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8章 「改訂」が成果を左右する

目次

ぜ、「改訂」が必要か

前作『業務マニュアルの作り方・活かし方』を出版して以来、様々 なご意見・ご感想をいただいた。

また、インターネットなど多種多様 なメディアでの書評も読んだ。

その中で一番多かったことは、「改 訂」に関することである。

「マニュアルって、定期的に改訂するんだ・・…・」 という率直な感想を述べられた人が、意外に多かったのである。

これには、逆に私のほうが驚いた。

「えっ、改訂したことない? 改訂しないで、よく対応できている なあ・・…・」、 私にとって、「改訂」されていないということは、イコール使われ ていないというほどの認識である。

「改訂」しないで弘済むほど、状況 や設備・オペレーションなどの変化がなかったのか。

はたまた、それ ほど完成度の高い(?) 『マニュアル』なのか。

変化への対応と『マニュアルj

時代・状況の変化は、想像以上に早い。

企業の成長・変化への対応 も、それ以上のスピードが要求されている。

『マニュアル』は、基礎・基本を形式知化したものである。

基礎・ 基本は、そんなに早くコロコロ変わるものではない。

しかし、例え ば、作業や販売の方法などは変わらざるを得ないものも多いのではな いだ‘ろうか。

以前、20年近く前に作成したという『マニュアル』を見せてもらっ たことがある。

内容はそれなりにしっかりしたものだ、ったが、お客様 (の状況)のとらえ方や具体例にまさに歴史を感じた。

とくにIT関 係、インターネットの活用などは、当然であるが一言も出てこない。

これが果たして『マニュアル』と呼べるのだろうか? 会社の成長・発展とともに、目標・期待・基準も変わらざるをえない。

つまり、業務や作業内容が変わっていくのだから、『マニュア ル」の変更・見直しは、ある意味必然とも言える。

内容(状況)が変 われば、該当する『マニュアル』の項は言うまでもなく使えなくな る。

使えないページが多い『マニュアルJは当然使われない。

これまで繰り返し述べてきたが、『マニュアルJは、成果を上げる ツールである。

内容が違っていたら、期待する成果は出ない。

また、前述したような問題も出てくる。

「この『マニュアル』の内容、古くて、うちのお店にちょっと合わ ないから・・…・」 「会社の『マニュアル』より、もっと良くてわかりやすいものを作 ろう……」 といった理由で、自分たちで勝手に変更する。

自分たちで『マニュ アル』を作るということが起きてきたりする。

これは一見評価される べき自主的な活動のようだが、実は大きな問題である。

『マニュアJlljは会社の公認ツール

『マニュアル』は、会社の基準である。

それがしかるべき機関で何 の検討も審査もされずに、たとえ一店舗で:あっても従業員教育で使用 されるということは、本来あってはならないことである。

内容の大筋 は変わらず、レイアウトやイラストが変わっただけだとしても、『O O版マニュアル』の存在を許すことは、会社公認の『マニュアル』の 価値・評価を下げることになる。

会社の『マニュアルJは、一つである。

二つも三つも基準があるの は、混乱のもと、基準にならなくなる。

I .『マニュアjレ』は、勝手に変更させない(しない) ト『マニュアル』は、勝手に作らせなし、(らない) これがルールであり、原別である。

「改訂」をしないということは、これまで述べてきたような事態を引き起こすことになる。

また、これも前述したように、現場では日々新しいノウハウが生ま れている。

これを全体で共有化することは、会社の成長・発展にとっ て非常に重要なことである。

つまり、「改訂」が必要になる。

繰り返すが、『マニュアル』は、会社の最新・最高のノウハウを集 大成したものである。

盛り込まれるノウハウは、常に“最新”でなけ ればならないのだ。

・時代・状況の変化に対応することは、『マニュアJレJの使 命である ・常に最新のノウハウを取り入れることが『マニュアjレ』の 役割である ・会社の基準としての『マニュアjレ』は、常に一つしかない この認識が、非常に重要である 「改訂」を繰り返す中で、常に変化に対応して、より良い方向へ精 度を上げていく、進化していく。

それが『マニュアlレ』である。

成・活用・改訂

『マニュアル』を、次のようなステップ・流れでとらえることが、 最も『マニュアル』の役割・価値を明確にさせることになる。

『マニュアルJは、その存在自体で、成果を出す、発揮するもので はない。

何度も述べたように、『マニュアル』は、決して一人歩きを しないのだから。

活用しなければ、成果は上がらず、改訂しなけれ どんどん陳腐化していく。

『りっぱなマニュアル』を持ーっている だけでは、何の価値も生まないのである。

『マニュアルJはシステムである

『マニュアルJを一連の流れ・サイクルでとらえる。

つまり、シス テムとしてとらえることカf必要である。

「作成する」→ 「活用する」→ 「改訂する」というシステムの中で こそ、『マニュアル』は“生きる”のである。

・活用しなければ.、成果は上がらない -改訂しなければ、現実に対応できない これが、『マニュアル』である。

「作成・活用・改訂」、これこそが『マニュアル』である。

『マニュアJllJは硯在進行形

私たちの周りは、今、刻一刻と変化している。

-日々の業務を遂行していく中で、いろいろな気づきや発見 をしているかもしれない ・たくさんのお客様と接する中で、様々な創意工夫を発揮し ているかもしれない ・アイデアや知恵を出し合って、問題を解決しているかもし れない

いろんな“しれない”ことが、毎日起きている。

いろんな成功事例 が、フツフツと生まれている。

こうした変化を、『マニュアル』は迅 速にその中に取り入れていかなければならない。

『マニュアルJは、常に未完成である。

現在進行形である。

だか ら、『マニュアル』は、信頼しても、依存し過ぎてはいけない。

最高 のノウハウは、常に最新のものでなければならないのだ。

重要なことは、“現場での気づき・発見・創意工夫を吸い上げる仕 組み”を持つことである。

経営にとって、変化やスピードが重要なよ うに、『マニュアル』にもまた、変化とスピードが要求されている。

『マニュアルJは、変化に対応するシステムである。

『マニュアル』を活用して成果を上げる上で、この認識が非常に重 要である。

訂を仕組みにする

「内容が変更になった」「もっと良い方法がある」といったことに対 して、どのように対応していけば良いのか。

それは、定期的な見直しを、仕組みにすることである。

見直し回数 は、年2回(通常2月、8月)は必要である。

回数・時期・改訂にかかる時間などは、業種業態によっても、また 変更内容の量・質によっても変わってくる。

重要なことは、例えば年 2回、いつといつに改訂するということを決め、それを会社全体に明 Titiにしておくということである。

改訂時期が決まっていれば、 「これは、『マニュアルJにしたほうが良い」 「この内容は、ちょっと見直したい」 といったことも、それに合わせて準備しておくことができる。

改訂時期の明確化は、『マニュアル』の内容が常に更新されること を意味し、信頼や価値を高めることになる。

また、これは、前述したように、『マニュアル』を勝手に変更・作 成させないためにも必要で、ある。

<改訂のルール> 「改訂」は、現場の担当者や関係部署が原案を作成し、それをマ ニュアル担当部署が確認(決定稿作り)をして、承認・配付するとい う流れになる。

<マニュアル管理jレーJvC例)>

ここで重要なことは、配付先に“最新版だけがある”ということで ある。

『マニュアjレ』が使われない理由の一つに、「どれが改訂されたもの か、わからないJということがある。

新旧が混ざFっていては、確かに そうである。

そのため、改訂したページをただ配付するということで はなく、古い内容(箇所)を必ず回収する。

配付先一つ一つからの回収チェックを、まさに徹底して行うことが 必要で、ある。

そして、回収後は、それを、責任をもって廃棄処分にし なければならない。

『マニュアJレ』の改訂は、 改訂する→ 新版を配付する→ 旧版を回収する→旧版を廃棄する

という一連の流れでとらえておくことが必要である。

『マニュアル』は、会社の知的財産である。

この取り扱いは、慎重 に十分注意して行うことが求められる。

この改訂の繰り返しの中で、会社における『マニュアル』の認知度が高くなり、活用も促進されることになる。

DNA・思いの伝承

『マニュアル』は、経営者の熱い思いを出発点としている。

そし て、『マニュアル』作りは、企業文化作りでもあると前述した。

それ は、時代とともに変化していく。

しかし、伝えていきたいもの、残したいものもある。

『マニュア lレ』には、それが書いてある。

残っているはずである。

ところが、『マニュアルJが改訂されていない、使われていないと いうことは、DN Aが、思いが、伝わっていないということになる。

つまり、とぎれているのである。

「改訂」しなければ、それはただの古い資料のままで=終ってしま う。

もったいないという他はない。

時代の新しい視点でそれを見直 し、再評価すべきである。

伝承すべきDN Aを、その時代・状況に合 わせて、ふさわしいものへと進化させるべきである。

| 『マニュアル』は、その時代・状況・会社を映し出す鏡である| 最も適切な形・内容を作り出し、生み出す。

それは、「改訂Jを繰 り返すことで可能になる。

「10年以上前に作った『マニュアル』が、その後一度も改訂されて いません。

うちのDN Aやノウハウは、10年前にとぎれています」 ある企業の教育担当者の弁である。

「なぜ、こんなことも知らないJ「どうして、こうなるのか…--」。

現場で起こる様々な問題を追求していったら、最後に、会社の基準、 『マニュアル』にたどり着いたとのことである。

伝承すべきDN Aや思いを、どのように、まさに受け継ぐのか。

一 人一人の意識・行動にどう反映させていくのか。

古いからではなく、よりふさわしいものにするために、「改訂」す るのである。

そして、「改訂」こそが、DN Aや思いを伝承させていくのである。

I改訂」は前提・必須条件

「改訂」は、普通、次のような理由で実施する場合が多い。

  • 内容(業務・作業)が変わった。
  • マニュアルに書いてある通りの手順で作業をしたが、問題が発生した(不具合が見つかった)
  • 新しい機器が導入されるので、操作方法が変わる

こうした理由・案件が重なって、ようやく必要に迫られて改訂する。

つまり、現実に合わない、古くなったという事である。

しかし、会社の施策も現場も、常に進化している。

この変化に迅速に対応できなければならない。

“待ち”か5“攻め”の改訂

今必要なことは、“待ち”の改訂ではなく、“攻め”の改訂である。

必要に迫られて改訂するのではなく、必要性を作り出して改訂する のである。

定期的な改訂も、こうした積極的な評価をすることによっ て、より重要性が増してくる。

そのためには、社内の様々な変化に敏 感になり、絶えず情報収集・把握に努めることが必要になる。

社内で取り組まれる活動の中で。

一一動) ② 作業改善提案制度 ③ お客様アンケート ④ お客様モニター制度 クレーム処理関係) などは、『マニュアlレJを見直す上での様々な情報をもたらす。

とこ ろが、これらの活動の成果が、なかなかリアルタイムに『マニュア jレ』に反映されていない。

その理由として、 -各活動の担当者に、マニュアル化の考えがない ・マニュアル化するのが、面倒(手間カずかかる) ・マニュアル担当部署(者)が、組織的に不明確 などが挙げられる。

これらはいずれも『マニュアルJに対する認識・許申日の低さから来 るものである。

前述したように、担当部署や改訂の時期・ルールなどを明確にし、 社内における認知度を高めることによって、こうした活動とも結びつ きやすくなる。

タタキ台としての役割強化

時代や状況の変化・スピードは、今あるものをすぐ古くする、使え なくしてしまう。

『マニュアlレJは、完成した直後から業務改善等のタタキ台として の役割・機能を発揮し始める。

「みんなでタタケば、どんどん良くなっていく」ではないが、改訂 を繰り返す中で、確実に精度は上がっていく。

「常に新しいノウハウ をプラスする」という視点で、現場の声を聞くことが必要である。

繰り返すが、マニュアル化することは、会社の知的財産を増やすこ とである。

だから、積極的にマニュアル化することが必要なのであ る。

社内の様々な活動を取り込んで、『マニュアル』作り タタキ台としての役割を強化して、『マニュアル』作り こうしたことによって、常に最新・最高の内容が網羅された『マ ニュアlレ』が出来上がる。

『マニュアルJにとって、「改訂」は前提で あり、まさに必須条件なのである。

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