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Chapter8上手な褒め方、叱り方

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叱られたことが原因でアルバイトは辞めない

最近は叱られたことがない若者が多く、彼らを叱るとすぐに辞めてしまうため、なかなか叱れない上司が増えたそうです。私の経験では、叱られたことが原因で辞めてしまったという話は聞いたことがありません。

社員もアルバイトスタッフも両方です。そもそも、叱れない上司など管理職の役割を果たしていないといっても過言ではないでしょう。

それでは、なぜ叱られたせいで辞めてしまうと考える人がいるのか?ここに大きな勘違いがあるのです。社員でもアルバイトスタッフでも、叱られたせいで辞めてしまったのではありません。良好な人間関係を構築できなかったから辞めてしまったのです。

日頃から相手のことを考えず、良好な関係を築けていないことが原因なのです。叱り方を考える前に、叱ることができる環境づくりを日頃から意識することが大切です。

日頃から愛情をもって相手と付き合っていれば、感情的に叱りすぎても大丈夫なものです。すべては日頃の愛情を感じる環境なのです。

そこで、どう叱るかよりも、誰に叱られるかが重要となります。私の会社では、「こんなことがあったから、○○さんをきつく注意しておいて」という会話がよくあります。誰が誰を叱るという役割がしっかり決まっているのです。

人間関係が構築できていない人を叱ることは、辞めてしまうことにつながります。そのためにも、叱る役割の人は叱ることができる人間関係を常日頃から構築しておかなくてはいけないのです。

これができていれば、叱り方はさほど意識しなくても大丈夫です。叱り方以上に大切なのは、誰に叱られるかということです。

叱り方を考える前に、叱ることのできる人間関係を築けるように、日頃から愛情のあるコミュニケーションをとっていかなければなりません。

◆ときには「怒る」ように感情を乗せて叱る

恥ずかしながら、私は叱るのが下手です。すぐに感情的になってしまうのです。「叱る」と「怒る」の違いを聞いたことがあると思いますが、私の場合は「怒る」になってしまうのです。

しかし、直すつもりはありません。開き直っているわけでもありません。何かを伝えたいときは、感情を乗せて話すことが大事だと思っているからです。

うれしいことも悲しいことも、愛情や感謝の気持ちも、人に何かを伝える際には感情を乗せて話す方が絶対に伝わりやすいのです。

私は滑舌が悪く、学生時代はよく馬鹿にされたものです。頻繁に、言葉もかみます。ら行を発音するのも苦手です。舌が短く、話すことにコンプレックスがあるのです。

それでも人前で話すことも多いので逃げることはできません。しかし、こんな私でも話し方を褒めていただけることもあります。言葉に感情が乗っているからだそうです。

今では、言葉に感情を乗せて話すことを心がけています。「怒る」ことを勧めるつもりはありませんが、私のように「叱る」ことが苦手な人もあまり気にしなくて良いのではと思います。

叱らない職場に、一生懸命働く人はいない

アルバイトスタッフの叱り方で、社員の叱り方と大きく違う点があります。一般的に部下を叱るときには、人前を避けるというのがセオリーです。

確かに、社員であれば、彼らのプライドを傷つけないように配慮することも大切かもしれません。しかし、アルバイトスタッフを叱る場合は違います。

必ず人前で叱るよう意識してください。彼らにも当然プライドはありますが、アルバイトスタッフの方が社員と比べて叱られることに対するストレス耐性が強いと私は思います。

プロ意識の高い優秀なアルバイトスタッフの場合は、社員同様の配慮が必要ですが、一般的なアルバイトスタッフの場合は良くも悪くもプロ意識が低く、仕事に対するプライドは社員ほど高くはありません。

アルバイトスタッフの場合は、それ以上に意識しなくてはいけないことがあります。まわりへの影響です。私がこの業界に入って一番驚いたのが、先ほども問題に上がった叱らない環境でした。

これは決して最近に限った特徴ではないと思います。叱ることで辞めてしまうのが怖いのでしょう。しかし、アルバイトスタッフがいる組織の中では、叱ることが絶対に必要です。

一生懸命に働く真面目な人が悔しい思いをするような馬鹿げた環境をつくってはいけないからです。アルバイトの世界には多種多様な人がいます。

私はフリーターのときに、一緒に働くアルバイトスタッフがサボる姿をよく目にしていました。なるべく楽をして、お金をもらおうとする人は少なくありません。

では、自分の行動はどうだったのかと聞かれると、人のせいになってしまうのですが、その当時に働いていた会社の環境次第で大きく変わっていました。

サボるアルバイトスタッフに対して、その会社が叱ることも注意することもあまりない場合、真面目に働くことが馬鹿らしいので、私もサボっていました。

今では申し訳なく思っていますが、ある通信会社で営業のアルバイトをしていたときは、外回りの営業中にもかかわらず、朝から晩まで遊びほうけていたことさえあります。

しかし、別の会社での営業のアルバイトをしていたときには、結果を求めて必死に働き、アルバイトという立場でありながら、その会社の社員も含めた全国の営業150人のなかで1番の成績で表彰されたこともあります。

遊び続けた営業も表彰された営業も、両方とも同じ営業職であり、販売商材も一緒、働いていたときの年齢も同じでした。かたや遊びまくりのダメ営業マン、かたやトップセールスマン。

いったい何が違ったのでしょうか?それこそが環境の違いなのです。アルバイトスタッフがモチベーションを高く働ける環境づくりによって、結果が大きく変わるのです。

その重要な要素の1つが、叱ることのできる環境だと私は思います。勘違いしてほしくないのが、叱られるから働くのではないということです。

自分が叱られてしまうから一生懸命働こうなどという恐怖政治は、アルバイトスタッフにとっても会社にとっても良い環境であるはずはありません。

叱ることのできる環境は、一生懸命働いている人たちのために重要なのです。ルールを守らなくても不真面目でも叱られることがなく、真面目に仕事をしている人が損をする印象があると、彼らのモチベーションを下げてしまうことになります。

それを防ぐためにも、叱られているところを見せることが大切なのです。ですから、叱ることを避けては絶対にいけないのです。見せしめではないかと言われてしまうかもしれませんが、見せしめでも構いません。

◆叱る基準と理由をはっきりさせる

しかし、1つだけ絶対に守らなくてはいけないのは、叱る基準と理由をはっきりさせることです。なぜなら、叱られる側が「あぁ、叱られてしまう……」と事前にわかるようにすることが大事だからです。

「なんでこんなことで叱られるのだろう?」と不満に感じるのは、会社とアルバイトスタッフが価値観を共有できていないからです。叱ることのできる関係を構築すると同時に、はっきりとした叱る基準を事前に周知させなければなりません。

私の場合は、遅刻と一生懸命さという基準を設けています。わかりやすい例が遅刻です。すべての遅刻をNGとしているわけではなく、連絡のない遅刻と連絡の遅い遅刻は叱ります。

もちろん、理由が利己的なものは論外です。この基準は会社のルールとしてはっきりと設けています。具体的には、遅刻するかもしれないという時点で連絡を入れる、何分遅刻するのかを伝える。

以上、2点だけの非常に簡単なものです。しかし、この簡単なことが守れないと、場合によっては罰金を課します。遅刻がなぜ駄目なのか。その理由は人に迷惑をかけるからです。

いくら遅刻したって人に迷惑をかけることがないなら叱りはしません。しかし、誰かを待たせている時点で、人に迷惑をかけてしまっています。

だから遅刻は駄目なのです。特に我々の業界では、遅刻が大きな問題になることもあるのです。時間を守るという基本的なことは、ルールを守るという会社の風土を作る上で非常に重要です。

そのため厳しく指導しています。明確な基準をはっきりとさせておけば、叱ることに問題はありません。叱り方も重要ではありません。

その代わり、明確な基準がはっきりとしていない場合には、絶対に人前では叱ってはいけません。日頃から叱る準備をしておくことが大切です。

また、人前で叱ることで、何が間違っていたのかをまわりと共有するメリットもあります。そのためにも、意識的に人前で叱ることには大きな意味があるのです。

もちろん、叱られる相手のことを考えた叱り方も軽視できませんが、叱り方は下手でも構いません。まずは叱ること、これが絶対に大切です。

叱るときは、3つのルールを守りなさい

私は叱るときには次の3つのルールを守るようにしています。これは社員に対してもアルバイトスタッフに対しても同じく当てはまることだと思うので、参考にしてみてください。

◆理由の説明

なぜ叱るのか、その理由をしっかり説明します。論理的に説明しようとすることで、意外と冷静になれます。しかしここで一番重要なことは、「人柄」を責めるのではなく、起こってしまった「事柄」を責めることです。

感情的になると、その人柄を叱ってしまう恐れがありますが、具体的な事実に沿って説明しながら叱ることで、何を叱るべきかを見失わないですみます。

叱る方と叱られる方、双方にとって良いのです。「人柄」ではなく「事柄」を叱る意識が大切なのです。

◆アドバイス

何のためにあなたは叱っているのでしょうか。成長してほしいという愛情から叱っているはずです。しかし、私のように感情的になっているときは、この目的を忘れてしまいそうになることもあります。

そこで、必ず叱るときの約束として、1つで良いのでアドバイスをするように心がけてください。具体的なアドバイスをするためには、具体的な事実をしっかり考える必要があります。

何を叱るかということからも外れないで済みます。そして何よりも、アドバイスという行為から、みなさんの愛情を感じることができるからです。

愛情のない相手にアドバイスなどしないことは、冷静になれば誰でもわかるものです。愛情があるからこそ叱っているんだということに気づいてもらうためには、アドバイスをすることが大切です。

◆フォロー

最後に基本的ではありますが、フォローが重要です。そして意識してほしいのは、アフターフォローではなく、叱っている最中からフォローすることです。一言で構わないので、必ず褒めてあげてください。

どんな失敗でも、見方を変えれば良い部分が必ずあります。そこを無理矢理でも良いので褒めましょう。話を聞いてみて、前向きな失敗であれば、褒める方向に話が変わることもあります。

後ろ向きであったとしても、どこかに褒められる要素があるものです。起きたことやそのときの心情に褒める要素がなくても、今の心情に変化があれば、十分褒める要素になります。

それもなければ、もっと過去にさかのぼれば良いのです。褒める場合には、叱ることとは違い、その「人柄」を褒めることが許されますので、人にフォーカスすれば必ず何かが見つかります。

どんなに感情的になってしまっても、褒める一言で印象が変わることを忘れないでください。そこから愛情を感じることができるのです。

結局、叱るにしても怒るにしても、あなたに愛情があるのかどうかは必ず相手に伝わります。愛情を感じることもなく、上司として尊敬することもなければ、アルバイトスタッフは簡単に辞めてしまうでしょう。

これまでアルバイトスタッフを見極める話をしてきましたが、彼らもあなたを上司として常に見極めようとしています。特に叱る場面では、上司としての資質が顕著に現れます。

見くびられることを恐れて、叱ることのない上司は管理者として失格です。

影響力のある褒め方をする

みなさんは、「ほめ達!」検定をご存知ですか?一般社団法人日本ほめる達人協会理事の西村貴好さんが、褒める力を養うために行なっている検定です。

ちなみに私の会社の社員は全員、ほめ達3級です。私もたくさんのアルバイトスタッフと接してきて、本当に褒めることの大切さを感じています。

特に20代の若者は承認欲求が非常に強い。認められたい、褒められたいという気持ちが非常に強いのです。

上司だけではなく、同僚、仲間、お客さま、承認されたいという対象はバラバラですが、誰かに認めてもらいたい、褒めてもらいたいと強く思っているのです。

よく「まわりなんか関係ない」と生意気を言っている若者もいますが、そういう若者の方が間違いなく承認欲求が強いのです。若い頃の私が良い例です。

20代の頃は、フリーターということで、社会から認めてもらっていない気持ちから、社会に反発心を持っていました。そのため、「まわりなんか関係ない、別に評価なんかされなくて良い」なんてよく言っていたものです。

認めてくれない社会への反発心にすぎないのです。個人に対しても同じです。自分を認めてくれない人に対しては、関係ないと言って、反発しているだけなのです。

しかし、自分の好きな人、尊敬する人から褒めてもらえたときは、本当にうれしく、そのためにも頑張ったものです。反発してしまう人間関係は、双方にとって大きなマイナスです。

そのためにも、日頃から褒めることを意識した関係が大切なのです。ほめ達の西村さんの言葉をお借りすると、相手の価値を日頃から見つけてあげるのが重要なのです。

アルバイト教育では人前で褒めることと、人影で褒めることを使い分ける必要があります。ここは慎重に判断するのが大切です。

褒められればモチベーションが上がるのは当然ですが、一方で、そのまわりにモチベーションを下げてしまう人がいるかもしれないのを忘れてはいけません。

「私の方が頑張っているのに……」と思われ、誰かを人前で褒めることが逆効果になってしまうのです。そのためにも、個人的な評価のうち基準の曖昧な「頑張り」みたいなものは、人前で褒めることは避けた方が無難です。

はっきりした「数字」や「行動」のような明確な判断や、ここを見習ってほしいというような価値観を共有させたい内容に関して、人前で褒めることが効果的です。

コツとしては、叱ることと似ているのですが、具体的な「事柄」を褒めるのは人前が有効で、「人柄」を褒めるときは慎重にまわりを見なくてはいけません。

「人柄」を褒める場合は人前を避けたほうが無難です。妬みをつくるきっかけになってしまうことがあるからです。

褒めることがマイナスの結果を生み出してしまうことも考えると、人前で褒めるのが有効である「事柄」について褒めるようにすることをお勧めします。

そのためにも、なるべく具体的な行動にフォーカスをして、価値を探してあげましょう。

◆「らしいね」で拍車をかける

直接アルバイトスタッフとやりとりしなくても、「褒める」ために重要な作業があります。誰かが誰かを褒めていることに、重ねて褒めることです。

人に任せるようになってから、私が直接アルバイトスタッフと接する機会がかなり減りました。社員やディレクターが、アルバイトスタッフとのやりとりを直接しているからです。

それでは、なかなか褒める機会もありません。しかし、私のような立場の人間でも効果的に使える、褒める技があります。「らしいね」という言葉です。「最近、頑張っているらしいね!」のように使います。

日常の会話や電話、日報から聞こえてくる情報に聞き耳をたてて、「らしいね」を使って褒めるのです。人づてに聞いていると思わせることで、自分のいないところで良い噂が広がっているように思わせるのです。

実際に私に聞こえてくる場合は、良い噂になっていることが多くあります。あえてもっと大きな噂になっているのではないかと期待させることに、効果があるのです。

あまり会話もない上司などから、いきなり「最近頑張っているらしいね」なんて言われたらうれしくないですか?自分の上司が様々なところで、自分のことを褒めてくれているのが想像できませんか?このように喜びに拍車をかけることになるのです。

叱る場合も褒める場合も、人前でその人を評価することで、まわりで聞いている人がどう感じるかを考えることが重要だということです。

どちらも対象者のモチベーションだけを考えがちになりますが、同じ行動でもまわりの人に与える影響を考えて、効率良く環境をつくるのです。

自分の1つの行動を、対象者1人だけへの影響だけではなく、少しでも多くの人への影響力と考えることで、より効果的な教育になります。

◆褒める仕組みをつくる

褒めることが大切なのはわかっていても、なかなか実行に移せない人も多いと思います。照れくさかったり、その人のキャラクターだったり、いろいろあるとは思いますが、褒める習慣がない組織は絶対に良くありません。

そこで、「褒める仕組み」をつくることをお勧めします。みなさんの組織の中に、「褒める」を強制することを仕組み化してしまうのです。

仕組みによっては、みなさんが褒める必要もありません。大切なのは「褒める仕組み」が社内にあるだけで、環境が大きく変わることです。誰が誰を褒めるということは重要ではないのです。

例えば、お客様の声を貼り出すのもいいかもしれません。私の会社では、うれしいお客様からの声をもらったときは、必ずメールか口頭どちらでも良いので、全社と共有することが義務づけられています。

前述したアンケートも「褒める仕組み」に一役買っています。アンケートに書かれている褒め言葉は必ずアルバイトスタッフへ伝えることが義務付けられています。

義務というと、少し違和感があるかもしれませんが、お客様からでも、同僚からでも、上司からでも、良い評価を伝えないのは管理者の怠慢でしかないと思います。

本来は伝えなくてはいけない大切な情報だからです。そういう意味でも、良いことは義務づけて良いのです。

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