「ワンマン経営」というと、よくないイメージで語られることが多いですね。「他の社員などの意見を聞かず、独裁的な経営を行うこと」という意味で、多くの弊害があるといわれています。 しかし、「ワンマン経営」が必要な場合があります。それは、創業して会社が発展途上にあって、社員が 50名以下の小規模な状態の時期です。 この時期に社長が「チームプレー」を重んじて社員の意見をうまくまとめようとすれば、意思決定が遅くなるばかりかリーダーシップを否定されてしまいかねません。 スピードが求められる中小企業経営において、行動するまでに時間がかかるのは致命的です。 私が東京で出会ったあるメーカーの社長も、典型的な「ワンマン社長」でした。 30名ほどの社員がいるのですが、経営に関する意思決定はすべて自分の独断で行います。社員に対して、自分が掲げた経営理念を繰り返し説明して、ひたすら会社の仕事に打ち込むことを求めています。社員たちは、仕事がハードなのできつい思いをしながらも、社長の熱意と行動力に心酔して一丸となってついていくのです。 興味を持った私は、数名の社員にインタビューしてみました。 私 「あの社長についていくのはたいへんじゃないですか?」 社員 A「たしかにきついですけど、社長のためならついていきます」 社員 B「仕事が刺激的で楽しいです」 社員 C「社長はちゃんと話は聞いてくれるので不満はありません」 この会社は、今の社長が先代から引き継いで十数年です。先代の時は業績が低迷していましたが、大きく経営改革をした結果、順調に事業を拡大しています。 とくにこの社長がうまいのは、社員 Cの発言にあるように、話を聞く姿勢は持っているということです。よく社員数名と一緒に居酒屋に行って、飲みながら意見を聞いています。うまく社員の「ガス抜き」をすることで、ワンマン経営に起きがちな「飼い犬に手を噛まれる」事態を防いでいるのです。 ただし、「ワンマン経営」をうまく機能させるためには、気をつけなければならないことがいくつかあります。 ①社員への悪影響を避ける 社長のいうことが絶対になり過ぎると、社員が指示待ち人間になり提案やチャレンジをしなくなる恐れがあります。社員が社長に対して不満を強く抱くと、陰で会社の悪口をいうようになるでしょう。前述の社長のように、「意見を聞く場」を設けることが有効です。 ②社長自身が問題ある行動に出ないように自覚する「ワンマン経営」の社長は、自分が絶対だと思い込んだ結果、常軌を逸した判断や行動をとってしまうことがあります。食品メーカーの社長が、儲けを大きくする目的のために、違法な食材を使うことを指示するような行為です。 社長自身の意思決定について、次の項目に照らし合わせて妥当かどうか、自問自答することが重要です。 ・会社の理念から外れていないか ・自分の判断力が鈍らないように意識しているか ・違法な行為ではないか ・社会的に批判を浴びることではないか ・お客様や社員に対して問題のある行動ではないか ③ワンマン経営は一時的なものと考える「ワンマン経営」は、企業が発展途上で社員が比較的少ない時に限って有効なものです。企業が成熟期に入ってきたと思う場合や、社員が 50名を超えた場合は、社長の権限を譲渡する組織化を図っていく必要があります。 03/儲かる社長は、経営に関しての決断は社長の責任を背負って行う!
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