04「長所 7割、短所 3割」で人を見るできるリーダーは部下の良いところに目を向け、心から褒める人の良いところを見出せる人は、人を心から褒めることのできる人です。ただし、「褒める」と「おだてる」は大違い。叱れる能力も必要です。 長所を見出せるのは、人を心から褒めることのできる人 第 3章で、短所を補うのではなく、長所を伸ばしなさい、というお話をしました。これは、「人を動かす」ときにも変わりません。 松下幸之助さんは、人を見るときに、「長所を見ることに七の力を用い、欠点を見ることに三の力を用いる」と言っています。誰でも必ず長所も短所もあります。その「良い部分」に 7の比重を置いて見ようじゃないか、というのです。 その一方で、「短所も短所としてそのままに見なさい」ということも言っています。 つまり、単純に贔屓目で長所を拡大して捉えるわけではなく、長所に比重を置いて、そこをどう活かしたらいいかを考えるということです。「きみはこういうところがいいねえ」と言っていると、本人もそこを自分の長所だと自覚するようになり、自信を持ち、さらに磨かれていくということだってあります。 人使いのうまい人、育てるのがうまい人は、人の長所、美点を見つけられる人です。そして長所を見つけられる人は、心からそれを褒めることのできる人です。 人の悪口ばかりを言っている人がいますが、それは人の悪い点を見ているからです。良い点を本当に見つけられる人というのは、人の良い面が見える人、言い方を換えると、人を心から褒めることのできる人です。 ただし、「褒める」と「おだてる」は別です。褒めて育てると単純に考える人がいますが、それでは人は伸びません。良いところは良い、ダメなところはダメと言うことがリーダーには求められます。ダメなところでもおだてると、仕事を甘く見ます。 自分の長所に人は意外と気づかないもの 実は社員の立場からすると、自分の長所というのは、自分では意外に分かっていないものです。とくに若いころは、自分の思っている長所と、人の評価にかなりギャップがあります。自分のことが見えていないということなのでしょう。 例えば、私が新卒で入ったのは、都市銀行でした。 11年勤めていましたが、御多分に洩れず、なんどかの異動を体験しました。 2年間アメリカの経営大学院に留学させてもらい、帰国したら営業の第一線へ、と望んでいたところ、配属されたのはシステム部でした。 当時の私の感覚としては、システム部の存在は知っていましたが、まさか自分が働く部署だとは思っていなかった程度のものでした。どうやら入行時の評価によると、私はシステムに向いている、と判断されたらしいのです。 しかし、やるからにはとことんやってやろうとどっぷりつかりこみ、「情報処理技術者試験」の特種を取得しました。この資格は、プロジェクトをスムーズに進行させることに役立ちました。 こうなったらこの分野で上を目指そうと思っていたところ、今度は M& Aをアドバイスする部署への異動辞令が出ました。 M& Aといっても、自分にはまったくイメージがなく、正直なところ、私は内示を拒否したくらいでした。 しかし、銀行で異動辞令を拒否することなどできません。というわけで渋々異動したのですが、海外の企業がらみの M& Aに携わる仕事はとても面白かった。企業というものを、従来とはまったく別の角度から理解する視点を持つことができました。 その後、私は銀行を辞めて国際コンサルティング関係の仕事に就くのですが、「経営コンサルタント」としての根幹を築くことができたのは、自分の望んでいた営業職に就くのではなく、システムや M& Aの経験があったからなのです。 そう考えると、銀行は私の性格も含めて強みの要素をきちんと見て異動させていたということがいえるかもしれません。 社長もときには、部下が不本意に思う異動を命じるときもあるでしょう。しかし、そういうときこそ、部下にとっては、自分自身が気づいていない長所に気づき、実力を伸ばせる大きなチャンスでもあるのです。私は自分自身の経験からも、そう思っています。 Point
できる社長は、部下が気づいていない長所すら見出す。長所を見出せるのは、人を心から褒めることのできる人。
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