まえがき 本書を日本全国で日々悩み苦しんでいる中小企業経営者の皆さんに。そして、今後さらなる飛躍を目指す経営者の皆さんに捧げたい。 私は、一流電機メーカーを退職して故郷に帰り、親が経営する家電販売店で経営者としての一歩を踏み出した。 それからというもの、毎年のように〝難題〟が襲いかかり、「経営とは終わりのないモグラたたきを繰り返し、悩み苦しみ続けることなのか」と、自嘲気味に観念したほどだった。はじめて出店したときは、 4日で閉店を余儀なくされた。倒産を覚悟したこともあった。社員に裏切られたこともあった。社員の期待を裏切ったこともあった。一体、いつになったら思い通りの経営ができるのだろうか?社員もお客様も、そして自分自身も満足できる幸せな日がやってくるのだろうか?そう思いながら、ストレスのない自己解放された経営を夢見ていた。 このように悩み苦しみながらも、あらゆる〝難題〟に関する情報・ノウハウを求め続け、シミュレーションを繰り返しながら社長がすべき仕事を見つけ出し、愚直に実行していったのだ。 結果、家業の家電販売店を、リタイア時には年商 339億円にまで成長させることができた。 弱者の戦略を旨とする私は、パートナー戦略をフル活用し、次々と新しいステージ(ナショナルショップ、ボランタリーチェーン四日電、マツヤデンキ、ケーズデンキ)に踏み出して、ノウハウを吸収していった。 しかし、フランチャイジーとして生きることは、チェーンとしての力こそ発揮できるが、経営者や幹部の能力の低下に直結するリスクがある。そうはなるまいと、次々と新規事業(ミニハウス、酒ディスカウンター、米事業、 100円ショップ、パソコン教室など)に乗り出すことで、社員を、そして自分の社長力を鍛えぬいた。 その結果、どんな大波にも負けず、会社を成長軌道に乗せていくことができるようになったのだ。小売店としては珍しいほど、社員の定着率の高い職場を実現したと自負している。 多くの現役中小企業経営者は、これまでに私がもがき苦しみながら乗り越えてきた壁のように立ちはだかる「難問」や「テーマ」に直面している。それらが会社はもとより、社長自身の成長をも阻んでいるのだ。これは、業界や業種が異なっても同じだ。 そこで私は、 40年の経営者人生をかけて築き上げてきたメソッドを次世代経営者に伝えたいと、 2010年に中小企業経営塾大坂塾を開講した。塾生は日本全国、海外からも参加し、現在では 900名にのぼる。 取り上げる経営メソッドは単なるお勉強用の理論などではなく、実践の中で磨かれ生き残った実用的なものばかりである。本書にはそのエッセンスを注入した。 本書を私の人生の軌跡としてだけ読んでは欲しくない。 自分の例を多く書いているが、そこから経営の本質を読み取って欲しい。一つ一つの例を自社に置き換えて考えてみて欲しい。必ず、あなたの会社にも当てはめられる解決策となる。 どうか 1人でも多くの全国の中小企業の社長が本書を手にして、いくつもの〝難題〟を乗り越えながら、会社という自分の船をうまく操舵して欲しい。そして、ストレスのない経営、自己解放の世界にたどり着き、経営者としての成功、人生の成功という栄光を掴み取ってくれることを願っている。 大坂靖彦
まえがき第 1章 Life strategy ~鬼の人生戦略 ~ 01 「弱者の戦略」が成功への道 02 自分の死ぬ日を設定して、壮大な生涯ストーリーを描け 03 5年スパンで人生を考えろ 04 1日は時計で、年間はカレンダーで、一生涯は人生計画で 05 人生・経営をいかにデザインするか 06 大ピンチは神様のテスト 戦略パワーでリベンジせよ 07 世界の偉人が教えてくれる金言集 08 早すぎる成功は命取り 09 成功の物語を学べ 10 5、 10、 20、 30年計画の人生戦略でサクセスストーリーを 11 健康でなければ成功はできない第 2章 Knowledge ~鬼の心得 ~ 12 新しい国作りをスタートせよ 13 蛻変せよ(脱皮・変身・成長) 14 高い志・夢の実現を血反吐を吐くくらい求めよ 15 社長の軸がぶれないようにするには 16 セレンディピティの魔力 17 成功体験はいずれ足枷になる 18 オドオド・ビクビクの経営 19 目前のテーマを極大化してシミュレーションせよ 20 決断は時折歴史に学ぶ 21 群れるな!とんがれ! ファーストペンギンになれ! 22 ライバルは自分自身だ 23 社員に負けろ 24 社長は社員を磨く大きな砥石 25 経営は「社長と社員との格闘技」だ 26 片目をつぶって社員を見て下駄をはかせる 27 社員に与える「3つのや」 28 怒るな、興奮するな、熱く語るより熱く聞け 29 社長の思いつき発言は、社員のやる気を失わせる 30 部下に仕事を丸投げするな 31 今はいつでも途中形 32 神の領域を侵すな 33 社長の賞味期限は? 34 年初のあいさつは 1年間かけて練りあげよ 35 メモを取って戦略を練る 36 スクラップブックを作れ 37 社長はしっかり休息せよ第 3章 Management strategy ~鬼の経営戦略 ~ 38 経営の兆しを掴め 39 ビジネスモデルの賞味期限は? 40 聖域なしの総棚卸 41 ブルーオーシャンの世界は探すな 42 社長独自の P/ Lを作れ 43 コスト削減は社長の脳内で決まる 1掛け作戦 44 予算の実績 45 マネシタデンキでいこう 46 誇るべきは売上金額、利益額でも、従業員数でもない 47 大手と互角に戦うための戦略 48 広げるな掘り下げまくって己を磨け 49 新規出店は地獄への入り口 目指すは強靭な金型作り 50 新規事業参入のヒント 51 新規事業に無駄なお金をかけない
52 売上不振の本当の原因は? 53 売上を上げるための本当の対策 54 普通の人が普通にやって成果を上げる仕組み 55 情報戦略で正しい決定を下す 56 2・ 8には売るな 57 郵便配達員の教えで売上 130%を実現 58 ミッションが浸透すれば社員の力は爆発する 59 夢の回転差資金ゲット 60 妄想の世界が実現を生み出す 61 川上で勝負してブルーオーシャンの世界で戦う 62 自宅売却で利益を出す 63 社員の想像を超える度肝を抜く福利厚生第 4章 Improvement ~鬼の改善 ~ 64 会社のスタート時に陥りやすい罠 65 経営の大元を押さえる 66 株争奪戦 ~あなたの持ち株比率は ~ 67 レイバースケジューリングで無駄を省く 68 レイバースケジューリングで危機を脱する 69 毎日 1時間は面談禁止 70 大きなトゲを取り除け 71 現場に神宿る 72 オールリセット内観のススメ 73 お客様の生の声で経営改革を実現 74 メンターを使いたおせ 75 社員を守れ!会社を守れ! 76 立派な規定集の落とし穴 77 経営のリスクリスト第 5章 Human resources ~鬼の人事 ~ 78 とんがりすぎた部下の専門性と社長の自信喪失 79 ナンバー2は最大のリスクと心得よ 80 なぜ人が集まらないのか?とんがっているか? 81 あなたの会社に 007は来ない 82 007はパートで雇え 83 社員・パートさんが思い通り採用できる 84 パート正社員のパワー 85 なぜ人が育たないのか 86 部下を育てる人を最大評価 87 偉大なる高卒軍団 88 戦略人事ボードで超見える化を実現 89 組織表で日々戦略を考えよ 90 肩書は変動制でいつも緊張感を 91 チャレンジポスト 92 べクトル会 鍛え抜いた社長の懐刀集団を作れ 93 社員接点表で絆を結べ 94 人が育っても辞めない会社を作れ 95 社員の心に寄り添え 96 面授口訣で社員の心を鷲掴みにせよ 97 定期的な社員のガス抜きアンケート 98 社員の辞めさせ方 99 社員の退職を社内見直しのチャンスとして捉えよ 100 辞めた社員は金あとがき
希望は人を成功に導く信仰である。希望がなければ、何事も成就するものではない。ヘレン・ケラー(教育家、社会福祉活動家)理想は我々自身の中にある。同時に、その達成に対するもろもろの障害もまた、我々自身の中にある。トーマス・カーライル(歴史家・評論家)
鬼 100則 01「弱者の戦略」が成功への道 中学生時代から今までに 6回の鼻の手術。記憶力が弱い上に、鼻呼吸がしづらいためか眠りが浅く、毎夜見る悪夢の日々。まさにストレスとの戦いの半世紀。虚弱体質で、いつも顔が青白く痩せすぎで、成績はいつも中くらいで運動とも縁のない生活。 私はいろんな面で「弱者」であった。 だが、夢だけは大きかった。小学生のときに観たアメリカ映画の中の優雅な生活に憧れ、将来は語学を勉強し、海外で社長になろうという夢が「志」となった。 しかし、大きい夢に比べ、足元の現実は余りにもみすぼらしかった。私には両者のギャップがストレスとなったが、同時に、やるべきことを浮き彫りにしてくれた。 私の英語の学力では到底合格は無理と言われた上智大学の受験の際、帰国子女向けに設けられた比較的易しい第二外国語受験に目をつけ、ドイツ語で受験すると、見事合格。この経験が私の中に戦略を駆使して正しくやり切りさえすれば、夢のゴールにたどり着けるという確信を生んだ。遠い未来を見つめながらワクワク感に包まれ高揚した。 つまり、夢見る私は「弱者」であるがゆえに、数々の戦略、そして戦術にたどり着くことができると確信したのだった。と同時に、幼少期に抱いた強い「志」が、世の変化に潜む「兆し」を捉える習慣を私の中に生み育ててくれた。 私は、 2033年4月 4日を命日と決め、半世紀以上続いたビジネス戦線の中で編み出した手法により、年商 7000万円の電器屋を 339億円企業にまで成長させることができた。今もなお、自己改革を迫るべく、あらゆるテーマにチャレンジし続けている。 健康戦略の項でも述べるが、 15年かけて肉体改造計画にもチャレンジしている。 途中で休みを入れながらも、事務所のマンション 32階までを上り切れるようになった。カルシウムを摂り、太陽の光を浴び、骨密度はついに 30代に。そして血管年齢は 20歳若い 50代に。天命を全うするまでなおチャレンジは続く。 弱かったからこそ、ここまでできた。 「強者に負けない」ではなく、「強者に競り勝つ」ための〝弱者という強み〟を生かすさまざまな考えを身につけて欲しい。それこそが、私が伝えたい弱者の戦略である。
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