ディズニーのトレーニングは「マンツーマン」が鉄則!
新人に対して職場業務のトレーニングを行うとき、職場規模にもよるでしょうが、「トレーナー1人対トレーニングを受ける新人数人」というケースが一般的です。
いうまでもなく、そのほうが時間的・人的コストを減らすことができると思われているからです。
しかし、ディズニーでは、あえて職場業務のトレーニングを「トレーナー1人対新人キャスト1人」で行います。
ディズニーの新人採用人数規模を考えると、信じられないかもしれませんが、ディズニーでは、この原則が貫かれています。
では、なぜ、ディズニーでは、このようなトレーニングのしくみを採用しているのでしょうか。
それは、次のようなメリットがあるからです。
ディズニー式「マンツーマン」トレーニングのメリット
[メリット1]親密な人間関係ができ、退職率が下がる
「1対1」の場合、当然、「1対複数」の場合よりも、お互いの人間関係が深まります。
また、トレーナーと新人キャストは、2~4日のトレーニング期間中ずっと一緒に行動するので、トレーナーがほかのキャストに、「今、トレーニング中の○○くんだ、オレの教え子だよ」といった調子で紹介してくれます。
ですから、トレーニング期間中に、どんどん顔見知りの先輩キャストが増えていきます。
また、トレーナーは、アルバイトのなかでもリーダー格なので、ほかのキャストたちは「オレが守っているんだ。仲良くしてくれ」というトレーナーの思いを感じ取ります。
一方、新人キャストは「守られている」という意識を持つので、安心して先輩キャストに接することができます。
このように、「1対1」によるトレーニングは、良好な人間関係を築くうえで大いにメリットがあります。さらに、人間関係がよいと、退職率が低下するメリットも出てきます。
[メリット2]より高いレベルの技術が身につく
「1対1」の場合は、当然、「1対複数」の場合よりも濃密なトレーニングを行うことができるので、新人キャストは、より高いレベルの作業がこなせるようになります。
当然、より高い作業レベルの仕事がこなせれば、新人キャストはそれだけ仕事に対して自信を持つことができます。
また、仕事に自信が持てると、[メリット1]のケース同様、退職率が下がります。
たとえば、同じ作業レベルに到達させるには「1対複数」の場合よりも「1対1」のほうが断然早い、つまり時間的コストが少なくてすむ、作業ミスも少ない、あるいは退職率が低ければそれだけ採用コストが抑えられることなどを考えれば、必ずしも「1対複数」のほうがコスト的に有利だとはいえないでしょう。
このような点も踏まえ、ディズニーでは「1人対1人」のトレーニングシステムを採用しているのです。
トレーニング・研修の成果を「最終テスト」で確認する
東京ディズニーランドの研修やトレーニングを終えたアルバイトに、「研修やトレーニングを受講して、よかったと思いますか」と質問すると、8割以上のアルバイトが「イエス」と回答します。
それは、ディズニーの研修やプログラムを受け、次図のような最後に実施されたテストに合格したからです。つまり、研修やトレーニングで習得した知識や技術がたしかに自分の身についていることを確認できたからです。ただ合格した後のフォローも大切です。
たとえば、ディズニーでは、テストに合格した新人キャストに手作りの〝修了証書〟を渡す職場もあります。
新人キャストは、最終テストに合格したことで自信がつき、さらにかたちにして力を証明してもらえれば、嬉しいのはもちろん、誇らしくもあるでしょう。
また、ディズニーでは、最終テストとは別に、トムソーヤ島いかだのトレーニングが全部終わると手作りの免許証がもらえたり、カストーディアルでは技術に応じた段位の示されたシールがもらえ、それを箒に張ったりすることができます。
このようなあまりお金がかからないユニークな方法でも、キャストに自信をつけさせることができます。
ところで、あなたの職場には、研修の最後にテストはありますか。
もし、なければ、
●作業技術・知識の最終確認をさせる(品質維持につながる)
●振り返りで学習促進を図り、自信をつけさせる(新人育成につながる)ためにも、最終テストを導入してはいかがでしょうか。
もちろん、そのことで、マネジメントリーダーとして安堵・安心を得る効果も期待できるはずです。
部下が自信を持つことのメリット
私が強調したいのは、研修やトレーニングは、単に作業をするための知識や技術を伝えるだけではなく、部下に自信をつけさせることも重要な狙いのひとつだということです。
マネジメントリーダーには、自社の研修やトレーニングがその狙いを確実に実現させるものであるかどうかをチェックすることが求められます。
研修やトレーニングによって、部下が自信を持つと、積極的に仕事に取り組むようになり、生産性も上がります。
さらに、研修やトレーニングをしてくれた組織や先輩たちに感謝する気持ちが生まれ、職場への愛着も生まれます。
その結果、繰り返しになりますが、退職率も下がります。
同時に、部下の成長はマネジメントリーダーであるあなた自身の成長につながります。
成長した優秀な部下に刺激されモチベーションがアップする、部下のユニークな提案に触れることで視野が広がるといった理由で、あなた自身も成長する可能性がグンと高くなるのです。
新人キャストを職場に配置するときの3つのポイント
ディズニーのマネジメントリーダーは、新人が職場でのトレーニングを終えた後もさまざまな配慮をします。
たとえば、新人キャストを各ポジションに配置する際も、トレーニングや研修でのキャストの状況や希望などを踏まえ、次の3つのポイントに配慮して配置を考えます。
[ポイント1]キャストの特性を活かす人には得手・不得手があります。
いきなり、不得手なポジションに就かせると、自信を失う可能性があります。
まず得意なポジションに配置し、だんだんと苦手なポジションに異動させます。
[ポイント2]ゲストから感謝の言葉がたくさんもらえる「ありがとう」という感謝の言葉をいただけるポジションに配置します。
ジャングルクルーズであれば、やはりスキッパーです。
寄港した後に、ゲストから感謝の言葉をかけられたり拍手をされたりすると、仕事に対する自信が生まれてきます。
また、ゲストに感謝されることによって、「もっとゲストに喜んでいただきたい」という気持ちになり、ホスピタリティマインドが成長していきます。
[ポイント3]近くに面倒見のいい先輩キャストがいる面倒見のいい、日頃から的確に仕事をこなしている先輩キャストの近くに配置します。
その先輩を見て新人は育ちます。
もし、自分のことしか考えない先輩や、いい加減な仕事をしそうな先輩の近くに配置されたらどうなるでしょうか。
新人が育つ人的環境を整えることもマネジメントリーダーには必要なことです。
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