はじめに「日本経済はようやく景気が回復してきました」 最近こんな話題がメディアで報道されていますね。 あなたは景気が上向いているという実感が湧いているでしょうか? おそらく二つ返事で答えられる人は多くはないでしょう。実際、多くの中小企業の社長から「うちはまだまだ景気回復の恩恵を受けていない」という声が聞こえてきます。 どうやら景気がよくなったのは大企業中心の話で、多くの中小企業経営者にとっては「不景気」が続いているのが実感のようです。 でも、ちょっと待ってください。 非常に厳しいですが、「景気回復の恩恵を受けたい」と願うような他力本願の社長には、恩恵なんてなかなかやって来ません。 ほんとうに稼いでいる「儲かる社長」とは、世の中の景気がどうであれ意に介さず、独自の工夫と行動力でお客様を増やし会社を成長させていきます。 それでは、どうやったら「儲かる社長」になれるでしょうか? 実は、「儲かる社長」と「ダメ社長」を分けるのは、ちょっとした考え方や行動の違いです。1つひとつは小さな差ですが、それが積み重なると大きな業績の差となって表れてきます。 ●「儲かる社長」には共通点がある 私は、政府系金融機関である日本政策金融公庫に 26年間にわたって勤めた後、経営コンサルタントとして独立開業しました。 現在の主な仕事は、起業しようとする人への支援と中小企業の資金調達のサポートです。 これまで 3万人以上の経営者とお会いしただけではなく、儲かっているかどうかという経営の実態を目の当たりにしてきました。 日本政策金融公庫に勤めていた間は、中小企業に対する事業資金の融資の仕事に携わりました。もっとも長く担当したのは、融資の申し込みをしてきた中小企業に対して、融資 OKとするか NGとするかを判断する審査の仕事です。「融資の申し込みをする中小企業」というと、「赤字で資金繰りが厳しいからお金が必要なのだろう」と思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。 順調に利益を上げているからこそ、金融機関から資金を調達しようとしているケースもあります。生産能力拡大のための設備投資を行ったり、新規事業を始めようとしたりする企業も多いのです。 融資の仕事を通じて私が感じたのは、「儲かっている社長には共通する特徴がある」ということです。 それは、社長としての心構えのほか、計画や戦略、お金に関することなどの面で、明らかに共通する考え方や行動習慣があるのです。 ●「ダメ社長」から「儲かる社長」へ変わるための方法とは もしあなたが、「自分は稼げないダメ社長かもしれない」と思っているとしても、どうかご安心ください。 本書でご紹介している「儲かる社長」の考え方や行動習慣を知って、それらに近づく努力をすることで、必ずや「ダメ社長」から脱却することができるでしょう。 私が自信を持ってそういえるのは、明確な根拠があるからです。 実は私は、儲かっている社長に会うと、いつもこんな質問を投げかけます。「社長、今とても順調でいらっしゃいますが、過去にはご苦労されたことはありますか?」 すると、必ずといっていいほど、「全財産が 1万円になったことがある」「借金の返済に追われて大変だった」「商売をやめようと思うほどのどん底に落ちた」といった答えが返ってくるのです。 そして、「なんとかこの状況を乗り越えよう」と考えて、決してあきらめずに粘り強く経営上の工夫を重ねた結果、「儲かる社長」になれたのだというのです。 たとえば、あるハイテク素材を製造している会社の社長は、今は収益が右肩上がりに増えてとても儲かっていますが、 10年前には投資に失敗して倒産の危機に直面していました。 しかし、それであきらめず、技術力を生かして斬新な製品の開発を続けた結果、なんとか挽回し会社を成長させることができました。 つまり、最初から「儲かる社長」という人はほとんどいなくて、自分なりの努力をすることで「ダメ社長」を脱却したということなのです。 ウソだと思うなら、あなたの身近にいる「儲かる社長」に同じ質問をしてみてください。 ●起業して間もない社長にも知っていただきたい 私は、起業支援の仕事にも力を入れており、これから起業する人や起業して間もない社長へ、事業を軌道に乗せるべくアドバイスをしています。 平均すると週に 5 ~ 6人の起業家と会って、事業計画を聞いたり起業後に直面している問題への解決策を考えたりしています。 起業家のなかには、首尾よくスタートを切ったものの、 1、 2年経過した頃に「事業がなかなかうまくいかない」と悩んでいる人が少なくありません。 そこで私が「成功している経営者のほとんどは、同じような悩みを抱えた時期があり、それを乗り越えていますよ」という話をすると、元気を取り戻して「なんとか事業を続けたい」という意欲を示します。 ただし、意欲だけで業況を改善させることはできません。 一刻も早く「儲かる社長」の特徴である考え方や習慣を知って、前を向いて行動していくことが重要です。
●「儲かる社長」は人生を心から楽しんでいる 中小企業の社長というと、「朝から晩まで仕事をしてなんとか生活している苦しい立場の人」というイメージで語られることが多いと思います。 稼げない状態が続いていると、そのとおりのことがいえるかもしれません。 しかし、「儲かる社長」は、社長としての仕事に生き生きと打ち込んでいるばかりではなく、自分の人生を目一杯楽しんでいるのです。 そして「儲かる社長」は、必ず自分が実現したい夢を持っています。 それを実現するための計画を立て、思う通りに人を動かしてまい進することにより、着実に夢の実現に近づいていきます。 ですから、 24時間いつでも仕事のことを考えていますが、それを苦労だとは思わないのです。 それどころか、「毎日が楽しくて仕方ない」と思っています。 あなたもそんな人生を送りたいと思いませんか? 本書をお読みいただいて、ぜひ「儲かる社長」になってください!経営コンサルタント・資金調達コーディネーター 上野 光夫
○もくじ 「儲かる社長」と「ダメ社長」の習慣はじめに第 1章 ▼ ▼ ▼心構え編 01儲かる社長は「儲かる」という言葉を発し、ダメ社長は「貢献」という言葉を発する。 02儲かる社長はいつも不安を抱え、ダメ社長は自信満々。 03儲かる社長はワンマン経営で、ダメ社長はチームプレー重視。 04儲かる社長は不景気をチャンスと思い、ダメ社長は不景気を嘆く。 05儲かる社長は小さな失敗を繰り返し、ダメ社長は失敗を犯さない。 06儲かる社長は泥臭く、ダメ社長はカッコいい。 07儲かる社長はプライドが低く、ダメ社長はプライドが高い。 08儲かる社長は引き際を考え、ダメ社長はいつまでも居座る。第 2章 ▼ ▼ ▼計画・戦略・戦術編 09儲かる社長は長期計画を立て、ダメ社長は短期計画を立てる。 10儲かる社長はやらないことを決め、ダメ社長はやることを決める。 11儲かる社長は朝令暮改で、ダメ社長は一度いったことは変えない。 12儲かる社長は考えることに時間を割き、ダメ社長は考えるよりもまず行動する。 13儲かる社長は経営理念を追求し、ダメ社長は経営理念を忘れる。 14儲かる社長は事業に深さを追求し、ダメ社長は広さを追求する。 15儲かる社長は他社のホームページを見て、ダメ社長は自社のホームページを見る。 16儲かる社長はモノマネし、ダメ社長はオリジナリティを追求する。第 3章 ▼ ▼ ▼人事労務・人的マネジメント編 17儲かる社長は社員を増やし、
ダメ社長は社員を減らす。 18儲かる社長はイエスマンを雇い、ダメ社長は反骨精神のある人物を雇う。 19儲かる社長は従業員満足を気にし、ダメ社長は顧客満足を気にする。 20儲かる社長は給与体系を社員に公開し、ダメ社長は給与体系を秘密にする。 21儲かる社長は人事評価の基準を明確にし、ダメ社長はブラックボックスで評価する。 22儲かる社長は社員を褒めまくり、ダメ社長は叱りまくる。 23儲かる社長は社員を信用せず、ダメ社長は社員を信用する。 24儲かる社長は社員教育に金をかけ、ダメ社長は社員教育には無関心。 25儲かる社長は社員のプライベートに踏み込み、ダメ社長はプライベートを知らない。第 4章 ▼ ▼ ▼お金・会計・経理編 26儲かる社長は 100万円をドブに捨て、ダメ社長は 1万円を追いかける。 27儲かる社長は積極的に税金を払い、ダメ社長は節税に走る。 28儲かる社長は現預金の残高を見て、ダメ社長は利益の数字を見る。 29儲かる社長はどんぶり勘定、ダメ社長は経理に細かい。 30儲かる社長はできるだけ多く借金をし、ダメ社長は無借金経営を目指す。 31儲かる社長は取引銀行が多く、ダメ社長は 1行しか取引がない。 32儲かる社長は融資を受けるコツに詳しく、ダメ社長はコツを知らない。 33儲かる社長は銀行員と飲みに行き、ダメ社長は銀行員を避ける。 34儲かる社長は仕入先に儲けさせ、ダメ社長は仕入れ値を徹底的に値切る。第 5章 ▼ ▼ ▼マーケティング・営業編 35儲かる社長は商品を売ることに注力し、ダメ社長は商品をつくることに注力する。 36儲かる社長はよく営業で外出し、
ダメ社長はいつも社内にいる。 37儲かる社長は金庫に顧客リストを入れ、ダメ社長は金庫にお金を入れる。 38儲かる社長は新規客を大切にし、ダメ社長は既存客を大切にする。 39儲かる社長はお客様を区別し、ダメ社長はすべてのお客様に同じ対応をする。 40儲かる社長は広告宣伝費をかけ、ダメ社長は広告宣伝費を削減する。 41儲かる社長は ITに詳しく、ダメ社長は I Tを避ける。 42儲かる社長はクレームを喜び、ダメ社長はクレームを嫌う。第 6章 ▼ ▼ ▼人脈構築・対人交渉編 43儲かる社長は人から情報を得て、ダメ社長はネットで情報を得る。 44儲かる社長は二枚舌とハッタリを使い、ダメ社長は正直に生きる。 45儲かる社長は懐が深く、ダメ社長は脇が甘い。 46儲かる社長は地域社会に溶け込み、ダメ社長は地域社会を無視する。 47儲かる社長は著名人と仲良くなり、ダメ社長は著名人の威を借りる。 48儲かる社長は人をもてなし、ダメ社長は人にもてなされる。 49儲かる社長はプレゼン能力を鍛え、ダメ社長はプレゼンの場を避ける。 50儲かる社長は筆まめで、ダメ社長は筆不精。おわりに
01/儲かる社長は「儲かる」という言葉を発し、ダメ社長は「貢献」という言葉を発する。 大阪では商売人同士が道で出会うと、こんなお決まりの会話が交わされます。「儲かってまっか?」「ボチボチでんな ~」 大阪には「商売は儲けるために行うもの」という文化がごく普通のこととして根付いています。 私が大阪で出会ったある税理士の話をしましょう。 この税理士は、 50名ほどの職員を雇っている比較的大きな事務所を経営していました。 そして日頃から、事務所のなかだけではなく外の人に対しても、「うちの事務所は儲かることが第一目標」と公言していたのです。 事務所の財務諸表を見せていただくと、驚くほど儲かっていて、しかも年々成長していました。お客様からいただく顧問料が特別高いというわけではなく、きめ細かなサービスが評判となり、順調に顧問先が増えていることが儲けにつながっているのです。 その時、私は風変わりな所長だなと思いましたが、改めて考え直してみると、面白いことがわかりました。 それは、この税理士事務所の所長が変わっているのではなく、儲かっている社長は皆必ずといっていいほど、この「儲かる」という言葉を多用しているということです。 一般的に、「儲かる」という言葉を発することに抵抗がある人は少なくありません。「拝金主義でイヤな会社」と思われるのではないかという不安があるために、「そんなことを口に出すのはちょっと…」と思うようです。 なかには、「自分の儲けよりも世のため人のために尽くす」という主義の社長もいます。たとえば、ある食品スーパー会社の社長は、こんな立派なメッセージを社内外に発していました。「わが社は食を通じて地域の皆様に貢献します」 たしかに、地域住民にとってはいいメッセージですが、この会社は結局売上が伸び悩み、コストがかかり過ぎて赤字が続いたために、廃業を余儀なくされました。 では、なぜ廃業に追い込まれたのでしょうか? もちろん、原因は多岐にわたるかと思いますが、1つは従業員にも「貢献」だけをいい過ぎたために、社内に「儲かる」ための視点や行動が不足してしまった、ということではないでしょうか。 商売とは、付加価値のある商品やサービスを提供することにより、利益を出す活動です。日々、「どうやったら儲かるか」ということを追求して利益を生み出さなければ、事業を継続し続けることはできません。 儲けるために、ビジネスモデル、マーケティング、マネジメントなどを研ぎ澄ましていくことが、事業経営の醍醐味といえます。 商売をして儲けることは、決して悪いことではありません。不法行為や社会的に問題のある事業で儲けるのはもってのほかですが、お客様に喜んでいただける事業で儲けることができれば称賛に値します。 なお、「儲かる」のいい方は、相手によってうまく使い分けることで、その効果を最大限に発揮することができます。 従業員に対して、「会社が儲かったので給与や賞与を上げる」ということをいって実行すれば、会社が儲かるための工夫をしようとするモチベーションが高まります。 銀行に対して、「儲けるためにこのような方策に取り組んで成果をあげている」と説明することで、信用が得られて融資を受けやすくなります。 堂々と「儲かっている」ということによって、お客様が集まり、さらに儲かるようになるものです。「儲かる社長」になるためには、まず社長が自分自身に「儲かる」といい聞かせることです。「儲かる」という目的意識を明確にして、ビジネスを工夫して組み立てていくことによって、ほんとうに「儲かる社長」になれるのです。 01/儲かる社長は、「儲かる」という目的意識が明確である!
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