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06行動指針をもち、優先順位をはっきりさせる

目次

「行動指針」は飾りじゃない!

先輩や上司がミッションを理解し、後輩に伝えると、後輩は、ミッションを実現するために行動することになります。

その際、どのように行動すべきかを示す「行動指針」があれば、ミッション実現のためにより効果的な行動をとることができます。

「行動指針」というとむずかしく考えがちですが、平たくいえば「仕事を進めるうえで忘れてはならないこと」です。

たとえば、「迅速性」とか「確実性」とか、いろいろなフレーズが考えられます。

なかには「うちには行動指針がない」というケースがあるかもしれません。

そういう場合は、創業者はどういう思いを抱いて会社を創設したのか、あるいは社長はどのように行動をしているかといったことを参考にするのもよいでしょう。

しかし、いちばんよいのは、やはり明確な行動指針をつくっておくことです。

たとえば、ディズニーでは行動指針として、安全性(Safety)、礼儀正しさ(Courtesy)、ショー(Show)、効率(Efficiency)の4つ(以下、4つをまとめて「SCSE」といいます)を設けています。

行動指針があれば「迷い」がなくなる

行動指針があっても、優先順位がはっきりしていないと、仕事の効率や生産に悪影響を与えたり、会社のイメージを著しく損なうことがあります。

というのも、たとえば行動指針にうたわれている「迅速性」と「確実性」のいずれかを選択しなければならないようなケースが必ず出てくるからです。

優先順位がはっきりしていないと、後輩たちも当惑します。

そのため、同じ社員でも、あるときは「迅速性」を優先する、またあるときは「確実性」を優先するというように、行動にバラツキが出てしまいます。

また、社員によって優先順位が異なるというケースも出てくるでしょう。

このような場合、仕事の流れが悪くなったり、クオリティを低下させることが予想されます。

また、それが、お客さまとの対応のなかで出てしまうと、お客さまを混乱させ、お客さま離れの一因となる可能性があります。

そのようなことを避けるためにも、優先順位をはっきりさせておくことが非常に大切なのです。

理由については次項でふれますが、ディズニーの行動指針の優先順位は、次のとおりです。

  1. 安全性(Safety)
  2. 礼儀正しさ(Courtesy)
  3. ショー(Show)
  4. 効率(Efficiency)

ディズニーの行動指針は、御社にも活用できる

ディズニーの行動指針は、実は、どのような業種・業態の会社や組織でも十分活用できるものです。

ここで取り上げている事例などはディズニーに関するものですが、行動指針そのものや、その考え方については、あなたの会社に置き換えてもスムーズに受け止めることができるはずです。

特に、現在、行動指針がないという会社・組織の上司・先輩は大いに参考となるでしょう。

それでは、ディズニーの行動指針──SCSEについて、優先順位に従って、その基本的な内容についてご紹介していきましょう。

①安全性──当たり前のこととして常に安全に目を配る安全性は、SCSEのなかでも、いちばん優先順位が高くなっています。

というのも、安全性が保たれてはじめて、ゲストはパークを楽しむことができるし、キャストも最高のショーを提供することができるからです。

安全性は保たれていて当たり前──つまり、それだけ重要だと、ディズニーでは考えられています。

たとえば、家族や友人との旅行中、誰か1人でも病気になったりケガをしたりすると、楽しい気持ちが一転、悲しい気持ちになってしまうものです。

そういうことがないよう、ゲストに常にハピネスを感じてもらうために、キャストは、何より安全に対して目配りをすることが求められているのです。

また、キャストとゲストの触れ合いのなかにも、安全を優先させることがルールとして決められています。

すなわち「危険な状態に出合ったり、危険だなと感じたときは、そのままにせず、すぐに対応する」ことが求められます。

たとえば、柵に登ろうとしている子どもがいれば、「あぶないな……。落ちてケガをするかも……ボク、降りてもらっていいかな」「ここ、登っちゃいけないんだよね」というように声をかける、そういう行動を起こしましょうということです。

安全を最優先するという考え方は、どの業種・業態であれ、共通しているはずです。

上司・先輩は、安全を優先する考え方が後輩に浸透し守られているか、常に見ている必要があります。

②礼儀正しさ──「すべてのゲストはVIPである」と考え対応する当たり前のこととしてパークが安全であること。

次は、そこにゲストをお迎えするということになります。

そこで、どのようにゲストをお迎えするか、ゲストとどう触れ合うかが、ディズニーの優先順位の2番目の行動指針として定められています。

ディズニーには「すべてのゲストがVIPである」という理念があります。

つまり、VIPに対するように、すべてのゲストに対して礼儀正しく接する、それも、単なる礼儀正しさではなく「親しみのある礼儀正しさをもつ」ことが、「安全」に続くディズニーの行動指針です。

具体的には、次の3つを実行することが求められます。

①笑顔②挨拶③アイ・コンタクト(相手の目を見て対応する)そして、「ゲストの望みに応える」「相手の立場に立って考え、行動する」ということも大切になります。

たとえば、ゲストの記念写真を撮ってあげる、ゲストが重い荷物をもっていれば、もってあげるなど、キャスト自ら声をかけ、ゲストの望みをかなえるために、ゲストの負担を少しでも軽減するために行動しようということです。

③ショー──ディズニールックを守り、私的なことを仕事にもち込まないディズニーでは、パーク内を「オンステージ」と呼びます。

そこは、まさに、ゲストに素晴らしい体験をしていただく表舞台だからです。

そして、ディズニーでは、オンステージのすべてが「ショー」であるととらえています。

オンステージで働くアルバイトは、アトラクションの出演者はもちろん、ショップで働く人も、清掃を担当する人も、すべてショーの出演者です。

ですから、ディズニーでは、アルバイトのことを「キャスト」と呼ぶのです。

キャストであれば、当然きちんとコスチュームを着る、ゲストを不快にしないよう身だしなみを整えることが求められます。

その基準は「ディズニールック」として規定されており、キャストは必ずディズニールックを守らなくてはなりません。

もうひとつは「オンステージとオンステージ外(私生活も含みます)のスイッチをちゃんと切り換えよう」ということです。

たとえば、プライベートな問題を、オンステージにもち込まない。

ちゃんと気持ちを切り換えようということです。

同時に、オンステージ外であっても、オンステージの状態を維持しなければならないケースがあることを自覚しなければなりません。

たとえば、友人や家族からバックステージのことを聞かれたような場合は、今度パークに来られたときのことを考えて、夢をこわさないような対応をする必要があります。

④効率──チームワークを大切にし、ムダをはぶくことを常に心がける「効率」とは、もっとかみくだいていえば、ムダなことをせず、自分の役割を理解しきちんと果たそうということです。

同時に、次の2つを実践することが求められます。

ひとつは、「1人の力+1人の力=3人分の力」になるので「チームワークを大切にしよう」ということ。

もうひとつは、効率よくものごとが進行していない状況がある場合には、「どうすればそこから生じるムダ、ゲストの不満などをカバーできるかを考え行動しよう」ということです。

たとえば、人気アトラクションなどでは、長蛇の列で待ち時間が生じることがあります。

そんなときに並んでいるゲストの前でちょっとしたパフォーマンスをするなど、ゲストに少しでも待ち時間を短く感じてもらうような努力をしようということです。

第一に安全性、次に礼儀正しさ、それが実践されてはじめてショーが成り立つというのがディズニーの考え方です。

もちろん、効率も同様に大切ですが、効率は4番目ということになります。

このディズニーの行動指針を見て、「人間として基本的に身につけておくべき、ふつうのことではないか」と感じられた読者も多いのではないでしょうか。

むしろ、ディズニーの特長は、行動指針がそれこそアルバイト1人ひとりにまで、しっかりと根づいていることにあるのかもしれません。

たとえば、顧客によりよいサービスを提供しなければならないはずの会社の社員がコストの削減や効率を求めて暴走し、職場環境をこわしたり、ときには顧客に損害を与えるようなケースがあります。

その原因のひとつとして、行動指針がなかったか、あるいは上司・先輩が行動指針を正しく理解し、後輩にしっかりと伝えてこなかった──それがいつしか会社の風土となり、行動指針そのものが風化していたことがあげられるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、ディズニーで、ミッションや行動指針が、アルバイト1人ひとりにまで浸透しているのは、経営陣、また上司・先輩、同僚キャストが、繰り返しその重要性について確認し合う風土があるからです。

たとえば、導入研修でSCSEの基本をわかりやすく伝えてからも、その後の研修やトレーニングにおいても、それぞれの部門ごと、レベルに応じて、もっと詳細かつ具体的なSCSEを教えていきます。

ちなみに、ディズニーでは、行動指針とは別に、各シーンにおけるルールや手順などを定めたマニュアルが存在します。

当然、これらのマニュアルにも、SCSEが反映されています。

上司・先輩も、さまざまな機会をとらえて、それこそ口酸っぱく行動指針を後輩たちに伝えていくようにしましょう。

行動指針を後輩1人ひとりに根づかせるには、それが最大にして唯一の方法なのです。

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