頑張っている人を応援したくなる。学生時代の友人は何年ぶりかに会っても仲良くできますよね。それはお互いのストーリーを知っているからだと思います。 お客様とそんな風に学生時代の友だちのような関係になれたら、自分の今までのストーリーを聞いてもらいます。 私が独立して 1年目のこと、私は月曜日から土曜日まで、通常の税理士業務をして、日曜日はセミナーや交流会に出かけて人脈作りという日々を送っていました。 息子はまだ小さくて、お父さんと一緒に遊びたい年頃です。 でも日曜日も家にいない私はなかなか相手をしてやる暇がありません。 当時、セミナーや交流会は午後 1時頃から始まるものが多かったので、交流会の会場付近まで一緒に行って昼ごはんを一緒に食べて帰りの電車に乗せます。 12時 30分発の電車に乗せたからと嫁に電話すると、嫁がその頃に大阪駅のホームで待っているという感じでした。 彼は回転寿司が好きだったので、いつも回転寿司のお店に行っていたのです。そこでの出来事です。 回転寿司のお店はネタによって 100円、 200円、 500円、 1000円と、いろいろな色の皿が回っていたのですが、彼は 100円の皿ばかり食べるのです。 そうです、小さいながらに私に気を遣っているんです。 たぶん嫁に「お父さん独立したばかりやから、あんまりお金を使わせたらあかんで」と言われていたのでしょう。 私が彼に「違う色の皿も食べてよいで」って言うと、彼は「ええねん、これが好きやから」と言います。 息子の気持ちが嬉しいですが、親としては悲しいですよね。 そこで私は「お父さん、 500円の中トロ食べたいねんけど、あかんかな」と言いました。 すると彼は「ええんちゃう、お父さん食べたら」って言ってくれます。 それで私は、 500円の中トロの皿を手に取りました。 2個載っているので、そのうち1つを口にします。 私は彼に「むっちゃおいしいわ。 1個食べてみ」と言って、残った皿を差し出しました。 すると息子は喜んで手に取り「ほんまや、むっちゃおいしいなお父さん、口の中で溶けるよな」と、とても嬉しそうでした。 やっぱりほかの皿を食べたかったんですね。 この日以来、日曜日の親子の行動は決まりました。 朝から出かけて、セミナー会場の近くの回転寿司でお昼を食べます。 2人で、 100円の皿ばかり食べておなかいっぱいになったら、「仕上げやな」と、 500円の中トロの皿を取り、 2人が 1個ずつ食べます。 2人はこの瞬間がとても幸せでした。開業当初の懐かしい思い出です。 今ならどの皿も食べることができます。 1000円の皿も大丈夫(笑)。 でも 2人にはルールがあります。 それは、おなかいっぱい食べたあと、息子は「お父さん、仕上げいこか」と言って、 500円の中トロの皿を取ります。 そして、 1個ずつ食べて、 2人は顔を見合わせ言います。「むっちゃおいしいな、口の中で溶けるよな!」 私は今も息子と回転寿司へ行くのが大好きです。 たとえば私にはこんなストーリーがあります。 こんな話をしていると、お客様も「俺もこんなことがあってな」と話を聞かせてくださいます。それで昔からの付き合いのように仲良くなれるんです。 数字だけの関係じゃなくあったかい関係になれる、そんなやり方が中小企業には合っているんじゃないかなと思っています。 大企業にできないものであり、また働く人たちにとっても気持ちのよい働き方、それが中小企業ならではの作戦なのです。 医療法人まえだクリニックの待合室にこんなポスターが貼ってありました。「ボウリング大会の参加費無料。靴代の 300円だけ持ってきてください」 すごいでしょ、経費すら一部しかもらわないんですよ。 この日は患者さんのほかに先生・奥さん・スタッフやその家族も来られます。 この行為自体は、利益をもたらしませんよね。損益分岐点分析には悪い影響しか与えません。だって売上ゼロどころか、経費でどんどん赤字ですよ。 でも先生は、患者さんが喜べばそれでよいとおっしゃいます。 ある患者さんから「いつも先生の診療所に来ない私の友だちがボウリングに参加したいって言っているんですけど、連れてきてもいい?」って聞かれたそうです。 先生の答えはもちろん OK。 楽しくボウリングされたその方は、先生のことも好きになってその冬風邪をひいたとき診療所に来られたそうです。 これが中小企業の経営だと思いませんか? 中小企業は人と人のつながり、心のないところに繁栄はありません。 数日後、先生の机を見ると写真が増えていました。先生はいろんなイベントのときに集合写真を撮って机に飾っておられます。仕事中にも見られるように。患者さんたちの笑顔を見るのが、楽しくて仕方ないそうです。 こんな先生に診てもらいたいと思いませんか。 利益を追いかけるのではない。お客様の幸せを考えたら、勝手に売上は伸びるんですよね。
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