07「成功」のためのルーティンを持っている忙しさのなかでも「自分の軸を見失わない習慣」を身につける社長は日々多忙で、ストレスの多い生活になりがちです。だからこそ、「心を整える習慣」を持つことをお勧めします。 複雑な世の中を複雑なまま理解する思考力を高める 私たちは、どんどん「分かりやすさ」や「簡便さ」を求めるようになっています。 簡単に分かること、簡単にできることが好まれるようになっていますが、これが要注意なのです。本も読みやすい本が好まれますし、日常生活においても、自動改札機やコンビニでの電子マネー決済など、とても簡単です。 しかし、世の中は、実際は複雑です。経営者には複雑なことを複雑なままに理解する能力が必要なのです。 勉強すればするほど、分からないことが増えますが、それが大切なのです。 それには、「どこが分からないか」を理解できる必要があるのです。本当に大事なのはこのことです。素直さ、謙虚さで言ったように、「自分には理解できないことがある」と思っていることが、真摯に学ぼうという意欲を高めるのです。 私は、ときどき、評判の良い難解な本を読むことにしています。理解力を高めるためです。自分が理解できていないことは何か、分からないこと、知らないことは何かを学びながら、理解力を高め、本当に自分の知識にするためです。 難しい本は 1回読むだけでなく、 2度、 3度と読み返すことになります。そうすると、最初に読んだときには分からなかったことが分かったりもします。 3度目読んだからもう十分かというとそうではなく、 4度目に読んだら、もっと理解が進むかもしれないと思うわけです。 思考を深めるトレーニングになるのは、そういう本の読み方をするときです。 良いときも悪いときも反省する「反省」も大切です。松下幸之助さんは、自分を客観的に見つめることを「自己観照」と言っています。自分本位になっていないか、何かにとらわれていないか、自分の心を一度自分の外に出して、冷静に見つめてみることです。 反省を日々繰り返していると、自分の間違いに気づくようになってきます。私は、「自分で自分を笑える人は強い」という話をよくしますが、自分を客観的に見つめられない人は、自分で自分を笑えないのです。 反省で大切なのは、うまくいかなかったときだけでなく、うまくいったときも振り返ってみることです。たいがいの人は、うまくいかなかったときしか反省しません。しかし、それでは正しい分析はできていないのです。「素直さ、謙虚さ」のところで少し触れたように、物事は自分たちの実力だけでなく、たまたま運が良かった、ということがあるものです。新型コロナウイルスのような一時的な環境変化で突然ニーズが高まったとか、ライバルが低調だったので相対的に結果が良くなったといったことです。 運には再現性はありません。ですから、「今回うまくいったのはどうしてなのか」を、冷静に分析しておいたほうがいいのです。 それをせずに、「あのときはうまくいった」と自分たちの実力による成功体験のように認識していると、同じことをやっても今度はうまくいかないということになります。 良いときも悪いときも、成功したときも失敗したときも、反省をしたほうがいいのです。 3年連用日記で 1年前、 2年前まで振り返る
私は 3年連用日記帳を使って 28年、いま 10冊目です。 どこに行った、何をした、誰に会ったというような簡単な記録ですが、 3年連用なので、自然と 1年前にやっていたこと、 2年前にやっていたことが目に入ってきます。「あのとき、あの人にお世話になったんだった。しばらくご無沙汰してしまっているけれど、お変わりないだろうか」と思ったら、メールを出したり、電話をかけたりします。「昨年も同じ時期にこの講演があったけれど、反省点があったんだよなあ」と思い出すこともあります。時間の経過の速さに驚くこともあります。 人は、過ぎ去ったことはすぐ忘れてしまいます。大事なことも忘れるし、変えてはいけないものの考え方が変わっていくこともあります。 今日を振り返るとともに、大事なことを忘れていないかを振り返る意味で、私は 3年連用日記を使い続けています。 ネガティブな感情を一瞬で切り替えられるシンプルな方法 どんな人でも、常にポジティブでいられるものではありませんね。 怒り、不安、焦り、嫉妬……といったネガティブ感情が湧きます。人の心は、ネガティブな感情のほうが優先順位が高いため、抑えるのはなかなか難しいのです。 しかし、感情を抑えるのは難しいけれど、切り替えることはできると、若いころに読んだ本に書かれていて、その方法を一年間ほど試してみたことがありました。 手首に輪ゴムをはめておいて、ネガティブな感情が出たら、輪ゴムを引っ張ってパチンとやる。刺激を与えることで、感情をリセットするのです。 何ということもない動作ですが、これだけでネガティブな感情をいつまでも引きずらない練習になるので、気持ちの切り替え方がうまくなります。今では、輪ゴムを使わなくても、「こんなことを考えていても仕方がない」と思い直すことで、ネガティブな感情を断ち切れます。 「生き方を学ぶ師」を持つ 経営者というのは、経営のことだけ分かっていればできるというものではないことをもう十分理解していただけたと思います。どういう生き方の指針を持っているか、どんな心構えで生きているかがとても大切なのです。 人としての正しい生き方、望ましい生き方をしっかりと持っていなくては成功できない。そのために普遍的な思想や哲学を学ばなくてはいけない。だから、古典を読もう、自分にとっての座右の書を持とう、と提案しているわけです。 できることならば、本を読むだけでなく、やはり生身の先生、生きた心の師匠を持てると、たいへん心強いです。 私自身、何度かお話ししてきたように、藤本幸邦先生と知り合うことができ、その薫陶を受けたことが、本当に自分の財産になっています。スティーブ・ジョブズが、日本人の禅僧を師として仰いでいたこともたいへんよく知られています。稲盛和夫さんは得度されているわけですから、当然、仏道の師がおられるはずです。 人との出会いは運と縁ですから、人生を学ぶ師匠がそう簡単に見つかるとは言えませんが、自分を高めていれば、必ず良い出会いがあります。 それには、ベースのところで松下幸之助さんの言うように、素直で謙虚でいなければいけないと思います。結局はそこに尽きるのです。 Point良いリーダーは、生き方も含めて、尊敬され、
慕われる能力を持っているもの。
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