「泥臭い」というと、「洗練されていずやぼったい。スマートでない」(大辞林)という意味ですが、社長にとって悪い言葉ではありません。それは「体面を気にすることなく一心不乱に行動する」という大事な要素を指し示す言葉でもあるからです。 泥臭さは、とくに営業活動において求められます。 ある IT系のビジネスをしている社長は、社員 10名の小さな会社ですが、日本で最大手の I T企業との取引を始めて急成長しています。ベンチャーキャピタルからの出資も得ることに成功し、数年以内に IPO(株式公開)も目指せるほどになっています。 この社長が大手取引先を確保できたのは、「技術力」というよりも「営業力」が優れていたからです。普通の社長であれば、なんのつてもなく業界最大手の企業にアプローチすることは、最初からあきらめてしまうものです。 一方、この社長は、「絶対に取引する」という強い意気込みで、次々と大手企業にアプローチしたのです。次から次へと断られ、門前払いの時も多かったのですが、決してあきらめず果敢に営業を続けました。 しかも、もともと人脈が豊富なわけではありません。人が集まるところに出かけては大手企業につながる人を探し、一緒に酒を飲むなどして、徐々に近づいていくという地道なことを行っていました。 そして、ついに最大手の企業の担当者の目にとまり、継続取引をすることが実現したのです。 もし、この社長が、泥臭い行動を避けて「スマートにカッコよく」という姿勢でいたら、決して大企業との取引は実現せず、弱小企業のままだったことでしょう。 また、別の社長は、泥臭さを発揮することで資金調達を実現させています。 この社長の会社は、世界を変える可能性を持つ製品を製造できるほどの高度な技術力を備えています。 ところが、まだ実際に売れる製品をつくるためには、研究開発を続ける必要がありました。創業して以来 5年以上も売上はほぼゼロで、当然ずっと赤字です。当初の資本金が大きかったので、維持できていましたが、いよいよ資金が底をついてしまうところまで追い込まれてしまったのです。 社長は資金を調達することを決意して銀行に行きました。それまで融資を受けたことがなかったので、どうやって銀行にアプローチすればいいか全く知識がありませんでした。 銀行員からは「技術力は高いと思うが収支見込みが見えない」といわれて融資を断られました。他の金融機関へも 5カ所ほど融資を依頼に行ったのですが、同じ理由ですべて融資を断られてしまいました。銀行員のなかには、社長を見下す者もいたそうです。 普通の社長であればこのあたりであきらめてしまうでしょうが、この社長は驚異の粘り腰で、さらに 10以上の銀行や信用金庫をまわりました。 そしてようやく 20番目に行った金融機関でついに融資を受けることに成功したのです。その金融機関は、その社長の技術力と将来性を買って、 2000万円を融資してくれました。リスクある企業へ融資するわけですからたいしたものです。 もちろん、数多く断られているうちに社長のプレゼン能力と提出する事業計画書がレベルアップしたということも大きな勝因です。その後社長は、大手メーカーや大学との共同研究を実現し、出資者も現れて順調にビジネスを拡大することができています。 資金調達は中小企業にとって欠かせないものです。この社長のように、簡単にあきらめることなく泥臭い行動を続けることが資金調達するための1つのノウハウといえます。 泥臭い社長が儲かるのとは対照的に、カッコよくスマートに仕事をしようという社長はうまくいかない傾向にあります。一般的な常識と思われていることを超える発想や無駄な行動ができないからです。 成長している社長や企業は、必ず他社が真似できない強みを持っています。技術力、マーケティング力、取引基盤などです。 こうした強みの多くは、「業界の常識を覆す」「泥臭く営業する」「断られても粘り強くキーパーソンに働きかける」といった発想や行動がきっかけとなって得られるものなのです。 06/儲かる社長は、一般的な常識を超える発想や行動力を持っている!
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