はじめに
リード・ザ・ジブン?なんですか、それ?『リード・ザ・ジブン』という本書のタイトルを見て、「なんじゃそれは?」と思われた方は多いのではないでしょうか。
リード・ザ・ジブンの原型は、全人格リーダーシップ育成機関ISL(InstituteforStrategicLeadership)のファウンダーであり、日本におけるリーダーシップ教育に大きな変革を起こした野田智義さんの「リード・ザ・セルフ」です。
筆者は40歳のときにボストンコンサルティンググループ(BCG)のパートナー向けリーダーシップ研修で野田さんのリード・ザ・セルフと出会い、脳天をガツンとやられました。
自分が人生で一体何を実現したいのかという志がないまま、目先のことだけにとらわれている自分に気づきました。
リーダーシップの根源は自分が一体何を成し遂げたいのかというリード・ザ・セルフ(志)にあり、それに周囲が共感してリード・ザ・チームになり、ひいては世の中に大きなインパクトをもたらすリード・ザ・ソサエティになるということを学びました。
くわしくは野田さんの著書『リーダーシップの旅』(金井壽宏氏との共著、光文社新書)を読んでみてください。
マザー・テレサが1946年36歳のときに、休暇のため避暑地であるダージリンに向かう汽車に乗っている最中、「すべてを捨て、もっとも貧しい人の間で働くように」という啓示を受けた話や、松下幸之助翁が1932年(昭和7年)37歳で、ある宗教団体の見学を契機に「命知」し、水道哲学が生まれた話は有名ですが、筆者にとっては野田さんのリード・ザ・セルフが天啓でした(一緒にするなとお叱りを受けそうですが)。
それくらいの衝撃でした。
「リード・ザ・ジブン」は、この筆者の人生の大きな転機となった野田さんの「リード・ザ・セルフ」を起点にしながら、筆者がBCGでの組織プラクティスの責任者、ファーストリテイリング(ユニクロ)での人材育成機関FRMIC(FastRetailingManagementandInnovationCenter)担当役員、アクセンチュアでの人材・組織変革プラクティスのジャパン全体の責任者等の経験を経て、試行錯誤を重ねながら磨き上げてきた手法です。
〝過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる〟、つまり、自分を向上させ、かつ、周囲、チームをも向上させることを目的にした人と組織の変革手法なのです。
ビジネスで大きな成果を出し、いつ死んでも悔いはないと思えるほどの充実した豊かな人生を送るための根っこだと筆者は信じています。
過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる「リード・ザ・ジブン」の出発点は、自分自身が一体何をやりたい人間なのかを深く内省・洞察し、「志」として結晶化することから始まります。
そして、各個人の「志」を会社の目指している「ありたい姿」とシンクロさせ自分の仕事に意味づけをします。それを〝自分事化〟と呼びます。
〝自分事化〟できると、誰かにいわれるのではなく、自分の思いをベースにどんどん行動を起こすことのできる〝自律自走人材〟に脱皮できます。
脱皮を繰り返すことにより〝過去最高の自分〟に進化し続けることができます。そして「志」を仲間と共有し、互いの志に共鳴しながら「同志」のチームとしての切磋琢磨を通じて、「仲間を育て」ます。
人間は気恥ずかしいものを共有すると心理的な絆が強まります。普段飲みに行っても話さないような青臭い、気恥ずかしい「志」を互いに共有し、チームとしての絆をつくります。
さらにそれをチームとしての「志」に昇華させることにより、ラグビーワールドカップの日本代表チームのような、阿吽の呼吸で、状況変化に臨機応変に対応しながら全員で攻撃ができる、予測不可能なものが多い時代に勝ち残れる〝最強チーム〟をつくることができるようになります。
日本企業がグローバルで再び輝くための鍵ここまで読まれた方は、「それはわかったけど、自分の「志」をはっきりさせるなんて当たり前のことじゃない?」と思われるかもしれません。
しかし、実は日本において、それはまったく当たり前のことではありません。
皆さんの周囲の人に「あなたの志は一体なんですか?」と聞いて、きちんと答えられる人が何人いるでしょうか?あなた自身は答えられるでしょうか?日本固有の雇用慣行・人事制度を背景に、社員個人と会社の特異な相互依存関係が日本には存在しており(くわしくは後述します)、〝会社が主、社員個人は従〟で、社員個人の「志」は置き去りにされているというのが、日本企業(特に伝統的大企業)の現実なのです。
しかも、日本人は会社に対して忠誠心・愛着が高いと信じられていましたが、実はそうではないのです。
ギャラップ社が2011年から2012年に142カ国20万人を対象に行なった、会社と社員の関係性を測る「エンプロイーエンゲージメント」調査では、日本で「エンゲージしている(強い結びつきを感じている)」と答えた人の割合は、先進国中最も低いたった7%で、米国(30%)、オーストラリア(24%)、イギリス(17%)、ドイツ(15%)に比べて、かなり低い結果になっています。
筆者はこのデータを見たときに、衝撃を覚えました。会社と社員の関係を抜本的に見直すタイミングにきていると思います。このままではヤバいです。
欧米企業(中国・インドの企業もそうだと思いますが)においては、〝社員個人が主、会社は従〟というのが基本構造であり、自分のやりたいことをベースにキャリア・人生を組み立てていくことは当たり前の世界です。
しかし、欧米企業(中国・インド含む)は行きすぎた個人主義の罠に陥るリスクもあります。
この場合、チームの能力(社員個人の能力の総計)となってしまいます。
会社・チームに重きを置く特質をDNAとしてもっている日本人・日本企業は、リード・ザ・ジブンを通じて、個人が〝自律自走人材〟化した上で、チームとして欧米企業には真似のできない強い絆をつくり、チームの能力(社員個人の能力の総計)とすることができれば大きな強みになる可能性もあります。
リード・ザ・ジブンは、先に述べた通り、自分事化を通じて、日本固有の呪縛から〝自律自走人材〟として脱皮しながら、DNAとしてもつ組織・チームワークの強みに磨きをかけ、〝過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる〟ことを通じて、競争優位の源泉を生み出し、グローバル価値創出競争から取り残されている日本企業がグローバルに再び輝く鍵となると筆者は信じています。
日本の悲しい真実「幸福度指数は60代を超えて低位安定」
本書のもうひとつの思いは、筆者と同年代の日本の40代・50代にエールを送りたいということです。
大学同期のある友人と飲んでいたときにこんなぼやきを聞きました。
「入社以来、懸命に会社人生を突っ走ってきた。そこそこ成果は出したし、仕事も楽しんで、会社人生にそれなりに満足はしている。役員にはなれないことが40代半ばには見えてきたころからモヤモヤをずっと感じてきた。何か残尿感というかやり残したことがあるような気がする。まだこれから数十年残っている人生、もうひと花咲かせたい気がするが、会社を離れてどんな価値が自分にあるのかよくわからないし、一体自分が何をやりたいのか正直よくわからない。会社を辞めた後、家で粗大ごみ扱いされることだけは避けたい(笑)」
会社のために粉骨砕身で働いてきた企業戦士であればあるほど、こんなモヤモヤを抱えているのではないでしょうか?こんな40代・50代が会社人生の後半戦で、リード・ザ・ジブンを行なうことにより、自分の人生の目的・意味を再発見してもらいたいという思いも込めてこの本を書きました。
ここに私が「日本の悲しい真実」と呼んでいるデータがあります。欧米と日本の年齢別幸福度指数を比較した幸福曲線です。
欧米が30代後半から40代にかけてボトムを打ち、以降右肩上がりに幸福度指数が上昇していくのに比して、日本は右肩下がりで60代を超えると低位安定するという悲しいファクトのことです(図表0‐1)。
ちなみに、このデータではグラフの形を比較しやすいように、日本の幸福度を左目盛りに、欧米の幸福度を右目盛りにとっています。日本のほうが幸福度の絶対値は欧米よりはるかに低いことにも留意ください。
ちなみに国連がまとめた2019年版の世界幸福度ランキングでは、1位がフィンランドで、日本は58位。昨年の54位から後退しており、この悲しい幸福曲線を右肩上がりに変えることが肝ではないかと思っています。
欧米では、「歳をとるほど、争いごとが少なく、争いごとに対するよりよい解決法を出せる。感情をコントロールすることができ、怒りっぽくなくなる。死が近づくと、長期的なゴールを気にしなくてよくなり、今を生きることが上手になる」と考えられています。
逆に、日本では、都市化、過疎化、核家族化、少子化などによって、社会的孤独感は年々加速。
同時に、会社を退職後、「人に認められたい」という欲求が満たされる機会がほとんどなくなってしまっているため、このような真逆のL字型カーブになっていると考えられています。
要は、ポスト会社の人生におけるゴール・ビジョンがはっきりしない会社人間から脱皮しきれない人には悲しいL字型人生が待っているのです。
私の友人のように、多くの40代・50代は、会社に染まり切った自分はもう手遅れだと思われているかもしれません。
私は人生において「手遅れとか早すぎる」などということはないと信じています。
57歳で起業──志にフォーカスするために筆者は、40歳で野田智義さんに脳天をガツンとやられ、リード・ザ・ジブンをして、人材変革の領域に自分の志を定め、BCG、ファーストリテイリング、アクセンチュア等で人と組織の変革に取り組んできました。
そして57歳でさらにリード・ザ・ジブンをしてしまい、自分のやりたいこと・志にフォーカスし、組織としての制約を受けない環境に身を置きたいと思い起業を決意しました。
57歳のおじさんの無謀なジャーニー(志を達成する旅)です。
リード・ザ・ジブンということを読者が実践し、過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくり大きな成果を出すこと、そして壁にぶち当たる40代・50代が、もうひと花咲かせるためのヒントを少しでも得てもらえたらというのが本書の目的です。
そして、リード・ザ・ジブンの実践を通じて、日本企業に著しく欠落している予測不可能な環境への対応力を身につけ、世界で再び輝くための一助となればという思いで書きました。
浅田次郎さんは『蒼穹の昴』を書くために小説家になったといわれていましたが、私が起業した理由の半分くらいは、組織の制約を受けることなく自分の思いを込めた『リード・ザ・ジブン』を書くためです(大袈裟ですみません)。
本書が、ひとりでも多くの会社に染まり切った日本人ミドル、そして若者の心に火をつけ、「リード・ザ・ジブンしてみよう!」と具体的な行動を実践し、飛躍的な成果を出し、組織を離れたのちも社会に貢献し続け、幸福曲線を右肩上がりにするための土台となれば、筆者の望外の喜びです。
リード・ザ・ジブンユニクロで人材育成の責任者をやってみた。
──目次はじめにリード・ザ・ジブン?なんですか、それ?過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる日本企業がグローバルで再び輝くための鍵日本の悲しい真実「幸福度指数は60代を超えて低位安定」57歳で起業──志にフォーカスするために
第1章日本企業と日本人が直面している問題
このままではヤバい日本企業平成の始まりと終わりの比較
筆者は戦略コンサルティング業界に20年以上身を置いてきました。日本企業はこのままではヤバいと痛切に感じています。
何がヤバいかというと、VUCA(Volatility〈変動〉、Uncertainty〈不確実〉、Complexity〈複雑〉、Ambiguity〈曖昧〉の頭文字)といわれる予測不能で、ディスラプターがなぐり込みをかけてくる事業環境に対応できる力がグローバル競合に比べて極めて弱いことです。
平成から令和に入りましたが、平成の始まりと終わりの日本企業のグローバル時価総額ランキングの変化を見てみると愕然とします(図表1‐1)。
平成元年トップ10のうち7社が日本企業、トップ50では32社が日本企業でした。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』として日本企業がもてはやされた絶頂期です。NTTを筆頭に銀行、電力、電機メーカー等がランキングに名前を連ねています。一方、平成30年でトップ10には0社、トップ50に入っているのはトヨタ1社のみです。
グローバルのトップはアップルでアマゾンやフェイスブックなどのGAFAに代表される企業群や、アリババやテンセントなどの中国の新興企業群が上位に名前を連ねています。
もちろん平成元年というのは、株式バブル、不動産バブル、円高の3つが相まって日本企業の時価総額が瞬間最大風速的に高まった特異点だということは認識しておくべきですが、これは平成の始まりと終わりを比較した厳然たる事実です。
にもかかわらず、日本企業に大きな危機感は感じられません。足元の業績はそう悪くはなく、漸増的な利益成長は遂げているためです。過去の延長で漸増的バックミラー型経営(従来型の手法)を続けている日本企業は平成の30年間で世界の価値創出競争から置いてきぼりをくらいました。
令和に入ってもこのバックミラー型経営を続ける限り、その差はますます拡大し、企業としての存在自体も危うくなるリスクに正面から向き合うべきときに来ていると思います。
2つの本質的課題
VUCA/ディスラプションに対応していく上で日本企業は大きく2つの問題を抱えています。リーダーシップの問題と社員個人の問題です。
リーダーシップの問題──「ありたい姿」構想力と正しい課題設定力
バックミラー型経営の限界
VUCA=事業環境が予測不能というのは、これまでの過去の経験が無価値化することと同義です。
にもかかわらず、ファクト&ロジックで過去のデータと事例(顧客・競合・自社)を徹底的に分析して「正解」を導き出そうとする従来型の手法(バックミラー型経営)から脱し切れていない日本企業がまだどれだけ多いことか。
未来志向型経営とは「ありたい姿―現状=本質的課題」これから求められるのは、未来の「ありたい姿」を思いを込めて構想し、そこから現状を引き算し、何が本質的な課題なのかを再定義する未来志向型経営です。
予測不能なVUCA環境下であるがゆえ、目的地としての「ありたい姿」はより一層重要になります。
どんなに不安でも先が見えていなくても、何物が棲んでいるかわからない沼に足を踏み入れる勇気を社員がもてるほど、その目的地「ありたい姿」は、社員1人ひとりにとって意味のあるものであり、共感を得られるものでなくてはなりません。
「ありたい姿」を定めないと本質的課題は見えてこないまた、解くべき本質的課題というのは、「ありたい姿」を構想し、具体的に定義しないと見えてきません。
解くべきは目先の現状の延長線上の課題(カレント・プッシュ課題)ではなく、未来からの引き算で導き出される本質的課題(フューチャー・プル課題)でなければ意味がありません。
今現実に多くの日本企業で起こっていることは、「ありたい姿」の構想ができないまま、現状の延長線上の課題をせっせとファクト&ロジックで解いて、それを正解だと思い込み、大した成果が出ない、企業価値の向上につながらないという構造です。
解いている課題が間違っているのです。
リーダーシップの問題
これはリーダーシップの問題です(図表1‐2)。「ありたい姿」を構想する原点は、リーダーとしてこんな会社・組織にしたいというリーダーの志にあります。
しかもその「ありたい姿」は、社員が共感し、社員1人ひとりがやっている仕事に意味づけをし、鼓舞し、モチベーションを高めるものでなくてはなりません。それこそが強い組織・チームをつくるリーダーシップの原点なのです。
そして強いチームの引き起こす渦はさらに共感する人々を魅了し、巻き込み、社会を変え、大きな社会的価値を生み出します。ミレニアル世代の働き手としてのウェイトが増す中、この「ありたい姿」による意味づけの重要性は一層増しています。
2000年代に成人あるいは社会人になったミレニアル世代は、多くの調査で示されているように、この会社が世の中にどんないいことをしているのかを会社選択の基準やモチベーションのドライバーにしています。
前に述べたように全人格リーダーシップ育成を標榜するISL(InstituteforStrategicLeadership)のファウンダーの野田智義氏は、このリーダーシップの本質をリード・ザ・セルフ→リード・ザ・チーム→リード・ザ・ソサエティと呼んでいます。
社員個人の問題──自律性
生命体のように環境変化に順応できる組織が必要
VUCAに俊敏に対応していくためには、いわば生命体のような自律型の組織が必要です。
筆者は、アクセンチュア時代に部下とともに書いたハーバード・ビジネスレビュー・オンラインの論文『自己変容する組織:LivingOrganization~VUCA・デジタルディスラプションを勝ち抜く人材・組織の姿~』で、自律的に環境変化に適応しながら生命体のように自己変容する組織の必要性を提唱しましたが(図表1‐3)、日本企業はこの自律性という点において大きな課題を抱えています。
日本企業の特異性日本的な雇用・人事制度を背景にこれまで会社と社員の特異な関係が形成されてきました、すなわち、会社の論理が最優先で、社員はそれを所与のものとして、いかにそれを効率的に実現するかが評価のモノサシとされ、それに長けた人材が出世し、社員個々の志・思いは置き去りでした。
極端にいえば「滅私奉公」の見返りに社員は終身雇用というジョブ・セキュリティを手にするという相互依存関係が成り立つ、世界で見ても特異な構造になっています(図表1‐4)。
未来が予測できる右肩上がりの環境下ではこの関係性は日本企業の強みでしたが、VUCAで何が起こるかよくわからない環境になると、現場は経営が下ろしてくる課題を所与のものとして、まるでひな鳥のように受け取り「正解」を出そうとすること自体前述したように致命傷となる可能性があります。
市場に一番近い現場で、起こっている変化の兆しを察知し、正しい課題設定をし、どんどん解決をしていくことが必要なのです。
【コラム】AIとの協働スキルのグローバル比較
ここに日本人の会社依存の特異性を示唆する面白いデータがあります。
筆者がアクセンチュア時代に同僚のデジタル部門のマネジング・ディレクターと共同で記者発表した『雇用と働き方の未来』の2018年度日本版レポートの中のデータです(図表1‐5)。中国やインドも含むグローバル各国に比して、日本はどちらも極端に低い特異点にあります。
この背景には、AIが入ってきて自分はついていけなくてもなんとか会社は守ってくれるだろうという依存・甘えの構造があると筆者は解釈しています。
個人と会社の成長の同期化筆者は日本企業が自律性をもつ鍵は、「個人と会社の成長を同期化」させることにあると思っています。
言い換えれば、リーダーシップの問題として前述したように、会社としては、社員が共感を感じられる「ありたい姿」を提示し、個人サイドは、これまできちんと考えてこなかった自分自身の「志」を深く深く内省し、はっきりさせ、その「志」が会社の「ありたい姿」とどう関係しているのかを腹落ちさせることです。
これにより会社の目指す「ありたい姿」と自分自身の「志」がシンクロし、日々の自分がやっている仕事が、自分の「志」実現と会社の「ありたい姿」実現にどうつながっているのかを理解し意味づけすることができるようになるのです(図表1‐6)。
リーダーシップ問題としてだけ捉えては笛吹けど踊らずに終わる会社サイドで一方的にリーダーシップの問題として「ありたい姿」をつくり、押しつけたとしても、受け止める社員個人の琴線に触れないとそれは〝片想い〟に終わってしまいます。
社員個人の「志」をはっきりさせ、それを会社の「ありたい姿」のベクトルとシンクロさせてはじめて〝両想い〟・成長の同期化ができるのです。
多くの場合、これはリーダーシップの問題としてだけ捉えられ、社員個人の視点が欠落しているため、笛吹けど踊らずになっているのです。
自律自走人材
この同期化ができると心に火のついた〝自律自走人材〟が誕生します。
大きな方向性だけすり合わせれば、自分の頭で真剣に考え抜き、解くべき課題を正しく設定し、フットワークよくどんどん課題解決に邁進し大きな成果をあげる人材です。
時には「おいおいそこまでやるんかい。ちょっと待ってよ」とブレーキをかけないといけないくらいの頼もしい人材です。ハッピーサイクル〝自律自走人材〟はハッピーサイクルを回すことができます(図表1‐7)。
近年のポジティブ心理学の多くの調査により、人が成果を出すサイクルというのは、従来の「いわれたことを頑張ってやる」→「成果が出る」→「ハッピー」ではなく、「自分でやりたいことをやっている」→「ハッピー」→「成果が出る」が真実のサイクルだということが判明しています。
成果を出すハッピーサイクルを回していくためには、自分が一体何をやりたいのかという「志」がはっきりしていることが前提となります。
問題を解く根っこ=リード・ザ・ジブンここまでVUCAに対応していくため2つの問題、すなわち、リーダーシップの問題(ありたい姿構想力・正しい課題設定力)、社員個人の問題(自律性)の2つを打破するための根っこが、リード・ザ・ジブンなのです。
では、どうすればリード・ザ・ジブンできるのかについて第2章でリード・ザ・ジブン方程式としてお話しします
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