第5章時間軸に応じた戦略を行なう
①市場参入への基本方針
企業活動として、製造業では顧客に安くてよいものを生産し、販売業では売れるものを安く仕入れることが当然のことです。そして、企業は市場が受け入れ、顧客ニーズを満たした商品を持つことが重要となります。
企業が成長し存続していくには、自社の商品と受け入れる市場をつねに考えた戦略を打つ必要があります。
市場参入というテーマになると、参考にできる理論としてアンゾフ博士のマトリックスフレーム=製品・市場マトリックスが参考になります。
これは、事業拡大のためには2つの軸——水平軸としての「既存製品」と「新製品」、垂直軸としての「既存市場」と「新市場」——を考える必要があるということです。
企業においては、成長するためには多角化が全社の戦略と考えることが必要ですが、一般的な企業では事業間の連携を考えて次の事業を考えていかないと大きなリスクとなります。
つまり、一つの事業で成功した企業は、まったく新しい事業に参入するのではなく、過去につくり上げた資産のうえに次の事業を展開するほうが成功確率も高くなります。
ある市場が成熟し、他の方向へと進まざるを得なくなった企業がよく考えるのは、
・同じ製品を他の市場で売れないか?
・同じ市場で別の製品を売れないか?
といった疑問です。
しかし、ランチェスター戦略における市場参入の基本方針は、既存製品を既存市場にどのように参入したらよいかを考察していきます。
②市場参入の「5W1H」
市場参入の基本は、自社の市場参入が先発か後発か。そして、もっとも重要なのが製品のプロダクトサイクル(導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つの段階)での製品の時期を把握したうえで市場参入の戦略を考慮することです(プロダクトサイクルの各段階の特徴と市場参入の注意点は後述)。
ランチェスターの市場参入戦略の基本は「弱者の戦略」が基本であり、とくに後発メーカーの場合は、プロダクトサイクルの段階を見きわめ、先発メーカーの状況と戦略を自社と相対的に見て、どのように差別化するかがカギとなります。
反対に、先発メーカーはコストリーダーシップを発揮し、低価格競争も視野に入れた市場シェアアップを徹底的に図り、後発や新規メーカーに対して参入停止となるような障壁をつくる戦略を打つことが有利です。
市場参入の基本的な考えとして、5W1Hの質問に対し冷静に検討する必要があります。
- Why:「なぜ市場参入するのか?」自社の経営理念や事業ドメインに合致しているか?
- What:「どの製品で市場参入するのか?」自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有効に生かせるか?とくに、ヒトの戦力化とやる気を引き出せるか?
- Where:「どの地域に参入するのか?」弱者は点の市場重視で地域を絞れるか?
- Who:「顧客は誰か?どんな客層か?」顧客のセグメンテーションとターゲティングはできているか?
- When:「いつ市場参入するのか?」製品のライフサイクルの段階を把握しているか?先発か後発か?
- How:「どのように市場参入するのか?」市場参入戦略は弱者の戦略であるが、その基本戦略を理解しているか?
③市場参入のプロセス
企業にとって、どのような顧客にどのような製品を売るかということはもっとも基本的な活動です。そのためにも、自社製品を売る市場と顧客を明確にしておかなければなりません。
「市場」とは、ニーズ(顧客の満たされない欲求)や、ウォンツ(製品やサービスを求める感情)を持った人々の集まりです。
「セグメント」とは、その市場の中で共通のニーズを持ち、製品の認識の仕方、価値感、使用方法、購買の行動が似ている顧客集団をグループ化することです。
「ターゲティング」とは、セグメントした顧客集団のグループの中から製品を買ってほしい顧客を具体的に決めることです。
最近はとくに、社会や周囲の環境変化によって顧客ニーズが急変する可能性があります。そのため、市場をいくつかのグループに分けて細分化するセグメントや製品を売る具体的な相手とするターゲティングを見直したりする必要があります。
④市場参入のため、消費者の階層をどう分けるか?
企業が製品を売る際、最終消費者の製品購入の態度に注目し、購入時期の早い順に5つに分ける方法があります(ロジャースのイノベータ理論)。
①革新的な購入者(イノベータ):とにかく製品を早く手に入れたいと願う購入者で、全体の約2・5%と少ないが、製品普及の火付け役である
②初期少数購入者(オピニオンリーダー):イノベータに次いで、他人より我先にと先駆けたい購入者で、全体の13・5%といわれる
③前期多数購入者(アーリーマジョリティー):製品の普及につれ、他人に遅れを取りたくない購入者で、実績を重んじる傾向がある。全体の34%を占める
④後期多数購入者(レイトマジョリティー):みんなが購入しているからとの理由付けにて購入する人々であり、全体の34%を占める
⑤採用遅延者(ラガード):伝統主義的なやや頑固な一面もあり、普及と購入には直接結びつかない人々で、全体の16%といわれる
⑤市場参入のため、消費者階層に応じた価格戦略を
新製品などの市場参入の戦略としては、基本的に2つの価格戦略が採用されます。
1つ目は、製品をあえて低価格で販売し、市場に普及することを優先する戦略で、2つ目は、業界標準より製品価格を高く設定し、製品の高級感と希少価値を理解してもらう戦略です。
前者はペネトレイティング・プライス(市場浸透価格戦略)といわれ、消費者階層でいうと前項③④の前期・後期購入者の合計68%に焦点を当てた価格戦略です。
一方、後者はスキミング・プライス(上澄み吸収価格戦略)で、前項①の革新的購入者層と②の初期少数購入者層を狙った価格戦略。
具体的事例として、ペネトレイティング・プライスの価格戦略はコピー機本体を安く売り、市場に普及させて保守料とトナーなどの消耗品ビジネスの拡大を狙う戦略です。
さらに、スキミング・プライスの価格戦略の事例として発売当初の画期的新製品や高級感を出した製品、たとえば液晶テレビや電気自動車などがあります。
⑥「プロダクト・ライフサイクル理論」とは?
プロダクト・ライフサイクル(PLC、製品ライフサイクル)は、商品(製品・サービス)が市場に投入されてから退出するまでを複数の段階に分ける考え方。
最大のマーケティング効果を実現するために、製品ライフサイクルを的確に捉え、各段階の特性に即した戦略をとることがきわめて重要となります。
PLC理論は、イギリスの数学者ベンジャミン・ゴンペルツの成長曲線(ゴンペルツ曲線)モデルに基づき、植物などの成長と同様、商品市場もS字状の成長曲線に沿って発展するとの考え方に基づきます。
ランチェスター戦略では、商品市場の成長を「導入期」「成長期」「成熟期」「飽和期」「衰退期」の5段階に分け、各段階ではグー・パー・チョキの3つの市場参入戦略をとります。
このPLC理論は、経験曲線効果とともにPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の根拠となる考え方として、経営計画や製品開発計画および市場参入などの事業戦略策定と意思決定での重要な考え方となっています。
⑦PLCの各段階における特徴と4つのポイント
PLC曲線上には、各成長段階を特徴付ける4つのポイントがあります。
最初に訪れるのが、導入期が終わる時点の「デシ・ピーク(DP)」。次に、成長期に入って一時的に横ばいになる時点の「プラトー」、3番目が成長期の終わりを示す「ターニングポイント(TP)」、4番目が成熟期のピークにくる飽和点の「ピーク(P)」です。これら4つのポイントは、先述の消費者階層とも密接な関係があります。
PLC曲線は、市場参入のタイミング的進退の判断に重要となるのみならず、各消費者階層と市場の特徴に合わせた戦略的マーケティング設計へのガイドとなります。
このように、これら4つの節目のタイミングにおける正確な市場・商品動向に対する判断と、各段階でとるべき適切な戦略の採択が、新規市場参入の成否を担う重要なカギとなります。
⑧PLCの各成長段階における特徴と対応
①デシ・ピーク(DP)
導入期の終わる時点で、文字どおりに、市場規模がピークの10分の1となる点を指します。利益はDP点を過ぎて成長期に入るところから計上されはじめます。
このため後発企業としては、このDP点までは焦らず先発企業の動向と商品の動きをじっくりと観察し、十分に勝算を見きわめたうえで市場参入していくことがカギとなります。
②プラトー(Plateau)
プラトーは高原を意味し、何かの過程において、進歩・進展が一時的に止まって横ばいの状態になる一時的な停滞状態を指します。
PLCにおいては、たいてい商品の普及率が10~15%に達した段階で起こります。プラトー現象が起こるのは、市場の参入方法と密接な関係があります。
イノベーター層からの商品展開を図るスキミング・プライス(先述)を取ると、その上層の購買者による購入が一巡してしまうと一時的に普及が止まることによります。
このプラトー現象の後、再び上昇に転じるケースとそのまま落ち込むケースがあり、この判断が新製品・事業の成否を大きく左右します。
この判断は容易ではありませんが、プラトー現象が終わるとき(ポスト・プラトー)は先発企業の開発利益がようやく上向く時期といえます。
すなわち、後発企業にとって、ポスト・プラトーのタイミングは市場参入戦略の大事なキーポイントとなります。
③ターニングポイント(TP)
成長期とその次にくる成熟期の境目がTP(転換点)で、たいてい商品の普及率が50~60%に達した時点でさしかかります。その判定はなかなか難しいのですが、ランチェスター戦略で一定の目安としているシンプルな3つの判断基準を紹介します。
⑨TP(転換点)判定の3つの判断基準
その1:需要の伸びの鈍化金額の変化では一概に判断できません。
データ処理の方法によっても異なってくる要素もありますが、一つには、数量(販売個数など)の伸び率の差などを変化の指標とし、その変化が鈍化するポイントを見出します。
その2:先発と後発の占拠率の変化TPは、成長期と成熟期の境目となる転換点です。
TPの当初、すなわち成長期の終盤では、先発商品と後発商品のシェアは50対50で均衡してきますが、ひとたび成熟期に入ると、先発商品のシェアは徐々に下がりはじめ、後発商品のシェアが上がってきます。
このTPにおいて、先発企業と後発企業が、それぞれとるべき明確な戦略(ランチェスター戦略における「強者の戦略」「弱者の戦略」)については後述します。
その3:参入の停止新規参入がほとんど止まってしまうのも、成熟期の特徴の一つです。
この特徴はある条件を満たす市場に見られますが、その条件としては、先発企業がランチェスター戦略「強者の戦略」をとっていることが挙げられます。
先発商品が圧倒的な市場占拠率の維持に努め、メインとなるチャネルを揺るぎなく押さえているなど、後発に対する参入障壁を築いている場合、成熟期における後発商品の参入は容易ではないといえます。
【TPにおける戦略】・先発企業(強者)の戦略:徹底的な寡占化を図ります。
値下げは避け、セールス・プロモーションなどの手段により、市場占拠率の維持向上に努めます。
・後発企業(弱者)の戦略:先発のライフサイクルの段階を見きわめ、セグメンテーションを基本戦略とします。
短期化するプロダクト・ライフサイクルへの対応近年、開発技術や流通手段の向上により、製品開発が格段にスピードアップしてきています。
さらにはIT技術の進化と普及により、市場や顧客の動向が瞬時に把握できるようになり、また、消費者の比較購入の自由度の高まりから急速に価格競争が進む時代となってきました。
このような環境の中、現代のPLCはきわめて短期化してきています。
米アップル社のビジネスモデル米アップル社は、2010年5月、その時価総額が2213億ドル(19兆9000億円)となり、米マイクロソフト社を抜きました。
その株価は10年ほど前にくらべ、数十倍にも成長しています。
このあいだに目覚ましい成長を遂げたグーグルですら5倍ほどであることにくらべると、じつに驚異的な発展といえます。
この10年間では、数多くの金融破綻が生じ、大手企業の倒産も相次ぎ、世界的には不況といわれてきました。
そのような中、なぜアップル社はこれほどまでに著しい成長と成功を続けているのでしょうか?
アップル社は、2001年、当時ソニーなど強者寡占状態にあった携帯音楽プレーヤー市場に、iPodでドラマチックな参入を果たしました。
その後もiPhoneで、大手先発・競合がひしめく通信端末市場に参入、ついでiPadで再度、パソコンや書籍の市場を塗り替えはじめています。
参入の際は後発、しかし、つねにイノベーターを意識し、サービスコンテンツとの一体化などで先発の強者に徹底的に差別化、そしてプロダクト・ミックスを維持しつつも、徹底したセグメンテーションで、参入時は一点集中。
この短期化するPLC時代を綿密に分析した市場参入と製品開発戦略こそが、アップル社を中規模のパソコンメーカーから、市場を牽引・成功を続ける時代的企業へと進化を遂げた最大の秘訣ともいえるでしょう。
⑩導入期の「グーの戦略」
導入期は市場の発達段階で、新技術や新製品によって市場が創出される場合もあります。
したがって、この段階の基本目的は第一次需要をつくり出すことで、製品のメリットや他製品との優位性を迅速にアピールすることです。
しかし先発メーカーとしては、競合他社がまだ存在せず需要が喚起できるか未定で、しかも製造やマーケティングコストがかかり、投資期間としてのリスクもその分多いと言えます。
そのため、導入期の市場は小さいので、基本的戦略としてターゲット顧客は革新的購入者「イノベータ」と初期少数購入者「オピニオンリーダー」層に絞り、一本釣りのような直接販売で間口を絞り込んだ差別化・一点集中戦略=「グーの戦略」(手を握り締めた)を徹底することです。
さらに、導入期の戦略的な思考として、製品の市場テスト、需要喚起テストなどのトライ&エラーを兼ねるため、製品改良や売り方変更などを柔軟に行なえるよう準備することも大切です。
⑪成長期の「パーの戦略」
製品が市場に浸透すると、買い手は購入や製品の使用方法などに知恵付いてきますが、この段階で製品の差別化や競合製品との優位性を買い手にアピールする必要があります。
つまり市場が拡大・多様化し、波及効果が出る状況で、企業の戦略としては導入期での差別化・一点集中主義=「グーの戦略」から拡大路線をイメージした「パーの戦略」(手のひらを広げた)をとります。
顧客層としては、初期多数購入者層「アーリーマジョリティー」にも広がり、先発に加え後発メーカーも市場参入し、顧客獲得競争が激化します。
その中で、先発メーカーは後発メーカーへの参入を困難にするため、顧客層に合わせた価格戦略をベースとして製品ラインを広げておくことがおもな戦略となります。
一方の後発メーカーは、参入時期としてはPLC曲線のプラトー(もっとも高い段階)を見きわめ、技術的・機能的・デザインなどの優位性をアピールする差別化戦略で勝負することが有利となります。
⑫成熟期の「チョキの戦略」
市場での製品普及率が60%を超えると、成長期から成熟期に突入し、販売量が増加しても売上の伸び率は停滞します。
成熟期の戦略では、製品ライン、製品価格、販売地域・チャネルの集中と選択が必要とされ、切り捨てをイメージした「チョキの戦略」(指を2本出す)が重要です。
客層も製品の普及とともに後期購入者層の「レイトマジョリティー」が増えて製品の差別化が困難となり、価格競争が激しくなります。
成熟期を有利に戦うには、成長期にシェアを高めた企業・製品が有利で、ランチェスター戦略のナンバーワン企業は「強者の戦略」、2、3位は「弱者の戦略」と差別化戦略を徹底すべきです。
この段階の市場参入者はあまりありませんが、地域・顧客・ニーズを見据えたニッチな市場で戦わざるを得ません。
したがって、成熟期の戦略においては、ランチェスター戦略の基本をいかに生かし、市場での戦いを実践するかが大きなカギといえます。
⑬商品構成と多角化の技術
ライフサイクルをそれぞれ異にする複数の事業や商品の組み合わせを多角化と呼びますが、この目的は次の2つです。
①会社の安定的な成長②事業リスクへの対応ランチェスター戦略では、これらの課題への適切な対応を取るため、まず②のリスクを「風」にたとえて2つに分類します。
①「不況の風」:不況により、市場規模が小さくなること②「占拠率の風」:法律が変わったり、社会的な価値観やライフスタイルの変化により、自社商品の市場が大幅に縮小すること(占拠率とはシェアのこと)これらのリスクおよびPLC上の推移にともない市場規模が変化することに対応し、商品構成を図のような角度に屏風を立てるのが好ましいと言えます。
プラスC~マイナスCまでの構成比率は、正規分布の数値が根拠です。
1つの商品や事業を見れば、時間の推移とともに図の左から右に移っていきます。
Column事例16
多角化、占拠率の風――ナカシマプロペラグループ②――船舶用プロペラのメーカーとして圧倒的なシェアを誇るナカシマプロペラグループは、単品メーカーであるがゆえに、昭和40年代の造船不況の波をもろに被った。
社員を大切にする社長は、このとき断腸の思いで社員数の削減を行なったが、その教訓から、本業を補完する事業として、労働集約型であるソフトウェア業に進出した。
その後、工場見学に訪れた地元の医師のアドバイスを生かし、人工関節の製作に乗り出した。
曲面が多くて製造が同じ、鋳造→機械加工→手仕上げという流れであることなど、プロペラと技術的なシナジーが大きく、現在では第2の柱として成長している。
おわりに
●実践する際に高い成果を上げるための留意点
本書の中でたびたび述べているように、ランチェスター戦略はシンプルでわかりやすく、しかも効果の大きい戦略です。
ここで、実践する際に成果を高めるための留意点として、以下2つのことに触れておきます。
一つは応用力(とくに「差別化」で)の点で、「商品・サービスの価値向上や、顧客との信頼関係の強化」をひたすら続ける職場風土の醸成が基本ですが、もう一つ「何をどのように差別化するのか?」のアイデア出しも重要です。
ビジネスの能力として非常に重要な「アイデア出し」はセンスの領域になりますが、これも基本はまず職場内を創発的、活発な雰囲気にすることになります。
なお、技法(この手順で進めればアイデアが出やすいというもの)としては、創造技法や問題解決技法と呼ばれる分野で手順が多数発表されています。
一例に、本書59ページ〔*こちらを参照〕の下図に「チェックリスト法」として使えるよう差別化のヒントを例示しています。
もちろん、問題意識を高めておけばニュースや本を目にしたり街を歩いているとき、アイデアの素材は蓄積されていくものです。
2つ目は、実行の管理、つまりマネジメントの問題です。
これも時折耳にする言葉ですが、「戦略にもとづいて計画を立てても、営業員や営業部門は守ってくれない」ことについてです。
これは一般的なマネジメントとして、①営業員・営業部門の育成②評価・インセンティブシステムの設計と効果的な実行の管理が重要だと思います。
また、目標達成の管理について、シェアが短期間で上昇することは稀であり、通常数カ月~数年かかることもありますが、その間は忍耐が必要になることをマネージャー・経営者は配慮してください(まずトップがランチェスター戦略の理解を進めるのも一つの方法)。
ランチェスター戦略を導入し業績を伸ばしているある会社は、業績評価の項目を、「売上げの結果責任」は事業部門のトップのみにし、営業部門には評価項目を「計画と実施の結果」のみにした会社があり、その後の進展に興味を持っています。
●F・W・ランチェスターと田岡信夫
ランチェスターは〝第二のダ・ヴィンチ〟と称されるほど多能で好奇心旺盛であり、ベンツ社の顧問でありながら飛行機にも興味を持ち、航空工学のエンジニアとしても大成しました。
とくに第二法則への洞察は、翼性能を大きく発展させるヒントとなった有限翼と揚力の関係から得られています。
のちに、飛行機が戦争に与える影響にも興味を持ち、双方の戦力と損害量のあいだにある関係を分析し、第一法則と第二法則にまとめました。
シェアの目標数値の導出以降の理論は、同僚の斧田太公望氏との共同作業で、「地域戦略」~「市場参入戦略」の実践編は田岡が構築した体系なのに、「田岡の戦略」とは呼ばずに「ランチェスター戦略」と名づけたのは、卓越した思考力と見識を有したランチェスターに対する敬意のあらわれとも想像されます。
最後になりましたが、数々の資料や情報を提供していただいた田岡佳子名誉会長、内容をチェックしていただいた竹端隆司理事長、いくつかの事例を提供していただいた当協会インストラクター名和田竜氏に心からお礼申し上げます。
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