Chapter6 実践編:役割行動級制度の導入・移行法
役割行動給嗣震の導入•移行法
行動を評価や賃金の
「ものさし」とする制度
中小企業の特徴に合った仕組みと言える
C 数多の中小企業の事例からつくり上げた制度
中小企業に適した人市・負金制}迂として挙げたもうひとつの制皮、役割
行動給制度は、百社をゆうに超える中小企業で、平占が経営名や社はとさ
まざまな議論を重ねながら、改苦を繰り返してつくり上げてきた制皮です。
頂名はこの役割行動給制度が、中小企業における今後の人・ド制度のスタン
ダードになるはずだと考えています。
この制疫については読者の多くもご存じないかと思いますので、ここで
はその甜入法や迎用法について、若千多めの祇数を使って説明します。
紀、アクテンシー(役割行動)が基準
役割行動給制度では、社いの具体的な「行動」を碁準として、評価や処
遇を決めると前述しました。基律に「能力」を使う朦能給制疫では、汽
格等級珪準占や等級基準概淡古によってその能力を定義しましたが、役
割行動給制度でも同じように、「役割行動等級基準書」などを作成して、
その行動を定義します(事例③→ P73)。ここで定義されている行動を、
Aclion (アクション:行動)の頭の音を取り、前述したコンビテンシーに
似せて「アクテンシー」(あるいは「役割行動」)と箪者は呼んでいます。
そして、これらの期待される「行動」は、当然ながら等級や職種別に異
なります。それぞれの立場ごとに会社に期待されている行動、これこそが
アクテンシー=役割行動です。能力ではなく、日に見える行動が店準で、
その行動を実際にしたかどうかが問われるわけです。当然、どんな役割行
動を設定するかが、この制度の運用」こ大きな意味を持ってきます。
この制度の最大の特徴を3 つ挙げると右図のようになります。次項から
順に解説していきましょう。
「アクテンシー」は社員が
中心となって作成する
より機能する基準をつくりやすい
紀、自社の事情に合致した基準をつくれる、などのメリットも
役割行動給制度では、評価や処遇の基準となるアクテンシー=役割行動
を決める過程に、原則として社員自身も参加させます。
もちろん、社且全且を参加させるわけではなく、職場の中で存在感を発
抑している、中核的な社員数名を選んでプロジェクトチ_ムをつくり、経
営者や、場合によっては外部のコンサルタントもそこに参加して、自社で
はどんなアクテンシーにするのかを検討するのです。
このように、評価・処遇の晶祁を決める過程に社員を関与させると、現
場で(動く人自身が議溢して作成するので、自社の実情に合った「ものさし」
を作成できます。外部のコンサルタントなどが、他社の市例を転用してき
たものではないので、自社の四かれた状況により合致するのです。
また、自分たちもその決定過利に関与したために、社員からの制度への
納得感も高くなります。より機能しやすい制度になる、ということです。
さらには、議論する過程で、ブロジェクトに加えた中核的な社員の成塁、
部署間コミニュケーションの改善、経営陣への信頼感醸成などを期待でき
ることもメリットでしょう。
e 原則があれば、常に例外もある
とはいえ、社員の参加はあくまで原則ですから、プロジェクトを編成し
ないで経営者や人事部門などが主体で進める例外的な運用も可能です。ま
た、たとえプロジェクトを編成して進める場合でも、位金額などの機微な
部分まで、社員に譲論させることは現実的ではありません。1関与させる範
囲は制度の内容などに限り、またチームから上がってきた案を採用するか
どうかの決定権は、当然ながら経営陣が保持します。
制度が単純なので中小
企業でも運用しやすい
導入や運用のコストが小さい
船全員が理解できる制度が理想
制度というのは、みなに理解されて運用され、はじめてその意味を持ち
ます。経営者や人市部だけが理解していても意味はありません。ましてや、
コンサルタントにしか理解できないような制疫では話にもなりません。
「ものさし」がシンプルで、わかりやすいことがまず求められます。そう
でなければ、現楊の社はたちは何をしていいのかわかりません。
また、評価し、指甜をするために、上司となる管且1!者も制I.frを即解でき
なければなりません。
そして、当然ながら経営者自身も理解していないといけないのです。
中小企業では人材のばらつきが大きいので、この点でつまずいてしまう
会社が結構あります。
役割行動給制疫では、「ものさし」であるアクテンシーが非常にシンプ
ルなので、小さな会社であっても運用しやすいという大きなメリットがあ
るのです。
C 「ものさし」の種類がとても少ない
アクテンシーはふつう、「コア(共通)」と「専門別」、「管理職用(マネ
ジメント)」の3 つしか作成しません。
また、等級別にも分かれていません。すぺての等級で同じ躾準が使われ
ます。
さらには、能力評価はありませんので、打与用、昇給用、昇格用などと
別々の店準を使うこともしません。
このように「ものさし」の種類が少ない点も、役割行動給制度を中小企
業でも運用しやすいものにしています。
全社員共通の
「コア・アクテンシー」
問単そうだが、作成するのは憲外と大変
船原則として等級別にはしない
前項で、アクテンシーは3 種類つくることを述べました。ここでは、
それらの違いについて解説します。
まず、全社員に共通して適用されるアクテンシー(役割行動)がありま
す。この種類のアクテンシーのことを、「コア・アクテンシー」あるいは「共
通アクテンシー」などと呼んでいます。
右図がその一例ですが、II謝能給制皮では「~を行える」「~する能力を
布する」「~ができる」などと求める【能力]が定義されていたのに比ぺ、
役割行勅給湘l炭では「~をする」「~をしている」などと、具体的な(tす1りJ】
が定義されていることにまず注日してください。
また、コア・アクテンシーに限らず、アクテンシーには原則として等級
はありません。人市・貨金制疫の迎用をする際に最低限必要となる等級:ril
度については、後述する「役割行動等級基準&」で別に規定しています
(→ P130)。総じて、非常にシンプルな基準であることが、改めて理解で
きるのではないでしょうか◇
e 議論を通じて、会社でもっとも大切な行動を表現したもの
コアに限らず、アクテンシーとして定める行動は、右の!川列のようにい
くつかの項目や分野に分けて定めることが一般的です。この事例では、「経
営計116i書の理解」「四境盤備」「プラス思考」「お客さま視点」「チームワー
ク」「コミュニケーション」「向上心」などが選ばれています。
これらの項目は、いずれもその会社の社員に共通に求められる、もっと
も大切な(=コアな)行動です。自社の仕事に関わるさまざまな行動から、
こうしたもっとも大切な行動を謡論を通じて選び出し、表現するのです。
職種別に作成する
「専門別アクテンシー」
自社の業務を分類し、必要最1J 1限の数を作成する
鉛それぞれの部門・職種に求められる行動を定める
全社員に共通して適用されるコア・アクテンシーに加える形で、各部門
別や戦種別などでそれぞれ作成するのが「専門別アクテンシー」です。
当然ですが、仕市ではその会社の全社員に共通して求められる行動もあ
れば、特定の職種や部門だけに求められる行動もあります。たとえば、営
業マンなら注文をとってくる行動が求められますし、製造部門なら納期ま
でに確実に刹品を生殺する行動、経即部門ならミスのないように帳簿をつ
けたり、経役を削減したりするような行動が求められるでしょう。
このように、特定の醐種や部門の社員にだけ求められる行動もあるので、
それらについてのアクテンシーも作成する必要があるのです。職種ではな
く部門別に作成したり、非正規雁用専門のアクテンシーを作成したりする
こともできますから、自社に適したものをつくればいいでしょう。ただし、
あまり数を増やすのはお勧めしません。
なお、西理職に求められる行動については、別のアクテンシーを作成す
るため専門別アクテンシーには含めません(次項で後述します)。これは、
たとえば営業マンとしての仕事を継続しながら、,’1町下の育成や指祁も行う
プレイングマネージャーのようなケースでは、営業マンとしての専門別ア
クテンシーも必変ですし、それと同時に密理職としてのアクテンシーも両
方必痰となるからです。
右の4i例は、ある会社の営業腺に1乱l しての専門別アクテンシーです。
し'!門別アクテンシーでも、いくつかの項目や分野に分けて求められる行
動を定義するのは同じで、この事例では「傾聴力」「達成怠欲」「知識習得」「計
画性」「親密性」「仕事獲得力」「洞察力/問題解決力」「顧客維持/顧客拡
大」「お客さま対応」などが選ばれています。
マネジメント層に使う
「管理職アクテンシー」
「上司」としての役割や行動を定義する
船役識ごとに作成することも可能
最後に、管理職としての役割と行動を規定するのが「管理職アクテン
シー」です。「マネジメント・アクテンシー」と呼ぶこともあります。
前項でも触れましたが、管理職には、それぞれの職種や部門ごとに求め
られている役割や行動とは別に、部下を育成したり、部下の行動を監督し
たりする「上司」としての共通の行動が求められます。そうした上司とし
ての行動を定めるのが、この管狸職アクテンシーというわけです。
通常、この利類のアクテンシーはひとつしかつくりませんが、同じ管罪
職でも、自社では実態として課長に求めるものと部長に求めるものが大き
<巽なっている、というような場合には、課長用アクテンシー、部長用ア
クテンシーと役職ごとに作成してもかまいません。右の市例は、ある会社
の部艮用のアクテンシーですが、この会社でも役職ごとにアクテンシーを
作成しています。菅列噂アクテンシーでも、いくつかの項H や分野に分け
て求められる行動を定義するのは同じです。
なお、原則としてアクテンシーには等級を設けないと前述しましたが、
役職別にを理朦アクテンシーをつくる場合には、実態として等級別のアク
テンシーになる、という点には多少注意しておいてください。
G すべての社員に1 つか2 つのアクテンシーが適用される
このように、役割行動給制度での「ものさし」となるアクテンシーは3
種類あります。非店理職ではこのうちのコア・アクテンシーとl、lj門別アク
テンシーの2 つが適用され、管理職ではI•Ii門別アクテンシーと管理職アク
テンシーの2 つが適用される場合と、~1il’,1別の評価が不要なため管理職ア
クテンシーだけが適用される場合に分かれます。
「役割行動等級基準書」で等
級別の行動レベルを定める
同じ行動でも異なる行動レペルを求める
鉛アクテンシーとセットで運用する
役割行動給制度でも、II絨能給制度などと同様に等級制度は必要となりま
す。会社という組識はピラミッド型の組織ですから、完全に等級をなくし
てしまうと、さすがにさまざまな問ぬが出てくるからです。貨金の決定な
どでも、等級制度は不可欠です。
そこで必要になるのが、「役割行動等級基準書」です(右図参照)。
設迫した等級ごとに、最低限の役割基準を規定すると同時に、共通(コ
ア)、群門別(職種別)、音刑職(マネジメント)の各アクテンシー(役割
行動)を、どのようなレベルで尖行すべきかを疋義したものです。右の例
では、*印でl fかれた部分が特に可[要となりますから、そこに注H して確
1認してみてください。
ひと口で言えば、「I 等級→半人前」、「a 等級→一人前」、「m等級→
ベテラン」、「IV等級→部下にも徹底させる」、「V 等級→全社に徹底させ
る」、「VI 等級→新たな役割行動を創造する」といった感じで、同じアク
テンシー、つまり具体的な行動に対しても、等級によって異なるレベルや
責任を骰定しています。
1 等級の社員では、「定められたアクテンシーに沿って行動するよう常
に務める」貨任が求められるだけですので、ときにはその行動ができない
ことがあっても、行動しようとする政志と姿勢があればよいという、比較
的低い嬰求水準となっています。これがIV等級になると、「アクテンシー
を自ら率先して実行して模範を示すとともに、部署艮と協力して課員に徹
底するよう指迎・支援する」となり、かなりレペルが上がっているのがわ
かるでしょう。いずれにせよ、役割行動給制度では、等級についても主に
「行動」を基準として規定されている、と言えるわけです。
新制度へと変更する際に
気をつけておくこと
結果だけでなくブロセスも重視する
e 職能給制度などとは視点がかなり異なる
それでは次項から、実際に新しい人事・は金制度として役割行動給制度
を導入する際の流れを見ていきます。
ただその前に、一般的な人市・貨金制1兵(たとえば職能給制Jtf.など)の
導入段階でiJ1視するボイントと、役割行動給制度の導入段階で可(視するポ
イントとの違いについて、いくつか確認しておきます。
1. 制度改革だけでなく粗織風土改革も
2. 制度の内容だけでなくプロセスも重視
3. 制度づくりではなく人づくり
4. 緻密に決めずに、方向性を決める
5. トップダウンではなくポトムアップ
6. 賃金の明確化より行動の明確化
大きく分けると上記の6 つであり、詳しい内容は右図にまとめましたの
で確認しておいてください。
要するに役割行動給制度では、導入のプロセス自体を自社の社員を育成
したり、企業風土を改革したりするきっかけとすることを重視しており、
社員の自発的な議論を促すために、できるだけポトムアップ型にして、結
果だけでなくその検討プロセスも重視する、ということです。
また、完嬰な仕組みを求めると何も始まりませんから、自社にとって重
要な箇所を絞り込み、多少拙速でも新制度をスクートさせることを頂視し
ています。羽入の過程に社員も巻き込むことで、連用の段階での手町しも
可能になりますし、現場への打入もより容駁になる、というわけです。
手順①組織と人材の現状
を正確に把握する
現場の課題は、現場の人員から間き出すこと
鉛聞き取り調査やアンケート調査を活用する
役割行動給制度の羽入をどのように行うのか、当然ながら実際にはケー
ス・バイ・ケースですが、一般的な流れとしては右図のようになります。
最初に行うぺきは、組織と人材の現状を正確に把握し、何が自社の課題
なのかをあぶリ出して、解決の方向性を決定することです。このステップ
ではまだプロジェクトチームは編成されていませんから、会社の経営陣が
行う部侃段i陪です。
職能給制度の森入時と同じように、労働敗用の現状分析や貨金分析、役
職・職種・賓格の現状などについての実態把梶が当然必要です。加えて、
経営トップが何人かの社且と直接会って、自社の課題としてどのようなも
のがあるか間き取り調査してもよいでしょう。また、アンケート調在を共
施して、全社員に経営理念などが伝わっているか、菅理者は機能している
のか、コミュニケーションやチームワークがとれているか、自らの能力を
発抑しやすい閑悦か、などといったことを調べる方法もあります。
ちなみに、このようなアンケート調杏は「モラールサーベイ」と己い、
設I)’;] の仕方や他企業との比較などに独自のノウハウが必要なので、実施す
る場合には外部の印門機関を利用するのが一般的です。
¢秘密にせずに積極的に結果を公開する
自社の現状が把握できたら、次は課題を改善するための大まかな方向性
を検討・決定します。そして、それを「会社の今後の方針」として全社員
に事前に伝え、協力を得られる態勢をつくるようにします。11H き取りやア
ンケートによる調査を行ったのなら、このときにその内容も公開します。
これは、そのほうが次のステップで社員の協力が褐やすいからです。
手順②プロジェクトを編成
し、方向性をさらに固める
準偏段階で決定した方向性を、より具体的にする
e 多様な人材を取り込んだチームをつくる
次のステップは、新しい人事・貸金制度を導入するプロジェクトを立ち
上げ、そのメンバーとして意欲のある社貝を集めることです。
社内公募を行って立候補を努ると同時に、次世代のリーダーとして期待
している人材には、経営側から声をかけて応募させるようにします。
応辞してきた社且の中から会社がメンバーを選択しますが、専門、職柚
などが異なる人材をバランスよく選出するのはもちろん、性格や個性につ
いても多様な人材をチームに入れるようにすると、のちのちさまざまな角
度からの意見が出るので、議論が盛り上がりやすく、よりよい結論も出や
すくなります(こうしたプロジェクトチームの編成における注意点につい
ては、P150 でも後述しています)。
紀、今後の方向性についての考えを一致させることが大事
このようにしてチームメンバーの編成をしたら、早期に実際のプロジェ
クト会議を淵始させ、まずは最初のステッブで経営側が決定した「今後の
方向性」について、より具体的なところまで籍論していきます。
すでに、自社の課題や今後の方向性など大体の落としどころは提示され
ているのですが、この時点ではまだ表面的な課題の抽出やその解決策の提
案に留まり、どうしてそのような問題が発生してしまうのか、その根本的
な原因まではつかめていないものです。また、もしかしたら経営側の提示
した今後の方向性に異論があるメンバーもいるかもしれません。
率直な議論でさまざまな視点からの意見をすり合わせると同時に、それ
ぞれの現場の実情に合わせて、当初決定された方向性をより緻密で具体的
なものにしていくのが、このステップでの当面のゴールです。
手順③会社の課題を解決
できる役割行動を決める
アクテンシーを貝体的に決定して書面にする
e 事前の準備ができているのでスムーズに進む
次のステップでは、アクテンシー(役割行動)の作成という具体的作業
に入ります。日に見えるアウトプットにとりかかる、ということです。
すでに前のステップでの議論で、「1 社の課題とその諜俎解決の方向性に
ついてプロジェクトのメンバーは認識を共有しています。そのため、社貝
のどんな行動が問題なのか、逆に本来はどうあるぺきなのかについても、
すでにおおよそは認識が一致しています。ここでは、その認識を只体化し
て占類の形にしていくだけですから、政外なほどスピーディーに作業が進
んでいくことが多いです。このステップまでのプロジェクト会議の議論を
通じ、メンバーは一定レペルのファシリテーションスキルやプレゼンテー
ションスキル、コミュニケーションスキルなども身につけているため、そ
の面でも作業の進捗はスムーズになります。
最終的には、市例⑩~⑫のような3 種類のアクテンシーを作成して占
類に落とし込みます(→ P124~129)。翡記隈名としては、「役割行動基準書」
などとすればよいでしょう。また、各等級の社員がどのような役割で、ど
のようなレベルでアクテンシーを実行すべきかを定めた「役割行動等級某
準古」も作成します(事例⑬ーP131) 。
¢いきなり書面に落とし込もうとすると時間がかかる
ちなみに、一般的な人事制皮の変更では、この段階から新制皮の#人作
業をスタートする企業が多いようです。しかし、議論を通じた事前の認識
のすり合わせをしていないうえ、中小企業では譲論のためのスキルを事前
に身につけている人材が少ないために、具体的なアウトプットをまとめる
までに非常に艮い時閻がかかるケースが少なくありません。
手順④評価を行う方法を
検討・決定する
周囲への働きかけを促す効果もある
鉛評価の仕組みはすぐにつくれる
プロジェクトでの最後のステップとして、前のステップで作成したアク
テンシーや役割行動等級基準書を、評価へと結びつける仕組みをつくりま
す。とはいえ、役割行動翻削疫では、拌価についてもそれほど難しいこと
をする必要はありません。事前に役割行動等級基準書で設定していた等級
とその内容を、ほぽそのまま評価の基準にしてしまえばいいからです(右
固参照)。さまざまな行動について評点を出し、その平均値と等級で評価
ランクを決めるようにします(同じく右図参照)。
アクテンシーで定めたそれぞれの行動について、この評価基部でポイン
トを出して巣計する「考諜表」をひとつつくれば、それで終わりです(1}
例⑮→ P142) 。他の人1t・負金制度のように、複雑で何種類にも及ぶ考
課表を用なする必要はありません。
紀、評価の仕組みを広く周知徹底することで意識を高める
ここまでできたら、社内へ新しい制度を公表して、周知徹底します。
こうした節i索な評価システムであれば、社員も白分に求められている行
動がすぐにわかります。各社員の役割意識が高まるのです。
また、等級が上がるにつれ、自分が求められる行動をするだけではだめ
で、後招や周囲に対してどれだけよい影膀を与え、働きかけをしているか、
その点が評価されることもすぐわかります。「自分だけやっていればよく、
周囲のことは関係ない」というスタンスでは通用しないことがストレート
に伝わるのです。知識、スキル、経験が瓜視され、どちらかといえば部下
など周囲への働きかけが軽視されがちな中小企菜では、この点でもよい影
響を与えるでしょう。人の成長も早く、組織力の強化にもつながります。
手順⑥評価を賃金改定に
つなける仕絹みをつくる
他社の事例などを参考に作成する
C 一定の基準をつくって昇給させる
さらに、評価を賃金改定(昇給や降給)につなげる仕組みをつくります。
貨金制皮については社員は参加させず、経営陣のみで決めることも多いで
す(只金制炭についてもプロジェクトで検対するケースもあります)。
たとえば右図は、ホ者がコンサルティングをして役割行動給制度を導入
した、とある企業の実際の「賃金表」とその述用表です。こうしたものを
参考に、自社の貨金表を作成します。なお、貸金表とは、社且が提供する
「労働」の買い取り価格一覧表だと思っていただければいいでしょう。
右図のサンプルでは、毎月の基本給を年齢給と役割行動給の組み合わせ
とし、このうちの年齢給は生活給として、年齢によって昇給額を決めてい
ます。役割行動給については、前項の人市考課で笠出した評価ランクで、
毎年の昇給額を決定するようにしています。
具体的には、S 、A 、B 、C 、D それぞれの評価ランクに、6 号、5 号、
4 号、2 号、0 号の昇給ピッチが設定されています。1 号あたりの昇給ピッ
チは、I 等級が1000|’] 、II 等級が1200 円、m 等級が1400 円…と、等
級が上がるにつれて椋準の昇給額も増えるようにしてあります。D 評価を
受けると、昇給はありません。
18 歳の新卒者であれば、入社時の年齢給は自動的に9 万6000 円とな
ります。役割行動給については1 等級1 号俸の6 万4000 円からスター
トしますので、合計16 万円が初任枯本給です。その後、人社1 年後に人
出考課が行われ、評価ランクがB だったとすると、役割行動給の昇給ピッ
チは4 号ですから、1 +4 で]等級5 号俸、6 万8000 円に昇給します。
年齢給も9 万8000 円に増えますから、合計枯本給の額も16 万6000 円と、
全部で6000 円の昇給になる、という連用法です。
手順⑥評価を賞与につな
ける仕組みをつくる
賞与では成果配分の要素も取り込むと効果的
鉛ウエイト配分次第で、組織のチームワークも強化できる
年に一度の昇給に加え、半年に一度の岱•,..}においても、その期間の評価
を金額に反映させる仕組みをつくりましょう。
ただし、たとえ役割行動給制度であっても、こと賞与に関しては「行動」
だけでなく「業績」を強く反映させたい、というケースが多いようです。
そこで、共与に評価を反映するにあたっては、尖際の金額に反映させる評
価のウエイト紀分をどのようにするかを、よく検討する必要があります。
たとえば、アクテンシー(役割行動)についての評価と、業績について
の評価をどのようなウエイトで配分するか、また個人の業績評価と部全体
での業績評価をどのようなウエイトで配分するかを検村します。さらに、
職種や部門が追えば仕事内容も巽なりますから、たとえば営業マンの場合
と事務職者の場合とでも、ウエイト配分を変える必要があるでしょう。
これも市例を見て検証しましょう。
ム図は、役割行動給を界入している営業主体のある会社の、猛与に関
するウエイト配分表と、その箕与n定表です。同社では、四与決定に占
めるアクテンシー(役割行動)に関する評価のウエイトは30~40 %程
度。貨与では部分的に成果配分制度も導人し、業紺iについての評価を60
~70 %と多めにしていて、戟種や部門に応じ、それをさらに個人業績と
部I’’l菜績でウエイト配分しています。細かい計算式については、考課表な
どと同じ方式なので、貨与算定表を見てもらえばすぐにわかるでしょう。
こうした他社事例を参考に、あるいは外部のコンサルタントなどの助け
を僻りながら、自社に適した貨金制度を検討していきます。ウエイト配分
が上手にできれば、個人とチームの菜紐どちらも箕与に反映できますし、
行動の評価も反映できます。チームワークを強化する助けになるのです。
新しい賃金制度は広く
公開したほうがいい
変えただけではあまり意味はない
C 基準がわからないとモチペーションも湧きにくい
新しい貨金制度の概要がすぺて固まったら、できれば昇給や賞与の決定
基準についても社内にすぺて公開してしまいましょう(もちろん、個々の
会社の1ftiりによっては、そこまで社員には公開しない選択もありえます)。
人市考課での評価括部に加えて、貨金制度まですべてガラス張りの職場
では、どのように、どこまで頑張れば自分の11金が上がるのか、社且が自
ら把握できます。
こういう状況では、社員は「このレベルの行動ができるようになれば、
貨金が●万円上がるのか!?」と考え、日標に向かって頑張ろうという気持
ちになるものです。また、自分に足りないところがどこなのかが具体的に
わかりますから、より多く稼ごうと、自発的に自分に足りない行動習伯や
能力を身につけようとします。要するに、より積極的に動く体質に変わっ
てくれるのです。また、今後の自分の給与額のおおよその予測が立てば、
より安心して働けるようにもなるでしょう。
紀、大事なのは実践
こうして、役割行動給制度への変更が完了しますが、人事・賃金制度は
変えただけでは意味がありません。大事なのは、むしろ祁入したあとの迎
用です。年功や温情での安易な特別扱いをせず、きちんと基準に沿った評
価や処遇を行わなければ、新制度への社員の信頼は得られません。
その際には、ブロジェクトに参加した各現場での中核的な社員の存在が、
大きな助けになるはずです。なにしろ、その制度の設計には彼ら自身も参
画しているので、実践と運用にも口任感を持って当たってくれます。社員
を制度設計に参加させることには、そうしたメリットもあるのです。
制度検討のプロジェクト
をうまく進めるコッ
プロジェクトの進行を阻害する要因を排除する
鉛闇雲に議論すると、失敗するケースが少なくない
最後に、役割行動給制度を導入するにあたり、;Ill)皮の詳細を検討するプ
ロジェクトチームを上手に進行させるコツを紹介しておきましょう.
会社の仕組みを抜本的に変えようとするプロジェクトは、ただでさえ社
内のさまざまな抵抗を受けやすいものです。さらに、中小企業では教育制
度の欠如から、現場の社員のほとんどはきちんとしたコミュニケーション
スキルを身につけていません。そのため、プロジェクトでの会議が紛糾し
て、時間ばかりがかかって結論が出なかったり、社内の人間関係が悪化し
たり、最終的にはプロジェクトが頓挫していつのまにか自然泊滅してし
まったりすることも少なくありません。人市・貨金制皮の変更がうまくい
くかどうかは、プロジェクトの成功にかかっている、というわけです。
紀、会議を成功させる5 つのポイント
m者は、百を超える企業でこうしたプロジェクトに携わってきました。
その経験から、以ドの5 つのポイントに注ぷすれば、首尾よく人'」i・貨金
制度改革のプロジェクトを進行できるという結論に至りました。
1. 一部の役員や古参社員の反発を回避する
2. 成功しやすいメンバーを選ぷ
3. メンパーのモチペーションを上げる
4. メンパーの一体感を高める
5. メンパーの問題解決能力を高める
詳細を右図にまとめておきましたので、ぜひ確認しておいてください。
プロジェクトを成功させたいなら
4 つのキーワードを意識せよ!
メンパーを元気にしてブロジェクトを成功させるには
どうしたらいいのでしょうか? 少々観念的ですが、筈
者は響働、成長、貫献(承認)、具現の4 つがキーワー
ドではないかと考えています。
翌働とは、一緒に働いている人たちとよい関係でいた
いということです。競争に勝ちたいとか、そのために人
の足を引っ張ってやろうとか、みんながみんなそう思っ
てるわけではないと思います。
次が成長です。今日よりも明日、明日よりも明後日と
成長していきたい、ステッブアッブした自分でいたいと
誰しもが思うものです。成長しているときにこそ、働き
がいや生きがい、さらには充実感、安心感を感じること
ができるのだと思います。
さらに貢献とか承認です。自分が所属する組織や集団
に貢献したい、お役に立ちたいと誰もが思っているはす
です。同時に、その貫献を仲問に認めてもらいたい、わ
かつてもらいたい気持ちが誰にでもあるのです。自分が
必要とされ、存在価値を庇められれば、喜びと同時にさ
らに買献したい気持ちになるものです。
最後が具現です。自分が考えたこと、やったことを貝
体的な形にしたいということです。
これら4 つは、人閻の心のもっとも奥底からの本質的
な叫びです。これらを意識しながらブロジェクトを進め
ていけば、自すと成功するでしょう。
賃金制度の基本構造を再確認する
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