第2章リモート輸入ビジネスの「全体観」をつかむ
1輸入ビジネスは「 7ステップ」で進める
「流れ」がわかれば未来が見える
「輸入ビジネスはどのように進めればよいのでしょうか?」 セミナー等で、輸入ビジネス初心者からいただく、最も多い質問です。「次にどうすればよいか」が見えなければ、不安を抱くのも無理はありません。
輸入ビジネスは、次ページのとおり「 7ステップ」で進めていくことになります。
ステップ 1 日本にまだない有望商品や、日本市場で売れているけれど改善やアップデートの余地のある商品(デザイン、価格など)に目星をつけておく
日本の市場で需要が見込まれるにもかかわらず日本では流通していないものや、すでに流通してはいるものの手に入りにくかったり、売れている商品でも値段が高く手を出せない人がいたり、「もっとこんな機能があったらいいのに」など改良の余地があったりするものを探しておきます。
目星をつけておくことで、展示会やオンラインで商品を見つけやすくなります。「日本にまだない商品」という言葉は魅力的に聞こえるかもしれません。ただ、何が何でも「日本にない商品を扱いたい」とこだわりすぎると、痛い目に遭います。
「日本にない商品」には新奇性があります。一見、いいことだらけのように思えますが、新奇性の高い商品は、市場に浸透させるまで時間がかかります。しっかりとマーケティングをしないと、「売れずじまい」になりかねません。
「ステップ 1」はとても大切な作業です。すでに日本で流通している商品でも、「現行の商品より便利な機能がある」「デザインがいい」「価格が安い」などメリットが提示できる商品であれば、売上が見込めます。
「日本にない商品」にこだわりすぎず、柔軟に対応することも大切です。新奇性のある商品はじっくりマーケティングをし、市場にすでにある商品はすぐ流通させる。このメリハリが大切です。
ステップ 2 海外の展示会やオンラインで商品を探す
事前リサーチにもとづいて、海外の展示会やオンラインで商品を探します。気をつけてほしいのが、メーカーを複数社ピックアップしておくこと、さらに、なるべく1つのメーカーのすべての商品を取り扱うことです。
複数のメーカーをピックアップする理由は、メーカーによってやりとりの仕方、スピードなどが異なるためです。同時にやりとりしていく中で組みやすい相手を選びましょう。また、いくつかのメーカーとやりとりしておけば商品の市場性をはかる際にも役立ちます。
1つのメーカーのすべての商品を取り扱う理由は、メーカーの代理店となるうえでフルラインナップを揃えておくほうが、メーカー自体のコンセプトも打ち出しやすく、メーカーとの結びつきも強くなり、信用も得られやすくするためです。
さらには一商品のみだと商品群も貧弱に見えてしまうため、それを避ける意味合いもあります。メーカーの異なる商品を雑多に並べるよりも「世界観」が伝わり、お客さんにメーカーの良さがわかっていただけます。少なくとも、一とおり揃えておくことが、今後の展開にも有効です。
ステップ 3 メーカーに日本への輸出実績を尋ね、サンプルをオーダーする
めぼしい商品を売っているメーカーを見つけたら、コンタクトをとって日本への輸出実績を尋ね、続いてサンプルのオーダーをします。
サンプルを取り寄せると、品質や機能、デザイン、サイズ、カラー、材質、仕上げなどをチェックすることができます。サンプルは、あとで本オーダーしたときに「品質の照合サンプル」にもなりますから、大事に取り扱いましょう。このタイミングで、原価やさまざまなコストを確認しておきましょう。
ステップ 4 販売価格を決める
「値決めこそが経営」「価格は覚悟」と言われるように、価格決めは重要です。薄利多売の価格競争に巻き込まれてしまうと、大企業には到底かないません。十分な利益を確保できる価格づけをすることが必要です。
私がオススメしている価格のつけ方は、ヨーロッパであれば原価の5倍、アジア、アフリカ地域の商品であれば原価の10倍をつけるという方法です。
この価格のつけ方であれば、様々なコストを包括しており、問屋など中間業者を利用したとしても、十分に利益を確保することができます。
価格を自由に決められるメリットを最大限に活かし、しっかりと利益を確保しましょう。
ステップ 5 サンプルを使って展示会などでお客さまの声を聞き、「前注文」を取る
商品が売れるか売れないかは、最終的にはお客さまの判断にかかっています。展示会などでサンプルを見せ、商品に対するお客さまの声を謙虚に聞きましょう。
お客さまの声を踏まえて、メーカーにフィードバックし、「前注文」をとります。日本市場に適合させるため、品質や仕様を変更してもらうのも重要な仕事です。
ステップ 6 少量をオーダーし、販売して、市場の反応を確認する
サンプルとオーダー品がまったく違うケースもあるので、注意が必要です。「サンプルを見て気に入ったから」「展示会で好評だったから」と、大きな可能性を感じたとしても、いきなり大きなオーダーはせず、まずは少量で「トライアルオーダー」をするに留めましょう。
また、商品によっては、潜在的な欠陥を持っている場合もあります。欠陥を持っている商品かどうかを見極めるためにも、いきなり「本オーダー」をせず、「トライアルオーダー」に留めておくのが効果的です。
トライアルオーダーで届いた商品をある程度の期間、実際に使ってみて、性能や使い心地を検証し、よいと思ったらテスト販売して市場の反応を見ましょう。
ステップ 7 市場の反応がよければ、本格的に輸入して販売する
ステップ 6まで順調に進み、商品に対するお客さまの反応もよく、「たくさん売れそうだ」という手ごたえを感じられるなら、本オーダーを入れ、販売しましょう。
このタイミングで独占販売権について、打診(すでに話をしている場合は、最終確認)するのがベストです。それぞれのステップにおいて押さえておきたいことについては、次節以降でお話しします。
複数メーカーとの取引も「現在地」が見えれば安心 輸入ビジネスが軌道に乗ってくると、1つのメーカーだけとの取引ではなく、同時に複数のメーカーと案件を進めることも多くなってきます。
「7ステップの中で、今はどのステップにいるのか」を一つひとつ確認しながら進めていけば、混乱することはありません。「現在地」がわかっていれば、どんなに事業が大きくなり案件の数が増えても安心です。
2正しく賢く「商品」を見極める
「CLV」を意識する
「輸入ビジネス」で取り扱う商品として、どのようなものに目をつけ、扱うべきか。極論をいってしまえば「売れる商品」がベストですが、モノが売れる・売れないは時流などの突発的要素にも大きく影響されます。そもそも最初から「売れる」と確定している商品はありません。
どうやって売れる商品にするのか、どうすれば売れるのか、どう見せればよいのか、ターゲットは誰かなどを複合的に考え、マーケティングを行い、その商品に合った売り方をしなければなりません。
そこで本節では、「どのような観点で商品を選ぶべきか」「どのような商品は避けたほうがよいか」の指針、気をつけるべき視点を押さえておきましょう。
「輸入ビジネス」は輸入した商品を販売することで利益を上げます。できるだけコストをかけないで仕入れることができれば、必然的に利益率が高くなり、収益も増え、ビジネスがうまく回り始めます。
商品を選ぶうえで、コストも視野に入れる必要があるということです。最もコストを低く抑えられる指針が「 CLV」です。
「CLV」とは、小さくまとまるもの( compact)で、軽く( light)て、価値があるように見える( value)商品を指した略語です。
アクセサリー等がその典型です。「CLV」を意識して商品選びをすれば、リスクを最小に抑えられるうえ、輸送コストも最小限に抑えられます。
ただし、「 CLV」はあくまでも「コストを抑えること」を第一に考えた場合にベターな指針であり、「 CLVこそが絶対」というわけではありません。
CLVには該当しないものは取り扱わないほうがよいわけでは決してありませんので、ご安心ください。
「法律に抵触しない商品」を選ぶ
法律に抵触しない商品を選ぶことも必要です。海外では取引OKの商品であっても日本では違法になる商品は、意外とあるのです。
免許を取得したり、許可をとったり、検査をしたりすることで、取り扱っても違法にならない商品も多くありますが、時間もコストも労力もかかりますから、輸入ビジネスをはじめたばかりのうちは、あらかじめ、法律に抵触しそうな商品は避けておいたほうが無難です。
抵触する可能性があるのは、以下の法律です。
電波を発する商品には規制がかかり、使用者が罰せられてしまうため、検査が必須な「電波法」や、コンセントを使う電化製品全般に適用される申請が義務となっている「 PSE法」、食品や食器、乳幼児のおもちゃなど口に入れる可能性のある商品に適用される「食品衛生法」、薬関係や効果、効能を謳う商品に適用される「薬機法」などがあげられます。
お客様に安心して使っていただくためにも、ビジネスを着実に進めるためにも、法律のチェックは必ず行いましょう。
「重いもの」「大きいもの」「壊れやすいもの」「白いもの」は避ける
輸送の際は重量、もしくは容積によって金額が決められます。大きければ大きいほど、重ければ重いほど輸送コストが高くなるわけです。
また、「重いもの」「大きいもの」は一般的に、商品単価も高くなりますから、輸入ビジネスの手始めに扱うにはリスクが大きくなります。具体的には、家具や家電、什器などは、最初のうちは避けたほうが無難です。
また、外国から運ばれてくる道中、割れものやパーツが繊細なもの、壊れやすいものは、壊れて不良品となってしまう確率が格段に上がります。保険で補償されるとはいえ、保険が下りない場合も十分に考えられます。
不良品を販売元に返品しようにも、送料や関税がかかってしまうおそれもあり、ほとんどの場合、現地処分せざるを得ません。
廃棄にもコストはかかります。食器類や工芸品、陶器、ガラス商品なども最初のうちは避けましょう。輸送のリスクもコストとして、考えることです。見落としがちなのが「白いもの」です。
「白いもの」は輸送の際に汚れやすく、不良品率が上がります。「淡い色のパッケージ」のものも同様、避けたほうが無難でしょう。「汚れやすい」ことは大きな欠点となるのです。
「淡い色のパッケージの商品を輸入したが、そのままコンテナに積み込まれてしまったためにパッケージに汚れがついてしまい、お客さまに届けることができなかった」といった事例もあります。
商品自体に不備はなくても不良品とみなされてしまうのです。日本人と比べて、外国人はパッケージに神経を使わないところがあるため、トラブルのもとになることも多く見られます。
日本人は「パッケージも含めて商品である」という意識がありますが、海外ではギフトボックスを重視しない傾向が非常に強く、パッケージがお粗末になっているパターンがとても多いのです。
きれいなパッケージの商品であっても、むき出しのままコンテナに積み込まれることもめずらしくありません。当然、汚れてしまい、せっかくのパッケージが台無しになってしまいますが、彼らにとってはあまり関心はありません。
淡い色のパッケージの商品を輸入する場合は、汚れがつかないような梱包にして輸送するよう指示することを忘れてはいけません。
「流行りもの」は避ける
一時の流行りものも避けたほうがよいでしょう。
コロナ禍で発生したマスク騒動のように、「まさに今、売れる」と判断し、一過性の波に乗ろうとしても、輸入には時間もかかるため、タイミング次第では一気に値崩れしてしまい、多大な在庫を抱える可能性があります。
流行りは永遠に続かないうえ、どのタイミングで終わりが来るのかわからない、ある意味でギャンブルのようなものです。
継続性を重んじる B t o Bには向きませんが、「仕入れたらすぐ売れる」こと自体はもちろん、悪いことではありません。
流行りものは認知度が高いため、市場にすぐ出回りやすい特徴があります。マーケットもある程度見込まれているので、 B t o Bでも重宝されます。
短期的に売り抜ける商品と、じっくりと育てながら長期的に販売する商品を見極め、バランスよく取り扱うことが理想的なのですが、それにはやはり、中級者以上の経験と能力が必要になってきます。
輸入ビジネス初心者のうちは、流行りものに手を出さないほうが無難です。
「好きな商品」を扱う
ここまで述べてきた指針をもとに、最終的にどのような商品を取り扱えばよいのか。「あなたが好きだと思える商品、これならば情熱を持って扱えると思える商品」を選ぶ、これに尽きます。好きな商品であれば、ほかの商品とは圧倒的に違うポイントや機能、魅力も見つけやすくなります。
好きだからこそ、その商品への知識は、ほかの人よりも自然と深まりますし、好きでなければ見えない「その商品の本当のよさ」を活かすことができます。
これは、商品の強みになり、チャンスになります。「好き」という気持ちは、あらゆる行動の原動力となります。商品についてより詳しく知ろうとし、より深い商品知識を身につけることができます。
「誰が欲しいものか」「どう見せれば売れるのか」などの戦略も、好きな商品であれば、市場や購買者心理も熟知しているのでアイデアが出やすくなります。
マーケティング戦略を立てやすくする意味でも好きなものを選ぶのは重要な要素となるのです。その姿勢が、メーカー側との良好な関係の継続にもつながります。
メーカー側も一生懸命考え抜いて生み出した商品ですから、自分のつくった商品を愛してくれ、本気で取り組んでくれる人に扱ってほしいはずなのです。
さらに「好き」な気持ちは、商品の購入を検討しているバイヤーにも響きます。「この人は、この商品、この分野のスペシャリストである」とバイヤーに認識されることで、あなたは輸入者としての信用を獲得しやすくなるのです。
3 「Instagram」で商品発掘&マーケティング
「商品発掘」も「マーケティング」もできる
展示会に参加するのは、ちょっとハードルが高いという人にオススメの商品発掘方法があります。「Instagram(インスタグラム)」です。
Instagramはオンライン展示会とともに、新たな展示会の形として「リモート輸入ビジネス」の大きな肝になる可能性を秘めています。
世界各国のメーカー各社が「イメージ戦略」の一環として、 Instagramに力を入れているからです。Instagram上には、さまざまな商品写真が載っています。
メーカー側のイメージ戦略もわかり、日本国内で流通させる際の参考になるだけではなく、許可は必要になりますが、その写真を展示会に活用したり、ホームページに使ったりもできてしまいます。
しかも、そもそも Instagramがコミュニケーションツールですから、投稿しているメーカーに直接コンタクトをとることも可能です。
まず、日本に取引先はあるか、日本で商品を広めていくことに興味はあるか、と直接問い合わせてみましょう。Instagramなら「商品発掘」のみならず「マーケティング」までできてしまうのです。
気になった商品を取り扱っているメーカーの Instagramから、そのメーカーのファン(フォロワー)を探します。すると、そのメーカーに興味を持った人や同じ嗜好を持った人たちの Instagramアカウントにたどり着くことができます。
彼らがどういう属性の人なのかを知れば、同じメーカー、同じ商品に興味を持っている人たちの輪がどんどん広がり、その商品の購買者がどんな人なのかを知ることができるのです。
つまり、好みや購買行動を把握するのに役立てることができてしまうのです。
また、メーカーがフォローしている他のメーカーにアプローチをするのも有効な手段です。つながりがあるということは、気になったメーカーと何かしらの親和性があるということです。
似たようなコンセプトを持っていたり、同じジャンルの商品を作っていたり、実際に交流のあるメーカー同士ということもあります。横のつながりも確認しておくと、新たなビジネスチャンスにつながっていくことでしょう。
4「展示会」で商品や取引先を発掘する
海外展示会は「優良メーカー」と出会えるチャンス
「輸入ビジネス」に抱いていた誤解は払拭できた。さあ「輸入ビジネス」を始めよう。そう考えたときにまず必要なのが、商品です。
商品を見つける方法としては、第 1章でも述べたとおり、海外の展示会に参加するのが最も手っ取り早いといえます。
さまざまな国から来た商品を一度に、大量に見られるのが展示会の魅力です。
商品探しにおいてこれほど効率のいいことはありません。
海外の展示会に出展しているメーカーはおおむね、信頼度が高いといえます。海外の展示会に出展するには、日本国内の展示会とは比べものにならないほどに高いハードルが存在します。
コスト面では日本の数倍はしますし、厳しい審査も入ります。つまり海外の展示会では、展示会運営会社によってある程度のふるいにかけられたメーカーと出会えるわけです。
オンライン展示会は、より手軽に参加することが可能であり、それが最大の魅力です。オンライン展示会のウェブサイトでは、とくに登録をしなくても、出展者の情報を見ることができます。
めぼしいメーカーが出展しているかどうかをまずチェックし、取引したいメーカーが見つかったら展示会へ参加登録するといいでしょう。
「オンライン展示会」から関係をつくるには?
オンライン展示会で取り扱いたい商品を見つけたら、まずはメーカー側に問い合わせてみましょう。
商品画像はイメージ写真であり、実際の質感はわからないので実物を確かめる必要があります。そこで必要となるのが「サンプルオーダー」です。サンプルを取り寄せ、実物を確認するのです。
メーカー側に「サンプルをオーダーしたいから、プライスリストやオンラインカタログを送ってもらえるか」と聞くと、スムーズにファーストコンタクトができます。
届いたプライスリストやオンラインカタログを見ながら、商品を選び、オーダーをしましょう。サンプルをオーダーすることで、相手メーカーの「見込み客」になることができます。
ここが人間関係の第一歩です。
サンプルをオーダーする商品について、「どのような点を素晴らしいと感じたのか」をアピールしましょう。「デザインにほれ込んだ」「会社の考えに共感する」などと具体的に伝えると、相手も好感を持って応じてくれます。
サンプルを実際手にすると、質感、サイズ感、使い心地がわかります。梱包や輸送の仕方を考えるうえでも、サンプルは必須と言えるでしょう。
サンプルは「3つ」取り寄せる
もう1つ、サンプルには「後に商品をオーダーした際、品質照合の対象となる」という役割もあります。「サンプルだけはとてもいいデキだったのに、大量発注した途端にクオリティが落ちた」という事例もないわけではありません。
そのため、最初にオーダーしたサンプルを保管しておき、次回以降のオーダーの商品が届いたときに見比べることをオススメします。
サンプルは、同じ色、同じ形の商品を3つ用意しておくと、「保管用」と「お客さま見本用2つ」で不自由なく使うことができます。
展示会や営業先で、お客さまにもしっかり触っていただき、使っていただきましょう。お客さまの生の声は、テストマーケティングとして貴重な材料になります。
サンプル費用と展示会費用だけで、日本市場における商品の将来性を確認できるのであれば、これほどリスクが低く、コストパフォーマンスの高い方法はありません。
ただし、サンプルはあくまでもサンプル。「念のためにたくさん頼んでおこう」と大量に注文してしまっては本末転倒です。1商品につき3つほどの注文までに留めましょう。
輸入したい商品を見つけたら、まずプライスリストやカタログをもらい、商品を選んでオーダーし、サンプルを送ってもらうように手配します。
サンプルは「有料」と心得る
日本国内では、化粧品やサプリをはじめとして、「サンプル =無料」というイメージが強く広がっています。しかし世界的な共通認識としては、サンプルに「無料のもの」という意味はありません。
ですから、「3つ分の費用がかかる」と考えておきましょう。メーカーには、商用の商品ではない、「サンプル」である旨を請求書(インボイス)に示してもらう必要があります。
そうしないと、販売用の商品コピーとして関税がかかってしまう場合があるからです。一方、稀に、サンプルが無料になる場合もあります。
将来性のありそうな取引相手だと判断されたり、商談が盛り上がったりして、メーカーが「この人との取引なら、サンプルの料金はこちら持ちでいいや」と判断した場合です。
この場合は、メーカーからサンプルのみが送られてきて、請求書は送られてきません。先方から請求書が送られてきた場合は「有料」、送られてこなければ「無料」だと考えるとよいでしょう。
5「価格」は強気で決めていい
ヨーロッパ商品は「仕入れ値の5倍」、アジア商品は「仕入れ値の10倍」
扱う商品を決めたら、値決めをしましょう。値決めには慎重さが求められます。高すぎては売れませんし、安すぎると資金難に陥ります。
値決めを誤ると、自転車操業的な経営を余儀なくされてしまい、継続的な事業を運営しづらくなってしまうのです。私は「輸入ビジネス」において、「継続性」を重要視しています。
メーカーと関係を構築し、関係を深め、「いかにそのメーカーの商品を日本に広めていくか」「いかに長く売り続けられるようにするか」を考える。そこに、ビジネス本来の楽しみがあります。
継続して事業を営む中で、日本の会社からほかの商品を求められたり、新たなメーカーと出会ったりしながら、どんどんつながりが広がっていく。
このように成長していくのが、輸入ビジネスの理想の姿と考えます。輸入ビジネスを継続させるために重要なのが、値決めです。販売価格の設定は、あなたの「市場戦略」そのものです。
私は経験上、「ヨーロッパの商品には仕入れ値の 5倍、アジア諸国の商品には仕入れ値の 10倍を付けるとよい」とお伝えしています。
仕入れにかかった値段に上乗せした分が、あなたの利益と、商品を全国の小売店に届けてくれる中間業者の利益となります。
アジアの商品は、たとえ仕入れ値の10倍の価格をつけたところで、そもそもの物価の差や人件費の差があるため、高くなりすぎるということはありません。
一方、ヨーロッパの商品の中には、メーカーのこだわりが強い商品であったり、大量生産品ではないハンドメイド商品であったりすると、そもそもの原価が高いものも存在します。
このような商品に5倍の価格をつけてしまうと、あまりにも相場観より高くなりすぎることもたまにあります。「仕入れ値の5倍」では高くなりすぎた場合は、販路とのバランスを考えて掛け率を調整します。
販路とのバランスというのは、たとえば、「問屋を通さず、直接小売店のみと取引する」、もしくは「自社販売のみに注力する」ことで、コストを抑えられれば、価格を低くしても十分な利益を確保することができるでしょう。
ヨーロッパの商品であれば、仕入れ値の 3・ 3 ~ 3・ 4倍くらいまでは下げることも可能となるはずです。
どのようなバックグラウンドの商品を、どのように売っていくか。それを考えつつ、市場で受け入れられる価格かつ、自身の利益も十分に確保できる価格になるように調整する。
これが「値決め」であり、「販売戦略」です。
「導入しやすいエントリー商品を買いやすい価格に抑え、まずはファンを増やし、ファン向けの商品や消耗品・交換品の価格を高めに設定しておくことで、エントリー商品で抑えた利益分を回収する」などの戦略も自由に立てることができます。
値決めの方法には 2種類ある 一般的な値決めの方法には、「コストプラス方式(加算方式)」と「コストブレイクダウン方式(逆算方式)」の 2種類があります。
ここで整理しておきましょう。
1 コストプラス方式(加算方式)
コストプラス方式は、コストを積み上げて定価を決める考え方です。輸入品には、商品の仕入原価をはじめ、物流コスト、マーケティングコストなど、さまざまなコストがかかります。
コストの合計額に、あなたの利益や、問屋・小売店など販売チャネルの利益を上乗せして決めるのが、コストプラス方式です。
コストプラス方式では、ライバルとの競合や値頃感が意識されない価格になる場合が多々あるため、注意が必要です。
あまりにも高い価格になってしまいそうな場合は、「販売チャネルを絞ってコストを削る」「エントリー商品のような利益の薄い商品と、利幅が取れる商品を組み合わせて利益を調整する」「そもそもの原価を下げられないか、メーカーと交渉する」などの対策が必要となります。
2 コストブレイクダウン方式(逆算方式)
コストブレイクダウン方式は、最初に定価を決めてしまう考え方です。
さきほどご紹介したように、「ヨーロッパの商品は仕入れ値の5倍、アジアの商品は仕入れ値の10倍」など、ある程度の基準を先に決めてしまうのがコストブレイクダウン方式です。
商品には、お客さまの感覚や相場観などによってつくられる、適正な価格帯が存在します。その価格帯をにらみながら、定価を決めるこの方法は、「商品として消費者に受け入れられやすい値段」に落ち着きやすい決め方といえるでしょう。
ライバルとの競合の度合い、あなたの商品の持つ希少性、文化的価値などによって、利益幅を増減させることもできます。類似品がまったくない、新しいものを取り扱う場合、競合がいないため、新しい価値を創造することとなります。
その価格に見合う価値を伝えるマーケティングが必要ですが、完全にあなたの言い値が市場の価格となるので、強気の値段設定が可能となります。
日本市場に類似品がある場合は、これまで流通していた商品とどこが違うのか、その商品と比べてどこが優れているのか、メリットは何なのかをハッキリ言いつつ、類似品をベースに価格設定をするのがいいでしょう。
類似品があるからそれよりも安くしなければいけないわけではありません。類似品よりも優れている、価値があると思えば競合があったとしても強気の価格設定をしてもいいのです。
イギリスの家電メーカーであるダイソンは、まさしくその好例です。ダイソンは掃除機という一般に流通しきって相場観が出てしまっていた商品に価格の面で革命を起こしました。
デザイン性に加え、「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。」のキャッチと高い価格をつけることで高級品のイメージを植え付けることに成功したのです。
商品自体は音が大きいなど、デメリット部分も多かったようですが、買った側が満足感を得られるような工夫を凝らして販売した結果、大成功をおさめたのです。
価格は競合や相場観によって必ずしも左右されないのがおわかりいただけたでしょうか。価格は売る側の覚悟の表れです。最初は思い切った値付けをすることを強くオススメします。
6「独占販売権」を取って総代理店になる
「独占販売権」とは何か
取り扱う商品を決めたら、「独占販売権」を取りましょう。「輸入ビジネス」では、商品ごとに権利を取るのではなく、会社の商品全部で権利を取得するのが基本です。
独占販売権とは、そのメーカーの商品を日本で独占的に扱えるようになる立場、すなわち日本での「総代理店」になることを指します。Aさんが、ある海外メーカーの独占販売権を持っているとしましょう。
すると、ほかの日本の会社がその海外メーカーに「取引したい」と連絡してきた場合、海外メーカーは、「日本での窓口は Aさんなので Aさんを通してください」と対応します。日本市場において、該当商品を扱うには Aさんの許可が必要になるということです。独占販売権を得ることで、あなたは Aさんの立場に立てるわけです。
代理店になったあなたは、「その商品を扱いたい」と願う問屋や小売店を探して、営業をかけ、「 B t o B」の取引を行うことで、仕入れた商品を日本中に広めることが可能となります。
日本におけるそのメーカーの窓口は、あなた 1人だけですから、小売価格の設定はあなたの自由。同じ商品で競争になることもありません。
日本国内どこで売れても、そのメーカーの商品はすべて、あなたを介して流通したものなので、そのままあなたの利益となります。
あなたの努力や行動、広告宣伝がすべてその商品の流通に直接反映されるため、メーカーに対して腰を据えたマーケティングが必要となり、その活動が事業の安定をもたらします。結果として輸入ビジネスを長く続けていくことを可能にするのです。
独占販売権を保有することには、次の2つのメリットがあります。
メリット 1 自由に価格設定ができるうえ、値崩れしない
独占販売権を獲得すると、日本での海外メーカーの総輸入元になります。そのため、日本における「定価」の設定が可能となります。
定価をもとに、「何パーセントの掛け率で B t o Bの取引をするか」が決められるので、卸(問屋)を介するのか、小売店のみに直接卸すのか、自社のオンラインショップで B t o Cのみで売っていくのかなど、自分の思いどおりの戦略を立て、利益幅を自由に調整することができるのです。
メリット 2 商品の知名度アップが、自分の会社の知名度、売上向上にそのままつながる
商品の知名度がアップすると、その商品を取り扱っているあなた自身の知名度アップにつながります。その商品が話題となり、メディアで紹介されたりすれば、多くの人は自然と販社、代理店にも目が行くようになります。
すると、次の商品を取り扱う際にも「話題のあの商品を手掛けた会社の新商品」として注目してもらうことができます。取引先が、その商品を売ろうと宣伝してくれると、あなたの会社も儲かる、というわけです。
めでたくヒット商品となれば、商品の知名度とともに、あなた自身の知名度も上がっていくでしょう。
「売上保証」を飲んではいけない
独占販売権には1つだけ、デメリットがあります。メーカー側が取引の条件としてギャランティ(売上保証)を課してくる場合です。売上保証の提示をされた際は、その条件を安易に飲んではいけません。
設定された売上を達成できなかった場合、ペナルティを払わせられることがあるからです。
だからと言って、無下に断ってしまうと契約してもらえないこともあるので、「売上保証」を条件としてある金額を提示されたら、「ターゲット」、つまり「目標」として設定し直すことで回避しましょう。
あくまで目標とすることで誠意を見せつつ、達成しなくてもペナルティが起きないようにするのです(「ターゲット」を設定した後に、実際にギャランティを要求してくる会社はほとんどありません)。
ギャランティを要求するメーカーは、たいていの場合、商品に対してかなり自信があるか、あまり現実が見えていないことがほとんどです。
そのようなメーカーはのちのち、別の条件面でも厳しくなることが予想されますから、はじめから選ばないほうが無難でしょう。
ヨーロッパのメーカーは基本的に、対等な関係を望みます。年間計画などもお互いにすり合わせ、切磋琢磨していく姿勢を見せれば、良好な関係を築けます。
「独占販売権」を獲得しやすいメーカーは3種類
輸入ビジネス初心者でも独占販売権を取りやすいメーカーは、大きく 3種類に分かれます。
1 設立してから間もないメーカー
展示会場やオンラインで見かける、まだビジネスを始めたばかりのようなメーカーや、今まで自国のみで商品を広めていたような小さなメーカーは、日本の輸入業者とのかかわりがまったくないことも珍しくありません。
設立年月日が若いメーカーや、 Instagramなどの告知系の SNSで投稿が少ないメーカーは、新しいブランドを立ち上げたばかりだと考えられます。そのようなメーカー、ブランドは狙い目です。
立ち上げたての多くのメーカーにとっては、自分たちが想定した以外のマーケットである日本市場は魅力的に映るのです。
現状、誰もライバルがいないということであれば、独占販売についての話は格段にしやすくなります。B t o Bで日本中に卸をかける、願ってもないチャンスなのです。
想定していない商圏からのオファーですから、相手は喜んで飛びつくでしょう。
そもそも「想定していない商圏」なのですから、先方にとってリスクはほぼゼロ。「とりあえず任せてみよう」という気になるのは自然な流れです。
2 日本へのアプローチを画策しているメーカー
日本のマーケットにアプローチしたいと考えているメーカーも狙い目です。
日本市場は取引システムが独特で、卸売りを介したりするなど、海外メーカーにとっては複雑極まりないため、この取引システムを理解し、自社で取り組むのには、大変な予算とエネルギーが必要になります。
さらに、日本人のほとんどが日本語しか話さないという言葉の問題もあり、小さなメーカーはなかなか日本まで商圏を広げられないのが現状です。
あなたからの「日本の窓口」としての独占販売権のオファーは、メーカーにとっては「渡りに船」というわけです。
メーカーとしては、あなたがどのようにして日本で商品を売ってくれるか、自分の商品を情熱をもって愛してくれているか、自分の商品をどれくらい流通させてくれるかが大きな関心事となります。
そこでマーケティング手法の1つとして「日本の展示会に出展する」「まずはクラウドファンディングで日本の市場の反応を見てみる」など具体的な戦略を提示してあげると、相手は乗ってきてくれます。
中でも効果的なのが、「自費で日本の展示会に出展する」という提案です。
「来場者数十万人の日本の大きな展示会に、コストは輸入者側持ちで出展する」というオファーに、メーカーは「大きなリスクを負ってくれる」と意気に感じ、「それ相応の対応をしなければ」とモチベーションを高めてくれます。
3 日本に輸出した実績のあるメーカー
すでに日本への輸出実績があるメーカーも、チャンスがないわけではありません。
日本の会社と取引をした経験から、日本の取引システムの複雑さを十分に痛感しており、「日本国内の流通は日本人に任せたほうがいい」とよくわかっているはずです。
独占販売権のオファーを前のめりで聞いてくれるメーカーも多いでしょう。
また、相手は日本市場の品質基準を理解しているため、パッケージの仕方などもしっかりとしたクオリティでつくってくれます。
わざわざ「パッケージの仕方にも力を入れてください」と指示する手間が省けるのは、付き合う上で大きなメリットです。
現在、ほかの日本の業者と取引をしている場合、メーカーはあなたに自分の商品を一括して任せることができません。あなたは「数ある業者」の中の1つとして扱われ、価格や仕入れ数の競争に巻き込まれてしまう可能性があります。
この場合、独占販売権にこだわらず、「この商品は、サブ扱いとして売上をあげるための単なる一商品」として、こちらも割り切るのも1つの方法です。
しかし、こうした問題を打開する術がないわけではありません。「あなたの企画・アイデアによる商品を特注生産させ、その商品についてだけ独占販売権を得る」のです。
サンプルを仕入れ、お客さまの反応、アドバイスをもとに、商品を改良してあなたのオリジナルとして販売する。これで他業者との競争を避け、自由に価格を設定できる権利も持つことが可能となります。
この手法は、主にアジア圏など、単価が安く、工場を自社で持っていて OEMに対応している会社に有効な手段であるといえます。
OEMとは、 original equipment manufacturingの略で、その会社の商品としてではなく、他社(この場合はあなた)の商品として新たな商品を製造してもらうことを指します。
つまり、メーカー側が自社の工場を持っていて OEMに対応していれば、自社工場のような取り扱いができ、あなたの会社の製品として商品を製造することができるので、商品単価や人件費が低いアジアの会社と取引するのが有効です。
7 B t o Bに適した「販売チャネル」を選ぶ
3つの有力な販売チャネル 商品には、その商品に適した「販売チャネル」、つまり販売先というものがあります。まずは、あなたの商品に最も適したチャネルを探しましょう。
「B t o B」で有力な販売チャネルは、次の3つです。
1 問屋・卸商
広域的な販売網で一度に大量のお客さまを獲得できるチャンスがあるチャネルです。ただ、問屋との取引では注意すべきポイントがあります。商品への思い入れの「温度差」です。
あなたにとって、自身の商品は「オンリーワン」であっても、問屋にとっては「膨大な商品を取り扱っている中での単なる一商品」に過ぎません。
「どうすれば自分の商品に関心が高まるか」を、あなたは必死に考えなければなりません。問屋に訪問し、営業員に直接アピールするのも1つの有力な方法でしょう。人間関係は重要なカギとなります。
ネット全盛の今の世の中においても、ビジネスの基本は「人と人」です。このポイントを外さない輸入者が成功するのです。また、問屋と組む際は、傘下の小売店を多く持っている問屋を選ぶのがコツです。
傘下の小売店が多ければ、一度のマーケティングで販売効率が高くなるからです。
2 小売店(チェーン店、百貨店、ホームセンター、スーパーなど)・直卸
小売店へ直卸するメリットは、流通コストを省くことによって粗利を高く出せることです。多店舗展開をしているチェーン店、百貨店、ホームセンター、スーパーなどであれば、一気に商品の知名度を上げられるメリットがあります。
デメリットは、小ロットにも対応できる柔軟な物流システムを持たなければならないことです。また、あなたの商品のテイスト、特性に合った小売店を探し、そこにダイレクトに商品を卸す必要があります。ただ、小売店探しは展示会への出展で解決してしまいます。物流に関しては専門の業者がおり、そこに在庫と発送をまとめてお願いすることが可能です。
3 通販会社・テレビショッピング会社
通販会社やテレビショッピング会社は、常に目新しい商材を探しています。商品の「鮮度」を重要視するのです。
あなたの商品に「日本初上陸」、特許などの「知的所有権」「オリジナリティ」「真新しさ」といった特徴があれば、通販会社やテレビショッピング会社はオススメできるチャネルです。
通販から大ブレイクした商品が多いのもご存じのとおりでしょう。ただし、デメリットがないわけではありません。通常、通販会社は「事前の商品買い取り」をしません。
「受注発注方式」と言われる手法をとっているため、在庫の責任はあなたが持つことになります。仕入れ数量を読み間違えると過剰在庫を抱えることになります。
問屋を通す場合も多いですが、覚えておく必要があります。商品特性を見極め、販売の最適化を図ることが大切になってきます。
どうやってチャネルと接点を持つのか「さまざまな販売チャネルがあり、それぞれにメリットとデメリットがあることはわかった。でも、どうやって販売チャネルと接点を持つの?」と感じる人もいることでしょう。
費用対効果を考えた場合、「展示会に出展する」のが最も効率的です。展示会に出展することで、たった数日の投資でさまざまな販売チャネルの担当者と接点を持つことが可能となります。
しかも相手は「新しい商品を見つけよう」というモチベーションを持って来場してくるわけですから、見込み顧客としての確度も格段に上がります。直接アポをとり、飛び込みで営業するよりも、コストパフォーマンスは圧倒的に高くなります。
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