はじめに
「この状況で輸入ビジネス? 何を言っているの?」 本書を見たとたん、あなたはこうつぶやいたのではないでしょうか。今がどんな状況か、わかっていないのでは、と。
たしかに、海外とのやりとりにおいて、人の行き来はもちろんのこと、モノ、文化、情報すら安定しているとは言えないのかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか……。
2019年 12月、中国武漢に端を発した、新型コロナウイルス騒動は世界に未曾有の事態を招きました。欧米諸国はロックダウンを幾度も行い、国を一時閉鎖するまでに。海外への渡航は今なお、簡単ではありません。
日本でも 2020年1月に最初の症例が出て以降、瞬く間に全国に広がり、緊急事態宣言が何度も発令されたりと、 1年以上もの間、経済活動にかなりの制限がかけられる事態となっています。
この状況下を凌ぐのに精一杯で新たなビジネスモデルに着手するなんて考えられない。それも、輸入ビジネスだなんて、とてもうまくいくとは思えない……、と考えるのは無理もありません。
でも、この状況だからこそ、まさに輸入ビジネスなのです。コロナ禍においてリモートワークが進んだのと同様に、輸入ビジネスもリモート化が進み、在り方は大きく進化しています。
わざわざ海外に渡航せずとも商品を探すことができ、さらには海外のメーカーとつながれ、取引を始めることができます。オンライン上の展示会に参加することで、直接メーカーと知り合い、そのまま商談することも可能です。
距離も時差も関係ありません。今や、輸入ビジネスは、リモートが当たり前なのです。リモートで輸入なんて一過性のもので、世の中の状況が元に戻れば行われなくなるのでは? と思うかもしれません。でも、それは違います。
リアルに会い、商品を見るという、これまでのやり方も、もちろん行うようになります。しかし、交渉など、リモート「でも」できることは、そのままリモートで行うことが主流となるでしょう。
やり方の選択肢を増やしておくことによって、ビジネスにおける可能性は少なくとも 2倍以上にあがるのです。この本では、王道のリアル輸入ビジネスのやり方に加え、オンライン「だけ」で完結する方法を明らかにします。
あなたは、この両方を使いこなせることによって、今の困難を克服できるだけではなく、今のようなネガティブな時期を逆手にとって、倍の力を持つことになるのです。
リモート輸入ビジネスに着手することにより、今までよりも気軽に新規事業の立ち上げが可能となります。さらには、コストの面においても格段に抑えることができます。
お金、時間をセーブしつつ、国内での販促活動により注力できるようになるのです。オンラインを活用することは、結果的にリアルの活動の効果を上げ、ビジネスをより効率的にしてくれる一石二鳥の施策です。
リモート輸入ビジネスは、あなたがこの状況においても勝てる、確実にして最短の道であると、私は信じています。
2021年6月大須賀 祐
プロローグ
そもそも「輸入ビジネス」とは 本書を手に取ってはみたものの、「輸入ビジネス」がいったいどんなものなのか、実は、あまりイメージできていない……という人もいることでしょう。
そんな方のために、「リモート輸入ビジネス」についてお話しする前に、そもそも「輸入ビジネス」とは何なのか、その骨組みについてお話ししておきましょう。
もちろん、「輸入ビジネス」についてご存じの方は、このまま第1章までページを進めてください。
さて、「輸入ビジネス」とは何か。私は、次のように提唱しています。
「輸入ビジネスとは、自らが莫大な投資をすることなしにメーカーとなることができ、国内の上場企業、優良企業、他のメーカー、名だたる物販業者をもあなたの傘下に置き、自らの販売部隊として活用できる究極のジョイントベンチャーである。」 余計にわからなくなった、という人もいるかもしれませんね。
いったいどういうことなのか、説明していきます。
まず、輸入ビジネスの根幹は、海外では流通しているものの、まだ日本に入ってきていない、流行りそう、人気が出そうな商品を、日本に持ってきて販売することです。
非常にシンプルです。シンプルかつ、商売の基本のような仕組みなので、誰でも参入することができます。特別な資格や、経験は必要ありません。
つまり、商社に勤めたりしていない、一個人、新規事業であっても、海外の企業としっかりやっていけます。日本で流通していない商品ということは、まだその時点で日本に入り込む窓口がないということです。
海外の企業も日本進出のきっかけを探している可能性は高く、信頼できる相手であれば、その規模までは問わないところが少なくありません。実際、海外で売れていた小物を個人規模で仕入れたところ、日本で大ブレイクし、一躍成功者となった例もあります。
たとえば有名なものに「 crocs(クロックス)」というサンダルがあります。
日本人の方がハワイで見つけたサンダルを日本市場に持ち込み、 1から販路を開拓し、現在のような知名度になりました。
海外の企業とのやりとりは英語がメインですが、通訳や翻訳機能を活用することで対応できますし、契約書など、法的なことはプロの力を借りれば問題ありません。
また、一人、一社だけでは販売力に限界があるため、日本全国に流通させ大量にさばくことは難しいかもしれません。
しかしその商品に力があれば、ネット販売と合わせて、皆さんもよく知っているような伊勢丹、阪急などの大手百貨店、 LOFTや東急ハンズなどの全国規模の雑貨屋、スーパー、ドラッグストアなど、日本全国に店舗を持っていて広域の販路を持つ大きな会社の力を借りて、一気に日本に広めることもできます。
ジョイントベンチャーと呼ばれる手法です。ジョイントベンチャーを行えば、あなたは莫大なコストをかけることなく、日本全国の名だたる小売店を使って商品の宣伝、販売ができます。一人でも、新規事業でも、中小企業でも、勝てる仕組みを作ることができる、それが「輸入ビジネス」なのです。
日本国内で商品を仕入れるのではなく、海外から商品を仕入れることのメリットは、大きく次の5つです。
- 小さな会社や個人レベルで海外メーカーと取引できる
- 取引する相手が外国人、海外の会社というだけで、多くの人が尻込みしているため、競合が多くない
- 海外から商品を輸入する際に発生する「関税」と呼ばれる税金が減額もしくは免除されることになり、より安く仕入れることができるようになってきた
- 価格を自由に決められる(価格決定権を持つ)ため、メーカーと同じような立場になれる
- 独占販売権を取得して日本の総代理店となれば、メーカーと完全に同じ立場になれる
商品をつくらずとも、日本国内であなたからしか買えない商品を持っているという立場になれるのです。さらに、輸入は太古の昔から続く伝統的かつ普遍的なビジネスモデルです。
一過性のものではないため、なくなったり、廃れたりするものではありません。そして、日々、世界中のどこかで商品がやりとりされ、あらゆる場所を行き来しています。
新型コロナウイルスの流行中であろうが、景気がどうであろうが、規模は変われど、決して止まることはありません。魅惑の輸入ビジネスの世界へようこそ。さっそく本題に入りましょう。
第1章いま、「リモート輸入ビジネス」を始めるべき7つの理由
1「個人」でも大企業に勝てる
自由に値付けできるのが最大のメリット
輸入ビジネスを始めるにあたり、まずは、個人や中小企業規模でこのビジネスモデルを行うことのメリットと輸入ビジネスの魅力を知っておきましょう。
輸入ビジネス最大の魅力は、資本力に限界のある個人や中小企業でも、資本力にものをいわせて大々的に商売をしている大企業に「勝てる」、つまり、「儲けることができる」点にあります。
輸入ビジネスとは、海外メーカーの商品を輸入し、その海外メーカーの「代理店(代理人)」として日本国内で販売するビジネスモデルです。
仮にあなたが、ある海外メーカーから商品を輸入し、日本国内で販売するとしましょう。まず、その商品が日本未上陸であれば、あなたの裁量で自由に、日本国内での販売価格を決められます。
さらに独占販売権を取得してしまえば、その商品を売ることができるのは、日本ではあなただけになります。消費者が「割高だな」「価値がないな」と感じたら売れず、「割安だな」「価値があるな」と感じたら売れる。
それだけのことです。
価格に見合うだけの価値がその商品にあるかどうかを決めるのは、あなたであり、市場だからです。輸入ビジネスでは、市場原理に則った、フェアなビジネスが可能になるのです。
「定価」に縛られないから大企業とも戦える
海外と日本では、メーカーの市場への介入度が大きく違います。海外では、メーカーが販売価格(定価)を決め、統制する制度はありません。決めるのは、「取引相手にいくらで売るか」という出荷価格のみ。
取引相手に商品を売ってしまえば、その取引相手が別の相手にいくらで売ろうが、かまわないのです。海外メーカーは市場原理を重んじていて、「生産者がむやみな市場介入をしない」が不文律となっています。末端価格決定権は製造元ではなく、商品を仕入れ、販売する側にあるのです。
一方、国内メーカーがつくった商品を、国内で取引するとなると、そうはいきません。国内ではまず、国内メーカーによって希望小売価格が決められます。
その後、メーカーと買い手との間で「希望小売価格の何割の価格で仕入れるか( =掛け率)」の交渉が行われ、商品の取引価格が決まります。
資本力があり、大量に発注することのできる大企業は、メーカーに対し「たくさん仕入れるんだから、安くしてくださいよ」と交渉を持ちかけ、低い掛け率で購入することができます。
資本力に限界があり、少ない数量しか仕入れられない個人や中小零細企業は、必然的に、大企業よりも不利な条件で商品を仕入れざるを得ないわけです。
国内における、「定価」をベースとした取引形態では、個人や中小零細企業は絶対に、大企業に勝てません。スタートラインの「仕入れ価格」がまず不利なうえに、販売力や販売ルートにはさらに圧倒的な差があるからです。
海外と日本の、メーカーによる市場への介入度の差を比べると、海外メーカーから商品を仕入れる「輸入ビジネス」がいかにフェアで、自由度の高いビジネスであるかがおわかりいただけるでしょう。
輸入ビジネスでは、商品を仕入れただけの一販売店としてではなく、メーカーの「代理人」として、つまり「メーカー側の人間」として自由に値をつけ、自由に利益を上げることができるのです。
「個人」でも「大企業」と対等以上に戦える、究極のビジネスモデルだといえます。
2 「B t o B」ならリスクも最小限に抑えられる
「他社の資源」を活用できる 本書でオススメする輸入ビジネスは、「 B t o B」(法人間の販売)の取引をベースに考えます。
輸入ビジネスを始める場合、「 B t o B」こそが、リスクを最小限に抑え、利益を最大化できる取引形態だからです。
仮に「 B t o B」ではなく、消費者に直接販売する「 B t o C」を選んだ場合、どのようなことが起きるか考えてみましょう。
「一販売店」として輸入ビジネスを行うとすれば、まず店舗が必要となります。店舗を用意するには、建設費用や賃借費用、内装費用がかかるでしょう。そのうえで、商品の仕入れ費用もかかります。人を雇えば、人件費もかかります。仕入れた商品がまったく売れなければ、これらの費用はすべて自分自身にのしかかってきます。
店舗型の「 B t o C」の取引は、非常に大きなリスクを背負うことになるのです。そもそも「一地域」に「一店舗」を構えるだけでは、日本全国に商品を流通させることはできません。
そこで、「 B t o B」です。
「消費者に直接販売する」のではなく、たとえば日本全国に店舗を持つ百貨店やスーパー、家電量販店などに商品を卸すとしたらどうでしょう。
自分ひとりで売るよりも数倍、数十倍の販売力を得られ、あなたが仕入れた商品は一気に全国区となります。日本にはさらに、小規模な事業者の「 B t o B」取引を支援する、「問屋」が存在します。
小売店への卸しを代行してくれるのが問屋です。
あなたが問屋とつながりを持つことができれば、それはすなわち、小売店に日々、営業をかけ、日本全国に商品を卸してくれる営業マンを得たようなものです。
かつ、問屋の看板による信用を借り、問屋が持つコネクションを活用できますから、大手の小売店に商品を並べることができます。
ただし、問屋を活用する際、注意すべきことがあります。それは、問屋サイドの利益(中間マージン)を見込んだ価格設定が必要ということです。
問屋を通さず、小売店に直接販売することができれば、中間マージンを省くことができ、より高利益が見込めます。また、最近は、商品在庫を持ってくれるといった問屋ならではのメリットもなくなってきています。
どちらがよいか、検討して選ぶといいでしょう。自分ですべての経営資源を用意しなくていい。他社の経営資源を利用すればいい。しかもそのほうが、ビジネスがうまくいく。「B t o B」は夢のようなビジネス形態なのです。
3商取引の「オンライン需要」が伸びた
1つの取引先に依存せずにすむ
「実店舗を持とうと思うから、建設費用や賃借費用、内装費用がかかるのだ。実店舗ではなく、オンラインショップを構えれば、コストなしで販売できるではないか」 そう思う人もいるかもしれません。
しかし、オンラインでの販売にコストがかからないと考えているのなら、それは大きな間違いです。
オンラインショップを構え、そこに集客するためには、オンライン上のマーケティングを行い、オンラインショップを認知してもらう必要が出てきます。認知されなければ、存在しないのと同じです。
オンラインショップで満足のいく結果を出すには、かなりの時間的・金銭的コストと労力が必要となるのです。
「ならば、すべてを一からはじめるのではなく、すでに多くの客がついていて莫大な発信力を持つ Amazonや楽天に出店すればいいではないか」と考える人もいるでしょうが、話はそう単純ではありません。
集客力のある Amazonや楽天に出店したからといって、あなたがその中の「一小売店」であることに変わりはありません。
扱うのがどのような商品であっても、お客さまは「個人客」ですから、購入は 1 ~ 2点が大多数でしょう。これでは、事業を大きく展開し、大きく儲けるのが難しくなります。
さらに、 Amazonや楽天には手数料を払わなければなりませんし、アカウント停止の措置がとられた場合には、一瞬にして売上のほとんどを失ってしまうことになりかねません。得られるメリットに対し、リスクが大きいと言わざるを得ないのです。
加えてオンラインショップで怖いのは、プラットフォームを提供している企業による、小売店であるあなたではなくメーカーへの「直接交渉」の可能性です。
Amazonをはじめとしたプラットフォーム企業は、売れている商品だと判断すると、自社で直接、メーカーと取引しようと動く場合があります。資本力のある企業は購入するコストを低く抑えることができるため、薄利多売が可能となります。
あなたよりも低い金額で売ってくる可能性があるのです。消費者がどちらを選ぶかは、自明の理でしょう。
あなたが努力し、コストをかけて獲得した商品知名度やマーケティング効果も、一瞬にしてすべて奪われてしまうおそれもあるわけです。
プラットフォーム企業も「 B t o B」のお客さま(取引先)の1つとして考えるべきです。「Amazonだ」「楽天だ」と、1つの取引先のみを相手に販売しようとすると、売上のほとんどをその取引先に依存することになります。
だから、売上のほとんどを失うリスクも大きくなります。
すべての取引先を、「取引先の1つ」と考える。Amazonや楽天「で」売るのではなく、 Amazonや楽天「でも」売る。つまり「1つの取引先に依存しない」という考え方を持つことで、リスクを減らしながら利益を高めていくことができます。
あくまで取引のある小売店の一つでもあり、自らのショップでもあるところに「 B t o B」で商品を卸しているという感覚で取り組むことで、プラットフォーム企業への依存を最小限に抑えることができます。
すべては「 B t o B」という主軸があってこそできる考え方です。
大企業の参入をおそれる必要はないほとんどの大企業にとって、あなたとあなたの取り扱う商品は単なる「 1メーカー」「 1商品」です。
大手の小売店にとっては、海外のメーカーとわざわざ直接取引をするコストをかけるより、すでに国内に流通している商品を日本の企業から仕入れて扱うほうがコストパフォーマンスがよいからです。
商社をはじめとした小売り以外の業種も、エネルギー関連や食品といった、毎日の生活に必要不可欠な高単価、高利益、多物量、高回転率の商品に注力するため、雑貨を扱うようなニッチな輸入ビジネスには参入してきません。
この本で述べる輸入ビジネスは、ニッチなマーケットが対象です。そのため、大企業参入のあおりを食らいにくいのです。「それでも心配だ」という方には、とっておきの方法があります。「独占販売権」を獲得することです。
「独占販売権」を獲得すると、大手との競争を心配することなく、自分のペースと裁量でビジネスを進めていくことが可能になります。「独占販売権」については第 2章で詳しく説明します。楽しみにしていてください。
4「関税フリー」で低コスト、高利益に
輸入ビジネスにとって大変な追い風 2021年6月現在、全世界で関税をなくす流れがすごい勢いで加速しています。
ここ数年であまりに急激にことが動いたがために、トランプ政権下時代のアメリカが TPP(環太平洋パートナーシップ)協定を離脱したり、イギリスが EUを脱退したりなど、多少の揺り戻しはありましたが、世界的な流れとして「関税をなくす」という方向性が揺らぐことは考えにくいでしょう。
現に、アメリカは各国と 2国間で FTA(自由貿易協定)を結び始めたほか、イギリスは TPPへの参加を検討し、実際に協議に入りました。
アメリカとしては、単に「大枠のうちの一か国」になりたくないうえに、自国の裁量や交渉力を発揮したいがための TPP脱退であり、関税の撤廃について完全に反対しているわけではないでしょうから、関税をなくす流れ自体は止まらないものと考えられます。
関税のない自由な貿易が全世界で行われる日がくるのも、決して夢ではないのです。とくに注目したいのは、 2019年2月 1日に発効した「日欧EPA」です。
E PAとは、「 Economic Partnership Agreement」の頭文字をとったものであり、日本語では「経済連携協定」と呼ばれます。単に関税を撤廃・削減するだけでなく、多角的に貿易・投資を促進するための条約です。
日欧EPAでは、農産品や工業品にかかる関税を日本が約94パーセント、 EUが約99パーセント撤廃します。
世界GDPの約3割、世界貿易の約2割( EU域内貿易を除く)を占める、人口約6億人の一大自由貿易圏が誕生したのです。
つまり、ものを輸入、輸出する際にかかる税金がカットされ、ものが安く買えるようになるだけではなく、将来的には出入国の手続きの簡易化や滞在条件の緩和がなされる可能性があるなど、お互いの国同士の垣根が取り払われるということです。「関税撤廃」どころの騒ぎではありません。
段階的にではありますが、人、モノ、カネ、サービスなどさまざまなものが、日本とヨーロッパを自由に行き来できるようになるというわけです。
日欧EPAで貿易はどう変わる?
日欧 E PAの発効後、貿易の動きは著しく変わりました。たとえば、発効直後、ワインの輸入関税が即時撤廃されました。すると、チリ産の輸入量が 15・ 1パーセント減となる一方、フランス産ワインの輸入量は 14・ 7パーセント増、イタリア産ワインの輸入量は 18・ 5パーセント増と、ヨーロッパ産ワインの輸入量は目に見えて伸びました。
また、チーズは種類によって、従来より低い関税の商品群の枠が設けられました。さらに、枠内は発効 16年目に無税となります。
つまり、ワインのような状態になる可能性があるということです。今後はEUからの輸入は拡大し、雇用も促進されると考えられます。
次ページの図は、日本経済新聞で紹介された、EPAの例をまとめたものです。
左側は、日本からヨーロッパ( EU加盟国)に輸出する際にかかっていた関税、右側はヨーロッパ( EU加盟国)から輸入する際にかかっていた関税です。
つまり、これまで商品価格にプラスされていたこれらの関税が取り払われた、ということです。
経済連携協定を結んだ国々の間で貿易や人の流れ、サービスが活発化することにより、世界的には大きな経済効果が生まれることは、想像に難くないでしょう。
輸入ビジネスの観点から見れば、これまで数パーセントから数十パーセント余計に払っていた税金がなくなったり、少なくなったりするわけですから、日欧間の貿易の自由化は大変ありがたいことです。
国内ビジネスでは数パーセントの利益向上に奮闘している中、輸入ビジネスでは大きな労力をかけずとも、「関税がなくなった」という非常に単純な形で利益増が見込めてしまうのですから。
この関税撤廃の流れは、輸入する者にとって最大のチャンスです。波に乗り遅れることなく輸入ビジネスにチャレンジする、絶好のタイミングと言えるでしょう。
5海外メーカーは「輸出したがっている」
コロナショックで甚大な被害を受けたヨーロッパ経済 2020年に巻き起こったコロナショックは、世界経済に大きな打撃を与えました。
日本における 2020年 4 ~6月期の GDP成長率は戦後最低を記録し、マイナス 7・ 9パーセント、年率にするとマイナス 28・ 1パーセントでした。
これは恐ろしい数字です。日本以上に恐ろしい数字を叩き出したのがヨーロッパです。
EUにおける同時期の GDP成長率は、前期比でマイナス 12・ 1パーセント、年率換算するとマイナス 40・ 3パーセントです。前年同期比でもマイナス 15・ 0パーセントと、 1995年の統計開始以降で最も悪化しました。
経済規模の大きい 4か国の「前期比」を個別に見ると、ドイツがマイナス10・ 1パーセント、フランスがマイナス13・ 8パーセント、イタリアがマイナス12・ 4パーセント、スペインがマイナス18・ 5パーセント。
いずれも2桁を超える急落となりました。ユーロ圏域内において比較的落ち込みが軽かったドイツ経済ですら、アメリカを超える悪化幅となっているのです。
ヨーロッパ各国は、日本より厳しい外出制限やロックダウンを行った影響で、日本以上に深刻な経済悪化に陥りました。その結果、多くの国で、国内での商取引(ビジネス)の数がダウン。商品を市場に流すこともできず、メーカーの倉庫で余ってしまう事態となったのです。
海外メーカーとのやりとりはより簡単になった 国内でのビジネスが苦しくなり、海外メーカーは、少しでも売上を回復すべく、国内外を問わず、「お客さま」となってくれる相手を探し始めています。
細かい条件なんて二の次で、顧客発掘に躍起になっているのです。これから輸入ビジネスを始めようとするあなたにとっては、大きなチャンスが到来していると言えるでしょう。
海外メーカーとのやりとりのハードルが格段に下がっているわけですから、普通だったら取引が難しい、大きな規模の企業にもコンタクトをとりやすくなります。相手にとってみれば、今、お客さまになってくれる相手ならばもう、誰でもよいからです。
加えて、実際に商品を仕入れるとなれば、あなたは「苦しい時期に売上に貢献してくれた人」として、神さまのような扱いを受けることでしょう。
コロナショックはたしかに、世界中を混乱に陥れ、暗い影を落としました。しかし、コロナショックを契機として、輸入ビジネスを始めやすくなった。そして、新たな仕入れ先を開拓しやすくなった。これもまた、事実なのです。
6「オンライン展示会」の普及でどこからでも取引できる
コロナ禍に一気に広まった「オンライン展示会」 展示会には、商品を広く流通させていきたいと考えているメーカーが多数集まってきます。
出展者側も、商談相手が海外から来ていようが、国内から来ていようが、新規顧客に対する受け入れ態勢ができていますから、商談が前向きに進みやすくなります。また、展示会は新商品発表の場なので、誰よりも早く新商品を見つける、いわばチャンスの場でもあります。
しかし 2020年、コロナショックによって、世界中のありとあらゆる展示会が中止となってしまいました。展示会主催者たちも、そして出展者たちも、最初は戸惑ったはずです。ですが、このまま手をこまねいているわけにはいきません。
「新たな一手」を打ち、メーカーと買い手の交流の場を設け始める必要があります。それが、オンライン展示会です。
始まったばかりなので、明確なルールが定まっておらず、正直、探り探りで開催されている状態ではありますが、だからこそ、参加メーカーとのコンタクトが非常に簡単で手間もさほどかからないといった一面もあります。
渡航費ゼロ、時間コストも半分以下で商品探しができてしまうわけですから、オンライン展示会は、新型コロナウイルスの感染拡大が収まった後も展示会の「主流」として存在感を発揮し続ける可能性があります。
オンラインによって展示会がパワーアップ
リアルやオンラインを問わず、「展示会」のメリットは、「さまざまな商品を一度に見られる」ことにあります。
展示会場で出展者を巡っているうちに、自分では考えのつかなかったものや、かつて欲しいと思っていたけれど忘れていたもの、今までの商品にちょっとした改良が加わって新しくなったものなど、さまざまな発想に出会うことができます。
自分の発想にはない、新しい商品に次々に出会える貴重な場、それが展示会なのです。
オンライン展示会では、現地へ渡航するための費用や時間をカットできることに加え、展示会で歩き回る時間や体力さえも抑えることができます。
ほかの仕事をしながら、隙間時間で展示会に参加できるのも魅力です。オンライン展示会の普及により、気軽に輸入ビジネスにチャレンジできる土壌が整ったともいえます。
展示会に頼らずとも、新しい商品に出会うこともできますが、ネットで検索をかけるにせよ、自分の頭にあるキーワードでしか探すことができません。
思ってもみない、新しい発想に出会うには、やはり、展示会の活用は必須と言っていいでしょう。
オンライン展示会のデメリット
一方、オンライン展示会にはデメリットもあります。
主なものは、次の2つです。
1 条件交渉がしづらい
直接、顔を合わせて商談するわけではないため、誤解が生じやすかったり、踏み込んだ条件交渉がしづらかったりするのが1つ目のデメリットです。
単純な商品取引ならば、たしかにオンライン上だけで完了しますが、その分、「単純に物を選んで手配してもらって終わり」になりがちです。
商談には、価格や条件の交渉がつきものですが、いきなり切り出すわけにはいきません。ある程度、お互いの人間関係を育んでから切り出す事柄です。
ところが、オンラインのみの商談だと、なかなかお互いの人柄、熱量が伝わらないため、結果として、物のやりとりだけのドライな取引になりかねないのです。
リアルで会い、商談するメリットは、先方にこちらの思いや情熱、人となりを伝えやすく、信用を勝ち取り、長い付き合いとなりやすい点にあります。
人間関係を最初に築いておくことによって、条件闘争になった場合でも穏便かつスムーズに交渉を進めることができます。
直接会うという行為は、本気度を伝えるには強力なツールとなり、顔を突き合わせて話すことにより人と人としてのつながりとなるため、不利な条件を一方的に突きつけられるなどといったこともなく、よい条件を引き出すことにもなるでしょう。
サンプルを取り寄せた後、本格的に取引を始める前には、直接会って話すのが理想です。前もってオンラインでやりとりし、その後、実際に会うという流れがオススメです。
リアルで会うのが状況的に難しい場合には、ウェブ会議サービスを使って、お互いの顔を見ながら話をするだけでも、誤解や齟齬が起きにくくなります。
2 実物を直接見られない
2つ目のデメリットは、実物を直接見られないことです。通販で注文した商品がいざ手元に届いてみたら、思っていたサイズ感と違った。質感が違った。色味が異なっていた。これは、あなたにも経験があるでしょう。
こうした商品イメージの違い、商品価値の誤認は、取引自体が良くなかったという認識や、企業への不信にもつながります。オンライン展示会にも同じ危険があります。
後で「こんなはずではなかった」と後悔しないために、オンライン展示会で商品を選ぶ際には、大きさや質感などについてはある程度予想のつくものに絞るのも戦略として有効です。
正式な発注をする前に、必ずサンプルを取り寄せ、実際に見て、使ってみてから、取引は開始しましょう。サンプルチェックを怠ったことで、取引自体が失敗、果てはビジネスの失敗となってしまうおそれがあります。
商品のみならず、出展者の「ブース」の実物を見られないのも、デメリットの1つです。
展示会のブースづくりや商品のストーリーなどから、商品やメーカーの世界観が伝わり、そこからインスピレーションを受けることで、日本国内で実際に販売、流通させるときのイメージが湧く。
私自身が何度も経験してきたことです。
オンライン展示会ではブースが見られず、どのような商品なのかが細かく伝わりづらいため、メーカー側に「これはどのような商品なのか」「どのような思いでつくったのか」を詳しく質問し、イメージを補完する必要が出てきます。
2つのデメリットにさえ気をつければ、オンライン展示会は気軽に参加できる有意義な場となります。まずは一度、参加してみましょう。
7輸入ビジネスに「不安」を抱く必要はない
間違った思い込みを捨てれば、可能性が見えてくる「輸入ビジネス」と聞くと、多くの人は「期待」よりも先に「不安」を抱きます。
「不安」は、次ページの図の5つに集約されます。しかし断言します。これらはすべて間違った思い込み、「誤解」です。リモート輸入ビジネスをはじめるために、まずはこれらの「誤解」を払拭しておきましょう。
誤解 ① 英語ができないから難しそう
日本語以外の言語を話せない。だから輸入ビジネスなんて無理――そう考える人はたくさんいます。結論からいえば、日本語以外の言語を話せなくても、もちろん英語を話せなくても、輸入ビジネスにまったく支障はありません。
やりとりはメールや書類といった、文書がメインなので、即座に答える必要はありません。じっくりと文面の意味を調べたり、人に聞いたりすることができます。
また、こちらから英文を作成する場合にも、ネット上にある程度のテンプレートがありますから、最低限の形を整えることができます。
オンライン展示会であれば、自分がしたいことを示すボタン(オーダーやカタログ送付希望など)を選択すると、簡単な文章が英語で表示されるようになっています。
これをもとにして、加筆・修正すれば、ほぼ間違いなくやりとりができるでしょう。
現在は無料で使えるうえにすぐに訳してくれる優秀な翻訳アプリも発達しており、会話をする場合も翻訳アプリを使うことで、仮に外国語が話せなくてもスムーズにやりとりができるようになりました。
外国語を話せないことをおそれる必要も、引け目に感じる必要もないのです。
誤解 ② 手続きが煩雑だから難しそう
輸入ビジネスに専門的な手続きや書類はつきものです。しかし、実際に輸入ビジネスを始めてみるとわかりますが、あなたが扱わなくてはならない書類は、かなり限られたものだけです。
さらに、輸送から保険、通関にいたるまで、それぞれ「その道のプロ」がおり、あらゆる手続きを一括し、窓口となってやってくれる業者も存在します。
書類関係は基本的に、専門家に任せることが可能なのです。
あなたが力を注がなければいけないのは、「よい商品の発掘」と、その商品をいかに売るかの「マーケティング」と「セールス」の3つ。煩雑なことは、「その道のプロ」の力を借り、あなた自身は、単純な「物販」に注力すればよいのです。
誤解 ③ お金がないから難しそう
「輸入」 =「莫大な量の商品をたくさんのコンテナに詰めて、船を丸々使って運ぶ」。こんな想像を膨らませている人もいるかもしれません。たしかにこのような、大規模な輸入ビジネスも存在します。
しかしそれは、「食品」「エネルギー」「原料」「繊維」など、毎日のように消費され、かつ莫大な量を必要とされるものや質量が大きなものがメインの場合の話です。
コンテナが必要になるのは、相当な規模でビジネスを展開するようになってからでしょう。大規模な輸入ビジネスは、商社の専門分野。あなたが始める輸入ビジネスとはまったく違います。
個人がまず始めるべき輸入ビジネスは、商社をはじめとした大企業とはぶつかりようのない、ニッチなジャンルの取引をオススメします。
具体的には「一般生活消費財」と呼ばれる、いわゆる「雑貨」を扱うことになります。そうすることで、あなたは初期投資を一気に抑えることができるのです。
ヨーロッパとの雑貨の取引は「Ex Works」と呼ばれる「工場渡し」が条件で、最小注文数( MOQ)が設定されていないことがほとんどです。
つまり、あなたが必要な分だけ、極論を言えば、それこそ「1個」からでも商品を取り寄せることができてしまうのです(他の国、特にアジア地域のような商品・サービス単価の低い国・地域からの輸入の注意点については、後述します)。
あなたは、少量輸入した雑貨をサンプルとして営業先に見せたり、展示会に出展したりすることが可能となります。サンプルを活用して見込み客を獲得し、実際のオーダーを得てから本格輸入する。これが最も安全かつ、効率的な方法です。
輸入ビジネスでの最大のリスクは、「売れるかどうかわからない商品を、受注前に大量に見込み発注すること」です。
「雑貨」を扱い、かつ手始めに「ヨーロッパと取引する」ことで、「売れるかどうかわからない商品を、受注前に大量に見込み発注する」というリスクを回避することができるわけです。「1個」から注文できてしまうので、「お金がないから」と二の足を踏む必要もなくなります。
ちなみに中国をはじめとしたアジアの国々との取引は、単価は低く抑えられるものの、ヨーロッパとの取引とは違って最小注文数が設定されていることがほとんどです。
最小注文数が定められているということは、大量に在庫を抱えるのはもちろんのこと、莫大な運送費もかかってきます。それこそ、先述したコンテナでの大量輸入を最初からやることになりかねませんので、注意が必要です。
いくら単価が安いとはいえ、売り先も決まらないままに 5000個、 1万個と在庫を抱えてしまうのは、結果として大きなリスクを負うことになります。
最初は「単価は高くともヨーロッパと少量取引」、そして引き合いが増えて軌道に乗ってきたら「単価の低いアジアと取引」と、段階を踏んで取引相手を広げていくのが賢い選択です。
誤解 ④ 個人では難しそう
輸入ビジネスは、すべての人に均等なチャンスが与えられる、とてもフェアな世界です。個人でも、ひとり会社、中小企業でも大丈夫。
海外メーカーは基本的に「長く取引できそうな相手か?」を考え、新規顧客と取引するかどうかを決めます。
国境を越えた取引には、通信や手続き、輸送などに大きな労力がかかりますから、取引ごとにいちいち送り先を変えたり、やりとりする相手を変えたりといった煩わしいことをしたくないのです。
「いくつ買ってくれるのか」という条件面よりも「いかに長く安定したパートナーシップを組めるか」に重きを置くのは、そのためです。
海外メーカーは、個人やひとり会社に対して、案件によってやりとりする相手が部門ごとに異なる大企業とは違い、「トップと直接やりとりできる」ことに大きな魅力を感じるのです。
むしろ「大企業」より「個人」や「ひとり会社」のほうが歓迎されやすいともいえます。「いかに長く安定したパートナーシップを組めるか」という条件には、「自分たちの商品の哲学を深く理解し、愛してくれているのか」という要素も含まれます。
輸入ビジネスにおいて重要なのは「情熱」と「愛情」です。
海外メーカー側に「情熱」と「愛情」をストレートに伝えやすい点や、他に取り扱う商品やメーカーが少なく専任しやすいという点でも、個人やひとり会社など、事業規模が小さいほうがむしろ有利であるといえます。
誤解 ⑤ 販路の開拓なんてできないから難しそう
「B t o B」の販路開拓については第 5章で詳述しますが、難しく考える必要はまったくありません。
「展示会に出展する」。これが最もシンプルで確実です。展示会に出展するのが「売りたい人」であるのと同様、展示会に来場するのは基本的には「買いたい人」です。
相手は「買う気」でいるわけですから、まったく販路がない状態から自分の足で営業するよりも数倍、数十倍の効果があります。
コロナショックを契機に展示会の来場者は減少傾向ですが、同時に来場者の本気度が上がり、無駄な商談が減っている印象もあります。
来場者はより「純化」され、成約率はむしろ高まっているといえるでしょう。さらに現在は、実験的に国内でのオンライン展示会も開催され始めました。
オンライン展示会の特徴としては、会期が長いこと、出展費用やブースの施工費用が抑えられることなどがあります。場所や時間、天候などに左右されることがないため、リアルな展示会よりも参加者が増えるうえ、幅広い客層が集客されます。
さらに、オンライン展示会はオンラインという強みを活かし、あらゆるデータを集計することもできます。ブースの参加者の連絡先や属性、業態、アンケート、さらには何を閲覧し、どんな商品に興味を持ったかなどをデータとして手に入れることができます。
これをもとに営業活動ができるので効率化が進むでしょう。
こう書くと、いいことずくめのようにも見えますが、もちろんデメリットも存在します。たとえば、ブース内で「体験」をしてもらえないことが挙げられます。
商品を決める際に重要になるのは実際に手に取り、その商品の質感や大きさ、実際のデザイン、使い心地などを体験することです。これがオンラインではできないため、どうしても印象が弱くなってしまいます。
実際に商品を手に取ってもらえる機会をつくったり、サンプルを送ったうえでオンライン商談をしたりすることが必要となります。
また、リアルの展示会であれば、商品を見ている人に声掛けをして感触が良ければ商談、という流れも可能ですが、オンライン展示会ではひたすら「待ち」の営業スタイルになります。
自社に興味を持ってもらうための情報提供が重要です。情報を多く出して、自社のオンラインブースに興味を持ってもらい、いかに呼び込むかの工夫が必要になります。
このように、リアルの展示会にもオンライン展示会にもそれぞれ魅力がありますが、同時に弱い部分もあるのです。
ただ、これはお互いが補い合い、補強し合えるメリットとデメリットなので、両方をうまく使いながらビジネス活動をしていけばリアルとオンラインの相乗効果が生まれ、より効果的な結果が得られます。
両方に出展してみて、どちらが効果があったのか、どちらが自分の商品に向いているのかを調査しながら両面のメリットを享受しましょう。
重要なのはリアルか、オンラインか、と一方に偏るのではなく両方のメリットを十分に活用していくこと。こうやって柔軟かつ多角的なビジネス展開をしていくことが、これからの輸入ビジネスのあり方でしょう。
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