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第4章社員に正しく説明できる基本給体系をつくる

目次

1賃金体系の基本–基本給と手当~まず現在の賃金体系を整理することから始める

◎複雑になるとかえって社員相互の不公平感を助長する

賃金体系は、どのような考え方を基礎とする賃金制度であっても、その基本的な枠組みは、基本給と諸手当に分けて考えることができます。基本給は、賃金の中でも中核となる賃金項目であり、責任等級制の下では、所定内労働時間に対する基本となる賃金です。

役割責任の重さを反映して等級別に水準決定されます。これに対し、諸手当は基本給ではカバーできない内容や項目を、補完する目的で設定される補助的なものです。手当は、必要不可欠なものに限定して、合理的な支給基準を決定することが大切です。

経営者のなかには、社員のために、社員が働きやすいようにと、社員や組合の求めに応じて次々と新しい手当をつくっては支給している会社もありますが、さまざまな手当が乱立している状態は、かえって社員相互の不公平感を助長するので、要注意です。

◎基本給は「シンプルで分かりやすく」が基本

賃金表を設計するには、それに先立って賃金体系の見直しが必要です。賃金制度には、基本給をどのような基準で考えるかで各種手当の設定基準が影響を受けるという面もあります。

一例をあげると、本書で取り上げている責任等級制賃金制度では、担当職務に対する役割責任の重さは基本給で受け止めますので、更に重ねて役付手当を支給することはありません。

つまり、基本給がどのような要素をカバーしているかで、諸手当を設定する範囲も変わってくるのです。ここでは、基本給と諸手当の関係を、次のように定義しておきましょう。

かつては生活給(年齢給)と勤続給、能力給などを合算して基本給とする会社が多くありました。

このような決め方は、一見、合理的に思われがちでしたが、社員からすれば、支給されるすべての金額が生活給であり、また仕事の対価なのですから、基本給を細分化して積み上げたから「合理的な賃金決定だ」とはなりません。

◎基本給はできる限り一つにまとめる

基本給には、生活給としての最低水準を保障するという視点も、実力差に応じて格差を設けるという視点も必要ですが、だからといって生活給と仕事給(職能給)に分けなければいけない理由にはなりません。

たとえ、基本給を一本化しても昇給運用を通じて生活最低保証分が約束され、そのうえで成績に応じて格差がつくように制度設計すれば良いだけのことなのです。手当は、必要なものに限定して支給すべきであり、職務の状況によって、大きく4つに分けられます。

(詳細は、第6章を参照)

所定労働時間等を超えて行う労働に対する賃金です。時間外勤務、休日勤務および深夜勤務をさせた場合には、法定の割増賃金で対応しなければなりません。

また事業場外労働や裁量労働に従事する社員に適用される「みなし労働時間制」の下で支給される超過勤務相当分も所定外労働に対する手当です。

時間外勤務手当の対象とならない管理職に支給される管理職手当も、時間外勤務相当分の補償的意味合いを持つ手当であり、勤務時間に関連する手当に含めて考えます。

②特殊な技能を必要とする職種に支給する手当看護師、薬剤師、建築士など公的認定資格が必要とされる職種や、デザイナー、SEなど特定の専門技術・技能職で、一般的な給与相場より高めの賃金水準を考慮する必要があるときは、特技手当(公的資格手当)で対応します。

③作業環境の特殊性に応じて支給する手当高温な場所、高所、寒冷地の屋外、危険物の取扱いなど、一般に人の嫌がる仕事、肉体的・精神的に大きな負荷のかかる作業には特殊作業手当を支給します。

④生活関連手当家族手当、地域手当、単身赴任手当などがこれにあたります。

支給基準が仕事に直結しないことから、ここでは生活関連手当に分類していますが、生活費の補助というよりは社員と会社を結び付ける人事政策的な性格を持っている手当と捉えるべきものです。

賃金表を設計するためには、まず現在の賃金体系を整理することから始めなければなりません。不要な手当を整理統合して必要な手当だけを残し、他は本給に組み入れます。

2現在の賃金体系を整理する~各種手当の整備・統合を具体的に進める

◎各種手当を整理し、基本給の充実をはかる

基本給表をつくる前に必ずやっておかなければならない作業として、各種手当の整理統合があります。まず、現在支給されているさまざまな手当を、前項目で述べた4つの区分に分けて分類してみましょう。

なかには、どこに振り分けたら良いか、判断の難しい手当があるかもしれませんし、そもそも支給基準が不明だということもあるかもしれません。

そのような場合でも、何のための手当なのかを確認して、分類してみてください。

最初に基本給を誰の目にも分かりやすいものにするために、基本給が勤続給、年齢給、職能給のように幾つかの要素に分割されている場合には、原則として本給に一本化するようにします。

◎各種手当を見直すポイント

各種手当をひとつずつチェックしていきましょう。

・責任の重さに対する手当―役付手当や役職手当の取扱いまず、役付手当や役職手当の名称で、責任の重さに対する手当が支給されている場合には、その実質が「役職の責任に対するもの」なのか「実質的な時間外勤務の補償分」なのかを判断します。

時間外勤務の支給対象から外れる管理監督者の場合、職場の時間外勤務の状況に応じて新たな管理職手当を設定することとし、それを超える部分は基本給に組み入れるようにします。

非管理監督者の場合には、原則として全額を基本給に組み入れます。

課長代理や係長など、時間管理の対象となる指導職層は、この非管理監督者に含めて取り扱います。

・営業手当など―みなし時間外手当や固定残業代の考え方事業場外労働としてみなし労働時間制を採用し、事業場外労働手当として支給される場合はそのままでかまいませんが、営業職であっても時間管理が可能な職場は幾らでもあります。

そのような職場では時間外勤務手当として処理し、固定残業代としての営業手当は廃止する方向で検討してください。

「営業の仕事は大変だし、靴も服も早くに傷むのだから、その〝大変料〟として営業手当を支給しよう」と考える社長もいますが、このような労働時間に関係しない営業手当は基本給に組み入れて廃止するようにします。

・資格手当―公的資格保持者への特技手当通常、職位などに基づく身分資格的な性格を持つものと、資格試験に合格した有資格者に対して支給されるものと2つに大別することができます。

責任等級制度では、基本給が仕事の質(仕事の難しさ、責任の重さ)にしたがって決められます。

前者のような身分資格階層に沿って決められる役付手当のような性格の資格手当であれば、基本給に繰り入れます。

後者のような日々の仕事を行うために有用な公的資格の有資格者に限定して支給される資格手当(特技手当)であれば、仕事に直結する公的資格に限って支給するようにし、自己啓発の推奨を目的としたような、現在の仕事に関係しないものは廃止することをお勧めします。

・地域手当(都市手当)―地域差を基本給に反映させないために地域の異なる事業場間で、それぞれの地場の賃金相場の格差是正分として、適正な額であるかどうかをしっかり確認したうえで、妥当な金額であれば存続させるようにします。

・食事手当など―一律定額支給の手当への対処法諸手当の整理・統合の実例の図表には、食事手当が載っています。

この手当は、市街地から離れた工場と街中の営業所のように、社員食堂のある事業所とない事業所の不均衡を是正するための措置であれば存続してかまいませんが、中小企業で支給される場合は一律3,000円というように定額で支給されていることが多く、支給する必然性がないと思われるケースも多いものです。

食事手当に限らず、全社員一律に支給されている手当がある場合は、要注意です。

過去のベースアップの際に、退職金や賞与支給額への跳ね返りを恐れて、基本給に含めずに手当として一律定額を支給することが数多く行われていました。

しかし、退職金や賞与のバランス調整をする方法があれば良いだけの話であって、基本給に繰り入れるべきものをあえて手当として切り離すのは間違いです。

一律定額が、全社員もしくは大半の社員に支給されるような手当項目があれば、基本給に組み入れるようにしてください。

・家族手当―現状分析の時点では据え置き支給基準を確認・検証したうえで、新しい家族手当に移行するようにすべきものですが、現状分析を行う時点では仕分ける必要はありません。

・住宅手当―住宅費用に応じた手当かどうかを確認住宅費用に応じた支給額の設定であれば、そのまま住宅手当として残します。

ただし、

「賃貸住宅を利用する者のうち、扶養家族のある世帯主20,000円、単身者5,000円」というように、家族構成(扶養家族の有無)に応じて支給されている部分があれば、その金額分は家族手当に繰り入れ、一律に支給されている部分については基本給に繰り入れるというのが基本です。

(詳細は、第6章を参照のこと)・通勤手当―適正な水準なら据え置き個人別に支給額が大きく変わるものでもありますから、適正な水準で支給されていると考えられるときは、賃金制度の改定に伴う諸手当の整理統合の作業からは、外していただいてかまいません。

◎5つの視点からチェックする

会社ごとに、さまざまな手当が支給されていると思いますが、現在支給されているそれぞれの手当について、次のような視点から確認してみると良いでしょう。

①個々の社員の状況に応じて支払うべきものか、一律に対応すべき性格のものか

②所定内労働の要素として考えるべきものか、所定外労働として捉えるべきものか(時間関連手当)

③仕事に直接関係するものか、直接の関係性は低いか

④基本給では捉えられない要素を是正できているか、その手当を支給することでかえって他の社員との間に不公平感を生んでいないか

⑤その手当の支給根拠や支給条件が、会社として正しく説明できるか

5つの視点からすべての手当を精査し、整理統合して、必要最低限の項目に絞り込むようにすると、各種手当の位置付けが明確になるはずです。

◎基本給の本質

労働条件の中で、最も重要なものが、給与の支給に関するルールであり、とりわけ、社員にとって将来不安を拭い去るのに重要なのが、これから先の基本給を合理的に決めることのできる賃金表が用意されているかということです。

責任等級制度のもと、合理的な賃金制度を構築するには、基本給も仕事に軸足を置いて考えなければいけません。

仕事の要素を、3つの視点に分解すれば、仕事の「種類」に着目するか、仕事の「質」に着目するか、仕事の「質」に着目するかのいずれかの考え方によることになるのは、既にお話ししたとおりです。

正社員の基本給は「仕事の質」を手がかりとして設計するのが最も合理的だとお話ししました。仕事の質とは、「仕事の難しさや責任の重さ」のことです。

責任等級制度では、責任レベルにしたがって等級区分が決定されていますから、それぞれの等級ごとに給与レンジを設定することで、合理的に基本給を決定することができることになります。

もちろん、仕事の質に基準をおくといっても、その中身は生活給としてふさわしい水準を満たしている必要があります。

Ⅰ等級のスタート金額がわが社の最低賃金となりますが、当然に法令の定める最低賃金額以上でなければなりませんし、地域の標準生計費を十分に確保できる水準であることも大切な要件です。

また、定年までという長い期間にわたって能力を発揮してもらう社員に対する賃金処遇の基本ですから、その習熟度合いを正しく反映させ、長期雇用へのインセンティブ効果をあわせ持つ昇給制度を取り入れることを視野に入れて考えなければいけません。

◎「本給・加給」方式で基本給本来の役割を機能させる

定期昇給を合理的に行えるということは、制度づくりの最も重要なテーマです。

賃金水準を世間相場に合わせて引き上げることをベースアップといいますが、賃金ベース、すなわち給与の中核をなす基本給について、ベース改訂をしやすいということも、基本給を設計するうえでの大切な要素です。

労働人口がこれまでにない勢いで減少していく時代が続いていくなかにあって、人材の採用や社員の定着を意識した、戦略的なベースアップは企業規模の大小を問わず、人事管理上のテーマであり続けることでしょう。

この基本給体系では、定期昇給の合理的運用に便宜な本給とベースアップを反映するための加給に分けて構成してありますので、毎年行われる昇給計算をはじめとする実務処理も合理的に行うことができます。賃金表をその都度書き換えるという手間が省けるという点も運用しやすいものです。

3本給月額表をつくる~責任等級制賃金制度の心臓部に着手する

◎等差号俸制の賃金表は仕組みが分かりやすい

いよいよ責任等級制賃金制度の基本をなす「本給月額表」と呼ばれる等級別賃金表の設計に移りましょう。

ここで紹介するのは、賃金管理研究所が代表的なモデルとして作成している6等級構成の本給月額表(大都市中位水準)で、東京近郊における中堅・中小企業の賃金水準を想定したものです。

(次ページ参照)

この本給月額表をよく見ていただくと、責任等級ごとにつくられた6つの賃金表を1枚のシートにまとめて、ひとつの本給月額表を形作っているのが分かります。

責任等級区分ごとに、スタートの金額である初号値が決められ、これに各等級の1号あたりの単価である号差金額を設定し、順次積み上げていけば等級別の賃金表が出来上がります。

賃金表としては、非常に簡明でシンプルな構造であることがお分かりいただけるでしょう。この賃金表は号差金額が等級ごとに一定で変わらないため等差号俸制とも呼ばれます。

等差号俸制の賃金表は、仕組みが分かりやすいのが最大のメリットです。

もちろん等差号俸制といっても一律に昇給させるのではなく、昇給評語(SABCD)によって昇給号数が変化することにより、ふさわしい金額の昇給額が設定されるように考慮されています。

基本となる昇給号数は、S=6号、A=5号、B=4号、C=3号、D=2号です。この昇給号数も年齢と習熟の関係で調整できるように設計します(詳しくは次章)。

本給月額表上での昇給は、その等級のなかで昇給評語に基づいて決まった号数分を引き上げるだけです。

また、上位等級に昇格させる場合も、定期昇給後の本給額を上位等級の号数に読み替えるだけですので、運用を誤る心配なく、長い期間にわたって使い続けることができるのです。

◎等級相互の号差金額における関係性を理解する

この等級別賃金表は、上位等級に上がるほど号差金額が大きくなるように設計されています。責任がより重くなり、よい成績をあげた社員ほど、より大きな額の昇給金額が実現できるようになっています。

Ⅰ等級の号差金額は1,280円ですから、B=4号昇給なら5,120円の昇給となります。

これがⅣ等級職の場合には、号差金額が2,500円なのでB=4号昇給なら10,000円の昇給額になるのです。

つまり、昇格して上位等級でも実力を発揮することができれば、これまでよりもより高い昇給金額が実現できるようになっています。

実は、等級間の号差金額の関係は、図示したように1・25倍に設定します。

上位等級との格差がなぜ1・25倍なのかというと、等級区分が1ランク違う場合に、その処遇格差として十分に納得できる格差が1・25倍だからなのです。

Ⅰ×=(Ⅱ等級号差金額)

Ⅱ1,600円1.25×2,000円(Ⅲ等級号差金額)(Ⅲ等級以上も同様)以下、同様に最上位等級まで決めていきます。

ただし、端数が出た場合は、10円単位で切り上げます。

1・25倍という数字は、等級間の昇給バランスを考えていくうえでとても重要な数字ですが、その詳細は第5章「定期昇給を正しく理解し、やる気を引き出す」で改めて取りあげます。

4自社の「オールAモデル」をイメージする~等級相互の関係性を明確にする

◎それぞれの等級の初号到達年齢を決める

本給月額表は、各等級の役割責任に応じた初号値の水準を意識して設計しますが、上位等級に昇格させるタイミングも予め十分に考慮しておかなくてはいけません。

このとき、「常にトップクラスの優秀な成績を取り続ける社員がいた場合に、それぞれの等級に何歳で昇格させるか」という、昇格昇進の具体的な運用を想定し、それが実現できるよう設計することが基本となります。

つまり、等級ごとの昇給の積み上げと等級相互の賃金水準のバランスがうまく取れるようにするために、「オールAモデル社員の昇給・昇格の足取り」を設定して、それぞれの等級の初号到達年齢を決めるのです。

オールAモデル社員とは、毎年の定期昇給でA評価を受け続ける優秀な人材のことです。

その優秀な人材が、下位等級から上位等級に昇格する場合の標準的な年齢として設定するのが、各等級の初号到達年齢というわけです。

前ページの図表を確認しながら、オールAモデル社員の等級ごとの初号到達年齢と標準在等級年数の関係を確認してみましょう。

ここではⅠ等級のスタートを、中学卒15歳としています。

実際には多くはないかもしれませんが、義務教育を修了して就職する人の初任給を標準的な基本給表モデルⅠ等級1号として話を進めます。

オールAモデルによる在等級年数とは、「Aを取り続ける人材が何年その等級の仕事を経験すれば、一段階責任の重い上位等級の仕事に移ってもらうことができるか」の基準となる年数です。

そして初号到達年齢は、オールAモデル社員が最短でその上位等級の仕事に就くときの年齢を示しています。

◎オールAモデル社員の昇給の足取りをたどる

中学卒15歳で入社した社員の、最初の昇給は一律の4号昇給とします。人事政策上の配慮から1回目の昇給では能力期待度に差を設けないこととするためです。

翌年からはABCで評価します。昇給評語Aで5号昇給を続けると、20歳ではⅠ等級25号に到達します。すべて評語Aで5年間もの経験を積めば、Ⅰ等級の定型的補助的な仕事からⅡ等級の一定範囲では自己判断を伴うレベルの仕事を任せても良いでしょう。

そこで、Ⅰ等級25号に昇給したその本給額181,920円をもってⅡ等級1号に昇格させることにします。(このとき、端数は100円単位に切り上げています)Ⅱ等級でも、連続して評語Aなら25歳ではⅡ等級26号に達します。

同じく5年間にわたる習熟・育成期間を経て、Ⅲ等級の仕事を任せようと判断すれば、同様にⅡ等級26号の本給額222,000円をもってⅢ等級1号に昇格させることができます。

Ⅲ等級からⅣ等級への昇格も、オールAを取り続けることのできる人材なら、最低5年の経験を積んで、係長として部下を束ねることができるようになると判断できれば、オールAモデル社員が30歳で到達する26号272,000円で、Ⅳ等級初号値に昇格させて良いでしょう。

Ⅴ等級は、6等級構成の会社の課長職に相当し、高度な管理業務が要求される等級です。

オールAモデル社員といえども、課長昇格に際してはさらに1年長い6年間の経験を積ませるようにします。

30歳でⅣ等級に昇格したオールAモデル社員がその後もAを取り続ければ、6年後には36歳で31号に達しますから、その時点で「生え抜きの課長として、Ⅴ等級の仕事を任せよう」となれば、31号347,000円でⅤ等級1号に昇格させることになります。

Ⅵ等級部長職への昇格も同様に、オールA社員に6年間の経験を積ませた後、部長への抜擢が可能となるように、Ⅴ等級31号440,000円をもって、最上位等級であるⅥ等級に昇格できるように設計します。

オールAモデルでは、満42歳で生え抜きの部長が任命できるようになるのです。

いま一度Ⅰ等級からⅣ等級までAモデルの人材が昇格する本給号数を確認しておきましょう。

Ⅰ25ⅡⅣ31ⅤⅡ号26→ⅢⅤ号31→ⅥⅢ26等級初号値

◎会社の特性等によって昇格のタイミングを変える

本書が取り上げる本給月額表では、オールAモデル社員の在等級年数はⅠ等級から順に5年、5年、5年、6年、6年となっていますので、本給月額表の左上に(55566)と表記しています。

実際には、その会社の特性に応じ、また人事政策に従って、何歳でどの等級に昇格させるかのタイミングを変更することもできます。

小売業・飲食サービス業のように、比較的若い年齢で店長に昇格できるように設計することが期待される事業もあれば、時間をかけて選びに選び抜いた社員を管理職ポストに登用したいというスタンスの製造業など、業種や自社の状況に応じて在等級年数を変更していただいてもかまいません。

ただ、本書で取り上げる(55566)タイプの本給月額表は、幅広い業種・業態で実際に導入されている汎用性の高いモデルですので、最初は(55566)タイプを基準に検討していただくのが良いでしょう。

実務現場で考えるコト②定期昇給制度の意義を正しく理解していますか

デフレからの脱却に長い時間がかかり、急速な高齢化が進むなかでは個人消費もなかなか伸びない。こうした環境が続くかぎり、人件費の増大につながる定期昇給について慎重になる経営者が多くなるのは当然のこと。

しかし、総額人件費をどうコントロールするかという問題と、一般に「定期昇給制度」と呼ばれる給与制度上の昇給運用ルールをどう設計するかという問題は、密接に関連するテーマではあるものの、基本的に別問題。

定期昇給は、定年まで働く正社員が、長期間にわたってモチベーションを維持・向上させるための仕掛けでもあることを忘れてはいけない。

会社として、社員の給与を将来にわたってどのように増額させていくのか?これは、雇用の安定確保の面からもとても重要なテーマだ。定期昇給を実施している会社の80%は、評価や査定によって差のつく定期昇給を実施している。

しかし、いまだにマスコミや専門家の一部には「定期昇給=年功昇給(年齢や勤続が1つ上がることに伴って給与が上がる)」だと決めつけて、定昇廃止を訴える人がいるのも事実。

このような無責任な論調に乗っかり「定期昇給はいまどき時代遅れだ」などと、昇給ルールを廃止したりすれば、将来に不安を感じた優秀で見込みのある社員から辞めていくということにもなりかねない。

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