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34  顧客の大切さを肌で感じる

34顧客の大切さを肌で感じる一人の顧客を守ることが、百人の顧客につながる。一人の顧客を失うことは、百人の顧客を失うことになる。その気持ちを忘れてはいけない。松下  お得意を増やしたい、売上げを伸ばしたい。商売をしているかぎり、だれでも欲することですが、それは決してたやすいことではありません。自分の店のお得意さんが、特に頼まないのに、お客さんを連れてきてくれる。「感じがいい、サービスも行き届いている」と言って、友人を誘ってくれる、そういう店になることです。  お得意を増やす努力はもちろん大切ですが、現在のお得意を守ることも、劣らず大事なことでしょう。一軒のお得意を守ることが、百軒のお得意を増やすことになる。一軒のお得意を失うことは、百軒のお得意を失うことになる、そういう気持ちが肝心でしょうな。  お得意さんというのは親戚関係なんです。商品があるでしょう。その扱っている商品というのは、いうなれば長いあいだ手塩にかけたわが娘や。その商品を買ってもらうというのは、自分の娘を嫁にやるのと一緒です。その得意先とわが店は、親戚になったことになるんです。〝娘は、むこうの家族に気に入ってもらっているだろうか〟〝近くへ来たついでに、ちょっと様子を見てこようか〟娘を嫁にやれば、そういう気持ちになる。自然に湧き出てきますわね。そういう心で商売に取り組んでいると、単なる商売を超えた信頼関係が生まれてきます。全部そうやれと言うてもできん話です。しかし、そういう気持ちが、これからはいっそう大事になってきます。  商売をやっていると、商品を吟味して、自信をもって販売するのですが、当然買う人の身になって考えないといけません。お得意先の仕入係になっているんだという心がけが必要です。そうすると、得意先は何を必要とされているか、どういう程度のものをどれほどほしがっておられるか、品質はどうか、値段はどうか、量はどれくらいか、いつ仕入れたらいいのか、そういうことを考える。それが仕入係の役目です。そうして考えていくと、お得意さんの意にかなうように、商品を勧めることもできるようになるわけです。  こんなことは、経営学の本には書いてない。ぼくは、学問は知らんから、むずかしいことは知らん。知らんけど、商売という現実の姿から見ることができ、勉強することができる。丁稚小僧でしたからな。九歳から丁稚ですわ。  ぼくだけやない。どこでも小僧がおった。そして、商売に歩く。そうしたらお得意さんから、いろいろ教えてもらえる。「こういうふうにしろ」「ああいう具合にやれ」とね。「こんにちは」「もう一ぺん言うてみい」「つぎにはこういうように言え」毎日、そういう教育を受けているわけです。  買ってくれる人があるから商売ができる。いちばん大事なのはお客さんだ。商売とは、お得意さんを大事にしないといかんもんや。こういうかたちで教育されたから、それを肌で感じているわけです。〔一九七六〕

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