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27  坦々とした道を歩く

27坦々とした道を歩くできるかぎり危ない道を渡らないように、坦々とした道を歩んでいくことを考えておきたい。 ――経営をしていると、しばしば障害にぶつかります。そのようなとき、われわれ凡人経営者はその障害を避けようとするものですが、松下さんにはそれを乗り越えていく力強さを感じ、いつも感心しているのですが……。松下  そうですか、どうもおそれいりましたな。それは私の経営が、あなたから見ると、まあ障害物があってもそれをものともせず、どんどん乗り越えていくと。あるいはまあ、蹴って動くものであれば、蹴って動かすというように見えるという意味も多少含まれていますね。ところが事実はそうやないんですよ。(笑)なるべく抵抗のないように仕事をしていこうというのが私のとっている方針なんです。  なるべく抵抗なしにやっておるから、比較的うまく進みますやろ。だから少々の障害であれば、それを乗り越えたり蹴飛ばして、動くものであれば動かしているんだろうとお考えになっているかもしれませんが、それは違うんです。  かりに石を除けるとか、石を飛び越えるとか、あるいは蹴飛ばすとなれば、うまくいった場合はそれでよろしいわね。しかしうまくいかなかったらケガしますわな。そうでしょう。それで三日も治療せんならんというようになりますわな。  だからね、なるべくそういう危ない道を渡らないように、坦々とした道を歩んでいこうという考え方に立っているんですよ。しかし、世の中というものは、こっちが避けても、避けたら避けただけまたこっちにやって来るというような場合もあります。問題は、そういう場合ですな。それでもなお、避けられれば避けると。避けきれない場合は、これは衝突ですわな。けれども、それは避ける方法を知らないのであって、さらに避ける方法があるかもわからんと私は思いますね。  しかし、避けきれないにもかかわらず、避けようとすることはこれはムダですわな。避けきれない場合には、避けきれないようなかたちにおいて、やはり進まないといかんでしょうな。そして道も何もなければ、なるべくケガしないように、今度はそいつにぶつかっていく方法を考えないといかん。まあ、相手が生きているものであれば、その人も殺さないようにいくということですな。えらい禅問答みたいになって、はなはだこう恐縮ですけれども。(笑)〔一九六三〕

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