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4章 仕事の標準化としてのマニュアルの作り方

目次

事を“ 標準化” する

各営業所や店舗での“やり方”が、どうもバラバラだ。

これを統一しておかないと活動の格差が出てくる。

上司の指導や評価も、何を基準にして行えば良いのか。

当然、人事評価も“人”によって違ってくる。

現場は、“自分流”“各拠点流”で、回っている。

これは、会社として、まずい。

早急に、仕事のやり方を統一しなければ…・ ということで、『マニュアル』作りに着手する。

実際、このような直接的理由から、『マニュアル』作りが始まる ケースが多い。

とりあえず、仕事を整理しまとめる。

それも短期間 で。

先に挙げた円|き継ぎマニュアル』もその一例である。

ただ違うのは、作成者は一人ではないということだ。

『ヲ|き継ぎマ ニュアルJは、基本的には“自分”の仕事を整理すれば良かったが、 こちらは“複数”。

それも全国の拠点にまたがる場合も多い。

拠点聞 のやり方の違いを調整するなどといった面倒な問題が多々ある。

しか し、だからこそ、会社の基準、考え方・行動の基準としての『マニュ アル』の役割の重要性が、そこにある。

会社として、仕事を“標準化”する

めて重要なことである。

日常の業務はもとより、会社としての統一 感・一体感に関わる大問題である。

ところが、これまでの経験の積み重ねで何とかやってきたという企 業が意外に多いことに驚かされる。

かつて『マニュアル』を作ったこ とはあるのだけれど、それ以来一度も修正されたことがない。

だか ら、冒頭に挙げたようなことが起こってしまう。

多くのムダやムラ・

ムリが発生していることだろう。

仕事を“標準化”するとは、

目標(ゴール)に到達する最も効率的・効果的な方法の具現化

である。

平たく言えば、“最も良いやり方”に統一することであ る。

そして、それを会社の“基準”として認定する。

そのためには、現在、どのような仕事が、どのような方法で行われ ているのかを把握し、業務を見直していく作業が必要になる。

膨大な エネルギーと時間がかかるが、前述したように、会社としての“基 準”がないことによるリスクを考えると、これは避けて通れないこと である。

一歩先の基準作り

また、この『マニュアルJ作りを通して、業務改善に役立てること も必要である。

「今やっていることが一番良い」と考えている人は多 い。

しかし、現状をただまとめるだけではなしこの機会にこれまで の仕事の仕方を見直し、もっと良いやり方を考えてみる。

さらには、「3章業務の見える化としての『マニュアル』の作り 方」で紹介した業務改善のための“5つの視点”などを参考に“一歩 先の基準作り”をするという視点で取り組むことが重要である。

それ は、企業における『マニュアルJという知的財産(ノウハウの集大 成)の価値をより高めていくことになる。

『マニュアル』作成の手順

『マニュアル』の作成は、一つ一つのステップをきちんと踏んで、進 めていくことになる。

このステップの所要時間は、作成するマニュア ルの種類・内容(量)によって、当然変わってくる。

“とりあえずま とめる”ではなく、じっくりと腰をすえて取り組むことが必要である。

① 目的を明確にする

どんな仕事をするにしても、その目的とゴール(目標)を明確にす ることは、非常に重要なことである。

何のために、なぜ『マニュア ル』を作成するのか。

-バラバラなやり方を統ーしたい .業務の見直しをしたい -新しい設備・機械に対応したい .会社のノウハウを整備したい ・古い(使われていない)から

この目的によって、自ずとゴール(目標)は違ってくる。

「古いから…ー」「上から言われたから……」ということも、よく聞 く話ではある。

しかし、たとえ出発点がそうで、あったにせよ、これを 機会に、「会社の最新のノウハウをまとめたい」的な積極的な理由・ 意義を打ち出さなければ、作成メンバーの士気は上がらない。

『マニュアル』作成に関わる期間は、普通何ヶ月にもおよぶ。

非常 に気力・体力を使う、シンドイ仕事である。

メンバーに選ばれたこと は、名誉なことだと思えるような環境作りも、一方で必要である。

間 違っても、“貧乏クジをヲ|いた”と思われないように注意したい。

“目的”が明確になれば、ゴール(目標) もそれなりに見えてく る。

“目標”は、言うまでもなく、目指すところである。

ここでは、 1可を作る”かが、それにあたる。

さらに、次ページのような事項を検討することによって、『マニュ アル』作成に関わる全体像が見えてくる。

こうした点を明確にしてお くことは、作成段階における混乱の防止、振り返りのチェック項目と しても必要である。

・いつ頃までに必要かー……・・・………… ・完成時期 (それはなぜか・・・ex.現場の指導でイ吏いたいカ3ら) .優先度の高いテーマ・領域は何か……作成の範囲 -何が問題になっているのか…… 一……内容作りのポイント .どのように活用するのか………………教育・評価などの仕 組み作り ・費用はどのくらいかけられるのか……外注先、印刷・製本 のレベル 目的・目標、それに付随する事項、つまり、『マニュアル』作成の 全体像を明確にすることが、「マニュアル作成」に取り組む第一歩で ある。

<目的・目標等の例>

「販売基本マニュアル」を例にして、その進め方を見ていくことに しよう。

②メンバーを選出する

実際にメンバーを選出する前に、当然やっておかなければならない ことがある。

マニュアル作成の承認をとる 担当(関係)部門長の了解をとる メンバー選出の依頼をする

当たり前のことであるが、「マニュアル作成」の承認をとることが 必要である。

普通は、経営会議・役員会などで承認をもらう。

複数の 社員を現場から引き抜く。

それなりに費用もかかる。

会社の決議事項 にしなければ、その後の活動にも何かと支障が出てくる。

何より、選 ばれた社員の動きがとれない。

次に、担当(関係)部門長の了解をとる。

いくら経営会議等での承 認事項とはいえ、関係してくる部署には、協力依頼をきちんとしてお かなければならない。

また、直接担当する部門長とは、今後の進め方 全体について、意見交換しておくことが必要である。

メンバーの選出は、リクエストを明確にして、担当部門に依頼す る。

人数は、10名以下(5~ 6名)が望ましい。

もちろん、テーマ・ 内容にもよるが、人数が多すぎると判断・決定が遅くなる場合が多 し、。

<メンバーの候補> ・拠点、長(営業所長、店長あるいはブロック長など) →その仕事の全体を把握できている人 .テーマにふさわしい人材 →営業スキルが高い人、高業績者など ・本部の担当者→営業教育部門の人など

また、その際、目的・完成時期・大まかなスケジ、ユール(打合せな どの頻度、回数) ・作業内容(量)などを、あらかじめ伝えておく。

ただ、『マニュアル』の作成は、フタを開けてみるまでわからないこ とも多い。

あくまで目安として説明しておくことが必要である。

さらに、現場で活躍している第一線の人材を借り出すわけであるか ら、直属の上司にはくれぐれもこの「マニュアル作成」の意義・目的 などをはっきり伝えておく。

もちろん、選ばれた本人に対しても、で ある。

これをきちんとしておかないと、途中で、「こんなことまでやると は聞いていなしづ「こんなはずじゃなかった」「自分の仕事が何もでき ない」といった不満やトラフ、、ルになってしまう。

事前の準備・根回し は、非常に重要である。

③仕事を洗い出す

いよいよ、マニュアル作成プロジ‘ェクトの始まりである。

第1回の 会合は、通常半日程度をかけて行われる。

<第1回会合のプログラム(例)>

主旨説明は、事務局を担当するセクションのトップが行うのが普通 だが、プロジ、エクトのリーダーはメンバーの中から互選したほうが良 い。

「自分たちで(の)マニュアルを作る」という向覚と責任感を

持ってもらう上でも必要である。

リーダーが選出されたら、そのリーダーを中心に会合を進めてい く。

この進め方は、言うまでもなく、“プロジェクト” の終了まで続 く。

事務局は、円滑に進むように、様々な手助けをして、ゴール(完 成)まで支えていくことになる。

<「仕事の洗い出しjの手順>

④仕事の全体を聾理する

各メンバーが持ちょった『仕事の一覧表』をもとに、ブロック担当 者は、気づいた点、項目などを書き足す。

それが終わったら、全員で 全ての『一覧表』をチェック・検討する

このとき、現状の仕事をただまとめるだけではなく、“一歩先の内 容作り”という視点で見直すことが重要である。

<チェック・検討事項> -全ての業務が洗い出されているか ・タイトルや項目名などに問題はないか .モレや抜けがないか -新しい項目などの必要性はないか (一歩先の内容作り)

検討・修正が終わったら、各担当は、それぞれの項目の下位の内 容、つまり小項目を書き出すことになる。

(大項目) (中項目} (小項目} タイトル1c>I 項目| ゆ下位の内容

この作業の中で、小項目が出なかったり、逆に数多く出てしまうと いったことが起きたりする。

この場合、中項目のものをどこかの項目 に入れたり、小項目のいくつかを中項目に格上げするといった調整が 必要になる。

これはよくあることで、項目の“大きさ”(内容の大き さ)が、具体的にしていく作業の中で見えてくるのである。

実務経験 者の集まりだからこそであり、普段何気なくやっていることを整理し ていくと、当たり前だが、項目(内容)の大・小がふぞ、ろいになるこ とが多い。

こうして、大・中・小項目がそろった『仕事の一覧表jが出来上 がる。

これをまた全員でチェック・検討する。

全体を怖服し、その整 合性を見ていくと、さらにいろいろなことに気づくだろう。

複数のメ ンバーが関わっているので、その調整は非常に多くなる。

しかし、全 員で共有化することに意味がある。

このチェック・検討を繰り返して、より精度の高い『仕事の一覧 表Jを作ることになる。

ただし、この作業は整理すると言っても、か なりの時間がかかることもある。

実際に原稿作成に取りかかったとき にも、さらに追加・修正事項が発生するので、スケジ、ュールの中で、 “いつまで”と決めて取り組むことが必要である。

⑤フォーマットに落とし込む

『仕事の一覧表』をもとに、原稿の作成に取りかかる。

自分が担当した項目を作成するのが基本だが、一人で全部を書く必 要はない。

現場のメンバーに協力してもらうことも大切である。

周囲 を巻き込むことで、完成後の活用にも大きく影響してくる。

また、関 係他部署に取材をしたり、協力を仰がなければならないことも出てく るだろう。

フォーマットに落とし込む=原稿の作成においては、できるだけ 具体的な“手順”にすることが重要である。

それによって、“どのよ うに”作業(行動)すれば良いかが、一目でわかるようになる。

ま た、帳票類などは、書き方サンプルをつけることも大切である。

「盛り込む内容」とは、各原稿に共通して必要なものであり、重要 な要素と言える。

ただし、全ての原稿にこの要素を入れなければならないということ ではない。

内容に応じて取捨選択することが必要である。

次に、フォーマットの決定である。

メンバーが自分に都合の良いモノを勝手に作成しては、統ーがとれ なくなる。

ある程度は統ーしたモノが必要である。

どのようなフォー マット(形式)にするかは、盛り込む内容にもよるが、ここでは「1 章ノウハウからドゥハウへ」で紹介したフォーマットを使うことに する。

書き方・表記の統ーは、フォーマットを決めるのと同様に、『マ ニュアjレJ全体の統一性を図る上で重要である。

と同時に、誰がやっ ても同じようにできるためには、具体性がなければならない。

読む (使う) 側のことを考えて作成することが、何よりも大切で、ある。

-誰カf読んでもわかること ・理解(イメージ)が商じであること一一他の解釈ができ ないこと -誰カ1・やっても同じようにできること

いよいよ原稿の作成段階に入る。

しかしその前に作成の練習をし てみることが必要である。

決められたフォーマットに実際に落とし込 んでみる。

こういう経験をした人は少ないだろうから、意外に手こず るものである。

「どう書いて良いか、サッパリわからない」という感 想をよく聞く。

書き方・記述上の縛りや注意点に加え、『マニュア ル』として知識・技術を整理するという初体験に挑むわけであるか ら、困惑するのも無理はない。

しかし、これも慣れである。

何枚か書 いていると、自然に書き方のコツみたいなものがわかってくる。

そう すると、どんどん作成のスピードが上がってくる。

慣れてくると、今度は、‘つい、うっかり”いつもと同じように書 いてしまうということが起こる。

当たり前という感覚の差・違いが出 てくる。

メンバーにとっては、当たり前なことでも、新人にとっては 当たり前のことではない。

メンバーは、行間のすき聞を“経験”というイメージでつなぐことができるが、新人には、当たり前だが、それ ができない。

新人(知識・技術がない人)が読むということを前提に 作成することで、より具体的になるのである。

こういう経験・問題を一つ一つクリアしながら、『マニュアルJ作 成は進んで、いくのである。

“どうせ”と言っては何だが、第一稿は、 ほとんど全面修正に近いものになる。

だから、あまり気にせず、持っ ているノウハウなどを、どんどん吐き出すことにエネルギーを注いだ ほうが良い。

他のメンバーが良いアイデアを出してくれることもあ る。

ひたすら、“書く”ことに専念である。

⑥作成した原稿をチェックする

各メンバーが、それぞれの役割に応じて分担された内容を執筆して いく。

しかし、当たり前のことではあるが、作成した原稿がそのまま 決定稿になるわけで、はない。

“仕事の標準化”をする作業である。

会 社として、バラバラなやり方を統一していこうとする作業である。

一 人の考え方ややり方で決めるわけにはいかない。

メンバー全員で、作成した原稿(第一稿)を1枚1枚チェックしていく。

内容によっては、現場や関係部門にヒアリング・調査をし、最も優 れた方法などを収集することが必要で、ある。

修正した原稿は、「誰が やっても同じようにできるか」という視点で、さらに複数の場所・人 で検証してみる。

また、実際に作成してみたが、検討の結果、項目と しては成り立たないといったことも出てくるだろう。

その場合は、 『仕事の一覧表Jに戻って、修正をかけていく。

重要なことは、メン バー全員が、個々の原稿と『仕事の一覧表Jを合意し共有化すること にある。

“仕事の標準化”として、“会社の基準”としてふさわしいか どうかである。

チェック・検討をし、何度も書き直す。

前述した書き方・記述の注 意点などを踏まえて、取り組んできたわけだが、時として、ここで深 みにはまる。

例えば、「きちんと整理する」。

“きちんと”とはどうい うことだ。

もっと具体的にならないか。

ということで、どんどん検討 していく。

このプロセスは非常に重要であるが、何事にも程度という ことがある。

全体のスケジ、ユールの中で、作成・検討の期限を明確に しておかないと、ズルズルと完成時期がのびてしまう。

スケジ、ユール の中でできるところまで、やって、あとは次回の改訂版の引き継ぎ事項 にしておく。

完壁なマニュアルなどない。

その時点での100%、“全 員の納得”が、最も重要なことである。

この“チェック・検討”は、非常に重要である。

「実際とは違う」 「使えない!」といった声が後から出ることがあるが、それはこのス テップをきちんと踏んでいないことが原因の場合が多い。

こうして、原稿のチェックを繰り返し、また、関係部門との調整を しながら、決定稿へと進めていく。

作成した原稿をチェックし、『仕事の一覧表』にも修正をかけた。

これで仕事の全体と細部が一応把握できたわけである。

この段階で、 しかるべく関係部門や担当上司の了解をとっておくことも必要にな る。

マニュアルが完成してから、いろいろ言われたら、たまったもの じゃない。

この了解等は、仕事の全体が整理(ステップ④)できたと きや進捗状況に応じて適切なタイミングで上申したほうが良いだろう。

⑦ 『マニュアルJとして完成させる

『仕事の一覧表』や原稿をもとに、再度『マニュアル』としての全 体を見直す。

並び方はこの順番で良いのか。

“理解しやすい”“使いや すい”ことを考えるとどうなのか。

仕事の関係図やフローチャート は、写真やイラストなどの必要はどうか。

分冊にしてはー・ この『マニュアル』を読む(使う)側の視点で、検討を重ねる。

印刷・製本段階においては、次のような点を検討・確認する。

体裁上のちょっとした工夫が、評価や活用をより促進させることに もなる。

“誰が・どこで・どのように”使うのか。

それをよく考え て、最適な形にすることが必要である。

⑥承毘・回付する

完成した『マニュアル』は、企業の知的財産である。

しかるべき機 関(経営会議等)で承認を受け、管理番号(文書番号)などをもら い、登録する。

そして、管理を担当する部門(管理部・総務部など) に、『マニュアル』の原本(データ)を保管してもらうことになる。

これは、改廃のときも同じである。

会社で一括して管理することは、似たようなマニュアル類の作成を 防いだり、新旧の区別・履歴をきちんとする上で必要である。

何より も、財産として、登録・管理されることになり、『マニュアlレJの役 割・責任が明確になると言える。

『マニュアル』を配付する場合は、“何を”“どこに(誰に)”“い つ”配付されたかがわかるように記録しておく。

『マニュアル管理台 帳』などをもとに、『マニュアル』の所在がきちんと確認できること が必要である。

これは、改廃時の配付・回収や盗難防止にも役立つ。

繰り返すが、[マニュアルjは企業の知的財産である。

社外への流出 を防ぐ意味でも、その取扱いには十分注意しなければならない。

最後に、社内での認知I.広報活動について、触れておきたし、。

『マニュアjレjの企画段階から、社内の関心を高めるために、様々 な活動・手段(メディア)を使って取り組むことが必要である。

・社内報に、活動状況を随時乗せる -関係する各種会議などで、報告・協力を依頼する ・掲示板(webも含め)で、進捗状況を報告する 実際、会社にどんな『マニュアル』があるのか知らない人が本当に 多い。

“知らない”から“使わない”こともあるだろう。

その意味 で、この活動は非常に重要で、ある。

社内に対する積極的な働きかけ は、『マニュアル』の認知・活用にも大きく影響してくる。

もう一つの『マニュアル作り』とも言える重要な活動である。

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