鬼 100則 56 2・ 8には売るな 流通業で昔から言われた言葉に「 2・ 8(ニッパチ)は売れない」というのがある。経営者にとって2月、8月は、3月や9月の決算を控えての月であり、 2・ 8は、むしろ重要な月のはずだ。だから社長の中には、「何としてでも2月、8月には予算を達成させろ」と檄を飛ばす人もいる。 だが、決算を控えた社長が一番売れないときにハッパをかけまくるなどという「点でものを見るやり方」をやめて、年間スパンでクールに対処してはどうだろうか。統計的に見て、流通業界の 2・ 8の月間売上がもし最低なら、むしろ2月、8月に売らないとするのだ。 つまり、販促を仕掛けてもユーザーの反応が鈍い時期に無理に売ることはあきらめて、予算も最低にし、会社経営にとって重要と思いつつ、時間などの関係で日頃できないことに人員などの経営資源の多くを振り分けるのである。 社員教育、店舗の大掃除、慰安旅行、半ば強制的な有休消化、市場調査、社内の仕組みの再チェック、マニュアル作り、在庫調査など、考えればいくらでもある。要は、この月は予算を達成すればいいと割り切り、会社の経営の金型を磨く上で、必要と思われることに時間と人員を割くのである。それらのことが、次に大きくつながるのだ。 ものの見方には、近づいていろいろな角度から見る「虫の目」と、高い位置から全体を俯瞰してものを見る「鳥の目」があるが、この場合は、「鳥の目」で 1年という全体から2月、8月を見て、年度を通しての予算達成ができればいいと考えるのだ。そして、 2・ 8を会社全体の収益アップのために必要なベース作りを行う特別のチャンスと捉えるのである。 年間予算を大きく狂わさないためには、むしろ社長がブレまくらないことの方が大事だ。月末や決算月を控えての達成率の悪さに社長が激怒すれば、そのパワーに押されてしまい、もっと売れないかとチラシ枚数や回数を増やすことになる。結果、売上は少しアップするものの、アップした販促費のせいで、逆に利益が大幅に減るのがオチだ。 2・ 8には酒を呑んで寝るわけにはいかないが、「鳥の目」で経営全体の目線で捉えてじたばたせず普段できなかったことを一つ一つ片づけ、年間最低予算の達成を楽しみながらじっくり戦う。「 2・ 8には売らない」は、まさしく名言だ。
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