第4章ワンランクUP!クレーム対応の上級テクニック
047クレームメールへの返信のポイント急いで返信すると、誤字を見逃すことがある
昨今はメールでのクレーム対応をする機会がとても増えています。顔の見えない状態は電話対応と同じですが、対話ができるわけではありませんので、しっかりとした間違いのない返信文をお送りすることが重要になってきます。こちらが書く内容によってはお客様の怒りを笑顔に変えることができる一方で、的確な返信文を作成しないとさらに怒らせてしまうこともあります。クレームメールの返信文で私がもっとも気をつけてもらいたいと思っていることは、文章の内容が事務的で不親切な内容にならないようにすることです。こちらは丁寧な表現を使っているつもりでも、お客様からは「冷たい感じ」「気持ちがこもっていない」と悪い印象を与えてしまう場合が本当によくあります。
では、どうすれば良いのか。おススメなのは、パソコン画面上で黙読するだけではなく、一度紙に出力して声に出して読むことです。画面上で黙読していたときには丁寧な表現で作成できたと思っても「何か事務的で不親切かも」ということに自分で気付くことも少なくありません。とくに、自分たちが言いたいことばかり伝えているなど、お客様の気持ちに寄り添うような表現がひとつもないということなどにも気付けるようになります。さらに良い返信文を作成するには、自分以外の同僚や上司にも紙に出力した返信文をチェックしてもらうようにもしましょう。「こういう表現を入れてみたらさらにお客様に伝わる」等のアドバイスを受けることができます。また、思わぬ誤字・脱字が見つかることもあるので是非、周囲の協力も得てから正確な返信文をお客様にお送りするようにしてください。最近はパソコンの変換ミスによる誤字でお客様を怒らせることも多く、「今後ともよろぴくお願い申し上げます」「次回、ご利用いただける汚職事件(お食事券)をお送りさせていただきます」といった文面を送ってしまったケースもありました(笑)。クレームの心理謝罪メールが推敲されていないと、かえっていい加減な印象を与えてしまう。具体的行動メールを受け取る側の気持ちになるために、返信文は必ず声に出して読もう。
048理解不能なクレームメールへの対応法理解不能なメールがきたら、電話対応に切り替える
クレームメール対応で必要なのが、お客様のクレーム文面に書かれた内容を読み解くスキルです。「お客様に一体何があったのか?」「どんな気持ちになったのだろうか?」「私たちに何を求めていらっしゃるのだろうか?」こういうことを送られてきた内容からくみ取って返信する必要があります。ただ、残念ながらお客様は一体どうしたいのか、何度読んでも理解できないメールが送られてくるケースもあります。その場合には、想像力を働かせてお客様のために寄り添う返信文を送ることよりも、電話対応に切り替えるようにしてください。たとえば「バカヤロー!コノヤロー」のような暴言だらけの意味が不明な内容が仮に送られてきたとしましょう。このケースであれば、このように返信します。■理解不能なメールへの返信文例〈1.共感〉この度は私共の商品をご利用くださり、誠にありがとうございます。商品にご満足いただけない点が多々あったようで心苦しい限りです。頂戴したメール文面からお客様がいかにお怒りのお気持ちであるかが、大変伝わって参りました。〈2.対応切替〉つきましては、もう少し詳しくお話をおうかがいしたく存じますので、お客様のご連絡先をご教示いただけませんでしょうか。私、担当〇〇よりお客様のご都合の良い時間にお電話を差し上げるようにいたします。〈3.お詫びとお願い〉お手数をおかけいたしますこと重ねてお詫び申し上げます。ご連絡、お待ちしております。このように、お詫びと共感の言葉を駆使しながら、お客様からの電話連絡先を確認し、メールから電話対応に切り替える方法が有効です。深夜に酔っぱらってクレームメールを送ってきたお客様だと、昼間にはすでに落ち着いていて
電話では冷静に対話ができるようになっていることが少なくありません。クレームの心理理解不能なメールを送ってきたお客様は、気持ちの整理がついていないことが多い。具体的行動お客様のご要望を決め付けるとトラブルのもとなので、お詫びと共感の言葉を使ったメールを送り、電話対応に切り替える方向にもっていく。
049クレームメールの効果的な返信方法名前を文中に何度も入れると、より心に響きやすくなる
クレームメール対応で極力避けたいことは、何度もお客様とメールのやりとりをすることです。何度もメールのやりとりをすることはお互いにとってストレスになり、たくさんの時間も費やしてしまいます。クレームメール対応では1回の返信で終了する良質なメール返信文を作成できるようになることがとても大切です。クレームメール対応では、電話や対面同様に、自分がクレームを伝えた立場であればどのような返信があれば嬉しい気持ちになるかを意識して返信するようにしましょう。1回の返信で対応が完了するために必要な「5つのポイント」を取り入れた
メール返信文例を下記にご紹介します。■クレームメールの返信例〈1.お詫び〉長年にわたりご利用いただきながら今回の当社の対応で〇〇様が大変ご不快な思いをされたこと、心よりお詫び申し上げます。〈2.共感〉私共を信頼してご契約いただいているのもかかわらず、〇〇様が深く落胆されたことを想像しますと、心苦しい限りです。〈3.原因究明〉今回の原因としましては、〇〇様より以前からご指摘いただいた内容を社内共有ができていなかったことが全てでございます。弁解の余地もございません。〈4.解決策の提示(今後の対応)〉私共に気持ちの緩みがあったと深く反省し、〇〇様の失った信頼を取り戻すべく、社内共有と業務改善の徹底していく所存です。〈5.感謝の言葉〉この度は〇〇様にご不快な思いをお与えしましたこと、重ねてお詫びいたします。私共の至らない点を教えていただき、誠にありがとうございました。この返信例を見てわかるように文中にお客様の名前をたくさん入れることで、よりお客様に伝わる文章になります。是非参考にしてください。クレームの心理クレームのメールを何度もやり取りしていると、お客様も対応する人も疲れてきてしまう。具体的行動1回で返信を終えるために、メールに「お詫び」「共感」「原因究明」「解決策の提示」「感謝の言葉」の5つのポイントを入れるようにする。そのメールにはお客様の名前をたくさん入れる。
050常連のお客様がクレームを言う理由常連客がクレームを言うのは、長年の貢献を無視されたから
常連のお客様から少し理不尽なご要望を頂くことがあり、その対応によってはクレームに発展してしまいます。ワインの販売店での出来事です。常連のお客様に商品をお渡しする際、とくにご要望がなかったので簡易包装でお渡ししようとしたところ「私をバカにしているのか!ギフトラッピングを無料にして出せ!」と、クレームが発生したことがありました。接客対応していたのが新人のアルバイトの方だったのですが、少し理不尽とも取れる要求に感情的な態度をとってしまい「代金を頂戴しないと、ラッピングはできません!」と、突っぱねてしまったため、さらに大きなクレームに発展してしまいました。すぐ横にいた先輩の従業員が間に入り、お詫びして話を聴いたところ、お客様はこのような内容を伝えてきました。「私はもう30年近くはここで買い物をしている。なのに店に入っても、挨拶がしっかりされない。前はそんなことなかった。包装についても以前は、どうするかの希望をちゃんと聴いてくれていたのに、最近はこちらが何も言わなければ簡易包装で渡される。前とは全然違う仕事ぶりに悲しい気持ちになった」いかがでしょうか。お客様の気持ちがとてもよくわかる話ですよね。店側はどのお客様にも同じ対応することが正しいと考えていても、長年利用しているお客様の立場からすれば、私は常連で長年、売上に貢献しているという気持ちは少なからずあるのではないでしょうか。そのことを理解して大切に接して欲しかったというのがクレームになった原因だとわかると思います。もちろん、クレームにならないような接客ができれば良かったのですが、クレームを言われて初めてお客様と店側には認識の違いがあることに気付けることが少なくありません。今回の対応としては「長年ご愛顧をくださっているのに、嫌なお気持ちをお与えして申し訳ございませんでした。私共に対応が至らない点があり、お恥ずかしい限りです」と真摯にお詫びの言葉を投げかけてみてはどうでしょうか。「わかってくれたらそれでいい」と仰り、ラッピングを無料にしろということは言わなくなると思います。
クレームの心理常連のお客様の理不尽なクレームは、私を大切して欲しかったという気持ちからくることが多い。具体的行動普段は頼もしい味方であるはずのお得意様がクレームを言う理由を知るために、しっかりと話を聴こう。
051こちらに過失がない場合の対応の注意点感情的な対応をすると、気まずさだけが残ってしまう
クレーム対応では、常に受ける側に落ち度があるとは限りません。お話をうかがった上で、こちらには過失がないと判断できることもあります。ここで気をつけないといけないのは、感情的になり、その気持ちが顔に出てしまうことです。一時の感情的な気持ちを言葉にしてしまい、お客様との関係がギクシャクすることになると、次にご利用いただく機会を失うことにもなりかねません。仕事をする上では、自分の感情よりもお客様の感情を尊重することの方が大切だと私は考えています。オフィスビルの管理をしている守衛室にこのオフィスビルに勤めている女性から電話でのクレームに「ちょっと!さっきからオフィスのエアコンが寒い
のよ!何とかしなさいよ!」と、かなりお怒りのクレームが発生しました。実はこのビルのオフィスの温度は、全館同じ温度に設定されており、他のフロアからはとくに同じクレームは入っていません。とくにこちらには過失はないと思った電話対応者は「とくに他からはそのような指摘はなかったですけど」と声だけでもムッとしているのがわかる、気遣いが感じられない対応をしてしまったところ、お客様をさらに怒らせてしまい、クレームが必要以上に長引いたようでした。このようなこちらに過失がないようなケースこそ、お客様に気遣いを見せる対応を心掛けてもらいたいと思います。まずは、「ご不便をおかけしているようですね。申し訳ございません」と謝罪をし、「室内全体が寒い状況ですか?風が直接当たっている状況ですか?」と状況を確認することもできると思います。その上で、もしも室内全体が寒いということがわかったとしたら、「寒いとお仕事に支障をきたしたりしますよね」と気遣いの言葉を投げかけることもできるのではないでしょうか。温度設定は全館同じであることをお伝えした上で、温かい飲み物やブランケットで寒さをしのいでいただくことなどを提案して差し上げる対応をすれば、お客様も嫌な気持ちにならずご理解いただけるのではないかと思います。クレームの心理クレームを受ける側に過失や落ち度がないことを真正面から主張すると、クレームを言ってきたお客様は居心地が悪くなってしまうことがある。具体的行動お客様を嫌な気持ちにさせないために、過失がなくても話を聴いて提案できることを探そう。
052何度も同じクレームを言われる場合の対応法ポジティブな話をすると、お客様は安心する
現場でクレーム対応をしている方の悩みのひとつに「何度も同じクレームを言われる。改善したほうが良いが、管理職でも何でもないので、社内の体制には口を出せないし、安易に仕事のやり方を変えるとお客様に伝えられないが、どうしたら良いのか」があると思います。ただお客様の話を聴くことしかできず、自分の力不足を感じるクレームだということはよく理解できます。とくに「待ち時間が長い」「在庫切れをなくせ」などのクレームについては、すぐに改善することが難しい場合も多く、常連のお客様からは「他の会社ではこんなサービスがあるのに、なぜおたくはこのサービスを導入しないの!」等、同業他社と比較して何度も同じクレームを言われることもあるかもしれません。その際にその場しのぎの対応で「貴重なご意見をいただきました。是非参考にさせていただきます」と昔からの常套句を使ったところで、また時間を置いてから、「この間の件、どうなりましたか」と言われて、状況が変わっていないことを伝えることで、また怒られるのは目に見えています。そこでこのようなクレームに対しては、おススメの方法がありますので、お伝えします。このように切り返すようにしましょう。「実は、お客様からのご指摘内容につきましては、改善に向けた体制を整えることは現在のところ、準備できておりません。誠に心苦しい限りです」と、正直なことを伝え、お詫びします。その上で、「私共は現在、(…)の部分につきましてのサービス改善を優先的に進めております。今後お客様のお役に立てると考えております」と伝えます。これは、お客様のご指摘には対応できていないが他の部分でサービスを強化しているとポジティブな内容に論点を変える方法です。お客様の期待に完璧に応えられる企業は世の中に存在しません。だからこそ、自分たちの強みや改善している部分にフォーカスしてお客様に喜んでいただける情報を自らが発信する対応を心掛けてみてください。自分は管理職ではないからと嘆くのではなく、お客様を笑顔にする話ができるようになることが大切だと思います。
クレームの心理できないことにばかり目を向けていると気持ちが辛くなってくるので、できることにも目を向けよう。具体的行動お客様に安心してもらうため、ご指摘に対応できないことお詫びした上で、優先して改善している所、自社の強みの部分に視点を変えて話そう。
053責任者を出すよう求められたときの対応法「上を出せ!」と言われたら、それには触れずに謝罪する
クレーム対応の場面で、「上を出せ!」「責任者を出せ!」「社長を出せ!」と店に乗り込まれて言われたり、電話の冒頭でこう言われたりして困ってしまうことがあると思います。当然ですがこの際のNG対応としては「責任者は外出しております」と、伝えてしまうことです。もちろん不在の場合もあると思いますが、こう伝えたところで「じゃぁ携帯に今すぐ連絡を取れ!」と、お客様は強硬姿勢に出てくるようになります。最近では「この件につきましては私が責任者です」と伝えて、自分が対応しますと伝えるようにと指導している企業が少なくないのですが、私はこれもNG対応だと思っています。
お客様は頑なに責任者を出さないという企業の姿勢に腹を立てて「いや、だからお前なんかではダメだ!責任者を出せよ!」と、上を出す出さないに話が進んでいき、お客様がなぜ、怒っているのかが一向にわからないケースがよく起きています。私が推奨するこの場合の切り返し話法は、「限定付き謝罪」と「話を聴く姿勢を見せる」ことです。たとえば、「店長出してちょうだい!」と言われたのなら、「私共の対応でご満足いただけない点がありましたようで、申し訳ございません。どのようなことがございましたか。話を聴かせてください」「ご不便をおかけしたようで申し訳ございません。私、〇〇と申します。お客様のお話、メモも取らせていただき、上席の者にも伝えるようにいたします」等の対応を心掛けてください。上を出す出さないにはこちらから一切触れず、クレーム対応の初期対応に失敗しないための基本対応である謝罪の言葉から入ることで、冷静になってもらうことが大切です。上席の人間を出すにしても、お客様が少し冷静な状態になっていただくことをしてから引き継ぐ方法が良いと思います。そもそもクレーム対応とはお客様に言われた対応者を出すのではなく、自分たちが主導権をもって、自分たちのやり方で対応すれば良いのです。私の知っている企業では上を出すと絶対揉めるから頑なに現場の方で対応が終わるようにしているところもあります(笑)。クレームの心理責任者を出さないでいると、お客様は責任者を出させることで頭が一杯になってしまうことがある。具体的行動初期対応に失敗しないために、「上を出せ!」と言われても、そのことには触れずにお詫びから始めよう。
054激高されているお客様へのあいづち方法「心配」「不安」を使うと、反省の気持ちが伝わりやすい
興奮状態で感情的になっているお客様には冷静になっていただかないとクレーム対応はうまくいきません。ゆっくり対話できる状態にもっていく必要があります。とくになかなか興奮状態が収まらない場合は、こちらも恐怖心が出てきますし、悪質クレーマーではないだろうかという不安な気持ちにもなってきます。しかし、恐怖心や不安な気持ちをもっているのは、お客様も同じなのです。お客様はクレームを言ってくるのは、解決して欲しい以上にわかって欲しいからなのです。実は興奮状態のお客様はそれだけ大変なことが起き、「こんな心配をさせられた」「とても不安な気持ちだった」ということを、対応者のあなたに理解して欲しかったのです。これはクレーム対応ではなく、身近な家族とのコミュニケーションでも同じことだと思います。私の経験談ですが、予定の時間に帰宅してこない子供が遅くなって何事もなかったように家に帰ってきたときに子供のことをすごく叱ったことがありました。これは、“帰りが遅かった”ことより、何か事故にでもあったのではないかと“心配させられた”“”という気持ちが一番の怒りのポイントでした。クレーム対応のシーンであれば「明日、利用したい商品を通販で購入したが、予定の時間になっても商品が到着しない」、この場合のお客様は「もし商品が届かなかったら、どうしよう……」と、心配や不安な気持ちにさせられます。にもかかわらず、遅れて商品を届けにきた配達員が「遅くなりました」の一言もなく、普通に商品を届けてしまうと大クレームに発展してしまいます。この場合は「時間通りにお届けできず、ご心配おかけしまして申し訳ございません」「私の不手際でご不安なお気持ちを与えてしまいました」とお詫びや反省の言葉を伝えるようにしましょう。お客様の最大のお怒りポイントの気持ちに触れた言葉を使用することで、お客様は少しずつ冷静さを取り戻すように
なります。クレームの心理激高しているお客様はそれだけ、不安な気持ちになって、大変な思いをしたということをわかって欲しいのである。具体的行動お客様の気持ちに寄り添うために、「ご不安なお気持ちでいらしたことよく理解できました」という言葉を使おう。
055言いづらいことを伝えるときの技術断りの表現で終えずに、謝罪の言葉で締めくくる
お客様のクレーム内容を確認したところ、ご要望に添えることができないケースやお断りをしないといけないケースがあります。こんな場合には、いかにこちらが申し訳ない気持ちでいるかと、お客様に対して配慮ある言葉を使用するかでお客様が受け入れてくれる可能性が大きく変わってきます。このような言葉を「クッション言葉」と呼ぶことにしましょう。■お客様に気遣いを見せるクッション言葉「誠に恐れ入ります」「大変恐縮でございますが」「あいにくですが」「もしよろしければ」
「誠に申し上げにくいことですが」「ご面倒をおかけしてしまうのですが」「お力になれず残念なのですが」「社内でしっかり検討したのですが」「ぶしつけなお願いとなるのですが」「お手数をおかけしてしまうのですが」「これは、〇〇様にご相談になるのですが」このような言葉はとくに対面・電話対応では反応で出てくるように日頃から準備しておくようにしておいてください。とくに返金・返品のご要望に添えられない場合や「家に謝りに来い」等のハードクレームの際にお断りする際には、知っておくべき切り返しの言葉となります。クッション言葉を伝えた上で、実際にお断りする場合の表現として気を付けておきたい言い回しとして後ろ向きな言葉で終わらないようにすることも重要です。NG対応「申し訳ありませんが、ご返金の対応はいたしかねます」OK対応「ご返金の対応はいたしかねます。大変申し訳ございません」というように、断りの表現で終わるのではなく、ご要望に添えられず残念でならないという謝罪の言葉を使うことで、お客様に受け入れてもらうよう最大限に配慮することを実践しましょう。言葉の順番によって大きく印象が変わってきます。クレームの心理締めくくりの言葉が断りと謝罪とでは、与える印象が大きく異なる。具体的行動お客様に受け入れてもらうために、「クッション言葉」で申し訳ないという気持ちを伝えるようにしよう。
056お客様に反論するときの切り返し話法長めのクッション言葉で、受け入れてもらいやすくなる
お客様の話を聴いて現場の状況確認をしたものの、こちらに非がない場合があります。「見ていない」「聞かされてない」や「不良品だ」と言われたものの、実際は案内していた、不良品ではなかった場合は、どのように切り返せば良いのでしょうか。この際は当然ですが、「いや、ちゃんとお伝えしたハズですよ」「私どもにミスはありません」とすぐにこちらの正当性を主張したり、お客様の話を遮ったりしてしまうと、「何だその態度は!」と、クレームの矢印が対応者のあなたに向かってくることはおわかりいただけると思います。クレームの矢印が自分に向けられると、つい感情的な態度になり、「しかしですね」「いや、だからさっきも言いましたけど」「じゃあどうしろと言うのですか」というような言葉が口から出てきてしまいます。こうなると人を代えない限りこのクレーム対応が円満解決することはありません。クレーム対応では、お客様のことを否定するような言葉で反発してはいけませんが、お客様とは違う見解を述べないといけない場面で反論することには何の問題もありません。ただ、反論する場合にもっとも重要なのは、お客様がこちらの話に聴く耳をもってもらう状況にもっていくことです。お客様に反論する場合の一番の切り返しの言葉として、このような言い回しをおススメしています。「お客様がご気分を害されるのではないかと思い、申し上げるべきがどうか、すごく迷ったのですが……」「お客様にどうお伝えするべきか、なかなか言葉が浮かんでこなかったのですが、実は……」と、このような言葉をつかうようにしましょう。この言い回しが良い理由は、お客様の気持ちに配慮していることが伝わってくることと、この言い回しの後には、反論の言葉が出てくることが、誰にでも理解できることです。お客様に反論が来る心の準備をしてもらえる表現である
ため、お客様が聴く耳をもちやすいという利点があるということです。クレームの心理お客様は長めのクッション言葉を聴くと気持ちが和らぎ、またこれから反論が来ることがわかるのでお怒りでも冷静になることが多い。具体的行動こちらに非がないときにこそ、お客様への配慮が伝わるクッション言葉を使って対応しよう。
057思い込み・勘違いの切り返し話法指摘後に反省を入れると、恥をかかせずに済む
クレーム対応でこちらに非がなくお客様に反論しないといけない場面のほとんどがお客様の思い込み・勘違いでのクレームだと思います。しかし、かなりのお怒り状態で大きな声を出してくるお客様に対しては、勢いに押されて反論することが難しく感じる方も少なくないでしょう。この場面で、これ以上クレームを大きくしたくないと考え、「私共の対応が十分ではありませんでした」と、こちらに非があるようにし、何とか許してもらおうとする対応者がいます。一見、良さそうに思えますが、お客様から「じゃあ、どう責任を取る」とさらに強硬な姿勢で攻め立てられることが少なくありません。思い込み・勘違いのクレームに対しては、長年対応法を研究してきました
が、やり方はひとつしかないということに気付きました。それは、自分たちの対応が十分ではなかったことと、お客様も勘違いしていたということも伝えるという方法です。ただ、伝える順番がとても重要なのですが、先に①お客様の勘違い部分を指摘し、その後に②自分たちの対応が十分ではなかったと反省点を伝えるようにしてください。■思い込み・勘違いのクレームへの切り返し話法食品の賞味期限を伝えていたにもかかわらず「賞味期限が切れていた。何も聴かされなかった」というクレームの場合:〈1.勘違いの部分の指摘〉お客様、実はこちらの商品をお買い上げの際、私共はどのお客様にも賞味期限日をお伝えするようにしておりました。〈2.反省点〉ただ、今回のお話を受けて、私共がもう少ししっかりとお客様にご理解いただくまで案内をする必要があるということに気付きました。この点につきましては私共の反省点であると考えてございます。このように伝えることでお客様が勘違いしていたが、こちらの対応も充分ではなかったという状況をつくることができ、お客様に恥をかかせることなく円満に終えることができます。クレームの心理お客様の落ち度の指摘で終わると、気まずさが残ってしまう。具体的行動勘違いの指摘だけではなく、自分たちの対応不備についても反省することでお互い様の関係にしよう。
058過大要求のクレームの対応法「できること」を提案すると、お客様との絆を強化できる
クレーム対応の場面でお客様が無理難題を言ってくることは、よくあります。とくにこちらに非がないような場合は「変なお客様だ」と決めつけて一方的に断る対応に終始する企業が少なくありません。リフォーム会社での事例です。お風呂のリフォーム工事を3か月前に施工したお客様から「床が黒ずんできたが、不良工事だったのではないか。」というクレームが入りました。当然、3か月も使用すると定期的に清掃をしていただかないとそのような状態になるのは常識だと考えますが、このお客様の要求は「無料で床の貼り直しをして欲しい」でした。これはかなりの過大要求であり、受け入れることはできません。この場合での対応の考え方としては、「恐れ入ります。残念ながらお客様のご要望に添うことができません。誠に申し訳ございません」とお断りをする方法がありますが、プロとしてお客様のために何かできるのではないかと考える良い機会として捉えることもできます。たとえば、「不良工事ではないか」というお客様の不安を取り除いて差し上げるために、現場を見に行くことはできると思います。その上で、不良工事ではなかった場合、「不良工事ではありませんでした。」とこちらの正当性を主張するだけでなく、床の黒ずみを簡単に取り除ける洗剤や掃除の仕方をお客様に情報として提供して差し上げることはできるのではないでしょうか。私の取引先でもあるこのリフォーム会社は工事を受注することよりも、工事終了後のクレーム対応含めたアフターフォローに多くの力を入れています。実際に「できない」と伝えるだけでなく、「できること」を一生懸命探し、お客様に提案することでお客様の信頼を勝ち得て、追加工事のご依頼や新規のお客様を紹介していただくことも少なくないようです。クレーム対応では、お客様の要望を100%受け入れることはほとんどありません。だからこそ、過大要求と思うようなクレームでも、拒否の気持ちをいったん置いておき、じっくりお客様と向き合うことで絆を強くできることもあると考えるようにしてください。
クレームの心理お客様が過大要求をしてしまうのは、困りごとがあるものの自分では測り切れないからということもあるので、新規の仕事の可能性を考えるようにしよう。具体的行動過大要求のクレームにも否定から入らず、何かできることはないかを探すようにしよう。
059「金返せ!」と言われたときの判断基準契約通りであるならば、お金を返す必要はない
サービス業・接客業のクレーム対応研修にうかがうと、質疑応答でよく出てくるものに“お客様からの返金要求”に対しての質問があります。「買った商品が壊れていた」「ネットに書いてある内容と違う」「商品が気に入らない」「思っていたのと違った」と言われた場合には返金対応はどうすれば良いかというものです。結論から申し上げると、“契約通りかどうか”を判断基準にしていただけたらと思います。お客様に約束したサービスをしっかり提供できたかどうかで返金対応の判断をすれば良いのです。事例として、「買った商品が壊れていた」という場合であれば、現物を拝見
し、商品に不備があったのなら契約通りではないので、返金のご要望があれば対応する必要があります。また「ネットに書いてある内容と違う」というケース、たとえば、ネットで申し込んだ温泉旅館のプランに「露天風呂付部屋プラン」と記載があったにもかかわらず、露天風呂がボイラー故障で使用できなかった場合は、返金の対象となります。反対に「商品が気に入らない」という場合は、こちらに非がなくお客様の主観である気持ちの問題のため、返金対応は不可の判断をすることが正しくなります。同じく「思っていたのと違った」のケースは、たとえば美容サロンで数日前にお越しになられたお客様から電話で「カラーが思っていたのと違った」と言われたのなら、返金するのではなく、追加料金をいただいて、お直しの対応をする旨をお客様に伝える対応で十分だと思います。目の前に現れたお客様が、かなりお怒り状態で「金返せ!」と大声で言われると、金銭要求の悪質クレーマーではないかと、一瞬身構えてしまいますが、この場面こそ契約通りか否かを冷静に判断をすれば良いのです。先程の美容サロンの対応のように、仮に返金の対応はできなくても「このような方法があります」と、プロとして提案して差し上げるほうが、お客様との関係も良くなりますので、臆することなく提案対応をするようにしてください。クレームの心理お客様の「思っていたのと違う」という気持ちに寄り添いつつプロとして次の提案をすると、関係も良好になる。具体的行動お客様の勢いに押されて返金してしまわずに、契約通りかを客観視して判断しよう。
060ゴネるお客様の対応法ゴネてもムダと気付くと、ゴネるのをやめる
クレームを受けて困るものに、ゴネるお客様の対応があります。何度も同じことを伝えてきて、自分の要求をゴリ押しするお客様が世の中には存在します。この場面に遭遇した際にもっともしてはいけないことは、ゴネられることにストレスを感じ、相手の要求を渋々受け入れてしまうことです。ゴネ得を許すのは、クレーム対応でもっともやってはいけない対応のひとつです。これは断言します。少しの金額だからこれぐらいは仕方ないと考え、相手の要求通りの返金対応をすることなどは避けるようにしてください。実はゴネ得を許さないためには、お客様の要求は受け入れられない、こちらの結論は変わらないということを根気よく丁寧に伝えることしか方法はありません。効果的な方法として「過去からのお客様対応事例」を盾にして伝えることがあります。たとえば、「産直通販で注文したリンゴが硬くて美味しくなかった。返金して欲しい」という理不尽なクレームがあり、「開封後の商品は返品・返金をお断りしています」と伝えても納得されないケースがあったとしましょう。残念ながらこの場合、同じことを何度伝えたところで、クレーム対応が長引くだけです。このケースは話の論点をあえて変え、過去から同じ指摘を受けてことを伝えます。たとえば、「実は、以前よりリンゴの食感につきましてはご指摘があったのですが、商品説明欄に当社のリンゴは、硬めの果肉で後味がさっぱりしているのが特徴と記載してございます」と伝え、さらに「残念ながら過去からどのお客様にもこのケースのご返金・返品の対応はお断りをしております。お客様のお役に立てず心苦しい限りです」と、伝えてみましょう。ゴネるお客様の最大の特徴は、ゴネて押し通せば、自分の思い通りになると考えています。ただ、今回のように返金できない根拠として過去からどのお客様にも同じ対応で統一していることを伝えることで、ゴネても結論は変わらないことを理解するようになります。結論が変わらないとわかると、時間の無駄
だと考えてあっさりと「それだったらもういい」と自分から対応を終わらせようとします。クレームの心理ゴネ得を一度許してしまうと、次も許してもらおうと思うお客様が出てきてしまう。具体的行動ゴネ得を許さないために、明確な根拠と過去の対応事例を盾に説明しよう。
061自分の名前を名乗らないお客様の対応法匿名のクレームは、対応しなくて良い
最近よくあるご相談のひとつに、電話でのクレームで名前を名乗らないお客様への対応があります。たとえば、マンションの住人同士のトラブルで、一方の住人がマンションの管理会社に「あの部屋から異臭がするので退去させろ!」と言ってくることや、家電量販店のお客様相談室に、「販売員から押し売りされるようなセールスを受けた!クビにして欲しい」というクレームを自分の名前を名乗らずにしてくるケース等があります。自分が言ったことをクレーム相手に知られたくないという気持ちがあるのだと思いますが、名乗らないお客様のクレームからは、理不尽な要求が出てくることが少なくありません。
この場合の対応法としては「お客様のお名前を教えていただけますでしょうか」と必ず身分を明かしてもらうようにしましょう。なぜなら信ぴょう性がないからです。企業の電話窓口やお客様相談室は、お客様のストレスのはけ口ではありません。「いつ・どこで」、「何があったのか」「どうして欲しいのか」はお客様のお名前とご連絡先をうかがった上で対応するべきです。もし、「教えたくない」とおっしゃるのであれば「申し訳ございません。当社はお客様のお申し出を受けて現場を確認し、今後の対応をどうするかをお客様にもお伝えするようにしております。」と伝えるようにしてください。私の経験からの話ですが、名乗らずにクレームを言うお客様の話は長くなります。なぜなら自分の身分がバレないので、あることないこと言いたい放題状態になるからです。ツイッターで自分の名前を出さずに悪口を書いてくる投稿やコメントと同じです。企業にとっては聴く耳をもつ話ではないと判断して良いと思います。もし、それでも「なぜ、名前を言わないといけない」と言われたら堂々巡りになりますので、「お客様から当社へのご意見をいただく際の『ご要望シート』をメールかFAXにてお送りしますので、ご返信をお願いできますでしょうか」と伝えて、名乗らないお客様とは電話では対応しない旨を全面に出してみる方法があると思います。是非、参考にしてみてください。クレームの心理クレーム時に名前を名乗らないのは、身分をバラさずに好き放題言いたいからである。具体的行動電話での対応を打ち切るために、名乗らないお客様には「ご要望シート」を提案しよう。
062あなた個人の意見を問われた際の対応法個人の意見を聞かれても、組織の代表として対応する
クレーム対応ではお客様が、「自分がどれだけ被害を受けたか」、「どんなに嫌な気持ちにさせられたか」わかって欲しいという気持ちが強ければ強い程、感情的になり大きな声でクレームを伝えてきます。なかには「あなただったら、どう思いますか」「私と同じ気持ちになりますよね」と、個人的な同調や賛成を求めてくるお客様がいます。この場合は、「はい、私も同じ気持ちです」と「私もお客様と同じことを考えると思います」と、個人的な見解をお客様に伝えてしまう対応者がいます。このような言葉を伝えてしまうと、お客様は全て受け入れてくれたと考えるようになり、「じゃあ、どう対応してくれますか」「当然、返金してくれますよね。上の方にもそう言ってください」と、過大で理不尽な要求をあなたに対して求めてくるようになります。こうなると、切り返すことがとても困難になります。もし、個人的な意見を問われた場合には「私共としてもお役に立てず、心苦しい限りです」「いかにお怒りであるか、お話を聴いてよく理解できました」という言葉をつかい、お詫びと共感で対応するようにしましょう。クレームを対応するのは、ひとりの担当者かもしれませんが、あくまで会社の代表のひとりとして対応します。その立場を忘れてはいけません。もっと言うと、企業や組織に入るクレームは誰がやっても同じ対応ができるようにしておかないといけません。組織としての統一した見解で対応を行わなければいけません。残念ながらその意識がなく、個人としての意見でお客様対応をしてしまうことで、後になって「この間のあの人は、こう言ってくれたのに、なぜあなたは理解しないの!」と、違う方向にクレームが発展するケースもあります。対応者ひとりの言葉をお客様はその企業・組織の言葉として受けとめます。常に組織の代表としてクレーム対応をしているということを心掛けるようにしましょう。
クレームの心理お客様が対応者に個人の意見を言わせようとするのは、自分を受け入れてほしいからだが、言ってしまうと会社が攻撃されやすくなる。具体的行動お客様から同調や賛成を求められても「お詫び」と「共感の言葉」で対応するようにしよう。
063何度もしつこく同じ話をしてくる人の対応法すでに受けたクレームは、時間の無駄なので打ち切る
クレーム対応をたくさん経験していると、お客様のなかには何度も同じ話をしてくるお客様や、業務にあまり関係のない話をしてくるお客様がいらっしゃいます。たとえば、年輩のお客様でよくある事例として過去に受けた嫌な対応について何度も伝えてくる人がいます。病院では、話し相手が欲しいのか、「あの看護師の態度が威圧的で嫌な気持ちになった」と、過去にクレームを受けて対応を終えたものに対してもまた同じことについて言ってくるというものです。とくに「この人はわかってくれる人だ」とお客様から思われると、何度も自分にだけ同じ内容のクレームを伝えてくる方が少なくありません。このような場合の対応については、ハッキリ言うと対応は早々に打ち切るこ
とを実践するようにしてください。クレーム対応を行う上でとても重要なことなのですが、クレームはどこまで対応するのかについて明確な基準を決めておくことが大切です。日本の社会はまだまだ“お客様至上主義”という風潮が色濃くあります。クレーム対応は、「お客様の良き理解者になってください」と何度もこの本にも書きました。ただ、どこまで対応するかの見極めのルールもつくっておかないといけないということも言っておきたいのです。もし何度も同じ内容のクレームを受けたのなら、こう切り返します。「先日のお話ですね。十分理解しています。」と一度、共感の言葉を入れた上で、「急ぎの患者さんがいるので、失礼しますね」と伝えてその場を離れて良いのです。中学校の校長に対する保護者からのクレームで、「担任の先生の出身大学は、うちの主人よりも偏差値が低いから心配だ!」というものが何度もありました。この校長は、「仰りたいこと自体、理解できました。ただ、偏差値で人間を計るものではない。とても失礼な発言です。」と毅然とした対応をされました。何を言っても受け入れてもらえると思っている相手には、反論するところはしっかり伝える姿勢が重要です。是非、参考にしていただきたいです。クレームの心理何度も同じクレームを言ってくるのは、対応のことを「この人はわかってくれる人だ」と思って甘えているのである。具体的行動しつこく同じ話をされるのであれば、毅然とした態度で対応を打ち切るようにしよう。
064相手先にうかがう際のアポの取り方の注意点日程を複数あげてもらえば、不都合を詫びるリスクが減る
お客様からクレームを受けて、状況を調べた結果の報告で先方にうかがう場合に注意してもらいたいことがあります。実はアポイントの取り方ひとつで、さらにお客様を怒らせてしまっていることがクレーム対応の現場でよく起きているのです。シチュエーションとしてはこんな場面です。対応者がお客様に連絡し、「先般、ご指摘をいただいた調査の結果についてご説明におうかがいしたいのですが」と伝えたところ、お客様から「じゃあ、明日の午前中に来てください」と言われたとしましょう。お客様のご都合にあわせようとする一見、良い対応に見えますが、これは危険な対応です。お客様からご要望のあった「明日の午前中」が、こちらがどうしても訪問できない場合が当然あると思います。その場合に「その時間はあいにく……」と伝えてしまうと、「何だよ!問題起こしておいて、来られないのかよ!」とお叱りを受けることは容易に想像がつくと思います。明日の午前中が難しいとやんわりお断りする方法があるのかと言うと、正直良い切り返し話法はありません。では、このような場合のアポイントの取り方はどうすれば良いのか。実はこちらが主導権を握ることができる良い質問話法があります。「調査結果に関しまして、お客様のご希望を2~3日教えていただいた上で、ご説明にうかがいたく存じます。ご都合はいかがですか?」このように、お客様の都合の良い日を複数提示してもらうことで、こちらがベストだと思うタイミングに訪問できるようなアポの取り方をするようにしてください。クレーム対応は、対応者側が主導権を握る必要があると、何度もお伝えしてきましたが、この場面でもそれを意識してください。訪問する人間は、直接クレーム対応した担当者、調査をした担当者等、その場でしっかりお客様に対して受け答えできるメンバーが訪問できる日時にうかがうようにするのです。もう失敗は許されませんのでベストのメンバーでうか
がえるようにしてください。クレームの心理クレーム対応のアポ取りでこちらの都合が悪いと、お客様は最優先されていないことに対して不快な気持ちになる。具体的行動都合が良い確率を高めるために、複数の候補日を挙げてもらおう。
065大声を出す人のクレームの対応法恐怖を感じてしまったら、「怖いです」と言っても良い
コールセンターやお客様相談室でオペレーター向けのクレーム対応研修に登壇した際のお困り事項で頻繁に出てくるものとして「大声を出すお客様への対応はどうすれば良いのか」があります。もちろんクレームの初期対応に失敗しない法則としてさまざまな方法をお伝えしてきましたが、それ以前に自分が怖くなって言葉が出てこない場合があると思います。男性・女性を問わず大声には少なからず恐怖心をもつと思います。ではこのケースはどうすれば良いのか。一番の方法として、「今のお客様のお言葉で怖くなりました」と、伝えるようにしてください。クレーム対応は、恐怖心をもったまま、頭が真っ白になってまでやる必要はありません。ですので、これはテクニックでも何でもなく、「怖いです」と、その相手に伝える緊急回避策があることを覚えておいてください。もっと言うと「お客様のお言葉で怖くなってしまい、何と申し上げて良いのかわかりません。上席の者と対応を代わらせてください」と言って、その場を離れることや、電話を保留するようにもしていただきたいと思います。実はこの「怖い」という言葉は、上司や責任者に対応を代わってもらうようにする際の適切な言葉でありながら、もうひとつ使うべき理由があります。それは、この「怖い」という言葉を聴いて、もっとも動揺するのは大声を出していたお客様の方なのです。大声を出すお客様の最大の特徴は、被害者意識から来る、感情の高ぶりにあると思います。しかし、そのようなお客様は、電話口の対応者が怖がっていることがわかると、自分が大声で相手を威嚇してしまっているという自分側の落ち度に気付くことになり、平静を保とうとします。「自分はこんな人間ではない」と考えて、どんどん冷静になり「私が言い過ぎました。ここからはゆっくり話をします」と反省の弁を述べることさえあります。この方法を知っていると、仮に恐怖に感じなくてもお客様に平静さを保ってもらうための方法としても使えると思います。クレームの心理お客様は、相手を怖がらせてしまったと思うと、自分の落ち度を反省し、平静を保とうとすることが多い。具体的行動恐怖で頭が真っ白になってまで対応する必要はないので、「怖くなりました」と率直に伝え、上司や責任者に対応を代わってもらおう。
066悪質クレーマーの定義と対応法①暴言を吐くクレーマーは、毅然として対応を打ち切る
クレーム対応をしていると、「アホか」「バカなのか」「お前、なめてんのか!」(*私が過去に言われた言葉です(涙))というような暴言ともとれる言葉が止まらず、対応者個人を批判したり、傷付けたりするような言葉を吐き続ける相手がいます。私はこの相手は「悪質クレーマー」だと判断して良いと考えています。悪質クレーマーの定義として、いろんなタイプがいると思っていますが、一番多いのはクレームを言う事でストレス発散したいと考えている人です。つまり、「わかって欲しい」や「この問題を解決して欲しい」ということは一切なく、クレームを言うことを楽しんでいるのです。日頃のストレスを解消するために、ターゲットを見つけてクレームを言います。いわゆる、「暴言・ストレス発散型クレーマー」です。このタイプは、仮に「今の言葉で怖くなりました」と言っても、対応者個人への攻撃が止まることはありません。むしろ対応者が怖がっているのを見て、余計に興奮してもっと汚い言葉を使ってくることもあるでしょう。悪質クレーマーの対応については、当然ですがお客様ではないと判断して結構です。関係を構築しようとはせずに毅然とした態度で対応を打ち切ることを実践しましょう。■悪質クレーマー対応法〈暴言・ストレス発散型〉悪質クレーマー「お前、そんなことも知らないのか!バカか!仕事なんかやめてしまえ!……(対面での暴言が止まらない)」対応者「(毅然とした態度で話を遮って)お客様、誠に恐れ入ります。お客様がいかにお怒りなのかはお話をうかがってよく理解できました。ただ、残念ながら先ほどからの私個人に対する人格否定ともとれるような言葉をおっしゃるのであれば、これ以上の対応は控えさせていただきます。お帰りください」このように、完全に否定するのではなく、部分的に受け入れながら対応を打ち切るようにしてください。
クレームの心理暴言を吐くストレス発散型クレームは、わかって欲しいのではなくクレームを言うこと自体が目的になっている。具体的行動悪質クレーマーはお客様ではなく、業務を邪魔するだけの迷惑客と判断して対応を打ち切って良い。
067悪質クレーマーの定義と対応法②無理難題を要求されたら、「警察に連絡する」と伝える
女性用のランジェリー店でサラリーマン風の男性客が「使用済の商品」を店にもちこんできて返品・返金要求をしてきたことがありました(笑)。レシートはあったのですが、1か月以上前にご購入いただいた商品ということがわかりましたので、対応者が丁重にお断りをしたところ、お客様が激高したようでした。奥様へのプレゼントだったのか、ご自身で使用されたのか(?)はわかりかねるのですが、「とにかく気に入らないので返品して返金しろ!」という無理難題を通り越して、常識を疑うようなクレームでした。「お客様、そんなことを言ってあなたは大人として恥ずかしくないのですか」と伝えましょうと言いたいところですが(笑)、このような場合はどうするの
か?当然ですが通念上、非常識と思える要求には毅然とした態度でお断りすることです。何も迷う必要はありません。とくにこちら側には何も非がないのに金銭要求してくる相手は、「非常識・無理難題要求型クレーマー」と判断してください。必要以上に対応することを避けるようにしてください。■悪質クレーマー対応法〈非常識・無理難題要求型〉悪質クレーマー「商品が気に入らない!返品・返金しろ!そうじゃないとお前のところではもう買わないぞ!」対応者「お客様のおっしゃりたいことは、よくわかりました。ただ、今回のお申し出につきましては、私共には一切非がないと判断しております。返品・返金の対応につきましてはお断りさせていただきます。誠に申し訳ございません。」このような明確な回答を伝えるようにしてください。仮に「なぜ、できない!それと何だその言い方は!こっちは客だぞ!」と論点を変えて、居座ろうとするのであれば、「私共からこれ以上、申し上げることは何もありません。お帰りにならないのであれば警察を呼びます」と二段階で対応を打ち切るようにもしてみましょう。クレームの心理非常識・無理難題要求型クレーマーは、わがままを言ったもの勝ちだと思っているので、必要以上に対応してはならない。具体的行動非常識・無理難題要求型クレーマーには、要求をお断りすること、警察を呼ぶと伝えることの二段階方式を活用すると良い。
068警察に相談することの意義警察にすぐ連絡することは、従業員保護のため必須である
暴言を吐き続けたり、金銭要求をしたりして居座ろうとする悪質クレーマーに対しては、速やかに警察に連絡をすることをためらわないようにしてください。元々はこちらに非があったことが発端だったからと考えて、警察への連絡を躊躇したり、警察沙汰にするのは避けたいと考えたりする責任者が少なくありません。しかし、悪質クレームはクレーム対応ではなく、企業としての危機管理と考えて、業務を妨害されているという判断するべきです。もっと言うと、警察に速やかに相談する体制を整えておくことで、従業員を守るということを一番に意識していただきたいのです。以前、私に研修依頼があった市役所では、連日のように窓口に来ては暴言を吐き威嚇行為をする住民がいたにもかかわらず、自分たちで対応しようとしてしまったことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる職員が続出してしまったことがありました。正直、PTSDを抱えてしまった方たちにクレーム対応の方法をご指導するのはこの方たちが精神的に耐えられないと考えて、メンタルヘルスの専門家からのケアに時間を割いていただくことをお願いしたことがあります。事件ではないのに警察に連絡して良いのだろうかと考えずに、同じ仕事をする仲間を守るためにも相談をするようにしてください。もっと言うと、悪質クレーマーが来ることを想定して事前に所轄の警察署に相談しておくということもおススメします。「こんな場合にはすぐに連絡をください」と警察の方からアドバイスをいただけることで、随分気持ちも楽になりますし、連絡することに躊躇しなくなると思います。これは、私の体験談ですが連日のように私共のお客様相談室に暴言を吐き、無理難題を要求してくるクレーマーに困り、最寄りの警察署に相談しに行ったところ、窓口担当の方から「あっ!それ〇〇という男ですよね。そうですか、おたくにもクレームが行きましたか。その人あちらこちらでクレーム言ってま
すので今度、電話が来たら、私の名前を出すようにしてください。何も言わなくなりますので」と言われて、随分驚いたことを覚えています。クレームの心理警察に事前に相談しておくと、気持ちも楽になって連絡することに躊躇しなくなる。具体的行動従業員の精神的・身体的安全を守るために、悪質クレーマーが来たらすぐに警察に連絡しよう。
069悪質クレーマーに追い込まれる人の特徴クレームを抱え込む人は、悪質クレーマーに狙われる
悪質クレーマーに苦しめられている対応者の特徴として、自分ひとりで抱えてしまっていることがあります。ひとりで何とかしようと考えてしまう人は、上司や周囲の同僚に助けを求めることができません。とくに優秀な営業マンであればあるほど、自分のミスが原因のクレームでは、自分の会社での評価を下げたくないと考え、上司に報告することをせず的確な判断ができないために、クレーム対応をつい後回しにしてしまいます。時間だけが過ぎていきます。このような状態になると悪質クレーマーからは、「誠意がない」「私のことを放置した」と、さらに違う論点で追い込みをかけられ、「どう責任を取
る!」「このままでは済まされない」と脅迫にも似たクレームを受けてしまうのです。さらに悪質クレーマーは無理難題を押し付け、慰謝料などを名目に金銭的な要求をしてくることもあります。追い込まれた対応者は何とか終わらせたいと考えてしまい、会社に報告をせずに自腹で金銭要求に応じてしまうという不正を犯してしまう最悪の状況に陥り、結果的には自分の社会的評価まで下げてしまったということは本当によく起きています。クレーム対応はひとりで対応するものではありません。自分の担当の業務に対して責任感をもつことは大切ですが、トラブルやクレームはいち早く、組織で共有することです。仕事はひとりでするものではないということです。「助けてください」と言えるようになってください。「私に至らない点があり、お客様からお叱りを受けています」と、迅速に上司に報告する勇気をもってください。そうすることによって組織として悪質クレーマーを追い出すことができます。クレーム対応は我慢したり、耐え続けたりするものではありません。お客様の気持ちに寄り添うことが大切とお伝えしてきましたが、それ以上に自分の心の充実を重視してください。自分の手には負えないと思えば、周囲に助けを求めるようにしましょう。そして、自分の弱さもさらけだせるようになりましょう。クレームの心理悪質クレーマーは、担当者の「自分の会社での評価を下げたくない」と思う気持ちに付け込んでくるものである。具体的行動仕事をひとりで対応しようと思わずに、勇気をもって「助けてください」と言って周囲と課題を共有しよう。
070電話の録音を嫌がるお客様への対応法サービス向上のためと言うと、録音の了承を得やすくなる
企業のホームページ内にある、お客様相談室の案内ダイヤルのところに、「お客様とのお電話は内容を正確に承るため録音させていただいております」と表記されていることが多いと思います。この表記の目的は、書かれてある内容の通りです。企業側が間違った判断をすることなく、真摯にお客様の声を受け止めるという意味が込められ、今後の自分たちの電話の対応力の向上に活かすことができるということを意味しています。さらに録音する目的としては、お客様に録音されているという意識をもってもらうことで、暴言や悪質なクレームを未然に防ぐという部分も大いにあると思います。しかし、問い合わせをしようとするお客様にとっては「録音される」ことについては、何か自分が悪質クレーマー扱いされているかのような印象をもってしまい、悪いイメージをもたれることが少なくないようです。私の取引先のお客様相談室でもクレームの冒頭に「なぜ、勝手に録音をしようとする!」と、本題のクレームを言われる前に、この部分でさんざん揉めることがあるようです(笑)。なかには「これは盗聴だ」や「プライバシーの侵害にあたる」と言うお客様もいるようです。ただ、これは法律違反にはあたりません。なぜなら、公に公開するのではなく、正確に聴き取るために録音するという目的が明確であるからです。では、どのようにお客様に理解を得るようにすれば良いのか。この事に関する切り返しの言葉としては、「お客様のご意見を賜り、上席のものにも伝えて社内で共有するために録音させていただきたく存じます。ご了承いただけますでしょうか」や「私共のサービス・商品の更なる向上・改善に活かしてまいりますので、ご了承いただけませんでしょうか」とうかがうようにしてください。ポイントは、「社内で共有する」「サービス向上」「商品改善」という名目をお伝えした上で、お客様からの了承を得るようにすることです。一方的に目
的を伝えるだけではなく、お客様にうかがいを立てることで対話することを実践してみましょう。クレームの心理お客様が会話の録音を嫌がるのは、自分が悪質クレーマー扱いされている気がしてくるからである。具体的行動クレーム対応の通話録音は法律違反にはあたらないが、気遣いを見せるため、了承は得るようにしよう。
071他のお客様がいるときの注意点居座られることもあるので、別室には通さないようにする
店舗などでは、他のお客様がいるなか、週末にお客様でごった返している忙しいときに限ってクレームが発生するものです。お客様が大声でクレームを言った際に、周囲のお客様に対しては何かするべきことはあるのでしょうか。これについては、周囲のお客様の目を気にすることはないと考えています。その場でしっかりクレーム対応をするようにしてください。銀行や病院では大声でクレームを受けると、「ここでは他のお客様にご迷惑になりますので、別室へどうぞ」と誘導しているシーンを何度か見たことがありますが、周囲から見ると銀行や病院が何か隠したいことでもあるのだろうかという印象をもってしまいます。
対応側は別室に通すことで、お客様に落ち着いてもらおうというのが意図としてあるようですが、お客様は受け入れてもらったと考えて、自分の要求が通るまで居座るケースが少なくありません。対応者側も「別室にどうぞ」と案内してしまったため、無下に追い返すこともできず、長時間の話し合いになることは容易に想像できます。完全な逆効果です。このような場合は、ほかのお客様が見ているなかで、堂々とクレーム対応をすれば良いのです。誠実にクレームを受け止めるようにしているところを、ほかのお客様にアピールすれば良いのです。店舗スタッフにしっかりクレーム対応を教育しているところでは、クレーム対応の場こそ、そのお客様をファンに変える最高の機会であり、他のお客様にも対応をお見せすることで、「あの店、クレーム受けていたけど、店員さんが完璧な対応していた」と、良いクチコミを拡げるチャンスになるとさえ考えている店がたくさんあります。実際にSNSやブログなどでも、「あの店のクレーム対応は完璧だった!ちゃんと対応しているのをみて、この店のファンになった」等のコメントがたくさんあります。クレーム対応に自信のない組織こそ、クレーム対応ができないところをほかのお客様に見せたくないので隠すようになるのです。クレームの心理クレームを言うお客様を別室に案内すると、他のお客様からは「何か隠したいことがあるのでは」と思われてしまう。具体的行動クレームを言われるのは恥ではない、堂々とクレーム対応ができないことが恥だと考え、堂々と人前で対応しよう。それが他のお客様へのアピールにもなる。
072先輩や上司に対応を依頼した場合の対応法自分がしたミスの場合は、引き続き同席したほうが良い
クレーム対応では、残念ながら初期対応でうまくいかず、「あなたでは信用できない。上の人を出して!」と言われてしまい、先輩や上司に対応してもらわないといけないケースがあります。対面でのクレーム対応では、上司に出てきてもらった後、自分はどこにいればいいのでしょうか?これに対する答えは、自分が担当している仕事や自分のミスでクレームが発生してしまった場合は、そのまま同席して上司とお客様とのやりとりを見ておくようにしてください、になります。これには、上司のクレーム対応のやり方を勉強するというメリットがありますが、それ以上にお客様が何と言うのかを確認しておくということが重要です。実はクレーム対応では、対応者が変わることで、お客様が話を必要以上に大きくして訴えてくるケースがあるのです。WEB制作会社で実際にあったケースで、ホームページ制作の見積書の金額が当初より高くなったことでのクレームがありました。担当営業は「これは、オプションで料金が追加になります」と伝えていたにもかかわらず、「こんなに高くなるとは思わなかった」というのが、お客様の言い分でした。多少なりともお客様の認識も甘かったとも考えられるケースでしたが、実際にお客様が上司に言ってきたのは、「これがオプションで追加料金になるなんて一切聴かされていなかった」でした。このときはお客様と上司のふたりだけのやりとりだったため、上司はお客様の話を鵜呑みにしてしまい、金額を負担したという結果を招いてしまいました。一方で自分のミスではなく、たまたま店頭でクレーム対応した際にうまくできず「上に代われ!」と、お客様をさらに怒らせてしまった場合は、その場に同席することはしなくても大丈夫です。クレーム対応者が代わることで、お客様が冷静になるということが少なくありません。ただ、その場合は、なぜ初期対応がうまくいかなかったかを上司と話し合うようにし、同じ失敗を繰り返さ
ないよう、ここから学ぶことを忘れないでください。クレームの心理お客様によっては、対応者が変わると、勢いが出て話を大きくしてしまうこともある。具体的行動上司に対応を依頼してしまった場合は二度と同じことを起こさないために、学ぶことも忘れないようにしよう。
073「ネットに書き込むぞ」というクレームの恐怖お客様を突き放すと、本当に書き込まれてしまう
お客様のなかには「ネットに書き込むぞ」と一見、脅しのようなことを言ってくるケースがあります。ただ、この言葉を言うのは悪質クレーマーではありません。これは、初期対応に失敗した典型的なパターンから出てくるお客様からの通告だと考えるようにしてください。ネットに書き込むことが、お客様のしたいことではありません。わかって欲しいと思ってクレームを言ったのに、対応者が言い訳をしたり、早く終わらせようとしたりしていると感じたときに出てくる、お客様に“もっとも言わせてはいけないセリフ”のひとつです。しかし、このことにも気付けず、「お客様のされることに、私共がとやかく
言える立場ではありませんから」と、伝えてお客様を突き放すような対応をすれば、このお客様との関係は破綻します。お客様は、ネットに悪口をさんざん書き込み、周囲の人にもこの会社の対応がいかに良くなかったかという悪いクチコミをどんどん広めていくでしょう。悪質クレーマーでもないお客様を突き放す対応をすると、企業は痛い目にあいます。SNSのツイッターやインスタグラムで「#(ハッシュタグ)クレーム」で検索すると、企業や対応した従業員の名前まで晒されて、悪い書き込みがされています。匿名で書かれていても信じる人や面白がって拡散する人はたくさんいます。拡散されたものを全て削除することは不可能です。「ネットに書き込むぞ」のようなことをお客様に言われた場合の対応法として一番良いのは、共感と反省の言葉を伝えることです。そんなことを言わせてしまったということに、こちらが理解と後悔を示すのです。たとえば、「お客様がそこまでお怒りだというお気持ちが伝わってまいりました」「お客様にそう言わせてしまった点につきましては、私共の反省点でございます」と、伝えてみましょう。「お客様がそういうお気持ちである」「そう言わせてしまった」という点について寄り添うような言葉を伝えることです。そうすれば、お客様は「わかってくれた」と思い直すようになり、初期対応の失敗をリカバリーできるようになります。クレームの心理「ネットに書き込むぞ」と言うお客様は、もとからそうしようと思っていたのではなく、対応に不満を感じているのである。具体的行動お客様の気持ちを理解し、自分たちの初期対応が良くなかったと共感と反省の言葉を伝えると、信頼回復ができるようになる。
074シニア世代のお客様の対応法「敬意」と「感謝」を示すと、逆に味方になってくれる
クレームをもっとも言う世代はシニア層であるということはご存知でしたでしょうか。理由はいくつもありますが、日本は高齢化社会ですのでそもそもこの世代の人口が多い。そしてリタイアして使える時間が多く、頭も固く自分の価値観を押し付けてくる傾向があると言われています。これは私も実際にシニア世代のクレーム対応をしてきて、全くの同意見です。時間とお金にゆとりがあるので、平日の温泉地はシニア世代のお客様ばかりです。温泉旅館では「挨拶がない」「客の荷物をもって案内するのが当たり前だ。なぜやらない」というクレームがよく起きます。ご自身の今まで受けてきた優良なサービスを基準にして、足りない部分にクレームを言ってきます。一見すると、口うるさい客だと考えてしまう企業もあると思いますが、むしろ私はシニア世代には非常に影響力のあるお客様たちが多いと位置づけています。このシニア世代のお客様たちは時間とお金にゆとりがある以上に、豊富な人脈やさまざまな権限をもっている世代であるということです。私のお客様相談室時代にも口うるさく、私を指名してまで毎回クレームと言ってくるお客様は60代が中心でした。正直、「毎回、そんなクレーム言うなら、他の会社を利用して欲しい」と、思ってしまったこともありましたが、このお客様方のクレームは真っ当なご意見が多く、こちらが仕事に対して怠惰であることの指摘の多い、耳の痛いお話ばかりでした。まさに、人生の大先輩からのアドバイスと捉えて、敬意とご指摘に感謝の言葉を投げかけて対応をしっかりやることで実は大きなギフトがたくさんありました。なんと、クレーム対応後の利用頻度と購入金額が一気に増えたのです。さらに新しいお客様もたくさんご紹介いただけたのでした。実は私が現在のクレームの専門家として独立して1年目にクレーム対応研修とコンサルティングのお仕事を紹介してくれたのは、私を指名してまでクレームを言ってきたあの60代のお客様たちだったのでした。今もたくさんのお仕事をご紹介してくださいます。
クレームの心理シニア世代がクレームを言うのは、仕事でもプライベートでも経験が豊富だからであり、サービス向上のために学ぶべき点も多い。具体的行動厳しいシニアのお客様にしっかり対応することで、クレーマーからサポーターに変えていこう。
075完全にこちらのミスでクレームを受けた場合保身で対応が遅れると、もっと大きな問題になる
クレームを受けて確認したところ、完全にこちらに非があり、お客様に多大な迷惑をかけてしまうことがあります。故意ではなかったと言え、お客様からの信頼を失いかねない重大なミスを起こしてしまうことは、一生懸命に仕事をしていてもおこりえます。こんな場合にもっとも意識するべきことは、全て非を認めて全面謝罪をし、迅速に対応していくことです。上司に怒られて自分の会社での評価が下がってしまうことを恐れ自分で何とかしようとしたり、その場をごまかそうとしたりすることは絶対にやらないようにしてください。まず、上司にいち早く報告した後、お客様のところにうかがい、「私共に重
大なミスがございました。弁解の余地もございません」と謝罪するようにしましょう。ここのスピード感がこの後のお客様の心証を大きく左右します。さらに、急いで対応しないといけない案件の場合は、最善のリカバリー策をお客様に報告し、うかがいを立てるようにしましょう。お客様の協力も得ながら、このミスによる被害や問題を最小限に食い止めることを最優先に考えましょう。何とか問題を収束することができたのなら、この後の対応こそがとても重要になってきます。あらためてお客様のところにうかがい、今回の件を真摯にお詫びし、2つのことを提示するようにしましょう。1つ目は、「なぜ、今回このようなことが起きてしまったのか」です。ここが明確にならないとお客様はまた同じことが起きるのではないかと不安になります。個人の問題なのか会社全体の問題なのかを明らかにする必要があります。その上で、2つ目は「同じことを起こさないためにどう改善していくか」です。「同じことがないよう再発防止に努めます」と決意を口にしたところでは不十分です。より具体的に仕事のやり方をどう変えていくのかを文書にして見える化していくことです。心からお詫びし、この2つをお客様と共有することで、お客様は必ずもう一度チャンスを与えてくれるはずです。クレームの心理対応側に完全に非があると、社内での評価が下がることを恐れて報告を躊躇いがちである。具体的行動同じ過ちを繰り返さないために仕事の改善をお客様に宣言して、することを見える化しよう。
076クレーム客をファンに変える魔法の質問対応を終えるときに、前向きな質問をしてみる
過去、クレーム対応が無事に終わろうとしているタイミングで、お客様に投げかけていた、よくある言い回しのひとつに「その他、ご不満な点やご迷惑をおかけしてはいませんでしょうか」と質問することをしている企業が少なくありませんでした。私もお客様相談室時代に同じことをしていましたが、クレームが長引くだけです。これは、お客様に気遣いの言葉を投げかけているように思いますが、この質問をすることでお客様は不満な点を一生懸命に頭の中で探し、思い出したかのように過去からの不満を延々と話し始めるのです。クレーム対応がうまくいき、お客様との関係を今後も続けていけるようになったのなら、このタイミングでお客様にしていただきたい質問にこのような方法があります。「お客様、今回は大変ご迷惑をおかけしてしまったのですが、その他の点につきましては、ご満足をいただいていますか?」この質問をおススメする理由は、お客様が自分たちと取引している上で、メリットに感じている部分を意識していただけることです。つまり、この質問によってお客様は良い点だけを頭の中で探すようになるということです。私の取引先のリフォーム会社で商品の在庫切れで工事の進み具合の遅れについて施主さんから大きなクレームがあったものの、段取りの悪さをお詫びし、どのように工期を短縮するかの提案をすることで、お客様から理解を得られ、無事に円満解決したことがありました。その際に営業担当者がこの質問をしたことでお客様は良い点を探し、こんなこと言ってくれたそうです。「いや、実は工事をしてくれている現場の方はみなさん礼儀正しくて一生懸命でしたよ。暑いなか、ほんと頑張って仕事をしてくれています。そこはすごく感謝していたのですよ」と現場の仕事ぶりを褒めてくださり、「工事の遅れは仕方がない、急いでケガでもしたりしないように気をつけてくださいよ」と温かいお言葉までいただけたようでした。
クレームの心理前向きな質問を投げかけられると、反射的に良い面を探そうとすることになる。具体的行動クレーム対応を前向きに締めくくるために、お客様に褒めてもらって終われる質問を投げかけよう。
077クレームを受けても落ち込まない方法面白く話す練習をすると、楽しいことに思えてくる
クレームを受けて周囲の人に愚痴をこぼしている人がいます。正直、これはやめたほうが良いと思います。取引先のお客様相談室やコールセンターでは、「クレームを受けたら、同僚に遠慮なく毒を吐いて良い。そうしないとストレスが溜まってしまうぞ」と指導しているところがあります。私はこの方法には大反対です。クレームを言われて、そのお客様の悪口を言うと、もっとストレスが溜まり、そのお客様のことがさらに嫌いになるからです。もっと言うと、その悪口を聞かされる同僚も嫌な気持ちになり、そのお客様のことがやはり嫌いになります。
クレーム対応がうまくできない組織、それ以上にクレームをよく起こす組織はお客様のことを社内で悪く言っているのが共通しています。どうして目の前のお客様を笑顔にしようとせず、嫌々接するのでしょうか。その気持ちがお客様に伝わり、お客様はクレームを言うのです。言いたくなるのです。クレームを受けて落ち込まない方法があるとしたら、やはりクレームへの捉え方を変えることです。同僚にお客様の愚痴を言ったところで何も解決しません。私は「いろんなお客様がいる。だからこそ、自分の価値観や私見を広げるチャンスだ」と考えるようにしてからクレーム対応が随分と気持的に楽になった経験があります。さらにお客様相談室時代は、職場以外の人との食事会で「こんなクレームを言ってくる人がいた」と笑顔で話をすると、皆が喜んで笑って聴いてくれました。「もっとないの?」と言われることも少なくありませんでした。私は、フジテレビ系列「ホンマでっか!?TV」に企業クレーム評論家として出演しています。打ち合わせ時、ディレクターさんに過去のクレーム話をすると爆笑しながら聴いてくれます。「本番でこう伝えると、明石家さんまさんがツッコミ入れてこられますよ」と言われます。そして毎回、スタジオで明石家さんまさんは、さらに面白い話にしてしまいます。人ができない経験をしていると考えて面白く話している人だけが、クレームに対して落ち込まなくなると考えています。クレームの心理お客様を悪く言うからさらに落ち込み、そのお客様のことがもっと嫌いになる。具体的行動クレームを受けて落ち込まないためにも、クレーム対応の経験を面白い話に変える練習をしてみよう。
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