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07危機に備えて「手元流動性」を高めよ不測の事態に経営者はどう備えておくべきか

07危機に備えて「手元流動性」を高めよ不測の事態に経営者はどう備えておくべきか最優先すべきは、「利益」より「キャッシュフロー」。会社の命運は、「日頃の準備」ができているかどうかで決まります。 会社がつぶれるのは、キャッシュがなくなったとき  経営者は、つい「利益」のことばかりを重視しがちです。とくに、会社がどんどん大きくなるほど、利益のことを強く意識するようになります。  上場企業ともなれば、営業利益、経常利益、当期純利益……と利益のアップが会社の業績好調の証しとなります。  もちろん、利益を上げることは大事です。  しかし、最優先させるべきは、「キャッシュ(現金)」です。将来のために投資を行い、その一方で、不測の事態に備えて、キャッシュを確保し、手元流動性を高めておくことが大切です。  数字のうえで利益が上がっていれば、手元のキャッシュが増えるというわけではありませんね。売掛金が増える、投資をするとキャッシュは減ります。会計上の概念と、手元のお金とは別物です。  そして、会社はキャッシュがなくなったときにつぶれるのです。  私は以前からセミナーなどで経営者の方たちに、「キャッシュと利益は違う」ということを強調しています。また、緊急時には、「手元流動性を多めに確保しておいてください。いざというときに本当に頼りになるのは、自社でコントロールできる資金だけです」と繰り返し言ってきました。  その結果、金融危機やリーマン・ショック後、「小宮さんの言うとおりにしていたおかげで助かりました」と感謝されました。今回のコロナ禍も同様です。 一流の社長は「ダム経営」を目指す  手元流動性とは、自身でコントロールできる現預金などの資金がどれくらいあるかを示した指標のことです。  通常なら、大企業は月商の 1カ月分、中堅企業は 1・ 2 ~ 1・ 5カ月分、中小企業は 1・ 7カ月分くらい確保できていれば問題ないといえます。  しかし、危機時にはさらに多く持っておいたほうが安心です。そして、不測の事態というのは、いつ来るか分かりませんから、常日ごろから余裕を持って蓄えておきたいところです。それが松下幸之助さんの「ダム経営」の考え方です。  資金を心配しだすと、経営者は他のことは何も考えられなくなり、仕事が手につかなくなります。「お客さま第一」が「資金繰り第一」になります。  資金に事欠けば、大事な資源である「ヒト」も「モノ」も手放さなければいけなくなってしまう。最悪の事態は倒産です。  資金繰りが不安な状況になったら、銀行からの借入れを増やすなど、早め早めに資金調達をしておくことですが、遅すぎると銀行も貸してくれません。  資金が枯渇しないよう、普段から余裕を持った経営を心がけることです。  とくに業績の良いとき、順境なときにしっかり貯めておくことが肝要です。  松下幸之助さんの「ダム経営」の考え方に倣うことが大切なのです。 普段できないことは、緊急時にもできない  想定外の経済危機とよく言いますが、想定外のことが何も起こらないということのほうがあり得ないわけです。「想定外は常に起こる」という大前提でいるべきです。  緊急時の対応力というのは、危機前に何をしていたかで決まるところが大きいのです。  いざそのときになってから、どうにかしようと思っても遅い。  例えば、プロ野球の選手で、 140キロの球を打てない人が、大切な場面でいきなり 160キロの球をホームランするということがあり得るでしょうか。普段から、 140キロの球でホームランを打てている人なら、 160キロでも打てる可能性があります。  人がいざというときに踏ん張れるかどうかは、普段のあり方がものを言う。

普段から踏ん張っていない人は、危機になっても力は出せません。  危機というのは、普段よりもっと大変なときです。そこで踏ん張って力が出せるかどうかは、普段から力を十分に出しきれているかどうかにかかっています。普段からの準備が大切なのです。  常に全力を出しきる習慣がついていれば、厳しいときであろうが、平常時であろうが、全力が出せる。だから、結果的に危機のときにも力が出せるのです。  個人の力だけではありません。  危機対応のときこそ、会社の結束力だとか、意識の共有が必要とされます。  普段、コミュニケーションが意味のうえでも意識のうえでもきちんととれているところは、その円滑なコミュニケーションが緊急時にも発揮されます。  今回のコロナ禍への対応に当たっては、会社によって本当にばらつきがありました。私は、日ごろの準備がかたちとなってあらわれたのだと捉えています。  危機を乗り越える力の源泉は普段の社風や準備にあるのです。 最後は、「前向きになれるかどうか」がものを言う  危機を乗り越える力となるのは、状況に呑み込まれてしまわずに、前を向けるかどうかも大きくかかわってきます。「あれもできない」「これもできない」と、意気消沈してしまうことが続くわけです。そこで気落ちして、思考力も行動力も停滞してしまったら、とくに社長がそうなってしまったら、その会社はけっこう厳しいです。  できない理由はいくらでも挙げられる。そうではなくて、「こんな状況下でも、やれることがあるのではないか」と考えられるかどうか。  リーダーがそういう姿勢をみんなに示せないと、組織は浮足立ちます。  こういう時期こそ、「これは将来への躍進のチャンスだ」と気持ちを切り替えて前向きに考えられるメンタリティが大事なのです。そして、とにかく考えて、それをどんどん実行する。  ただし、発想を転換して何かするにしても、資金的余裕がなかったらできません。  お金がなかったら、やりたいこともやれない。危機を乗り越えられるかどうかは、やはりお金を持っているかどうかが大きいということなのです。  会社の未来を考えよう、 10年先を見据えようと繰り返し言っていますが、資金に余裕がないことには、長期的にものを考えることはできません。「恒産なき者は恒心なし」。  ここでも「準備」が活きてきますが、それがなければ、とにかく借入してでも資金調達することです。  準備のできている会社は、大変なことが起きても、心理的に余裕が持てる。だから前を向けるのです。 Point手元にお金がないと、会社はつぶれる。資金の余裕と日頃の準備が、心の余裕を生む。

第 4章「人を動かす」社長の条件

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