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PART8メンタルトレーニング

PART8メンタルトレーニングPART6までで、3つの力が整えば最大限の力が発揮できるという「心技体」のうち、主に「技」と「体」についてのトレーニングを行なっていただきました。このPARTでは、残る「心」の部分にフォーカスして、メンタルの部分から話し方の技術をお伝えしていきます。

声は心、心は声私はボイストレーナーと並行して、メンタルトレーナーとしても10年以上活動しています。それには訳があります。声と心は切っても切り離せません。発声法をいくら習得しても、心の状態が不安定である限り、人を動かせるような声は出せないのです。声は心の状態を素直に反映します。心が穏やかで落ち着いていたら、落ち着いた響きのある声が出るでしょう。逆に心が乱れて、焦っていたり、不安になっていたりすると、とたんにノドが締まり、声が出づらくなります。これまで5000人近くの受講生に接してきた経験から思うのは、声や話し方の悩みの9割は、心の状態に起因しているということです。心、とりわけ感情の取り扱い方を知っていれば、いついかなる場面でも、あがることなく、不安になることもなく、自在に人を動かす声を出せるようになります。そこで本書の最後となるこのPARTでは、総仕上げとして、心と声との関係についてお話ししていきます。このPARTは、とくにリーダーの立場にある人、また、これからリーダーを目指す人に読んでいただきたいと思っています。経営者の方、政治家、マネージャー的な立場にある人は、声の出し方ひとつで場の空気を変え、状況を変え、人の心に火をつけることができます。そんな声を出すには、やはりメンタルの安定が必須です。このPARTでは、「いい声」の観点から、そのことをお伝えしていきます。

潜在意識の力を上手に活用する学んだことや知ったことを、きちんと行動に移して成功までたどりつける人と、行動に移せず現状維持で甘んじてしまう人がいます。両者の違いについて、私はそこに潜在意識が深く関わっていると考えます。心には2つの領域があります。顕在意識と潜在意識です。氷山にたとえると、水面上に見えている部分が顕在意識、水面下の見えない部分が潜在意識です。顕在意識は、自分で意識できている心の領域です。潜在意識は、意識できていない心の領域となります。大きく分けて、顕在意識の役割は、判断、思考、分析など。潜在意識は、感情、感性、イメージなどを担います。顕在意識と潜在意識の比率は、顕在意識が3%、潜在意識が97%といわれています。それほど潜在意識のパワーは大きいということです。潜在意識には、大きく次の2つの機能があります。1.現状維持機能現状維持機能とは、あなたの今の思考のクセや感情のクセ、行動パターンを、現状のまま維持しようとする機能のことです。「ホメオスタシス」とも呼ばれています。潜在意識は、急激な変化を嫌います。未知の危険から身を守るために、今の安全、安心な状態を保とうとするからです。本項の冒頭にあげた、「行動に移せず

現状維持で甘んじてしまう」人も、潜在意識のこの機能によってそうなってしまうのです。2.イメージと現実を区別せず認識する機能潜在意識は、頭の中でイメージしたことを現実に起きたこととして認識します。そして、繰り返しイメージすることで、現実の自分がイメージした自分に近づいていきます。他にも潜在意識の特性はありますが、潜在意識を活用して、常に「いい声」を出し続けるためのメソッドがあります。それが、次に掲げた「ハイパーボイス・パフォーマーチェックシート」です。声、体、メンタルを常に向上させていくためには、自分について現状分析をし、課題を書き出し、理想の「ありたい自分」をしっかりと定義し、イメージすることが大切です。そのとき、イメージが曖昧だと、実現が難しくなります。「ハイパーボイス・パフォーマーチェックシート」は、理想をイメージし、それを潜在意識に定着させるツールです。

【ハイパーボイス・パフォーマーチェックシートの書き方】こちらのシートをご覧下さい。左欄に「今の問題点や課題」を、右欄には、「どうなりたいか、どうありたいかという理想像」を書き出します。■理想像を書き出すときの注意点①否定形で書かない潜在意識は否定形が理解できません。たとえば「緊張していない」と書くと、逆に「緊張する」に意識が集中することになります。(例)リラックスしている②具体的に書く一歩踏み出すモチベーションになりやすい。(例)ゆっくりと深呼吸し、15秒息を吐く。③現在形で書く潜在意識には時間の概念がありません。常に「今」のこととして受け取ります。(例)上司から信頼され、仕事を任されている。続いて、次に掲げる「アファメーションシート」を使って、なりたい自分になる潜在意識を活用した具体的な方法をご紹介します。

【アファメーションシートを活用する】メンタル面での不安などの、マイナス思考グセが強い人の特徴は、「ハイパーボイスチェックシート(記入例)」の左欄に記載されているような内容を常に頭に思う浮かべているのではないでしょうか。これは、不安や恐ればかりにフォーカスするように、脳を訓練しているようなものです。この習慣を変えない限り、マイナス思考グセは改善されません。しかし、あなたのマイナス思考グセは改善することができます。マイナス思考グセになってしまった原因が、マイナス思考グセになるように脳を訓練したものである以上、喜びや、楽天的、リラックスするように脳を訓練することも可能なのです。「アファメーションシート」は、あなたの脳をポジティブ脳に変えるための、潜在意識を活用した効果的なツールです。【アファメーションシート記入方法】「ハイパーボイスチェックシート」の右欄に書き出した項目の中から、自分を喜ばせ、リラックスできるような動作や、行動、思考法を選んでください。選んだ項目を「アファメーションシート」に箇条書きで書き出してみましょう。※「アファメーションシート(記入例)」を参考にしてください。「アファメーションシート」の役割は、あなたの脳をポジティブ脳に変えるための新しい情報ネットワークを築くことにあります。ポジティブ脳に変えるネットワークが強固になればなるほど、マイナス思考グセに使われていた脳の神経ネットワークの使用頻度は減っていきます。【活用法】書き上げたら印刷して携帯するようにします。印刷が難しい方は、スマホなどで撮影してもOKです。これを、朝起きたとき、夜寝る前に見ることを心がけます。これを続けていると、潜在意識にメッセージが届きます。そして、いつの間にか習慣化していきます。頑張ろうと意識することなく、自然と心と体が理想にあるべき姿に近づいていくのです。私自身、かつては極度のあがり症でした。緊張すると本番に弱くなり、だからふだんの実力が発揮できないと思っていました。そんな自分がうまくいかない状態から抜け出せるきっかけになったのが、潜在意識の活用法を知ったことでした。受講生の方々にも、試していただいたところ、効果を発揮しています。極度のあがり症、人の目が気になって動けなくなってしまう、常に身体が緊張し、話すのが億劫……。そんな症状をかかえた女性Iさん(30代会社員)。心身ともにヘトヘトの状態で、話す気力も失っていました。「ハイパーボイス・パフォーマーチェックシート」「アファメーションシート」を活用したトレーニングを行なったところ、わずか1週間程度でマイナス思考グセや人の目が気になり何も手をつけられなくなるといった症状が緩和し、今は元気に仕事に打ち込めています。

感情に振り回されない感情的な物言いは、それだけで人の値打ちを下げます。まして、リーダーと言える立場の人ならなおさらです。「自分の感情もコントロールできないで、部署をまとめていけるの?会社をまとめていけるの?」と周囲に思われるでしょう。とくに怒りや苛立ちなど、負の感情のコントロールはリーダーとして必須のスキルと言えます。とはいえ、ストレスの多い日常にあって、負の感情そのものを封じ込めるのは困難です。そこで、負の感情がフツフツと湧いてきたときの、とっておきの方法をお教えしましょう。怒りや苛立ちを感じたときは、言葉を発する前に、まずその感情をしっかり受け止めてください。そうしたら、息に感情をのせるイメージで、「ハァーーーッ」と息を吐ききってください。1回だけではなかなか気持ちがおさまらないと思うので、2度、3度と繰り返すといいでしょう。だんだん落ち着いてきます。その際、感情のレベルを数値化し、10段階で評価します。たとえば「レベル8の怒り」だとすると、息を吐くたびに「レベル6まで下がった」「3まで下がった」と自己診断してみるのです。まぁ、レベル2くらいまで落とせれば、声を出し始めても大丈夫でしょう。やがて「めったなことでは感情に振り回されないメンタル力が身につきます。トラブルが起きると、往々にして感情をそのまま「声」で表現してしまいがち。そのために相手を傷つけたり、逆ギレされたりするのです。必要以上にトラブルを大きくしないためにも、感情を自分のなかで処理してから、「声」を発するようにしましょう。

ため息デトックス「息」という文字を思い浮かべてみてください。「自分」の「自」と「心」の2つの漢字に分解できます。このことは、「自分の心の状態が息に現れる」ことを意味しているように思えます。息の源は呼吸です。息を吸って吐く、その通り道にある声帯を振動させ、口内や頭、胸、鼻など、体の様々なところに響かせる。それが「声の出るメカニズム」です。心の状態がよくないと、当然、呼吸が乱れます。心配事があれば呼吸は浅くなるし、緊張すれば呼吸が早くなる。ノドがつまったような状態になる場合もあるでしょう。そういう呼吸のときに「声」を出すと、どうしてもか細く小さな声になり、音も切れ切れになってしまいます。体の状態も同じこと。疲れていたり、二日酔いだったり、内臓の調子がよくなかったりすると、呼吸が乱れて「いい声」が出ません。そういうときは、ため息をついてください。これで、ひとまず息で心と体のデトックスができます。そして、体の力を抜いてリラックスし、姿勢を正したうえで息を深く吸い込み、お腹から声を出すように心がけてください。やってみるとわかりますが、どんなに心身の状態が思わしくないときでも、お腹から声を出せば、必ず明るくハリのある、適度に大きな「いい声」を出すことができます。そうすると、不思議と元気が回復するのです。これは、「いい声」を出せば、呼吸が整い、心身のコンディションをよくすることが可能だということを意味しています。「何だか声の調子がおかしいな」と思うときは、体や心の状態がよくない証拠。努めて「いい声」を出し、気持ちを上げていくといいでしょう。おそらく、多くの人が「体調がよくないときは、声にも元気がなくて当たり前」と思っているかもしれませんが、今このときからそんな認識は変えてください。「明るく元気な声を出せば、気持ちは前向きになり、体調もみるみる回復する」と。「声」には、それだけのパワーがあるのです。「いい声」を出すことは、いわば体力の維持・向上のためにスポーツジムに通うようなもの。ただし、力んで、ムリに「いい声」を出さないよう注意してください。ノドを締めつけて、逆に痛めてしまうことになりかねませんから。あくまでもリラックスして「声」を出すことがポイントです。

「心の毒」セルフチェック「声」は心と密接な関係があります。そのため、「声」だけを変えようとしても、「いい声」は出ません。「声」によくない影響を与えている原因を心に求め、そこから根本的に直していく必要があるのです。そうして根本原因を明らかにすることを、私は「毒出し」と呼んでいます。自分の「声」には、どんな「心の毒」があるのか。次の質問でセルフチェックしてみてください。「声」に関して悩んでいることは?(例)大きい、小さい、音がこもる、高い、低い、舌足らず、暗いその悩みが生じたのはいつですか?(例)幼少期、小中学校の頃、高校生の頃、大学生の頃、社会人になってから、管理職になってから何かきっかけになる出来事はありましたか?(例)親や先生、友人などから指摘されたり叱られたりしたこと、授業やプレゼンなどの発表の場で恥ずかしい思いをしたこと、自分の物言いで誰かを傷つけたこと、カラオケでイヤな思いをしたこと等うまく「声」が出ないのは、特定の相手に対してですか?(例)親兄弟、友人、目上の人、後輩、異性等うまく「声」が出ないのは、どういうシチュエーションのときですか?(例)大勢の人の前でしゃべるとき、緊張する相手としゃべるとき、自分の言ったことを聞き返されたとき、自分の発言を否定されたとき等いかがですか?質問に答えていくことで、「声」が出ない原因が明らかになるのではないかと思います。原因がわかれば、対処のしようもあります。たとえば過去の失敗経験に縛られていたのであれば、これからは「いい声」を出して成功体験として〝上書き〟していけばいい。また、相手や状況によって気持ちが揺れ動くのだとしたら、「いい声」を出して心を落ち着ければいい。このように原因が明確になれば、「声」の問題は「声」で直すことができるのです。何より大事なのは、「自分の声そのものが悪いのではない」と強く認識することです。それだけで、気持ちがずいぶん軽くなると思います。

「声」と「言葉のクセ」で相手の本心を読み取る「声」に心身のコンディションが現れるというのは、誰にも共通することです。そのため、「声」からその人の心身の状態を読み取ることも可能なのです。よく「顔は笑っているけれど、目は笑っていない」というようなことがいわれますが、本心は「目」だけではなく、実は「声」や「言葉のクセ」にも現れます。たとえば、次のような口グセのある人は要注意です。・えーっと:自信がない。依存的・でも、だけど:セルフイメージが低い・まあ:自分に自信がなく、反論が怖い・なんか:依存心が強く、責任感が希薄相手の言葉を受け取るときには、表情のほうに意識が向きがちですが、「声」や「言葉のクセ」を観察することもお忘れなく。また、とくにリーダーの立場にある人にとって、部下をはじめとする仕事関係の人たちの本心を読み取ることは非常に大事です。本心をきちんと理解していなければ、部下を動かすことも、ビジネスをうまく運ぶこともかないません。相手の「声」と「表情」が一致しているかどうかも、よく見てください。「声」に現れる相手の心情を敏感に察し、それをマネジメントに活かすよう心がけてください。

自分の声を好きになる方法「自分の『声』が嫌い」と言う人はたくさんいます。嫌いになるパターンは2つあります。一つは、自分の「声」を直接自分の耳で聞いて「イヤだなぁ」と思うパターン。もうひとつは、自分の声を録音したものを聞いて、「えっ、こんな声をしているの?」と違和感を覚えるパターンです。また、レッスンを通じて感じるのは、自分の「声」が嫌いという人の傾向として、セルフイメージがとても低く、人と話すことに苦手意識が強いということです。そうはいっても、自分の思いを伝えるのは自分の「声」しかないのですから、「嫌い」と言ってみても始まりません。自分の声が好きになる方法はちゃんとあります。それは、日常の会話を録音することから始まります。電話の声、上司や部下と話すときの声、同僚と話すときの声など、自分がふだんどんな声で話しているかを録音します。その中で、自分が聞いていて不快だったり、逆に違和感を覚えない声が必ず見つかるはずです。その声を発していたときの気持ちや、体の状態などを思い出してみてください。そのうえで、その声を再現してみましょう。そこから、「あのときは、苛立っていたから、部下に対しての声にキツい調子があったな。もう、ああいう声を出すのはよそう」「あのときは、大きな商談がまとまった後だったから、声に機嫌のよさが表れていて明るいな。こういう声なら、人に対して発しても問題ないだろう」という気づきが生まれます。こうして、自分の声を再確認する作業を繰り返していくうちに、自分の声がきっと好きになるはずです。自分の声が好きになると、自分のことも好きになります。結果セルフイメージがアップして、自信が持てるようになるのです。

声は表情で大きく変わる「声」には表情も影響します。自分の「声」が嫌いだと思っていると、話しているとき表情が曇りがちになります。口角が下がって、不機嫌そうな、怒っているような、オドオドしているような、そんな暗い表情になるのです。そんなことでは「いい声」が出るはずもありません。そして、あなたがそんな表情をしていれば、聞いている相手もつられて表情が暗くなります。あなたが眉を寄せてしかめっ面をすれば、相手も眉を寄せてしかめっ面になる。あなたがふくれっ面をすれば、相手もふくれっ面になる。あなたが困った顔をすれば、相手も困った顔になる。あなたが泣きそうな顔をすれば、相手も泣きそうな顔になる。といったぐあいに、相手はあなたのことを「鏡に映った自分の顔」のように錯覚し、同じ表情をするようになるのです。これは「ミラーニューロン」なるものの仕業です。ミラーニューロンとは、目の前にいる人の行動をあたかも自身のもののように感じ、同じ行動をとる運動神経細胞のこと。人間は目の前の相手の影響を受けて、そのマネをする傾向があるのです。逆に言うと、相手の表情を見れば自分がどんな表情をしているのかがよくわかる、ということです。「人のふり見て我がふり直せ」ではありませんが、相手の表情を見ながら、自分の顔つきも変えていくよう心がけるといいでしょう。「明るく元気な声は、明るく元気な表情から生まれる」このことを覚えておいてください。

コラム声日記自分の声にあらわれる感情を安定させるのに、よい方法があります。「声日記」を書くことです。日記といっても、次に挙げるようなことを数行書く程度でOKです。①出来事例:部下が何度も同じミスを繰り返して、カッとなって叱ってしまった②そのとき抱いた感情の種類例:怒り③なぜその感情を抱いたのか例:自分の言うことを聞かない。バカにしているのではないか④ありたい心の状態例:穏やかでいたい。部下と一緒に楽しくやっていきたい⑤次回同じことが起きたときの対処法例:部下と一緒にミスの原因を考えて再発防止策を考える。穏やかな口調で話をする失敗体験、成功体験の両方を書いてそれらを自覚することが、感情を安定させる上での原資になります。声日記を続けていくうちに、どんな状況にあっても常に感情をコントロールしながらベストの「声」を出し、冷静に穏やかに話せるメンタルに変わっていくはずです。

ボイストレーニングのキーワードは、「〝もう一度会いたい〟と言われる人になる」――あとがきに代えて伝えることを、あきらめていた時代自分の気持ちや思いをスムーズに伝えられたらどんなに楽だろうか?いっそ話すことなく、テレパシーで相手と通じ合えたらどんなに楽だろうか?――子どもの頃からそんなことばかり考えていました。あふれる思いがあっても、声が小さくて通らないから、聞いてもらえなかったり、聞き返されたりしてばかり。それが何か月、何年、何十年も続くと、伝えること自体が億劫になる。頑張って大きな声を出しても、すぐノドが疲れて痛くなり、嗄れてしまう。なんとか聞こえる声で話しても、話す順番がぐちゃぐちゃで、上司やお客様から「何が言いたいのかわからない」「担当を変えろ!」と言われてしまう。そんなときに、話す声を改善するボイストレーニングと出会いました。たった1日のセミナーでしたが、過去三十数年苦しんできた、声の出し方、話し方、あがり症の悩みが改善したのです。自分を生き切りたい思いからボイストレーナーに転身そのセミナーを受講後、ボイストレーニングの理論を深く学び、自ら講師となって教えることができるようになれば、もっと声や話し方に自信が持てるようになるのではないか。そんな気持ちが湧き上がってきました。当時、私は保険会社の社員として15年目を迎えていました。たくさんの失敗があったり、迷惑をおかけすることがあったりしましたが、上司や先輩にフォローされながら、安定した会社員生活を送っていました。しかし心のなかでは、自分自身を完全に生き切れていないような、言葉に表すことができない、モヤモヤした思いが、ずっとくすぶっていました。当時の仕事は、一日中パソコンの画面を見ながら、右から左へと仕事を処理していく。そんな毎日でした。このままこの仕事を続けていくなかで、人生の真の喜びを味わうことができるのだろうか?そんな疑問が突如湧き上がってきたのです。もっと、人と関わり、困っている人の人生を、直接サポートできる仕事をしてみたい。世の中には、私と同じように、声や話し方、自分に自信がもてないなどの悩みを抱えている人はたくさんいるはずだ。そんな人たちに向けて、私自身、何十年も悩みを抱えてきたからこそ、伝えられることがあるのではないか。同じ悩みを抱えている人に対して、教え、導くといった使命があるのではないか。そんな思いがMAXになり、ボイストレーナーの資格を取得しました。最初は会社勤めと並行して、ボイストレーナーの活動をしていましたが、トレーナーの仕事が増えていく中で、この仕事こそ私が求めていた天職との確信が深まっていきました。1年後、退職を決意。最初は上司や同僚、家族の反対に遭いましたが、「今始めないと絶対に後悔する!」という思いから、退職届を提出しました。そして今、ボイストレーニングと出会ってから、10年の月日が経とうとしています。その間に、5000人以上の方に声や話し方、メンタルトレーニングをさせていただくことができました。そして、6冊のボイストレーニングの書籍を出版する機会に恵まれました。レッスンでは毎回、ドラマが生まれます。「人は変われる」という〝変化〟のドラマです。自分でもこんなに短い時間で、こんなに変われるんだ!という感動と喜びを届けていきたいと、その一心で受講生の方にレッスンを届けています。声+説明力=最強の伝え方本書は、「1日で行なう」ということを念頭において、過去に出版した書籍には書かれていないボイトレメソッドに加え、「相手に伝わる話す型」=「説明力」について新たに言及しています。今回、説明力を取り上げた理由は、ボイストレーニングの目的は何か?というところから来ています。そもそも、声や話し方を変える目的は、単に大きく、通る声で滑舌よく話すだけではないのです。声を変え、伝え方を磨く究極の目的は、仕事であれ、プライベートであれ、相手から「もう一度会いたい、一緒にいたい」「あなたにお願いしたい、頼みたい」と思われる人になることではないでしょうか。声のトレーニングだけでは独りよがりになってしまいがちです。「説明力のある話し方」を身につけることで、学んだ発声法をよりうまく活用し、相手に選ばれ、信頼される人になってほしいと思っています。「仕事」をはじめ、人生のさまざまな場面で、本書で身につけた声や伝え方を活用してみてください。それまでとは違って、恐ろしいくらいに、相手の反応が変わるはずです。魔法にかかったみたいに、これまでの苦労が消えていくことを実感できるでしょう。信頼されファンが自然に増える

良質な声の使い方、話し方ができるようになると、あなたと相手との関係性は無理なく、良好に、深いものになります。「あなたが言うことなら信頼できるから、またあなたにお願いする」「商品やサービスを強引に売ろうとしなくても感謝し買ってもらえる」「部下が自分からどんどん動いてくれる」気づいたときには相手はあなたに夢中になってくれているでしょう。つまりファンになってもらえます。信頼される人には必ずファンがつきます。もう一度会いたいと思われるかどうかのカギは、あなたの発する言葉と声が握っているのです。この本で紹介したボイストレーニングと説明力アップのスキル、メンタルアップのスキルが、あなたの人生にお役に立てればうれしく思います。私自身もこれからもボイストレーナーという枠を超えて、さらにお役立ちできる存在になっていきたいと思っています。いつか、あなたに会えるのを楽しみにしています。感謝を込めて司拓也2019年1月

司拓也(つかさたくや)声と話し方の学校「ボイス・オブ・フロンティア(VoiceofFrontier)」代表人の目が気になってビビる、あがり症で声が出ない、自分に自信がない、など、過去の自分と同じ悩みを抱える人の手助けをしたいという思いから、超短期間で声と話し方が改善するオリジナルメソッドを開発。活動歴は10年。年間セッション数は100を超える。一般の方から、上場企業のエグゼクティブ、トップ俳優、声優、アナウンサー、政治家、就活生など5000人以上の声と話し方の悩みを解決。その活動は「ニュースウオッチ9」(NHK)、読売新聞などで取り上げられる。経営者やビジネスパーソン、企業を対象とした、声と話し方を変えてビジネスの成果に直結させるセミナーや企業研修を開催。「個人の売り上げが10倍になった」「2500人の前でのスピーチが成功した」などの成功事例が多数ある。著書に、『人前であがらず話せる「1分声トレ」』(世界文化社)、『1日で感動的に声がよくなる!歌もうまくなる‼』(堀澤麻衣子と共著すばる舎)、『1日でできる!声を変えれば、うまく話せる!』(堀澤麻衣子氏と共著メディアファクトリー)などがある。■ボイス・オブ・フロンティア(VoiceofFrontier)https://tsukasataku.com(ウェブ)lesson@tsukasataku.com(メール)

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