3章 会社を強くするための「シンプルで、簡単なこと」 ──「他者」と「他社」から学ぶ
「締め切りを守る」「ゴミを拾う」──強い社員の条件
なぜ「挨拶を徹底する」と「不良品が減る」のか
部長も社長も「さん付け」で呼ぶ
提案書のハンコは「三つまで」
知恵は「他社から借りる」
他社とは〝徹底的に〟交流する
反対勢力はゆでガエル状態で染めていく
「幹部は三年間、固定」せよ!
部下のモチベーションを上げる一つの方法
コンサルタントには組織は立て直せない
迷ったときは「難しいほうを選ぶ」
性格を変える、ではなく、行動を変える
3章 会社を強くするための「シンプルで、簡単なこと」 ──「他者」と「他社」から学ぶ
「締め切りを守る」「ゴミを拾う」──強い社員の条件
業界の最前線を走り続ける企業に共通していることは、非常にシンプルです。「挨拶をきちんとする」「ゴミを見つけたら拾う」「仕事の締め切りを守る」といった、小学校で教わるような、人としての「基本のき」が社員に浸透しているかどうか。これが、強い企業に見られる共通点です。人としての基本が組織の風土・社風をつくり、これが最後の砦になって、組織を守っていけるのです。皆さんの会社では、これらの基本は守られているでしょうか。守られていないなら、危険信号が灯っています。無印良品の業績が悪化したころ、「基本のき」は崩れていました。そこで、いまではこうした基本を社員に体得させるために、月ごとの目標として掲げることにしています。ただ目標を言い聞かせるだけではなく、実行できているかどうかを内部統制・業務標準化委員会という部門をつくって確認させています。さらに、全社員を集めた集会でその結果を報告し、達成率をアップできるように促しています。これは現在進行形で行っている取り組みで、今後もずっと続けていくでしょう。言い続けていないと、人は忙しさにかまけて基本をおろそかにしてしまうものです。社員からうんざりされようと、やると決めたことはやり抜く。それがリーダーに必要な実行力です。皆さんも、自分の部署やチームの指導で思い悩んでいるのなら、まずはこういった基本から徹底させてみてはいかがでしょうか。売上げの達成やコスト削減など、リーダーが果たさなければならない課題は数多くあります。しかし、砦がしっかりできていない場所に城をつくっても、簡単に攻め落とされてしまいます。遠回りのように感じるかもしれませんが、まずは砦をしっかり築き、それから業績をアップさせるための戦略を積み重ねていけば、必ず足腰の強いチームができるはずです。
なぜ「挨拶を徹底する」と「不良品が減る」のか
挨拶はコミュニケーションの基本です。私も早朝にウオーキングに出かけたときは、近所の人と会うたびに「おはようございます」と挨拶します。そこから簡単な会話を交わす人もいれば、無視して通り過ぎる人もいます。このようなちょっとした振る舞いに、その人の人となりが出るものです。無印良品では、店舗だけでなく、本部でも「挨拶の習慣」を徹底しています。社内では毎月の目標を決め、掲示板やエレベーターホールに貼り出しますが、挨拶の強化を月間目標にすることもあります。そのときは、私を含めた役員が毎朝交代で「挨拶当番」としてエレベーターホールに立ち、出勤してくる社員達に率先して挨拶をします。さらに、部門長に五段階の挨拶のチェック表を渡し、毎日の終礼時に達成できたかどうかを、部下に自己申告してもらいました。部門長が一方的に評価するのではなく、自己申告にしたのは、社員に「やらされ感」を持たせたくないからです。「やらされ感」の強い仕事は身につきません。ガチガチに縛って「やらせる」のは得策ではないと考えたのです。
なぜ、いまさら「挨拶」の話なのか、疑問に思う読者もいるかもしれませんが、それは、チームの信頼関係について考えるためです。結果をなかなか出せないチームがあったとしましょう。そのチームの根本的な問題は、「能力」ではありません。社員同士のコミュニケーションや、信頼関係の希薄さが不振要因になっている場合が多いのです。そのような状態では、どんな改善策を講じても、勝てるチームにはなりません。部下に訓辞を垂れるよりも、朝の「おはようございます」、退社するときの「お疲れさまでした」のたった一言を徹底する。これだけでも、信頼関係は築けるものです。一流の企業、一流のチームをつくり上げるには、毎日小さなこと、たとえば挨拶などを徹底して実行するしかありません。それも、部下に指示するだけではなく、まずはリーダーが率先して行動することが大事です。
ある時、社外取締役をお願いしている酒巻久さんが社長をしているキヤノン電子の工場を見学に行きました。埼玉県の秩父にあるのですが、チリ一つ落ちていない清潔な環境で、従業員の皆さんが生き生きと仕事をしています。工場のチーム力もすばらしく、不良品が見つかったときにはすぐに生産ラインをストップし、全員で不良品の原因を探ります。しかし、以前はこの工場も、決して素晴らしい工場とは言えない時期もあったそうです。その当時は、工場で働いていたのは、タイやフィリピン、中国などから派遣されて来た人たちで、日本語がわからない人も多かったようです。キヤノン電子は、一人または少数のチームでほぼ一つの製品をつくる体制(セル生産方式)をとっています。言葉のわからない人同士でチームを組むと、「ちょっとおかしいな」と感じてもそのまま次の人に渡してしまい、不良品を生む温床になっていました。ところが、ちょっとしたきっかけでコミュニケーションが密になると、問題は段々なくなったそうです。毎朝、工場の入り口に役員全員が並び、出勤してくる従業員全員に「おはようございます」と声をかけはじめました。徐々に従業員からも明るく挨拶を返してくれるようになり、やがて従業員同士でも、声をかけあって仕事をする雰囲気が生まれたそうです。それ以降、従業員が「おかしいな」と感じると、誰が指示するわけでもなくラインを止め、自然と従業員達が集まって原因を調べるようになり……、その結果、早い段階で不良品の発生原因を修正できるようになりました。しかも、半年間ほど不良品率ゼロという偉業も生んだのです。朝の挨拶というコミュニケーションが、不良品の発生を大幅に防ぐという結果につながったのです。実行力のある会社にするには何をすべきか。この問いに対する答えは、非常にシンプルで、「企業の風土を変える」という一点につきます。企業の風土とは、言い換えるなら社風でもあり、企業文化でもあります。他社に真似できない風土になったとき、どのような時代でも生き残っていける企業になるのは、間違いないでしょう。よく強い企業のお手本とされるトヨタやホンダは、確固とした風土を築き上げているから、トラブルに巻き込まれてもすぐに立ち直る底力を持っているのです。企業の風土を変えるのは、難しいことではありません。挨拶や社内のゴミ拾いといった、当たり前のことを当たり前にできるようになれば、最強の企業に生まれ変わります。
部長も社長も「さん付け」で呼ぶ
皆さんは、会社で部下や後輩をどのように呼んでいるでしょうか。相手が男性の場合は「おい、○△」、女性の場合は「ねえ、○△ちゃん」。このように呼んでいる人は多いかもしれません。そして、役職に就いている人は「○△課長」「○△部長」と呼ぶのが一般的でしょう。無印良品では、全員を「さん付け」で呼ぶよう徹底しています。部下に対しては、男性も女性も「さん」、上司に対しても「さん」です。もちろん私も社員からは「松井さん」と呼ばれ、社長の金井は「金井さん」と呼ばれています。会議という公の場でも、プライベートの会話でも、これは変わりません。多くの組織や部署では、目下の人を呼び捨てにしています。呼び捨てが当然の組織では、会長、社長、専務、常務、部長といったヒエラルキーが強く、上の役職の人に口答えできない雰囲気があるものです。確かに、こういうチームが、〝ある種の強さ〟を発揮するのは事実です。学生の部活動のように、上司や先輩の言葉にすべて「はい!」と答え、やみくもに従うチームは、リーダーにとっては統率しやすい面もあります。しかし、よく言われることですが、このような組織には限界があります。トップダウンの組織は、部下が自主的に働かない風土になってしまう。部下は指示待ち族となり、上司の目を恐れてミスやトラブルを隠ぺいするようになります。「上司に対しても、きちんと意見を言うようにしよう」といくら言葉で言っても、なかなかそのような雰囲気は変わりません。改善するには「上下関係のあり方」を形から変えることが必要です。そこで、無印良品では誰に対しても「さん付け」で呼ぶことを徹底しているのです。目下の人を呼び捨てにすると、コミュニケーションは一方的になりがちです。一方的なコミュニケーションでは、部下が気づいた問題点や課題、苦情がトップに上がっていかないという弊害を生みます。双方向のコミュニケーションが成立する状況があってこそ、はじめて現場の重要な情報が上がってくるのです。「さん付け」は、単に〝社内の風通しをよくする〟ためだけでなく、その先に〝情報・意見の風通しをよくする〟ためといえるでしょう。呼び捨てではないにしても、「◯◯ちゃん」や、ニックネームで呼びあうチームも、不安が残ります。
こういった呼び方をしていると、仲良しクラブや大学のサークルのようなチームになってしまいます。そのようなチームに生まれるのは信頼関係というより、馴れ合いです。実行力が伴うチームや部署をつくるには、お互いがお互いを敬い、信頼しあう風土づくりが大切です。上司が部下を「さん付け」で呼ぶのは、実行するのはたやすいでしょう。では、自分自身が「さん」で呼ばれるのはどうでしょうか。部課長という役職につきながら、新入社員からも「さん」で呼ばれることに納得がいかないのであれば、自ら壁をつくっているも同然です。そういう心が組織の風通しを悪くし、ものを言えぬ風土を形成してしまうのです。
提案書のハンコは「三つまで」
大企業になればなるほど、決裁のルートは長くなる傾向があります。まずは該当文書に担当者がハンコを捺し、その次に課長や部長が捺します。その後、経理部や法務部、人事部、システム部などの部署でも回覧されます。最終決裁者である取締役の手元に届く頃には、一〇個以上のハンコが捺されているというケースも珍しくありません。無印良品においても、かつて七つから八つのハンコが必要な時代がありました。たとえば店舗宛に日報や業務連絡を送るとき、発行部門の担当者と課長、部長のほか、全店舗の責任者である販売部門の責任者のハンコも必要でした。さらに、連絡事項に配送業務が絡む場合は物流部門に、伝票の運行が絡む場合には経理部門に、用度品に関係する場合は総務部門に、と連絡内容によってはあちこちからハンコをもらわないといけない状況でした。ハンコをもらうために担当者は文書を持って各部門を訪ねて、担当者が不在の場合はそこで作業がストップします。出社していても席にいなければ何度も往復しなければならず、まったく生産性のない慣習だったのです。文書の発行日から店に届くまでに中二日程度かかることもありました。そこで、「販売部門の責任者、主管部門の担当者と責任者の印鑑の三つだけでいいではないか」と提案したのですが、社内からは反発がありました。「せめて五つにしてください。出店計画に関することは、人事部も知っておかないと、採用計画をつくれません」「うちの部署も情報を流してもらわないと困ります」このような感じで、みんなが〝情報〟を欲しがるのです。これは、関連する部門の了承を取っておきたい主管部門の防衛意識と、自部門も権限を持っていたいという縄張り意識の表れです。このまま放置しておくと、部門利益が優先される、それこそ部分最適(*)の温床になってしまいます。何より、これでは意思決定の時間がかかりすぎて、実行力が発揮できません。そこで、やはり「ハンコは三つまで」と決めました。今ではさらに効率化が進み、イントラネットで本部と業務部門間の連絡をしています。これで、ハンコは必要なくなりました。もっとも、稟議書などハンコが必要な文書は現在もありますが、ハンコを捺すのは最少の人数で抑えるようにしています。決裁ルートが短縮されたおかげで、スピード感を持って物事を決められる風土になりま
した。何より、起案部門が責任を持って実行し、仮にうまくいかなかったときには責任の所在も明確になるようになりました。関連部門長の印鑑がズラリと並んでいるわけではないので、すべての部門の責任という曖昧な結論にはならないのです。市場の変化に敏感に対応できる組織をつくるには、決定権のある人が即決定し、即実行できるような仕組みづくりが必要なのです。
知恵は「他社から借りる」
無印良品で運用しているほとんどの仕組みは、他社の仕組みにヒントを得ています。オリジナルのものは、ほとんどないといってもいいかもしれません。知恵の源泉は、徹底して他社に求めているのです。どうして、他社を参考にすることを基本にしているのか。それは、「同質の人間同士がいくら議論をしても、新しい知恵は出てこない」という事実に尽きます。無印良品は二〇〇四年にはV字回復を遂げ、売上げも利益も絶好調でした。そうしたなかで、恩情型・年功的な人事制度の見直しを始めていました。多種多様な福利厚生制度を見直し、働いた実績に応じた直接人件費に振り替えるようにしていったのです。原資はまったく変わりません。ところが、労働組合からは「業績が好調なのに、なぜ福利厚生を削るのか」と強い反対意見が出ました。この意見を聞いた時、私は危険の芽がまた出始めたと感じました。企業の業績や経営がおかしくなる芽は、業績がよい時にこそ出てくるものです。そこで始めたのが、「30%委員会」というプロジェクトです。これは当時、売上高における販売管理費率が約三四%だったのを、三〇%にまで減らすことを目的に始めたプロジェクトです。結果的に、年間五四億円のコストダウンを実現できました。この30%委員会の委員長は、私自身が務めました。会議は毎週火曜日、二〇〇四年八月に第一回の会議を開き、以降二八〇回開催しています。議題は、コスト削減に関する施策全般についてです。残業のカットや備品にかかるコスト削減という小さなことから、店舗の賃料や内装の見直しによるコスト削減といった、無印良品の仕組み全体を改革しなければ実行できないものまで、さまざまでした。ところが、スタート当初、なかなか販売管理費を減らせませんでした。それどころか、逆に増えてしまったのです。役員や関係部署の人間が総出で、一生懸命、販管費が増えた原因を考え続けたのにもかかわらずです。これが、「同質の人間同士がいくら議論をしても、新しい知恵は出な」かった実例です。同じ環境で、同じような情報に接している人同士が、いくら新しいことを考えようとしても、限界があるのです。そこで、同質の人間がいない、「外」に知恵を求める必要があるのです。
「外」には、すばらしい経営をしている人がたくさんいます。このときは、下着メーカーのトリンプが「早朝会議」で話題になっていたので、私も見学に行きました。当時の吉越浩一郎社長が会議を仕切り、社員はトップを前にプレゼンして、その案の採否がその場で決断されます。ダメ出しがあれば、翌日までにアイデアを練り直してプレゼンに再挑戦です。五〇項目ぐらいの案件が一時間半の会議で次々と決定されていき、まさにスピード感あふれる会議でした。「これは吉越さんだからこそできる会議だな」と思う一方で、①必ずデッドラインを決めること、②資料は簡潔にすること、③意思決定が早い点など、参考になる情報は山ほどありました。そこで、「会議では必ずデッドラインを決定するところまでやる」「会議のための資料作成に時間をかけない」など、取り入れられる要素はすぐに取り入れました。その効果は大きいものでしたが、こうした〝知恵〟は、社内でいくら話し合っても決して出てこなかったでしょう。「どこ」にヒントを求めるか、という点も重要です。当初は無印良品も、〝超大企業〟を参考にしていました。企業をその規模にまで成長させたからには、ノウハウがあるのではないかと考えていたからです。しかし実際に話を伺っていくと、実はノウハウは大企業ではなく、〝中小企業〟〝創業者型の企業(トップのカラーが強い)〟、それから〝販管費が低い企業〟にこそあったのです。経営と現場の距離が大きく離れてしまった超大企業より、いつまでも現場力を維持している中小企業に実践的なノウハウが根付いているのです。もちろん、他社のノウハウがそのまま自分の組織で実行できるとは限りません。しまむらの例で述べたように、組織の文化や構造、働いている人達が持っているスキルは、それぞれの企業によって異なります。他社から学んだノウハウのポイントをつかみ、自分たちの組織で実行できるノウハウに〝翻訳〟する能力も大切です。他社の知恵を借りれば、まだまだ改善の余地があることに気付けます。そのためにも、内向きではなく外向きの視点を養わなければならないのです。
他社とは〝徹底的に〟交流する
しばしば、話題になっている企業の工場にバスを何台も連ねて何十人もの方々が見学に行く姿を見かけます。このような〝視察〟を何十回やっても、学べることはごくわずかでしょう。たいていは、「素晴らしい工場だった」と感想を述べて終わりです。他社から学んだノウハウを現場で実行できるようにしなければ、実りはありません。それには、トップ同士が交流するだけでは限界があります。徹底的に交流するには、現場の担当者同士で話ができるような関係づくりが必要です。たとえば、共同で勉強会を開催し、その後の懇親会などでざっくばらんに話せる個人のつながりを構築する。こうすることで、もし調達担当者がシステムについての課題に悩んだら、「ちょっと、あの人に相談してみよう」と、相手の企業の担当者に電話で相談するような環境を整えられるのです。今でも定期的に他社の方を招いて勉強会を開いたり、社内での集会で講演をしていただいています。ブルボンの吉田康社長、ホームセンター・カインズホームの土屋裕雅社長、ポイント(アパレル)の福田三千男会長兼社長など、第一線で活躍されている方々の話には重みがあり、物事の本質を突くような学びが多々あります。私は、「当社の常識は他社の非常識」と社員にも何度も伝え、普段自分たちが当然のように行っていることに疑問を持つよう、促しています。外へ目を向けないと自分たちのポジションを正しく把握できず、必要な改革ポイントに気付かないのです。以前、たまたま、しまむらとの勉強会の際に話題になったのが、商品に付けるタグの種類でした。しまむらの専務に、「商品に付けるタグシールは、何種類ありますか?」と尋ねたのがきっかけです。タグとは値札のことですが、無印良品ではここに商品名と、商品の「わけ」(商品がつくられた理由。素材や機能、環境視点など)を入れています。当時、無印良品には衣料品から文房具まで、すべての商品で二〇三種類のタグがありました。ところがしまむらは、衣料品がメインとはいえ、膨大な種類の商品をたった三種類のタグで管理していたのです。これを伺ったとき、自分達が当たり前だと思っていた二〇三種類が、いかに多いかをはじめて認識しました。まさに、自分達の常識が、他社の非常識だったのです。それぞれのタグは大きさもデザインも異なるので、相当コストがかかっていました。国
内外で二七社もの会社に頼んでつくってもらっている状態だったのです。無印良品にとってタグとは、いわば「商品の顔」。ここで無印良品らしさを表現しているので、タグに手を付けるのは誰も思いつきませんでした。しかし、改革のためなら、たとえ聖域であっても手を付けなければなりません。当時の商品担当常務にタグの見直しを頼んだところ、最終的には九八種類にまで絞られ、つくってもらう会社も二社に絞られました。大量発注する代わりに単価を下げてもらい、その結果、タグ関連だけで二億五〇〇〇万円と五〇%のコストダウンを実現できたのです。新しいアイデアを生み出すには、常に自分の知っていることがすべてではない、という謙虚な気持ちを持ち続けなければなりません。自分や組織にある〝当たり前〟を意識しながら、内向きにならず、外側からの刺激で自分の限界を壊す体験が必要なのです。経営の神様と呼ばれるピーター・ドラッカーも、「人間社会において唯一確実なことは変化である。自らを変革できない組織は、明日の変化に生き残ることはできない」と語っています。変化こそ成長の源泉であり、組織やチームに内向き志向が定着すると、死に至る病になるといえるでしょう。自分のチームや部署を成長させたいと、努力されているリーダーは多いと思います。そして同時に、思うように成長しない部下に頭を悩ませているかもしれません。私も、社長に就任して一年程経った頃、同じような悩みを抱えていました。そして最終的には、こういう結論に至りました。自分の器以上には、組織はよくならないのだ、と。いくら組織の仕組みや体制を変えても、結局リーダーの器以上には成長していかないものです。それならば、リーダーは、チームメンバーが異文化に触れられる環境を積極的につくりあげることが、責務なのではないでしょうか。
反対勢力はゆでガエル状態で染めていく人間は、本能的に変化に対して警戒心を抱きます。それが自分にとってポジティブな変化であろうと、ネガティブな変化であろうと変わりません。だから、改革やイノベーションに、周囲からの抵抗は付きものです。おそらく多くのリーダーは、チームや組織にいる抵抗勢力に対し、何度も説得を繰り返したり、必死に妥協点を探ったり、立場や権限で反論を押さえ込んだりしているのではないでしょうか。私は抵抗勢力に対し、そのような対応はしません。〝ゆでガエル〟状態にして、染め上げていく方法を取っています。ゆでガエルと聞くと、あまりいいイメージを持たない方も多いでしょう。一般的な解釈は次の通りです。カエルを熱湯にいきなり入れると、熱さのあまりに飛び出しますが、水に入れてから徐々に温度を上げていくと、温度変化に気づかないままゆであがって死んでしまいます。そのことから、ぬるま湯のような組織にいると、業績や環境の変化に気付きにくくなり、いつの間にか取り返しがつかなくなる──衰退していく組織の体質を表すためによく使われる表現です。実は、この〝ゆでガエル〟の現象は、改革の反対勢力を染め上げる方法としては有効なのです。変化に気付かないうちに、徐々にゆであがっていく。この痛みもかゆみも感じないような方法をとれれば、メンバーに痛みを感じさせずに改革を実行できます。たとえば、MUJIGRAMをつくるときも反対勢力は少なからずいました。そこで私は、反対勢力の彼らを、あえてMUJIGRAM作成の委員に任命しました。責任者として、積極的に作成に関わらざるを得ない状態にしたのです。そうすると、最初は〝仕方なく〟という気持ちもあるのでしょうが、やはり自分の得意であり、こだわりのある分野についての仕組みをつくるとなれば、知恵を出すようになっていきます。「ディスプレイはこれで統一したほうがわかりやすい」「この商品はこの位置に置いたほうが手に取りやすいのではないか」など、次々と個人のノウハウが、全社で共有する知恵になっていったのです。
こうなれば、もはや彼らは反対勢力ではありません。自分たちがつくり上げたMUJIGRAMですから、それを積極的に活用すべく、現場にも伝えるようになっていきます。そして、新入社員の研修はすべてMUJIGRAMをテキストに使うようにしました。無印良品で働き始めたばかりのスタッフは、〝真っさら〟なだけに、MUJIGRAMの理念やノウハウをすんなりと受け入れる素地があります。そして毎年MUJIGRAMで新人研修を行ったので、MUJIGRAMを仕事の基準にするスタッフが増え、自然と組織の色は変わっていったのです。同時に、店長の教育もしなければなりません。私は西友の人事部時代、新人スタッフの教育係もしていました。挨拶や身だしなみなど、基本的なことを教えると、しばらくはアドバイスどおりにできていました。しかし、数カ月後に店を覗くと、スタッフは挨拶も身だしなみもおろそかにしているというケースが相次ぎました。なぜそうなるのかと原因を考えた時、店長がいいかげんな仕事をしている店は、スタッフの仕事の仕方もいいかげんになると気づいたのです。最初は嫌々MUJIGRAMに従っていた店長も、本部から何度も指導されると、自分の仕事の仕方を改めるようになります。ここだけは、早めにゆであげないといけなかったので、多少の強制力は発揮しました。ゆでガエル方式は、時間と手間のかかる、回りくどい方法に思えるかもしれません。確かに、私も三年間は辛抱だと思っていました。しかし、結局はこれが一番の近道だと私は考えています。力で反対勢力を押さえつけたり、無理な妥協点を見いだしたりしても、それでは本当の意味でチームや組織を変えることはできません。メンバーが当たり前のこととして自然と体現するようになって初めて、本当の変化といえるのです。
「幹部は三年間、固定」せよ!日本は過去七年間でのべ七人もの総理大臣が就任しています。総理大臣に就いて半年もたたないうちに野党やメディアが内閣を攻撃し、世論が同調して支持率が低下し、与党内で責任を追及する声が上がって引きずりおろされる、という繰り返しでした。たとえどんなに優秀な人でも、ここまで短期間だと何もできないでしょう。周りの政治家はトップが代われば国を変えてくれるに違いないと、国の危機を他人事のようにとらえているのではないかと思います。さて、私がまだ社長に就任する前、衣料品部門の部長が三年間で五人も代わりました。三年間で、五人。単純計算でも、一人あたり約七カ月で交代です。衣料品の売り上げが落ちた時に、何が原因なのかを社内で話し合うと、「リーダーである部長が悪い」という結論になり、次々とクビを切っていたわけです。おそらく本書の読者には部長さんや課長さんも多くいるでしょうから、身につまされるような話でしょう。部署で問題があった時は、リーダーが全責任を負う。確かにそれは、一見筋が通っているように思えます。しかし、そこでリーダーを代えたところで、根本的な解決にはならないのです。ころころとリーダーを代えると、次にリーダーになった人はクビを切られるのを恐れて、無難な判断をしがちです。そうなると抜本的な改革ができないので、問題を先送りにするだけになります。結果的に、リーダー不在の体制になってしまうのです。私は社長になってから、主要幹部は三年間固定することにしました。これでリーダーも腰を据えて各部署の問題点を洗い出し、徹底的に改善できるようになりました。もちろん責任の所在をはっきりさせるのは大切ですが、それは個人の責任を問うためではなく、根本的な問題を探るためです。リーダー自身が問題点に気づき、改善しないことには実行力のあるリーダーにはなれません。私が無印良品事業部長になったばかりのころも、「あそこの店の売上げはどうして悪いのだろう」と課長たちに投げかけると、「あれは〝人災〟ですね、店長の運営の仕方が悪いんですよ」と言われました。それを聞いて、私は「まるで本質が理解されていないのだなあ」と驚きあきれたものです。人に責任を押しつけ、自分には関係ないと思っている。問題の本質に目が向けられず、
思考停止している。これでは、根本的な解決にはとうてい辿り着けません。このような意識を生む原因を考えると、それは大企業病に陥った企業にありがちな「縦割りの構造」にもあるのだと思い至りました。たとえば当時、「モノをつくる機能」を強化しようとして、商品開発部と生産管理部、在庫管理部の三つの部をつくり、それぞれに部長を置いていました。この三つの部が互いに連携し合うことが狙いでした。ところが思惑は外れ、互いに競い合うようになっていたのです。在庫管理部は在庫を少なくしようと、値下げをして商品を処分します。そうやって在庫のコントロールがうまくいき、社内で表彰されたこともありました。一方、生産管理部は工場の品質管理や生産性を向上させるのが仕事です。ここは工場を効率的に動かすために難しい商品をつくることへ難色を示すようになりました。商品開発部は、前にも述べたように、ヒット作を生み出そうと試行錯誤を繰り返している状況です。それぞれの部門がそれぞれの利益しか考えないようになってしまったのです。まるで現在の日本が直面している、行政における縦割り構造と省益重視の官僚主義による弊害と同じです。こうなると部門ごとに意見がぶつかりあい、責任をなすりつけあい、話がなかなか前に進みません。そこで、商品開発部のMD(マーチャンダイザー)をヘッドにして、在庫管理と生産管理の担当者をその下に置きました。すると一人の部長の指揮のもとに動かせるようになったので、物事がスムーズに進められるようになったのです。縦割りの構造を変えていくと横の連携が生まれ、それぞれの担当者に問題意識が芽生え、当事者意識を持てるようになります。そうして初めて、正面から問題に向き合える体制を整えられるのです。
部下のモチベーションを上げる一つの方法実行力のあるチームをつくるには、メンバーのモチベーションが高いことは必須条件です。当たり前の話ですが、やる気と積極性のあるメンバーでなければ、ビジネスにおける困難な課題に立ち向かえません。部下のモチベーションを保つためには、給料を上げることが一つの方法ではあります。しかし、一時的にモチベーションが高まるだけで、持続させることはできません。部下のモチベーションを上げ、チームや部署全体の士気を上げるのに必要なポイントは二つあります。それは、①やりがいを与えること、そして、②コミュニケーションです。組織の仕組みを整えることは大切なのですが、仕組みを変えるだけでは、ハードを変えてもソフトは古いままのパソコンと同じで、いずれ支障を来して動かなくなります。やはり、社員一人ひとりの心(ソフト)も無視できません。では、どのようにしてやりがいを感じてもらえばいいのか。これは、社員がその組織、あるいはそのチームに尊敬の念を抱くようになることが理想的です。例えばかつての西友の衣料品は、「ダサい」というイメージが世間で定着していました。そのため、そこで働いている社員は、西友で衣料品を買おうとは思っていませんでした。自分達が満足できない商品は、当然お客様も手に取らないでしょう。お客様が買わなければ売上げも伸びず、結果的に給料も上がりません。そうなると、社員も自分達の働いている組織に誇りがもてなくなってしまうのです。そのため、無印良品では社員自身が満足できる商品をそろえるよう心がけています。自分が欲しいと思う商品であれば、お客様にも胸を張って勧められるでしょう。そして、お客様に喜んでもらえると、それが自分にとっての喜びとなります。やりがいとは、目に見える数値や金額だけで生まれるものではありません。目に見えない喜びや感動にこそ、価値があるのです。部下のモチベーションが上がらないのなら、自分たちが満足できる商品やサービスを提供しているのか、再確認してみるべきでしょう。モチベーションを維持する二つ目のポイントが、「コミュニケーション」です。
とにかく伝達経路をシンプルにし、社員の意見や行動に対してしっかりフィードバックすることがカギです。部下が三人いて、一人にだけ情報を伝えなかったら、その人には不満が生じます。すべての部下に等しく情報を伝えるのは基本です。無印良品では「朝礼システム」というものがあります。毎朝、店に社員が出勤してきてパソコンを立ち上げると、画面にその日にやるべき業務や予算目標、伝達事項が自動的に表示される仕組みです。これを導入した理由は、店舗ごとに朝礼を任せると、店長によって伝える内容にバラつきが出てしまい、情報格差が生まれるからです。後になって重要な情報を知らされると、上司や組織に対して不満を感じてしまうものです。そのようなことが起こらないように、朝礼をシステム化して、情報伝達をシンプルにしているのです。無印良品の場合、会社組織という規模でコミュニケーションを徹底するためにシステム化していますが、部署レベルならメーリングリストで一括して伝達事項を伝える方法で充分かもしれません。また、無印良品では、「生産性を二倍に、またはムダを半分に」というWH運動(W=ダブル、H=ハーフ)を行っています。これもボトムアップの仕組みづくりの一環なのですが、各部門に改善のテーマを決めてもらい、成果を出せた部門には「松井賞」「ホームラン賞」といった賞で表彰します。わずかではありますが、金一封も渡します。このように、「あなたの働きを認めています」というフィードバックもコミュニケーションの一つです。賞を与えるところまではしないにしても、部下の仕事を評価するよう心がけるだけでコミュニケーションは円滑になります。そして、部下のモチベーションも保てるようになるでしょう。
コンサルタントには組織は立て直せない経営戦略にしろ、人材育成にしろ、社内やチームでは解決できない問題が出てきた場合、コンサルタントに頼るリーダーは多いのではないでしょうか。確かに、新たな気づきや最新の情報を仕入れるために相談するのは、有用かと思います。しかし、仕組みづくりや組織改革の実行をコンサルタント任せにしてはいけません。無印良品の業績が悪化したころ、さまざまなコンサルタントと肩書のつく人が連絡をくれました。セゾングループの幹部からの紹介で来る方など、さまざまです。仕組みづくりでいくつかの事案をお願いしましたが、はかばかしい成果が得られたケースはほんの一、二例でした。結局、外から作戦参謀を呼んでも、社内の人間が彼らを使いこなせなければ、結果は出ないのです。コンサルタントのノウハウが、必ずしもその組織やチームに役立つとは限りません。当たり前ですが、コンサルタントは、本人の専門分野や得意分野での問題解決の提案をしてくれます。しかし、それが問題の本質に迫っているとは限らないのです。コンサルタントが活躍するには、結局のところ、実行力のある社内のリーダーと共に行動するしかないのです。コンサルタントに問題点を洗い出してもらっても、それを改善するかどうかはリーダーが決めなければなりません。そこで社内の抵抗勢力に阻まれ、改革を断念するケースもあれば、トップ自身が、せっかくのチャンスを握りつぶす場合もあります。そもそもコンサルタント任せの組織では、未知の課題に直面した際に、自分たちでその解決策を生み出そうという風土や意識が失われてしまいます。何事も、人に教わって直すようでは身につきません。自分で問題点を発見し、それをどう直せばいいのかを考えない限り、自分のものにはできないのです。組織やチームの改革は、他力本願ではなく、自力本願でいくしかないのだと腹を括るしかないでしょう。
迷ったときは「難しいほうを選ぶ」「未来は予測不能だし、手本もない」とは、元日本IBM社長の椎名武雄さんの言葉です。ビジネスは、日々決断の繰り返しです。絶対に正しい答えがあるわけではなく、実行した結果、吉と出るか凶と出るかがわからなくても、「やるしかない」場面も多々あります。多大な開発費をかけて投入した新商品や新サービスの売れ行きが芳しくない。そのような局面は、誰でも経験しているはずです。そのまま売り続けるか、撤退するかといった決断の場面では、つい簡単な道を選んでしまいがちです。ただ、私の場合は、あえて難しい選択肢を選ぶように心がけています。それは難しい選択肢にこそ、問題を解決する本質が潜んでいるケースが多いからです。簡単に実行できる解決策は、確かに魅力的ですし、〝目の前の問題〟ならすぐに解決してくれるでしょう。しかし、その問題を表面的にしかとらえていないので、いずれまた同じ失敗を繰り返します。無印良品には、以前アウトレットのお店が七店ありました。私は毎年一つずつ閉鎖し、社長退任時は三店舗にしました。アウトレット商品とは、見込み通りに売れなかったり、シーズンが過ぎて売り場に置けなくなった商品を集め、値引きしてお客様に提供し、在庫を処分していく方法です。とくに衣料品の業界では、多くのブランドやメーカーが在庫処理の手法として採用しています。しかし、無印良品ではその方法に頼らず、シーズン中にすべてを売りきる仕組みをつくることにしました。春物は沖縄から投入し、秋物は北海道から投入します。衣服雑貨の物流費はそれほど高くはないので、たとえば佐賀の店では売上げが伸び悩んでいる春の商品を新宿の店に移動させる。このように場所を変えるだけで、瞬時に売れていくようになります。重要商品は先行してネットで販売すると、動向が事前につかめます。生産のアクセルを踏み、ブレーキを踏むためには、EDI(商取引に関する情報を、企業内で電子的に交換する仕組み)で海外の産地と結ばなければなりません──そういった努力と仕組みの改革が競争力となっていくのです。アウトレットで原価を削って販売する企業との差は歴然です。
未来は、リスクを取らない限り開きません。皆さんは、リスクを取るような仕事をしているでしょうか。そして、部下にもリスクを取るよう背中を押しているでしょうか。チャレンジしなくなったときに、リーダーとしての資質はなくなります。部下が簡単な方法ばかりを選び、冒険をしないのは、リーダーがそういった決断ばかりをしているからでしょう。リーダーが自ら難しい決断をし続けていれば、部下もリスクを覚悟しつつ実行できるようになるのではないでしょうか。
性格を変える、ではなく、行動を変える部下の〝意識改革〟をしたい時、抽象的な精神論で、部下の性格や考え方を変えようとする人がいます。「君はやればできるんだ」「気合いが足りないんだよ!」という根性論や精神論で発破をかけたところで、部下の性格は変わりません。自分の性格でさえ簡単に直せないのに、人の性格を変えようとするのは元々不可能な試みなのです。それでは、部下の意識や考え方をどう変えればいいのでしょうか。私は、行動を変えれば、人の意識は変わるのだと考えています。たとえば、無印良品にはブロック店長という、自分の店舗と同時にブロック内の他の店舗を指導する立場の人がいます。一般的な企業では係長クラスにあたる管理職です。当然、ブロック店長は性格も個性もそれぞれで、就任当初は必ずしも管理職に向いているとはいえない人もいます。しかし、そのようなブロック店長に対し、研修で管理職の心得を説いたりはしません。日々の業務の中で、自然と管理職にふさわしい行動が取れるような仕組みを用意しておくのです。具体的には、本部の監査室の担当者をブロック店長に同行させ、ブロック店長として取るべき行動や業務を、指導していくのです。ブロック店長が各店舗で確認しなくてはならない事項から、スタッフの評価方法まで、「この場面ではこうしてください」と逐一指示を出します。それも、できるようになるまで何度も同行させます。こうすることで、誰がブロック店長になっても業務が標準化され、ブロック店長に求められる役割を果たすことができます。そして、行動に結果が伴うと、自然と管理職にふさわしい考え方や意識が身に付いてくるものなのです。「立場や環境が、人をつくる」とよく言われています。はじめに人柄や性格ありきではなく、立場にふさわしい振る舞いになるよう、具体的に行動を変えていくのです。そのために基本の仕組みをつくり、個人で解決できるようなプラスαはそれぞれの判断にゆだねるという、個性を活かす余地も残しておきます。もし無口な部下に積極的にコミュニケーションをとってもらいたいのなら、人との関わりの重要性を説明したり、消極性を責めるのではなく、その部下が毎日周囲に声をかけないと業務が進まないような仕組みを用意すればいいでしょう。
意識改革とは、人の性格を変えるのではなく、仕事の仕方を変えることで、自然と実現できるものなのです。
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