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22  決断を下す方法

22決断を下す方法素直な心で、心を空にしてものを見る。雑音を聞きながら、それを聞き分ける。そうして社員の進言を見極め、決断を下すのが、経営者の仕事である。 ――経営者の決断には、小さな決断から大きな決断までいろいろあります。その中でも特に大きな決断を迫られる際には、いつも身を切られる思いがするのですが、そのようなとき、経営者が心しなければならないポイントはどこにあるのでしょうか。松下  真実を見るということでしょうな。真実を見るということは、素直な心をもっていなければいけない。何か欲をもってものを見たらいかん。なんにもなしでね、心を空にしてものを見るというか、素直な心で見たら実相が分かる。  とらわれた心をもっていてはいかん。名誉にとらわれたり、世間の評判にとらわれたりしない。そういうものにとらわれないで、〝笑わば笑え、自分は正しい道を行くんだ〟という強さがなかったらいけませんな。雑音に心が乱れる、これがいかんですね。  もちろん、雑音も聞かないといかんですよ。雑音を全部遮蔽してしまうと、それは独断になる。ただ、雑音にとらわれないようにする。雑音の聞き分けですな。それができない経営者だと、これは具合が悪い。雑音を聞き分けられないと誤診することになる。経営者としての誤診は会社に損をかける。その意味で、経営者は、雑音も聞きながら、それを聞き分けることで、初めて正しい決断が下せる。  この人はいいと思っているけれど間違っていると見抜かないといかん。そういうことはたくさんありますよ。会社のためと思って進言する。しかし、ときにはその人の錯覚で間違っている。その場合、経営者としては、「きみは錯覚している」と言うだけのものをもっていなければならん。  大将というものは軍師と違うんですからね。軍師はこういう戦法をとったらいいということを進言しますわね。勝つと思って進言する。しかし、この進言を採用するかしないかを決めるのは、これは大将の仕事ですわ。大将のすることは決定だけですよ。  十人の軍師があれば、十人の意見が一致する場合もあるし、意見が三つに割れることもある。そのどれをとるかは大将が決める。大将が決定権をもっている。決定をしない大将は愚将であって、愚将では戦は負けです。(笑)  大将が決断を下す。あとは、全員が足並みをそろえる。こうなると大将の統率力の問題になるわけです。そして、統率力となると、それは大将の識見によってすべて決まる。この大将が決めたことであれば間違いはない、ついていこうと、こうなる。〔一九七六〕

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