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第1章部下の「可動域」を広げよ──成長の法則──

第1章からは、さっそく実践編に入っていきましょう。上司にとって大事な仕事のひとつは、部下を育てること。部下が仕事に対してどのような価値観を持っているのか?仕事を通して、どんな自己実現を果たしたいのか?それを理解し、支援することが、部下の成長につながります。

この章では、部下を「自分で考え、行動できるビジネスパーソン」に育てるためのフィードバックをご紹介します。

目次

部下の自己実現を支援する「3つの視点」

「会社は、個人の自己実現の場ではない」「理想を語るのは自由だが、現実は厳しいのだ」私も以前は典型的な会社人間だったので、そう思われる上司の気持ちはよくわかります。

とはいえ、序章でお伝えしたように、部下の自己実現を支援することが、部下の能力やパフォーマンスを高め、部下の成長につながることは事実です。

問題は、「その理想をどのように実現させるのか?」です。これには段階的なステップが必要です。部下の自己実現を支援するためのフィードバックは「3つの視点」から行います。まず最初に「部下の価値観を知る」という段階から始めます。

①「価値観」のフィードバック

価値観のフィードバックの目的は「部下の仕事に関する価値観を理解すること」です。価値観は人間の行動原理の中で最も重要な要素です。

なぜなら、人間は価値観というフィルターによって行動が影響されるからです(次の図を参照)。価値観は「好き嫌い」とも言えます。お客様と接する対面営業は好きだけど、机の上で数字とにらめっこする経理は嫌い、といったものです。

人と接するのが好きという価値観は「快の感情」と結びつき、営業をやってみたいという行動に至ります(積極行動)。反対に、人と接するのは嫌という価値観は「不快の感情」と結びついて、営業はやりたくないという「回避行動」を取ります。

このように、価値観は人の行動を決定づけるフィルターとして機能します。なので、「部下が仕事に対してどのような価値観を持っているのか?」をまず理解することが大事なステップとなります。

価値観のフィードバックの実践法

価値観のフィードバックを行う際は、テーマの秘匿性から、会議室(ZoomでもOK)などの1対1で話せる環境で行うことが望ましいでしょう。

事前に何について話すのかも部下に伝えておきます。「山田さんの仕事に対する思いや考え方を聞かせてほしい」とシンプルに伝えるだけでいいです。部下の仕事に対する価値観を理解するのが目的ですので、質問する以外は一切アドバイスする必要はありません。傾聴に徹することが大切です。

また、5分や10分では時間が足りず、理解も浅くなるので、30分から1時間を目安に行います。フィードバックする際は、次のような問いかけを部下に投げかけます。

「入社した当初はどんな気持ちで仕事に取り組もうと思っていましたか?」「入社した頃と今現在と比べて、仕事に対する意識や考え方は変わりましたか?」「仕事にやりがいを感じていますか?その理由も聞かせてください」「仕事が楽しいのはどんなときですか?反対に辛いのはどんなときですか?」「仕事で大切にしていることは何ですか?」

質問を投げかける際には、優しい眼差しで「部下の成長を願う」気持ちを持って語りかけるように問いかけましょう。部下からあまり答えが出てこない場合には、「具体化の質問」で促します。具体化の質問とは、「具体的には?」や「たとえば?」というフレーズを使って相手の話をより具体的に引き出す手法です。

たとえば、「お客様のお役に立ちたい」という回答は具体性がなく抽象的な内容です。ですので「お客様のお役に立ちたいとは、具体的にどういうことですか?」と聞いて、部下の価値観をより具体化していきます。

部下が答えてくれた内容についてジャッジしたり、アドバイスしたりする必要は一切ありません。まずは、部下が安心して落ち着いて話せるようにするためです(セキュアベースの確保)。もし、部下から言葉がうまく出てこなくても、傾聴しながら「待つ」ということがとても大切です。

なぜなら、部下が考えを巡らしているときに、上司が口を挟んでしまうと、集中がそがれて、違う方向に意識が向いてしまうからです。

あえて助け舟を出さずに、部下を信じて「待つ」ことは、部下の主体性を育むためにも、不可欠なプロセスなのです。そして、部下が話し終わったところで、最後に次の質問を投げかけます。

「話してみて何か気づいたこと、あるいは感じたことはありますか?」この質問はどんな場面にでも使える「振り返りの問いかけ」です。

この問いかけによって、部下は気づいたことや感じたことを自分の言葉で言語化します。

自分の言葉で話しているうちに「あっ、今わかった!」と感じた経験はないでしょうか?この言語化していくプロセスの中で、思考が整理されて悩みが解決したり、今まで気づかなかったことに気づいたりすることをオートクラインといいます(図を参照)。

オートクラインはもともと医学用語で「自己分泌」を意味します。このオートクラインの作用によって、仕事で大切にしたいこと(価値観)は何だったのかを確信する契機になったりするのです。

以上のように、価値観のフィードバックのやり取りそのものはシンプルです。ですが、実際にやってみていただくと、「部下のことを全然理解できていなかった!」と驚かれることでしょう。

それと同時に、部下がどれほど仕事に対して色々な考えや思いを抱いているのかを深く知ることができ、部下を応援したくなる気持ちが湧いてくるはずです。

部下の成長を支援するといったところで、この応援したくなる気持ちが上司にないことには、薄っぺらで形式的なサポートしかできません。その意味でも上司が部下の仕事に対する価値観を深く理解することは重要なのです。

②「視野拡大」のフィードバック

次のステップは、視野拡大のフィードバックです。その目的は「自己実現から社会貢献につなげていくこと」です。

仕事での自己実現が部下の成長につながることはお伝えしたとおりです。ですが、それだけでは発展性がありません。自己実現は単なる「自己満足」とは異なります。

部下の自己実現が社会貢献、すなわちお客様のお役に立つこと、さらには社会のより豊かな発展につながっていくことによって、その価値は本物になります。

独り善がりではない、発展性のある自己実現へと変化させていくために、視野拡大のフィードバックを行うのです。やり方そのものは、価値観のフィードバックと基本的に変わりません(時間は多少短くてもOK)。

問いかけ以外はジャッジもアドバイスもしないで傾聴に徹します。視野拡大の問いかけイメージは次のとおりです。

「あなたの仕事は、どのようにお客様のお役に立っていると思いますか?」「あなたの仕事は、どれくらい社会の暮らしを豊かにしていると思いますか?」「あなた自身がお客様だとしたら、あなたの仕事にどれくらい感謝しますか?」

部下が話しているときは傾聴し続けます。部下が話し終えたら、「振り返りの質問」をして、自分の仕事がお客様や社会とどうつながっているのか、想像を膨らませてもらいます。

実体験がなくても想像力を働かせることで視野が広がり、発展性のある自己実現へと変化していきます。発展性のない自己実現↓「営業成績を上げて、昇進昇給を果たす」発展性のある自己実現↓「当社の商品を広めて、お客様の笑顔を増やす」2つの違いは明らかです。

部下の自己実現が社会貢献という視点と結びついたとき、「会社のため」という会社中心の考え方を超越して、自然と会社の発展にもつながっていくのです。

③「軌道修正」のフィードバック

最後の3つ目のステップは、軌道修正のフィードバックです。その目的は「理想と現実とのギャップを解消していくこと」です。

部下が仕事で自己実現を成し遂げていく過程において、予想できない現実の壁にぶち当たることが多々あります。本書で扱う自己実現とは、「好き放題、気楽に働く」のような概念とは全く異なるものです。

ここでいう自己実現とは「自分らしさを発揮できて、やりがいも感じられる仕事を続けられること」を意味します。自己実現を成し遂げるには、時に本人が想像するよりも困難で辛いことを経験することもあるでしょう。

それゆえ、部下が挫折しそうになったり、現実から目をそむけたくなったりもします。そんなときこそ、上司が部下の応援者として、理想に近づくための軌道修正をサポートします。

フィードバックの基本的なやり方は、価値観のフィードバックと同じです。軌道修正の問いかけは次のようなものです。

「以前ほど今の仕事にやりがいを感じられていない理由は何ですか?」「仕事のやりがいを取り戻す方法があるとしたら、それは何ですか?」「今の仕事にまた別の価値や可能性を見出すことができるとしたら?」「これから数年先を見据えたとき、今の仕事はどんな価値をもたらしてくれる?」「これまで頑張ってきたことが、次の仕事に活かせるとしたらどう活かす?」

このような問いかけによって、部下は脱線しそうな状況から軌道修正する道を見つけることができます。部下が困難に直面しているからといって、毎回手を差し伸べる必要はありません。一人で困難を乗り切る術を身につけることも大切だからです。とはいえ、ずっと放置しておけばよいというものでもありません。

上司が答えを与えずとも、問いかけのフィードバックによって、部下は自ら考え、軌道修正していきます。以上、部下の自己実現を支援するためのフィードバックを3つの視点からお伝えしました。

私の人生を変えた「フィードバック」

このような適切な方法でのフィードバックには、その後の仕事人生を変えるほどの力があります。私自身の経験をお話ししましょう。

JICAで働き始めて5年目のことでした。多くのプロジェクトを任され、途上国の現場に何度も足を運ぶ中で、プロジェクト管理におけるチームワーク、リーダーシップ、モチベーションなどの大切さを痛感し、抜本的な改善が必要ではないかと強く感じたのです。

そのことを当時の上司に伝えたとき、上司のフィードバックはこうでした。「國武さんが、仕事で大切にしていきたいことは何なの?」それまでがむしゃらに仕事をしてきた中で、「何を大切にしたいのか?」という「価値観」について問われたのです。

私は答えました。「組織もプロジェクトも人ありきです。人を大切にできる組織のあり方を追い求めていきたいです」上司は深く頷いて「それは非常に大事なことだと思う。國武さんは、以前、海外の大学院に留学して自己研鑽したいと言っていたけど、今話してくれたテーマは、大学院での研究テーマにつながる可能性はあるんじゃないか?」と私に問いかけてくれました。

海外大学院留学は私にとって自己実現の一つでしたが、上司のフィードバックによって視野が広がり、組織の業務改善につながる具体的な視点を与えてくれたのです。

こうして、上司のフィードバックから着想を得た私は、留学の具体的な研究テーマが決まり、多忙を極める仕事の合間を縫って、超難関のLSE(ロンドン政治経済大学院)の留学試験のための準備を始めました。

しかし、その道のりは厳しく、何度も挫折しそうになりました。そんなとき、当時の上司は私の自己実現を心から応援してくれたのです。その上司から受けたフィードバックは今でも覚えています。

「もし、今諦めたら、一生後悔するんじゃないのか?」そのひと言で私は勇気づけられ、LSEに合格し、自己実現を成し遂げることができました。

その結果、組織の業務改善に貢献できただけでなく、独立起業後も多くのクライアント様のお役に立つことができたのです。部下の自己実現は、自己満足でも、単なる絵空事でもありません。

部下の自己実現を陳腐なものせず、発展性のある自己実現へと変えていく必要があります。そのためには、上司が広い視野をもって部下を見守り、応援し続けることが大切なのです。

「挑戦できる部下」を育てる

「リフレーミングのフィードバック」

今や世界で最も著名な実業家とも言われるイーロン・マスク氏。彼は波乱万丈の幼少時代を過ごし、彼の代名詞となる電気自動車や民間宇宙事業などの革新的事業の開発も苦難の連続でした。

そんなマスク氏ですが、こんな言葉を口にしています。

“Failureisanoptionhere.Ifthingsarenotfailing,youarenotinnovatingenough.”「失敗は選択肢の一つ。もし失敗していないとしたら、革新的なことをしていないということだ」私はエグゼクティブ・コーチとして、多くの起業家や経営者の挑戦をサポートしてきましたが、「失敗こそが最高の財産である」ということをいつもお伝えしてきました。

もし、失敗していないならば、何も挑戦していないということです。つまり失敗しない無難な選択しかしていないということ。無難な選択は成長をもたらしてくれません。最近、民間の調査会社が行った調査で興味深い結果があります。

人事担当者が若手社員に最も期待していることは「失敗を恐れずに挑戦すること」だったそうです(2020年8月、ジェイックによる調査)。

一方、若手社員の傾向として、「失敗に対する恐れが強く、挑戦や成功体験を積みづらい」という調査結果もありました(イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2020、日本能率協会マネジメントセンター)。

両者の間のミスマッチ現象は看過できるものではありません。これからの時代は、待ったなしの激動の時代だからです。IT革命以降、AI技術など各方面で劇的な変化が起こっていることは事実です。

「失敗を恐れて挑戦しない」という姿勢では、企業は今後ますます立ち行かなくなります。このような状況に対応するため、「恐れずに挑戦できる部下」へと変化させていくことが求められます。失敗を恐れず、挑戦する方向へと舵を切るには、リフレーミングのフィードバックが効果的です。

リフレーミング(reframing)とは、理想的な状態に向かうために、ものごとを認知する枠組みを別の枠組みで捉え直すことをいいます。

もとは心理学の専門用語です。

(事例)部下「田中課長、今度の新規事業、実際やるとなるとかなり難しそうで……」上司「なるほど。山田くんは本当はどうしたいの?」部下「挑戦したい気持ちはあります。でも、失敗したくないので躊躇しています」上司「正直に伝えてくれてありがとう。私からフィードバックするね。仮に失敗しても、その失敗を次に活かせるとしたらどうだろうか?」部下「失敗は成功の糧、ですね。やります。挑戦させてください!」上司「素晴らしい!上司としての責任は私が取るから。何かあったら相談してね」

太字の部分がリフレーミングのフィードバックになりますが、つまり、「失敗=失敗(避けるべきこと)」から「失敗=成功の機会(受け入れていいこと)」へと失敗の定義が変換されたのです(図参照)。

物事には必ず両面があります。長所は短所にもなり、短所は長所にもなる。物事は解釈次第ということです。この解釈の自由さを上手く活用したのがリフレーミングの手法です。

「リフレーミング」で留学に踏み出したクライアントの事例

エグゼクティブ・コーチとして、多くのクライアントの挑戦をサポートしてきた私ですが、こんなことがありました。そのクライアントさんを仮に鈴木さんとしましょう。

鈴木さんは、心がとても揺れていました。なぜなら、このまま会社に居続けるか、あるいは海外に留学してさらに自分の可能性に挑戦するか、の狭間にいたからです。

鈴木さんは30代半ばです。ご家族もいるので、会社に残ってそのまま働き続けるというのは安心安全な選択です。他方、海外留学してIT分野に関する博士号を取り、その専門性を武器に社会貢献事業を展開したいという高い目標も持っていました。

まさに人生の岐路。右か左かを決断する状況だったわけですが、彼はどちらの道を選択したのでしょうか?コーチングセッションの中で、彼が相談してきました。

「留学は私のわがままで、家族を犠牲にする選択かもしれません」私は、彼の顔の表情、声のトーンなどにも意識を向けながら質問しました。

「私は、鈴木さんの可能性を信じています。自分の心に正直に聞いてみてください。もし留学が幸せをもたらす選択だとしたら、本当はどうしたいのですか?」鈴木さんは、深くため息をついて、それからしばらく考え続けました。

私は一切言葉を発せず、ただただ彼からの答えを待ち続けました。5分、10分は経ったでしょうか。彼が重たい口を開きました。

「決めました。留学することにします。僕だけでなく、家族も幸せにする選択です」彼の揺るぎない決心を、私は心から祝福しました。本当に勇気がいる決断だったと思います。

将来が保証されているわけでもない海外留学という挑戦だったわけですから。その後、彼は見事に留学を実現し、家族とともに海を渡り、大活躍されています。

そんな彼が留学後に私にメッセージを送ってくれたことがあります。「國武コーチ、僕が留学を決断できたのは、あの時の國武コーチの質問が大きなきっかけでした。そして、僕の可能性を信じてくれていたこと。

何も言わずにずっと見守ってくれましたよね。そのおかげで今の僕があります。本当にありがとうございました」「失敗するのが怖いなら、やめておけ」というのは簡単です。しかし、それでは部下は成長する機会を逃してしまいます。部下の可能性を信じて、失敗を恐れず挑戦することを上司が心から応援する。だからこそ、上司からのフィードバックは部下の心に届くのです。

「自分で考えて、結果も出せる部下」の育て方

「部下には主体的に行動できるようになってほしい」こう思っている上司は今でも多いです。主体性は、近年、企業が社員に求める能力として常に上位を占めています。主体性とは平たく言えば、「自分で考えて行動できること」を指します。

主体性がクローズアップされた背景には「指示待ち社員」に対する不安があります。このままでは、会社の将来が危ぶまれるという企業側の危機感が強くなったのです。そこで各企業は、人材育成にコーチングを導入するなど、部下の主体性を発揮させる様々な取り組みを行いました。

その結果、ある程度、自分で考え行動できるようになったものの、「結果が伴わない」という事例が多く聞かれるようになりました。原因は様々ですが、大きな要因の一つは部下の主体性を発揮させようと、部下を「放任してしまう」ケースです。部下に仕事を「任せたつもり」になっていて、実際には「放任されている状態」というのが実態でしょう。

このような放任状態が「結果が伴わない原因」の一つになっています。では、「主体性を発揮させながら、結果も伴わせる」にはどうしたらいいのか?

「結果を導く」フィードバック

まず、最初の入り口では、主体性を発揮させる質問で部下が自ら考え行動できるようなきっかけをつくっていきます。やってしまいがちなパターンは、「今度の新規案件は、こんな感じで進めてもらいたいけど、いいかな?」です。

確かにやり方を示されているので、部下はやりやすいでしょうし、上司としても安心なのかもしれませんが、これでは指示待ちと変わりません。

そうではなくて、たとえば、「今度の新規案件、田中さんとしては、どう進めていきたい?」という感じで、部下の考えや意見をまず聞くのが正解です。

自ら考える癖をつけてもらうためです。そして次からが問題です。部下が仮にこう答えたとします。

「今度の新規案件ですが、できるだけ早く結果が出せるようにチーム一丸となって、一生懸命がんばりたいと思います」そこで上司が、やる気満々の部下の目を見て、「よし、がんばれ!」とフィードバックしてはいけません。

これが放任の状態を招くからです。そこで上司がフィードバックすべきポイントは、「結果が出るまでのプロセスを明確にさせる」ことです。先ほどの部下の答えは、部下が思いを述べているに過ぎません。

部下の思いを受け止めること自体はとても大切なのですが、結果を出してもらうためには、思いだけでは不十分です。上司としては、部下の思いを受け止めつつ、「結果が出るまでの手順について聞かせてくれませんか?」と部下にフィードバックするのです。

結果を生み出すのはあくまで「正しいプロセス」です。「偶然、結果が出ました!」ではビジネスになりません。正しいプロセスがあるからこそ、一定の確率で予期した結果を得ることができるのです。

部下が質問に対して、結果に至るまでの正しいプロセスを答えることができたら、最初の大きな関門は突破したと言えるでしょう。

他方、もし正しいプロセスを答えることができなければ、上司が正しいプロセスを教えるのではなく、まずは「そうすると、なぜそういう結果になるのか聞かせてくれる?」という感じで質問を投げかけ、部下の考えを丁寧に聞いていきます。

部下からどうしても正しい答えが出てこない場合には、「正しい手順をどうやって見つける?」と聞きます。部下が自分で調べてみるというのであれば、それを尊重しましょう。

部下がギブアップしてどうしても上司からアドバイスがほしいと答えた場合のみ、正しい手順を教えてあげるのです。これは、出し惜しみでも何でもなく、「部下の主体性を育むため」であることを忘れてはなりません。結果に至るための正しいプロセスが明確になったら、部下を放置状態にしないためにも、「プロセス管理」が大切です。

プロセスを管理するフィードバック

プロセスを管理するフィードバックは、結果を出させるためにも重要です。まず上司が押さえるべきポイントは、必要最低限の要所に絞って、進捗を確認するということです。

いわゆる「マイクロマネジメント」にならないようにすること。マイクロマネジメントは、部下が信頼されていないと感じてやる気を失うだけでなく、余計な時間や神経を使うことにもなり、上司にとってもマイナスです。要所については、部下と事前に確認しておきましょう。

たとえば、情報収集、調査分析、企画検討、関係者との接触、案件の提案・契約、案件実施、中間評価、案件の終了、事後評価など、上司と部下が進捗を確認しあう各段階を明確にしておくことです。

お互いにチェックポイントを確認しておくことで、より確実に結果に近づいていきます。何かトラブルや改善すべきことはないかも含めて、当初の予定通り進んでいるかを確認することも大切です。

進捗が良い場合には、「案件が上手く進んでいる理由は何だと思いますか?」とフィードバックして、成功体験を言語化してもらいましょう。

成功パターンを言語化することにより、結果に至るための成功確率を少しでも上げていくのです。反対に上手くいっていない場合には、「改善できることがあるとしたら、何でしょうか?」とまずはフィードバックして、自ら解決策を考えさせることが大事です。

安易に答えを与えて「すぐにやり直せ!」のような指示命令はしません。部下は萎縮して、自分で解決しようとする力を失い、指示待ち人間になります。部下が自ら考えて行動し、結果までも出せるようになるには、時間がかかります。

上司が焦る気持ちもよくわかります。教えてしまったほうが早くすむのも事実です。ですが、焦って答えを与えてしまうほど、部下は育たなくなるのです。

ビジネスは長期戦です。今だけしのげればよいわけではありません。じっくりと部下を育てるという視点を持って、部下と関わり続けることが、結果を出せる部下を育てることにつながるのです。

部下の「可動域」を広げる

ぬるま湯につかっていると気持ちいいものです。気持ちいいものだから、長くつかっていたくなります。それ自体、何ら悪いことではありません。

ですが、ぬるま湯に長くつかっていると、手足がふやけてシワシワになります。ビジネスも似たようなもので、コンフォートゾーン(快適領域)に長く居続けると、思考力や行動力もふやけて、成長が鈍化します。

部下が成長するためには、時折コンフォートゾーンを抜け出し、可動域を広げることが大事です。可動域とはキャパシティーのことで、ここでは能力幅(仕事を遂行する能力の大きさ)を意味します。

この可動域(能力幅)を広げるには、コンフォートゾーンから抜け出る必要があります。つまり、「限界から一歩踏み出す」ということです。

ところで、我々はよく「限界」という言葉を使いますが、そもそも限界とは何でしょうか?限界には二種類あります。それは「物理的な限界」と「思い込みの限界」です。

たとえば、「風速40メートルに耐えられる壁」に対して、その風速を超える風が吹いたら、当然壁は壊れます。これが物理的な限界の例です。

一方、思い込みの限界とは、自分の心が決めた心理的な限界であり、単なる思い込みです。たとえば、月に10件契約を取ることが自分の限界だと思いこんでいた人が、なにかのきっかけで月に30件の契約を取ることができてしまった、などです。

物理的な限界は超えることができませんが、思い込みの限界は超えることが可能です。ではそもそも、限界はどうやって作られるのでしょうか?限界は「自分の過去の経験」から作られます。

さらに一般常識や自分の限界を証明するかのような出来事が起こることで、限界が強化されることもあります。

たとえば、中学生や高校生の頃、英語のテストで赤点ばかり取っていた人は「自分は英語ができない」と限界をつくります。さらに親や兄弟も英語が苦手だったとすると、「英語ができないのは遺伝も原因なんだな」と限界が強化されるわけです。客観的に見れば、その限界は単なる「思い込み」に過ぎません。

実際、英語が大の苦手で英語は全くできないと思っていた人が、社会人になってから英語を学び直してみたら、英語の達人になったという例はたくさんあります。にもかかわらず、この「思い込み」という限界は、とことん自分の可能性を否定し、縛りつけます。

私はエグゼクティブ・コーチとして、クライアントがこの「思い込み」という限界に縛られて動けなくなっているケースを何度も見てきました。

限界というのは、自分自身が勝手に作り上げている幻想に過ぎないにもかかわらず、本人にとっては、「歴然たる真実」として認識されてしまっているのです。では、このやっかいな「思い込みの限界」にどう対応したらいいのでしょうか?

限界を乗り越えるフィードバック

限界、つまり「思い込み」を外す効果的なフィードバック手法の一つに「Asifフレーム」があります。Asifは「もし、~なら」という仮定をイメージさせる語法に由来します。具体的には「もし、◯◯できるとしたら、どのようにできますか?」と問いかけます。

この問いによって、部下は「自分はできない」という思考停止の状態から解放されて「できるようになるには、どうしたらいいか?」という前向き思考に変化します。某企業の管理職のクライアントで部下の育成に悩んでいる方がいました。

その部下は自己肯定感が低く、引っ込み思案なタイプで「私にはできません」が口癖だったようです。そこで私は「Asifフレーム」を使うのが効果的であること、また、特に思い込みが強い場合には、「もし少しでもできるとしたら……」と段階的に部下の思い込みを弱めていくよう伝えました。

その結果、「できません」が口癖だった部下が「ちょっとやってみます」と言い出したのです。この反応の変化には驚いたとクライアントの方はおっしゃっていました。「少しくらいなら、できるかもしれない」という感覚が湧いてきたら、最初の関門は突破です。

時に「思い込みの限界」は強力だったりするので、少しでも思い込みが弱まれば十分です。思い込みが弱まるだけで、部下は限界の枠を超えて一歩前進することができるのです。

限界を一歩超えて部下の可動域を広げていくには、成功体験を積み重ねることも大事です。限界を超えるということは、本人にとっては「未知の領域」です。未知の領域は、未体験ゾーンなので不安だらけです。

この不安を払拭して、揺るぎない自信を構築していくためには、成功体験を積み重ねることがとても効果的です(図参照)。

ここでいう成功体験とは、未知の領域における目標を達成することを指します。未知の領域における目標は、既知の目標とは異なり、難易度が質・量とも格段に高い目標です。それゆえ、100%完璧に達成しようとすると、挫折したりして完全に自信喪失となるリスクもはらんでいます。

とある人材育成関連の分野で起業して2年目の40代のクライアントの方のお話です。初年度はなんとか目標達成できたものの、2年目の業績が伸び悩んでおり、売り上げを増やさなくてはならない状況でした。社員は3名でマンパワーは足りない。でも人は増やせない、という中でなんとかしなくてはならない。まさに限界を超える必要があったのです。

これまでは、一人あたり毎月1~3件ぐらいのペースで取引先と契約していましたが、資金繰りの関係もあり、毎月10件程度の契約を取るという目標を立てました。これは社員にとっては、まったく未知の領域です。

クライアントの方は、「どうしたら社員のパフォーマンスをさらに上げることができるのか教えてほしい」と私に相談されたのです。未知の領域での成功体験を積み重ねるポイントは、「目標を細分化する」ことです。

私はこのようにお伝えしました。

「いきなり毎月10件の契約を取ることを目標にすると心理的プレッシャーで押しつぶされる可能性があるので、1日1件の契約を取ることを最初の目標にしてください」10件という目標は意識しないで、日々の小さな目標を達成することだけにフォーカスするというやり方です。

この手法は「スモールステップ」とも言われますが、このように小さな成功体験を積み重ねることによって、可動域が徐々に広がっていきます。

つまり、未知の領域が既知の領域へと変わることで、可動域は広まるのです。後日、そのクライアントの方から報告がありました。

「当初毎月10件契約を取るように頑張ってくれと檄を飛ばしたら、社員から反発を食らいました。

でも、國武さんに言われて、1日1件の契約を取ることだけに集中してほしいと伝えたところ、まずはやってみますと前向きに取り組んでくれたんです。そのおかげでほぼ毎月10件程度の契約を取れるようになりました」大きな成功は小さな成功の積み重ねの結果です。

コンフォートゾーンを抜け出すには勇気がいります。いきなり大股で進もうとするのではなく、小股で小さな一歩から歩み出す。その小さな一歩が積み重なるといつの間にか未知の領域は、既知の領域に変わるのです。

最後に一つ大切なことをお伝えします。部下は多かれ少なかれ「思い込みの限界」を持っています。その限界を超えていくのは部下自身です。とはいえ、上司のサポートは必要です。その際大切なことは、上司が部下を限界づけないこと。

「こいつはダメだ」とか「あの部下には無理だ」とか、部下に対してレッテルをはった瞬間から、部下の成長機会は失われるということです。

上司であるならば、部下の無限の可能性を信じて関わってあげてください。それは、上司自身が自分の限界(思い込み)を突破することでもあるのです。

限界を超えるというのは、今までの自分の限界を超えて、新しい自分の未知なる領域に踏み出すということです。その領域に踏み込んだとき、部下は大きく成長していきます。

同僚とは「競争しない」

「この競争社会で勝ち抜いた者だけが生き残るんや」関西人の上司が私に言い放った言葉はいまだに記憶に残っています。当時、大手都市銀行に勤めていた私は、周囲に負けじと必死に頑張って働きました。

「同期だけでなく先輩も全て競争相手か……」そう思い込んだ私は全く気が抜けませんでした。職場の人間に心を許すこともありませんでした。

そうなると人間関係は必然的にギスギスしてきます。気が抜けない、油断できない、そんな状態が続いて、私はプレッシャーとストレスで倒れました。

人生初の救急車を経験したのはそのときでした。倒れたことがきっかけで、私は他者と競争するのをやめました。同期や先輩は競争相手ではなく、同じ仲間だと思うようにしたのです。

仲間だと思うようにしてから、状況は一変しました。同期も先輩も以前とはうって変わったかのように、私を支えてくれるようになったのです。

私の仕事のパフォーマンスも嘘のように上がりました。プレッシャーやストレスから解き放たれ、胃薬の世話にもならなくなりました。

嫌に感じていた仕事も楽しくなり、笑顔も格段に増えました。「他人との競争はやめよう、競争するなら自分と競争しよう」心身を患って得たこの教訓は、それからの私の人生にも大きな影響を与えました。

この話はかなり昔の出来事ですが、職場での競争に疲れ果てて、心身を病む人や自分を見失ってしまう人は今でも後を絶ちません。

人も組織も同じですが、競争というのは、幸せをもたらしてくれません。他者(他社)との競争は、他者(他社)に振り回され、妬みや劣等感を生み出す元にもなります。

身内どうしの足の引っ張り合いや、お互いが疲弊するような競争は効率的ではありません。本来、人や企業が意識を向けるべきは、他者(他社)ではなく、お客様と社会なのです。

「お客様や社会に対して、どれだけお役に立てるか?」に意識を向けていれば、競争という非効率なサイクルに振り回されることはありません。向けるべき本来のベクトルは、お客様と社会であることを再確認すべきです。

どのように「自分」と競争するか

では、他者と競争させないで自分との競争を促すにはどうしたらいいか?次のフィードバックの例を比べてみてください。

「先月の鈴木先輩の売上高を超えるには、これからどう行動しますか?」◯「先月のあなたの売上高を超えるには、これからどう行動しますか?」他人との競争は、他人が基準になります。

なので、振り回されます。妬みや劣等感の元にもなります。一方、自分との競争は自分が基準になります。つまり、振り回されることもなく、妬みや劣等感も生まれません。

「他人と競争しなければ、成長しないのでは?」という不安を感じる人もいますが、他者と競争するのではなく、他者を参考にすることで、自己基準を高めることはできます。

自分基準を部下に持たせることが、部下の成長を促す一つの鍵となります。とはいえ、企業には売上目標など、組織全体あるいは部署ごとの「組織としての目標」があります。

ですので、上司は組織としての目標が達成されるように、部下に対して目標基準を明確に示す必要があります。この目標基準を標準点とし、「部下がどれだけ標準点を超えていきたいか?」が、自分との競争になります。要するに自分基準の中で決めてもらえばいいのです。

完璧主義という最大の敵

自分との競争の中で、最大の敵は「完璧主義という自分」です。周囲から見て、とても優秀な人がこの完璧主義に囚われて、どれほど努力しても満たされることのない無間地獄に陥っているのを何度も見てきました。

この完璧主義は、完璧でないと動けない、完璧でないと自分が認められない、という頑固でやっかいな自己基準です。エグゼクティブ・コーチとしての経験上だけでなく、世間一般的にも、完璧主義の傾向が強い人はかなり多い印象です。

完璧主義に縛られて身動きがとれなくなると、仕事のスピードは格段に落ちます。変化スピードの著しい激動の時代において、スピードを失うことは致命的です。

完璧主義はスピード化が求められる時代に合わず、心理的なストレスも大きいことから、手放すのが正解です。もし、部下に完璧主義の傾向があれば、できるだけ早い段階で完璧主義を手放せるようにフィードバックを行います。

部下が仕事をサボっているような場合は論外ですが、「期限までに仕事が完了していない」、「仕事が遅々として進んでいない」、「資料作成にこだわり過ぎている」、「メールの文書など、不必要に詳細に書き過ぎている」など、このような傾向が見られたら、一度部下と対話の機会を持ちましょう。

部下に対しては単刀直入に「完璧にやろうとしていないか?」あるいは「完璧に準備してから動こうとしていないか?」とフィードバックしてみてください。

部下は部下なりに一生懸命頑張っているつもりでも、完璧主義は本人にとっても組織にとっても弊害になります。5~7割で自分にOKを出し、スピード重視で仕事を進めること。

残りの不十分なところは、走りながら軌道修正していくのが効率的です。注意いただきたい点は、部下が完璧にやろうとしていること自体を否定するようなフィードバックはしないということです。

「完璧にしなくていいから」完璧にしなくていい、といきなり言われても急に行動を変えることは難しいです。また具体的でないので、どうすればいいのか部下は戸惑います。

また、自分が否定されたと受け取られる可能性があり、悪循環です。◯「5~7割できたら報告してもらっていいかな?」これであれば、すぐに対応できます。

これまでの行動を急に変えることなく、5~7割できたら報告すればいいだけですから。否定的な言い方でもないので、気落ちさせることもありません。

完璧主義という最大の敵を倒すことができれば、自分との競争に集中できます。他者との競争ではなく、他者を仲間として受け入れる。自分との競争に集中して、今日の自分より明日の自分を目指す。向かうべきベクトルは、お客様と社会に貢献することなのです。

コラムフィードバックは「1on1」を活用する

ここ数年、アメリカのシリコンバレーに端を発し、グーグル、ヤフー、マイクロソフト、インテルほか、日本の東証一部上場企業においても「1on1」(ワン・オン・ワン)という名称で1対1のマネジメント手法が普及しています。

1on1は1対1の人事面接、あるいは業務の打ち合わせなどとは異なります。また単に1対1で顔を合わせればいいというものでもありません。では、何が異なるのかというと、「1対1のコーチング」と言えるでしょう。

1on1では、コーチングが主たるコミュニケーション手法となります。そのため、1on1を機能させるには、上司の側がコーチングスキルをある程度身につけて、コーチとして部下と関わることが大切な要件となります。

本書では、コーチングのスキルについて体系的にお伝えすることはできませんが、フィードバックのスキルはコーチングスキルの一種でもあるので、機会があれば、ぜひコーチングの基本を身につけられることをお勧めします。

そもそもフィードバックは、1on1を活用して行うほうが望ましいのですが、その理由はいくつかあります。一つは「心理的安全性(セキュアベース)」です。

心理的安全性が確保されていなければ、部下は心を開いてコミュニケーションすることができません。当然、フィードバックも機能しなくなります。

なので、1on1で第三者に干渉されない安心安全な場をつくり、お互いが守秘義務を守る必要があります。

もう一つは「ラポールの構築」です。1on1は通常、週に1回、あるいは隔週1回、最低でも月1回といった頻度で継続的に行われます。

これにより、ザイアンス効果(単純接触効果)が高まり、上司と部下との間に親近感が生まれます。1on1では、コーチングの手法をふんだんに活用するので、パフォーマンスの向上、モチベーションの向上、目標達成を容易にする、リーダーシップ力の向上など、様々な効果が期待できます。

このようなことから、1on1の枠組みを使ってフィードバックを行うと、その効果が最大化されます。では、1on1の基本的な実践方法ついて紹介します。

【1on1の基本的な実践方法】

(所要時間の目安は1時間)1on1の基本プロセス1on1の基本プロセスは、組織行動学者のデビッド・コルブが唱える「経験学習モデル」を参考にするといいでしょう。

コルブは、体系化された知識やノウハウを受動的に学習する手法と区別して、実際の経験を通じ、それを省察(内省)して概念化することでより学びを深めることができると唱えています(図参照)。

この経験学習のプロセスと組み合わせながら、1on1の実施ステップを踏んでいくと効果的です。

【1on1の実践7ステップ】

ステップ1(経験後の振り返り)

前回の1on1以降、どのような変化があったかなど進捗も含めて振り返りを行います。「振り返ってみて、どのような気づきや学びがあったか?」について話してもらいます。コーチ側(上司)はアドバイスや意見は求められない限りしません。

ステップ2(テーマ設定)

テーマはコーチ側(上司)ではなく、部下が設定します。「話したいテーマ(悩みや課題など)は何か?なぜそのテーマを扱いたいのか?」について話し合います。

ステップ3(現状の明確化)

「今どのような状態にあるのか?」について現状を明確にしていきます。コーチ側(上司)は、具体化の質問(具体的には?)や視点を変える質問(もし、自分が社長だとしたら、この現状がどう見えるか?など)を部下に投げかけることで、狭い視野から抜け出し、より広い視野で現状を認識することができます。

ステップ4(理想の明確化)

現状が明確になったら、今度は「どのような状態が理想なのか?」を明確にしていきます。その際、部下の思考に限界を作らないように、可能性の質問(「もし、自由にできるとしたら、どうしたい?」など)を使います。制限をかけないように「すべき(haveto)」ではなく、「したい(wantto)」にフォーカスしてもらいます。

ステップ5(ギャップの解消)

現状と理想の状態が明確になれば、現状と理想とのギャップが明確になります。コーチ側(上司)は、可能性の質問などを使いながら、部下にギャップを解消するためのアイデアを出してもらいます。部下から出てくるアイデアがどのようなものであっても、否定することなく、できるだけ自由に話してもらうことが大事です。ここでも上司は相手から求められない限り、アドバイスは行いません。部下の主体性を発揮させるためです。

ステップ6(行動目標の明確化)

現状と理想とのギャップを解消する方法が明確になったら、「何を、いつまでに、どのような方法で行動するのか?」を明確にして、具体的な行動目標を設定します。そうすることで部下も行動しやすくなります。

ステップ7(コミットメント&勇気づけ)

最後は、部下が自ら行動をやり遂げるためのコミット(意思表明)をします。コミットはあくまで部下からの発意であり、コーチ側(上司)の強制であったりしてはなりません。「どこまでやるか?あるいはやらないのか?」も含めて自らの意思でコミットしてもらうことが大切です。コーチ側(上司)は、部下のコミットに対して勇気づけを行います。「応援するよ」「見守っているよ」「何かあればいつでも相談してね」など部下のサポーターであり続けることが大切です。

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