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02「成長に合わせて対応するしくみ」をつくる

目次

ディズニーでは、キャストの経験・成長に応じて対応する

ベテランのアルバイトリーダーたちに対して、ディズニーのマネジメントリーダーは、一目置き、自分の考えを押しつけないと前述しましたが、ディズニーでは、キャストの経験・成長に応じて対応・指導するしくみが整えられています。

1977年に、ブランチャード(K.H.Blanchard)らが提唱した「状況適応型リーダーシップ」という有名なリーダーシップ理論があります。

この理論をもとに作成したのが199ページの図表です(※こちらを参照)。

横軸は「指示・命令」的行動を表し、右にいくほど指示・命令が多くなります。

縦軸は「援助」的行動を表し、上にいくほど援助が多くなります。

この横軸と縦軸に、部下の成長レベル、仕事への意欲レベルを組み合わせることで、図表のような4つの窓をつくることができます。

ディズニーでもこの理論を応用していると思われる人材育成をしているので、この理論・窓を参考に、マネジメントリーダーとしてどのように指導していけばよいか、ご紹介しましょう。

「入社後6カ月未満のキャスト」への対応は?

[この時期のキャストの特徴]①は、入社して6カ月くらいまでの新人キャストが該当する窓です。

この時期は、なかなか仕事が覚えられない時期です。

ですから、援助するまでには至らず、どうしても指示・命令を多くせざるを得ません。

[対応のポイント]ディズニーの場合も、この時期は、社会人としての当たり前のマナーやディズニーのルールを守るなど、基本的な指示や命令を徹底して伝えます。

たとえば、現場の業務中、「元気のいい挨拶をしなさい」「入り口では、妊婦のゲストに安全性についてスピールしなさい」「船は9分15秒で回りなさい。

遅すぎても速すぎても問題のあるバッドショーだよ」というように、すぐにフィードバックを行い指導する(機会指導)ことが中心になります。

この期間こそ、ディズニーの精神や伝統・哲学を身につけさせる最も大切な時期です。

ただ、すでに守られているルールに関することや、しっかりとできている作業分野については、指示・命令を繰り返さないことが大切です。

指示・命令が時間の経過とともに少なくなっていけば、それが自信につながっていく時期だからです。

ちなみに、「OJT(OntheJobTraining)」とは「職場でのトレーニング」のことですが、ディズニーでは、この6カ月間がOJT期間に相当します。

というのも、ディズニーでは、トレーニングによって知識や技術を覚えるだけではなく、「キャストに自信をつけさせてはじめてOJTが終了する」と考えているからです。

「入社後6カ月~1年のキャスト」への対応は?

[この時期のキャストの特徴]②は、入社後6カ月から1年くらいのキャストが該当する窓です。

この時期に入ると、仕事にも慣れ、ある程度仕事ができるようになります。

しかし、仕事にマンネリを感じ始めるのもこの時期です。

そのため、仕事に対する意欲は低下しています。

[対応のポイント]この時期は、事故を起こしやすい最も危険な時期です。

ですから、この時期は、仕事に対する指示と援助が多くなります。

たとえば、間違った行動をとったときは、「マニュアルと違うぞ。ルールは変えるなと教えたろ」頑張っていたら、「この前より、感情を込めてスピールできるようになったな」というように、メリハリをつけて指導・援助します。

ディズニーでは、やる気が低下しているこの時期に、ディズニー哲学などの基本をもう一度確認する研修を受けさせます。

マネジメントリーダーにとっては、最もモニターを強化しなければならない、すなわちリーダー格のアルバイトから頻繁に情報収集したり情報交換したりすることが必要となる時期です。

また、トレーナーにはまだなれませんが、この時期になると、後輩のアルバイトキャストも増えてくるため、後輩キャストの面倒を見させます。

これにより責任感が生まれ、後輩から慕われることでモチベーションが高まっていきます。

「入社後1~3年のキャスト」への対応は?

[この時期のキャストの特徴]③は、入社後1年から3年くらいのキャストが該当する窓です。

この時期のキャストは仕事ができる一方で、目標が定まってないと将来に不安を覚えることがあります。

そのため、何か具体的な目標を設定しようとします。

たとえば、トレーナーを目指す、あるいは手話キャストの認定試験の合格や、英会話可能キャストの認定試験の合格などを目指します。

また、気分にバラツキが見られるキャストが出てくるのも、この時期の特徴のひとつです。

[対応のポイント]この時期のキャストは、仕事はできますから、いちいち指示・命令を出していたら反発されます。

そこで、マネジメントリーダーには、「今回のキャストイベントを一緒に考えてみないか」「このマニュアル(手順)をもっと効率的にするにはどうすればいいと思う?」というように、共に考えたり、提案を聞いたりする姿勢が求められます。

ディズニーでは、英語の認定試験合格などの目標を目指すキャストを組織的にバックアップします。

費用は会社が補助し、勤務時間外に英会話教室などのクラスを準備しています。気分にバラツキが見られるキャストに対しては、マネジメントリーダーは、1対1の面談などを行い親身になって相談にのるなど、精神的ケアに努める必要があります。

「入社後3年以上のキャスト」への対応は?

[この時期のキャストの特徴]④は、入社後3年以上の仕事へのモチベーションの高いキャストが該当する窓です。

この時期のキャストは、仕事はなんでもできます。

運営上の仕事レベルに限れば、ユニットマネージャーやスーパーバイザー以上です。

ディズニーに限らず、このレベルの社員、アルバイトが多い組織は強くなります。

ここまできた社員やアルバイトは、どんどんホスピタリティを発揮して、新しいサービスを積極的に生み出してくれます。

[対応のポイント]この時期のキャストには、当然、仕事を任せることができます。

また、「どうしたら、もっとジャングルクルーズをよくできるか、考えて提案して」「キャストのモチベーションをどう高める?」というように、どんどん提案をしてもらうこともできます。

また、このようなキャストを、たとえば社員参加型プログラムなどの委員にすると、後輩キャストたちが積極的にプログラムに参加するようになります。

職場のキャストを導く力にも優れているからです。

マネジメントリーダーも、このような部下が多いと、年間計画を立てたり、予算の効果的な活用方法を考えたり、人材育成のシステムを考えたりする重要な業務に時間を費やす余裕も生まれるでしょう。

また、この時期になると、正社員を希望するアルバイトキャストも少なくありません。

「正社員になりたい!」と申し出があった場合、マネジメントリーダーは面接の練習をしたり会議の仕方やイベントの組み方などについて教えたりと、最大限の援助をします。

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