03社長は「歩くビジョン・理念」であれ良い会社には、「良い経営理念」が必要不可欠あなたの会社の経営理念は、社員全員に浸透していますか?経営理念の浸透は、社長にしかできない仕事の一つです。 経営には「ミッション」「ビジョン」「ウェイ」の3つが必要 会社には、経営の根本となる考え方があります。 理念、信条、ビジョン、ミッション、綱領、社是、社訓……呼び名はさまざまですが、会社が大切にしているものの考え方、価値観のことです。 これは経営者だけが知っていればいいわけではなく、社員一人一人に浸透していて、心の支柱にできているようだと非常にいいわけです。 私は経営理念を次のように整理して捉えています。「ミッション(使命)」……何のためにやるのかという事業の目的や会社の存在意義「ビジョン(将来像)」……ミッションを達成するための具体的な将来の目標「ウェイ(行動規範)」……ミッションやビジョンを遂行するに当たってのルール 最初に、企業の目的(存在意義)である「ミッション(使命)」。自社が何のために存在しているのかを示しています。そして、そのミッションを達成するための将来的な構想として「ビジョン」を描き、行動規範となる「ウェイ」についても定める。これが私の考える経営理念の要素です。 綱領、社是、社訓なども、それが目的や存在意義なのか、目標なのか、行動規範なのかで分けることができます。こうした会社の根本となる考え方を総称したものが「理念」だと捉えれば、すっきりと分かりやすくなるのではないでしょうか。 理念の核となるのは「志」や「信念」 2024年に新一万円札の顔になると言われている渋沢栄一は、かつて日本の実業界の牽引者でした。彼は生涯で約 500社の企業の創立・育成に関わったと言われます。 なぜ、それほどたくさんの会社をつくろうとしたのか。 著書『論語と算盤』のなかで、そのヒントとなることを語っています。 海外視察を経験し、欧米諸国の隆盛は商工業の発達によるものだと感じた渋沢は、いつか、日本も彼らと肩を並べられるような国にならなければと考えるようになります。「国家のために商工業の発達を図りたい」と志を抱いて、実業界の人になろうと決心。 40年以上経ってもこのときの「立志」は一貫して変わらない、というのです。 国家のため、日本の発展のために尽力したい。この「志」こそ、渋沢栄一をずっと動かし続けた強い動機、まさに「ミッション(使命)」だったのだと思います。 志や信念に基づいた目的や存在意義があると、ブレることのないミッションとして原動力になります。しかも、その想いが、「自分たちのため」ではなく、「世のため、人のため」であれば、使命としていっそう強固なものになるのです。 長期的な展望で社会に貢献しようという姿勢の理念を持った会社は強いです。 ただし、耳ざわりのいい言葉を並べただけで、「本気で思っていないだろうなあ」という感じの理念もよくあります。そういう会社はあまり成長できませんし、一時的に調子のいいときがあっても、長続きはできません。 ときどき、「うちの会社のミッションとビジョンを考えてもらえませんか?」という依頼が来ることがありますが、ビジョンを考えるお手伝いはできますが、ミッションは無理です。自社の志だからです。私はお断りすることにしています。外部の人間に考えてもらおうとしている時点で、ミッションに対する意識がズレているのです。 どんな会社にも、お客さまや社員、社会から支持される志が必要なのです。「こういうことを成し遂げるために、会社をやっている」という志や信念です。それも、経営者の私利私欲では、誰もついてきません。自分たちは何のために会社をやっているのかを、常に見つめ直し、それを言葉にして社内に浸透させた会社が強くなるのです。経営者はその志を本当に自分のものとし、その
宣教師でなければなりません。 良い事業は「お客さまも、働く人も幸せにする」「事業の目的は顧客の創造である」とドラッカーは言っています。 顧客を創造するとはどういうことか。それは、良い商品やサービスを提供して、お客さまに喜んでもらうことです。 自社でしかできない独自の商品・サービスが提供できれば、お客さまは増え、継続します。それが「顧客の創造」なのです。それは、言い方を換えれば、事業を通じて、人を幸せにしている、社会に貢献しているということになります。 では、社員の側からはどうでしょうか。 自分のやっている仕事がお客さまに喜んでいただけている、人を幸せにする事業に携わり、社会に貢献できていると感じられることは、働く人にとっても喜びです。仕事に価値を感じ、幸せを感じることができる。「働く喜び」を得られるわけです。 ドラッカーは、「社会とは、構成員を幸せにするためにあるべきものだ」ということも言っていますが、良い商品やサービスの提供を通じて正しい顧客の創造ができれば、ビジネスはお客さまも社員も幸せになる、社会に幸せをもたらす営みになります。 そう考えると、会社経営の目的は、喜ぶ人を増やすこと、人を幸せにすることに置くべきです。また、そのほうが結果的にもうかることは明らかです。お客さまが喜んで買ってくださり、働く人も喜びを感じて活き活きと働くわけですからね。 ブラック企業がなぜ良くないのか。それは人の幸せに結びついていないからです。 お客さまをだまし、喜んでいただける商品・サービスを提供していないとか、社員が幸せに働けていないとか、社会とのあり方に不整合な組織だから叩かれるのです。 社長自らの姿勢で、理念を社員に浸透させよ 何のためにやるのか、何を目指すのか、そのためにどういう行動をしていくのか──。会社の「ミッション、ビジョン、ウェイ」は社員と共有できていないといけません。 素晴らしいミッションやビジョンがあっても、その価値観が社員を動かすものでなければ、成果は上がりません。イズムが共有され、社員がミッションやビジョンの達成のために本気になれる会社は大きく成長します。 経営者が代わっても、会社の業態が変化しても、「どういう会社でありたいか」という「核」の部分がしっかりしている会社は、長く成長し続け、存続していきます。 そのためには、経営者は、自らが率先して経営理念を実践し、さらには、それを語り続け、浸透への努力を惜しまないことが大切です。それは社長にしかできない仕事です。社長自ら、「歩くミッション・ビジョン・ウェイ」となって指揮官先頭でそれらを実践し、そして宣教師として経営理念の大切さを社員に説いて浸透させるのです。 私の会社では、経営方針の大事な部分を、朝礼で毎日読み上げることにしています。毎日声に出して読んでいると、その精神が身体に刻み込まれます。 Point理念は会社の心棒。自身が実践し、社員に周知徹底を図らなくてはいけない。
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