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第7章外国人にYes!と言わせる交渉術

目次

第7章外国人にYes!と言わせる交渉術

握手をする時に自分から求めてもいい。しかし決して自分から近づくな!

51対49の法則とは?

不利な提案を有利な条件に変える方法

沈黙を怖がるな!

相手は気持ちよくだまされたがっている。どうせなら数値目標は大きく言え!

相手の提案が有利なのか不利なのかを一瞬にして見破る方法

嫌な奴と感じたらすぐさま交渉を打ち切れ!

自分が考える倍くらいの要求を堂々と突きつけろ

強いまなざしを持つには?

展示会での英語によるFACETOFACEの商談15ステップ

あとがき参考文献巻末資料

第7章外国人にYes!と言わせる交渉術

握手をする時に自分から求めてもいい。しかし決して自分から近づくな!

初対面の相手との関係は、出会った瞬間、ほんの数秒で決まると言われている。早い人で0・25秒、遅い人でも6~7秒で決めてしまうそうだ。

人間も動物である。

動物である以上、瞬時にお互いの上下関係を本能的に決定するのである。この一瞬でその後の二人の関係が決まる。怖いとは思わないだろうか?もしそうであるならば、交渉事の相手には絶対に下に見られてはいけない。

おわかりだろう。圧倒的に不利になるからである。繰り返すが、絶対に低く見られてはいけない。低く見られないためには、どうすればいいのか。そういう立場に置かれないためにちょっとしたコツがあるのだ。

これは秘伝中の秘伝である。あまり公開したくはないが、せっかくご縁をいただいたあなたのためである。ここで明かそう。外国人、特に欧米人は必ずと言っていいほど握手を求めてくる。

その時が、二人の関係を左右する重要な鍵を握っているのである。とかく我々日本人は、握手に慣れていないこともあり、求められた場合、自分から近づいて手を取る形になることが多い。

さらに挙句の果てに、頭を下げて、お辞儀をしながらこれをやってしまうのである。これでは、相手から上に見られるはずがないではないか。欧米人の握手に法則があるのを注意深く見てほしい。

注意深く見るとわかるのだ。それは、こうである。精神的に劣位にあるものが、優位にある者にすり寄る、つまり近づいて握手をしているのである。優位にあるものは動かず、腰のあたりに腕をすっと出して待っている。

そう、相手にわざとすり寄らせるようにするのである。たったこれだけのことが、二人の明暗を決める。覚えておいて損はない秘伝である。

51対49の法則とは?

国際ビジネスでは、売り手と買い手の関係は五分五分がスタンダードである。人が必要とする商品やサービスを提供して正当な対価を得るのだ。無料で商品やサービスを提供しているわけではない。当たり前と言えば、当たり前の論理である。

だが、日本社会の現実を見るとそうではない節があるのだ。買い手有利の論理が、どこかに見え隠れする。それは、昭和元禄と呼ばれた高度成長時代に国民的人気を博した某有名歌手の言葉に象徴されている。その言葉とは「お客様は、神様です」というあまりにも有名な台詞である。

高度成長時代は、お客様と議論を闘わせるよりも、お客様に逆らわずおだてあげて売り込んだ方が、良い結果が出るという世にも不思議な時代だった。

まさに買い手90、売り手10といった雰囲気の時代であった。しかし欧米社会では、そんな感覚はない。前述のごとく、売り手と買い手はいわゆるイコールパートナー的感覚なのである。

だから愛想笑いなどという意識は、日本人ほど強くはない。欧米人によく指摘されることのひとつに、日本人の不可解な笑いがある。何を言ってもただヘラヘラ笑っているだけで、気味が悪いらしい。

しかし、私も日本人の一員としてあえて言いたい。欧米的なイコールだという感じもわからないわけではないが、命の次に大事なお金を投資するのである。

買い手にも少しはかっこうをつけさせてほしい。だから私は、批判されるのを覚悟でいう。「買い手が2%ぐらい優位であってもいいじゃないか」と。

買い手と売り手の関係は51対49で大目に見てほしいのだ。欧米人諸君!また私はこの法則を、交渉の勝ち方のパターンとしてよく使っている。

それは、先にも述べた通り、交渉の際、一方的に完膚なきまでに相手を叩きのめさないということなのだ。どっちが勝っても不思議ではない勝負だったと相手に思ってもらいたいからだ。

この次は相手に勝てるかもしれないと思わせる。一方的に勝てば気持ちはいいだろうが、相手はどうだろう。あなたとの交渉は、不快なものとして相手の記憶に残り、もう二度と取引したくないと考えるに違いない。

相手にまた交渉の土俵に上がってもらうには、交渉がデッドヒートであったことを印象づける必要がある。たまたま今回は、51対49で私がちょっとだけ有利に終わったと思ってもらう。つまり、接戦を演出するのである。

それによって相手のプライドも守られ、次回の商談、交渉が可能になる。徹底的に勝ったとしてもあなたの得られるものは、少ないことを覚えていてほしい。

不利な提案を有利な条件に変える方法

欧米の人はフェア(公平、公正)という言葉をよく使う。たとえ売り手、買い手のどちらの立場であっても、このフェアさを重んじるのである。

日本で以前流行語にもなった「お客様は、神様です」的な雰囲気はない。どちらかが一方的にリスクを負う、という発想はないのだ。一度こんなことがあった。

あるフランスのメーカーと取引の条件を詰めていた時のことだ。支払い条件は、発注時に50%、そして残金は船積み1週間前に完納とのこと。あまりの法外な条件にちょっとカチンときた。

基本的に貿易の場合、入金確認後から生産に入るのが通例である。生産日数(リード・タイム)は、45~60日くらいかかるのが普通なのだ。しかもフランスからの船便は、日本到着まで30日程度要するのである。

そこに両国での通関に必要な日数を入れると、最初に前金の50%を払ってから最終的に商品を手にするまでなんと110日もあるのだ。

さらに残金は、船積み1週間前という過酷な条件である。これは、あまりにアンフェアだとは思わないか。フランス人は自分勝手だとよく揶揄されるが、私もそう思ったものである。

しかも話は、それだけでは終わらなかったのだ。

次の条件は、日本での販売方法である。もちろん独占販売権などは、望むべくもない。そして私は、さらに驚きの条件を聞くことになるのだ。私は、その商品群を、国内最大の展示会に出品して幅広く顧客を募ろうと考えていた。

しかしそのメーカーは、それはダメだというのである。

私もこの時まで27年間貿易にかかわってきたが、展示会出品は歓迎されこそすれ、ダメだと言われたことは一度もない。当たり前であろう。私のリスクで相手の商品を異国の地で拡販するという、輸出者にとっては、最高のオファーなのであるから。

思わずわが耳を疑って聞きなおした。答えは、やはりダメとのこと。信じられない思いでいっぱいであった。この理由を聞いてみると、答えはこうである。

我々の商品は、すべてひとつのコンセプトに基づいて作られている。その中から一部分だけを展示されてもわが社のコンセプトは伝わらない、とのこと。

彼らの数百点もある全商品を扱い、しかも彼らの指示に従って展示会のブースを我々自らの費用で作り、なおかつ彼らの商品だけを展示したブースにして展示会に臨めとのこと。

私は、あんぐりと口を開けながら、そのフランス人社長のありがたい寝言を聞いていた。およそその講釈を1時間聞いた後、私は静かに言った。

「ありがとうございます。社長のお考えは、よくわかりました。お立場もよくわかります。ただ、もし社長が私の立場であったなら、本当に喜んで今の提案を了承なさっていただけますか?」

社長は、一瞬うーんとだまりこくってしまったのである。あまりにも一方的な要求に気づき、こう言ったのである。

「君の条件を聞かせてみてくれないか」2時間後、私たちは、前金50%そして残金は商品を私の倉庫に納入1週間後の送金、そして販売方法については、私に一任ということで落ち着いたのである。

相手の話をよく聞き、相手の立場を尊重したうえで、私の立場になった時にどう思うかを考えさせる。自分で気づいてもらうことが、重要なことなのである。

ポイントは、相手が話している間は、異論があってもうなずきながら、そして時々メモを取りながら聞くことである。どんなに法外であっても、だ。

沈黙を怖がるな!

誰しも沈黙は、バツの悪いものである。特に初対面の時はなおさらである。沈黙を怖がり、つい余計なことを話して墓穴を掘ってしまうのだ。

こんなことがあった。ある展示会での出来事である。世界的にも有名なあるフランスのワイングッズメーカーとの初商談時のこと。

商談は順調に進み、お互いに満足していた。そしていよいよ最後に支払い条件を残すだけとなった。私は言った。

私どもでは、お支払いは、商品到着後60日後になっております」いわゆる後払いを提案した。その瞬間、なごやかに進んでいた商談は凍りついた。気まずい沈黙が流れた。私は、一瞬しまったと思った。

これは、どうしても契約したい商談だったのだ。あとから考えるとほんの1、2分くらいの短い時間だったのであるが、私にとっては、何ともいえず長い時間に思えた。

耐えきれず、こう言った。

「無理なのであれば、ちょっとこちらも再度検討しますが……」相手は、えっ!と意外な表情を見せた。そうなのだ。なんと彼は、どうしたら私の要望を飲めるかを考えていたのだ。

そして決断してYESと言おうとしていた瞬間、私が余計なことを言ってしまったのである。しまった!そう、そうなのである。

自らチャンスを葬り去ってしまったのだ!私は、こうすべきだったのだ。自分の要望を口に出したら後は、相手の番である。ただにこやかに沈黙するだけでいいのである。

相手がいい返事をするまで、にこやかな沈黙を守ることだ。私自身いい教訓になった。その後、私は沈黙に強くなった。これには、後日談がある。

その後の粘り強い交渉の結果、私は自分の当初の要望通り、60日後の後払いの条件で契約できたのであった。

相手は気持ちよくだまされたがっている。どうせなら数値目標は大きく言え!

「年間どのくらいの金額を販売していただけるのですか」相手は、ズバリ聞いてきた。一番聞かれたくない質問なのだ。

私は、探りを入れた。

「どのくらいを考えておられるのですか」相手の輸出部長は、ちょっと考えてこう言った。

「私どもは、日本との取引はさほど多くないので、なんとも見当がつきません。ミスターオオスカが販売可能な数字が知りたいのです」うまい聞き方だ。

私は迷った。

このメーカーの年商はどのくらいなのだろう。いくらと言えば彼女は満足するのか。ここはスペイン。バレンシアの彼女の会社の応接室。大事な商談のために日本から飛んできたのだ。独占販売権の契約のためである。私は続けた。

「満足できる数字が知りたいのです。それによって我々の販促計画を検討したいと考えているのです」彼女は言った。

「私は、あなたの可能な数字が聞きたいのです。それによって私の方の判断材料にしたいのです」うーん、くえない女だ。

えーい言ってしまえ。覚悟を決めた。そして涼しい顔でこう言った。

「6000万ペセタですね」6000万ペセタは、現在の日本円では5000万円に相当する金額だ。

そして小さい声で、こう続けた。

「できれば5年後くらいに」それを聞いた彼女は、にっこり微笑んだ。「わかりました。やりましょう。初年度は、500万購入してください」彼女は、私にコミットしてほしかったのだ。

本気かどうかを試したのだ。組める相手かどうかをみたのである。数字は水ものである。やってみなければ、実際わからない。どうせだまされるなら気持ちよくだまされたいではないか。女性なのに妙に男気のある相手だった。

人は、コミットしてくれる相手を欲しがっているのだ。パートナーとして選ぶのであれば、誰しもそう考えるのではあるまいか。

相手の提案が有利なのか不利なのかを一瞬にして見破る方法

10年以上前のことである。私は困惑していた。まったくわからないのである。その日の1時にシャルルドゴール空港に降りたってから3時間後の話である。

その早口でまくしたてるフランスなまりの英語が、私にはまったくわからないのである。その日は、最初から流れがおかしかった。

空港に着き、今回の最大の目的であるフランスのメーカーとの最初の交渉にまっすぐ向かうべく空港からタクシーに乗った。

私は住所を告げ、今回の商談で得たい結果に想像を巡らせていた。しばらく乗った後、運転手は言った。「この辺りなんですが、案内してください」私はメモを見ながら言った。

「この辺りは初めてだから、ここの住所のところまで連れて行ってほしい」すると運転手は意外なことを言った。「ここら辺り1つのブロックが、すべて同じ住所です」今とは違いカーナビもない。

もちろん携帯もない。その一帯を何度も何度も行き来するが、どうにもわからないのである。

運転手もそろそろ気が立ってきて、お客さんどうしますか?ここらで降りて電話されたらどうですか?と苛立っている様子。

私はしかたなく公衆電話の前で降りた。そして公衆電話に入った。そこからがまた問題だった。かけ方がわからないのである。小銭を入れるところがないのだ。

前を通り掛かった人に「どうやってかけるのですか?」と聞いた。

そしてやっとわかった。

カード専用の公衆電話だったのである。やっとの思いでメーカーに電話した。迎えに来てほしい、と。約束の時間から大幅に遅れて到着した。しかしそれからが本題なのだ。

セーヌ川のほとりにそのメーカーはあった。いかにも工場の事務所という感じのうす暗い部屋に通された。私はさっそく、今回の目的を告げた。

もともとこのメーカーとは、パリの展示会で知り合った。そのフランス的なエレガントな感じが、とても気に入った。さっそくアポを取り、この商談にこぎつけたのである。

展示会の時に相手をしてくれた輸出部長のジル女史は不在で、社長が相手をしてくれるとのこと。ちょっといやな予感がした。あれほど事前にアポイントを確認しての訪問なのに、その当事者がいないのである。いかにもフランス的な対応である。

急なアポイントが入ったとのことだが、私は、こういう理由を認めないという立場の人間である。アポが、自分の意思を持っているはずがないではないか!人間がアポを入れるのである。

アポイントが自分から「アポイントです。入ってもいいですか」なんて言うわけがない。彼女は、私との約束よりあとからのアポを優先させただけなのだ。無性に腹が立った。

しかし逆に、社長自ら対応してくれるということに関しては、それだけ大事にしてくれているのかなとも思い、頭を切り替えることにして冒頭の商談は始まったのである。

フランス人は、後約であっても先約より優先されるということを知ったのは、もう随分あとのことである。さらに悲劇は続く。商談が始まったが、まったくわからないのである。彼のフランスなまりの早口の英語が、聞き取れないのである。もっとゆっくり話してくれとお願いするのだが、それでも何を言っているのかわからない。私は当惑した。

フランス人は自己中心的とよく言われているが、それを実感した。時折理解できることは、相手にとって都合のいい話ばかりのように聞こえる。

こんなやり取りが1時間も過ぎた頃、彼は言った。「どうですか」と。私は、判断をつけかねていた。判断がつかない時、分からない時は、「NO」と言え。これが、私が数々の商談を通して学んだことである。だから「NO」と答えた。

すると相手は怪訝そうな顔をして食ってかかってきた。

「NO?なぜNOなんだ。君が事前に出した条件をほぼ吞んでるじゃないか。なぜ?どこが気に入らないんだ」私は、いつものようにウインクしながら茶目っ気たっぷりににこやかにこう言った。

「ImeanYES.(冗談だよ、つまりイエスってことだよ)」彼も笑って言った。

「そうか、よかった。じゃ詳細をつめよう」私は、あまりよくわからず判断に窮した時には、この台詞を言うことにしている。

私にとって不利な条件の場合は、きまって相手は肩をすくめながら、「かなわないな。じゃあ、これはこのように改善しよう」と再提案してくるからだ。

逆に私にとって明らかに有利な提案の場合は、相手が「なんで?」と不思議な顔をするからである。相手の提案が自分にとっていいものか悪いものかを一瞬で見分ける魔法のワードであり、魔法の方法でもある。

嫌な奴と感じたらすぐさま交渉を打ち切れ!

「ちっ」その女は、舌打ちした。一瞬何が起きたのかわからなかった。私は、前回の取引に不満を持っていた。サンプルの品質と、本オーダーの際の品質が著しく違ったのである。当然のごとく私は、最大の顧客から信頼を失った。

原因を確かめるべく、こうしてメーカーの担当者に会いにブースに来た時のことである。私は言った。

「なぜこんなことが起きたのか説明して欲しい」その時である。この信じられない舌打ちを聞いたのは。わが耳を疑った。しかし顔をしかめてたしかに舌打ちしたのである。

ああ、やっぱりそうだったか……と思い、私も思わず唇をかんだ。あの時の私の勘は正しかったのだ。

半年前、はじめてそのメーカーを訪れた。その商品は一目で気に入った。価格の割に高品質なのである。これは高く売れると、瞬間的に直感した。サンプルを持ち帰ると最大の顧客は喜んでオーダーをくれた。

しかしその時に1つだけ気になっていることがあった。件の女性担当者との商談になんとも言えない違和感を覚えていたのである。どうもしっくりこない。

こちらが熱心さを見せているにもかかわらず、どこか横柄な感じで、売ってやるという雰囲気なのである。普段であれば、私は躊躇せず商談を打ち切る。嫌な奴と組んで上手くいくことはないからだ。それは、一瞬は上手くいくかもしれない。

しかしこういった微妙な空気は相手にも伝わっているから結局は上手くいかないのである。あなたも経験がおありだろう。

自分が嫌いだと思っている相手は、ほぼ100%の確率で相手もあなたをそう思っているということを。

そうなのである。その時確かにお互いに違和感を覚えていたのだ。彼女にしても、「ああやっぱりこいつ嫌な奴だった」と思ったのに違いない。そして舌打ちした。人間は不思議なものである。

この時ほど、嫌な奴と絡んでも上手くいかないと感じたことはない。

仕事とはいえ1日の3分の1の時間を費やすのである。楽しくそして楽しくなる相手と仕事をすべきである。結果、その方がお互いの得にもなるのである。

結局相手は、私のクレームに応じず、その取引は1回で終わった。非常に不満足で後味の悪い取引になったのである。今でもあの時の舌打ちを教訓にして、違和感を覚えた相手とは付き合わないことに決めている。

まさに双方LOSE─LOSEの関係の典型である。まず何よりも、自分の直感を大事にすべきなのだ。

自分が考える倍くらいの要求を堂々と突きつけろ

今の日本は裕福になってきたせいか、あまり極端な要求は相手に悪いと思いがちである。そのため値引き交渉も、ちょっと腰の引けた遠慮したものになってしまいがちだ。とある国での商談のお話をしよう。

私は、あるメーカーと商品の契約を済ませた帰り道、展示会に立ち寄った。なにげなく通りかかったブースで、同じような商品を発見した。自分の商談の正当性を確認する意味で、価格を聞いた。

案の定である。ちょっと安めだが、大体同じような価格であった。

まぁそんなものだろう、と思って立ち去ろうとしたが、相手をしてくれたメーカー担当者は、熱心に話を続けようとしてくる。

その時は、たまたま時間があったのでもう少し付き合うことにした。実は、ここからがスタートだったのである。

私としては、もうすでに同じ種類の商品を見つけて、そこそこ納得のいく商談を済ませていた。そんな思いもあって、法外な要求を突きつけて相手に諦めてもらおうと考え、こう言ったのである。

「価格的に難しいのです。我々のターゲットプライスは、15ドル以内なのです」実はこれは、件の契約商品の価格のちょうど半額に相当する。もちろん相手の顔は、すっと曇った。それを見届けた私は、その場を立ち去るべく腰を上げた。すると相手は、こう言ったのである。

「ちょっと待ってくれないか。ミスター」私は、浮かせた腰を椅子に戻した。

「あなたの専門は何かをもっと知りたい。販路についても聞かせてくれないか」1時間後、なんと18ドルで契約できたのである。半額にこそならなかったが、40%も安いオファーを獲得できたのだ。私は、学んだ。断られてもいないのに諦めるな!である。判断するのはあなたではない。相手が判断するのだ。思ったことは、口に出すべきである。

この時のことをさらに分析すると、私はこの商談に失敗しても、同じ代替案をすでに持っていた。これが私をさらに有利にしたことは、想像に難くない。常に代替案を持ちながら、思った倍以上の要求をしていく。

そして落とし所を探っていくという国際スタンダードに気づいた瞬間であった。あなたの思ったことは、図々しく堂々と述べてみよ、である。

強いまなざしを持つには?

交渉事において、強いまなざしは強烈な武器になる。と同時に強烈なまなざしは、相手の信頼をも勝ち取ることができるのである。

しかし残念ながら、我々日本人は、強いまなざしどころか相手の目を見て話すことすら苦手にしている人が多い。日本人はとてもシャイだとよく言われる。

特に欧米系の人間に対して必要以上にへりくだったり、コンプレックスを感じることが多いのである。そのため外国人、とりわけ欧米人と相対する場合何も言えずに、彼らからただヘラヘラと笑っているだけなどと揶揄されてしまうのである。

欧米系の人間は、相手の目を見ながら話すことは礼儀だという考えがもともと根底にある。一方、我々日本人の中には相手の目を見つめるのは失礼だという考え方があるのだ。

まったく正反対の考え方ではないか。結局我々は、相手の強烈なまなざしに圧倒されて相手から目線を外してしまうのである。

動物間では、互いに目と目があった時に、目線を外した方がやられるという法則がある。

人間とて動物の一種である以上、この法則は例外ではない。目線を外した瞬間、相手より劣位に置かれてしまうのだ。その相手に頭が上がらなくなってしまうのである。

そんな覚えがあるのではなかろうか。そっと胸に手をあてて考えてみてほしい。あなたにとって、なんとなく頭が上がらない人、その人の前に出ると上がってしまう相手などがいるはずである。

そう、そうなのだ。

あなたは残念ながらその人との初対面時に劣位に置かれてしまったのだ。あわてて目線を外すことによって。これは、私自身も何度も経験している。初対面の時は、重要である。

その後の人間関係を決定づけてしまうからである。でも、相手と目を合わせるのが苦手なあなた。安心してほしい。強いまなざしで相手から目線を外さずに渡り合う方法を私が伝授するからである。

どうするのか。興味津々であろう。それは、こうである。交渉相手と目が合った。その時相手の黒眼(ブルー、グリーンの目でも同じ)の奥をじっと見ながら頭で数を数え始めるのである。

1、2、3……ってね。

あなたの意識は、数を数える方に集中している。そのため相手の目線がまぶしくないのだ。恥ずかしさがまったくなくなるのに気づくはずである。

だいたい5あたりまで数えると、相手がそわそわしだして、ついにはフッと目線を外してしまうのだ。その時あなたは、心の中でガッツポーズを取られるがいい。

その後の交渉は、あなたに有利な展開で進められるだろうから。この場合、1つ注意しなければならないことがある。

それは、相手を見つめる場合、怖い顔で見つめてはいけない。微笑みを浮かべながら、優しく見つめるのである。喧嘩にならないように。

1.Hi!(こんにちは)目指す相手のブースに入る時が、最も重要なステップである。

明るくにこやかにフレンドリーに「Hi!」と元気に入ることである。もちろん、Helloでもいい。GoodMorningでも、GoodAfternoonでもいい。重要なのは、必ず何かを言ってからブースに入るなり、質問をしたりすることなのだ。

日本式の仏頂面の無表情では、共感は得られない。明るく開放的な雰囲気は、初対面では特に重要である。相手も人間だ。

どうせ取引をするのであれば、いかにも景気のよさそうな人間と付き合いたいと考えるのは、当然であろう。我々は、相手にとって福の神、青い鳥なのだ。にこやかに応対すること。こいつと組むと得になるということをいかに感じさせられるかがすべてのカギになるのだ。

2.Weare from Japan.(日本から来ました)そしてこのようにつないでいく。

まず、日本人バイヤーであることを最初に明言することが、相手の気を引く最大のポイントだ。日本は、世界第3位の経済大国である。潜在的に、日本との取引を望んでいるメーカーは多いのである。

ともすれば日本人バイヤーは、自分、自国を過小評価しがちだが、世界での評価は、我々が思う以上に高いのだ。堂々と宣言すべきなのだ。

日本の品質基準が世界一であると同様、MadeinJapanは、人間も同じである。このブランディングを利用しない手はない。

声高らかに言おう。ちなみにあなたは、あなたの組織を代表して、相手に会っているのである。必ずWeを使うこと。

日本語の「手前ども」「弊社」などというような雰囲気を醸し出せるからである。

3.Weareveryinterestedinimportingyourproducts.(御社の商品にとても興味があるのです)最初に条件さえ合えば、取引の用意があることを明言してこちらのフィールドに引きこむ。

これは、相手にとっては最も魅力的な台詞である。自分たちが、ある種、命を削って製造した商品である。それを、魅力的で欲しいと思っていると言うのだから、相手は抵抗できないだろう。

特に、このinterestedという言葉は、日本語の「興味がある」と違い、ずばり、~したいという意味なのだから。

4.WouldyoubeinterestedinpromotingyourgoodsinJapanesemarket?(日本市場で御社の商品を販促することに関心がありますか)どうであろう。

ここまで了解いただけたであろうか。この一連の切り出しは、相手を一瞬にしてその気にさせる魔法のフレーズである。何度も復唱してすらすらと出るように練習してほしい。

簡単な言い回しだが、ここには相手が欲しい情報のほとんどが散りばめられている。それは何か?再度ひとつずつ見ていこう。

まず日本から来たことを告げている。先ほど述べたように日本は世界第3位の経済大国である。ほとんどのサプライヤーは、日本との取引を望んでいる。

もちろん、必ずしも全部とは言わないが。次に相手の商品に興味があることを告げている。これは、輸出商に限らず物販業者であれば、最大の讃辞である。

さらに、サプライヤーの商品を拡販してもいいと提案しているのである。日本に販路を求めているサプライヤーにとって断ることが不可能なオファーなのだ。

私自身も、このステップで歓迎されなかったことは少ない。すでに日本に総輸入元を有している場合は、そうでないこともあるにしても、だ。

しかしどちらの場合もこのステップの最高に優れている点は、YESの場合でもNOの場合でもわずかな時間で取引の可能性が、一瞬にしてわかることである。

可能性のない相手に、いつまでもかかわらなくて済むということである。時間が限られている展示会の性格上、できるだけ多くの相手と可能性を探っていくためには、強力なツールなのである。

いかがであろう。

ここまでの段階で相手からYESを引き出したら次のステップである。

5.DoyouhaveanycustomersinJapan?(日本に顧客はいますか)これは、商談の序盤で最も大事な質問なのだが、この言葉の中にはいろいろな意味合いが含まれている。

これに対する答えは、YESとNOの2つしかない。

なぜ、この質問がそんなに重要なのか。

答えによって2つのことがわかるからである。

まず1つめの視点から見てみよう。

答えがYESの場合は、彼らは、世界一高い日本の品質基準を熟知していることがわかる。

NOの場合は、彼らに日本の高い品質基準を理解させなければならないことがわかるのである。

日本国内にいるとあまり感じないが、現在我々は、奇跡の国に住んでいる。

こんなに品質基準が高い国はないのである。

日本に輸入した商品が結果的にクレームになる最大の理由は、品質の問題なのだ。

日本の基準が、他国に比べてはるかに高いからだ。

そう言った意味でこの質問は、外すことができないステップなのだ。

次に2つめの視点から見よう。

YESの場合は、そのサプライヤーは日本に顧客をすでに持っていると考えられるので、独占販売権の交渉は、難航することがわかる。

逆にNOの場合、現在日本に顧客がいないので独占販売権の交渉に応じやすい。

ここからは、YESとNOでは、交渉の仕方が変わってくる。

さらに具体的なステップに踏み込んでいくのでついてきてほしい。

もし、相手がNOと言ったとすれば、チャンスはあなたに微笑んだのである。

独占契約の方向で商談を進めることができるのである。

返事がYESの場合、次のステップは、どの程度日本と取引があるのかを探るステップである。

あまりライバルが多い場合うまみのない商売になる可能性があるからだ。

そこでこう尋ねよう。

簡単なセリフだが、商談においては重要な質問となる。

6.HowmanycustomersdoyouhaveinJapan?(日本の取引先は、何社あるの)ダイレクトな質問だと感じる向きもあろう。

しかし意外にあっさり答えてくれるから不思議である。

これでだいたいの競合具合がわかる。

そして、この後の核心に迫るのだ。

7.Wewouldliketodobusinesswithyouonanexclusivebasisastotheitemswewillselect(haveselected),ifpossible.(可能なら、せめて我々が選んだアイテムについては、独占販売ベースで取引したいのだが)こちらは魔法のワードである。

サプライヤー、メーカーの全商品に独占販売権が欲しいというのなら難しい。

しかし、選んだ商品に関しての独占販売権の要求は、ほとんどYESを引き出せるのである。

ここまでくれば、あとはセオリー通りである。

サンプルを要求して、日本で反応をみて、本契約に持っていけばいいのだ。

一方、NOと言われた場合の手順をお話ししよう。

ここも肝である。

心して聞いてほしい。

まず独占販売権付きの契約を、大筋で飲ませなければならない。

そこでこう言おう。

8.Well,Japanesemarketissmallerthanyouexpect.Wedonotlikeahardcompetitioninsuchasmallmarket.Asyouknow,thisdoesnotgiveyouanybenefitafterall.

(日本の市場は、御社が考えているほど大きくない。

我々にすれば、そんな狭いマーケットでの競合は好ましくない。

あなたも感じているように、そんな状況では結局御社のメリットにもならないだろう)ここがポイントである。

我々の要望がすなわちあなたのためになるということを感じさせるのである。

やる気のあるサプライヤーであれば、これでかなりの確率でYESを勝ち取れるのである。

これさえ合意できれば、あとのステップは前述と同様に進めていけばOKである。

9.Wewouldlikeyoutosendussomesamplessoastodiscusswithourcustomersaboutyourproducts.(あなたの商品を拡販するために、サンプルを提示しながら顧客とディスカッションがしたい。

いくつか送ってほしい)これも、相手にとっては嬉しい提案だ。

本来ならば、自分たちの方から日本に渡って売り込みをしなければならないのに、相手に代わってあなたがやってくれるのだから。

しかも、あなたは日本にたくさんの取引先を持つことを暗に示すような言い回しをしているのだ。

この場合、サンプルが無料かどうかなどという質問は禁句である。

これから大きな取引に発展するかもしれない最初の段階で、そんな小さいことで議論になってはいけない。

こういう流れであれば、かなりの高い確率で、最終的にはサンプルを無料で提供してくれるからである。

10.Pleaseletusknowtheprice.(価格を教えてください)Howmuchとともに価格を聞く時の最もポピュラーな言い回しである。

さらに言えば、priceを、exportpriceにすれば完璧だ。

稀に、輸出未経験、もしくは輸出を考えていないメーカーが出展している場合があるからである。

プライスは、あなたの市場戦略そのものなのだ。

しっかり確認したいものである。

それから、letus動詞は便利な言い回しなのでしっかりマスターして使い倒してほしい。

~してくださいという意味として頻繁に使われるからである。

11.AlsoletusknowMOQ.(ミニマムオーダー(最低受注単位)もお知らせください)これは、最小引き受け単位を教えてほしいという意味である。

海外では、最小卸数を指定するところもあるので、確認が必要である。

ちなみにMOQとは、minimumorderquantityの略である。

単にminimumorderでも通じる。

アジア諸国では、すごい数量を要求されることも多いが、気にすることはない。

一応建て前上そう言っているだけなのだから。

交渉でなんとでもなるから心配しないでほしい。

12.HowaboutPayment?(支払い条件は、どのようになっていますか)支払い条件を聞く時に使う最も簡単なフレーズである。

今は、ほとんどがTT(電信送金)主体になっているので、TTもあわせて覚えておこう。

この場合、全額前払い(payinadvance)を要求されることもあるが、全額の前払いは危険である。

前払い30%、船積み後70%の分割送金(payontime)あたりがポピュラーな条件と言える。

ちなみに、前払いの意味でup–frontを使う場合もあるので、これも覚える必要がある。

13.Pleaseletusknowtheleadtime.(納期は、どのぐらいかかりますか)納期を聞く際の常套句である。

leadtimeはもともとは生産日数を示すので、誤解を避ける意味でdeliverydate/deadlineを使ってもいいだろう。

この納期の問題は特に、相互誤解や生産遅れで後々トラブルが起こりやすい。

綿密に打ち合わせることをお勧めする。

14.Whatispackaginglike?(梱包はどんな感じですか)パッケージがどのようなものかは、必ずチェックすること。

日本では、パッケージも重要な商品の一部であるが、海外では無頓着な場合が多いのだ。

むしろ、過度な包装は環境破壊につながるという感覚を持っている国もあるのだ。

15.Whoistherightpersontocontactwith?(今後、連絡をとりあう担当者はどなたになりますか)商談の最後に必ず、今後のやり取りをする人間を確認してほしい。

責任の所在を明らかにすることでお互いのコミュニケーションがスムーズになるからだ。

あとがき2012年6月に、改訂前の初版が世に出た時、コンサルタント仲間、友人、そしてクライアント様から驚きの声が上がったのは、記憶に新しい。

コンサルタント仲間や友人は口々にこう言った。

「ここまで、本で話して大丈夫なの?」クライアント様からは、「先生、ひどいじゃないですか。

これって150万円のコンサルで教えていただいた内容まで、入っているじゃないですか」などなど……。

本当に各方面からたくさんのご心配とお叱りと驚きをいただいた。

一方、輸入ビジネスをこれから始めたいという初心者であった読者様からは、「夢が広がりました」、「自分にもやれそうな気がしました」、「これでこの道に進む決意が固まりました」など、多くの感激や感想をいただいたのも事実である。

もちろん、クライアント様には、お詫びをしなければならない。

だが、私の脳裏には常に次のような感情があった。

我々アドバイザー、コンサルタントたるもの、情報の出し惜しみは絶対にいけないと……。

なぜなら、情報だけを売り物にしているようでは、困っている人を救うことはできないからだ。

もっと言えば、情報だけを売り物にしても、あなたの変化に対して何も貢献できないからである。

あなたに、すでに実証済みの事実をお伝えし、あなたの行動をサポートし、あなたの望むゴールに到達するお手伝いをすることこそが私の使命だと信じている。

私の使命は、来たるべき関税フリーの時代に向けて、日本人の国際競争力、国際的価値を世界ナンバーワンにすること。

我々日本人は、高度成長期のおかげで商売するには日本国内だけでも困らないという時代を長い間生きてきた。

しかし、これからの時代は、それでは立ち行かないのは自明の理だ。

だからこそ、これからは国外へ出ていかなければならないのだ。

ところがあなたは自信がない、出ていく方法がわからない、と思うかもしれない。

安心してほしい。

出ていく方法については、もう悩むことはない。

あなたは、私と運命的な出会いを果たしたのだから。

そして、自信がないという問題については、驚くべき事実がある。

現在日本は、あらゆる分野、部門で世界一なのだ。

信じられるだろうか?私は、自分の使命で日本人を世界のナンバーワンにすると言ったが、実はあなたはもうすでに世界一になっているのだ。

つまり、私があなたを世界のナンバーワンにしなくても、あなたはすでにナンバーワンになっている。

驚かれたであろうか?私は、1年の内の100日を海外の市場で過ごす。

そして、その生活を30年以上続けてきた。

だから、我々の本当の価値がわかる。

もちろん最初からナンバーワンだったわけではない。

戦後、どん底の状態からスタートした我々日本人は、時にがむしゃらに、そしてひたむきに日々を駆け抜けてきた。

そしてある日、ふと顔をあげたら、自分の前にはどこの国の人々も走っていなかったのだ。

ほとんどの人が、日本から出ないため、我々日本人の自らの世界的価値に気づけていないが、日本の動向は世界中から注目されている。

であれば、堂々と胸を張っていくべきだ。

同時に世界のリーダーとして、責任をもって先頭を歩くべき時なのだ。

日本人は世界で最も優秀な民族だ、と私は思う。

海外で仕事をすると、外国人が日本人の素晴らしさを理解していることを実感する。

日本人は、もっとそのことに気づくべきだ。

そして、日本人であることのブランドを活用して世界に飛び出していってほしい。

あなたは、もっと自信を持っていい。

あなたがこのことを信じられたとき、あなたが持つ世界観、日本人観を変えられると信じている。

私の小さい頃の夢は、外交官になることだった。

国を代表するその知的で颯爽とした姿にあこがれを抱いていた。

だが、現実はそんなに甘いものではなかった。

そして、次に描いた夢は、学校の先生。

人に何かを教えるのが好きだったし、誰かに何かを教えることに大きな喜びを感じていた。

でも実際の私は、大学入学後に目的を失い、挫折し大学を留年。

翌年、5年間の歳月をかけてやっとの思いで卒業するも、受けた就職試験は全部不採用。

卒業式寸前の土壇場、2次募集枠でとあるメーカーにやっとの思いで入社した。

この時点で、海外で仕事をすること、もしくは先生になるという私の夢はついえたかに思われた。

メーカーに入社後、3年目にしてその会社の最優秀営業員賞を獲得したものの、日本型ビジネスの限界に気付いた私は、悶々と満たされない日々を送っていた。

一度きりの人生、本当にこのままで良いのだろうか?この仕事に一生をかけることができるのか?自問自答を繰り返す日々が続いた。

そうして、ある日ひとつの決断を下すこととなる。

それは、輸入ビジネスの世界に飛び込むことだった。

どうしても海外への夢が捨てきれなかったのだ。

あれから、もう35年の月日が経った。

本当に早いものだ。

そして7年前の2009年1月に28年間続けてきた実業家としての「輸入ビジネス」人生に終止符を打った。

どうしてか?その理由を説明するには、10年前に処女作『初めてでもよくわかる輸入ビジネスの始め方・儲け方』を出版したときの話までさかのぼる。

この出版により、私の人生は激変した。

公的機関をはじめ多くの人にアドバイスを求められ、コンサルティングを依頼されるようになったのだ。

私の経験がお役にたつのであればと思い、貿易商と貿易アドバイザーという二足のわらじをはいて活動していた。

月曜日~金曜日までが貿易商。

そして土日に、セミナー、講演会、コンサルティングを通して、熱心なクライアント様の要望に応えてきた。

また、海外の展示会の場でクライアント様と一緒に行う個別コンサルティング(海外実践講座http://importpreneurs.com/seminar/jissenkaigai/)では午前中に、自分のビジネス交渉を終え、午後はすべてクライアント様の交渉のお手伝いをするということを3年にわたって続けてきた。

私は、自分の天職を見つけ、喜びに震えた。

幼い頃夢に見た海外での仕事、しかも人に教える先生のような立場でもあるわけだから……。

しかし、ある時を境に私の気持ちは、大きく揺れることに。

現役で貿易商をしながらクライアント様に教えることに矛盾を感じるようになったのだ。

私のコンサルティングは、通常のそれとは全く違う。

クライアント様と一緒に海外の展示会に行き、クライアント様の意を受け、クライアント様の要望を、私がその場でリアルに具体的に交渉をしてみせるというもの。

つまり、独占販売権の獲得交渉をクライアント様の代わりにやってみせるのだ。

だから、その中には、クライアント様と私の会社との利害が真っ向からぶつかる時がある。

クライアント様にコミットして深く入っていけばいくほど、クライアント様のビジネスと自社のビジネスがぶつかっていくことに気付いた。

私の貿易商という立場からすると、クライアント様も一種のライバルになりうるわけだ。

これが、苦悩の始まりだった。

自分では「一生懸命・誠心誠意」教えているつもりでも、どこかツボだけは、教えていないのではないのか?本当にクライアント様に誠実か?アドバイザーとしては、クライアント様の利益を優先させなければならない立場にもかかわらず、心のどこかで真にクライアント様の成功を祈っていない自分の存在に気づいてしまった。

私は、自分を恥じ、困惑し、苦悩し、幾多の眠れない日々を過ごした。

アドバイザー業をやめて、貿易商に専念するのか?もしくは、これから貿易を目指す若き情熱家のために残りの人生を捧げていくのか?大きな人生の岐路に立つことになった。

当然のようにその時の私には、すでに両方を続けていくという選択肢は消え失せていた。

どちらかをやめるべきなのだ。

そのまま両方続けていては、信じてくれるクライアント様に申し訳ないと心底思った。

そして、決断に至る。

俺くらいの貿易商なんて、世の中に星の数ほどたくさんいる。

だけど、これから輸入ビジネスを志す人に、俺よりも懇切丁寧に教えられる人はきっといないはず……。

なぜって?私の人生は、失敗と挫折の連続だった。

特にこの28年間における輸入ビジネス人生では、自分が嫌になるくらいの失敗を重ねてきた。

何度も「もうだめだ」と思うほどの挫折を味わい、その度に這い上がってきた。

だからこそ、この経験は、きっとクライアント様のお役に立てると確信があったのだ。

時は、2009年1月16日。

私は、輸入コンサルティング会社である今の会社「インポートプレナー」を立ち上げた。

これは、すなわち貿易商としての自分への決別でもあった。

つまり、退路を断ったわけだ。

今思いだしてみても本当に大きな不安を抱えた船出となった。

後戻りは、できないから。

そうして、今の私はというと……。

素晴らしいクライアント様とともに日々充実感に満ちた毎日を送っている。

素敵な盟友とともに、幸せを感じながら生きている。

才あるスタッフと喜びを分かち合って仕事をしている。

そして、私の使命である「日本人の国際競争力、国際的価値を世界ナンバーワンにする」という夢の実現のために、3つに特化して日々活動をしている。

1つ目は、著述活動。

現在まで、この本を含めずに6冊を世に問うてきた。

あなたの熱い支援のおかげでいずれもベストセラー、ロングセラーとして今なお輸入ビジネスのバイブルとして読み継がれている。

また輸入ビジネスの最新情報を包み隠さずお話ししている無料のメールマガジンは、読者数2万5000を誇る、「日本一の輸入ビジネス必読メルマガ」として高く評価されている。

必ずやあなたのお役に立つので、ぜひ手に入れてほしい。

→http://importpreneurs.com/dougamm/2つ目は、講演・セミナー活動。

現在までに、7000人を超える方が参加している。

この数字は、本物の輸入ビジネスは、時がたっても決して色あせることがないビジネスモデルであることの証明だ。

●戦略的輸入ビジネス構築セミナー初級編→http://importpreneurs.com/seminar/kiso/この本を読んで、挑戦したいと思ったあなたと直接お会いできるのを楽しみにしている。

だってあなたはもう既に同志だから。

そして3つ目は、前述した海外でのコンサルティング。

あなたと海外の展示会にご一緒し、外国人との交渉の仕方、独占販売権の取得方法を全部包み隠さずお見せする。

●海外実践講座→http://importpreneurs.com/seminar/jissenkaigai/しかし、私は自分の気持ち的には作家でも、講演家でも、アドバイザーでもないと思っている。

私は教育者として残りの半生を、輸入ビジネスを志すあなたのために費やす決心をしている。

これらの活動を通じてあなたに、輸入ビジネスの圧倒的な優位性と楽しさを伝えていきたい。

最後に私からあなたにプレゼントがある……。

この改訂版でも、私が28年にわたる輸入ビジネスの現場で実践してきたこと、クライアント様が実践してきたことの中でも、成果のあったこと、あなたに役立つと思うものに限定してお伝えしてきた。

ただ、輸入ビジネスにおいては、海外との取引と言う観点から日本の習慣にないもの、相いれないものがあるのも事実である。

特に海外交渉における、前提やスタンス、実際の流れ、どういうトーンや雰囲気で接するか、どういう順番で要望を繰り出すか等などといったことについては、文章で伝えるのには正直限界がある。

そこで、本書の読者限定でご覧いただけるように輸入ビジネスのツボを365本の動画にまとめた。

あなたの成長にあわせるように毎朝6時50分に1日1トピック完結型でお送りしている。

毎日、3分だけでいいので、この動画に投資してほしい。

これは、あなたのために365日動画で配信するという世界で初めての試みにチャレンジしているものだ。

「世界初!365日動画でわかる輸入ビジネス」登録は、こちらから→http://yunyubible.com/?p=213期間限定の特典もお届けしているため、チャンスを失わないよう今すぐ受け取ってほしい。

必ず、あなたの人生は変わる。

いよいよ、本当の最後になってしまったが、この本が世に出るきっかけを与えてくださった方々に心からの御礼を述べたい。

私のかけがえのない仲間たちであるインポートプレナーズクラブの会員の皆様(http://importpreneurs.com/member/)。

皆様は私にとって何ものにも替えがたい宝物だ。

皆様の応援なくしては、この天職を全うすることはできない。

これまで、どんなに勇気づけられていることか。

これからも共に加速進化していきたい。

星の数ほどの感謝をこめて……。

ありがとう。

また、私のアドバイスを忠実に実行してくれたクライアントの皆様。

本当にありがとう。

皆様の成功は私に大きな自信を与えてくれた。

ありったけの感謝をこめて。

講演、セミナーを熱心に聞いてくれた皆様。

その姿にどのくらい励まされたことか。

心からの感謝をこめて伝えたい。

ありがとう。

そして、陰でなにも言わずに支えてくれた、家族にはありったけの愛と感謝をこめてこう述べたい。

あなたたちは、私の世界にひとつだけの財産だ。

これからも見守ってほしい。

そして、本書を最後まで読んでくれたあなた。

本当にありがとう。

もう、感激で言葉にならない……。

あなたがいなかったら、私はここまで来られなかった。

そう、一人では、ここまで来られなかったのだ。

もう一度、ありったけの愛と感謝をこめて言わせてほしい。

「ありがとう!」そして何か困ったことがあればいつでも次のメールアドレスに連絡してほしい。

→info@importpreneurs.comあなたの輸入ビジネスにはいつも大須賀祐がついている。

今、念願の改訂版の執筆を終え、万感の思いを胸にそっと筆をおく。

まだ見ぬあなたの成功を心から祈りながら……。

ありったけの愛と感謝をこめて。

平成28年9月サントリーニ島にてジェトロ認定貿易アドバイザー大須賀祐

参考文献『初めてでもよくわかる輸入ビジネスの始め方・儲け方』『初めてでもよくわかる輸出ビジネスの始め方・儲け方』共に(大須賀祐日本実業出版社)『おもしろいほどよくわかる貿易ビジネスの基本と常識』(大須賀祐PHP研究所)『輸入ビジネス儲けの法則』(大須賀祐現代書林)『図解これ1冊でぜんぶわかる!貿易実務』(大須賀祐あさ出版)『よくわかる貿易実務入門』(片山立志日本能率協会マネジメントセンター)『はじめての人の貿易入門塾』(黒岩章かんき出版)『貿易・為替の基本』(山田晃久日本経済新聞社)『マクロミクロ貿易取引』(山田晃久学文社)『輸出・輸入手続き実務事典』(山田晃久日本実業出版社)『貿易の実務』(石田貞夫日本経済新聞社)『新貿易取引』(石田貞夫・中村那詮有斐閣)『「貿易実務」の基本が身につく本』(井上洋かんき出版)『やさしくわかる貿易事務のしごと』(井上洋日本実業出版社)『入門の入門貿易のしくみ』(梶原昭次日本実業出版社)『90分でわかる外国為替の仕組み』(片山立志かんき出版)『実践貿易実務』(神田善弘ジェトロ)『基本貿易実務(五訂版)』(来住哲二同文館出版)『ICC荷為替信用状に関する統一規則および慣例(一九九三年改訂版)』(国際商業会議所日本国内委員会)『儲かる海外商品の見つけ方・売り方AtoZ』(ミプロアスキー)『国際ビジネスを成功させるために』(佐々木紘一文芸社)『やさしい商品輸入ビジネス入門』(佐野光質南雲堂フェニックス)『洋上三万マイル浪漫大航海』(大須賀英夫歴史春秋出版社)『最新輸入ビジネス』(ジェトロ編世界経済情報サービス)『実践国際ビジネス教本』(ジェトロ編世界経済情報サービス)『輸入ビジネス教本』(ジェトロ編世界経済情報サービス)『輸出入・シッピング実務事典』(高内公満日本実業出版社)『出る順通関士』(東京リーガルマインド)『貿易為替用語辞典』(東京リサーチインターナショナル編日本経済新聞社)『最新貿易ビジネス』(中野宏一白桃書房)『貿易マーケティング・チャネル論』(中野宏一白桃書房)『貿易業務論(第9版)』(中村弘・田口尚志東洋経済新報社)『図解円安・円高のことが面白いほどわかる本』(西野武彦中経出版)『関税六法』(日本関税協会)『国際法務の常識』(長谷川俊明講談社)『最新貿易実務(増補版)』(浜谷源蔵同文館出版)『国際マーケティング』(堀出一郎中央経済社)『外航貨物海上保険案内』(三井住友海上火災保険)『小口輸入Q&A』(ミプロ)『貿易実務と外国為替がわかる事典』(三宅輝幸日本実業出版社)『入門輸出入の実務手びき』(宮下忠雄日本実業出版社)『やさしい貿易実務』(森井清日本実業出版社)『貿易・為替用語の意味がわかる辞典』(森井清日本実業出版社)『貿易と国際法』(森井清同文館出版)『わかりやすい貿易取引の手引』(山口敏治中央経済社)『英文契約書の書き方』(山本孝夫日本経済新聞社)『入門外国為替の実務事典』(弓場勉日本実業出版社)『国際契約の手引』(大須常利・淵本康方編日本経済新聞社)『貿易実務がわかる本』(吉野議高編日本能率協会マネジメントセンター)『国際取引契約』(浅田福一東京布井出版)『ベーシック貿易取引』(小林晃・赤堀勝彦経済法令研究会)『最新英文ビジネス・ライティング』(橋本光憲中央経済社)『英文ビジネスレター事典』(橋本光憲監修三省堂)『外国為替用語小辞典』(山田晃久・三宅輝幸編著経済法令研究会)『入門貿易英語』(中村弘東洋経済新報社)『貿易業務論(改訂版)』(中村弘東洋経済新報社)『貿易取引入門』(新堀聡日本経済新聞社)『法律英語のカギ』(長谷川俊明東京布井出版)『英文契約書作成のキーポイント』(中村秀雄商事法務研究会)『すぐできて儲かる輸入ビジネス』(ミプロ編かんき出版)『図解で入門!よくわかる貿易の実務』(木村雅晴PHP研究所)『日本一やさしい貿易実務の学校』(木村雅晴ナツメ社)『キチンとわかる!貿易のしくみ』(村上賢司TAC出版)

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