鬼 100則 100辞めた社員は金
多くの経営者が、辞めた社員のことを悪く言う。 「あいつは、こんな風だった」「良くしてやったのに、こんな風に辞めていった」 そんな情けないことは一切言うな。社長が辞めた社員の悪口を言っているのを、社員はどういう思いで聞くだろうか。 辞めた社員と、今いる社員とは接点もあるだろう。だから会社の満足できない点を理由に離れていった社員は、辞めてなお自分が悪く言われるのを聞くことになる。それは会社にプラスになるだろうか。 彼らはどんな思いで辞めたのか。成果が上がらなかったのには必ず理由がある。能力が足りないこともあるだろう。しかし、彼らの能力に見合う仕事を渡していたのか。指導は正しく行われていたのか。 社長は逃げることなく向き合い、辞めた社員の痛みまでをも受け止めなければならない。 少し時間をおいてから、彼らを食事に誘う。そして頭を下げる。 「お前が夢をもって人生を預けてくれたのに応えてやれなかった。悪かった」と。彼らにとって、一度きりの人生の貴重な時間を無駄にしたのだ。育ててやれなかったのだ。 そして聞く。「教えてくれ。会社を良くするには、どこをどうしたらいいと思うか?」と。最初は口が重いだろう。でも、こちらが誠意をもち、胸襟を開いて話をしていると知ったとき、彼らは口を開いてくれる。そのとき聞ける話は、まさに〝金〟に匹敵する厳しい意見ばかり。身をもって経験した会社の改善すべき課題を鋭く突いてくれる。耳が痛い。 内部を知る彼らの経験から出てくる言葉は、どんなコンサルタントの言葉より重く、そして意味がある。そこを改善すれば、会社は輝く会社に生まれ変われるのだ。 社長が頭を下げ手を握り、これまでのことに感謝する。何となく気づいていても、フォーカスせずにやり過ごしていた会社の弱点を教えてくれる彼らは、社長にとって〝金〟だ。彼が辞めた理由は、会社の成長を妨げている大きなトゲだったのだ。聞いたことをどうやって改善するか。それが社長の仕事だ。 辞めた社員は〝金〟。そして今、会社のために辞めずに活躍してくれている社員はもちろん、それ以上に大切なプラチナだ。
あとがき 人は誰しも幸せな人生を歩みたい。だが、幸せは突然天から降ってくるわけではない。幸せを掴み、幸せを手にしたければ、まず、将来こうありたいという夢を〝妄想力〟を使って大胆に描くことからはじめないといけない。逆に言うと、現在の延長線上に自分の将来を描いても、幸せな人生はやって来ないということだ。 世界の賢者も「人類を支配しているのは想像である」(ナポレオン・ボナパルト)、「夢、これ以外に将来を作り出すものはない」(ヴィクトル・ユーゴー)などとして、〝強烈な想像や夢、強い志は現実化する〟と口を揃える。これは経営者に必須の能力だ。 経営者としてビジネスの世界に飛び込むはるか以前より、私はこの夢見る力を駆使して、誰もが青年期にぶつかる人生の壁を乗り越えてきた。 そして誰もが越えられないと思うような高い壁も。 皆、何かしらの夢を持っている。行きたい学校、なりたい職業、成し遂げたい人生をかけた夢。その中でなぜ私は、昔自分が夢見た人生を上回るような成功を手にできたのか。 私は妻から「夢見るゆめおくん」とよく言われた。 できるはずがないと思われるような壮大な夢を描いた。想像どころか、「妄想」していた。 大学受験に際しては、「いつの日か海外で仕事がしたい」という少年の頃からの夢実現のために、私は上智大学を目指した。どうしても合格したい。しかし、英語が高校のクラスで中位の私にとって、上智大学合格は夢のまた夢。絶対に無理と言われた。 だが、上智大学には絶対に合格するぞという〝妄想〟が、その後、とてつもない隠れた情報を引き寄せてくれた。 過去問を見て驚いたのは、上智の入試には帰国子女向けに設けられた第二語学があること。難易度において英語に比べると大学入試と中学入試ほどの差があることがわかったのだ。これなら 3年間集中すればドイツ語でも合格できると確信。出身の大手前高校はたった数名のためにドイツ語の授業を用意。 まさにブルーオーシャンの世界の発見だ。そして合格を手にすることができた。 そして、この「妄想力」こそが、私の経営人生にも成功をもたらしたのだ。 あなたは心のどこかにある壮大な「妄想」を、それは無理だとすぐに殺してはいないか? 脳が千切れるほど探し、考え、悩み尽くすほど「熱望」しているか? 記憶力や体力などで他に劣る〝弱者の自分〟は、この〝妄想力〟を起点に、強者にも打ち勝てる「弱者の戦略」に目覚めたのである。そして人生を通じて「妄想」を持ち続けたことが普通の男の能力もはるかにしのぐところにまで引き上げてくれたのだ。 妄想力を駆使して、「ありたい自分の将来」を思い描き、「現在の自分」と比較し両者の間のギャップを探る。このギャップこそが「自分にとってのこれからなすべき課題」なのだ。 いつまでに、何を、どのように行うことで、この課題を解決すべきかを考え、それを工程表に落とし込んで行く。あらゆる情報を集めて分析し、成功のための確かな要素を見つけて対策を立てる必要がある。 これが人生戦略成功の要諦であり、かつ経営戦略成功の要諦でもある。 私が本書で展開している、実践に次ぐ実践の中、死に物狂いで作りあげてきた経営ノウハウも、全てこの〝妄想力〟が大きなバックボーンになっていることを申し述べておきたい。 ここまでおつき合いいただいた読者の方には、ここで改めて御礼を申し上げたいと思うと同時に、日々の経営の中でもがき苦しみながら、鬼のような執念で掴み取り、実践の中で磨きに磨いた《生きた成功のメソッド》を使って、社長として思い描いている妄想の世界へとたどり着いていただきたい。 ドイツ語のチャンスを与えていただいた大手前の倉田理事長と釜下晃先生、今は亡き山口寮弌先生、坂本康實先生が人生の基礎を作ってくださった。社会人、経営者として、佐久間曻二氏、平井謙三氏・平井進吾氏、加藤修一氏にステージごとに育てていただいた。人生のメンター達に深い感謝を記したい。 皆さまには、読者の会でお目にかかるのを楽しみにしている。 最後に、本書『社長の鬼 100則』の発刊に向け、一方ならぬお世話になった、鬼ならぬ仏のように心優しい久松氏には、紙面を借り、ここで改めて御礼申し上げる。大坂靖彦
■著者略歴大坂 靖彦(おおさか やすひこ)非営利株式会社ビッグ・エス インターナショナル代表取締役/大坂塾塾長(株)ケーズホールディングス元常務取締役(株)ビッグ・エス元代表取締役上智大学・香川大学元非常勤講師松下幸之助経営塾元講師東京大学国際オープンイノベーション機構元共同研究員ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章香川県大手前高校卒。上智大学在学中 24ヶ国をヒッチハイクで無銭旅行。海外で活躍するビジネスマンを目指し、パナソニック入社(ドイツ駐在)するも挫折して、従業員 3人、年商 7000万円の家業の家電小売店に入社。売れない訪問販売の毎日から、経営者として成功することを目指し自社の経営改革に乗り出す。結果、従業員 800名、年商 339億円の企業に成長させる。ナショナルショップ店、政府認定ボランタリーチェーン四日電、マツヤデンキ、カトーデンキ販売(現ケーズホールディングス)と弱者の戦略で時代の先を読みパートナーを変えながら都度ステージを大きく変えた。 2010年全ての役職をリタイヤ後、自身の全ノウハウを次世代の中小企業経営者に伝授すべく始めた経営塾・大坂塾は、現在までに 900名が学ぶ。夢・志を掲げ、その実現のために、妄想し、ひたすらシミュレーションを重ねて細部まで綿密な計画の上実行する。自らが実践し成果を出してきたメソッドをあまさず伝授し、経営者たちの成長を阻む棘を一つ一つ抜く指導により、多くの経営者が結果を出している。若者への人生戦略の考え方を伝える『若者未来塾』、小中学生向け『ドリームシッププログラム』も精力的に開催している。全国での経営者向け講演会は 10年間で動員数 10000人、コンサル実績 1000回。 https:// www. yasuosaka. com/
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