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第5章クレームに強い組織の共通点

目次

第5章クレームに強い組織の共通点

078サイレントクレーマーをつくらない方法クレームを言いやすくして、改善点を集めるようにする

サイレントクレーマーを常に意識することは組織では大切です。企業や店舗に直接クレームを言うことはないのですが、自分の周囲の人に「いかに接客が酷かったか」等を悪いクチコミとして広められては何も良いことはありません。企業や店側は、クレームがないとどうしても安心してしまいますが、良いことではありません。直接クレームを言われることはないので、どこがダメだったのかがわからないままなのです。まず、どんなときにサイレントクレーマーは生まれてしまうのでしょうか。一番の理由は、あまりにもサービスが酷く、クレームを言うに値しないと、お客様が考えたときです。飲食店でスタッフの接客が雑だったり、清掃が行き届いていなかったりすると、「もう使うことはないから、まぁいいか」と考え、クレームを言うことはせず、黙ってその場を去り、その後周囲に悪評を広められるのが典型的なパターンです。サイレントクレーマーだらけになると、どんどんお客様が減っていき、倒産や閉店に追い込まれてしまいます。仕事をする上で、サイレントクレーマーをいかにつくらないかを考えるようにしましょう。接客の向上、清掃をしっかりやることは、当たり前のこととして、さらに意識することとしてお客様がクレームを言いやすい環境をつくることです。大手企業がお客様相談室をつくる理由がここにあります。中小企業や個人店舗であればアンケートの活用、最近ではSNSのツイッターやフェイスブック上で、「私どものサービスをさらに良くするためにはどうすれば良いでしょうか。メールにてご指摘・ご要望をお送りください」と、積極的にクレームを集めようとしている傾向があります。このようにクレームをなくそうとすると同時にクレームを集めようとする企業や店舗だけがお客様の支持を受け続けると考えています。長年支持されている企業や店舗の共通点は、常にお客様だけをしっかり見ているのです。お客様は私たちに何を求めているのかを知ることで、自分たちの問題点を見つけるキッカケにしようとしているのです。クレームの心理お客様は、サービスがあまりに酷いと直接クレームを言わずに黙って去り、悪い評判を広めてしまう。具体的行動お客様が自分たちに何を求めているかを知るために、クレームを集めることを怠らないようにしよう。

079SNSに悪い書き込みをされた場合の留意点投稿を削除しようとすると、炎上の原因になってしまう

企業や店舗がもっとも恐れることのひとつに、ネット上での悪い書き込みをされることが挙げられると思います。私のクレーム対応に関する講演でも、質疑応答の時間にネットの対応法についてよく質問されるようになりました。実際に悪い書き込みをされた場合にはどんな対応をするべきなのでしょうか。書き込みされたのが自社のSNS上なのか、一般のユーザーのアカウントでのものかによって対応は変わりますが、企業によっては少しでも拡散されることを防ごうと、自社のSNSでは書き込みを削除したり、書き込みした本人に削除要請をしたりするところがありますが、逆効果だと思っています。これが炎上

の原因となります。このケースは、書き込み内容を真摯に受け止めることが重要だと考えています。ひとつの書き込みの後ろには同じことを思っているお客様がたくさんいると考えた方が良いと思います。相談を受けた実例で、企業のSNS上で「店員の対応がクソだった!二度と使わない」と書き込まれたことがありました。このときに削除することなく、返信欄に「この度は私共の対応でご満足いただけず、誠に申し訳ございません。嫌なお気持ちをお与えしたこと、内容を拝見し反省するばかりです。同じお気持ちでいるお客様が他にもたくさんいらっしゃるのではないかと気付くことができました。改善に努めてまいります。ご指摘を賜り誠にありがとうございました」と投稿したところ、書き込んだ本人が、「わかってくれてありがとう!私の声が届いて良かったです。また利用するようにします。感謝!」(原文まま)と、同じ人とは思えない書き込みをしていました。当然ですが、このSNS上のやりとりを見た他のユーザーもこの企業に対して良い印象をもつでしょう。これはツイッターでの実際のやりとりであったため、リツイートもされ、良いクチコミとして拡散されるようにもなりました。削除したり反論したり放置することもなく、しっかり受け止めることでお客様の怒りを笑顔に変え、結果良いクチコミを拡げることにも繋がるということを意識して取り組むようにしてもらいたいです。クレームの心理SNSで悪い内容の投稿があるときは、同じ気持ちでいるものの投稿しない人が大勢いることが多い。具体的行動SNS上での書き込みも、クレーム対応と同様に受け止めて、お客様の気持ちに理解を示すようにしよう。

080SNSを利用してサービスを改善する方法SNSの“#クレーム”は、やるべきことを教えてくれる

「当社はSNSをしていませんので、炎上することはありません」取引先の運送会社の社長さんから、そう言われたことがあります。本当でしょうか?自分たちの会社はSNSをしていなくても利用したお客様がSNSを利用している人だったら、どうでしょうか。消費者は企業のHPよりSNSのクチコミを見て商品を買う時代になりました。スマホを使い、友人のSNSの投稿で新しいスポットを知り、フォローしているツイッターの動画で新しい商品を見つけるようになりました。にもかかわらず、SNSには無関心の企業があります。今やSNS上で自分の会社が何と言われているかを知らないのは仕事をする上ではありえないこととなりました。ツイッターやインスタグラムで「#(ハッシュタグ)クレーム」と検索をしてみると驚くぐらいの数の投稿が出てきます。そのなかには社名やお店の写真、不良品の写真をアップして、さんざん悪口が書かれている投稿がたくさんあります。少し悪質なものには、接客が事務的だったという不満をそこの店長の名前まで晒して「この店を使うのはやめましょう#拡散希望」という投稿まで見たことがあります。SNSはウチには関係ないと無関心でいると、知らぬ間に自分たちの悪評が世の中で広まっているということです。冒頭の運送会社の社長さんにこのことを伝えたくて、#クレームとそこの会社の社名を入れて検索した結果をお見せしたことがあります。2件の検索結果が出てきました。書き込まれた内容は「〇〇運送の運転が荒くて最悪!」「〇〇運送のトラックがウチの私有地に勝手に駐車してる。しかもタバコ捨てていった」と、書き込みがあり、社長の顔が青ざめていました。こんなクレーマー社会を憂うのではなく、このような現実を受け入れるべきです。これが世の中で起きていることです。仮に検索したところ、自分の会社は悪い書き込みをされていなかったと安心するのではなく、書かれている内容を反面教師にしてこのような書き込みをさ

れないよう、気を引き締めて仕事をするキッカケにしていくべきだと思います。クレームの心理SNSでクレームが拡散しているのを憂う人の多くは、起きていることを他人事だと思っている可能性がある。具体的行動SNS上で自分たちが何と言われているのか調べて、自分たちの仕事を振り返るようにしよう。

081従業員がクレーム対応に前向きになる方法①よく起きるクレームは、分類して把握しておく

クレーム対応に失敗してお客様の信頼を失っている企業・店舗にはクレーム対応を組織全体でやるものだという認識がありません。適切な対応法をちゃんと教えてくれる先輩・上司も存在しません。クレーム対応はケースバイケースでやるということしかルールがないため組織全体がクレームに対して必要以上に恐れ、前向きに対応することができず、お客様をたらい回しにしてしまうことも少なくありません。また残念なことに、このような組織は経営者や管理職が現場に対して「クレームを起こさないように、しっかり仕事をしろ」と、指示をしています。この指示がなぜダメなのかと言うと、仮にクレームが発生してしまうと、現場の人間は自分たちで何とか収めようとするからです。当然ですが、クレーム

対応のやり方がわかりませんので、失敗しさらにお客様を怒らせてしまいます。経営者や管理職に報告が上がった時点では、炎上して収拾が困難な状態になってしまっていることがよく起こっています。クレーム対応は組織全体でどれだけ準備しておくのかが大切です。クレームから目をそらすのではなく、向き合うことが必要です。まずやるべきことは、自分たちの現場ではどんなクレームがよく起きているのかをしっかり分類して把握することです。たとえば、このようにクレームがリストアップされるのではないでしょうか。①商品の不備、施設の清掃状態等、サービス全体のクレーム②接客時の挨拶や言葉づかい等、人に対してのクレーム③説明・案内不足による誤解等、仕事のやり方へのクレームかつては組織にとってクレームはあってはならないものと考えられていました。でも時代は変わりました。クレームは必ず起こるものと考え、どんなクレームがよく起こり、それに対してどう対応するかを決めておくことが重要です。クレームから逃げ続ける企業はお客様の信頼を失い、市場から追い出されます。クレームに前向きに捉えるための第一歩として、どんなクレームがあるかを明確にしておくようにしましょう。クレームの心理どんなクレームがよく起きるのかを知らないから、怖くなってクレームから逃げたくなる。具体的行動現場に対応を丸投げせず、組織全体で取り組むことを意識して、クレームのリストアップをしよう。

082従業員がクレーム対応に前向きになる方法②上位3つのマニュアル化で、クレームの大半をカバーできる

たくさん企業・店舗のクレーム対応マニュアルの監修をしてきて気付いたことですが、現場でよく起きるクレーム上位3つの対策をしっかり練ると、全体の90%以上はカバーできます。つまり、起きるクレームは大体決まっているということです。この上位3つに関して、もちろん事前になくなるようにはしていただきたいのですが、それがなかなか難しいからこそよく起きてしまうのです。私の取引先の地方銀行であれば、よく起きるクレーム上位3つは、①支店での待ち時間が長いというクレーム、②従業員の対応が不親切だったというクレーム、③融資に関する説明不足でのお客様の思い込み・勘違いについてのクレーム、になります。未然に防げれば良いのですが、どうして起こってしまうクレームです。よく起きるクレーム上位3つがリストアップできたのなら、より具体的にクレーム対応マニュアルをつくることをおススメします。最初にどんなお詫びの言葉が良いのか、話の聴き方の共感のあいづちで適切な言葉は何か、話を聴いてからしか提示できませんが解決策としてはどんなことが想定されるだろうか、どのように説明をすればお客様が納得されるだろうかを、セリフにして用意しておくようにしましょう。紙にして見える化しておくのです。よく起きるクレーム上位3つは、誰もが同じ対応できるようにするために、電話対応が多いところは常にすぐに取り出せるところに置いておくということが大切ですし、何よりも従業員同士でロールプレイングを繰り返し、いざ本番で怒りまくっているお客様が現れても、落ち着いて対応できるようにこのセリフを何度も口に出して練習しておくことが良いと思います。この地方銀行では、マニュアルをつくって安心することなく、毎日の朝礼時には2人1組でお客様役と対応者役になり、5分間のクレーム対応ロールプレイングを実施しています。ロールプレイングが良いのは、お客様役になってクレームを言う立場になると、対応者役の表情や言葉に感情がしっかりこもっているかが手に取るようわかることだとみなさんが口を揃えて仰います。非常に実践的な準備ができることが最大のメリットだと思います。

クレームの心理想定される解決策を事前に用意しておくと、そこに向けて前向きに取り組めるようになる。具体的行動マニュアルを実践するために、何度も口に出してセリフを言い慣れるようにトレーニングをしよう。

083従業員がクレーム対応に前向きになる方法③現場に権限をもたせると、クレーム対応が早くなる

よく起きるクレーム上位3つのマニュアルを作成すると必ず気付くことがあります。それは、現場が権限や決裁権をもたないとクレーム対応がうまくいかないということです。クレーム対応では解決策をお客様に提示する際のスピード感は、とても重要だと考えています。「お客様、お話よく理解しました。ではこの件につきましては、私共の上司とも相談をして対応を考えたく存じます」では、十分な対応とは言えないのです。その場でどう対応するかをお伝えできずに解決が長引くとお客様の不満が残ることが多々あるのです。

つまり、よく起きるクレーム上位3つに対しての解決策は、経営者判断や管理職にうかがいを立ててからお客様に回答するのではなく、現場の従業員がすぐに回答できるようにしておくことです。組織の誰が対応しても迅速に同じ対応ができるようにする準備ができて初めてマニュアルは完成したと言えるのです。現場でクレーム対応をする立場になるとわかるのですが、権限や決裁権がないのに対応することはとても不安になります。どこまでお客様に伝えて良いのか、余計なことを言わない方が良いのかもという考えが頭をよぎると、お客様からは「事務的な残念な対応だった」と不満をもたれます。お客様の立場で言うと、やっと繋がった電話でこちらのクレームと要望を伝えたけど、対応者から「私では判断できないことですので、後日ご連絡差し上げます」と言われたら本当にガッカリしてしまいます。現場が権限をもっておくことが、いかに重要かがおわかりいただけたと思います。現場が権限を持つようになるとクレームを未然に防ぎ、良いサービスまで生まれます。ある洋服の量販店では、商品の返品については、レシートの紛失や多少の使用感があっても販売員の判断で受付けるようにしています。返品対応は、売上がなくなるマイナスな接客になりますが、経営者の「この接客場面こそ、最高のおもてなしを」という教えを実践することで、次回の買い物から顧客単価が一気に上がるという良い結果を生み出しています。クレームの心理お客様は、対応者に解決して欲しいと思っているので、「私では判断できません」と言われると不満に思う。具体的行動対応マニュアルを作成することは、現場に権限をもたせることとセットだと考えよう。

084効果的なアフターフォローの方法①お詫びの品を送るときは、対応を終えてからがベスト

さまざまなクレーム相談を受けるなかで、お詫びの品の活用の仕方についてのご質問がよくあります。流通業・サービス業など、個人のお客様相手という業界では、クレームが発生してお客様のご自宅にうかがう際にお詫びの品としてお菓子の詰め合わせ等を持参するところが多いです。とくに食べ物などは食べてしまえばなくなりますし、これで水に流してくださいという意味が込められていると昔から言われています。しかし、私はお詫びの品を持参して謝罪等にうかがうことは賛成しません。私の経験及び取引先での事例になりますが、まだ解決していない時点でお詫びの品を持参するとお客様から「こんな物で許してもらおうとでも思っているのか」と言われることがあるからです。お詫びの品を持参したのにもかかわらず、その場で問題が解決せず、再度会社に戻って調査しないといけなくなった場合はそのお詫びの品もいったん持ち帰るのでしょうか。それこそ、持ち帰るのもどうかと考え、「これ、お詫びの品です」と渡したところで、「何も問題は終わってない!」と一喝されるのは目に見えています。まずはしっかりとクレーム対応を円満に解決し、お客様の怒りを笑顔に変えることを最優先することです。物で許してもらおうとするのではなく、対話で良好な関係を築くことが大切だと考えるようにしてください。お詫びの品についてはクレーム対応が全て終わってから後日、持参するなり、宅急便でお詫びの手紙と一緒にお送りする方法が良いと思います。私はお詫びの品については、少し楽しんでお送りするようにしていました。ネットで人気の和菓子やスイーツを調べて自分で取り寄せてみて、美味しかった商品ばかりをお客様にお送りしていました。そうすると後日、お客様から「美味しかった」とお礼の電話があることもしばしば。一度、大阪のお客様にお詫びの品としてすごく美味しかった“キビ団子”をお送りしたところ、「お前の家来になれ!ってことか!!」と、笑いながらお叱りを受けたこともありました(笑)。

クレームの心理解決前にお詫びの品を送られると、お客様は“許してもらおうとしている”と捉えてかえって怒ることもある。具体的行動クレーム対応が全て終わってから、お手間取らせてことについてのお詫びのしるしとしてお送りするようにしよう。

085効果的なアフターフォローの方法②お詫びの手紙を出すときは、管理職の名前で出すと良い

クレーム対応が完了したら、アフターフォローとして「必ずお客様にお詫びの手紙をお送りするようにしてください」とコンサルティング現場でお伝えしています。しかし、この内容に拒否反応を示す取引先は少なくありません。「その手紙がネットに公開されたらどうするのですか」とよく言われるのです。これに対して私が必ずお伝えすることは、「ネットに公開されても恥ずかしくない良い内容のお詫びの手紙を送れば良いのではないですか」です。クレーム対応終了後のお詫びの手紙は、そのお客様とのその後の関係性を大きく左右すると思っています。現場でクレーム対応が終わったたらそれでクレーム対応が終了するのではありません。クレーム対応は、再度そのお客様にご

利用いただいて初めて対応が完了し、成功だったと判断できるのです。お詫びの手紙を送る際に重要なことに、最後に対応した人間がお送りするのではなく、その上の上司や経営者が出すべきだと考えています。仮に手紙の文面は、現場の対応者が作成したとしても上司や経営者が一行でも直筆でメッセージと署名をして送ることをおススメします。その手紙を受け取ったお客様は、自分の意見がしっかり上まで伝わっていることに安心し、信頼感をもつからです。誰が送ってきたかという見え方は、クレームで失いかけた信頼を取り戻すためには大切です。ただ、実際にあった話ですが、社長に一筆を依頼した際に古田様というお客様に対して「吉田様、今回は大変申し訳ございませんでした」と名前を間違えてしまい、余計に揉めたケースもありましたので、気をつけるようにしてください。手紙の文面については、「ご指摘いただきましたこと、心より御礼申し上げます」「私達の仕事を見直す良い機会を頂戴できたと感謝しております」「私共にはまだまだ未熟であったこと、教えてくださり感謝の気持ちしかありません」というようにお詫びの手紙というより、「感謝状」をお送りするかのような内容が良いと思います。お客様を感動させましょう。ネットで思わず公開したくなる内容を書くことに全力を尽くすようにしましょう。クレームの心理対応者の上席の人間の名前を出すと、クレームを組織全体で受け止めていることがお客様に伝わりやすくなる。具体的行動次回もご利用いただくために、責任者が確認し、責任者の名前で手紙を出して、会社としての誠意を見せよう。

086効果的なアフターフォローの方法③クレーム対応のフォローには、顧客満足度アンケートを取る

クレーム対応の究極のアフターフォローは、クレーム対応に関する顧客満足度アンケートを取ることです。私の取引先以外で実施しているところはほとんどないのではないかと考えていますが、実践することをおススメします。タイトルに「クレーム対応アンケート」としてお客様にお願いしてしまうと、「私をクレーマー扱いするな」と違うクレームが発生しますので、「私共の対応に関するアンケートのお願い」とし、具体的にこのような3点を質問項目に入れます。■アンケート項目①今回の私共の対応にはご満足いただけましたでしょうか。②対応者の姿勢・言葉遣いで気になった点、さらに良くするためのアドバイスをお願いします。③今後も当社をご利用いただくとしてお客様からご要望がありましたら遠慮なくお申し付けください。ここでのポイントは、対応のどこがダメだったかという悪い点をフォーカスする質問ではなく、あくまで「満足してもらえたか」「さらに良くなるためにはどうすれば良いか」と前向きな表現をつかうことです。さらに次回の利用を促すためのご要望を教えてもらうという内容であることがポイントです。お客様からクレーム対応の感想をもらうことで、今後のクレーム対応の改善のヒントをもらい、次もお使いいただくために、自分たちのやるべきことも教えてもらうのがこのアンケートの最大の目的です。「この対応に関するアンケート」はクレーム対応後にお詫びの品と手紙をお送りして、数日後に郵送でお送りするようにします。私の取引先の実績ですが、このアンケートのお客様からの返信率は平均で73%(54社データ)です。ただ、もっとすごいのはこのアンケートに返信してくれたお客様のリピート率は97%なのです。アンケートを書いて返信してくださったお客様たちにクレームを真剣に受け止めて、自分たちが変わろうとする企業の姿勢に共感し、さ

らに応援してやろうと言う気持ちになっていただけるのです。クレームの心理アンケートに答えてくださったお客様の数は、怒りを笑顔に変えられた数だと考えるとやりがいが出てくる。具体的行動リピート率を高めるために、お詫びの品と手紙をお送りした数日後にアンケートを郵送しよう。

087クレーム対応時間の考え方対応時間に上限を設けると、お客様の時間も奪わずにすむ

クレーム対応に強い組織は、クレーム対応時間の上限を決めています。お客様に言われるまま1時間以上も電話で対応しているところがありますが、とても疲れてしまいます。私も経験がありますが、朝一番にクレームの電話を受けて1時間も対応することになると、その日一日の仕事が全くはかどりません。クレーム対応時間の上限に正解はありませんが、ひとりの対応時間は30分が限界だと思います。この本に書かれてある内容を実践していただければ長くても10分以内にクレーム対応は終わると確信しています。実はクレーム対応に1時間以上かかる理由としては、初期対応に失敗しているケースが考えられます。最初の謝罪が十分ではなかったり、話の聴き方がよ

くなかったりしてお客様をさらに怒らせ、揚げ足をとるかのようにいろんなことを言われる状況が想定されます。その他の理由として、お客様から何度も同じ話をされていることも原因となり対応時間が長引いてしまうのです。仮に電話対応が30分以上かかっているのであれば、“人を代える”ようにしてください。「お客様、お話よく理解しました。上の者に報告をしてどう対応させていただくか、折り返しさせていただけませんでしょうか」と、うかがいを立てるのです。上司に対応を代わるにしても、お客様のクレーム内容を上司に共有して組織としてどう対応するのかを検討する時間も必要ですので、1時間後に折り返したいが、お客様の都合はどうなのかも忘れずに確認するようにしてください。こちらが主導権を握り時間を少し空けることでお客様に冷静になってもらえるようにしましょう。対応者の交代ルールについては、ひとりまでとしてください。次に折り返す上司が最後の対応者です。組織によっては何人も対応者を代えるところもありますが、2人目の対応者で円満解決するように全力を注いでください。必要以上にお客様の時間を奪うようなことはしないよう心掛けてください。クレームの心理クレーム対応に時間がかかると、疲れてしまって他の仕事にも影響が出てしまうので初期対応に注力する。具体的行動30分以上かかる場合は、初期対応がうまくいっていないと考え、人を代えるようにしよう(ただし交代は1回限り)。

088部下からクレーム対応を引き継ぐ際の注意点メモを取らなかった部下は、事実を曲げることもある

上司として部下からクレーム対応を引き継ぐ(二次対応)際の注意点としてもっとも気をつけたいのは、部下からの報告内容が正しいかどうかを確認することです。クレーム対応はお客様の話にメモを取りながら聴くことが大切だとお伝えしてきました。それは、お客様が何と言ったのかという「事実」を把握するためです。ですので、上司は部下から報告された事実をもとに対応しなければなりません。しかし、部下がメモを取っていなかった状態で、クレームを引き継ぐことになった場合、残念ながらその報告内容を鵜呑みにしない方が賢明だと考えます。部下はクレームを受けると、自分の評価を下げたくないと保身に走り、上司に対しては自分が悪くないように報告をしてくる傾向があるからです。つまり事実ではなく、「自分の意見や都合の良い解釈」を報告してくるのです。二次対応の際に避けないといけないのは、「そんなこと、私は言っていない」と、言われてしまうことです。まさに部下からの報告が事実ではなかったということが原因で、このように言われると、お客様からの信頼を失ってしまいます。二次対応でもうまく収束できないことになってしまいます。仮に部下がメモを取っていなかった場合は、お客様の了承を得てもう一度、話をしてもらうようにするべきです。「お客様、この度は私共の対応でご不便をおかけしまして、誠に申し訳ございません。先ほど私の部下の〇〇に話をしていただいたかと思いますが、あらためて責任者としてメモを取らせていただきながらひとつずつお話をうかがいたく存じます。内容を教えていただけませんでしょうか」と、伝えるようしましょう。私の経験上、上司が真剣に話を受け止めようとし、メモも取ろうとする姿に、先ほどの対応者とは姿勢が違うとお客様は感じ取るようになります。冷静に話し始めるようになります。お客様も話すのが2回目になることもあり、理路整然と時系列で話してくれますので、何があったのか事実がしっかり把握で

きるようになります。クレームの心理クレームを受けた部下は、評価を下げないために「自分の意見や都合の良い解釈」を報告したくなる。具体的行動二次対応は失敗できないので、部下の報告内容が事実であるかを徹底的に確認してから対応しよう。

089組織としてクレーム対応力を上げる方法クレーム内容を共有すると、組織の対応力は向上する

クレームが発生したことを未だに“恥”や“汚点”だと考えている組織が少なくありません。この考えが組織に蔓延していると組織で共有されることがなく、何度も同じクレームを受けてしまいます。取引先の経営者から「クレームは同じ人間ばかり起こすので個人の仕事やり方の問題」と言われたことがありますが、本当にそうでしょうか。仮に個人の仕事のやり方の問題であっても、誰もが起こす可能性を否定できません。発生したクレームを組織全体で共有し、未然に防ぐよう注意喚起したり、発生した場合はどう対応するのかを明確にしたりしておくことがとても大切です。

ネット通販会社でのトラブルで、お中元セットとして売り出した地方の特産品をお中元の時期前に届けてしまい、お客様からのクレームが発生したことがありました。WEBシステム担当者のミスが原因で通常のお届けとなり、早く届いてしまっていました。クレームは電話とメールで入っていたのですが、それぞれ担当者が違い、個別に対応して収束はできたものの、誰も上司に報告をせず組織で共有されなかったことで、システムエラーに気付かず、その後100件以上のクレームを受けるハメになりました。すぐに共有できる仕組みがあれば、このようなことは起きなかったのではないかと思います。クレーム対応に強い組織は、クレームが発生した後、組織全体に報告が上がる仕組みをつくっています。ミスをしたクレームを起こした人を責めたくないと考えて、その本人を会議室に呼び出し注意する程度で終わらせている組織がありますが、また同じことが起きてしまいます。クレームの共有の仕方としては、朝礼の場だったり、メールなら【重大案件報告】というタイトルで全員が見られたりするようにすることができます。朝礼であれば、「こういうクレームがありましたので、気を付けるように」という口頭注意だけでなく、仮に同じことが起きた時にはどうお客様に伝えるのかを書面でマニュアル化するところまで徹底して行うようにしていただきたいです。クレームの心理クレームを受けた人を庇おうとして共有しないと、他の人が同じ失敗をしてしまうこともある。具体的行動再発防止と対応力強化のために、クレームは朝礼の場やメールで共有するようにしよう。

090クレームから売上げを増やす方法失敗を数値化すると、売り上げが増えていく

これはお客様心理ですが、お客様は一度気に入った商品やサービスがあると、その商品やサービスを使い続けたいと考えます。さらにコンビニ、お弁当屋さん、カフェ、クリーニング屋、銀行など会社や家の近所にある店舗に関しては、近くて便利なのでずっと利用したいと考え、他を利用しようとはあまり思いません。ですので、基本的にはクレームをあまり言いたくないのですが、仮にクレームを言ったときにはしっかり対応してくれないと、本当にガッカリします。「今までこんなに利用してお金を使ってきたのに、こんな対応されて許せない!」とクレームがエスカレートするケースがあります。クレーム対応は数値化できることをご存知でしょうか。クレーム対応に失敗することで、どれだけの未来の売上を失ったのかを数字にする考え方です。たとえば、旅行会社であれば毎年夏休みと正月休みに年2回の海外旅行で100万円使ってくれているお客様がいたとしましょう。大変ありがたいお客様です。しかし、あるときこのお客様からの小さな不満からくるクレームに対して、うまく対応できなかったことで信頼を失ってしまい、それがキッカケで他の旅行会社に取引を変更されてしまった場合、その先10年間でお申込みいだけるはずだった1,000万円の売上を失うことになります。とんでもない機会損失です。もし、このお客様に対応不備があったことを周囲に悪いクチコミとして広められてしまうと、企業としては利益だけでなく、ブランド失墜にも繋がりかねません。逆に、2年に1回ペースで温泉旅行に3万円使っていたお客様の大きなクレームに対して、しっかり対応したことで信頼を勝ち取り、その後温泉旅行だけでなく海外旅行もお申込みいただけるようになり毎年100万円以上使ってくれるお客様になり、10年で1,000万円の売上があがることもあります。このようなケースはどこの業界でもよくあることです。私はお客様相談室勤務の前は営業マンでしたので、クレーム対応を売上数字に換算する意識を常にもっていました。組織としてお客様のクレーム対応する場合は頭の片隅に置いていただきたい考え方です。

クレームの心理お客様の信頼を失うことで、未来の売上がどれだけ減少するのか常に意識すると対応の意義が見えてくる。具体的行動クレーム対応はチャンスと捉えて、完璧に対応することでファンを増やし、売り上げを増やそう。

091効率だけを重視することの問題点仕事の効率だけ意識すると、お客様が見えなくなる

一般的に仕事は効率よくやろうというのが、ビジネスパーソンにとっての常識になっています。ただ、効率を重視してはいけない部分があります。それは、お客様とのコミュニケーションです。お客様とのコミュニケーションは効率ではなく、効果を重視する必要があります。重視する効果とは何か、それは、お客様を笑顔にすることです。効率ばかり意識して仕事をすると、仕事が雑になり接客シーンでもお客様を「さばく」ようになります。私の家の近所にある定食屋でお客様から「私が先に注文したのに、どうしてあっちが先なのよ」とクレームを言われているシーンを見ました。店員さんは注文をさばくことに必死で、注文の順番を把握していません。できたものから出すことを重視し、お腹を空かせて待っているお客様が見えていませんでした。そしてクレームを言われても、「料理によってかかる時間が違いますので……」とだけ伝えて、謝罪の一言もなくクレーム対応も効率よく終わらせていました。私がそのシーンに遭遇してから半年後、そのお店は閉店していました。美容室でもクレームの多い店は、売り上げを上げるためにいかにたくさん予約をに入れるかと、いかに効率よくさばいていくかしか考えていません。結果は、予約時間に遅れて来るお客様もいて自分たちの思い通りに効率よくオペレーションすることができず、待ち時間の長さへの不満や、いろいろ髪型を提案して欲しかったお客様からは、適当にあしらわれたと思われ、その場でクレームを言われなかったとしても二度とお店を予約することはなくなります。予約の数や売上を意識すると一時的には、利益に繋がることもありますが、長期的には維持することは難しいです。私の好きな芸人さんの名言で「人気は、高さではなく長さ」というものがあります。お客様に長く評価されるためにもお客様のこと大切に思い、良好なコミュニケーションを心掛けましょう。クレームの心理売上はお客様とのコミュニケーションの長さに比例する、クレームの数は良好なコミュニケーションに反比例する。具体的行動お客様を笑顔にするために、仕事の効率を考えてお客様を「さばく」のではなく、丁寧に「対応」しよう。

092クレームを起こさない人になるためのヒント受けて良かったサービスを、採用するとお客様は喜ぶ

いつもクレームを言われているコンビニがあります。職業病でしょうか、そういう店には勉強のためについつい通ってしまうのですが、このコンビニはクレームを言われるべくして言われている仕事ぶりなのです。とにかく第一印象が悪いのです。入店しても笑顔で挨拶された記憶がありません。でもそれ以上に一番気にかかるのが、店の入り口正面にある女性用化粧品コーナーです。この化粧品コーナーにはこんな貼り紙があります。「いつもここで万引きしている方々へ、今度見つけた場合は警察に即通報します!」と果たし状のようなものが……(笑)。これは、良いお客様まで疑っているようで、とても印象が悪いです。このコーナーで商品を手に取る方はどんな気持ちでいるのだろうか、とても気になります。お客様のことを信用していない様子がとても伝わってきます。このコンビニの仕事ぶりには嫌な感情しかもてません。

逆にクレームを起こさないためにやるべきヒントとして、自分が受けて気分が良いと感じたサービスは、今度は自分がやるということがあると思います。タクシー会社の社長さんから教えていただいた話です。当然ですが、出張先などでは他のタクシー会社を利用することがあるそうです。商談を終え、大通りを出て空車のタクシーが見えたので手を挙げ停め、乗り込んだところ、このタクシーの運転手さんから笑顔で「お待たせしました!」と言われてすごく感動したことがあったそうです。別に待ったわけではなく、むしろこちらの方が「いいときに来てくれてありがとう」という気持ちになるぐらいでしたが、この運転手さんのちょっとした気遣いの言葉で人はこんなに気持ちよくなるのだと幸せな気持ちを味わったそうです。その後、会社に戻り、この対応を接客マニュアルに追加し実践するようにしたそうです。社長は、「タクシードライバーの仕事は、行き先に安全にお送りするだけではないということに気付けた。すごく良い勉強をさせていただいた」と笑顔でそうおっしゃっていたのがとても印象に残っています。人に幸せな気持ちにしてもらうと、今度は自分が人を幸せにしたくなるという感情が、良いサービスを増やしていく。良いサービスは駅伝の襷をつなぐようにリレーされていくのだと思いました。クレームの心理自分が客の立場で良いと思ったことは、自分の仕事を考えるヒントになる。具体的行動クレームを減らすために、自分が受けて嫌な気持ちになったサービスを反面教師にしてみよう。

093ファンをつくる接客方法①サービスの価値を高めると、値引き以上の効果が得られる

商品の価格を値引きするとお客様が喜んでくれると思っている企業や店がありますが、私はそうではないと考えています。喜んでくれるのは最初の1回だけです。一度、価格を下げてしまうと、お客様はもっと安くなるのではないかと思うようになります。通常価格では不満をもち、そこの店では値引きした商品でないと買わなくなります。高い買い物は他のお店でするようになります。企業や店は価格を下げることで、利益が減っているにもかかわらず、お客様にも喜ばれないという悪循環に陥るのです。価格が高い商品より安い商品の方が、クレームが多くなるというデータがあるのはご存知でしょうか。とくにわかりやすい業界は旅行業界です。温泉旅館で1泊2日(朝・夕食付き)プランは9,800円と15,800円のプランでは価格の安い9,800円のプランの方が3倍以上のクレームが発生します(*著者調べのデータです)。理由は「安かろう悪かろうだった」とお客様は不満をもち、クレームを言ってくるからです。夕食会場に行き、隣の席の15,800円プランの料理と品数の違いを見つけます。価格を安い方を選んだのは自分であるにもかかわらず、腹を立てます。さらに夕食後に部屋戻ってから、窓から見える景色があまり良くないかもと考えるようになり、「やっぱり安いからそうされた」と、さらに不満をもつようにもなります。その他の点についてもどんどんあら捜しをするようになるのです。私の取引先の旅館の話ですが、帰りのチェックアウト時にフロントで「部屋が汚かった」「接客が良くなかった」とクレームを言って帰るのは9,800円プランのお客様ばかりで、15,800円プランのお客様は「とても良い時間になりました。お世話になりました」と笑顔でお礼を言ってお帰りになるそうです(笑)。価格を下げることではお客様をずっと満足させることができません。お客様に喜んでもらうために自分たちができる最高のサービスは何なのか、追求して増やしていくことが大切なのです。お客様は価格以上の価値を感じるとお金を

出したことに満足します。この商品を買って良かったと思うようになるのです。クレームの心理安ければ安いほど「お買い得」なはずなのに、安さに由来する(と思える)粗に目が行くようになり、不満がたまる。具体的行動値下げで自らの利益を損なうのではなく、サービスの“価値”を高めて満足度を上げよう。

094ファンをつくる接客方法②お客様をわかろうとすると、お金をかけず特別扱いできる

クレームを一切言わずに、値引きも要求してこず、新しいお客様までたくさん連れてきてくれる人がいます。それが、ファンのお客様です。ファンのお客様で溢れる企業や店はクレームが発生することなく、ストレスゼロで毎日楽しく仕事をしています。どうでしょう?自分たちもこんな状態で仕事をしたいと思いませんか?私が考えるファンをつくる法則としてもっとも大切なことは“お客様の良き理解者”になることだと考えています。そうです。クレーム対応でも、お客様の良き理解者になることが大切なことだとお伝えをしましたが、全く同じです。接客をする上での“真理”なのです。接客をする上で、良き理解者になるためにはどうすれば良いのか。それは、

お金をかけずお客様を“特別扱い”することです。ポイントは、お金をかけないということです。お金をかけずにお客様を特別扱いしようとすると、お客様のことを理解しようとしないとできません。逆を言うと、お客様は自分のことをわかってくれていると感じたときにファンになります。私には10年以上通い続けている大ファンのカフェがあるのですが、私が夏でも冬でもアイスカフェラテしか飲まないことを知ってくれていますので、店舗スタッフは私が来店したタイミングでアイスカフェラテを作り始めます(笑)。そして、私が座りたい席を理解しているので何も言わずにその席のテーブルを拭いて椅子を整えてくれます。行く度に私のことを理解してくれていると感じることができるので、このカフェが大好きで通い続けているのです。大ファンなので、講演会ではこのお店の名前を出して宣伝部長のように良いクチコミを広げています。新しいお客様を紹介していますので、このカフェの店長にもいつも感謝されます。取引先のゲーム会社では、ゲームセンターによく来てくれているお客様がいつも同じところでミスしている場面を見かけると、他のお客様に内緒で実演して見せて、お客様をファンにしている名物店長がいます(笑)。みんながこの店長の大ファンです。クレームの心理お客様は、自分を理解してもらえていると思う人のところをまた訪れたいと思うものである。具体的行動ファンをつくるために、お客様をよく理解する必要があり、そのためにはお金をかけずに特別扱いすれば良い。

095お客様を笑顔にする効果的な対話術商品の長所を伝えるのは、短所を伝えた後にする

クレーム全体の20%前後はお客様の思い込みがキッカケで発生します(*著者調べのデータです)。お客様の思い込みのクレームが起きるのは、接客の場やホームページ上での表記での商品の説明不足が原因です。とくに、お客様に商品を買ってもらいたい、注文が欲しいと考えると商品の長所やメリットの部分のみを伝えてしまうことがあります。当然ですが、お客様の期待値は上がってしまいます。購入したときは大変満足するのですが、後になって短所やデメリットの部分を見つけると、「聴かされていなかった」「知らなかった」というクレームが起きるのです。クレームを受けない企業や店の共通点は、商品の長所と短所の両方をしっかり伝えていることだと思います。「短所を伝えるなんて、売り上げが下がるから嫌だ」と、考えていると、後になってお客様から「騙された」と思われ信頼を失ってしまいます。長い目で見ればこの考えでは売り上げは下がっていく一方です。長所と短所の両方の良い伝え方があります。それは、最初に短所の部分を伝えてから長所を伝えるようにする方法です。「価格は少し割高ですが、印刷スピードは業界No1です」「この点は他のメーカーより性能は落ちますが、当社のウリはこちらです」というように伝えるようにします。これは、商品の長所・短所を伝える順番も大切ですが、情報を包み隠さず全て公開するということが一番大切だということです。不動産会社でもクレームになるのが、入居してからのマンションの部屋以外での他の情報についてです。「エントランスがいつも汚い」「上の住人の足跡がうるさい」「目の前に新しいマンションが建つなんてしらなかった」等、知っていれば契約しなかったというのがクレームになります。世の中に完璧な商品は存在しません。お客様が不満に思う可能性のあるものをリストアップし、情報を全て公開して差し上げることが大切です。お客様は全て理解した上で、自分で納得して決めたと考えるとクレームを言ってくることはありません。クレームの心理短所と長所などの対になる情報は、最初に聞いた情報よりも、後に出される情報の方が記憶に残る。具体的行動伝えるべき情報を全て提供した上で、お客様に納得して決めていただくことを目指そう。

096お客様から信頼を得る仕事術クレーム内容を公開すると、お客様からの信頼度が上がる

消費者は企業を信用しなくなってきました。企業のテレビCMを見て商品を買う人はどんどん減っているのではないでしょうか。もちろん新しい商品が発売されたと認知するようにはなりますが、買うかどうかは全く別だと思います。世の中の消費はSNSが主導権を握るようになりました。自分が信用するのはSNSで繋がっている仲間のクチコミ情報や紹介ではないでしょうか。SNSでフォローしている友達がテレビCMで見たその商品を使ってコメントしている内容を見て購入を決めるようになったのです。ただ、このように世の中はSNSの情報でしか消費が動かなくなったのではありません。実は、SNSが登場する以前と同じで、人と人の関係性で消費が動く

のです。つまり、信頼している人からの情報でしか、人はお金を使わないのです。消費しないのです。信頼関係があるかどうかが根っこの部分にあるのは今も昔も変わらないのです。では、SNSで繋がっていない、信頼関係がまだ築けていないお客様は、どの部分を見て企業に信頼感をもつようになるのか。それは、情報発信の内容です。情報は長所も短所もさらけ出すべきだとお伝えしました。さらに信頼を得る情報として、クレーム内容をお客様に公開することがあると思います。優秀な保険の営業マンは「このプランは日帰り手術が保険適用外ですので、お気をつけください。過去に私の説明不足でお客様から大変お叱りを受けました」と商談の場で正直に伝えています。取引先のリフォーム会社の社長は自身のフェイスブックに「水回りのリフォームはキッチンをやると洗面所やトイレも後になって追加で工事したくなるので、じっくり検討してください。#いつも何で先に言ってくれないのとクレーム」と、発信したことでそれを見た新規のお客様から700万円の工事依頼が来たことがありました。クレームが起きたら、「失敗した」と考えるようにはしなくて良いということです。そこから学んだことや仕事のやり方を変えたという情報を全て公開することがお客様から信頼を勝ち得ることになると考えるようにしてください。クレームの心理お客様は、自分は買い物に失敗したくないという気持ちがあるため、過去のクレーム事例を知りたいと思っている。具体的行動お客様からもっとも信頼を得るために、過去のクレーム事例を正直に語ろう。

097お客様から評価される仕事術短所を長所に読み替えると、仕事に共感する人が出てくる

自分たちの商品の短所やデメリットに対して「しょうがない」と諦めている企業や店があります。「駅から遠いから客が来ない」「知名度が低いので売上が伸びない」と、嘆いています。しかし、一方で不便な場所にあってもお客様が足繁く通い、知名度が低くても熱狂的なファンがついている企業やお店があります。そのようなところは、お客様は「駅から遠くて不便だ」と考えずに「隠れ家的存在」と認識しています。「知名度が低い」のではなく「私だけが知っている」と考え、ファンになっているのです。自分たちでここは短所だと考えずに、前向きな言葉に変換して情報発信したり、不便だったり知名度が低かったりしてもそれを吹き飛ばすぐらいの気持ちで目の前のお客様を笑顔にする努力を怠らないよう仕事に対して真摯に向き合うことがとても大切です。東京都墨田区に「千輪」という、自転車を売らない自転車屋さんがあるのはご存知でしょうか。この店のオーナー長谷川勝之さんは、元々自転車の大手チェーン店の社員でした。故障した自転車を店にもちこむお客様のほとんどが、修理すればまだ乗れるにもかかわらず、スグに新品の自転車を購入していくことに大きな疑問を感じながら仕事をされていました。店としては、修理は手間も時間もかかるものなので、効率よく売上があがる新品の自転車を購入してもらえることは大変ありがたいこと。でも長谷川さんは、自転車に対してもっと愛着をもって修理しながらでも乗り続ける人を世の中に増やしていきたいと考え、独立し自転車雑貨店「千輪」を開業しました。「千輪」では、自転車は1台も売ることをせず、修理して長く乗ってもらうために、可愛らしい自転車専用グッズやアクセサリーを販売し、自分の自転車に愛着をもつお客様をたくさん増やしています。そして、世の中に使い捨てされる自転車がなくなることを自分の大きな夢に掲げ、毎日汗を流しています。この長谷川さんの考えに共感した人たちが全国から「千輪」にやってきます。まさに「あなたにお願いしたい」「あなたから買いたい」と思うファンに

囲まれて毎日笑顔でお仕事をしています。クレームの心理デメリットをメリットに変えようとすると、お客様の笑顔や世の中のために仕事をする意識が自然と出てくる。具体的行動自分の仕事は誰を幸せにしているのか、社会とどのような繋がりをもつのか、常に考えて仕事に取り組もう。

098クレームをクレームで終わらせない方法クレームを前向きに捉えると、サービスを増やせる

新しい商品やサービスのアイデアというものは企画会議で議論しているなかで誕生するというよりは、お客様からのクレームから思いつくということが、本当にたくさんあります。実は私にも経験があります。私の講演会のお越しになった家電量販店でテレビコーナーを担当しているという、長井さんからクレームのご相談を受けました。お客様から「買う気はなかったのに長々と商品の説明をされて、押し売りのようでとても不快だった。」というクレームを受けるというのが彼の悩みでした。私自身はこの長井さんのとても真面目なお人柄に大変良い印象をもっていま

した。彼は押し売りしているのではなく、商品に対してとても勉強熱心で誰よりもテレビのことに詳しく、お客様に一生懸命な姿勢が、逆にお客様に嫌な気持ちを与えているのだと考えました。そして私は長井さんにこう提案しました。「“日本で一番説明の長い販売員”という、たすきでも作って、じっくり説明を聞きたいお客様対象に接客してみれば良いのではないですか?お名前も長井さんだし、良い方法だと思いますよ」と、そうアドバイスをしました。その場では長井さんは笑って「それ面白いアイデアですね。」と言われて講演会場を後にされただけだったのですが、後日この長井さんからメールをいただきました。その内容は、「たすきまでは作るのは恥ずかしいですけど、『日本で一番長くテレビの商品説明が出来ます!テレビの達人の長井です。』と書いた名札をつけて店のフロアに立つことにしました。」という内容でした。そうしてからは、最新のテレビに関して商品の知識のないお客様やじっくり話を聴いてから購入したいと考えるお客様たちが積極的に長井さんにご相談に来られるようになったそうです。お客様とじっくり付き合うことができ、良好なコミュニケーションが取れるようになったと大変お喜びでした。クレームからサービスを増やす良い機会だったと思っています。最近では家電メーカーや量販店でも家電に詳しいスペシャリストとして「家電コンシェルジュ」というネーミングも定着していますが、私は長井さんこそが元祖で先駆者だと考えています(笑)。クレームの心理クレームを前向きに捉えようとすると、価値観が反転して新しいアイデアが生まれやすい。具体的行動良薬口に苦し。お客様の笑顔にするサービスを増やすために、「苦」を「快」にする姿勢をもつようにしょう。

099クレームを起こさないための上司の仕事術自分の部下を笑顔にすると、クレームは激減する

実は、クレームを起こさない一番簡単な方法があります。それは、現場の従業員の接客力を上げて顧客満足度を上げるのではなく、現場で仕事をしている人の従業員満足度を上げるようにすることです。部下を笑顔にすることです。では、どうすれば部下を笑顔にすることができるのか。それは、仕事の目的とやる価値を明確にしてあげることです。アウトレットショップでの話です。他の業界から転職してきた、とても優秀な新任マネージャーさんがいました。着任した彼が最初にしたことが、この施設の入り口にアンケートボックスが設置したことでした。その数週間後、アンケートを回収してみて一番多く書かれたことが、駐車場の警備員スタッフの仕事ぶりに対してのものだとわかりました。「笑顔がない」「不愛想でおもてなしのかけらもない」という厳しいクレームが多数書かれていました。これは私の個人的な感想ですが、駐車場ではスムーズにお客様のクルマを誘導し、安全を確保することが最優先されますので、笑顔やおもてなしは果たして必要だろうかと、そう考えていました。しかし、そのクレーム内容を見て、マネージャーは業務改善に着手しました。その方法がとても素晴らしかったのです。そのままお客様のクレーム内容を現場の警備スタッフに伝えて注意を促すことはしませんでした。警備スタッフが集まった朝礼の場で「皆さん、お客様の楽しいお買い物の時間は、皆さんが安全を守っている駐車場から既にスタートしています。警備のプロとして笑顔とおもてなしの気持ちをもってお客様をお迎えしましょう!きっとお客様たちも喜んでくれますよ」と伝えたところ、警備スタッフの仕事への態度が大きく変わったそうです。それからはアンケートに同じクレーム内容が書かれることはなくなったと教えていただきました。人は否定しても変わることはありません。率先して行動を変えることはありませんが、このマネージャーの警備スタッフに対して仕事の目的とやる価値を

伝えたことによって、人は自ら進んで動くということを実証してみせました。クレームを減らす方法がわかる、とても良い事例だったと考えています。クレームの心理現場で働いている人が笑顔だと、お客様も自然と笑顔になってくる。具体的行動クレームを減らすために、現場のスタッフが笑顔で働けるように配慮しよう。

100クレームに無縁な人の仕事術仕事を心から楽しむと、笑顔になってクレームが減る

クレーマー社会と言われる世の中で、毎日クレームを受けて心をすり減らしている人がいれば、クレームとは無縁で、ストレスのなく仕事し、お客様からも喜ばれて毎日の仕事が充実しているという人もいます。この違いは一体何なのでしょうか。私は、どれだけ仕事を楽しんでいるかの違いだと考えています。クレーム対応に疲弊している方は、仕事を楽しめていない、仕方なく仕事をしているという特徴があります。接客の場面でもお客様のことに関心がなく、お客様の立場に立ってサービスを提供しようという考えがあまりありません。では、なぜ仕事が楽しめないのか。それはお金のためだけに仕事をしているからです。自分の人生の大切な時間をお金に換えているだけの意識しかないか

らです。仕事はお金を稼ぐためだけにやる人は、クレームを受けると損したと考えます。他にも従業員がいるのに自分だけクレームを受けて不公平だと考えます。その気持ちがお客様に伝わり、お客様はどんどん怒りを増大させてしまうのです。正直、誰も得することはありません。もし、クレームとは無縁でストレスなく仕事をしたいと考えるのであれば、目の前の仕事を楽しむことです。どうすれば仕事が楽しくなるのか。それは目の前のお客様を喜ばせようとすることです。人は仕事をしてお金を稼いだだけでは心の充実を得ることはできません。仕事をして本当に心の充実を得られるのは、お金が手に入るひとつ手前に、お客様を笑顔にすることができた、喜んでいただけたという嬉しさがあって、その対価としてお金を稼いだときなのです。つまり、お金が手に入ったからではなく、お客様に喜んでもらえたと感じることができると、仕事が楽しくなるのです。仕事をしていて自然と笑顔が増えるようになるのです。目の前のお客様を喜ばせようと一生懸命な人にお客様はクレームを言いません。「それは無理です」とお客様のために何も行動しないような人に対して、クレームがたくさん起こるのです。クレームの心理仕事はお金を稼ぐためだと思うと、気持ちも疲弊してきてクレームも起こりやすくなる。具体的行動お客様に喜ばれるために、目の前の仕事に尽力しよう。するとお客様は笑顔になり、クレームも言われなくなる。そして仕事も楽しくなる。

おわりに

『失敗しない!クレーム対応100の法則』、いかがでしたでしょうか。あなたのお役に立てる内容になっていましたでしょうか。お客様相談室時代に、私がクレーム対応をうまくなりたいと思うようになった理由のひとつに、自分の子供に誇れるような仕事での特技をつくりたいと考えるようになったことが大きいと思います。それまでの自分は暗い気持ちで会社に行って、何事もなく過ごせればそれで良いと考え、あまり仕事に熱中することがなかったのです。自分は何ももっていない大人だったような気がします。カッコいい父親になりたいという自分勝手な野望がキッカケではありましたが、クレーム対応に強くなろうと、この仕事に向き合うようになりました。たくさんの失敗を重ねて試行錯誤しながらも、少しずつお客様の怒りを笑顔に変える方法を見つけられるようになりました。クレームを言っていたお客様から「あなたがそう言うなら、今回はそれでいい」「谷さん、あなたの言うことは信じよう。次も使うから次は頼むよ」「こんな対応されたら、あんたにはクレームは言えなくなるわ!」と、笑いながら言われるようになりました。心から嬉しい気持ちになった経験がいまだに忘れられません。こう言ってくださったお客様たちには感謝の気持ちしかありません。そして、怒っている人を笑わせるなんて、お笑い芸人みたいで自分はカッコいいと思ったものでした(笑)。若いころ芸人を志半ばで挫折した自分にとってはクレーム対応が自分の武器となり、自分の子供に誇れる特技になりました。そしてこの経験知を体系化したのが、本書『失敗しない!クレーム対応100の法則』です。この本の執筆のご依頼をいただいたとき、最初は「法則を100個も!?」と、正直思いましたが(笑)、あらためて自分自身がクレーム対応について深く掘る良い機会を頂戴できたと思っています。この機会を提供してくださった日本能率協会マネジメントセンターの東寿浩さんには心より御礼申し上げます。書き終わって今思うことは、あと100個ぐらいは法則があるな、ということ

です。この続きは、私の講演・研修やテレビ番組でご紹介できればと考えておりますので、是非声をかけてください(笑)。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。谷厚志谷厚志(たに・あつし)怒りを笑いに変えるクレーム・コンサルタント。一般社団法人日本クレーム対応協会の代表理事。日本メンタルヘルス協会基礎心理カウンセラー。1969年生まれ。近畿大学卒業後、企業のコールセンター、お客様相談室で責任者として2,000件のクレーム対応に従事。一時はクレームによるストレスで出社拒否状態になりながらも「クレーム客をお得意様に変える対話術」を確立する。現在は独立し、クレームで困っている企業のために全国でコンサルティング活動を展開、具体的なクレーム対応法を指導している。圧倒的な経験知と人を元気にするトークがクチコミで広がり、年間200本の講演・研修にも登壇する。著書に『「怒るお客様」こそ、神様です!』(徳間書店)、『心をつかむ!誰からも好かれる話し方』(学研パブリッシング)、『超一流のクレーム対応』(日本実業出版社)、『ピンチをチャンスに変えるクレーム対応術』(近代セールス社)などがある。フジテレビ系列「ホンマでっか!?TV」に企業クレーム評論家として出演中。日本クレーム対応協会http://www.ikariwoegao.org/谷厚志公式サイトhttps://www.taniatsushi.com/

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