第1章クレーム対応ができると、あなたが手にするもの
001クレーマー社会の仕事術クレーム対応が得意だと、重宝される人物になる
お客様が大声で怒鳴ってきた……怖い。私のせいではないのに……あ~どうしよう……。これが誰もがイメージするクレームを言われた場面の心情ではないでしょうか。「クレームが怖い」と言う人には、共通点があります。
それは、クレーム対応のやり方を知らないということです。または過去にクレームを言われてうまくいかなかったのに、そのまま放置してクレーム対応のやり方を学ぼうとしなかった人です。クレーム対応に対してどうしたら良いのかがわからないから、恐怖心をもってしまうのです。
新入社員研修で、社会人に必要な言葉づかいや電話対応の受け方を教えて、さらにクレーム対応研修を導入している企業は、ほとんどありません。
クレームには、ケースバイケースで対処すれば良いと考えて、研修メニューに入れないのです。教育する環境を用意していないところが大半です。
クレームが多い企業は従業員の離職率が高いと言われていますが、それは正確ではありません。クレームが多いから人がやめるのではなく、クレーム対応のやり方を知らないことが一番の原因なのです。
クレーム対応を学ぶ機会がなかったことで、現場でクレーム対応がうまくできず、トラウマになって逃げるように仕事をやめていくのです。クレーム対応のやり方をしっかりと学んでおけば、クレームは怖くなくなります。
体系的に学んでおくことによって逃げることなく、前向きに取り組めるようになります。一度手に入れれば一生使えるビジネスコミュニケーションとして、あなたの武器にもなるのです。
そして、クレーム対応力を身に付けると、もうひとつ大きなメリットがあります。それは、人が嫌がる、やりたくない仕事No.1のクレーム対応のスキルを身に付けることで、どこの企業でも重宝される人財になることができるということです。
ビジネスパーソンとしてレアな存在になることができるのです。クレームの心理クレームが怖いのは、クレーム対応のやり方を知らないからである。具体的行動自らの人材価値を高めるためにも、人が嫌がるクレーム対応の技術を習得することを意識しよう。
002クレーム対応へのプレッシャーを減らす技術怒りを笑顔に変える法則は、学んでおくと役に立つ
AI(人口知能)やロボットの発達で人間の仕事や雇用がなくなっていくというニュースをよく見るようになりました。しかし、クレーム対応だけはロボットがやるわけにはいきません。ロボットは文句を言わず働くことはできますが、文句を言うお客様とわかりあうことは難しいからです。
怒ってしまったお客様を笑顔に変えることは、人間にしかできないと思います。これからの時代は、ロボットにはできないクレーム対応をしっかりできる人だけが、楽しく仕事ができる社会になっていきます。
クレームが発生することを恐れていると、思い切った仕事ができなくなりますが、クレーム対応を学んで法則を習得していると、クレーム対応へのプレッシャーを感じずに毎日笑顔で、心にゆとりをもって仕事をすることができます。
クレーム対応は、我慢すればいいという受け身のものではなく、しっかりとクレームを受け止めて、対応する必要があると覚えるようにしてください。そうすれば、お客様の気持ちがわかるようになり、お客様も安心して必要以上に怒ることもなくなります。
世の中にはいろんなことを言ってくるお客様がいます。先日、コンビニのオーナーさんが受けたクレームに、「最近のコンビニ弁当が美味しくなりすぎて、妻の飯がまずく感じる!」というものが、あったそうです(笑)。
どうですか?あなたならどう切り返しますか?「そんなクレーム、いちいち相手になんかしていられません」と腹を立てるかもしれませんが、実際に対応したこのコンビニのオーナーはこう切り返しました。
「そうでしたか。お気持ち、よくわかりました。でも、このお客様の声をコンビニ本部にお伝えすると凄く喜ぶと思います。ご指摘ありがとうございます!」と対応されたそうです。そのお客様は「ウチの妻に料理の手を抜くな!と言っておくよ」と、笑いながら帰って行ったそうです。
このオーナーはクレーム対応の法則である「しっかり受け止める」ことができたからこそ、成立したお客様とのやりとりでした。クレームの心理クレームを言う人は、ロボットにではなく人に対して何かを言いたいのである。具体的行動お客様の怒りを笑顔に変えるために、クレームをしっかり受け止めよう。
003クレームを言うお客様を正しく捉える視点クレームを言うお客様は、加害者でなく被害者である
「クレームを受けると、心も体もすり減らされたようになり、フラフラになります。その後、仕事ができなくなります」という、ご相談をよく受けます。
それに対しては、「クレームを受けて落ち込んでいてはいけません。これほど無駄な時間はない」と、お伝えするようにしています。クレームを受けて心と体をすり減らしてしまう大きな原因は、対応者が自分のことを”被害者だ”と思っているからです。
「私は何も悪くないのに、なぜ私が文句を言われないといけないの」と、怒っているのです。お客様を悪者にして自分がヒドイ仕打ちを受けた被害者だという気持ちになっているのです。
気付いてもらいたいのは、クレーム対応の現場では被害者はお客様の方であるということです。お客様はわざわざクレームを言いたかったわけではありません。対応者のあなたに怒りをぶつけたかったわけではありません。
ちゃんとしたサービスを受けたいと思っていたのです。サービスを利用したいと思っていたのに、それが叶わず悲しんでいるのです。
スマホが故障したことでお怒りのお客様はあなたに文句を言っているのではありません。スマホが使えないことで、友達とLINEで連絡が取れなくて困っているのです。
何とかして欲しいのです。コンビニでお弁当を買いたかったのにスマホの電子マネーが利用できず、途方に暮れているのかもしれません。
お客様は何かトラブルを抱えているからクレームを言っているということに気付けないと、対応者は一方的に怒りの感情をぶつけられ、理不尽なことを言われ続けたと考えてしまうのです。
これではクレームを受けるたびに心と体をすり減らしてしまいます。クレームへの認識を一瞬で変えられる考え方として、「クレーム対応は人助けだ!」と、私はお伝えしています。
人助けだと考えると目の前の困っているお客様のために自分が今何かできることがないだろうかと考えるようになります。何だか勇気が湧いてくるのです。
親身になってお客様の気持ちに寄り添えるようになれるのです。クレームの心理お客様は「困っていることをわかって欲しい」からクレームを言うのである。具体的行動ここは自分の出番だと考えて、お客様を救うことに全力を尽くせば心をすり減らすことはない。
004クレームへのストレスを取り除くポイント上手なクレーム対応は、癒しの気持ちをもたらす
クレーム対応にストレスを感じると言う人の共通点として、クレームを言う人は、全て悪質クレーマーだという間違った認識をもっていることが挙げられると思います。
これは、テレビやネットでの悪質クレーマーのニュースを鵜呑みにしすぎです。そういう認識ではクレーマーがうちの店にも現れたと考え、隙を見せてはならないと身構えてしまうのです。
土下座を要求したり、金銭を奪い取ろうとしたりするクレーマーは100回クレームを受けたら、1回あるかどうかです。ここで、読者のあなたに質問があります。
クレーム対応の最大の目的は、一体何だと思いますか??この質問に対する私の答えは、「お客様と仲良くなること」です。
クレームを言う人=悪質クレーマーの図式は、この本との出会いを良いキッカケにして考え方を書き換えるようにしていただきたいのです。
クレーム対応の要諦は、お客様を論破して言い負かそうとすることではなく、お客様と心を通わそうとすることなのです。距離を縮めようとすることなのです。
クレームの内容を聴いてみて、もしこちらがお客様にご迷惑をおかけしてしまっていたのなら、リカバリーするためにはどうすれば良いのかを一生懸命考えて行動に移すのです。
クレーム現場に携わる仕事をしているベテラン対応者が口を揃えて言うことがあります。それは、「クレーム対応がうまくいき、お客様と心が繋がったとき、良好な人間関係を築けたときは快感に近い感情になれる」ということです。
私、谷厚志がクレーム対応を上手にできるようになりたいと考えるようになったのは、お客様からの「最後まで逃げずに、私の話を聴いてくれてありがとう」という一言がきっかけでした。心の底から嬉しかった気持ちをいまだに忘れられません。
最初は大きな問題だと思ったクレームを乗り越えられたときの充実感と癒しの気持ちを、是非あなたにも経験していただければと思います。
クレームの心理クレームを言ってくるお客様は、クレーマーだとは思われたくない。具体的行動お客様と仲良くなるために、クレームを言う人は悪人だという認識は今日から捨てよう。
005クレーム対応力を身に付けるメリット①クレーム対応を経験すると、「大人の教養」が身に付く
私自身、クレーム対応ができるようになって、手に入れたもののひとつに、人の痛みや相手の気持ちを理解しようとする気持ちが強くなったということがあると思っています。
クレームを言うお客様にはそれぞれご事情があり、残念ながらこちらの言い分や説明にスグには納得いただけないこともあります。
でもここであきらめることなく、お客様の気持ちに寄り添い丁寧に接し続けることで、お客様の心が少しずつ開くようになり、最終的には、クレームを言われる前よりもずっと私たちのことを信頼していただくようになる経験をたくさんしてきました。
クレーム対応は、“「大人の教養」が身に付く価値ある仕事”なのです。「大人の教養」とは、「相手の立場に立って考えられる力」のことだと私は考えます。
これは、クレーム対応に限らず、仕事をする上で本質の部分でもあります。クレーム対応をするときに、「早く終わりたい」「この状況から逃れたい」と自分のことだけ考えると、それがお客様にも伝わり、さらにお客様を怒らせてしまいます。
たとえば、営業マンにはクレームになるトラブルを抱えてしまったにもかかわらず上司に報告をせず、自分だけで解決しようとする人がいます。
こういう人は、「クレームを起こしてカッコ悪い」「上司にも怒られたくない」と自分のことだけを考え、お客様に立場に立って考える思考が欠如しているのです。最終的には自分だけではどうにもならずに、お客様からのクレームが上司に直接入り、お客様からも上司からも信頼を失ってしまう最悪の結果になるのは、容易に想像できると思います。
お客様の立場に立とうとすると、クレームになった問題は自分とお客様との共通の問題となります。自分事として捉えることで、お客様とパートナー関係を築くことができます。お客様も「この人は私の味方だ」と考えるようになり、必要以上に怒ったり、理不尽なことを言ったりするようなこともなくなります。
クレームの心理自分のことだけ考えてクレーム対応すると、お客様はそれを見抜く。具体的行動お客様と良い関係を築けるようになるために、お客様と同じ立場に立つことを心掛けよう。
006クレーム対応力を身に付けるメリット②クレーム対応をすると、傾聴力が身に付いてくる
お客様相談室に配属される前の私は、人の話が聴けない人間でした。周囲の人から否定されることを恐れていたのだと思いますが、自分が思ったことをどんどん口に出して、自分の考えを押し付けて説得しようとするコミュニケーションの取り方をしていました。
その後、お客様相談室に配属されて、クレーム対応の現場で私がお客様からもっとも多く言われたセリフは、「あなたは何もわかっていない」「話をちゃんと聴け!」でした。さすがにどのお客様にも何度も同じことを言われるので、口を挟まずに話を聴くようにしました。
「どうやって解決してやろうか」などと考えずに、全て受け入れるようにしました。そこで気付いたのは、お客様は“クレームを言うことを怖がっていた”ということでした。
「クレーマー扱いされないだろうか」「クレームを言って、反論されたらもっと嫌な気持ちになるかも」「クレームを言ったけど、自分の勘違いだったらどうしよう」直接の言葉としては出てこないのですが、こういう不安な気持ちを抱えながらクレームを言ってこられているということです。
全てを受け入れて話を聴くことができた後、自分の口から自然と出た、お客様に投げかけた言葉は、「そうでしたか。お話、よく理解することができました。いかにお怒りであるかもとてもわかりました」でした。
この私の言葉を耳にしたお客様は安心され「わかってくれたらそれでいいです。次も使いますから同じことがないようにしてください」と言って電話を切られました。そして次回は笑いながらお客様とお話できるようにもなりました。
コミュニケーションとは、相手の話を聴くこと、お客様の気持ちに理解を示すことだということです。この意識を常にもち続けることができるようになると、あなたのコミュニケーション力は飛躍的に向上します。
すると職場やプライベートの日常の人間関係に悩むことも少なくなるでしょう。クレームの心理お客様はクレームを言うこと自体を、恐れている。具体的行動クレーム対応も日常生活もうまくいくようになるために、話を聴く力を身に付けよう。
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