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10「評価」よりも「幸せ」

 わたしが人生の師と仰ぐ方のおひとりが曹洞宗円福寺の藤本幸邦老師です。  その老師と二人でいたときのこと。老師がわたしに、「小宮君、きみは経済は何のためにあるか知っているか?」と質問されました。  わたしが答えられないでいると、  「経済は人を幸せにするための道具。  政治も道具だ。目的は人を幸せにすることだよ」  とおっしゃり、「あなたの会社は何のためにあるか、分かるね」と念を押されました。  経済が人を幸せにするための道具なら、わたしの会社も、わたしの周りにいるお客さまや従業員などを幸せにするための道具です。  以来、この「幸せ」が、わたしの経営哲学の根幹をなしてきました。だから、わたしは、お客さまや従業員、ひいては社会を幸せにしない経営や経営者は嫌いです。  相手にしたくないし、していないつもりです。  会社は、お客さま、ひいては社会に対してよい商品やサービスを提供することで、社会に幸せを与えるものでなければなりません。  そして、働く人にも幸せを与えるものでなければなりません。  ここで、会社が働く人に与えられる幸せは社長力 1のストラテジー力の章にも書きましたように、二つあると思います。  ひとつは、働くことにより自己実現できる幸せ。実際、働くことにより自己実現できなければ、人生の大半を不幸に感じて過ごしてしまうこととなります。自己実現とは、先にも書いたように、「なれる最高の自分になる」ことだとわたしは思っています。  二つ目の幸せは、経済的幸せです。お金のためだけに働いているのではないけれど、さりとてお金をもらわなければ生活できません。  適正な給与水準を決めるのは実はたいへんむずかしいことですが、同業他社より少しよい程度がいいのではないかと思います。  少ないと、生活が豊かでなく、場合によっては自分や自分の仕事を卑下してしまうこともありますが、あまりに多いと、しっかりした考え方がなければ、遊ぶことやお金を使うことに興味がいってしまい、仕事を通じての自己実現や社会貢献という気持ちが失せてしまいます。向上心もなくなります。「モノをもてあそべば志を失う」です。  さて、職場で与えられる二つの幸せ、「働く幸せ」と「経済的幸せ」、その二つを同時に実現させるマジックワードが、何度も言うように、「お客さま第一」なのです。お客さまのためによい商品やサービスを提供して喜ばれる。同僚からも尊敬される。場合によっては社会からも評価される。これぞ、仕事を通じての自己実現です。  そして、当然のことながら、そのことが会社の業績向上をもたらし、経済的幸せも実現するのです。  人は幸せについてきます。  家族も友人も部下も、幸せにしてくれる人についてきます。上司は、自分が幸せになりたいのと同じくらい部下も幸せになりたいということを、部下も、上司が自分と同じくらい幸せになりたいと思っているということを、知っていてほしいと思います。  繰り返します。  社会や働く人に幸せを与えられる組織でなければ  存在する意味はありません。

まとめのチェックリスト □戦略だけでうまくいくと思っていないか? □スキルのある即戦力で人を採用していないか? □和気あいあいとした職場にしたいと思っていないか? □信賞必罰の組織は社員を萎縮させると思っていないか? □「方針」と「目標」を混同していないか? □管理された組織のほうがパフォーマンスが高いと思っていないか? □社員の意識改革が必要だと思っていないか? □「意味」を伝えれば人は動くと思っていないか? □やっぱり決め手はお金だと思っていないか? □そもそも会社は何のために存在するのか、考えているか?

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