普通は、「どんぶり勘定」といえばダメ社長を象徴するような表現です。 しかし、あえてこの表現を使ったのには理由があります。「どんぶり勘定」には、「数字を見る際に枝葉末節にとらわれない」というニュアンスもあるからです。 前項目で「社長は数字を直視しなければいけない」と述べましたが、なかには度を過ぎて数字にこだわる方も少なからずいます。 社長が考えるべき、優先順位の 1位は、儲けを出すことではないでしょうか。 まれですが、経理に妙に細かい社長がいます。 九州で婦人服小売店を経営していた X社長は、お金に関することはすべて自分でチェックしなければ気が済まない性格でした。そんな社長が着目するのは、「無駄な経費を使っていないか」「計算間違いはないか」「仕入先からの請求書の金額は合っているか」といったことです。 帳簿や資料についても、とてもきっちりとファイリングしており、経理処理に関しては非の打ちどころがありません。どうやら 1日のうちの大半は経理資料を整理整頓する時間に費やしているのでしょう。コスト削減にもうるさく、たとえばインターネット回線などで安いところがあればすぐに乗り換えて節約します。 ところが、肝心の事業経営に関する売上や利益、今後の事業計画などについてはほとんど考えていないのです。 X社長のような事例は極端ですが、社長が経理の細かい部分を気にし過ぎて、事業活動で大切な事業計画を考える仕事やマネジメントがそっちのけになっている場合があります。コスト削減に力を入れているだけではビジネスは拡大しないのは当然ですが、それに気付いていないのです。 社長が数字を把握するときに大切なことは、事業に大きく関係する部分に絞ってポイントをおさえてチェックするということです。社長の仕事は多岐にわたりますから、時間を有効に活用しなければなりません。 事業経営はスピードが大切です。細かいところに時間を使う暇はありません。 それでは、社長が数字をチェックする際に、どんなポイントをおさえるべきかご説明します。業種によって多少異なりますが、おおむね「損益」「資産負債」「資金繰り」の3つの観点で検証することが重要です。 ①損益の状況「利益は出ているか」「前年同期と比べてどうか」「店舗別(事業部門別)でみてどうか」「原価率はどうか」「過大な経費はないか」 ②資産負債の状況「現預金の残高」「在庫の有高」「売掛金の金額と回収状況」「借入金の残高」「各勘定は前期と比べてどう変化しているか」 ③資金繰り( 6カ月 ~ 1年間)「現金売上、売掛金の回収見込」「仕入・諸経費の支払予定」「借入の返済予定」「その他の入出金予定」 それぞれについて、最低でも月 1回はチェックする習慣をつけましょう。とりわけ、現預金の残高や売掛金の回収状況など、資金繰りに関係する項目は頻繁なチェックを要します。数字をチェックしただけでは意味がありません。 大切なことは、こうした数字を把握したうえで事業活動の今後の方向性を判断するということです。店舗別や部門別の収益を見て足を引っ張っているところがあれば、何らかのテコ入れして改善するのか、あるいは撤退を考えるのか、そこで社長の経営判断が求められます。 会社にとって、数字はイコールお金です。規模が大きくなればなるほど、数字の変化を素早く読み取って経営の舵取りを行うことが重要です。 29/儲かる社長は、数字を把握する時はポイントをおさえ、利益を生み出す事業に力を入れる!
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