第5章 年俸制の基碓知識
年俸制は、世界中で取り組まれていますが、日本企業の瑶
合は独特のスタートと発展をしてきました。日本型年俸制と
いわれたりしますが、成果主義的な賃金制度の改革が迫られ
た時期に、日本企業は、バフォーマンスを挙げた人と挙げな
かった人に大きな年収格差をつけて、強いインセンティブ効
果を出して改革力を形成していこうとしました。年俸制とい
う言葉にどこか激しさを感じるのはそのためでしょう。日本
企業のチャレンジの一つを見ていきましょう。
年俸制の歴史と意義 (1) 年俸制の導入が道んだ1990年代 El 本で年俸制が注目され、盛んに渫入された時期は、] 990年代です。 東京ガス、藤沢薬品t業(2005年に山之内製薬と合併し、現アステラ ス製薬)、本FFI 技研工業(以下、本m 技研)などが、1990~1992年のllil に次々に年俸制を淋入していきました。その中で最も注目を染めたの が、本田技研(1992年#入)です。なぜならば、'り時、4500名という多 数の管理者に年俸制を適}il したからでした。東京ガスでも本社部長クラ ス、事菜本部湖本部長クラスで約200名、藤沢薬品工業でも、部長以上 の戦位者と高炭導l”l 戦の約100名であったのに比べると、4500名という 圧倒的多数の管理者に群入する1t例が、非常に注目を浴ぴたのは当然で した。ちなみに、時代はさかのぽりますが、1969年にソニーも4500名の 管~Il者に年倅制を導入し、リーティングケースとして注目を染めたこと も付記します。 年俸制という言菜は、2014年の現在では、取り立てて注E1 を浴ぴるも のではありません。業組評価によって年収に大きな格差がつく、刺激的 な給与制度という程度の窓味合いになっており、特に年俸制という首葉 を使わなくても、そのような刺激的な給与制度をつくることができるか らです。 1990年代には、労名な企菜での祁入が相次ぎ、非常に注El を浴ぴまし た。年俸制というと、日本では何といってもプロ野球の年俸制がよく知 られていましたので、プロ野球選手のように年俸更改交渉もある刺激的 な給与制度ができるのだ、と私も注目をしました。 (2) 剌激的賞与割麿を絹み込んだ日本型年俸割 年俸制について子細に制度内容を潤べてみると、0 本企粟独特のアレ ンジがあることが分かりました。本田技餅については、図表5-1 に見る ように、年俸は、基本年俸と期Illl 染希'i給からなっており、非本年倅は、 従来の給与をペースに立案され、食事手当も付くものでした。)月1iり業組 給は、基礎額と業績』ll位で構成され、いわゆる通常の柑与に該当します。 本米、年俸制というからには、先に年俸領が決まり、それを12 カ月 か、ft与分を想定して16 カ月で割り、月々の支払い額(月例給与)を決 定するというロジックを踏むはずですが、J;~本年俸という首葉を使いは しますが、どちらかというと、「年倅,;. 12=)す例給与」というよりは、
「月例給与X 12 =年体」という印象を受けました。本田技10fの年俸制の
コンセプトに対する私の理解は、きっと正しくないのだろうと、思いなが
らも、そのような印象を強く持ちました。
そうした点味では、欧米の年倅制とは少し趣が述うように思いました
が、よく見ていくと、従来のH 本の給与・宜与制疫とは、二つの点で、
明らかに違う内容のものを持っていました。第1 は、期問棠絨給(いわ
ゆる‘it与部分)です。その期間棠績給部分の評価格差が大きく広がった
ことです。本田技研の場合は、おおよそ150万円から250万円で約100万
円の格差がつくということ、つまり年間約200万円の年収格差になりま
す。これは今となってはそれほど大きくはないという印象かもしれませ
んが、当時としてはかなり思い切った格差だと思いました。それに第2
は、目標達成度が低い楊合は、基本年俸を引き下げる、また{•I年も辿続
して低い評価となった楊合は降格もあり得るということです。評価が悪
ければ月例袷与部分を引きドげるという陥袷を直言したことが、従来の
給与制度とは追うものでした。
この時期、こうしたタイプの年倅制が日本では案外多く甜入されてい
ることに気が付きました。そこでこれを“日本型年俸制”、あるいは刺
激的伐与制疫を組み込んだu 本独自の制疫という窯味で、日本的年俸制
と呼んでいました。
そして、欧米型の駿務給をペースにした年俸制、つまり菜績評価の結
果を年収ベースで反映させてアップダウンさせ、その12等分を月例給与
とするというタイプとは区別して理解するようにしてきました。
それでも本格的な年俸制時代が日本でも始まり、成果主義人事革新の
先駆的な取り組みとして注f:I されました。
年俸制のメリットとデメリット
年俸制という名前の給与制度が華々しくデビューし、述営されてきま
したので、そのメリット・デメリットについても、いろいろと活発な議
論が行われてきました。
年俸制という汀い方がそれほど刺激的な印象を与えなくなった現在で
は、業粕評価によって大きな年俸格差がつく給与制度、また業紹評価に
よっては前年年収を大きく下回ることもある給与制度のメリット・デメ
リットというスタンスで見ていただいてもいいと思います。年倅制とい
う名前であっても、ほとんどi平価格差がつかない、いわゆる年功的とも
いえる年fが制も存在するからです。
そういう意味で年俸制を捉えた上で、そのメリット・デメリットを幣
理してみました(図表5-2) 。
年俸制のメリット・デメリット
♦ メリット
・目標管理とセットとなることで.職務目標が明確になる
・評価による年収格差が剌激的となり、強いインセンテイプ効果が出る
・目標面談・評価フィードパック面談が必要となるので、業務上のコミュニ
ケーションが密接になる
◆デメリット
・年収格差が刺激的となるため、目標智理表に明示的に記述していること以
外の仕毒へのインセンティブ効果が弱まる
・クレーム処理や後輩指導など、地道な仕季をやっても評価されないという
気持ちになり、必要な仕事が進まない
・目標管理サイクルに合わせた短期志向となり、何年もかけて行う骨太の商
品開発や改革活動に対して、その取り組み意欲が弱くなる
(1) 年収格差による強いインセンティブ効果 年倅制のメリットは、以下のようになります。 ①目栢管理とセットとなることで、職務日椋が明確になる ②評価による年収格差が刺激的であり、強いインセンテイプ効果が1l1 て くる ③ El 椋面談、評価フィードパック面談が必要になるので、業務I:.のコミュ ニケーションが密接になる 逆に年俸制のデメリットは、以下のようにまとめられます。 ①年俸格差が刺激的なので、目椋管理表に明示的に記述している以外の 仕事へのインセンティブ効果が弱まる ②クレーム処理や育成など、地道な仕事をやっても評価されないという 気持ちになりやすい ③日標竹理サイクルに合わせて短期志向となり、何年もかけて行う·,·J•太 の商品開発や改革活動に対して、その取り組み意欲が弱くなる 年倅制という言菜は今でも活用されていますが、菜紹評価によって年 収総額をどの程度アップダウンさせるのか、自分の等級のアップダウン に辿動して年収総領がどの程度アップダウンするのか、ということに注 目が染まるようになってきています。 仕組みl•コ、年収の人きなアップダウンのn[能性がある給与制度は、今 は年俸制に限らず、前述したようなメリット・デメリットを持ってい ます。 (2) 年功的運用を防ぐ アップダウンの大きな年俸制を収り入れたとしても、述用に大きな障 害を抱えている企業は少なくありません。棠禎評価が良かったり、担当 駿務がより高次になったりして、年俸が上外することは、多くの人が歓 迎するところです。しかし業紹評価が悪く年俸を大幅に削減するという ことは、対象となる従業口も会社側も非常に困難な状況になります。 まず、年俸を下げられる本人側としては、いろいろ言い沢をしたくな ります。従業員側からは、以下のような首い沢が聞かれます。 キ———————————————-キ :①確かに数値は逹成していないが、相当困難な状況の中で、ここまで' : ゃればすごいことだと思う : ②だいたい業務の困難さを上司は分かっていない :③あのとき、上司が少し支援してくれていたら、このイI: •Jiは成功して: : いた。うまく行かなかったのは、ヒ司のせいだ: 頃)受注目椋未達は、製品を納入中の述送業者の事故によって起こった: : ことなので、そういうものまで、自己沢任にされてはたまらない: :⑥だいたい、そこまでのH 椋を合慈したつもりはない, 峯―- ——————————————–』 会社1ll9 としても、直接の上后1 の場合、以下のような問題がI+’,てきます。 ,:—①–少—し—任—せ—過—ぎ—た—か—な—————-—` : ②なんとなくかわいそうな感じがする1 I ③へそを曲げられて、やる気がなくなってもらっても困るI :④私の指導が悪いから、このような業禎になったと思われても面白< : ヽない :⑤評価フィードバックでうまく説明がつきそうな感じがしない。反発i , されたときの対9ぷがよく分からない し―- ——————————————–キ 会社側の心理としては、以下のようなことが考えられます。 9 – – – – – – – – – – – – – – – – – – -,キ – – – – – – – – – – – – – – – – – 0 – – – – – – – -、 : ①訴訟を起こされるとみっともない : ②もめないでうまくやってくれよ : ③直接の上司の結論を受けただけだから、会社としてはそういう評: : 価でなくてもいいのだ ‘④匝接の上司の指導)Jも、あまりないからな : ⑤まあ、そう無理をしないでもいいよ 綸――—————————————一- -一ー・ こういう烈識状況の中では、年俸制を取り入れても況乱するだけで
す。また混乱を恐れて、結局年収ダウンになるような評価は付けない、 年収が下がるような役戦異動は行わないということになってしまいま す。結),J、年功(Iり年俸制になってしまう、ということです。 これでは、「年倅紺IJ」といっても意味があるでしょうか。年倅制を祁 入する楊合には、業績評価結果で年倅のアップダウンを厳しくやってい くというような説明をするのが普通です。そう言っておきながら、「結 局、何もできないではないか」「少し会社に文句を言うと、考え直して もらえるし、言ったもの勝ちだな」というような印象を従業日に持たれ るようであれば、もはや年俸制は大失敗です。しかし、こういうリスク は躇にあります。 (3) 導入には不退転の覚慢が必妻 年倅制のような激しい制度を祁入する際には、経営陣の不退転の促梧 が必要です。多少のトラプルがあっても筋を通し続ける、不平不満をぶ つけるだけの従架員には左遷も含めて厳しく対処する、などの鎚栢をす る必要があります。それができないのであれば、年倅制の淋入はやめた ほうがいいでしょう。 年俸制が腰砕けに終わってしまえば、日椋管理などは「まあ適当に やっていればいい」というような企業体質をつくってしまいます。1訂伐 必ilりの蔽しい体竹をつくろうとしたことが、かえって真逆の体竹をつく ることに加担してしまうことになります。これが年俸制の蚊大のデメ リットといっていいと思います。 年俸制の設計 年俸制の設計は、他の月例給与制度や伐り制度とそれほど変わりがあ りません。むしろ、設計そのものは、他の制度よりも簡弟だといってい いと思います。 年俸水i紐の股定に当たっては、月例給与と同様に「t界準者モデル月例 給与拭算表」(図表2·38、164ページ)を作成します。そこに年1lil 伐与や 年収合計が示されていますので、その水準をEl 安とします。それに、厚 生労慟省の「i氾(金構造某本稜計調究」などの他11り水準を加味した上での 目安年収(ポリシーライン)を某に、年倅水準を決めていくことができ ます。 また、図表4-1 (222ページ)の「成果土義への転換に伴う炊与格差の 拡大」を解説した際に利用した表も活用できます。例えば、部貶屑に年 倅制を適用する楊合、ポリシーラインの1200万円を中心にして最大評価 格差のプラスマイナス200ガ円を実現する年俸制を設計していこうとい う目安ができます。年俸制の場合は、位金制度としては単純な構造なの で、これをベースにほとんど設計できるといっていいいと思います。 こういう前提に立って、年俸制の設計手顛について、解説を進めてい きます。 (1) 年俸嗣の褪いと適用対戴者の設定 まず、年倅制をどのような意jgl で祁入するのかを明確にしておく必要 があります。それは、実施段階でのさまざまな抵抗に備えていくため の経営陣の意思統一という而と、適用対象者への説明のためでもあり ます。 一般的には、取締役の報醐とl司様に、経営幹部の報酬も年俸制とし、
信伐必!.iil の成果主義を実行していくことで、全社に成果主義の厳しい体
質をつくつていく、といったような文首で説明されてくると思います。
いわゆる課長から部長)杓への年倅制の母入のように、適用対象者も限
定されることになります。一般職)杓への年f令制の#入は、一時は校索さ
れた時期がありましたが、一般職には残業手当を支条合する必要があり、
残棠手当1):定で企業側の負担増の1fJ能性(初5ページで解説)があるた
めに、あまりiな入されてはいません。適用対象者としては、残菜手当を
支給しなくてもいい労拗基準法1この管理監抒者を、年俸制の対象にして
いくという{lt例がほとんどとなりました。
(2) 目安年収(ポリシーライン)設計と年俸支給項目の設計
本節のh’頭でも説明しましたが、「標準者モデル月例給与試狂表」(図
表2-38) や「成呆主義への転換に伴う貨与格差の拡大」(図表4-1) とい
うようなシミュレーション表を作成し、「賃金構造甚本続計躙査」など
で世l1il 水準対比をしつつ、年収ポリシーラインと•Jは大評価格差額イメー
ジを形成していきます。
その上で、年作の支給項日を決めていきます。日本ではこの丈給項日
は、年倅制の性格を訴えかけるために股けるケースが一般的ですが、欧
米型年俸制の楊合は、そういう`気の使い方~はあまりせず、碁本年俸
一つで表現することが多いようです。
(3) 年俸嗣の種類の選択と年俸額の決定方法
図表5-3 に示しましたが、どういうタイプの年俸制にするかという検
肘をする際には、①刺激的箕与制度を組み込む日本捌年俸制(図表
5-1) 、②載務給をベースとした欧米刹年俸制(図表5-4) のいずれかを
まずは選ぷことになります。
LI 本型年俸制は、年俸制でない現在の給与制度との関述を付けやすい
特徴があります。月例給与部分を12倍して、これを基本年俸とし、そし
てより刺檄的な柑りを栗紺年俸などと名前を付けて設定し、その合計を
年慎割の種類
●刺激的営与制度を組み込む日本型年俸制
・基本年俸(月例給与の12 カ月分)に業籟格差の大きくつく賞与部分を組み
合わせたもの
・従来の職能給的な枠粗みを残すものの、月例給与のダウンもあり得る形と
している
・従来型の月例給与部分に定期昇給があるタイプのものも多くある
●職務給をベースとした欧米型年俸制
・業績評価の結果を受けて、前年年俸をアップダウンさせる
・職務ごとの価1直評価を基に、職務ランクを分け、標準年倍を決め、そこか
らアップダウンさせる
・職務ランクの変動に応じて、1累準年俸(職務給)は変動する
・通常、「年俸+12 =月例給与(臓務給)」という位置付けとし、毎年更改
する
●年功的年俸制
・年俸制とは名ばかりで、実際には前年年収を常に下回らないように、評価
結果に気を伎いながら、運用している
• 4月段ライブラリに戻る昇給が決まると、自動的に年俸も決まるスタイルの
もの。実質的な評価要票がほとんどないタイプ
年俸とします。伐与制l女の設計をどうするかということはありますが、
現状と新制疫との問に距離が少ない分、新制度が理解しやすいといえま
す。年1 回の評価で次年度年俸を一括して決定するよりは、栗紐年俸は
いわゆる1t打時期に評価を加えて決定するので、年俸は結果として「基
本年伶+業績年俸」という形で決まります。なんとなく年俸制らしくな
い感じもあるのですが、それでも良い評価の関”の年俸H 安と悪い評価の
場合の年俸目安は、年俸での議論をしていきますので、分かりやすくな
ります。そういうタイプの年俸制だと見ていいと思います。
欧米捌年倅制は、駿務給という位骰付けになりますが、咎級ごとにポ
リシーラインとしての年倅を俗き、菜紹評価によりアップダウンさせる
ことになります(図表5-4) 。最低年俸と最店年倅という上限I’・限の範囲
で運営はしますが、碁本的に業績訊価で1前年年収をアップダウンさせ、
それを] 2 で除して、月々の支給額を決定するというスタイルになりま
す。SABCD の5 段階評価で表しますと、B評価であれ1訓肘師阿額、A 評
価であれば5 %増、S評価であれば前年10%増、C評価であれば5 %減、
D評価であれば] 0 %減というようになります。それをそれぞれ] 2 で割り
ますから、月例給'j•としては当然アップダウンします。また職務給です
ので、役職が変わるとそれに辿動して、年俸もアップダウンします。
年倅制という首葉を使うからには、欧米到年俸制のほうが、ずっと分
かりやすいことは事実です。
欧米担年俸制の場合で、1200万円の年俸を持つ部長を例に年倅決定の
方法を説明します。先ほどと同様B評価であれば前1 年同額、A評価であ
れば5 %増、S評価であれば前年10 %増、C評価であれば5 %減、D ilf価
であればl0 %減という形の年俸制ルールを持ったものだと仮定します。
そして、L限年収が1400万円、下限年収が1000万円とします。現在1200
Ji円を年俸だと仮定すると、その年A 評価を取れば、次年度年収は、
5 %増の1260万円になり、月例給与は「1260万rr1.;. 12= 105万円」とい
うことになります。
これが日本型年俸制では、年俸1200万l’ l の部長は、1000万lJ1 までが必
本年俸で、200万円が業紹年倅だとすると、業績評価の結果として、碁
本年倅は特別評価が悪いということでなければ変動をしませんが、業紹
年倅部分がアップダウンすることになります。椋準評価Bの楊合、業紹
年倅が200万円で、仮にA 評価の場合300万円と決められていたとした
ら、次年度菜紹年俸は300万円になります。そして1300)5 円が次年度年
収となり、「] 000ガ円.;. ]2 = 83Ji 3333 円」が月例給与、「300万円.;. 2 =
150万円」が立冬のti•Ii·領になります。
この日本型年俸制の楊合は、次年度の業績年俸を一括して決めること
で、年俸合計を決めるという形になりましたが、次のようにすることも
可能です。
それは、喫績年俸は半年ごとの評価で、上期評価を使って冬季の業紐
年俸を決定し、ド期評価を使って夏季の業績年倅を決定するという方法
です。年俸制でない伐与制度の楊合、このような方法は晋通に行われて
いますが、それを組み合わせるのです。そうすると菜組年俸は代り評価
の結果として決まってきますので、年俸合計も業績年俸の決定を待って
結果として確定されるということになります。日本型年俸制の概念には、
そういうタイプのものも含まれていると考えていいでしょう。
(4) 支給方法
労働某i炉法24条2 項は、「1t金は、10:月1 回以上、一定の期1:1 を定め
て支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる貸金、伐与その
他これに準ずるもので厚生労働省令で定める只金(第89条において『臨
時の貨金等』という。)については、この限りでない」と定めています。
したがって、年倅制といえども、毎月1 回以上支払わなければなりま
せん。年俸制だからといって、年1 回支払えばいいというものではあり
ません。一般的に「年俸制」という百突を使うからには、年俸の形で
年々の支払領を先に決定する、という年俸決定の仕組みを求めているよ
うに思います。しかし、日4こ型年俸制の楊合は、必ずしも蔽密ではな
く、できるだけ刺激の大きい‘パ与部分の格差をつくるようにして、年俸
ペースで議論する、あるいは必ずしも先に年俸領決定からスタートする
-)i式でなくても、日本塑年俸制という概念に含めようとしています。つ
まり、半年ごとの業組評価で業績年俸を決定するスタイルでも、粟私9年
倅という言築に代表されますが、できるだけ年俸サイドから給与制皮を
考えようとしている限り、年俸制の概念に入れようということです。
とはいえ、厳密に行うかどうかは別として、年俸制は年俸の支払い方
ではなく、年俸の決め方を示しているということですが、ここでもう一
つ大きな問題が出てきます。
それは残業(時1l1J外)予当とのI関係です。
(5) 残婁(時間外)手当との関係
年倅制の場合、残業(時問外)手当切定のための甚礎額は何かという
問題があります。前述したように、残業手とりの支給のない管理監督者を
中心に年俸制を適川する傾向があるとは述ぺましたが、管理監督者で
あっても深仮勤務についての割増貨金を支払う法的義務はありますか
ら、年俸制の島合の残業手当ね定の除の碁礎額を明確にしておかなけれ
ぱなりません。もし、一般職に年俸制を収り人れるとすると、よりはっ
きりさせておかないと大きな問題を引き起こすこととなります。
行政解釈によると、「伐与とは支給額があらかじめ確定されていない
ものをいい、支給額が確定しているものは伐与とはみなさない」(昭
22. 9.13 発基17 け)とされています。11 本型年俸制にはそうでないも
のもありましたが、年倅制の場合、碁本的には次年度年俸を決定して、
16 カ月で割って月々の支給額にし、その4 カ月分を伐与時に支給すると
いうパターンが多くみられます。その楊合、この4 カ月分が伐与である
ことを明確にしておかないと、16 カ月分がそのまま残業手当の坑定基礎
領ということになり、残菜手さりが多くなってしまう可能性があります。
貨与分を除いた残りの月例給与が残業手当の3朽定基礎額としているつも
りが、柑与分も加わってしまうと残業手当の紅定基礎額が相当多くなり
ます。ゆえに、一般戟に年俸制を祁入することは、残業手当を増加させ
る可能性があり、そのコスト地のリスク以上のメリットがない限り、母
入はあまり得策ではないかもしれません。
また行政鮒釈では、「年俸に時間外労働等の割妍貨金が含まれている
ことが労働契約の内容であることが明らかであって、割増貨金相当部分
と通常の労働時間に対応する貨金部分とに区分することができ、かつ、
割増竹金相当部分が法定の;1111増貨金領以l::支払われている場合は労働碁
i吐法第37条に迎反しないと解される」(平12. 3. 8 基収78号)と定められています。そうすると、年俸制の楊合でも、明確に割刑貨金相当部分 と通指の労働時1lIl に相当している貸金部分を明確に分けて、かつ割附貨 金相当部分が尖院の残業Il寺I!ll 分よりも多い金額であれば、法に違反する わけではない、ということです。 年倅額を示すときに、「うち月々00ガ円は法定10時間分残菜した貨 金に相当する」旨貨金規程に明記しておけば、10時間以内の残業時間に 対してあらためて割増位金を払わなくても、適法になります。このあた りは、特に一般職に年俸制を適/11 する場合は、十分に注双してください。 こうして見てきますと運川が而倒ですので、一般職に年俸制を適用し よういう慈欲はなくなってきます。また、大きな竹与格差をつけてイン センテイプとしたい場合、また評価が悪く店本給を降給したい場合、位 近は年倅制という考え方を使わなくても十分対応できる面がありますの で、必ずしも年倅制に頼る必要はなくなったものと思います。管理監杵 者の深夜勤務手当の符定基礎額が多くなり、深夜勤務手当総額が増える リスクがありますから、竹:理監'粁者9i’1でも年俸制が下火になったという ことは決してないと考えますが、伐与部分(業紹年俸分)まで残業手当 の打定基礎額に加えられたら、企業のれ担が多くなり困ることになります。 年俸制というと、厳しい成呆主義的な給与制度だという印象が確かに ありますが、この形式を取るかどうかは、よく吟味してみてください。 ホワイトカラー・エグゼンブションも~一 労働時1ilj規制の適用を免除・緩和する制度がアメリカやイギリス などにありますが、その制度を指してエグゼンプション(Exem ption) といいます。1店本的にホワイトカラーに適用されますので、ホワイ トカラー・エグゼンプション(Wl1ite Collar Exemption) というこ ともあります。労働時聞法制の例外的な扱いをするという意味か ら、Exception (例外)という単語との況l司がありますので、注意 してください。 工場労働者の勘合、労働時間管理は直要な窓味を持ちますが、ホ ワイトカラーの勘合は、長い時間働いたからといって、成果がそれ に比例して出てくるというものでもありません。逆にだらだらと時 間をかけ残棠手Jiを稼ぐように働くことも可能なタイプがホワイト カラーの仕事です。 販売促進企画沢料を作成するのに、要領のいい人は5 時間ででき るものの、製領の悪い人(能力が低い人)は20時間もかかるという ことを、我々もよく見てきていると思います。しかし、20時間かか る人は、残業を何時問もし、残業手当を得ることができますが、要 領のいい人は残業などしないでイじJ1:を5e成させるので、要領の悪い 人よりも、収入が少ないということになります。これで、販売促進 企画汽科の出米栄えが、20時間かけて作成する人のほうが悪いとな ると、労働時問法制の窯味はなんだということになります。 そうしたことから、一定の要件を満たした比較的窃い年収が想定 される従棠員を、残業手当を支給する対象から外そうということが 検肘され、アメリカやイギリスでは況入されました。本料の原稿を 作成している2014年7 月現在、安倍l”J llil で、このエグゼンプショ ン(Exemption) の日本での導入が検討されています。
コメント