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CHAPTER01〝理性の脳〟と〝衝動の脳〟

目次

本書に登場する18のキーワード

(1)クローズ・リスト

仕事は「ここまで!」と制限するラインが引かれたリスト。一度クローズしたら、基本的にリストに新しい仕事の追加はできない。[3章]

(2)オープン・リスト

「ここまで!」という制限を示すラインのない仕事のリスト。いくらでも仕事の追加ができる。[3章]

(3)チェック・リスト

ある仕事の作業工程や手順、やるべきチェック項目を並べたリスト。いくら項目が増えても、仕事そのものは増えることがない。クローズ・リストの典型。[8章]

(4)コミットメント

「私はこの仕事に集中する」「この仕事を引き受ける」と自分自身と周囲に宣言すること。一人の時間と能力には限りがあり、コミットできる仕事にも限界がある。無条件に新しい仕事を引き受ける人は、この点で問題がある。[3章]

(5)本当の仕事

計画を目指すところに前進させる根幹となる仕事。事業においては利益の源泉となる。綿密な計画と入念な思考を要するチャレンジングな仕事でもある。[6章]

(6)忙しいだけの仕事

レベルの高い計画や思考が不要な〝作業的な〟仕事。

「本当の仕事」に取り組まない言い訳にもなる。

「本当の仕事」と「忙しいだけの仕事」の区別は、経験や立場によって異なる。[6章]

(7)バッファー・ゾーン

仕事とは心理的距離を取る必要があり、バッファー・ゾーンはその距離のことを指している。これがあると新しい仕事に反射的に反応せず、緊急度を判断し、どのように取り組むかなど、適切な判断をした上で取り組むことができる。[7章]

(8)マニャーナの法則

「新しい仕事は明日やる」を基本にする仕事術。1日に発生する仕事を集めて類別し、翌日にまとめて処理する。こうすることで1日のバッファー・ゾーンを設けて仕事をする結果となる。マニャーナはスペイン語で「明日」の意味。[9章]

(9)タスク

仕事の単位。手間のかかるタスクは、さらに小さなタスクに細分化して管理するとよい。[9章]

(10)プロジェクト

「複数のタスクの集合体」のこと。タスクがさらに細分化できるなら、元のタスクはプロジェクトとなる。

ある仕事をタスクとするか、プロジェクトとするかに一定の基準はないが、1回の取り組みで完了するものをタスクとするのが一般的。[9章]

(11)タスク・ダイアリー

タスクを管理するための1日1ページ形式の日記帳。タスクは、ここに書きとめることで、仕事の単位としての実体を持つことになる。新しく発生したタスクは、翌日のページに書き込むのが基本。こうすることでタスク・ダイアリーはバッファー・ゾーンとして機能する。[9章]

(12)デイリー・タスク

毎日必ず欠かさず(あるいは週に何度か)する仕事。頻出する仕事をその都度タスク・ダイアリーに記入する必要度は低い。毎日(もしくは定期的に)する仕事はデイリー・タスクとして、別にリストアップするとよい。[10章]

(13)ファースト・タスク

今、最も進めたい仕事を1つ選び「毎日の最初の仕事」として必ず手がけることにする。自身や組織の成長のための自主的な仕事を選ぶとよい。仕事の遅れ・やり残しに活用するのも有効。[11章]

(14)TODOリスト

するつもりの仕事すべてが網羅されたリスト。オープン・リストの典型である。仕事をしながら新たな仕事が追加できるため、際限なく拡大する可能性がある。[12章]

(15)WILLDOリスト

すると決めた仕事のリスト。その日(もしくは翌日)にするとコミットした仕事だけが記載されるクローズ・リストとなる。1日に取り組む仕事に制限を設けることで、仕事量とコミットメントのバランスを取ることができる。[12章]

(16)ダッシュ法短時間(5分から最長40分)

ダッシュするように、休みなく集中して働く方法。ダッシュ時間の増減の方法や、複数の仕事への取り組み方によってバリエーションがある。仕事の先送りを防ぐ方法としても有効。[14章]

(17)期限の効果

仕事の期限となる終了時間を明確にし、制限のある状況で働くことで、集中力を高め、仕事の効率を向上させる効果のこと。仕事の効率は、特に期限終了の直前に高まる。[14章]

(18)ラベリング

浮かんでくる考えや、思いに名前(ラベル)をつけ、それを口に出して意識すること。意識された考えや思いは、ラベルという実体を持つことになるのでコントロールしやすくなる。[17章]

訳者まえがき私が本書に巡りあったのは、ホンダ(本田技研工業)の社員として英国に駐在していた時期でした。

当時の私は〝今が人生で一番多忙だ〟と感じていたような気がします。

会社の仕事もたっぷりありましたが、それに加えて、仕事について考えるために関連書籍を読みふけったり、論文にして投稿したり、講演をしたりと、仕事を拡げていた時期で〝仕事を抱えすぎ〟ていたのかもしれません。

「副業などせずに、本業に専念しろ」と揶揄する人もいましたが、本来、仕事を突きつめようとすれば、目先の仕事以外にも広く目を向けることが大切です。

企業内での経験値だけを元にした議論をくり返すばかりでは、競争相手に勝てる戦略を作ることはできないでしょう。

そんな時期に、ロンドンの街角の書店で出会ったのが本書です。本書は、私の問いにしっかりと答えてくれました。

「どう答えてくれたか」については、本書をお読みいただければおわかりいただけると思いますが、私は著者のマーク・フォースター氏に、大きな恩を感じています。

そこで私は、日本で同じような課題にぶつかっているであろうビジネスパーソンに本書を紹介し、より豊かな人生の一助にしてもらいたいと考えました。

これが(さらに仕事を抱えることになると思いつつも)本書の翻訳を手がけた動機です。

初めての邦訳版『マニャーナの法則』は2007年に刊行となり、期待以上の反響をいただきました。

特にネット系のビジネスをされている方、独立してビジネスをされている方からの反響は大きく、人気ブログ「シゴタノ!」を主宰される佐々木正悟氏からは、「最高のタイム・マネジメントの書」との賛辞をいただきました。

その『マニャーナの法則』をより幅広く活用していただけるように増補・改訂をしたものがこの『仕事に追われない仕事術』です。

原著者のタイム・マネジメントに関する考えを加筆し、いわばマーク・フォースター式仕事術の全容が理解できる「マニャーナの法則完全版」という形に仕立ててあります。

この本には「マニャーナの法則」「ダッシュ法」「ファースト・タスク」を始めとする取り組んだその日からとてつもない効果を実感できるテクニックがいくつも出てきます。

それにも増して興味を惹くのが「〝忙しいだけの仕事〟を捨てて、チャレンジングな〝本当の仕事〟に集中せよ」という仕事の本質に触れた部分です。

著者が言う〝本当の仕事〟こそがあなた自身とあなたのビジネスを成長に導くものであるからです。この本は、私自身の仕事に大きな影響を与えてくれた、心から良書と思える一冊。読者の皆さんの一助になることを、原著者と共に祈る次第です。

青木高夫(訳者)

はじめに

仕事術やタイム・マネジメントの本を読んで、そこに紹介されている手法をやってみたものの、思いどおりの効果が得られなかったという経験はありませんか?

  • ●TODOリストにやることを書き出す
  • ●仕事に優先順位をつける
  • ●スケジュール表を作る

どれも、仕事術やタイム・マネジメントの本でよく紹介されており、ビジネスパーソンのタイム・マネジメントには必須の方法とされています。実際、こうした手法に取り組んでいる方は多いでしょう。

しかし、試してみたものの「こんなこと、僕には無理だ」「私には合わない」などと、結局は続かなかった方も多いのではないでしょうか。こうなってしまうと、せっかくのチャレンジも自己嫌悪が残るだけの結果に終わってしまいます。

実は私も、かつて何度もそんな経験をしました。私は、タイム・マネジメントが苦手で〝仕事術の達人〟にはほど遠い人間だったのです。

そして私は「そもそも仕事術や時間管理が得意な人がやっている方法は(そうしたことが苦手な私には)役に立たない」と考えるようになりました。そこで私は、まずは従来の手法の分析に取り組みました。

そして、タイム・マネジメントや仕事術が苦手な人でも実行できるテクニックを開発し、提案してきました。私の方法に取り組んでいただいた方からは、大きな反響がありました。

しかし、社会全体として見れば、まだまだ効果も微々たるものというのが実情かもしれません。最近、あるジャーナリストから、いくつかの質問を受けました。

「いつも時間に追われている。どうしたら、この状態から逃れられるのか?」「早食いのクセが治らない。ゆっくり食事を楽しむには、どうすればいいのか?」「複数の仕事を並行して進める日々が続いている。一事に集中する方法はないか?」「家族と過ごす時間が少なく、罪の意識を感じる。どうしたらよいだろう?」「エクササイズの時間が取れない。どうすれば時間が作れるだろう?」「休みを取る時間がない。仕事のしすぎだろうか?」

 

なぜ、こうした悩みが尽きないのかといえば「結局は、時間が足りないことが原因だ」と彼は言います。

しかし、本当に「時間が足りない」のでしょうか?答えを言ってしまえば、それは間違いです。私たちは時間を媒介として存在しています。つまり「時間が足りない」と嘆くのは、魚が「水が足りない」と言うようなものなのです。

このジャーナリストからの質問で、私はあることに気づきました。

彼の質問はどれも、しごく当たり前な日常生活のルールの裏返しになっているということです。

●慌てないこと

  • ●ゆっくり食事をすること
  • ●1つのことに集中すること
  • ●家族と過ごす時間を充分に取ること
  • ●日々、適度な運動をすること
  • ●きちんと休みを取ること

なぜジャーナリストは、これほど当たり前とされることについて、切実な質問をしなければならなかったのでしょうか?考えてみましょう。あなた自身のことを振り返ってみてください。

あなたが、去年、新たに取り組むと決意したことで、今も続けていることがありますか?新しい取り組みに成功して、今も続けていることがあるなら、大したものです。たいていの人は「思いどおりにはいかなかった」となるのが実情だからです。

例えば「今日からは、ゆっくり食事を楽しむ」という決心は、簡単なことのように思えますが、実行には努力が必要です。

だから、新しいルールに取り組んでいるうちに〝例外〟を作ってしまい、そのうち例外の方が普通になってしまいます。

つまり、人が「自分をコントロールする能力」というのは、相当に限定されたものなのです。それをここで証明してみましょう。

目の前に鏡を置いて、あなた自身に次の質問をしてみてください。

「私は、望みどおりの健康状態を保っているだろうか?」「私は、望みどおりの体型を保っているだろうか?」「私は、望みどおりの体重を維持しているだろうか?」「私は、望みどおりの服装をしているだろうか?」次に、あなたの周囲を見回してください。

オフィスや自室の状態はどうでしょうか?「部屋は、望みどおりに片づいているだろうか?」「文房具などは、望みどおりの場所に置かれているだろうか?」どれも、周囲の人からの影響が少なく、あなた自身が最もコントールしやすい限定された部分についての質問です。

もしも、この部分も望みどおりでないのなら、あなたの生活全体でさえ、コントロールできているとは言えない状況でしょう。

なぜこうなってしまうのでしょうか?原因は、私たちの脳の仕組みにあります。ある有益な指針が与えられれば、人はそれに従って行動できるというのは幻想です。

先ほどの質問からも、それはすぐにわかります。さて、序文はここまでにして、最後に本書の構成をご紹介しておきましょう。

本書は、大きく3部構成となっています。

第1部(1~7章)では「タイム・マネジメントの基本的な考え方」を説明します。

第2部(8~12章)では、本書の軸となる「マニャーナの法則」「WILLDOリスト」を中心に、役立つ新しいアイデアを紹介します。

第3部(13~17章)は、「ダッシュ法」など、さらに発展させたアイデアを紹介してあなたの仕事とタイム・マネジメントのシステムを完成させます。

先ほどの自分自身への質問にすべて「YES」と答えられたなら、あなたは本書を読む必要はありません。

しかし、1つでも「NO」があるなら、ぜひ本書をお読みください。「今回もまたダメだろう」ですって?そんなことはありません。多くの仕事術やタイム・マネジメントの本を読んでも、結局ダメだった私にもできたのですから。今度こそ、あなたは仕事に追われる日々に永遠の別れを告げることができるはずです。

マーク・フォースター

CHAPTER01〝〟〝〟人には2つの脳がある!?〝理性の脳〟より優位に立つ〝衝動の脳〟自分自身をダマして抵抗を取り除く目標達成の鍵は〝衝動の脳〟のコントロールにあるEXERCISE〝衝動の脳〟と〝理性の脳〟を見極めるCHAPTER01まとめ

第1部タイム・マネジメントの基本的考え方

CHAPTER01〝〟〝〟

具体的な方法についてお話しする前に、この章では、人間の脳について説明します。「なぜ脳の話?」と思ったあなた。それももっともです。

しかし、あなたが仕事に追われるのはあなたの脳に原因があります。ですから、まずは脳の仕組みを知ることがベストな順番なのです。

人には2つの脳がある!?科学的に厳密な表現ではありませんが、人間には〝理性の脳〟と〝衝動の脳〟という2つの脳があります。

仮に、人の体を1つの国と考えるなら〝理性の脳〟とは政府です。体全体を動かす計画や規則を作っています。

人生設計、生活改善、適度な運動、健康的な食事……こうした計画を立て、実行を指示するのが〝理性の脳〟の働きです。

この〝理性の脳〟と対立するのが〝衝動の脳〟です。

〝衝動の脳〟とは、晴れた日に石の上でひなたぼっこをするトカゲと同じで、ヘビの気配を感じれば、一目散に石の下に隠れるし、おいしそうな虫を見つければ、飛びついて捕食します。

〝衝動の脳〟は考える脳ではありません。本能に従って、直感的・反射的に反応するのみです。仮に〝理性の脳〟が作った計画があったとしても〝衝動の脳〟は、そんなものは考慮しません。

〝衝動の脳〟にとって問題なのは「危険かどうか?」ただそれだけです。ただし、〝衝動の脳〟の機能も、人間の生存には欠かせないものです。

例えば、クルマの前に飛び出した子どもを避けるのに〝理性の脳〟では間に合いません。こうした緊急時には、反射的ですばやい行動が必要だからです。

しかし、何かを決断したり、計画を立てる場面となると〝理性の脳〟の独壇場です。もし、すべてを〝衝動の脳〟に任せたら、目先の出来事に振り回されるだけで1日が終わります。

問題解決や目標について、考えることはできないでしょう。〝理性の脳〟より優位に立つ〝衝動の脳〟〝理性の脳〟と〝衝動の脳〟、この2つの脳の間に葛藤が起きたら、どちらが勝つでしょうか。

勝つのは〝衝動の脳〟です。

あなたが「毎日、運動をする」という計画を作ったとします。これは〝理性の脳〟の計画です。

現実には、寒い日もあれば、雨の日もありますから、そんな日に〝衝動の脳〟が「嫌だな」「今日だけはやめておこう」となると〝理性の脳〟に活躍の場はありません。

あるいは、ダイエットをすることを考えてみましょう。体重を減らすために、何を食べるべきかは〝理性の脳〟が計画します。

しかし、目の前にチョコレートが登場すると、〝衝動の脳〟が〝理性の脳〟の計画をうち壊すのです。昆虫に飛びつくトカゲと変わりありません。

〝衝動の脳〟がそれほど強力なのに、〝理性の脳〟が計画したダイエットを成功させる人がいるのは不思議だと思いませんか?〝衝動の脳〟の方が〝理性の脳〟より強いと言っても百戦百勝ではないのです。

〝理性の脳〟には〝衝動の脳〟をコントロールする力があるからです。つまり、計画の達成やダイエットの成功は、〝理性の脳〟の活躍にかかっているのです。

自分自身をダマして抵抗を取り除く「計画を達成するのは意志の力である」美しい言葉ですが、現実にはほど遠い言葉でもあります。

意志の力はそれほど強くありません。現実の〝成功の鍵〟は、実際の行動を支えるシステムがあるかないかにかかっています。

計画を実現する、すなわち〝理性の脳〟を活躍させるには、まずは自分自身を上手にダマして〝衝動の脳〟の反射的な抵抗感を抑える必要があります。

新しい仕事に取りかかろうとする時、抵抗を感じ、先送りしようと思ってしまうのは〝衝動の脳〟が新しい仕事を脅威と感じるからです。

〝理性の脳〟が〝衝動の脳〟に、その仕事の必要性を説明したとしても〝衝動の脳〟が仕事を嫌がる限り、ブレーキは踏まれたままです。一番簡単な方法は「この仕事は怖くない!」と自分自身をダマすことです。

あまり賢いとは言えない〝衝動の脳〟は、この〝理性の脳〟のたくらみには気づきません。もう少しかみくだいて説明しましょう。

レポートを書かなければならないのに「どうしてもその気になれない」という場合を想像してみてください。そんな時は、まず「今すぐ、レポートを書くわけじゃない」と考えてみましょう。

抵抗を感じている「レポートを書くこと」を〝衝動の脳〟の目の前から隠すのです。

そして、レポートを書くための第1ステップ、例えば「書棚からファイルを出すことだけやろう」と考えてみてください。

これなら〝衝動の脳〟が抱える抵抗感は消えるはずです。ファイルを出すだけなら〝衝動の脳〟が脅威を感じることではないからです。

しかも、机の上にファイルを準備してしまえば「レポートを書くこと」への抵抗が少なくなります。むしろ気になって「ちょっとだけ書いておきたいな」などと思うかもしれません。

つまり、大切なのは2つの脳を対立させないことです。〝衝動の脳〟の反射的な反応を抑えれば、計画は実現しやすくなるのです。

目標達成の鍵は〝衝動の脳〟のコントロールにあるここでもう一度、〝衝動の脳〟と〝理性の脳〟の働きをまとめておきましょう。

衝動の脳:「刺激」→「反応」(衝動の連鎖)

理性の脳:「思考」→「決断」→「行動」(理性の連鎖)

目標達成に向けた行動計画を作成し、それを理想的な形で実行するという〝理性の脳〟主導の〝理性の連鎖〟が自然にできるなら理想的です。

しかし、実際のところは〝衝動の脳〟をコントロールできる人はなかなかいません。そこで〝理性の脳〟を優位に動かすためのコントロール・システムが必要になってくるのです。このシステムが作れなければ、〝衝動の脳〟が常に優位に立ったままです。

〝理性の脳〟でどんな立派な計画を立てたとしても、想定外の出来事が起きれば〝衝動の脳〟が動き出して、たちまち計画は破壊されてしまうことになります。

突然の1本の電話、上司や家族からの頼まれごと……、こんなほんの些細なことでも〝理性の脳〟にとっては脅威です。

予定外の出来事が起きれば、すぐに事態が緊迫し、計画は崩壊します。その結果、「計画など立ててもしょうがない」と考える人が増えてしまうのです。

〝衝動の脳〟をコントロールするシステムとはどのようなものなのか、これは次の章でお話ししましょう。

EXERCISE〝〟〝〟

次に挙げる状況は〝衝動の脳〟と〝理性の脳〟のどちらが優位な状況でしょうか。考えてみましょう。

<Q1>クライアントとの打ち合わせを終えてオフィスに戻った。

パソコンを開くと、外出中にメールがたくさん届いていたので、メールを読み始めた。すぐに答えられるメールには返信して、その他は後で考えることにした。

<A1>典型的な〝衝動の脳〟優位な仕事の仕方です。まず、着信メールが目に入った途端、読み始めるという反応をしています。未返信のメールについても「いつ、どうするか」を決めずに、ただ先送りにしました。これでは、気がかりな手つかずの仕事がたまるばかりでしょう。

<Q2>クライアントから電話があって、ある情報を求められた。すぐに調べて連絡すると約束して電話を切り、調査に取りかかった。

<A2>〝衝動の脳〟優位な仕事の仕方です。

まず、クライアントからの依頼に反応して、進行中の仕事を無条件に中断しています。クライアントからの依頼がどれほど緊急なのかも検討されていません。

<Q3>あなたは靴屋の店員をしている。

来店したお客さまが「何足か試してみたい」とのことなので、すぐにこのお客さまについてサービスすることにした。

<A3>〝理性の脳〟優位な仕事の仕方です。

小売店のシステムは、来店客の要望に即座に応じるように設計されているはずです。ですから、これは計画や方針に沿った行動です。〝衝動の脳〟に左右されたわけではありません。

<Q4>友達からメールが届いた。

読んでみると「メチャクチャ面白いウェブサイトを見つけた」とのこと。早速、リンクをクリックしてそのウェブサイトをチェックした。

<A4>〝衝動の脳〟に動かされています。

まず第一に、メールが届くたびにすぐに開いて読む必要があるでしょうか。読むにしても、すぐにおすすめの「面白いサイト」を見る必要があるでしょうか。仕事に飽きていたので、目先の刺激に飛びついただけでしょう。

<Q5>アシスタントが手紙を持ってきて差出人のサインを書いてほしいと言う。すぐ投函できるように、その場でサインをした。

<A5>〝理性の脳〟優位な仕事の仕方です。これも組織の計画や方針に沿った行動です。

<Q6>突然、上司がやってきて、書類の束をドスンと机の上に置き「今日中に仕上げるように」と指示された。

すでに、今日中にやり切れない仕事を抱えている。パニック状態だ。

<A6>あなたも上司も〝衝動の脳〟に振り回されています。おそらく、上司も仕事がたまってパニック状態なのでしょう。あなたも急な仕事に冷静に対応できず、パニック状態です。

<Q7>あなたは消防士だ。緊急通報で、チーム全員が出動した。

<A7>〝理性の脳〟優位な仕事の仕方です。消防署こそ、緊急事態への対応がシステムとして計画され、機能的に対応される場所です。

<Q8>休暇が終わって、パソコンをチェック。休暇中に800通のメールが着信していた。8時間かけてメールを整理した。

<A8>〝理性の脳〟優位な仕事の仕方です。

Q1の場合とは対照的な反応と言えます。その場しのぎの対応をしたのではなく、メールをその日のうちに残さず処理することに決めて、計画的な行動をしています。

CHAPTER01まとめ

●人間には2つの対立する脳、〝理性の脳〟と〝衝動の脳〟が備わっている。

●計画の達成は〝理性の脳〟の活躍にかかっている。〝理性の脳〟が〝衝動の脳〟の持つ反射的な抵抗感を抑えることができれば理想的だ。

●基本的には〝理性の脳〟よりも〝衝動の脳〟が優位に立っているため〝理性の脳〟を優位に動かすためのコントロール・システムが必要である。

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