました。
どれほど気に入ったコーヒーだとしても、これではビジネスとして厳しいでしょう。ですから、このような契約に縛られない自由な関係性を築くことを目指してください。私たちがオススメするのは友好関係をベースに、結果で満足していく商売です。
メーカーは日本市場に進出して販売数が伸び、私たちは輸入ビジネスとしてBtoBの関係を築いて利益を得ること。そのために必要なことは何か。どのような工夫ができるか。どのようなアイデアがあるのか。それが重要なのです。
そもそも中小企業、少人数のビジネスで、大手よりも先にいい商品を見つけて販売しようというのですから、自由度とメリットを予め確保して進めるべきでしょう。
なお、私を含めて、輸入ビジネスをしている仲間たちで、過去に海外メーカーの独占権を巡って大企業と競合したときに、一度も負けたことがありません。
それは、大手になればなるほど、社内の手続きが煩雑で時間がかかってしまうからです。おまけに、その手続きの真っ最中に窓口の担当者が異動してしまうということも起こるからです。
こちらはいつも同じ人間で、1人ですべてを即決できるのです。先方のメーカーは、どちらと取引をしたいでしょうか。「おまえがいい」「あなたに任せる」と言っていただけるのは私たちです。
●卸先が大手企業のとき
一方、海外のメーカーとの取引ではなく、国内での売り先が大手小売業の場合、相手はどのようにして自らのリスクを回避するのか見てみましょう。彼らは、私たちから直接購入するのではなく、間に先方の専属の問屋や卸会社を入れることになります。
例えば、大手の小売チェーンが気に入ってくれて販売することになったときには、その窓口となる問屋などに商品を卸すことになります。日本はやはり問屋による流通が中心です。百貨店や小売チェーンなどは、ほぼ問屋を通すことになります。日本では日本のやり方に従うことになります。
この点では、どうしても自由度は制限されることになりますが、手間は大幅に削減できますし、プロの問屋なのでいろいろなことを教えてくれる情報源としてのメリットもあるはずです。
5どの国の展示会に行けばいいのか
展示会がいつ、どこで開かれているのか、探していきましょう。あなたは、どの国の展示会がいいと思いますか?まず日本輸入ビジネス機構(JAIBO)の「展示会カレンダー」もしくは、ジェトロの「世界の見本市・展示会情報(Jmesse)」で世界中の展示会を見てください。
約2000もの見本市・展示会があります。対象の業種もさまざま、規模もさまざまです。この中から、私たちが一番にオススメしているのは、あなたが興味のある国、あるいは好きな国の展示会に行くことです。
以前から興味があって、ぜひ行ってみたかった国はどこですか?また、自分の関心のある分野(業種)から探すのもいいでしょう。例えばファッションならイタリアやフランスが、工業品ならドイツ周辺が思い浮かぶのではないでしょうか。
●まず、欧州へ行こう!
初心者が行くべき展示会は、欧州です。日本からは遠い、各国で言語が違うなど、ハードルが高そうに見えるのですが、ビジネスに関してはむしろハードルは低いからです。
日本は欧州の文化を明治時代から手本としていたこともあり、欧州の商習慣はきわめて日本人にもわかりやすいのです。気持ち、考えが理解しやすいと言ってもいいでしょう。
貿易におけるトラブルの多くは、お互いの勘違いや見込み違いから起こります。そして不信感が大きくなっていくとこじれていきます。最初に信頼がなければ、どんな国の人ともうまくビジネスをやっていくことはできません。
信頼関係において、欧州ではほぼ紳士的なルールに基づいて進めていくので、お互いに誤解を生じる場面が少なく、スムーズに進められます。
また、アジアでは発注の量が重視されますが、欧州では1個単位での発注も可能です。1個単位で発注できる便利さは、余計な在庫を抱えなくていいので、私たち小規模な会社には大きなメリットです。
●アジアの展示会の厳しさ
アジア各国との取引なら、用意する費用も少なくてすむかもしれませんし、渡航費用も安くあがるでしょう。知り合いがいる、親しみがある、といった場合もあります。ところが、現地に行くと、日本の商慣行に比べるとずっとしたたかです。
そもそもの文化に大きな違いがあるため、相互理解に少し時間がかかります。こちらが常識だと思ったことが、あちらには伝わらないといったことが起こります。アジア各国とのビジネスは、商道徳、ビジネスのやり方など、さまざまな点でハードルが高いのです。つまずいたり失敗することもそれだけ増えます。
アジアでの生産品は、とんでもなく大量の購入を条件につけてくることが多いのも特徴です。薄利多売なので、一度にかなりの数を注文しなければ売ってくれません。それを日本市場で捌けるのか、という大問題に直面します。
ミニマムオーダーとして、数千個単位になってしまうと、確かに1個あたりの仕入れ価格はとてつもなく安いのですが、そこだけに目がくらむと、あとあと不必要な在庫が発生してしまい、その後の費用(在庫の管理、保管費用)を負担しなければなりません。
そもそも単価の安い商品は、大量注文が前提になりやすいのです。グッチやセリーヌなどの商品は、そういう方向とは真逆にあります。1個の単価は高いですが、在庫が大量に発生して苦労するリスクはありません。
中には「安かろう悪かろう」がありますので、欧州よりも輸入しはじめてから検品費用がかさんだり、不良品交換の手間が生じる恐れは高くなります。
●魅力的だがハードルの高いアメリカ
アメリカの展示会へ行けば、進んだ商品を見せてくれることでしょう。ただ、1つ問題があります。アメリカは北米という巨大マーケットを自分たちで持っていて、まずはそこで売ることが彼らの目標です。
次にカナダ、メキシコで売ることが目標となります。こうなると、日本から行ったところで、あまり相手にはされません。展示会に出ているメーカーにとって、日本市場はそれほど魅力的ではないのです。
また、アメリカでの商談を経験されたことのある人ならご存知でしょうが、第一に、売る側の態度の大きさ。「買ってください」ではなく「売ってやってもいいけど」といった姿勢に耐えることができるのか。
そして、アメリカでは語学力がとても重要です。メーカー側の言う速射砲のような英語が理解でき、こちらが相手にわかる英語でしっかり話せなければ、相手にしてくれません。
多民族国家ではありますが、英語を話せない人に構っている暇はないというのが、アメリカ式のビジネスです。他に有望な顧客がいっぱいいるのですから。
もちろん、あなたがアメリカのメーカーや、アメリカの人たちとのビジネスに精通しているといった利点があるなら、行くべきです。
初心者にはオススメできませんが、専門的な知識や人脈のある人なら、うまくスタートできるかもしれません。こうした点から、はじめての輸入ビジネスは、まず欧州から。多少経験のある人でアジアからはじめていくことになります。
6海外の展示会に行ったら
渡航にあたっては、観光ビザで問題ありません。名刺は英語表記でつくっておいてください。スマホは必携です。どこの展示会場でもフリーWiFiが用意されていますから、調べたり、メールしたり、地図を見たり、それに会話時の翻訳などにも活躍してくれます。
私たちはお客様なので、困ったときは翻訳機を使ったりスマホの翻訳機能を使うなどして、問題なく交渉できます。そのほうが、よくわからないまま会話を続けていて、誤解したままになるよりもお互いに安心できます。微妙な発音や言い回しでまったく反対のことを言っていた、なんていうことも過去にはありました。
一度会ってしまえば、あとは日本にいても、スカイプやメールを使って直接、海外メーカーとやりとりができます。言葉の壁は確かにありますが、私たちはメーカーと友だちになりたいわけではないのです。ビジネスをしたいのです。
ビジネスを前提とした関係を築くには、ポケトークやGoogle翻訳でのやりとりでもしっかり結果を出せます。そして、お互いに稼げるビジネスにできれば、親友以上の関係になります。結果が出ればいいのです。
●いよいよ発掘
開始だいたい2日から3日かけて1つの展示会を見て回ります。このとき大事にしたいことは、「その商品の価値を、日本に伝えることができるかどうか」です。それをやるのは、あなた自身です。
サンプルを送ってもらい、日本の展示会で来場者たちに「これはこういう商品ですよ、ここが優れていますよ」と説明できるかを考えてください。
その意味でも、自分の得意分野に関する商品から紹介していくほうがやりやすいはずです。なお展示会場内では、基本、撮影禁止です。
とくに商品は特許や企業秘密に関わるものもあるので、親しくなったメーカーでも写真を撮るときは許可を得てください。
●メーカーの期待
ものを売る側は、早く結果を欲しがると思われるかもしれませんが、欧州ではあまりそういうことはありません。傾向としては、欧米などの未来形の展示会では、ほとんどのメーカーが性急に売ろうとはしていません。
相手が自分にふさわしい相手かどうかを見極めて、パートナーを選びたいと思っています。一方、東南アジアなど過去形の展示会では、「今決めてくれれば値段を下げる」とか「これだけ発注してくれれば、単価を下げる」といった話が出やすい傾向があります。
同じアジアでも香港やシンガポールは、展示しているメーカーの多くの人たちが欧米で教育を受けていたり、欧米で企業経験をしていたりすることが多いので、ビジネスのスタイルも欧米と変わらない傾向が見られます。
いずれにしても、どの展示会でも過剰な売り込みに負けてしまうと、あなたの輸入ビジネスはたちまち苦境に陥りますので、くれぐれも注意してください。
●何が求められているか?
欧米の展示会で多くのメーカーの関心は「あなたたちは、この商品を日本でどのように販売するつもりなのか」といった、中長期にわたるあなたの展望です。即断即決でいくら、といった話はまず出ません。
それよりも、あなたがどのように日本市場に商品を紹介してくれるのか。そしてより長くビジネスパートナーとしてつき合ってくれる人たちなのか。それを重要視しています。お金の話よりも、こうした中長期の視点で話のできるメーカーとつき合っていくべきでしょう。
●年間の活動に組み込む
展示会シーズンは、だいたい開催時期が決まっています。例えば、1月から4月の間に、欧州ではいくつもの展示会があるので、短期間の滞在で複数見ることも可能です。1つの都市で2つの展示会が続けて開かれることもあります。
人によっては、イタリアの展示会へまず向かい、そこからフランス、ドイツと回って幅広く商品発掘をすることもあります。仮に展示会でピンとくる商品がなかったとしても、展示会は頻繁にあるので慌てることはありません。
ムリをしてよくわからないもので勝負をかけるよりも、納得できる商品、メーカーに出会ってからスタートさせましょう。私たちのビジネスが本格的にスタートするのは、サンプルを日本の展示会に展示するところからです。
それまでは、楽しく、興味本位で、「こんなものがある」「あんなものもあるぞ」と展示会を飛び回り、メーカーと協議し、「今度の展示会にはこれとこれを並べてみよう」と思いをめぐらせながら、サンプルを発注しましょう。
●ツアーでは交渉時間がない
ビジネスツアーとして、欧州などの主要な展示会を巡るパッケージツアーがありますが、ツアーの内容をよく確かめてください。展示会の会場にどれぐらいの時間滞在できるでしょうか。
ほとんどが観光で、その中に展示会の「見学」が気持ち程度しか入っていないこともあります。これでは、とてもメーカーとゆっくり話をすることもできません。商品発掘のためには、個人ツアーを基本に考えて旅行代理店で相談しましょう。
7メーカーに話を聞く
●メーカーは人で選ぶ
商品以上に大切なのが、取引相手です。まず、人を見よ、と私は常々言っています。海外の展示会では、ブースに入ったときの最初の対応である程度わかります。
相手の腰がちょっと引けていると感じたり、責任者がいないときは、話にならない場合が多いのであとにします。トップに会うことが第一の目的です。トップが「YES」なら問題なく進みます。
責任者以外といくら話をしても、うまく進みません。海外はトップダウンで物事が決定することが多いのです。「責任者はいらっしゃいますか?」と必ず確認し、その人と話すようにしてください。
そのトップがあまり熱心ではなかったり、横柄な場合は避けます。「よかったら売ってやってもいいけど」といった感じなら、この先、時間をかけるだけの価値はないかもしれません。ムリに話を進めていっても、トラブルが発生しやすいのはこのタイプです。「そっちが欲しいって言ったじゃないか」と、言われてしまうこともあります。
輸入ビジネスと聞くと、海外に出向いて、そこですばらしい商品を発見し、「ぜひこれを日本へ輸入させて欲しい」と、相手の頑固な経営者を何度も説得してようやく承諾を得る。
そして、「やっと日本上陸!大成功!」みたいなサクセスストーリーを思い描くかもしれませんが、必ずしもそうではないのです。
むしろ、商品に惚れ込んでしまったときは要注意です。その商品がいいゆえに、メーカーに声をかける人は、あなただけではありません。途方もない数の人が声をかけてきているのです。
我々は、その大勢の中の1人の日本人にすぎません。ですから、こちらのためだけに、相手が積極的に何かをしてくれることは期待できないのです。
確かに昭和の時代には、惚れ込んだ商品を粘り強い交渉の末、日本に輸入して成功するという典型的なサクセスストーリーも、実際にありました。
でも、今は、ちょっと事情が変わってきているのです。グローバルな競争社会となった今、優れた商品は世界のあちこちで次々と生み出されています。
つまり、目の前にある商品だけではなく、他にも優れた商品がたくさんあるのです。こうした時代で大事なのは、商品以上に人なのです。その人が持つ潜在力と言ってもいいかもしれなせん。
お互いを尊敬し合えるパートナーとして認めて継続的にビジネスができる人を選ぶことです。私たちが先方の価値を認め、先方も私たちに価値を認めてくれたときに、はじめて取引が成立するものです。
もし、向こうがこちらの価値を認めていないときは、ちょっと待ってください。そのメーカーを説得するより、もっといい商品を出すメーカーを探すほうがいい場合が多いのです。
相手が何らかの理由で気乗りしていないと感じたら、ムリに進めるよりは違う相手を探していくことを優先してください。これは婚活パーティーにも似ています。
相手にその気がなければ、いくら話をしても時間のムダで、結婚したがっている人から優先的に話をするべきなのは明らかでしょう。
努力して時間をかけて説得するなどして振り向かせた相手とは、それからずっと対等のパートナーではいられません。常に相手が上の立場になるからです。
これでは最初はいいかもしれませんが、長くは続きません。ビジネスパートナーは、お互いにフェアで、対等であるべきです。
●責任者に確認しよう
責任者に会ったら、発注後の納期について詳しく聞いてみてください。生産について重要な要素にハッキリ答えられない輸出者は危険です。いい商品を展示していたとしても、メーカーとしての姿勢がまだ日本に輸出するほどには整っていないのです。
できるメーカーと、いかにパートナーとなれるか、それがとても重要です。あなたの全精力を注ぎ込むに値するメーカーを選びましょう。逆に、あなたの会社の規模だけを問題にするメーカーは避けましょう。過大な要求が多く、あとあとトラブルになりやすいからです。
●相手の失敗経験は役に立つ
欧州の展示会で私たちとガッチリと組めるメーカーの中には、以前に海外に販路を広げようとして失敗したことがあった、もしくは考えてはみたがどうやっていいかわからないままになっているというような経験を持つところも多いのです。
日本市場で失敗を経験しているメーカーは、それだけに、「長い目で見てやろう」と考えてくれて、「そのためにできることは協力しよう」という感じで接してくれるのです。そういうところは、むしろ狙い目です。
メーカー自身も、「こうやったほうがいいんじゃないか」「うちから誰かを展示会へ送ろうか」「自分が行こう」「日本の通販会社を知っている人間がいるので、紹介してあげよう」などなど、さまざまな情報を提供してくれるものです。このような関係になるには、やはり相手の人柄が重要です。
●メーカーに価値観を聞こう!
私は、「どんな風にものづくりをしているのか」「何を考えているのか」といったことを重視して、メーカーから話を聞くようにしています。自分の事業に対する価値観です。また私たち取引先への考え方も質問します。
1つの国でたくさんの販路を開拓したいのか。それとも1つの販路で長くやっていきたいのか。リスク分散の発想で多くの人と取引を持ちたい場合と、1社だけと取引をしていきたいと思っている場合では、私たちの取るべき販売戦略はまったく違ってきます。
私は、少ない相手、もしくは私たちだけと長く取引をしたいと考えているメーカーとつき合うようにしています。結果的に、そういうメーカーとのつき合いだけが残っていきます。
●ホームページは重要か?
展示会で気になったメーカーのホームページは、必ずチェックしましょう。他にどのような商品を扱っているのか。どんなコンセプトで製品をつくっているのか。できるだけ情報を知っておきたいからです。
しかし、ホームページがないメーカーもまだまだあります。古くからやっているメーカーや家族経営の小さな会社だと、とてもよく売れている商品をつくっているのに、ホームページがありません。実はこれも、展示会に出向いて探すことの1つの理由でもあります。
一方、新しい企業はホームページにも力を入れているところが多いので、情報もたくさん得られます。こちらは素直にその情報を得て、相手と話をしながら確認していけばいいでしょう。
●がっかりする必要はない
展示会のときはとてもいい関係と思えたのに、いざサンプルを催促してみると「やっぱりやめる」とか「あんまり販売したくない」などと言い出すケースもゼロではありません。
そのメーカーにとって、主力ではない商品だったり、儲からない商品だった場合に、こうしたことが起こることもあります。こちらが欲しい商品であることも大事ですが、相手が売りたい商品であることも大事なのです。
8ファーストコンタクトは重要
人間関係は、ファーストコンタクトがとても重要になります。日本の場合、総合力で評価することが多いと思います。「あの会社の、あの役職の、○○さん」といった具合でしょう。
ですが、欧州で中小企業とビジネスをするときは、「○○さん」が真っ先にきます。看板は関係ありません。ですから、あなたも、知られていない会社だからと気にすることはありません。堂々と話をしていいのです。
年商がいくらとか資本金がいくらとか、そういうことより、人間同士としての関係性が重視されます。あなたが、どのくらい熱心なのかが何より重要です。以前、日本の輸入会社が倒産したときのことです。
その会社は、欧州のある著名なブランドと契約をしていました。一般的に考えれば、会社がなくなればその契約も白紙になってしまうはずですよね。ところが、欧州のブランド側はそうは考えませんでした。
「われわれが契約したのは○○さんだ」と、倒産した会社の輸入部門のトップとの関係を継続し、個人になってしまったその人に、販売権を与え続けたのです。
その人はそのブランドの協力によって、会社の事業を引き継ぐことができました。ブランド側が継続性を考えれば、これは至極もっともな話です。会社を相手にすれば一見安心なようでも、担当者は変わるし、事業の方針も変わります。
倒産したり身売りしたりすることもあるのです。一方、個人はその人が生きている限り、変わらない関係が築けます。どちらとの関係も大切ですが、個人との関係はそれほど面倒なものでもありませんし、気心も知れていて楽なので続けやすいのです。任せてしまえばいいわけですから。
個人と個人のつながりを重視する所以です。あなたも、ぜひそのつもりで取り組んでください。
「あなたの商品を、日本では私がフルタイムで取り組みます。全力で販売します」と力強く伝えれば、先方のメーカーも安心するのではないでしょうか。少数でも必ず精一杯、販売してくれる人と組むほうがやりやすいと思うのは当然でしょう。
日本のどういう展示会に出してどういう人たちに向けて売り込んでいくのかをきちんと説明していけば、わかってもらえるはずです。そういうあなただからこそ組んでみたいと思ってくれるメーカーと組んでいくことをオススメします。
●新しい顧客を探している
展示会場に出展しているメーカーは、新しい顧客、新しい市場を探しています。新商品はそのための撒き餌のようなものです。新商品は魅力的で、売れそうなものばかりに映るでしょう。
ですから、私たちは新商品に興味・関心を強く持つのはいいのですが、そこだけにとらわれてはいけません。相手は、長期にわたって自分たちの売りたい商品を数品種にわたって扱ってくれる人を探しているのですから。
撒き餌である新商品だけを見たのでは、こうしたメーカーの本心を見誤ることがあるのです。彼らは、あなたとつながることによって、自分たちのブランドが日本市場に浸透することを願っています。そして、反応が良ければ日本向けにさらにいい商品を開発しようと考えてくれるはずです。
こちらとしても、国内ではメーカーという立場になるのですから、責任を持って対応できる相手と仕事をしていかなければなりません。
安定的に高い品質の商品を継続的に提供してくれるメーカーが大事なのです。やる気、生産体制、能力があるかどうかを確認していきましょう。
9さぁ、サンプルを発注しよう
●数社と仲よくなろう
1社だけに絞ってしまわないこと。いくら最高のパートナーを見つけたと思っても、相手にも事情があります。日本と欧州、日本とアジア、いずれにせよ距離がありますので、次第に疎遠になっていくメーカーもあります。
少しずつ反応が悪くなってきて、対応してくれなくなったり、こちらの求めている製品をつくらなくなってしまったりすることもありえます。
契約時はとても積極的だった人が、いざ輸入となったときになぜか消極的になっていく例もゼロではありません。
「方針が変わりました」と言ってくるケースもありえます。私たちのせいではなく、結果的に海外への輸出が難しいと判断する場合もあるのです。従って、できるだけ2社か3社にサンプルを発注しましょう。
●サンプルの発注
国内展示会で必要なサンプルは、1商品につき3点くらいあれば十分です。それを何種類か用意します。サンプル発注から入手までの流れはこうです。発注すると請求書がきますので、送金で全額を一括で払います。
入金がメーカーによって確認されたあと、サンプルは発送されます。商品発掘と言うと、「これだ!」という1つを見つけるイメージかもしれませんが、そこで製造している全製品を扱うぐらいの気持ちで対応していきましょう。
一番気に入った商品群に加えて、できるだけ多品種の商品を日本の展示会で展示して反応を見ます。こうしたメーカーを2社、3社持っていると、あなたは安定して展示会に新商品を出すことができるようになるのです。
いろいろサンプルを並べた中から、稼げる商品が登場してくるだけではなく、さらには大ヒット商品、ロングセラー商品に成長していくこともよくあるのです。
ただし、展示ブースを一コマ程度の小規模でやる場合は、あまり多くのメーカーを扱うと専門家として見えにくくなりますので、注意してください。
●海外展示会で商品を買ってはいけない
「売り込まれて買っちゃいましたよ」と言う人がいます。海外の展示会ということで気分が高揚したのか、気負いすぎたのか、あれほどサンプルだけと言っていたのに商品を発注してしまうのです。
そして、「だって、これがこんなに安いんですよ」と言うのです。ですが、私は最初からいきなり商品を購入することは、オススメしません。とてもリスクが大きいからです。
展示会は、商品を見つけ、コネクションをつくる場です。さらに、ビジネスパートナーになれそうな相手かどうかを見極める場です。
その上で、サンプルを日本で展示してマーケティングをした結果売れれば、はじめて本格的にパートナーとして組んで動いていくことになります。
10独占販売権の魅力
独占販売権を取得していなくても輸入ビジネスはできます。が、取得できれば、圧倒的に差別的優位性を持つことができ、有利になります。独占販売権を得ると、価格競争が起きないので、こちらで設定した価格で販売ができます。さらに商品の成長を自分たちでコントロールできます。
輸入ビジネスで避けたいのは、複数の代理店ルートで日本市場に商品が供給されていき、結果値下げ競争となり、一時的なブームだけで終わってしまうことです。つまり供給過多です。
値下がりどころか、値崩れが起きてしまうと、もはやビジネスをしているメリットは感じられなくなります。それを防ぐためにも独占販売権を得て、自分たちで供給量を需要に合わせて調整していくことが重要になります。
独占販売権の取得はそれほどハードルの高い話ではありません。誰でも取れる可能性があります。
日本の場合、こうした権利の取得も総合商社などがやってきたことなので、個人や中小企業で取れるのかと思われるかもしれませんが、問題なく取れるので安心してください。
私自身、会津若松で小さな会社をやっていたのですが、スペインの会社の独占販売権を取得できたことで、日本全国から台湾、香港にまで、販路を持つことができたのです。独占販売権を得て展示会に出展した結果です。
「日本ではうちだけでお願いします」と、きちんと説得するとわかってくれる海外メーカーはかなりたくさんあります。メーカーとしても、一度に大勢の相手と取引するよりも、1社に絞ったほうがやりやすいからです。
私の経験上、欧州の展示会に出ているメーカーの7割から8割は、1地域1社だけと取引していきたいと考えています。メーカーに対して、私たちが独占販売権を求める理由を説明し、さらに独占販売権を得れば、どういうメリットがあるのかも説明していきましょう。
- 1社に絞ったほうが得です
- 私に絞ってくれれば、日本で最大の展示会に出展します
- 私に任せてくれれば、私がコストをかけて、あなたの会社の製品を日本市場でアピールしていきます
このような話をします。独占販売権を得るときに、メーカーが権利についての金銭的な見返りを求めてきたら要注意です。通常、メーカーは独占販売権を「売る」ことはありません。
すでに世界に冠たるスーパーブランドであれば起こり得ることですが、まだ日本でほとんど紹介もされていないメーカーではありえません。
独占販売権という権利そのものを売ろうとするメーカーがあったとすれば、キッパリと断ってください。ムリにそのようなところと商売をする必要はありません。なぜなら、私たちもメーカーも立場は違えど、同じ物販事業者です。
お互いにものを販売して正当な利益を得ていくというのが本筋だと、私は考えるからです。もちろん、独占販売権を持つことによるデメリットもあります。
日本という大きな商圏を任されるということは、自分たちだけでその商圏に届くように宣伝活動をしなくてはならないからです。
小規模な企業にとっては、その労力と時間は膨大なものとなる場合もあるでしょう。アメリカで発掘したWさんは、相手メーカーから「あなたは、うちの商品以外は扱わないでくれ」と約束させられました。
それでいて「われわれは、あなた以外の日本の会社とも取引を自由にやる」と公言したのです。そしてメーカーは、それをしたためた契約書を送ってきました。
Wさんは忸怩たる思いをしながらも、承諾してサインしてしまったのです。これほど不平等な契約はありません。「商品がどうしても必要なので、契約したのです」とWさんは言います。でも、そうでしょうか?私は経験上、そうは思えないのです。確かに商品選びのときに、きっかけとして、自分の関心のあるもの、得意分野から見ていくことをオススメはしています。
しかし、最高の商品だからという理由だけでこういった関係を結ぶことは、後々あなたのビジネスを制限してしまうことになります。
たとえ相手の商品が最高の商品でも、取引相手として不適切なら、ビジネスをしてはいけません。フェアで友好的な相手とビジネスをすべきなのです。
11商品のアピール方法を考える
商品に付加価値をつける方法は、とてもシンプルです。メーカーに、その商品についての物語を教えてもらうこと。どういう経緯で開発され、今に至るか。
また、どのような思いを持って起業したのか。どんな歴史があるのか。これらのストーリーをまず日本市場に伝えることです。
「これからの子どもたちに、よりよい環境を残すために開発しました」といった話は、商品の性能や細かい仕様の説明よりも多くの人の心に響きます。王室御用達であるとか、大使館も推奨しているといったブランディングも有効です。
100年以上の伝統がある、300年変わらずにつくり続けている、職人たちが手づくりで仕上げている、稀少価値などなど、物語はいろいろな角度から表現できるはずです。
これは私たちが外国の展示会でメーカーと会ったときに、最初に見聞きするような話とほとんど同じです(第3章─6「価値は伝えなければわからない」参照)。
それを日本向けに伝えていくのです。欧州はそもそも、歴史のある国が多いため、どのメーカーも何かしら逸話を持っているものです。
そして、日本では欧州に対するいいイメージ、ステータスを感じる人が多いこともあって、それに見合ったストーリーは受け入れられやすいのです。
商品と一緒に、文化、習慣を添えて輸入するのです。一方、アメリカは機能性、新規性が中心になります。どこがどうイノベーティブなのか。革新性をアピールすることになるでしょう。
また、テレビショッピングでやっているような手法も有効です。すでにどこでどれだけ売れている、こういう人が買っている、購入者はこんな風に喜んでいる、といった情報を提供しています。
ぜひ、参考にしてみてください。そして、販売にあたってはまず長所を強調することです。お客様(最終使用者)に長所をしっかり理解していただかなければ、購入してはもらえません。この点もテレビショッピングで何をどうアピールしているかを研究してみるといいでしょう。
12売価設定する
売価は原則自由です。とはいえ、参考までに私たちが実際にやっている売価の設定方法をご紹介しましょう。価格は自己判断でなく、さまざまな要素で決めることになります(次の表参照)。
売価の設定方法
ステップ1仮の原価を出す
①価格を確認
②輸送コストとして①の価格に30%プラス
③米ドル換算の場合、1ドル120円として計算
ステップ2仮の原価から、売価を決める
④未来(未知の商品)の場合は仮の原価の5倍
⑤過去(安く仕入れた既存商品)の場合は仮の原価の10倍
例価格10ドルの商品の場合
①10ドル
②13ドル(10ドル×1.3)
③1,560円(13ドル×120円)
④7,800円(1,560円×5)
⑤15,600円(1,560円×10)
この表で、未来(未知の商品)なら5倍、過去(安い既存の商品)なら10倍にしていますので、あなたは「そんなあこぎな!」と思われるかもしれません。
ですが、きちんと流通を考えれば、法外ではありません。商売とは、もともとは物々交換からはじまりました。海で取れた魚を山へ持って行き炭と交換する。
山では魚を食べることができ、海では魚を炭火でおいしく焼くことができる。すばらしい価値がそこで生まれています。その商売をやりやすくしているのがお金であって、お金を通して商売をし、そこで利益を得るのは基本中の基本です。
中途半端な倫理観で「儲けるのは良くない」と言ってしまうと、価値創造のチャンスを失ってしまうでしょう。商売人は誇りと覚悟を持って売価を設定し、しっかり利益を出すことが大切なのです。ちなみに海外メーカーは、日本の売価には関与しません。
稀に売価に関心を持つことがありますが、このときは日本の流通のやり方を伝え、「問屋に卸してから小売店に並ぶので最終的な価格がこうなります」と説明してあげましょう。
メーカーは私たちに販売した時点で完結していますから、その先までの流通や価格には関与すべきではないと考えているのです。
13国内展示会は最大のセールスの場
未知の商品を輸入したときに、どうやって売ればいいのでしょうか?心配する必要はありません。日本には優れた販売のプロたちが大勢います。この人たちに売ってもらえばいいのです。
そのためにも、国内で定期的に開かれる展示会に出展します。「展示会って大手メーカーが出展するものですよね!」と思われる人も多いでしょう。たしかに、たくさんの大手メーカーが出展します。国際的なブランドも出展します。
しかし、その中に個人事業主のブースがいくつもあるのです。
つまり、展示会では、企業規模に関係なく、出展者という立場であれば平等です。ですから、自分たちのブランドを世に問うためには、これほど条件のいい場所はありません。価値ある商品を探しに全国から何万人もの販売のプロがやってきます。
さらに、一流ブランドと肩を並べて出展できるのですから。もちろん、あなたが輸入した商品が適正な商品であることが条件にはなります。適正な商品とは、日本の法律や規制に則っていると判断された商品を指します。
コスト的には、出展料、展示の飾りつけなどに、ざっと70万円から80万円は見ておかなければなりません。では、費用対効果を見てみましょう。3日間の会期中に100社見込み客がきたとします。すると、1社あたりのコストは8000円です。
今後、10年、20年と続く取引関係が築けるかもしれない出会いの費用として、これでも高いとお考えでしょうか。
●招待状の発送
誰にきて欲しいのかを考え、相手先に招待状をお送りします。初回はリストづくりが難しいかもしれませんが、回を重ねるたびに前回の名刺などから精度の高いリストができあがっていくはずです。この招待状にも工夫が必要です。
「いついつの展示会に出ますので、きてください」では、あなたのブースに立ち寄るかどうかわかりません。もっとあなたのところを目指してきてくれるように工夫していくのです。私の場合は、次の3つがかなり有効でした。
- あけないと損をします(封筒の裏に大きく印刷しました)
- 10%引きになるチケット在中
- サンプル引換券在中
これで、気になってくれた見込み客が、ブースに立ち寄ってくれる確率は上昇しました。もちろん、ブースにどういうものが置かれているのかも、立ち寄りたくなるように表現して書いておきます。
できるだけ文章で表現しておくのがいいでしょう。商品の写真や図は、見ただけで判断されてしまう危険があるので、あえて入れません。
●カタログは配らない
カタログは簡易なものでかまいません。印刷も安くできる時代になりました。ただ、基本的には会場では配布しません。
「あとでお送りします」とします。もし、カタログをくださいと言われたときにすぐ渡したら、「検討しておきます」と言ってさっと帰ってしまいます。
それではダメなのです。次に接触する機会が必要です。カタログは渡さず、次の機会で提供するのです。「カタログは?」「あるのですが、今回、新製品を展示していますので、間に合いませんでした。お送りいたしましょうか」「じゃ、お願いします」「では、お名刺をいただけますか。
ついでにちょっとアンケートもお願いします」こうして名刺をいただき、アンケート用紙に書き込んでもらいます。
●アンケートを取る
会場で書いてもらうアンケートの項目はできるだけ少なくしてください。展示会にきた目的とか、これまで展示会にきたことがあるか、といったことを選択式に○をつけていただくのです。肝心なのは、「あなたは権限者か?」と確認することです。
そうは直接聞けませんので、「今後、新製品をご案内させていただくとき、どなたに連絡すればよろしいでしょうか」と質問します。
「私でいいです」と言われたら、その人が権限者。そうであれば、「今商品だけでも決めてしまいませんか?」と営業に移るのです。
●即決の商談を準備せよ
展示会で商談ができると思っていない人も多いので、「ここで決めていただければ、いち早く納品できますよ」と案内することはとても大事です。
もちろん、「今日決めていただければ特別価格で」といった好条件を提示することもできます。招待状につけた10%割引きのチケットは、即決を促す営業ツールでもあるのです。
こうして、いきなりその場で注文をいただくことも、やり方次第でできてしまいます。基本的には、相手も売れる商品発掘のためにきているのです。その場でかなりの確率で決まります。
展示会にくるバイヤーの気持ちになってみてください。展示はある。説明もしてくれる。今買ってもいいと思っている。それなのに売ってくれない。
こんなとき、どう感じるでしょうか?これって不親切ではありませんか?ただ単に名刺を集めることやカタログの配布を目標としてはいけません。
展示会でも、売る態勢で臨み、即断即決で売るのです。そのためには、受注書も用意しておきましょう。たまに、現品を持ち帰る人もいますので、領収書も必要です。
●印象に残る展示を
展示会は搬入1日、展示期間は3日間が多いので、その間、しっかり売り込みましょう。小さい会社が印象を残すために、やれることは可能な限りやることです。
展示会後に営業をかけるにしても、きちんと売り込んでおかないと、まったく印象に残りません。名刺だけ、アンケートだけいただいても、あとで電話したところで相手はピンとこないのです。だからできるだけ、展示会で深く話をして、覚えてもらうのです。
現実的に、その展示会に2800ものブースの出展があったら、そのうちお客様が覚えているのは、契約したところ、長く話をしたところぐらいでしょう。
すでにビジネスをされているあなたなら、このあたりについては、それぞれに技術や経験をお持ちでしょう。その能力を発揮してください。
●商談が成立したら
展示会でお客様から注文をいただいたら、海外メーカーに発注します。このときはメーカーへ前払いするのが原則です。ただし、全額を一括で払う必要はありません。
前払いを全額の3割にするか4割にするか、先方と話し合って決めてください。船積み後に残りを払います。
発注時に全額払ってしまってものがこないというケースは、相手が欧米のメーカーなら滅多にありませんが、アジアのメーカーでは皆無ではありません。欧米でも、違う商品がきてしまうといったトラブルはありえます。
こうしたイレギュラーな事態や予想外の事態の経験を積むことは不本意ですが、あなたをベテランの輸入ビジネスの専門家にしていくはずです。ただし、ビジネスの継続が困難になるようなリスクは負わないように、くれぐれも慎重に、注意深く進めてください。
輸入ビジネスの実践者たち④独占販売権を持つ強み。
メーカーや大使館も営業を後押し◎リカトレーディングビューロー合同会社石原りか子さん(http://rikatrading.com/)リカトレーディングビューロー合同会社(愛知県名古屋市)の石原りか子さんは、フィンランドのメーカーの総代理店として輸入ビジネスを展開しています。大手百貨店などに卸し、大使館も応援してくれるなど、独占販売権を持つ強みを発揮しています。
──輸入ビジネスはいつから?輸入ビジネスを志して4年、法人化して3年になります。
現在はフィンランドのタオルメーカーの製品の総代理店として、百貨店などで販売をしています。サウナ発祥の地、フィンランドならではのタオルウェアをメインとするブランド「ルインスパ」(LuinSpa)と、同社が2018年からはじめた「ルインリビング」(LuinLiving)を扱っています。
それまで実家のアパレルの会社で、システムエンジニアや経理を20年間やっていました。今実家はアパレル事業はやっていませんが、経理などは引き続きやりながら、輸入ビジネスをやっています。
──最初、不安はありませんでしたか?留学したこともなければ、ビジネスのための語学力を専門的に高めてきたわけでもありませんでしたし、自分でビジネスをやるにも人脈も何もゼロの状態でした。
私自身、50歳を目前にゼロから起業することにも不安はありました。
──やってみたら、不安は解消されましたか?同じ輸入ビジネスの仲間のおかげで孤独にならず、地道にコツコツと積み重ねることができました。
時間と労力はかかったと思いますが……。英語は、海外旅行、ボランティア活動などで会話ぐらいは経験していたものの、ビジネス英語ではなく、フレンドリーな英語しかできません。でも、それがかえって海外メーカーさんと親しくなることにつながったのは意外でした。
──ビジネス面で苦労を感じることは?苦労というよりも、輸入ビジネスとしてメーカーの立場になることで、商品に責任を持つことが最初はとても重荷に感じました。
販売してお客様に満足していただくまでが不安だったのです。最近、ようやく「ビジネスをしている」と自信を持って言えるようになってきました。それに加えて、時間管理、健康管理、さらにお金の管理はしっかりやらないといけないですね。
──メーカーとの関係は?メーカーさんは欧州の展示会に参加されていますが、そこに日本の小売店や卸売店のバイヤーさんが立ち寄ると、メーカーさんが私の会社から買うように指示してくれます。
メーカーさんは日本人の名刺を入手するとすぐに私に連絡をくれるので、日本にいながら営業をすることができます。とてもいい関係ができています。またフィンランド大使館を通じて展示会に参加させてもらうなど、国をあげてサポートをしてくれます。私もフィンランドのさまざまな方や北欧の方とのつながりが広がっています。とてもありがたいです。
──大手百貨店などと取引されて、季節ごとに催事などもされていますね?百貨店では全国の高島屋、阪急百貨店、三越伊勢丹、西武百貨店と取引させていただき、高島屋のギフトカタログにも今後は掲載される予定です。
ネットでは楽天ファッションなどでも扱っていただいています。
──今後、さらに拡大しそうですね?百貨店取引に加えて、小売店、エステサロン、ホテルなどへの営業をし、さらに新しい商品も見つけてビジネスを進めていこうと計画しています。
コメント