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Chapter4マニュアルが会社を成長させる!!──ガーバー流「仕組み」経営の技術──

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Chapter4マニュアルが会社を成長させる!!──ガーバー流「仕組み」経営の技術──

17「仕組み」経営の条件⑥‐1数値化社長がいなくても判断できる基準があるか?「数値」がない会社は「勘」で動くしかない/「毎日決算する会社」をつる/日々の決算を社員に公開する──オープンブックマネジメント/財務をオープンにしない限り、仕組み化などできない18「仕組み」経営の条件⑥‐2数値化公開された数値に基づき、やるべきことを共有するすべてを数値化してみよう/「社長がやらない」のを前提に、「数値共有の仕組み」をつくる/あと10件、新規の契約がほしいとき、あなたならどうする?/数値化すれば、社長がいなくても「アクション」がすぐ決まる/すべてを数値化すれば、「改善」も自動化できる19「仕組み」経営の条件⑦‐1マニュアル化誰でも「同じ結果」が出るマニュアルが構築できているか?誰がやっても同じようにできる方法/マニュアル化こそが、ガーバー流「仕組み化」の本質である20「仕組み」経営の条件⑦‐2マニュアル化「仕組み」ではなく、「人」が失敗の原因だと思っていないか?「同じ失敗が起きる」のは、マニュアルに欠陥がある証拠/採用段階で「ミスが起きない仕組み」を導入する21「仕組み」経営の条件⑦‐3マニュアル化マニュアルをつくったあと、放置していないか?マニュアルははじめから完璧を目指さない/マニュアルには「4つの項目」が必要である/マニュアルだけではなく、それをチェックする仕組みも必要22「仕組み」経営の条件⑧イノベーション日々の業務のなかに「成長の仕組み」があるか?ガーバー流イノベーションは「トヨタ式カイゼン」に近い/「業務の仕組み化」から「成長の仕組み化」へ/「イノベーションミーティング」とは?

Chapter4マニュアルが会社を成長させる!!──ガーバー流「仕組み」経営の技術──

「仕組み」経営の条件⑥‐1数値化17社長がいなくても判断できる基準があるか?「数値」がない会社は「勘」で動くしかないこの章ではいよいよガーバー流「仕組み」経営の中核となるノウハウの部分に踏み込んでいくことにしよう。残る3つの条件である。⑥数値化⑦マニュアル化⑧イノベーションまず「数値化」である。これは社内のあらゆることを数値に表すことで、現状やその変化を客観的に把握することにほかならない。ビジネスである以上あたりまえのことなのだが、感覚ばかりに頼って重大な「変化」を見逃している経営者は少なくない。数値化の最大の意義は、「いま現在やっていることが正しいのか間違っているのか」を確認できることにある。逆に言えば、数値化をしない限り、すべての経営判断には「基準」がない。勘ばかりに頼った経営をしていると、いまいる場所を見失って迷走しかねない。いったん数値化してしまえば、社長がいなくても数多くの判断が正しいのかどうかを評価できる。経営者不在でも回り続ける優良企業に生まれ変わるためには、数値化とそれに基づく基準づくりが不可欠なのだ。「毎日決算する会社」をつくるビジネスで最も大切な数値は、言うまでもなく売上、費用、利益などの財務数値である。しかし、多くの経営者は(そして従業員も)数字に苦手意識を持っており、税理士や経理担当者に任せきりにしているケースがほとんどだ。

もちろん月に1回くらいは財務の数値を確認する機会はあるだろう。しかし、それではすばやい経営判断はできない。本来的には売上・費用・利益を毎日確認する「日次決算」が理想だ。今日の激動する社会において、会社経営には迅速な判断が求められている。スピード感ある意思決定を行うためには、日次決算がいちばんだ。毎日数値を確認していれば、すばやく判断・行動ができるからである。

日々の決算を社員に公開する──オープンブックマネジメント日次決算を導入するだけでは不十分だ。さらに重要なのは、その数値を社長・経営陣だけでなく、従業員にも公開すること。財務数値を従業員にも公開する手法は、一般に「オープンブックマネジメント」と呼ばれる。これにより、財務数値に対する従業員の意識を高め、経営者と同じように思考する習慣を身につけさせるのである。ガーバーが言う数値化は、これを日次単位で実践することにほかならない。オープンブックマネジメントを導入しつつ日次決算をしていれば、従業員も「1日の売上目標」から「不足している売上額」を逆算することができる。こうすることで、足りていない売上分について、経営者だけが頭を悩ませるのではなく、従業員自らが対策を考え、実行することができるというわけだ。「従業員に『経営者の感覚』を持たせなさい」ということはよく言われるが、それを実現する具体的な方法がこの「日次決算×オープンブックマネジメント」なのだ。財務をオープンにしない限り、仕組み化などできない従業員それぞれが数値に基づいて経営者のように思考・行動できるようになることに加え、従業員が会社を全面的に信頼して仕事に打ち込めるようになることも、オープンブックマネジメントのメリットである。前述のCatchtheWeb社は、オープンブックマネジメントを導入し、売上、利益、費用をすべて公表するようにしているという。たとえば、「利益の33%は社員に還元、残り33%は税金、残り33%が内部留保」という方針を明示し、個別にではないものの、役員報酬の総額も公開している。役員が大した報酬をもらっているわけではなくても、従業員は「役員はいったいいくらもらっているのか?」と気にするのが普通だ。変な勘繰りをなくすという意味でも、役員報酬の公開には大きな効果があったという。経営者が従業員に仕事を全面的に任せられるようになるためには、こういった可視化を通じてお互いに信頼関係を築くことも必要なのだ。

実のところ、少人数で運営している会社ほど、日次決算を導入するハードルは低い。煩雑なデータが少ないからだ。「会社の規模が小さいときから、大企業のように経営をしている会社だけが大企業へと発展する」というガーバーの考え方に則るのであれば、小さな会社こそ日次決算を導入すべきなのである。

「仕組み」経営の条件⑥‐2数値化18公開された数値に基づき、やるべきことを共有するすべてを数値化してみよう前節では財務の数値を社内で共有するという話に焦点を当てたが、ガーバーが言っているのは、それ以外のありとあらゆるデータの数値化をも含んでいる。あるイタリアンレストランであれば、毎日の売上をしっかりと把握するだけではなく、その日の来店客数、注文されたメニューの種類、顧客の年代・性別などをすべて蓄積しておくべきである。たとえば、「平日の昼はOLが多い」「土日の夜は家族連れが多い」とわかれば、容易に対策が立てられるはずだ。あるいは、「金曜の夜だけ極端に売上が落ちている」とわかれば、近くの競合店が何かキャンペーンをやっている可能性も考えられる。数値を取ることで分析が容易になり、具体的な行動がとりやすくなる。さらにこれを従業員にも公開するようにし、社内でのコミュニケーションがいつもその数値に基づいたものになるような環境をつくれば、彼らだけでも正しいアクションが取れるような素地が出来上がっていくはずだ。つまり、経営者がいなくても回る会社への一歩をさらに踏み出すことができるのである。「社長がやらない」のを前提に、「数値共有の仕組み」をつくる2001年に創業して以来、日本全国25地域、北は北海道から南は福岡まで展開する「銀座コーチングスクール」の代表・森英樹氏は、まさにガーバー的な思考をベースに経営をしている人物だ。つまり、事業をスタートさせた時点から、「自分がやらない」ということを前提に事業を組み立てているのである。銀座コーチングスクールの数値化は徹底している。財務は日次決算を実践しており、売上、利益、費用が毎日わかるようになっている。決算の情報はグーグルドライブを使って社内で共有しており、入力の手順も完全にマニュア

ル化されている。たとえば、「クラスA(4万2000円)」の申し込みがあった時点で、その情報を共有ファイルに上書きする。すると、その日の売上だけでなく、その月の申し込み件数もすぐに把握できるようになるというわけだ。また、顧客の流入経路なども数値化されている。たとえば、メルマガで行っている無料メールセミナーの顧客リストのうち、何人が体験会に参加してくれたか、体験会参加者のうち、何人がクラスに申し込んでくれたかまでを、日々数値に落とし込んでいるのだ。あと10件、新規の契約がほしいとき、あなたならどうする?以前、私が新聞販売店の経営に携わっていたときにも、毎日、帳簿をつけるようにしていた。帳簿である以上、勘定科目(売掛金、買掛金、販促費など)を使ってはいたものの、要するに入ってくるお金と出ていくお金を日々記録していたのである。当時の私は、こうした数値を従業員に公開することにまでは踏み切れなかった。しかし、別の数値を共有し、成功に結びつけた経験がある。新聞販売店の販促方法の1つに「試し読み」がある。1週間だけ新聞を無料でお届けし、最終的に本契約に結びつけるという典型的な手法である。1週間のあいだにいろいろなチラシを入れて購読者の関心を引き、1週間後にまた訪問して感想を聞く。そして最後に契約をお願いするわけだが、このときの成約率を数値化し、従業員のあいだで共有したわけだ。このキャンペーンをすると、最初はまずまずの契約がとれる。率にすると10%を超えるくらいだ。その後、半年~1年くらい経つと、どこでやっても5%ぐらいに落ち着くことがわかった。つまり、100件の試し読み読者が取れれば、5件くらいは新規の契約が獲得できるとわかったのである。数値化すれば、社長がいなくても「アクション」がすぐ決まるこの事実をしっかりと数値化し、従業員に共有した効果は大きかった。「今月どうしてもあと10件新規の契約がほしい」というときには、あと200件の試し読み読者を獲得すればいいということが、誰にでも簡単に把握できる状況が生まれたからだ。もちろん1カ月で200件の試し読み読者を獲得するためには、別のノウハウが必要になってくる。しかし重要なのは、たとえ私が不在だったとしても、「それをやらなければ

ならない」という認識が、従業員のあいだで即座に共有されるような仕組みを構築できたことだった。これがガーバーの言う数値化の最も大きなメリットなのである。

しかし新聞販売店の課題はそれだけではない。いくら新聞の購読契約を取っても、すぐにやめられてしまっては意味がない。そこで私は購読を継続してくれている顧客についても、数値化することにした。たとえば、1年間に無料試し読みからの成約が20件あり、その3カ月後の解約が10件あったとする。6カ月後には5件が解約、1年以上の継続が5件だった。つまり、1年以上の継続率は25%だ。すべてを数値化すれば、「改善」も自動化できるもちろん購読を継続してもらうために、さまざまな対策をとった。しかしそこでも重要なのは数値化である。つまり「どの対策が最も効果があったか」をわかるようにする必要があるのだ。たとえば3カ月に1回、景品を購読者に届けるようにした場合、景品が洗剤であった場合と美術館のチケットであった場合、それぞれがどれくらい購読継続に寄与したのかも数値にしてみるのである。数値化はここまでやって初めて現実的な効果を発揮することができる。あまり効果のなかった景品はやめて、より効果の高い景品を配るようにすべきだということは、「誰にでも」わかることだからだ。経営者がやるべきなのは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)、いわゆるPDCAに基づいたアクションプランの策定である。これさえつくってしまえば、社長がいなくても従業員たちだけで、PDCAのサイクルが回りはじめるはずである。ワークシート⑪あなたの会社では何を数値化しますか?書き出してみてください。

「仕組み」経営の条件⑦‐1マニュアル化19誰でも「同じ結果」が出るマニュアルが構築できているか?誰がやっても同じようにできる方法仕組み化のために重要な条件の7つめは「マニュアル化」だ。「マニュアル人間」などと揶揄する言葉があるように、マニュアルには少々悪いイメージがつきまとっているようだが、本来、マニュアルとは「凡人を非凡にするすばらしい仕組み」なのである。

典型的なのは、マクドナルドや吉野家やセブンイレブンのアルバイト。誰もが短期間のトレーニングで一人前の仕事ができるようになっている。それは決して「仕事が単純だから」ではない。優れた仕組みがあるからこそ、誰がやっても一定のクオリティの仕事ができるようになっているのである。マニュアル化こそが、ガーバー流「仕組み化」の本質である「誰がやっても同じようにできるようにすること」がマニュアルの役割であるという意味では、このマニュアル化こそがガーバー流「仕組み」経営の本質である。ガーバーの起業家育成プログラム「ドリーミングルーム」そのものが、高度に「仕組み化」されていることについては、すでに触れたとおりだ。わずか3日間の短期集中トレーニングを受けるだけで、その受講者が今度は「高度な起業プログラム」を教える側になれるようになっている。なぜそんなことが可能なのか?最大の秘訣は優れたマニュアルにある。「ドリーミングルーム」にはステップごとに手順が書かれたマニュアルが存在し、それに沿って進めていけば、誰にでも簡単にプログラムを進行することができるのだ。社長がやるべきことは、社内のありとあらゆる仕事について、こうしたマニュアル化を進めていくことである。「いや、この仕事だけはさすがにマニュアル化することはできない」などと思わないでいただきたい。むしろ、「社内にマニュアル化できない仕事など、1つたりとも存在しない」という思いで、徹底して仕組み化しない限り、会社の飛躍的成長は望むべくもないと考えるべきなのだ。

「仕組み」経営の条件⑦‐2マニュアル化20「仕組み」ではなく、「人」が失敗の原因だと思っていないか?「同じ失敗が起きる」のは、マニュアルに欠陥がある証拠ある小さなコンサルティング会社で新しい女性事務員を採用したときのことだ。社員が交換してきた名刺のデータを入力する仕事を彼女に任せたところ、毎回のように入力を間違えていた。試みに「どんなに時間がかかってもいいので、100%正確に入力してみてください」と彼女に指示を出してみても、同じように入力のミスが発見された。このような場合、「その女性の能力に問題がある」というのが一般的な考え方だろう。問題を解決するには、まともな能力がある別の人材を雇うしかないと多くの経営者は考える。しかし、これではいつまで経っても問題は解決しない。小さな会社に優秀な人材が来てくれる可能性は高いとは言えないからだ。そこで経営者が考えるべきなのは、「その女性に問題がある」ということではなく、「その女性がやる仕事の仕組みに問題がある」ということだ。つまり、「名刺データの入力を『間違えさせる仕組み』がどこかに潜んでいる」と考えればいいのである。採用段階で「ミスが起きない仕組み」を導入する第一に、彼女はそもそもタイピングのスキルが十分ではなかった。そういう状況のまま作業をしているため、必然的にミスが発生していたのである。そこで毎日30分間のタイピング練習を彼女に課し、3週間後にはミスなく名刺の入力ができるようになった。それ以外に「ミスが起こる仕組み」はどこにあったと考えられるだろうか?より広い視点で考えてみると、そもそもタイピングができない事務員を雇ってしまうこと自体に問題があったとも言える。そのためは、以降事務員を採用する際に、必ずタイピングのテストをするようにした。タイピングの能力が基準に達しないと決して採用しないというわけではなく、採用後に先ほどの女性社員が受けたのと同じトレーニングを課す仕組みを導入した。

ここで事務員採用時のタイピングテストを社長自らがやるのではなく、従業員ができるようにマニュアル化するとしたら、どんな形が考えられるだろうか?①名刺の入力テストをする②終わったら、正しいかどうかチェックするこれだとマニュアルにはなっていない。なぜなら、それぞれのアクションの内容が十分に決められておらず、誰がやるかによって結果が変わってきてしまうからだ。テストではどの名刺を使うのか、どれくらい時間をかけてやるのか、テストの結果をどう判定するかなどを含め、このマニュアルに明記するべきなのである。

「仕組み」経営の条件⑦‐3マニュアル化21マニュアルをつくったあと、放置していないか?マニュアルははじめから完璧を目指さないそれでは次にマニュアルを作成するときの具体的な手順を見ていくことにしよう。まずガーバー流マニュアルとは、端的に言えば「ベストと思われる作業の手順(順番)を記録したもの」である。さらに重要なのが、誰がやっても同じような品質の仕事を、同じような時間内にできるようにすることだ。人によって仕事のレベルに違いがあるようでは完璧なマニュアルとはいえない。とはいえ、最初から完璧なマニュアルを目指す必要もない。実際に作業をしてみて気づくこともあるだろうし、よりよい方法があとから見つかることもある。あとからどんどん改善を加えていけばいいのである。また、理想的なことを言えば、作成自体も経営者がすべて自分でやらないほうがいい。従業員につくらせる場合に重要なのは、出来上がってきたマニュアルに対して、経営者が口を挟んだり、良し悪しの評価をしないことだ。それを社長自らがやってしまうと、現場の士気が下がる可能性があるのはもちろんだ。それだけでなく、従業員がそのマニュアルどおりに仕事をしてみてから、その不備に気づき、自らそれを改善していく流れをつくることが肝要なのである。

マニュアルには「4つの項目」が必要であるマニュアルを作成する場合に必要なのは、次の4つの項目である。①目標②役割③必要なもの④ステップ①の「目標」とはその仕事を通じて実現したいこと、②の「役割」はその仕事の責任者、③の「必要なもの」はその仕事に必要な道具。④が実際の業務で必要となる手順だが、この部分は実際に仕事をしてみて、「記録」を取りながら作成するのがおすすめだ。ある従業員Aが作業しているのを別の従業員Bに観察させ、Bがそれをステップの形に落とし込むのが最も確実である。

それをやっても最初はおそらく「抜け」だらけの不完全なマニュアルしか出来上がらないだろう。そのため、マニュアル作成から一定期間が経過したら、「マニュアルミーティング」を開催し、追加・改善すべきポイントを列挙する。このミーティングは何度も行う必要があるが、一度やるだけでもマニュアルの精度を上げるのには大きく寄与するはずである。マニュアルだけではなく、それをチェックする仕組みも必要前ページ図は、「日の丸レストラン」の開店時の仕事をマニュアル化したものだ。ご自身のビジネスに当てはめてみたとき、どうだろうか?オフィスやお店を開けるときの手順について、これを参考にマニュアルをつくってみていただきたい。最後に「ステップ」に対応した「チェックシート」を作成する。現場では、ある程度慣れてきたら、マニュアルを見ることはなくなるだろう。その代わりにチェックシートを使って、各自の仕事のチェックをさせるのである。ワークシート⑫あなたの会社の「開店マニュアル」をつくってみてください。

「仕組み」経営の条件⑧イノベーション22日々の業務のなかに「成長の仕組み」があるか?ガーバー流イノベーションは「トヨタ式カイゼン」に近いガーバー流「仕組み」経営に必要な条件の最後が、「イノベーション」である。イノベーションは一般に「革新」と訳されることが多いが、ガーバーが語っているイノベーションは実のところ、トヨタの「カイゼン」にかなり近い考え方だ。トヨタで伝統的に実践されている「カイゼン」とは、「作業効率の向上」や「安全性の確保」などに関して、現場の作業者が中心となって知恵を出し合い、ボトムアップで問題解決を図っていく活動のことである。この活動は一時的なものではなく、持続性・継続性が重視されているため、経営者がいちいち指示を出さなくても、自動的に仕事の質を向上させていくことにつながる。「業務の仕組み化」から「成長の仕組み化」へガーバーの語るイノベーションも、現場の作業者が中心となって知恵を出し合い、ボトムアップで問題解決を図っていくことに重きを置いている。つまり、従業員自らが改善を提案する組織になってはじめて、社長がいなくても発展していく組織になれるのである。すでに触れてきた数値化やマニュアル化が、社長不在のまま既存の仕事を回していくためのものなのだとすれば、イノベーションのほうは、社長抜きで仕事や会社そのものを「発展させていく」ために欠かせない仕組みだ。日常業務は従業員、イノベーションは経営者がやるべきものだと考えている人も少なくないかもしれない。しかし、ガーバーの「仕組み」経営では、これすらも従業員の日常業務のなかに落とし込もうとするのである。具体的に何を改善するのかといえば、すでに述べてきたマニュアルや数値化の仕組みである。社員が自らカイゼンできる企業というのは、経営者が何人もいるということに等しい。しかし、社長がいなくても成長を続ける企業になろうとするのであれば、こうした状態を

つくり出すことが不可欠なのだ。特に日本のサービス業では、製造業ではすでに一般的になっているカイゼン活動が、ほとんど行われていない。

「イノベーションミーティング」とは?それでは、社長が会社にいなくても、従業員たちが自らカイゼンを行い、会社を成長させていけるような状態は、どのようにすれば実現できるのだろうか?ここで「イノベーションミーティング」を紹介しよう。これは毎週1回、会議を行い、各従業員に「今日やろうと思っている新しいこと」を発表してもらうという方法である。たとえばレストランの従業員なら、「今日は新しく入ったオーガニックしょう油をレジ前に置いて、お会計中のお客様にご案内してみます」などと宣言させるのである。1週間後の会議では「オーガニックしょう油のご案内を開始して1週間経ちましたが、どうですか?」と質問して、結果を発表してもらうようにする。「ご案内しようとしても、会計のことに気を取られるので、うまく話をすることができませんでした。もう1人、ほかの人にレジを代わってもらって、そのあいだに私がご案内するほうがいいかもしれません。あるいは、注文時にしょう油を持って、ご説明する方法も考えています」このようにカイゼンを目的とした「場」をつくるだけでも、状況は大きく変わるはずである。

そのほか、数値化に特化した「数値化ミーティング」やマニュアルに特化した「マニュアルミーティング」も開催し、数値化やマニュアルの仕組みについて見直す機会をつくるのもいいだろう。ワークシート⑬イノベーションミーティングでどんなことができるか、書き出してみてください。

 

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