03「目的」と「目標」の違いを明確にせよ「どこにたどり着きたいのか」ゴールを社員に伝える方法社長の仕事は、会社が目指す先をはっきり定めること。そのとき、「目的」と「目標」を混同しないことがとても大切です。 目指したいものがなければ、どこにもたどり着けない 講演やセミナーで、私はよくこう話します。「散歩のついでに富士山に登った人はいない」 散歩も登山も同じ「歩く」行為ですが、散歩は、はっきりとした目的地も計画も持たずに散策を楽しむもの。登山は、まず目的地、目標ありきの挑戦。 そこに「明確な目標や目的意識があるか」という点で、両者の姿勢は対照的です。 富士山だったら、「富士山に登るぞ!」という明確な意志を持つことから、富士山への具体的な道が描けるようになる。 時期はいつにするか、どの登山ルートを使うか、どんな準備を整えたらいいか。 目指す目標を明確にすることで、それをかなえるためには何をしたらいいかが鮮明になり、具体的な計画を立てて行動できるようになるのです。「どこを目指そう」という目標も、そこから得られる達成感などの成果という目的が必要です。たとえどんなに健脚で、どれだけ長時間タフに歩き続けることができても、歩く行為の先に登頂という「成果」をイメージできないと続きません。 このように、何かを成し遂げるには目標や目的意識がなければ成功しません。 あなたがビジネスで成功したいと考えるなら、目標や目的を持って、「目指す山を決めて歩く」べきです。 そして、社員に前向きな意欲を持ってもらうためには、目標や目的を掲げなくてはいけません。 「目的」があるから、はるか遠く先まで行ける 気をつけてほしいのは、「目的」と「目標」は似ているように見えて、まったく違うということです。・目的……最終的に到達したいところ、存在意義・目標……目的を達成するための通過ポイント、目的達成の手段や評価 こう考えると分かりやすいのではないでしょうか。 私の経営コンサルタントとしての「目的」は、「関わる方たちに成功していただくこと」です。これが私の目的(存在意義)です。私は、長い間、「単著で 100冊出版する」という「目標」を持っていましたが、もう 7年ほど前に達成しました(この本は 151冊目です)。しかし、 100冊という目標を達成しても、目的は達成していません。私が現役で働いている限り、どこまで行っても達成はしないのです。 目標を掲げることも推進力にはなりますが、もっと強い原動力となるのが目的です。使命感を生むからです。目標とは目的を達成するための通過点にすぎません。 一方、大きな目的を持っていれば、一つの目標を達成できたあとも、持続的、継続的に力を出し続けられます。「何のためにやるのか」という目的が大事なのは、その目的が大きいほど、ずっと遠くまで、高くまで行けるからなのです。 そして、これは、ビジネスも同じです。ドラッカーは、「企業が事業戦略を策定するときには『目的』からスタートしなければならない」「あらゆる組織は自らの目的とするものを明確にするほど力を持つ」と言っています。 「目標」を具体的に設定すれば、目的への道が開ける やる気を継続させ続けるため、成長し続けるためには目的を持たなければなりません。「ミッション」として掲げている企業も多いと思いますが、それを浸透しなければなりません。 しかも企業の掲げる目的は、社会に貢献するために、みんなが何十年もかけて目指していくところです。果てしなく遠いわけです。
それでも到達はしません。永遠に続きます。 実際に、何をどうしたらそこに行きつけるのか、簡単には分からない。 だからこそ、気をつけないと、思考停止状態に陥ってしまいかねないのです。 実は、「お客さま第一」というのも思考停止になりやすい言葉です。 お客さまを大事にする姿勢ですから、これに反論できる人はいません。 しかし、「お客さま第一」を実践するために何をしたらいいかは、一言で言えるものではありません。だから、意外と見えにくい。何をやったらいいか分からない。 そこで、何をしたらいいのかが分かりやすくなるように、目標を設定するのです。 例えば、お客さまは商品やサービスを買ってくださるわけですから、「こんな商品をつくろう」「こんなサービスをしてみよう」というお客さまにとってうれしいことは、目標として望ましいでしょう。その結果が売上高ですから、それも目標になります。 このように、具体的な行動目標や成果目標を立て、一歩一歩階段を昇っていく。 この目標の階段のずっとずっと先に、目的という扉があるというイメージを、社員が持てるようにする。これが経営者の仕事です。 本書では、「金もうけを目的にしてはいけない」と繰り返し言っていますが、売上高や利益は目標です。お客さまが喜ぶ商品やサービスを提供し、働く人が活かされ幸せになった結果得られるものです。お客さまが喜び、働く人が幸せになることが目的で、売上高や利益は目標なのです。 ですから、私は売上高や利益の出ない会社は、目的に向かって十分に進んでいないので信用しませんが、売上高や利益が目的化している会社はもっと信じません。 ときには、「お客さま第一」をモットーに掲げながらも、そのことはすっかり忘れて、売上高、利益の数値目標だけを社員に厳しく課す会社もありますが、これでは言っていることとやっていることが矛盾しています。こういう会社は、お客さまも社員も幸せにしません。あくまでも、売上高や利益は、「お客さま第一」の結果に過ぎないのです。 ですから、もっと「お客さまに役立とう」ということで、そのことを具体化し、実践し、その評価としての売上高や利益の目標を高く掲げるというのが正しい姿なのです。 あなたは、どんな会社をつくりたいのか、目指すところ、行きつくべきところを鮮明にイメージできていますか? それが、ミッション、ビジョンなのです。 そして、そのために何をしたらいいのか、具体的な「目標」を立てて、一歩ずつクリアしていってください。 小さな目標の達成は、未来を変えるステップです。逆に、目的(ミッション)や将来像(ビジョン)をしっかり持たない限り、長く続けるエネルギーは出ないのです。 Point「目的」と「目標」の違いを社長自らが認識したうえで、それを社員に浸透させよ。
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