はじめに
この本の初版が出版された2012年から現在までの7年間で、アルバイトスタッフの雇用環境は大きく変わりました。ここ数年、人手不足が深刻ということが言われていますが、この傾向は当分変わることがないでしょう。
そのような中、私の会社グッドウェーブプロモーションは、この7年の間にイベントプロモーション事業だけではなく、フィットネス事業や飲食事業、海外事業など、アルバイトスタッフの活躍により、順調に事業を拡げてくることが出来ました。
本書では、その経験と実績を基に実戦的な内容で、アルバイトスタッフと一緒に事業を成長・拡大するポイントを述べていきます。さて、今では経営者側である私も、実は30歳までフリーターでした。そして、色々な会社でアルバイトをしてきました。
みなさんが想像している以上に、アルバイトスタッフの働く環境は厳しいのが実情です。彼らを使い捨てにしているような会社もまだまだあります。
しかし、私も現在は会社の役員として働いているので、経営していく上で、その実情も深く理解できます。だからこそ、小さな気遣いや手間だけで、アルバイトスタッフが「この会社は自分たちを大切に扱ってくれる」と思えるような環境をつくり、他の会社との差をつけることができるのです。
その気遣いやコツを本書でお伝えします。その気遣いで離職率が下がり、アルバイトスタッフの質も上がるはずです。多くの企業や店舗運営には、ディズニーランドのように、アルバイトスタッフがワクワクするような環境や、素晴らしい教育ノウハウはありません。
彼らにまで教育をしていく時間や予算も当然ありません。そこで、時間も予算もない企業や店舗では、「効率的」な教育というものが重要になります。
そこで、まず必要なのが人を集める技術です。教育をしたくとも、そもそも人が集まらないとお困りの会社も多いと思います。
求人競争が過熱する中、いかに効率的に多くの人材を集めることが出来るかは、どの会社にも必須の大きな課題になっています。最近では、人材が集まらず、店舗や会社を閉鎖せざるえなくなったという話も、珍しい話ではなくなってしまいました。
そこで本書では、私が現在も実践している求人ノウハウを追記させていただきました。次に大切なのは面接ノウハウ。つまり見極める力です。面接の段階から優秀な人材を見極める力をつけて、少しでも無駄な労力とお金をかけないようにすることです。
人手が足りないとか、条件が合っているといった理由だけでとりあえず採用することをやめて、少しだけで良いので、今あるあなたの会社の採用フィルターに新たなフィルターをかけ、面接の段階で素質を見極めることから始めてください。
そして、研修の段階で、さらに優秀なアルバイトスタッフを選別し、集中的に教育を進めていきます。また、現在あなたの会社に在籍しているアルバイトスタッフを育てようということであれば、評価基準を変えていく必要があるかもしれません。
そもそも、アルバイトに評価や昇進を考えていない企業は多いですが、可能であれば昇給も含めて正しい評価を行うことで、アルバイトスタッフのモチベーションも当然上がります。
また、仕事は抜群にできるのに、まわりの面倒を見ないという社員が、あなたの会社にもいるのではないでしょうか。
アルバイトスタッフを評価する仕組みを取り入れることで、その社員自身が相手に興味を持ち、マネジメント能力も上がっていきます。その社員がアルバイトスタッフを育てることができれば、さらにアルバイトスタッフがアルバイトスタッフを育てる環境に変わっていくのです。
マネジメントノウハウは伝染するように、拡がっていくのです。ここで大切なのは、そのアルバイトスタッフの能力ではなく、潜在的に持っている責任感と素直さを見抜き、そこを評価した上で集中的な教育をしていくことです。
アルバイトスタッフには、責任感と素直さが絶対の武器となります。おそらく、彼ら全員に教育を進めていくとなると、能力にもやる気にも大きな個人差があるので、なかなかうまくいきません。ここが社員教育との大きな違いになります。
全体に対する教育は行いつつも、良い人材を選抜して育てていくことが、実は大切なのです。現在、当社は大手企業のセールスプロモーションにおけるイベントやキャンペーンの制作・運営を行うイベント会社を主軸に、フィットネス事業、飲食事業、ホワイトニング事業、リラクゼーション事業と多岐に渡る事業展開を、日本のみならず海外でも展開させていただいております。
本書が出版された時には10名程度だった社員数も、今年には200名を超える勢いです。当初はイベント会社での人材派遣事業に将来的な不安を感じて多角化を行ってきましたが、実のところ新規事業は成長しているのに対し、人材派遣事業の成長に未だ追いつくことができていません。
人材派遣事業は成長が止まるどころか、益々成長をして売上も伸びているのです。むしろ、人材派遣事業で養ってきたアルバイトマネジメントのノウハウがあったからこそ、新規事業の成功の要因だとも言えるのです。
社員が増えていく過程で実感しているのは、アルバイトマネジメントができるスキルがあれば、社員マネジメントは難しくはないということ。もちろん、会社をやっている限り、人に関する悩みが消えることはありませんが、それでもアルバイトマネジメントに意識のある社員の成長は、圧倒的に成長が早いのです。当社の新規事業にタピオカジュース専門店の「CoCo都可」があります。台湾発祥のブランドで世界に2500店舗を展開しているのですが、日本未上陸の昨年に渋谷センター街に1号店をオープン。現在、原宿、下北沢でもオープンして、今年中には10店舗を出店予定のお店です。
実は、その1号店の渋谷センター街店には、つい最近まで店長がいませんでした。つまり、社員不在で「アルバイトだけでまわるチーム」がお店をまわしていたのです。渋谷センター街店は決して暇なお店ではありません。お客様に支えられ、オープン当初より行列が絶えず、今では5坪の店舗で年間1億円の売上を超える繁盛店です。
その繁盛店をアルバイトスタッフだけで運営してこられたのは、人材派遣で育てたノウハウが活きているからです。イベントプロモーション事業部では、現在も多くのアルバイトスタッフが活躍しています。電通、ADK、小田急エージェーンシーをはじめとする大手代理店から、コカ・コーラ、ゼスプリ、バンダイナムコ、ドールなど多数の企業がクライアントです。
クライアント主催のイベントや運営する店舗で、我々社員の代わりにお客様をもてなし、時にはプロモーションの最前線に立ってセールスをするのが彼らの仕事です。無責任と思われるかもしれませんが、我々が現場に常駐せずに彼らに仕事を任せるというのは、同時期に多くの現場を抱えるイベント業界では珍しいことではありません。
ディレクターと呼ばれるアルバイトスタッフが、同じアルバイトスタッフを管理しながら現場を運営するのです。派遣法や請負における指示系統に問題がないことが前提になりますが、「アルバイトだけでまわるチーム」が大切なお客様の仕事を請け負うのです。
つまり私の会社では、仕事を任せられる優秀なアルバイトスタッフが大きな責任を背負い、会社の責任者、時にはクライアント企業の顔として現場に向かうのです。
イベント会社なので、華やかで、ディズニーランドと同じようにアルバイトスタッフが楽しく仕事ができるのではないかと思われるかもしれません。
確かに、芸能人に会えるような華やかな仕事もあります。しかしながら、ほとんどの仕事は、裏方での肉体労働や街頭でのサンプリングのような屋外作業が多く、一般的なアルバイトよりも体力的にきつい仕事が圧倒的に多いのです。
また単発的な仕事が多いため、同じ場所、同じ人、同じ時間で働くことがあまりなく、常に緊張感があり、精神的負担やプレッシャーが大きいのも事実です。
楽しいアルバイトとは決して呼べるものではなく、数あるアルバイトの中でも条件的に厳しい方だと思います。そのような環境なので、この業界ではアルバイトスタッフが長続きせずに辞めていくという会社も多く、彼らを使い捨てにしていることが多いのです。
私たちはアルバイトスタッフが少しでも長く、そしてやりがいをもって働いてくれる環境づくりにこだわっています。私の会社で働いたら、「他の会社では働きたくなくなる」と言ってもらえるようにしなければならないと考えています。
働く環境は厳しくても、アルバイトスタッフのモチベーションを上げて、いきいきと働ける環境をつくることが我々の価値なのです。私の会社が培ってきた、優秀なアルバイトスタッフを採用の段階から見極め育てていくノウハウを使い、ぜひみなさんの会社でも優秀なアルバイトスタッフを育ててください。
30歳までフリーターだった私のような人間でも、わかりやすいと感じてもらえるように、難しい専門用語や言い回しは極力避けています。
みなさんが本書を読み終えたら、みなさんが信頼できるアルバイトスタッフに、この本を渡してもらい、そのノウハウを彼らにも伝えてもらえたらと思います。そこではじめて、「アルバイトだけでまわるチーム」ができるのです。人は必ず成長します。
みなさんの会社で働くアルバイトスタッフも必ず成長します。あなたの会社で働くアルバイトスタッフと真剣に向き合い、彼らのことを真剣に考えてみてください。
間違いなく、その期待に応える責任感のあるアルバイトスタッフが現れて、あなたにとって、かけがえのないパートナーになることでしょう。素敵な出会いがあることを期待しています。そして、本書が、そのきっかけになれば幸いです。
CONTENTS
はじめに
Chapter1アルバイトだけでまわるチームとは?
指導者を見出せ
優秀な指導者とは
アルバイトスタッフ活用のメリット ①低コストオペレーション/②ミスマッチのない正社員採用/③教えることで社員が成長する/④将来の仕事につながる人脈となる
95%の仕事がキャンセルになっても倒産を免れる
責任とリスク
理想のアルバイト像「アルバイトだけでまわるチーム」をつくる手順
Chapter2優秀なアルバイトを集める7つの募集のコツ
採用原稿は自分で作る
ライバル情報をチェックする
あなたの会社・お店の強みは何か?
サムネイルの注意点
ターゲットの考え方は、一般広告と一緒
数値化できるPDCAサイクルを習慣化する
紹介制度を活用する
Chapter3優秀なアルバイトを見極める、7つの理論と2つの質問
お勧めは「加点方式」と「人物評価」
間違った人を採らない面接 ①名前理論/②誕プレ理論/③親の職業理論/④一人暮らし理論/⑤ビジュアル系理論⑥メアド理論/⑦趣味・特技理論/質問1「あなたの人生は今までツイていましたか?」/質問2「今までの仕事での一番の失敗を教えてください」
面接でのチェック項目
面接も差別化を図ること
今どきの若者の仕事観
Chapter4優秀なアルバイトを育てるトレーニング
トレーニングが良い仕事を引き出す
研修でアルバイトのやる気とスキルをアップする 研修時間は小分けにする/研修は2次面接の場
アルバイトのコミュニケーション能力を鍛える
教える立場から学ばせる
仕事への「想い」を語ること
アルバイトのための目標のつくり方
「褒める」ワーク ①ビジュアルを褒めるタイプ/②言動にフォーカスして褒めるタイプ/③褒める+感謝の気持ちを伝えるタイプ
名刺・秘密・責任を与える 名刺を与える/秘密を与える/責任を与える
最初から優秀すぎるアルバイトは、80%の確率ですぐ辞める
Chapter5アルバイトだけでもまわるマネジメント
アルバイト・マネジメントとは 「作業内容」をマネジメントする/「働く環境」をマネジメントする
アルバイトの面談
シフト管理がうまくいかない シフトの提出方法/シフトの偏りをなくす/繁忙期にシフトを増やしてもらうには/急なキャンセル、無責任な欠勤の防ぎ方
仕事のマニュアルは、アルバイトスタッフにつくらせる
外国人アルバイトをマネジメントする
Chapter6優秀なスタッフを育てるコミュニケーション術
コミュニケーションツールの使い方 電話術/SNSの活用
「今日の仕事どうだった?」 「今日の仕事を自己評価してみてください」/成功体験を語らせる
「自分のおかげ」と「他人のせい」を使い分ける 自分の気遣いをしっかり印象づける/不都合なことは、会社または上司のせいにする
アルバイトスタッフ同士の関係を把握する
360度評価を取り入れる アンケート内容/ネガティブなことをこちらから聞かない/特定の人を評価しない
表彰式を開催する
「アルバイト」「フリーター」と呼ばない
Chapter7アルバイトがイキイキ動く指示の出し方
アルバイトは所詮アルバイト
男女別にコミュニケーションを使い分ける
「とりあえずやっておいて」では通じない 自分が納得してから指示をする
指示と一緒に期待を添える
スタッフのレベルで変わる指示の出し方 第1段階(新人スタッフ)/第2段階(ベテランスタッフ)/第3段階(新人ディレクター)/第4段階(ベテランディレクター)
伝達ミスをなくす方法
指示が上手な人の共通点
Chapter8上手な褒め方、叱り方
叱られたことが原因でアルバイトは辞めない ときには「怒る」ように感情を乗せて叱る
叱らない職場に、一生懸命働く人はいない 叱る基準と理由をはっきりさせる
叱るときは、3つのルールを守りなさい 理由の説明/アドバイス/フォロー
影響力のある褒め方をする 「らしいね」で拍車をかける/褒める仕組みをつくる
Chapter9優秀なアルバイトを社員にする方法
中小・ベンチャー企業は、社員はアルバイトから採れ
それでもミスマッチは起きる ①適性検査ツールによるマッチング/②有期雇用期間を設ける
夢やビジョンを語る
将来の仕事につながる人脈になる
おわりに
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