「お客様が第一です」という社訓を掲げている社長はとても多いですね。 ところが、真にこれが実施できている会社はごくわずかに過ぎません。なぜなら、お客様と直接対応している社員に、この考え方が浸透していないからです。 役所の窓口にいる職員がその最たる例です。 私がかつて住んでいたとある市の市役所では、ポスターに「市民のために親身な応対を心がけます」と書いて貼ってありました。ところが、窓口の職員は「おたくが書いているのは間違ってるね ~」など、間違いを指摘する時のいい方も、何かバカにしたような感じでした。いくら市役所として「親身な応対」を指導しても、現場の人が全く実践していないのです。 この役所と同じようなことが、実は中小企業でも起こりがちです。「いや、わが社では毎朝の朝礼で繰り返しいい聞かせているから浸透している」「お客様対応のマニュアルをつくって徹底しているから大丈夫」などと思っていても、なかなか思うとおりに実践してくれていないと思ったほうがいいでしょう。 社員に「お客様第一」と指導しても実践されないのは、いくつかの理由がありますが、「自分と直接関係のないことだ」と考えていることが大きいのではないでしょうか。「お客様第一」は会社のためであり、「自分の利益には関係ない」と考えているのです。 社員に「お客様第一」を徹底させるには、社員 1人ひとりが経営に参画している意識を高める工夫が必要です。そのためには、まず「従業員満足度」を高めることから始めます。社員にとって、会社や社長に不満があればあるほど、「会社のために顧客満足度を高めよう」という気持ちはなくなります。 中小企業の社員は、社長のことをよく見ています。ある社長は社員に「遅刻しないでしっかり働け」といいながら、自分は毎日のように仕事時間中にパチンコに行っていました。社長本人は知られていないつもりが、狭い街のことなので、実はすべての社員が知っていたのです。これでは、社員がいうことを聞くはずがありません。 社員にとっては、会社のなかでも外でも、自分の会社の社長の行動や言動は気になるものです。社長は自分の行動に責任を持って、社員から尊敬される存在になるよう努力することが大切です。それが「お客様第一」を実践させることにもつながります。 東京で生活雑貨卸売業を経営する O社長は、社員の満足度を高めることの重要性を常に意識している人です。社員とのコミュニケーションを非常に重視しており、月に 1度は個別の社員とじっくり話す機会を設けていました。 その場では、仕事だけではなくプライベートの悩みの話を聞きながら、「もっとよくなるためにはこうしたらいいのではないか」といった話をして社員との距離を縮める工夫をしていたのです。 また、給料袋には、「お父さんはこんなに活躍していてとても助かっています」といった文面の手紙を入れて手渡していました。さらに、社長自らが講師になって、経営計画や「論語」などを題材にして勉強会も開催しています。 もちろん、必ずしもこうしたやり方ですべての社員の満足度が上がるとは限りませんが、コミュニケーションの円滑化が図られただけでも、社員は社長を尊敬するようになる可能性があります。 実際、私がこの会社の何人かの社員にインタビューしたところ、「あの社長がいるから皆ががんばっている」という発言がありました。この会社は、業種的には経営環境がかなり厳しいですが、社員の満足度が高いことから業績は現状維持で推移しています。販売先、つまりお客様の数が多く、それぞれの担当社員には「お客様第一」の考えが浸透しています。万一、何かクレームがあれば、社長自らが飛んでいって謝るということも徹底していたので、固定的な取引先が確保できているのです。「顧客満足」を高めるには「従業員満足」が重要で、「従業員満足」を高めるためには社長や上司が尊敬されるようにならなければいけません。 社長や経営幹部が、社員と目標を共有して一枚岩となってまい進する姿勢を示すことが大切です。そのためには、社長と社員、上司と部下との接点をできるだけ増やして、社内のコミュニケーションを円滑にすることが重要なのです。 19/儲かる社長は、従業員の意識を高め、顧客満足に努める!
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