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Chapter5スタバで活きるリーダーシップ

目次

Chapter5スタバで活きるリーダーシップ

傾聴してこそ真のリーダー

理想のリーダーと聞くと、みなさんはどのような人物像をイメージするでしょうか。産業能率大学が、新入社員に理想の上司について毎年アンケートを取っています。

2014年の男性1位は俳優の堺雅人さん。テレビドラマ『半沢直樹』での、困難に立ち向かい、自分の信念を決して曲げない役柄が印象的だったからでしょう。

女性は、女優の天海祐希さんが5年連続でトップでした。天海さんも、テレビドラマやCMでは男勝りで潔く、リーダー的な役が多いような気がします。

理想的なリーダーは、いつも先頭切って大声を張り上げながら、「目標までもう少しだ、頑張れ!」とぐいぐい人を引っ張るようなタイプだと、私も考えていました。

しかし、実際に自分がストアマネージャー(店長)という立場になると、そういうタイプを目指すのはちょっと違うと思い至りました。

ストアマネージャーに着任した最初のお店での出来事です。

エスプレッソを作ったり、ミルクをスチームしたりするバーに立って作業をしようとすると、パートナーから、「目黒さんはそこに立たなくていいです」と言われました。

「え、なんで?」「いやあ、あの、いろいろ困りますし……ねえ?」「あ、そお?じゃ、お願いねっ」このような会話が交わされた記憶があります。

それは、それぞれのパートナーが自信を持って仕事をしている証しでもあるので、私としてはむしろ誇りに思ったぐらいです。

もちろん、ストアマネージャーになるために、いくつもの段階を経なければなりません。

それでも、すべてを完璧に行うのはムリでしょうし、私は入社して3カ月でストアマネージャーの任命を受けたため、実際できないことがかなりありました。

実に頼りないリーダーだったのです。ぐいぐい引っ張るタイプではなくても、周りから信頼されるリーダーは存在します。

それぞれにふさわしいリーダーシップを取ればいいのではないかと、私は思います。私は、みんなが話しかけやすい雰囲気を作るように心がけていました。

よく冗談も言っていましたし、「オレ、こういうのは苦手なんだよな~」と弱みもさらけ出しました。だからパートナーも、「目黒さんはやらなくていいですよ」と気軽に言えたのでしょう。

相手を認めて、人の話を傾聴し、けれども注意すべき点はしっかり注意する。そんな基本ができていれば、誰でもリーダーシップを取れるでしょう。

逆に、そういう基本ができていない人がリーダーになり、ぐいぐい人を引っ張ろうとしたら、周りはついて行けないでしょう。

相手の悪いところを指摘するのは簡単ですし、誰でもできます。けれども、人の話をよく聞くのは考えているより難しいものです。

話の途中で、「オレはこう思うんだけどさ」と自分の意見を述べ始める人は結構多いでしょう。これは傾聴にはなりません。

現在、あなたが周りの人と人間関係をうまく築けていないのなら、人の話を聞くところから始めてはいかがでしょうか。

女子サッカー日本代表、なでしこジャパンをワールドカップ優勝に導いた佐々木則夫監督は、選手を率いるにあたり、相手の話をじっくり聞くことを心がけたと言います。

そして、お互いの意見をきちんと重ねながら、伝えたいことは自分のすべてを動員してしっかり伝えたそうです。「しっかり伝えた」ということは、相手がよくのみ込めていないようなら、繰り返し何度も話したのでしょう。

相手が変わらないなら、変わるまで何度も諭したのではないかと思います。佐々木監督は、ミスコミュニケーションは話を聞く側に問題があるのではなく、伝える自分に問題があると考えているのではないでしょうか。

また、選手たちを成熟した人間、同じ目標を目指す仲間として尊敬し、平等に接するよう心がけたそうです。佐々木監督の考え方は、スターバックスのミッション(使命)やスタースキルに通じるものがあります。

これらは決して特別な技術ではありません。人に対する、当たり前の心配りでしょう。そんなごく当たり前のことを疎かにしない人が、真のリーダーではないかと思います。

この章では、私が出会ったリーダーのエピソードや、自分自身の経験を振り返りながら、リーダーに求められる行動や資質について考えたいと思います。

ぐいぐい引っ張るだけがリーダーではない

私がスターバックスで人事を担当していた時の話です。出店計画の変更により、それまでは新卒を100人前後採用していたのですが、その年は50人に縮小することになったのです。

その時採用した新卒は東日本地区が大半を占め、西日本地区の採用は10人足らずでした。小野さん(仮名)は関西組の1人でした。

小野さんは他の新卒に比べるとおとなしく、あまり目立たないタイプの女性なので、採用を決めたものの、「大丈夫かな、この子。頑張ってくれるといいな」と心配していました。

スターバックスでは、入社してから3年前後でストアマネージャーになります。3年が過ぎて小野さんの関西の同期は8人になり、他の同期は次々とストアマネージャーになっていきました。

ある日、小野さんからストアマネージャーに昇進したとの連絡が入りました。私が「おめでとう、いよいよだね」と声をかけると、「ハイ、頑張ります!」と小野さんは嬉しそうに答えていました。

それからなかなか会えずにいたのですが、数年後、何と小野さんは最優秀ストアマネージャーに選ばれたのです。

全国のスターバックスでナンバーワンということです。

私は「えっ、一体何が起きたんだろう!?」と心底驚きました。

小野さんと一緒に仕事をしたパートナーやディストリクトマネージャー(地区責任者)などに話を聞くと、「小野さんはいいですよ!細やかな気配りができるんです」と大絶賛です。

これは実際に働いている姿を見てみようと、大阪まで出かけました。私は初めてその店に行ったのですが、お店のレイアウトが決してよい条件ではないことに、また驚きました。お店に入ると、いきなり目の前に大きな柱があるのです。レジとカウンターバーは柱をぐるっと回ったところにあります。

さらに、その奥に客席があるので、入ってきたお客様は席があいているかどうか確認できません。レジにいるパートナーたちからも、お客様が入ってきたかどうかは見えませんでした。

ところが、私がドアを開けてお店に入るや否や、「こんにちは」「いらっしゃいませ」と声がかかったのです。「姿が見えないはずなのに……なぜ?」と面食らいました。

久しぶりに会った小野さんは、見違えるように表情は明るく活発になり、キラキラしたオーラが出ていました。そういうオーラが出ている人には、めったに出会えません。

リーダーとしての覚悟を持ち、責任を持って遂行していて、かつ仕事を心から楽しんでいる人だけに出るようなオーラです。小野さんは、私との再会をとても喜んでくれました。お店の雰囲気がとてもいいのは、肌で感じられます。

どのパートナーも表情は活き活きとしていて、見ていて気持ちよくなるぐらいテキパキと動いています。私はお店の隅で観察させてもらうことにしました。

やはり、お客様がドアを開けた途端、一斉に声がかかります。それも小野さんが率先して声を出しているようです。それで気づいたのですが、お店の前の通路を歩くお客様の姿を見て、ドアを開けるタイミングで声をかけていたのです。

普通ならレジの正面にドアがあるので、お客様が入ってきたらわかりますし、ドアの開く音で気づくでしょう。

この店はお客様の入ってくる姿は見えず、ドアを開ける音も空調や音楽で聞こえないことがあるので、その前の段階でお客様を察知しようと、常にお店の外に意識を張りめぐらせていたのでした。

「よくそんなことに気づいたなあ」と舌を巻く思いでした。そして、彼女は客席の様子もひじょうによく見ています。お客様が席を立つとすぐに、「ありがとうございます。こちらで片づけます」と歩み寄るのです。

そして笑顔で「お気をつけて」とお客様を見送る。その一連の動きは、機械的ではなく、「お客様に感動経験を!」と気負っている様子でもありません。

とても自然に行動しているのです。それも小野さんだけではなく、すべてのパートナーが同じように細かいところまで気を配っています。

小野さんからあれこれ命じられてそうなったわけではないでしょう。彼女の行動を見て、自然と周りが感化されていったのだと思います。

小野さんは、パートナーたちにフィードバックもきちんとしていました。それも、いいところを褒めるだけではなく、注意すべき点はしっかり伝えていました。

「あのおとなしかった小野さんがねえ」と行動を観察しながら、私は感動しっぱなしです。思わず、「ねえ、どうしてここまでできるようになったの?」と尋ねました。

すると小野さんは、次のような話をしてくれました。今までいろいろなお店で働いてきて、その店によってフィーリングが合う合わないという体験をしてきました。

その店の雰囲気になじめずに、周りのパートナーとうまくコミュニケーションを取れなかったこともあります。

そこで初めてストアマネージャーになった時、自分のお店のパートナーたちに、今までの自分の失敗談を包み隠さず話し、同時に自分がどういうお店にしたいのかを明確に伝えたのです、と。

「私も努力します。私の考える目標に協力してもらえるのなら、私もみなさんに協力を惜しみません。全力でサポートします」その言葉通り、小野さんはパートナーと一丸になって、お客様に感動経験を与えるようなお店作りを目指してきたのでしょう。

それがお客様にも伝わり、お店のファンも増えていったようなのです。入社したばかりのころの小野さんのことを思えば、その後どれぐらい努力を重ねてやってきたのか、私には想像も及びません。

思うようにいかないことも多かったでしょう。だからこそ、人一倍周りの人とのやりとりに気を配り、人が望んでいることを先回りして考えられるようになったのではないかと思います。

その店には、毎日来店するおじいさんがいるそうです。おそらく、毎日の散歩のついでにスターバックスに立ち寄るのが日課なのでしょう。

やがて小野さんは、そのおじいさんと世間話をするようになり、姿の見えない日は心配になるほどでした。最近そのおじいさんの誕生日を知り、お店のみんなでお祝いをしようという話になったそうです。

小野さんは「こんな手紙を渡そうと思って」と、その手作りの手紙を見せてくれました。

寄せ書き風に、「○○さん、お誕生日おめでとうございます。いつまでもお元気で!」「いつもお店でお待ちしてますね」といったメッセージが書いてあります。

「これは、そのおじいさん、喜ぶだろうなあ」と思いました。もし私がその近所に住んでいるお客様だったら、やはり毎日通いたくなるでしょう。

それぐらい、サードプレイスを実現しているお店でした。私が帰る時は、小野さんは姿が見えなくなるまでずっと手を振ってくれていました。

後日談として、誕生日にお店に来たおじいさんに、小野さんは手紙を渡したそうです。おじいさんは、それはもう大喜びをしたそうです。

スターバックスの「期待以上のサービスが感動を呼ぶ」という教え通り、感動経験を実現できたのです。それからしばらくして、そのおじいさんのご家族からお店に手紙が届きました。

「うちのおじいちゃんは、最近毎日楽しそうに出かけているので、家族でどこに行っているんだろうと不思議に思っていました。

誕生日に手紙をもらって帰ってきて、家族に嬉しそうに見せてくれたんです。これは何かと聞いたら、『駅前のスターバックスの子たちがくれたんだよ』と言われて、家族一同、驚きました。

あんなに嬉しそうなおじいちゃんを見たのは久しぶりです。お心遣い、本当にありがとうございました」そのようなことが書いてあったそうです。

このエピソードは、スターバックスでは伝説の1つになっています。リーダーはそれにふさわしい人がなるというよりも、リーダーになってから、リーダーらしくなっていくものではないか。小野さんを見ていて、私はそう感じました。

課題解決は原因の発見から

ここで、今までお話ししてきたことを覆すような実例もご紹介します。都内のあるお店でストアマネージャーになった時、そこは大きな課題を抱える店舗でした。

その課題とは、パートナー同士の関係性がひじょうに悪かったことです。

「スタバはパートナー同士の仲がいいんじゃないの?」と言われそうですが、何事にも例外はあります。そこは、私が初めてストアマネージャーを務めたお店でもあります。赴任する数日前、お店に様子を見に行くことにしました。

「どんなお店なんだろう」「もう閉店の時間だから、みんなでコーヒーでも飲んでくつろいでるかな」と期待しながらお店に入ったら、誰も挨拶をしてくれないのです。

レジで作業をしていた女の子はこちらを一瞥しただけで、ムスッとした表情で何も言いません。そこで私は彼女に、「来週からこの店に異動になる、ストアマネージャーの目黒って言います。

よろしくお願いしますね」と話しかけました。それでもニコリともせず、「あー、ちょっと待っててください」とバックヤードに引っ込んでいきました。

普通ならそこで、「あ、すみません、私○○と申します。よろしくお願いします」と挨拶をする場面でしょう。しばらくしてシフトスーパーバイザー(時間帯責任者)の人が出てくると、そこでようやくまともに挨拶を交わしました。

ところが、その人が他のパートナーに「みんな、今度のストアマネージャーの目黒さんだから」と紹介しても、「はあ」「どうも」と覇気があまり感じられません。

お店を出た時、正直私は「ここで働くの、大丈夫かなあ」と心配になりました。第一印象は最悪です。こんな課題店舗を新人ストアマネージャーの私に任せるなんて、と不安にもなっていました。

引き継ぎの時、前任のストアマネージャーに会いました。その方は新卒で入って数年目の若い女性で、早い段階でストアマネージャーになった人でした。

社会人としての経験が浅く、しかも彼女が配属された時から課題だったようで、相当苦労したようです。

「自分では、ちゃんと説明して納得してもらってから行動に移すというステップが、ちょっと弱かったかなと思うんです。説明が十分にできないと面倒になっちゃって、『私はストアマネージャーだから言うこと聞いて』って命令になってしまって。

だから、みんなは心を閉ざしちゃったのかもしれません」彼女なりに悩んでいたのはよくわかりました。

その店がどんな問題点を抱えているのか、あらかじめ聞いておきましたが、ストアマネージャーに着任してから、自分でもまず観察することにしました。お客様に対して挨拶をしない。

コーヒーを淹れるテクニックは高くても、無愛想にお客様に商品を渡している。平気で遅刻をするパートナーもいる。長く勤めている人は、経験が浅いパートナーをフォローしようとしない。

経験が浅いパートナーたちも、先輩パートナーを敬遠している……もはや「ないないづくし」で、スタースキルなどかけらもありません。

どこから直せばいいのか、と頭を抱える思いでした。私自身ストアマネージャーとしての経験もないのに、果たしてどうお店を立ち直らせればいいのでしょうか。

これがドラマなら、怒鳴り合い、ぶつかり合いながら互いに歩み寄っていくという展開になりますが、私はそこまでの熱血ではありません。

私は、ひたすら全員と対話する方法を選びました。ちょうど私が赴任した時期は、3カ月ごとの人事考課の時期でした。1人1人のパートナーと面談をしながら、できるだけ彼らの本音を聞き出そうとしました。

すると古参のパートナーが、「どうせ目黒さんも、今までのストアマネージャーとは違うことを言うんでしょ」と言ったのです。

その店はストアマネージャーを含め、社員が短期間で代わっていました。代わるたびに社員によって指示が違うので、アルバイトのパートナーたちは社員に対して不信感を抱いていたのです。

「僕たちはどれを信じていいかわからないんです。前のストアマネージャーにこうしろと言われてやっているのに、次のストアマネージャーが来ると『お前たち何やってるんだ』と言われるんです。

目黒さんも結局あれでしょ、前の人と違うことを言うんじゃないんですか」不満をぶつけられて、内心、「なるほど。原因はここにあったのか」と思いました。

しかし、パートナーが納得していないのにストアマネージャーとして何もしないわけにはいきません。

「前の人たちのやり方は私は知らないよ、一緒に仕事したことないし。もしかしたら今までとは違うことを言うかもしれない。そうだとしても、少なくともみんなと同じパートナーとして、目指しているゴールは同じはずだと思ってるよ」私はそう答えました。

古参のパートナーたちは、上司の指示を守っても認めてもらえないのでくすぶっていましたが、それでもコーヒーを淹れる仕事自体は楽しく思っているので、長く続けているのだとわかりました。

決して仕事への熱意を完全に失っているわけではないのです。

そこで私は、すべてのパートナーに対して、こう伝えました。

「この店の雰囲気は最悪だよ。仕事が楽しかったとしても、お客様が楽しくなければ、我々は目指しているところを実現していないことになるよね。

今のお店だとお客様に感動経験を与えられないし、潤いなんてないよ」自分たちも今のお店がいいとは思っていないので、みな黙り込んでいました。

「スターバックスが目指したいところってどこかわかってる?」そう尋ねると、「わかっています」とみな即答します。ミッションもわかっているし、コア・イデオロギー(基本理念)もわかっています、と。

「それじゃあ、今この店は、ミッションやコア・イデオロギーと合っているのかな」そう問いかけると、「うーん、まあ合ってないところもあるかな」と答えるのです。

「それじゃあ、どうすればいいと思う?」「自分が何をできると思う?」それぞれが自分なりの答えを見つけるまで、繰り返し問いかけました。

また、前のストアマネージャーの時に給料を下げられたのが納得できないパートナーもかなりいました。そこで、私はこう宣言しました。

「もし、みんながこの3カ月間で決められたことをちゃんとやるのなら、下がった時給を元に戻すから。きちんと結果を出したのなら、給料を下げたりしないから」本当は、こういう場面で給料の話を出すのはかなりリスクが高いので、避けるべきでしょう。

しかし、そこまで不満が爆発寸前になっているなら、しっかり約束をして、お互いにそれを守ることに注力しなければ、信頼を得られないと判断したのです。

ただし、「コーヒーを淹れるスキルがあるだけじゃダメなんだよ。スタースキルやミッションを実行できているかどうかも評価の基準になるから、そこができていなかったら、僕も給料は上げられないからね」と念を押しました。

その日から、私は1人1人のパートナーと話す時間をなるべく作るようにしました。パートナーが休憩に入った時は、バックヤードで「最近、学校ではどうなの?」などと世間話をしました。

「おつかれさま、今日はどうだった?」と軽く感想を聞くこともあります。「そうですね、今日は忙しかったです」「そうだよね、でも、あそこのシーンの会話、すごくよかったと思うよ。お客様も喜んでたじゃない」「えっ、そうですか?」そのように、気がついたことをフィードバックするようにしました。

「最近、挨拶がよくなったよね。君も成長したね」と褒めると、「え、そうっすか。ありがとうございます」と、嬉しそうにしているパートナーもいました。

そうやって、徐々に距離を縮めていったのです。ただし、私のその店での任務は4カ月間でした。それは最初から決まっていたことです。

私としてはせっかくお店の雰囲気がよくなってきたので、もう少し続けたいと思っていたものの、サポートセンターの決定にはしたがうしかありませんでした。

最後に、もう一度人事考課をする機会がありました。

そこで1人1人と向かい合いながら、「スタースキル、かなり活用されてきたね」「エスプレッソは私より淹れるのは上手だから、言うことはないよ。

でも、ここは惜しかったね」という具合に、1つずつ丁寧に指摘していきました。その時、「いや、その評価はおかしいですよ」と反発する人はいませんでした。みな納得した顔でうなずいていました。

ところが、私の評価結果を見て、当時のディストリクトマネージャーは「このパートナーが昇給対象になるのはおかしいよ。

こんなに評価が高くなるはずないよ」と詰めよったのです。「いや、僕は毎日会って彼の様子をずっと見ていましたけど、こんな変化があったんですから」「それだとちょっと評価が甘くない?」「甘くないですよ。

僕は1人1人と目標を設定して、確認し合いながらやってきました。あなたは週に1回、お店に来るか来ないかでしたよね。

申し訳ないですが、毎日彼らと話している僕のほうが、みんなのことを知っているんです」そんなやりとりの中、私の評価を下げざるをえないと言われましたが、「僕の評価はどうなってもいいから、みんなのは変えないでください。

約束したんで」と押し切りました。

最後にお店を去る時に、みんなには「また違うストアマネージャーが来ても、そこで『違う指示をするから』って手を抜いたら、時給下げられちゃうよ。

そうならないように、自分がやるべきことと自分の立場をちゃんと再確認したうえで、仕事を続けてほしい」と伝えました。

4カ月前はどうなることかと思っていましたが、この短期間で、パートナーたちはかなりとげとげしさがなくなり、丸くなっていました。

お互い協力し合い、お店の雰囲気も明るさを取り戻していました。何より私自身が、「この店でストアマネージャーをやってよかったな」と思えるようになっていたのです。

大きな変化でした。この体験から、私はリーダーの存在がどれだけ大事なのか、身をもって知りました。チームのメンバーを成長させるのも滞らせるのも、リーダー次第なのです。

もし、私が「課題店舗なんだし、仕方ないか」と投げ出していたら、パートナーたちはずっとくすぶったままでしょう。

当時のディストリクトマネージャーのなかには、ある地域の課題店舗を見て、「この店は雰囲気がひどい」とパートナーを全員辞めさせて、新しく雇い直そうとした人もいました。

しかし、私はそういう方法では根本的な解決にはならないと思います。

問題があるとわかっているなら、まずはその原因を徹底して探るべきなのです。

ストアマネージャーがちょくちょく変わるのが問題なのかもしれませんし、ストアマネージャーが慣れていなくて現場が混乱しているのかもしれません。

その原因を突き止めれば、解決策もわかるでしょう。それをしないで人を辞めさせるようでは、同じことの繰り返しになるのではないか、と感じます。

それは多くの企業で、また多くのチームでも同じことが言えます。問題があれば、まずはその原因を探る。そして、メンバーと議論を重ねる。

たとえ時間はかかっても、リーダーはそのプロセスを省いてはなりません。そうすれば、たいていの問題は解決するのではないでしょうか。

トラブルには覚悟を持って取り組む

リーダーに必要な要素はいろいろあると思いますが、何より大切なのは、トラブルから逃げない覚悟ではないでしょうか。どんな企業でも、どんな業種でもクレームはあります。スターバックスにも、もちろんありました。

「ジャストセイイエス」がポリシーとはいえ、すべての要望を聞き届けられるとは限りません。

あるお店で、ドリンクができあがってお客様にお渡ししようとカップを置いた時、飲み口からコーヒーが跳ねて、お客様のコートについてしまったことがありました。

そのパートナーも、乱暴に置いたわけではないようなので、たまたま起きたアクシデントだったのでしょう。すると、お客様は「買ったばかりの高いコートなのに、どうしてくれるんだよ。弁償しろ」と大激怒してしまいました。

ストアマネージャーは何度も謝罪し、「汚れをこちらで落とさせてください」と申し出たのですが、お客様は承知しません。

「それではクリーニングに出させてください」と言っても、突っぱねられてしまいました。困り果てたストアマネージャーは、当時ディストリクトマネージャーだった私に電話をかけてきました。

私は、普段はその地域の担当ではなかったのですが、担当のディストリクトマネージャーが休暇を取っていたので、その期間だけその地域もサポートすることになっていたのです。

私がお客様に連絡したところ、ものすごい剣幕で「新しいコートに替えろ、もしくはコート代を払え」と怒鳴られました。

ここでの「ジャストセイイエス」は、コートを汚したことへの心からの謝罪と、汚した部分をきれいにするというお約束でした。

まずはコートをお預かりして、状況を確認してからクリーニングに出させてほしいと何度もお願いしましたが、「コートは渡したくない」の一点張り。

このまま時間だけが過ぎてしまうと、かえってお客様にご迷惑をおかけすると判断し、お客様相談室に入ってもらうことにしました。

すると、お客様相談室の担当者は、「最後は我々が出ますから、思ったことをその方に言ってもらっても大丈夫ですよ。穏便に済ませられるのがベストですが、できないことはできないとハッキリ伝えて構いません」と言ってくれました。

誰でも、こういうやりとりは気が重いでしょう。しかも自分が担当するエリアのお店ではないので、「担当が戻ってきてから相談してほしい」と言ってもよかったかもしれません。

けれども、トラブルは迅速に対処するのが鉄則です。自分もディストリクトマネージャーというリーダーの1人である以上、自分事としてとらえていました。

もう一度お客様に連絡をしたところ、「店長は弁償するって言ってるぞ」と言われました。ずっとお店で責められ続けたので、他のお客様もいる手前、早く事態を収拾したくて折れてしまったのでしょう。

それでも私は、「弁償はできません。大変申し訳ありませんが、まずクリーニングで対応させていただきたいと思います。それ以外のことはできかねます」と伝えました。

当然、お客様は電話口で烈火のごとく怒り、「一体、お宅の会社はどうなってるんだ。本社に行くぞ?」と責め立てられました。

「十分な対応を取ることができず、申し訳ございません。私どものお客様相談室よりご連絡させていただきます」と電話を切り、後はお客様相談室に対応してもらうようにお願いしました。

その後、お客様相談室の担当者がそのお客様に会いに行き、クリーニング代を支払う方向で決着がついたようです。人の上に立つ立場になればなるほど、責任は大きくなっていきます。

自分がミスしたことに責任を取るのならまだいいのですが、部下が起こしたトラブルやミスにも責任を取らなければならなくなります。

それがリーダーとしての務めでしょう。ここで責任を取るのは嫌だと逃げてしまったら、部下からの信頼を失うだけではなく、部下も責任を取らなくなります。

部下は上司の行動をお手本にしているのです。したがって、デリケートな問題こそ、リーダーは率先して取り組まなければなりません。その覚悟さえあれば、自然と人はついてくるのではないかと思います。

人を変えようとするより、信じよう

最後に、人の可能性についてお話ししたいと思います。スターバックスでは、全国のお店を10個前後のブロックに分けて、年に1回各ブロックから優秀なストアマネージャーを選び、さらにその中から年間の最優秀ストアマネージャーを1人選んでいました。

最優秀に選ばれたストアマネージャーはアメリカ本社のシアトルに行き、勉強するチャンスを得られます。前述した小野さんが、これに当たります。

しかし、よくよく考えると、選ばれなかった他のストアマネージャーも優秀な人ばかりなのに、表彰状を渡して終わりでは寂し過ぎるのではないかという話になりました。

そこで、シアトルには行けないけれども、国内のツアーに招待して称賛しようということになったのです。

当初は、リッツ・カールトンのような一流のホテルに泊まって最高のサービスを体験する企画などを行っていましたが、この仕事を私が引き継いだ時、何か物足りなさを感じていました。

目的をより明確にし、ストーリー性のあるものにしたい。やるならより体験型にして、参加者の記憶に残るようなツアーにしたほうがいいのではないかと考えました。

自然の破壊や人間との共存が話題になっていたこともあり、沖縄エコツアーを企画しました。サンゴの養殖活動やマングローブの植林活動の視察を盛り込み、メインの企画は沖縄でコーヒー豆を栽培している農家を訪ねるツアーでした。

沖縄はコーヒーベルトという地帯の北限に位置し、ハワイやジャマイカ、キューバなどとほぼ同じ緯度にあります。実は、コーヒー栽培に向いている土地なのです。

あまり知られていませんが、沖縄で本島の他、離島も合わせると10軒ぐらいのコーヒー農家があります。生産量が少なく、市場には出回らないのですが、コーヒー愛好家の間では数年前から注目されています。

私たちがお世話になったのは、ヒロ・コーヒー・ファームという、無農薬でコーヒー豆を栽培している農家です。ヒロ・コーヒー・ファームは、沖縄の中心地から車で2時間ぐらいの東村にあります。

コーヒー豆は、栽培から焙煎まですべて手作業です。ファーム内にあるカフェで、その自家製コーヒーを提供しています。

普段、スターバックスのパートナーたちは、アメリカから届くローストされた状態のコーヒー豆しか見ていません。コーヒーの木を見ることも、生のコーヒー豆を見るのも、焙煎作業を見るのも初めてです。

完熟した黄色い実を見て「マニュアルに載っているのと同じだ」とみんな目を輝かせていました。ヒロ・コーヒー・ファームではすべてが手作りで、大きな鍋を火にかけて焙煎しています。

私たちも、乾燥させた豆を自分で焙煎する体験をしました。焙煎用の小さな鍋で豆を炒ると、香ばしい香りが漂います。そして、自分で炒った豆を挽き、淹れたコーヒーの味は格別。

誰もが「お店で出すコーヒーよりおいしい!」と大絶賛していました。研修を通じて、コーヒー豆がお店に届くまでのプロセスは理解しています。

けれども、知識として知っているのと、自分の目で見るのとでは、理解度も感動もまったく違うのです。ある年、そのツアーに関西エリアのストアマネージャーの後藤君(仮名)が参加しました。

各エリアで最優秀ストアマネージャーに選ばれたパートナーは、たいてい見た目は元気いっぱいで、活き活きしたオーラを発しています。

「私はスタバで働くのが大好き!」という気持ちが、体中からあふれ出ているような感じなのです。ところが、後藤君からはそういった元気さをまったく感じませんでした。

シャイなのか、他のパートナーがすぐに打ち解けて仲よくなっているのに、後藤君はその輪に入って行こうとしません。みんながはしゃいでいても、1人でしらっとしている感じです。

他のメンバーに、「彼さ、みんなの輪に入ってこないけど、どう思う?」と聞いたところ、「確かにちょっと気になるんですけど、でも話しかけたら答えてくれるし。

人見知りなのかもしれませんよ」と言われました。気になりつつも、1日目は終わりました。2日目、後藤君は相変わらず、みんなの輪に入って行こうとしませんでした。

私がさりげなく、「旅行、楽しんでる?」と尋ねると、「はい、いいっすね。今日行くところも楽しみです」と答えてくれました。

けれども、その声はちっとも楽しそうではありません。思わず、「後藤君は結構シャイなタイプなの?」と聞いてしまいました。

すると、「うーん、そういうわけじゃないっすけどね」と、少し投げやりな感じで答えたのです。何かにいら立っているような印象を受けました。

「何か心配事でもあるのかな」と、私はさらに気になりました。それから、なるべく後藤君に話しかけるよう心がけました。

同時に、私はツアーのホストなので、他のパートナーにも楽しんでもらわなくてはなりません。私は率先して、「飲み物買ってくるから、ここで待ってて」「オレがチケット買ってくるよ」と動き回っていました。

パートナーたちが慌てて、「ロッキーさん、いいですよ。自分たちでやりますよ」と言っても、「いいから、いいから」とかいがいしく(笑)お世話をしていました。

余談ですが、ロッキーとはツアーの時にパートナーからつけてもらったニックネームです。

昔ボクシングをやっていたわけではなく、「〝めぐろっきー〟ってよくない?」「じゃあ、〝ロッキー〟にしよう」という流れで決まりました。

3日目の朝、後藤君が「ロッキーさん、ちょっと話があるんですけど、いいっすか」と声をかけてきました。

何かを決意したかのような表情をしています。そこから、後藤君は自分の思いを打ち明けてくれました。どうやら、後藤君はお店で浮いていたようなのです。自分はこの仕事が大好きで、誇りを持って働いている。

ところが、自分が「こうやりたい」とパートナーたちに伝えても、なかなかついてきてくれない。

ディストリクトマネージャーからも、「ストアマネージャーなんだから、もっとちゃんとコミュニケーションを取らないと」「1人で突っ走り過ぎてる」といつも注意されている。

どうせ、みんなオレのことなんてわかってくれないんだ──その「どうせオレなんて」という思いが、態度になって表れていたのです。

ポツリポツリと語る後藤君を見ていて、「誰にも悩みを聞いてもらえず、相当苦しんでいたんだろうなあ」と思いました。優秀なストアマネージャーに選ばれたのですから、もちろんお店の業績はよく、仕事もできるタイプなのでしょう。

けれども、リーダーとしての志が高過ぎて、周りの人がついていけないこともあります。後藤君はそういうタイプではないかと感じました。

私は、「このツアーは優秀な人へのインセンティブ(報奨)だから、頑張った自分へのご褒美としてみんなに楽しんでもらいたいと思ってる。

それと、気づきの場としていろいろ学んで帰ってもらいたいと思ってるんだよね。自分自身と対峙して、ここまでやってきた自分を褒めるような時間にしてほしいと思ってるんだ」と自分の思いを語りました。

すると後藤君はうなずき、こう言ったのです。

「オレは自分なりに一生懸命にやってきたんだけど、なかなか受け入れてもらえなくて、拗ねてたんっすね。でもこのツアーでみんなと過ごしているうちに、そうじゃなくて、周りを受け入れていない自分がいることに気づいたんです」「そうか。それはすごいことだよ!」後藤君は私に話してスッキリしたのか、晴れ晴れとした表情になりました。

それからの後藤君は、ガラッと態度が変わりました。他のパートナーにも積極的に話しかけ、一緒に大笑いしています。マングローブを植えたりビーチのゴミ拾いをするなどのプログラムにも、後藤君は率先して取り組んでいました。

「昨日までのお前はどこに行った?」と聞きたくなるぐらい、180度の変わりようだったのです。

そして4日目、最終日。

初日とは別人のようになった後藤君は、「ロッキーさん、ありがとうございました、楽しかったっす!このツアーに参加できて、本当に感謝しています」と元気よく帰っていきました。

後日、後藤君の上司であるディストリクトマネージャーに会った時に、「後藤君って今までどうだったの?」と聞いてみました。

すると、「問題児でした」ときっぱり言われたのです。

後藤君はよかれと思ってやっていても、ディストリクトマネージャーやお店のパートナーたちから見ると、結果的にスターバックスのミッションとはちょっとずれていることが多かったそうなのです。

それを指摘しても、「いや、このやり方でいいんです」となかなか意見を受け入れず、パートナーたちと対立する時もあったといいます。

「なるほど、そうだったんだ。それで、ツアーから帰ってきてからどうなの?」と尋ねると、「ツアーで何かあったんですか?」と、逆に聞かれました。

それまでの後藤君を知っている人が見たら誰もが驚くぐらい、劇的に変わったというのです。まず、それまでは近寄りがたいような雰囲気だったのに、ニコニコと笑顔で接するようになった。

そして、人の話によく耳を傾けるようになったというのです。ディストリクトマネージャーが気になるところを指摘すると、素直に受け止めて改善するようになりました。

どうやら、それまで人に対して作っていた壁がなくなったのでしょう。人を受け入れる喜びに気づいたのかもしれません。

それから1カ月ぐらい経ってから、私は後藤君のお店を訪ねる機会がありました。後藤君は「ロッキーさん、久しぶりっす!」と満面の笑みで私を出迎えてくれました。

お店のパートナーたちに話を聞くと、「後藤さんはあのツアーに参加してから、変わったんですよ。優しくなりました」とみんなが口をそろえて言います。

私は後藤君に、「どうして、みんなに心を開こうって決めたの?」と聞いてみました。すると、「ロッキーさんはあのツアーの時にいつもニコニコしていて、何があっても全然嫌な顔をしてなかったですよね。

そんで、すぐに先回りして行動して、みんなのことをケアしてたし。どうしたらあんなふうにできるんだろうって、ずっと考えていて。

そしたら、オレが一番忘れていたことに気づいたんです」と、照れ臭そうに話してくれました。その言葉を聞き、私も胸が熱くなる思いでした。

私は後藤君を変えたいと思って接していたわけではなく、「旅行を楽しんでもらいたい」と考えていただけです。それが人を変えるきっかけになるとは思ってもみませんでした。

誠意を持って接していたら人の心を開けることができるという、ごく当たり前のことに私自身が気づかされた出来事でした。人は簡単には変われません。

自分を変えるのですら難しく、まして他人を変えようと思ったら、ぶつかり合いになって関係が悪化するケースが大半です。けれども、くすぶっている人も、自ら望んでくすぶっているわけではありません。

心のどこかで、そんな自分を変えたいと思っているでしょう。そういう時、リーダーは手を差し伸べるだけでいいのだと思います。

相手と向かい合い、「私はあなたのことを見ているよ」と態度で示すだけで、自ら立ち上がって歩き出すのではないでしょうか。相手を変えようとするより、相手を信じる力が大切なのです。

誰もが、自分で立ち上がれる強い力を秘めているのだと、私は今も信じています。

おわりに

「人材マネジメントで大切なことは何ですか?」そう尋ねられたら、私は「パッション(情熱)」だと答えます。

スターバックスがここまで世界的な企業になれたのは、コーヒーをただ売るだけのお店ではなくサービスを売りにし、そのために不可欠な人の育成に、情熱を持って取り組んできたからでしょう。

昨今、人手不足が理由で閉店が相次いでいる飲食店もありますが、それは利益の追求など、企業の事情ばかりを優先して、人材を育てるのを疎かにした結果ではないでしょうか。

お客様を最優先で考えるのなら、なおさらサービスを提供するスタッフの待遇や教育をしっかり整えなければなりません。

まず働く人の満足度を高めないと、お客様の満足にはつながらないでしょう。

スターバックスは新規にお店をオープンする際、入社したパートナーたちにも80時間の研修をしっかり受けてもらいます。

特に初めて出店する地域は、専門のオープニングサポートチームを派遣して、現地で指導しているのです。

コストも時間もかかりますが、それでもそこで手を抜いてしまったら、スターバックスの企業イメージはあっという間に悪くなるでしょう。

スターバックスのようなチェーン店は、一店での出来事によって、すべてのお店のイメージがマイナスになる恐れもあります。

どこのお店でも一定以上のサービスを提供できるように徹底するのは、想像以上に大変な作業です。人を育てながら規模を拡大しているので、スターバックスは不評が少ないのでしょう。

本書を読んだ方の中には、「うちではそんなに長時間研修時間を取れない」「1人1人の部下に、丁寧にフォローしている時間はない」と思う人もいるかもしれません。

そうやって諦めてしまう心こそ、人の成長を阻む壁になるのではないでしょうか。「うちの部下はどんなに叱っても何も変わらない」と思っているのなら、叱り方に問題があるのでしょう。

あるいは、自分がその部下を受け入れていないのが原因かもしれません。「もっと会社のことを考えろ」と部下に求めるのなら、自分自身が愛社精神を持っていなければならないでしょう。人を変える前に自分の意識が変わらないと、人を動かせないのです。

本書で紹介したスターバックスのノウハウのなかには、現在では使用されていないものもありますが、どれもどんな組織や個人でも活用十分ではないかと思います。

人を育てるのは時間もかかりますし、根気も必要です。それでも、最初は斜に構えていた相手が心を開いて成長への一歩を踏み出す姿を見ると、「育ててよかったな」と思えるでしょう。

そのきっかけを作るのは、みなさん自身なのです。人を育てることは、本当は喜びにつながる行為です。それは相手の喜びだけではなく、自分自身の喜びにもなります。みなさんにも、人の可能性を信じて、とことん向かい合う醍醐味をぜひ味わっていただきたいと思います。

最後に、基本から指導してくださった朝日新聞出版の須賀さん、本書の構成で多大な貢献をいただいた大畠さんのサポートがなければ、こうして自分の思いを形にすることができませんでした。

この場を借りて感謝致します。また、スターバックスで共に過ごしてきたパートナーのみなさん。

スタバの成長期に協働できたことは、私自身の成長の基盤であり、ミッションの実現を目指すパートナーとして強くつながっていたからこそ、私はここにいるのだと思います。

改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。そして、最後に最愛の家族。いつも私を支え、背中を押し続けてくれる妻。目指すゴールに向かって歩んでいる子どもたち。みんなの笑顔は私のパワーの源泉です。互いに励まし、協力し、楽しむ姿にどれだけ元気づけられ、そして癒やされてきたか、言葉では表せません。

本当に、本当にありがとう。これからも、そしていつまでも。私はみなさんの成長をサポートし続けます。

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