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採用に強い会社は何をしているか——52の事例から読み解く採用の原理原則【オリジナル】

はじめに事業は人なり(松下幸之助、パナソニック)、価値の源泉は人(リクルートグループ)、モノづくりは人づくり(トヨタ自動車)など、多くの企業が「人」の重要性を謳っています。経営者・管理職を対象としたアンケート調査のほとんどにおいても、「人材・組織」は経営課題として上位にランクインする項目です。「人が大事」ということに対して、今さら異を唱える人はいないでしょう。しかし、経営課題として重要視されている「人材・組織」のスタート地点となる「採用」に対して、企業は満足のいく結果を出せているのでしょうか。マイナビが2018月11月に発表した「2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、内定者の質・量ともに満足している企業は27.5%にとどまっています。また、同社の「中途採用業務の実績調査」(2019年1月)においては、採用者の質に対して「満足/やや満足」と回答している企業は35.1%、量に対しては25.3%にとどまり、満足のいく採用を実現できている企業は少数派でした。これらの調査結果より、採用はその重要性を認識されながらも、思うような結果となっていない実情が垣間見えます。採用の成果を高める52の事例と原理原則採用に満足できている企業がこれほどまでに少ないのはなぜでしょうか。大前提として採用は人材獲得競争であり、そこには勝敗が存在するため、すべての企業が満足する結果にはなりづらいものではありますが、少なくとも「採用活動に関する知見不足」はその理由のひとつとして挙げられるでしょう。「他社はどのような創意工夫をしているのか」「採用にはどのような原理原則があるのか」を知らずして人材獲得競争に臨んでいる採用担当者とそうでない担当者とでは、もちろん勝率が違ってきます。そこで、本書では採用活動における多くの事例と原理原則を紹介・解説し、採用担当者の方々のサポートができればと考えています。

「出会う」「見立てる」「結ばれる」採用活動は、出会う、見立てる、結ばれるの3つのプロセスにより構成されます。採用活動は、「いい人」と出会えないことには始まりません。そこで第1章「出会う」では、自社に魅力を感じてもらうために必要な観点やメディア活用におけるコミュニケーションの手法、エージェント(人材紹介会社)経由の採用を成功に導く秘訣、リファラル(社員紹介採用)を活性化させる方法、スカウト採用の成否を分けるポイントなど、出会うためのコツを余すところなく紹介しています。また、出会った人が本当に「自社にマッチする人」かどうかを採用担当者は判断しなければなりません。そのために第2章「見立てる」では、採用選考において候補者一人ひとりが自社にとって本当に最良の人材なのかを見立てる方法を紹介します。また、その前提となる「正しい人材要件設計」について、理解を深めていただきます。最後に、第3章「結ばれる」では、売り手市場と比例するように内定辞退が増えている昨今、他社ではなく自社を選んでもらうために知っておきたいことや実施したいことを、内定辞退における「7つの失敗」をベースにお伝えします。採用に強い会社は、勝つべくして勝っている私は、リクルートのHRDivision(現リクルートキャリア)で「リクナビ」の学生向けプロモーションに関わったのち、リクルートメディアコミュニケーションズ(現リクルートコミュニケーションズ)で求人広告の制作ディレクターとして、求人メディアに掲載いただく大手・中小企業200社以上の採用を支援してきました。求める人物像を共に考え、自社の魅力とそれを裏付ける事実情報を明らかにし、ターゲットの心情に沿ったメッセージを書く。このプロセスを通じて「コミュニケーションで人を動かす技術」を学びました。

その後、リクルートメディアコミュニケーションズ、アマゾンジャパン、プライスウォーターハウスクーパース、LINEなどの企業で通算10年以上、自社の採用業務に携わっています。また、日本最大の人事向けメディア『日本の人事部』を運営するアイ・キューにも在籍し、多くの企業の採用事例や人事部の取り組みを知る機会に恵まれました。その中で確信したのは、採用活動において「たまたま勝つ」ことは稀であり、採用に強い企業は自社なりに試行錯誤し、「勝つべくして勝っている」ということでした。本書では、こうした採用に強い企業の事例や、彼らが大切にしている原理原則を紹介しています。これらが採用で悩む方々にとってのヒントとなり、世の中に「いい採用」が増え、いきいきと働ける人が増えていくことが、著者としての切なる願いです。なお、本書は学べる生放送コミュニケーションサービス「Schoo(スクー)」で好評いただいた、採用担当者向けの授業『採用競争力を高める採用コミュニケーションの原理原則(全4回)』の内容をベースに執筆しています。本書執筆のきっかけをいただいたスクーの皆様には、この場を借りて御礼を申し上げます。2019年3月青田努目次採用に強い会社は何をしているかはじめに目次第1章出会う「いい人」に出会える会社は何をしているか採用活動における4つの出会い方メディア経由での出会いを実現する9つの要素❶チャネルターゲットの視界に入っているか❷振り向かせ「自分のことだ」と感じてもらえているか❸拡散しやすさ人に伝えたくなる仕組みはあるか❹ベネフィットターゲットに提供できる価値は明確か

❻差別化他社にはない差別要素があるか❼不安払拭不安を想定し、先回りして対応できているか❽ウェルカム感応募を歓迎するムードがあるか❾負荷調整応募のハードルを無駄に高くしてないかエージェント採用に効く「ク・ス・リ」リファラルを成功に導く7つの取り組みスカウト文面に必要な5つの要素第2章見立てるミスマッチ採用を減らす選考設計のコツミスマッチ採用を生む「3つの問題」何を見立てるか「人材要件」は、「業務・カルチャー」と結びつけるどう見立てるか選考方法は、人材要件に適したものを選ぶ誰が見立てるか良い採用担当者の5つの素養第3章結ばれる内定辞退に至る「7つの失敗+1」内定辞退を引き起こす7つの要因1.仕掛けが遅い勝負は「内定前」から始まっている2.情報が浅い候補者を理解するうえで必要な4つの情報3.技術が拙いクロージングに必要な5要素「C・L・O・S・E」4.内定が軽いそこに「意味のある重み」はあるか5.スタンスが狡いポジティブトーク化を通じ、自社の魅力を見つめ直す6.戦略が粗い候補者の心情の流れをデザインする7.チームが弱い

担当者ごとの役割を明確にし、強化する+1.フォローが弱い内定応諾後に潜む3つの落とし穴最終章採用担当者に必要な技術と魂成長する会社に必要な採用担当者のマインドセットおわりに巻末特典『採用に強い会社は何をしているか』52のチェックリスト

採用活動における4つの出会い方「いい人」とどう出会うか?採用活動における出会いは、メディア、エージェント、リファラル、スカウトの4種類に大別できます。本章では、それぞれのポイントを解説していきますが、まずはその概要を説明しておきましょう。1メディア経由で出会うここで言う「メディア」には、リクナビなどに代表される求人メディアや企業独自の自社採用サイトだけでなく、採用イベント、SNS、交通広告やDMなども含みます。本章では、採用活動に利用できる14種類のメディア活用法について触れます。2エージェント経由で出会う本章では民間職業紹介にフォーカスして解説します(公共職業安定所、およびエグゼクティブサーチについては取り扱いません)。求人企業とエージェント(人材紹介会社)との関係性は、売り手市場においてはエージェント優位となります。そのため、彼らに協力してもらうため

のコミュニケーションが、より重要になってきます。そこでここでは、エージェント経由の採用で成否を分ける11の要素について解説します。3リファラル経由で出会うリファラル採用とは、「従業員からの紹介」による採用のことで、「選考通過率が高い」「採用コストを抑えられる」などの理由で、近年急速に広まった手法です。ここでは、リファラルを促進する7つの取り組みについて紹介します。4スカウト経由で出会うスカウトメールは個別のやりとりとなるため、他社の動きや工夫がわかりづらい手法です。そこでここでは、スカウト文面の実例とともに、スカウト文面作成において重要となるポイントについて解説します。メディア経由での出会いを実現する9つの要素出会いに大切な「3つのA」それではまず、「メディア」を活用した出会いを成功に導く方法について考えていきましょう。採用活動において、マッチする人となかなか出会えずに躓いてしまうケースは少なくありません。どうすればターゲット人材と出会うことができるのでしょうか。もしあなたが、「いい人と出会えない」とお困りの場合は、次の「3つのA(Attention/Attract/Apply)」において改善の余地がないかを考えてみましょう。Attention届けるべき人に届ける施策当然のことですが、届けるべき人に情報が届かなければ出会いには至りません。ターゲット人材の視界に入り、自社の求人に気づいてもらうためには、メディアごとの特徴をつかみ、ターゲット人材に効果的にアプローチする必要があります。このフェーズでは、❶チャネル、❷振り向かせ、❸拡散しやすさの観点で改善施策を考えることができます。

Attract惹きつける施策求人情報はターゲット人材の応募意欲を喚起し、惹きつけるものであることが重要です。その求人が「自分にとって価値がある」「他社にない魅力がある」と認識してもらい、それを信じられるだけの事実情報を提供することは、採用競争で勝つための鉄則です。このフェーズでは、❹ベネフィット、❺エビデンス、❻差別化の観点で改善施策を考えます。Apply応募しやすくする施策意外と見落としがちなのが「応募のしやすさ」です。仕事内容や職場環境において不安を感じさせそうな点があったり、応募のハードルが無駄に高かったりすると、せっかく意欲が高まったターゲット人材に応募の前段階で引き返されてしまうこともあります。このフェーズでは、❼不安払拭、❽ウェルカム感、❾負荷調整の観点で施策を考えます。それでは、①〜⑨それぞれの施策について、次ページ以降で、一つずつ解説していきましょう。

❶チャネルターゲットの視界に入っているか採用活動に利用できるチャネルは多種多様。全体を把握するだけでも一苦労です。そこで、以下に「採用に特化したチャネル」と「一般的なチャネル」を7種類ずつ挙げてみました。次ページ以降で、それぞれのチャネルの特徴について紹介していきます。

採用に特化したチャネル1「」、求人サイト・アプリは、主に以下の種類に大別されます。採用活動に不慣れな企業は「総合型」しか利用していないことがありますが、出会いのチャンスは総合型以外にも多くあるので、機会損失を防ぐためにも、採用ポジションやリソース(予算・工数・自社のネームバリューなど)を踏まえて比較・検討することをおすすめします。●総合型総合型は、会員数が多く、幅広い業界・職種・地域に対応していることが特徴です。新卒採用向けの「リクナビ」や「マイナビ」、キャリア採用向けの「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「doda(デューダ)」などがこれにあたります。●ハイクラス向けハイクラス向けは、即戦力となるプロフェッショナル人材や高年収層にフォーカスしたもので、「ビズリーチ」「CAREERCARVER(キャリアカーバー)」「AMBI(アンビ)」などのサービスが有名です。新卒採用では、「ワンキャリア」「外資就活ドットコム」などがいわゆる上位校の学生を中心に高い支持を得ています。これらのサービスを利用するユーザー層は「総合型」を利用していないこともあるので、求める人材要件次第では利用を検討してもよいでしょう。●ビジネスSNS多くのスタートアップが利用する「Wantedly(ウォンテッドリー)」、

海外を中心にプロフェッショナルが多数利用し、日本でも200万人以上の会員を擁す「LinkedIn(リンクトイン)」などが有名です。従業員が自社の魅力をアピールする投稿ができるほか、有料アカウント契約により候補者データベースの検索、スカウト送信機能などを利用できるようになります。●WEBサービスからの発展型最近の目立った動きとして、ビジネス感度の高い転職潜在層にまでリーチできる記事風求人広告「ジョブオファー」(NewsPicks提供)や、LINEの圧倒的ユーザー数や手軽さを強みとする求人アプリ「LINEキャリア」「LINEバイト」など、有名WEBサービスから発展した求人サービスも増えています。●その他これらのサービス以外にも、逆求人型就活サイト「OfferBox(オファーボックス)」、副業・転職のリファラル採用プラットフォーム「YOUTRUST」、IT人材やクリエイティブ人材の採用に強みを持つ特化型求人サイトなど、ここ数年で多くの採用サービスが生まれています。

このように多くのサービスが存在しているため、どれを利用すべきか迷うところですが、サービス提供企業ごとに説明資料はあるものの、それらのフォーマットは各社で異なります。そのため、複数のサービスを比較検討する際には、まずは同じ軸で情報を整理し、比較検討する必要があります。具体的には、以下のような情報について、検討しているサービス提供企業ごとに情報をもらい、正しく比較できるようにしましょう。

採用に特化したチャネル2「」、、自社サイト内に採用ページを持っている企業は多いですが、その9割以上は、企業紹介/事業説明/サービス紹介/仕事紹介/社員紹介/採用担当者からのメッセージ/採用データ、といったスタンダードな構成となっています。もちろん定番の内容は欠かせませんが、忘れてはいけないのは、採用ページは自社の採用上の課題を解決する手段だということです。自社が採用で困っていることや、成し遂げたいことを踏まえてもう一手間かければ、採用ページの時点から他社にない競争優位を発揮することができます。好事例を紹介しましょう。オーダーメイドウェディング事業などを手がけるCRAZYは「世界で最も人生を祝う企業」「本質的で、美しく、ユニークに」という非常に明快なビジョン・バリューを掲げており、一人ひとりがそれを大切にしています。したがって、CRAZYらしさをもって成長していくうえでは、新たな仲間にもそのビジョン・バリューを共感してもらうことが、極めて重要な経営課題・採用課題となります。この課題を解決するには、採用ページの段階から丹念に、コンテンツ、ビジュアル、コピーを研ぎ澄まし、自社らしさを理解してもらう必要がありますが、同社の採用ページは、まさにそれを体現した事例となっています。自社の世界観をあますことなく伝える内容であるとともに、採用活動のプロセスすべてがそれらを物語る手段となっており、ターゲット人材の心をつかむうえで効果的なものとなっています。

*2サイバーエージェント「サイブラリー」同社は2019年卒採用において、それまで膨大な時間をかけて実施していた会社説明会をWEB上の動画で行うこととし、学生・企業の双方にとっての「負荷軽減、時間の有効活用」を実現しています(2019年3月時点では、動画コンテンツだけでなく同社の新卒採用に関する情報がまとまったメディアに発展しています)。

もう1社、事例を紹介します。アサツーディ・ケイ(ADK)が2017年卒の新卒採用にて実施した「相棒採用」です。これは就活生が特設サイトより同社の社員を探し、「この人と働いてみたい!」という社員を指名して選考を受けられる採用方法です。

3アサツーディ・ケイ「相棒採用」

同社プレスリリースによると、「相棒採用」の導入には以下の狙いがあり、まさに採用課題と採用ページを緻密にリンクさせた事例として参考になります。

■広報から選考までを一貫した採用プロセスとし、応募者が社員と継続した接点を持つことで、相互に理解を深める機会をつくり、自社のことを知ってもらいロイヤリティを形成する■ADKにとって会社の顔であり資産である社員一人ひとりが前面に立つことで、彼らを通じ、応募者に自社のリアルな姿を知ってもらい興味を持ってもらう2017年卒採用では100名ほどの社員が相棒社員を務め、内定応諾率が前年比で27%改善という驚異的な成果をもたらし、「人で勝負する」というコンセプトをもとに、勝つべくして勝つ採用を実現させています。採用に特化したチャネル3「」、採用活動は時として長期戦になります。そのため、ターゲット人材に向けた継続的な情報発信は、彼らがキャリアチェンジを思い立った際に自社を想起してもらううえで効果的な施策となります。LINEでは、主に2つのブログを運営していますが、「LINEHRBLOG」では従業員一人ひとりや社内の様子を中心に紹介し、エンジニアブログ「LINEEngineering」では主に技術者向けの情報を継続的に発信しています。*4LINE「LINEHRBLOG」http://linehr.jp*5LINE「LINEEngineering」https://engineering.linecorp.com/ja/一般的に、候補者は応募前より内定後に熱心に情報収集する傾向があります。そのため、採用ページに加えて多くの情報が集積されていることは、内定辞退防止などの観点でも大きな武器となります。なお、これらの情報源は、自社の従業員が他部署のキーパーソンや業務を知る手段にもなるという副次的な効果もあります。

また、フリマアプリを中心に事業を展開しているメルカリが運営するコンテンツプラットフォーム「mercan」は、同業種やスタートアップに留まらず、多くの企業から注目を集めています。*6メルカリ「mercan」https://mercan.mercari.com/「mercan」では、同社のバリューやイベントレポート、人事施策の導入背景やエンジニア向け情報など、多くの情報が日常的に発信されており、メルカリを「働く場」として認知してもらううえで大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

また、医療ヘルスケア分野で成長しているメドレーでは、自社サイト内のオフィシャルブログと併行して「wantedly」のブログ機能を活用するなどし、採用市場における認知を高めてきました。同社は、自社に向き合って魅力を探し、効果的な採用広報手法を考え抜いて自社なりの勝ち筋を見出し、設立10年目にして年間100名の採用を実現しています。*7メドレー「MEDLEYオフィシャルブログ」https://info.medley.jpメドレー「私がメドレーに入社した理由」https://www.wantedly.com/feed/s/medley

ここでピックアップした3社に限らず共通して言えるのは、総合型メディアをはじめとする従来の求人サービスが「フロー型」の情報提供であったのに対し、オウンドメディア・人事ブログは「ストック型」の情報提供だということです。一つひとつの記事の品質はもちろん、それまでのストック総量(運営期間・投稿頻度)が価値につながることを認識し、長期的・計画的に運営していくことが、オウンドメディア・人事ブログを成功させるうえでは必要となるでしょう。採用に特化したチャネル4「」、選考が始まる前のイベントやセミナーは、WEBや紙面では伝わりにくい「雰囲気」や「人となり」を伝えるうえで有効な手段となります。ただし、一方的な説明ならWEB上でも可能なため、実施するからには、リアルな場でしか提供できない価値が求められます。たとえば、新卒採用では多くの企業が趣向を凝らしたイベントを実施するようになってきましたが、その中でも「つくる人を増やす」を理念に掲げる面白法人カヤックのイベントは群を抜いており、リアルイベントを企画するうえでの発想のヒントに溢れています。会社説明会をセンター試験形式で実施した「面白センター試験」など、同社が手がける多くの「面白採用キャンペーン」は、採用担当者であれば一読の価値があるでしょう。*8カヤック「面白採用キャンペーン」https://www.kayac.com/recruit/campaign同社の多くの施策は、一見すると「振り切っていてマネしづらい」という難しさはあります。しかし、基本的には自社の採用課題に向き合い、その手段として考案していることは大いに見習うべきでしょう。単に「奇をてらって目立つ」ことを目的としているわけではありません。

キャリア採用においては、「ミートアップ」を開催する企業が増えています。「説明会・セミナー」というと堅苦しく、参加へのハードルが高く感じてしまいますが、ミートアップは食事をしながら社員とカジュアルに話す形式のものが多く、気軽に参加しやすくなります。たとえば、コナミデジタルエンタテインメントでは、次のように当日の様子がイメージしやすいように内容を告知し、ミートアップを開催しています。ミートアップの人数規模は10〜20名程度が主流で、「ワーキングマザー向け」「サービスプランナー向け」「金融業界出身者向け」など対象やテーマを小分けにして実施しやすいというメリットがあります。一方で、「求める人材要件にマッチしない人が多いと、採用につながりづらい」「参加者が転職活動中の人たちばかりではない」といったリスクもあります。そのため、事前に応募フォームを設けて在籍企業・業務内容、転職意向の程度感を送信してもらい、よりマッチしそうな人に参加してもらうなど、リスクを小さく抑える工夫が必要となるでしょう。なお、ミートアップのコンテンツの多くは、次の三本柱で構成されています。●企業・事業の説明●募集ポジションの説明●従業員・参加者同士の交流・懇親

採用に特化したチャネル5「」、合同イベントとは、ここでは求人サービス提供企業(リクナビ、マイナビなど)が開催元となるイベントを指します。「自社単独でイベントを開催しても、人が来てくれるか不安」という企業にとっても、ブース出展型大規模合同イベントであれば、少なくとも候補者の視界に入るきっかけは得られます。一方で、合同企業説明会は企業ごとのネームバリュー格差がブースへの集客数として可視化される、残酷な場でもあります。あまり知られていない企業が無策で乗り込んでも実りは少ないので、出展するからには十分に事前対策をして臨みましょう。合同イベントで候補者の興味を引き、ブースへの来場率を高めるためには、次の「5つのC」における工夫が必要です。合同イベントに参加しても来場者と接点を持てない(ブースに立ち寄ってくれない)と悩んでいる場合は、それぞれの「C」において改善の余地がないかどうかを今一度考えてみましょう。もろおか薬品のように、合同企業説明会の参加者に親しみやすさを感じてもらうために創意工夫する姿勢は、採用担当者であればぜひ見習いたいところです。

採用に特化したチャネル6「」、スマートフォンでも採用サイトが閲覧可能な今、採用パンフ・冊子は、採用サイトと同じ情報ではなく、その企業の考えやビジョンを示して世界観に引きこまれるような「作品」でなければ無価値です。触れる・手元に保管しておけるという特性を活かし、ターゲット人材の心をガッチリつかむツールとして機能することを目指しましょう。ここで紹介したい好事例は、ユーザベースの小冊子「31の約束(31PROMISES)」です。このポケットサイズの冊子は、同社が大切にする「7つのルール」と「31の約束」を伝えるツールとして、非常に効果的に機能しています。*9ユーザベース「DO」と「DON’T」で自社のバリューを明文化。ユーザベース「31の約束」の存在意義https://seleck.cc/1284具体的には31の約束それぞれについて、右ページに「DO」として体現できているシーンが、左ページに「DON’T」として体現できていないシーンがビジュアルとともに載せてあり、構成も「見開き」という紙媒体の特性を活かしたものになっています。表紙の手触り・デザインの良さ、またユーザベースに入社しなかったとしても「社会人として大事にしたい」と感じられる31の行動指針は、手元に置いておきたいと思わせるには十分なつくりとなっており、同社の採用ブランド向上に大きく貢献していることがうかがえます。インターネットの広まりにより採用パンフ・冊子をつくる企業は減りましたが、紙はその威力を失ったわけではありません。むしろ、多くの企業が採用サイトにシフトした今だからこそ、存在感を持たせるための有効なツールだと言えるでしょう。

採用に特化したチャネル7「」、採用に特化したチャネルとして、最後に「採用ノベルティ」の効果的な活用法について紹介します。採用パンフ・冊子と同様、ノベルティも企業の考えやビジョンを表すものでなければ「捨てづらいゴミ」となります。だからこそ、贈りものとして嬉しく、思わず人に伝えたくなるようなクオリティでこしらえる必要があるでしょう。たとえば、2008年卒の新卒採用の際に、リクルートメディアコミュニケーションズ(現リクルートコミュニケーションズ)がつくった採用ノベルティ「愛してるが、うまく書けるえんぴつ」は、まさにこれに該当する事例です。この鉛筆は「コミュニケーションで人を動かす(CREATENEWCOMMUNICATION)」という同社の考えを見事に体現してみせたツールです。贈られた人は思わず「愛してる」と書きたくなる魔法にかかってしまい(実際に書いてしまい)、気づいた時には、自身がコミュニケーションで動いたことを実感しているわけです。

一般的なチャネル1「」、続いて、一般的なチャネルを採用に活用している事例を見ていきます。ここで挙げる7つのチャネルの効果・コスト感はそれぞれ異なりますが、自社の採用課題に適したものであれば検討する価値はあるでしょう。ここ数年でよく見られるようになったのは、FacebookやTwitterなどを活用し、採用広報を目的として求人企業が情報発信するパターンです。しかし、これらの採用系アカウントは「SNSに詳しい特定の社員に任せたきりとなり、気づいたら廃れていた」というケースが少なくありません。そのため、SNSの企業ページ・企業アカウントを採用広報の手段として効果的なものとするには、チームとして継続的に育てていく必要があります。なお、SNSを効果的な採用広報ツールに育てあげた事例としては、2013年に運用が始まったアマゾンジャパンのFacebookページ「InsideAmazon」が挙げられるでしょう。各部門の採用担当者たちがチームで週1〜2回の情報発信を地道に6年以上「継続」した結果、このFacebookページは2019年3月時点でフォロワー数12万人にまで成長しています。*10アマゾンジャパン「InsideJapan」https://www.facebook.com/AmazonJapanCareer

一般的なチャネル2「」、2018年あたりから急速に増えてきたのが、従業員がSNS(個人アカウント)を活用して「自社の採用情報を発信する」「就職希望者の質問に答える」「自分の仕事を紹介する」「退職時に在籍中の思い出を語る」といったケースです。このようにインターネットという開かれた場において、候補者と採用担当者、あるいは事業・開発現場の最前線にいる従業員たちが双方向にコミュニケーションすることによって、最近は採用情報だけでなく、カルチャーや人となりまでもが伝わるようになりました。たとえば、ZOZOテクノロジーズにおいては、Twitter上で「#ZOZOTech質問会」や「#zozoは楽しく働く」などのハッシュタグをつくり、気軽なコミュニケーションの場をつくっています。従業員のSNS投稿においては、(従業員を信じていないかのような)過剰なソーシャルメディアガイドラインを設けて制限する企業が多いなか、同社での企業と従業員との良好な関係性をここから垣間見ることができます。SNS上でのこのようなアプローチは、従業員を信じて任せられる企業の特権と言えるでしょう。

一般的なチャネル3「」、ターゲット人材に効果的にリーチできるのであれば、WEB広告の活用も視野に入れたいところです。WEBマーケティングの技術は日々進化しており、細かく設定したターゲット属性に対してダイレクトに広告を配信できるようになってきています。たとえば、オフィスターゲティング配信のように、特定の企業・学校に絞って広告を表示する仕組みもあり「ターゲット人材が多くいそうなA社の社員に自社求人を知って欲しい」といったニーズにも対応可能となっています。同様に、FacebookのようなSNS上に表示される広告も、ターゲットの絞り込み機能が充実しています。年齢・性別・地域はもちろん、Facebook上でユーザーが登録している「関心のある分野」「勤務先企業」などの情報をもとに広告を配信できるので、ターゲット属性次第では、採用活動のマーケティングツールとして十分に機能します。ほかにもWEB広告には、自社採用ページに誘導しやすい、求人サイト掲載ほどコストが掛からない(ことが多い)、分析・効果検証しやすいといった利点もありますので、既存の手法でなかなか効果が出ない場合は従来の採用広告予算を再配分して、一度試してみるのもいいでしょう。

一般的なチャネル4「」、好景気になり採用競争が厳しくなってくると、(多くはありませんが)求人においてもマス広告が使われることがあります。マス広告は求人広告に必要不可欠な「メッセージ」を幅広く伝えるうえで強力な手段だと言えるでしょう。求人サイトなどの手法と比較した際に費用が気になるところですが、予算が許せば一度挑戦してみたい採用担当者も多いのではないでしょうか。伊藤忠商事のテレビCMはわかりやすい事例のひとつです。もともとは、投資家を対象にイメージが湧きづらい総合商社の働きぶりを伝える目的で始まったものだそうですが、就活生に近い入社1年目社員の姿を伝えたことで、同社で働くイメージができ、採用においても効果的な施策となっています。また、ヤフーにおいても大分センターの採用で地域限定のテレビCMを放映し、ターゲットエリアにおける認知拡大に努めていることがうかがえます。*11伊藤忠商事はじめての使命「新人たちの一年篇」https://youtu.be/NR84MC1vkgE*12ヤフー人財採用「大分編」https://youtu.be/y7H1VStHdUUほかにも、2012年にはファーストリテイリングが、2017年にはメルカリが日本経済新聞で15段の求人広告を掲載するなど、挑戦的な試みをしています。メルカリの真っ赤な広告はアイキャッチが強いだけでなく、コピーにおいても同社の魅力を短いながらも丹念に伝えており、同社の求人の存在感を示すことに成功しています。

一般的なチャネル5「」、屋外・交通広告は、その「場所」によってある程度ターゲティングができるチャネルです。特に交通広告は、新卒採用であれば「ターゲット人材の多い大学の最寄駅」に、キャリア採用であれば「ターゲット人材が多くいる企業の通勤沿線」などに広告を露出することで、候補者へ効果的にリーチできるでしょう。たとえば、2017年に話題になったのが、トヨタ自動車が展開したJR南武線10駅における求人広告です。この広告キャンペーンは、南武線沿線の企業・研究所に勤務する「ITエンジニア・研究者」にメッセージを届けるために行われました。また、この事例では、オンラインとの連動も効果的なものとなりました。沿線勤務のターゲット人材からの認知を得つつも、インパクトのある広告がSNSでシェアされたことで多くの人の目に触れることとなり、南武線沿線勤務ではないターゲット人材へもリーチできました。交通広告は範囲が限定されてしまうと考えられがちですが、このように広告クリエイティブやオンライン上で話題を呼ぶような工夫によって、多くのターゲットに届けることが可能です。なお、このようなキャンペーンは「ブランド力があるトヨタだからできた」という点は否めませんが、そこで思考停止せずに「自社であればどのような工夫ができるか」と考えることこそが、採用担当者の腕の見せどころとなるでしょう。

一般的なチャネル6「」、WEBDMを送れる求人サイト・アプリは多いですが、その届く量の多さにうんざりしているという声はよく聞かれます。特に新卒採用では、大手ナビサイトのオープン日には100通を超えるDMを受け取る学生もいるため、その多くは開封されないまま終わります。中途採用サイトにおけるWEBDMも同様で、よほどの人気企業でなければ開封率1%未満ということも珍しくありません。一方、1990年代までの主流メディアであった紙のDMは、WEBDMが増えたことと反比例するかのように数が減りました。ここに着目して、紙DMを送付して認知を得るという戦術もあります。なぜなら、今や一周回ってWEB上のメールボックスよりも、自宅の郵便ポストのほうが届きやすい状況となっているからです。紙DM発送の際に必要となるターゲット層の住所データの入手は困難ですが、発送代行をしている求人サイトもありますので、WEBDMで効果があがらない場合は一度相談してみてはいかがでしょうか。中には、大学生協に依頼して、ターゲット大学・学部ごとに紙DMの発送代行を依頼している企業もあります。なお、紙DMでは「ポストからゴミ箱までの短い時間」が勝負となります。そのため、封書よりもハガキ(開封しなくても目に触れる)、端的で興味深いメッセージ、QRコードによるエントリー画面への誘導など、クリエイティブ面での工夫は必須です。くれぐれも「ゴミ」を送らないように気をつけましょう。一般的なチャネル7「」、キャリア採用では、必ずしもターゲット人材が転職活動中とは限りません。「何かきっかけがあれば動く」という潜在層も多く存在します。一方で、求人サイトなどのユーザーは転職にアクティブな顕在層であるため、潜在層にメッセージを届けることは困難です(とはいえ、潜在層にリーチするためにマス広告を利用するのは、予算の点で現実的でないことがほとんどでしょう)。そのような際には、業界誌・業界向けメディアを活用し、業種や職種をセグメントしつつ、潜在層にまでリーチするという方法があります。ここでは、アマゾンジャパンの事例を紹介しましょう。アマゾンというとインターネットのイメージが先行するかと思いますが、同社は物流・ロジスティクスにおいても世界屈指の競争力を誇っています。その物流・ロジスティクスの戦略拠点であるフルフィルメントセンター内では、製造現場ではおなじみの「KAIZEN」「安全」「5S(整理・整頓・清潔・清掃・

躾)」「QC活動」などへの取り組みが盛んであり、実は製造現場で培ってきた人の知見が活かされます。ところが、製造業出身の方は製造業をネクストキャリアとして考えることが多いため、彼らの転職先候補としてアマゾンを認知してもらうことは、なかなか難しい状況にありました。そこで、ターゲット人材がやってくるのを待つのではなく、彼らがいる場所に飛び込んで存在感を示そうという考えに基づき実現したのが、業界誌『月刊工場管理』(日刊工業新聞社)とのコラボレーション企画です。

この施策において、同社は月ごとに「製造業出身の社員インタビュー」を広告記事として連続掲載するとともに、「製造業従事者向けセミナー」を日刊工業新聞社と共催することで、アマゾンにおいて製造業経験が活かせることを、ターゲット人材に丹念に伝ています。なお、こうした業界向けメディアとしては、特定の職種に対して情報提供しているWEBサイトもあります。たとえば、コールセンター従事者がユーザーとなる、リックテレコムが運営する「CALLCENTERJAPAN」もそのひとつです。*13リックテレコム「CALLCENTERJAPAN」https://callcenterjapan.com/このようなサイトの中には、サイト会員にメルマガやDMを送付しているものがあるほか、メルマガ内で広告枠が用意されている場合もあるので、気になるメディアがある場合は相談してみることをおすすめします。メディアによっては一般的な求人サイトのDM発送費用よりも数段安価で、しかも数千、数万通という単位で送信できることがあります。

❷振り向かせ「」❶チャネルでは、“どこで伝えるか”について解説しましたが、ターゲット人材を惹きつけるにはそれだけでは不十分です。ターゲット人材の目に触れた際に“何を伝えるか”も大切になります。特に目に触れたメッセージを「まさに自分に向けられたメッセージだ」と認識してもらうことが、人を動かすうえでは重要です。食品や日常消費財など「ターゲットでなくても購入・利用してもらえればOK。なるべく多くの人に売れることを目指す」という商品の広告においては、自分たち(商品・サービス)を主体としてなるべく広く訴えかけるアプローチを取りますが、求人メッセージでは異なるアプローチが必要となります。多くの採用担当者の方はすでにご認識かと思いますが、いくら応募があっても、そのうち最終合格者となる人はごくわずかです。職種によっては、応募人数のうち入社に至る人数が1%未満ということもあるでしょう。選考過程において多くの無駄が発生している(人材要件にマッチしない人を動かしてしまっている)ことは、候補者・求人企業の双方にとって望ましい状況ではなく、求人企業にはターゲット人材のみが振り向くコミュニケーションが求められていると言えます。それでは、ターゲット人材のみに振り向いてもらうにはどうすればよいのでしょうか。ここでは次の3パターンを紹介します。

これらがターゲット人材を振り向かせたい時の基本となります。それぞれについて、より詳しく解説していきましょう。a経験で振り向かせる1つめは「経験」です。これは、中途採用のように求める人材像や経験が明確な場合に有効な手段です。少し前の事例ですが、求人情報誌『Bing』に掲載された共和証券の求人広告は、その際たるものと言えます。力強く真摯なメッセージとあわせ、ターゲット人材は振り向く。ターゲット人材以外はまったく振り向かないという基本を体現できている、見事なコミュニケーションと言えるでしょう。

レッドバロンは新卒採用において「バイク好き」な学生をターゲットに、バイク好きであればピンとくる経験・エピソードで訴求しています。このように特定の人材が思わず反応してしまう「経験」は、ターゲット人材を振り向かせる強い訴求ポイントとなります。

b欲求・悩みで振り向かせる採用広報は、人生を動かすコミュニケーションとなります。人生を動かすためには、動くべき人の心の機微を正しくとらえ、強く訴えかける必要があります。このとき、「人が持つ欲求」について広く押さえておくと発想の幅が広がります。そこで、ここでは「マレーの心理発生的欲求リスト」と「59欲求の分類と構造化の試み」を参考に、私が採用におけるアピールポイントとして活かせそうなものをリストにまとめました。どのような欲求に訴えたらいいかわからない際は、参考にしてみてください。*14心理学者。HenryAlexanderMurray(May13,1893〜June23,1988)*15白梅学園短期大学の荻野七重教授、立正大学文学部の齊藤勇教授による、マレーの心理発生的欲求の分類にさらに多数の欲求を加え、59欲求に分類・構造化したもの

c共感で振り向かせる一般的に求職者は企業との距離を遠く感じてしまうものですが、「そうそう!あるある!わかる!」と思わせるメッセージは、心の距離を近づけるうえで最高のアプローチとなります。たとえば、キムラユニティーの「『言われたことを言われたとおりやるのが得意です』って、どうして言い出せなかったんだろう。」というコピーは、ターゲット人材との心の距離をうまく近づけた事例だと言えるでしょう。就職活動の面接では、多くの場合「やりたいこと」を聞かれるため、「自分はやりたいことが明確にあるわけではない。リーダーとして人を引っ張っていくことは苦手。だからといって不真面目というわけではなくて、言われたことをコツコツこなしていくのは得意。でも、こういうことを面接で正直に言うと不合格にされてしまいそう……」と心の声を封印し、ポジティブな自分を演じてしまいがちです。同社の求人メッセージでは、そのようなターゲット人材の心情を踏まえ、「言われたとおりにやるのが得意な自分」を活かせることを伝えるとともに、就職・転職活動ではネガティブに受け取られてしまいそうな心の声を認めてあげることで、ターゲット人材との距離を縮めることに成功しているのではないでしょうか。

❸拡散しやすさ人に伝えたくなる仕組みはあるか求人情報が話題になって広くシェアされると、よりターゲット人材に届きやすくなります。シェアやバズは、一見するとたまたま起こっているようにも見えますが、ある程度までは意図的に実現可能です。その際には、「役に立つ」か「面白い」、どちらかの価値が必要不可欠となってきます。たとえば、LIGが2012年に書いた求人記事「伝説のWEBデザイナー」はその面白さから話題となった事例のひとつです。この記事は、待遇や仕事内容で差別化が難しいWEBデザイナー求人の中で高い認知を得ることを実現させ、同社のプレゼンス向上にも一役買いました。*16LIG「伝説のWEBデザイナー」http://liginc.co.jp/recruit/legenddesigner

また、手前味噌で恐縮ですが、LINEの人事職採用においては人事職の方々の役に立つ「LINEに入社して考えた、人事戦略と組織能力のこと」という記事を私が書き、その最後を自部署の求人情報で締めくくりました。*17note「LINEに入社して考えた、人事戦略と組織能力のこと」https://note.mu/aotatsutomu/n/n610cef9a701dこれは、数社の人事担当者有志により運営される「ベンチャー採用AdventCalendar2018」において、私がnoteに書いたものです。読者の多くが自部署の採用ターゲットであることが明らかだったため、お役立ちコンテンツと自社求人を両立させたコンテンツとして投稿しました。結果、FacebookやTwitterでシェアされ、note上で「先週もっとも多く読まれたノートの1つ」になり、求人情報の認知向上につながりました。*18「ベンチャー採用AdventCalendar2018」https://adventar.org/calendars/3497*19「note」https://note.mu/さらに同社では、従業員たちが自身の仕事やそのやりがい、職場環境などについて、noteなどを活用して自発的に発信する動きが起きており、広告では伝わりにくいリアルな声を届けています(その際、採用担当者は依頼があれば記載の事実に誤りがないかを確認するのみで、彼らのアクションを尊重し、書いている内容そのものには口を出さないスタンスをとっています)。「シェアされるような内容を発信できる技術も自信もない、なんだか難しそう……」と気後れしてしまう方もいるかもしれませんが、最初からホームラン級の当たりを狙わず、まずは自社なり・自分なりに発信できそうなものを考えてみてはいかがでしょうか。技術や感覚は、反響を確認しながら何度もトライしていくことで次第に身につき、磨かれていくものです。

❹ベネフィットターゲットに提供できる価値は明確かここまで解説した❶チャネル、❷振り向かせ、❸拡散しやすさによるターゲット人材からのAttention獲得と同時に注力したいのがAttract(候補者を惹きつける施策)です。Attractにおいては、❹ベネフィット、❺エビデンス、❻差別化の3つの要素が大切になります。コミュニケーションを通じて、彼らに「ベネフィット」を理解してもらい、それを信じてもらうための「エビデンス」を示し、他社との「差別化」ができなければ、競争優位にはつながりません。この3点を意識し、自社ならではの魅力を伝えることを心がけましょう。まずは「ベネフィット」からです。求人の際に自社の都合を一方的に発信するだけでは、コミュニケーションとしては不十分です。自社の求人情報を発信する際、採用担当者はターゲット人材の視点に立つことを徹底し、彼らにとってのベネフィットを伝えていく必要があります。たとえば、次の事例をご覧ください。これはとある求人サイトに掲載されていた実際の募集タイトルですが、それぞれが「自分目線」のみにとどまっているか、しっかりと「相手目線」に立てているかは一目瞭然でしょう。

事実をベネフィットに転換できていない上記2つの事例は、ただ単に自社の都合を突きつけているだけで、ターゲット人材にとってのベネフィットが伝わりづらいものになってしまっています。「急成長中のベンチャーで事業を牽引する法務」とは一般的な法務職と違いどのような魅力があるのか、「コンタクトセンター立ち上げ中」であれば、どのようなやりがいが得られるのか、相手のベネフィットに転換して伝えていく必要があるでしょう。それでは、ターゲット目線に立ち、自社の求人におけるベネフィットをうまく提示できている事例をいくつか紹介します。多摩中央信用金庫(現多摩信用金庫)の求人広告は、「ぜったい世界にはばたかないたましん。」というキャッチコピーや、「びっくりするような転勤はありませんよ。」と話している素朴なイラストによって、「これまでの金融キャリアは活かしたいけど、転勤続きで国内を家族と転々とするようなハードな生活はそろそろ終わらせたい(できれば都内で)」と考えているターゲットの気持ちをつかんでいます。

第一興商販売の「お昼まで寝ていられる」というベネフィット、ハイアット・リージェンシー・オーサカ(現ハイアットリージェンシー大阪)の「料理人としての経歴にハクがつく」というベネフィットなど、求人ごとのターゲットに応じたベネフィットを考え伝えていくことは、採用コミュニケーションにおける基本中の基本だと言えるでしょう。

❺エビデンスベネフィットを証明する事実を示せているか「実力主義」「従業員のワークライフバランスを尊重」「未経験からでも管理会計の基礎が身につく」などのベネフィットをアピールし、それを実感してもらうには、「事実」をあわせて伝えることが効果的です。たとえば、実力主義を掲げる企業は多いですが、その程度感はさまざまです。ユニクロなどを展開するファーストリテイリングも実力主義を掲げる企業のうちの一社ですが、同社は「グレード別の給与額および年齢」を公開し、実力主義を掲げる他社が追随できないほどの強い事実情報を伝えました。

なお、リアリティを伝えるうえでは、「動画」も有効なツールとなり得ます。楽天、そしてバレットグループでは、360°動画を活用したオフィスツアーを実施しています。このような360°動画は、通常の広告動画とは違い「加工」が少なく、現場の空気感が伝わりやすいのが特徴です。*20楽天オフィスツアーVRhttps://youtu.be/mg5E_LxU3DoバレットグループオフィスツアーVRhttps://youtu.be/zLkES2oc_Qc動画はテキストとは比較にならないほどの情報量を提供できるので、動画のつくり方次第ではミスマッチ回避にも活用できるでしょう。これらの事例はYouTube上で視聴できるので(2019年3月時点)、ぜひ一度ご覧ください。

❻差別化他社にはない差別要素があるかビジネスで競争優位を獲得するには他社にない「差別化」が必要ですが、採用も同様、良い差別化は競争優位につながり、より有利に採用活動を進められます。もちろん、ターゲット人材一人ひとりが熱心に企業研究をして、他社にはない自社の魅力を理解してくれるのが理想ですが、それは現実的には難しいでしょう。そのため、採用担当者には自社に向き合い、他社も観察し、自社ならではの魅力を見出して、丹念なコミュニケーションによってそれを伝えていく姿勢が必要不可欠となります。一方で、「他社と比べて秀でた魅力がない」と感じる採用担当者も多いと思います。その際には「ないならつくる」「採用活動のスタンスで差別化する」というマインドセットを持つことが必要となります。諦めたらそこで試合終了です。

「ないならつくる」の際たる例としては、リクルートのとあるエピソードが象徴的です。リクルートでは優秀な理系人材を採用するために、1980年代に10億円以上のスパコンを購入したという伝説があります。当時、今ほどの採用ブランドがなかったリクルートが他社にない差別化要素を自らつくりだした話です。その逸話について、元リクルートで、東京都初の民間人校長として注目を集めた藤原和博氏が、「NewsPicks」で次のように語っています。たとえば、リクルートは1985年くらいに「これからは採用が大事。特に技術者の採用が大事」だと言って、採用をガラッと変えた。そのときに行ったのは、一番売り上げを上げている一番優秀な営業所長を採用のマネジャーに据えるという人事なのですよ。その人事が象徴となって、「これからは人事が大事、採用が大事」ということが、社内報に100回同じことを書くよりも、断然伝わるわけです。ある

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