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PART6「説明力」トレーニング

PART6「説明力」トレーニング話に必要なのは、「声のよさ」にくわえて、説明力です。しかし、説明力をつけるのはなかなか容易なことではありません。このPARTでは、短時間で効果があがるトレーニングに絞ってやっていただきます。

声だけでは、問題は改善しない前のPARTまでで、滑舌よく、お腹からしっかりとよく通る声が出せるようになるトレーニング方法をお伝えしてきました。このトレーニングを終えたことで、あなたの声は以前に比べ格段によくなっているはずです。ここからは、そうして身につけた声を最大限活かすために必要な「説明力」についてお話しします。「声さえよくなれば、話し方の問題は解決する」そう考える人も多いのですが、それは早計です。ボイストレーニングの本に多く見かけるフレーズがあります。・人の印象は声で決まる・声が変われば人生が変わる・声がよくなればコミュニケーションもスムーズになる・よい声は面接にも婚活にも有利・どんなに話し方の本を読んでも、「悪い声」では意味がない・営業もうまくいって、売上がアップするなどなど、声が変われば、何もかもうまくいくと書かれています。たしかに声がよくなれば、相手は話をきちんと聞いてくれるようになります。私は10年間ボイストレーナーとして活動してきました。「1日で声が変わる」というレッスンプログラムも提供してきました。実際に、1日で声が変わり、喜んで帰って行かれる方もたくさん見てきました。しかし、その後のフォローアップのレッスンを受けた方々から、こんな話を聞きました。・上司から「君の話はだいぶ聞き取りやすくなったけど、相変わらず何が言いたいのかがわからない」と言われる・聞き返されることが少なくなったけど、依然としてプレゼンが通らない・緊張した場面になると、何から話していいかわからず、しどろもどろになるこれは、人前で話すことに消極的だったり、内向的だったりする方からの声だけではありません。話し好きな饒舌タイプの方からも、同様の声があがったのです。そこで彼らに、実際にどのように話したのかを再現してもらったところ、次の2つの共通点を発見しました。1.言いたいことを、まとまっていない状態で話し始める2.何をどのような順番で伝えるかを決めないまま、思いつきで話しているこれでは、いくらいい声で話しても、相手に理解してはもらえません。声がいいだけの「残念な人」になります。恥ずかしながら私自身、レッスンを始めた当初は、声さえうまく出るようになれば、コミュニケーションに関する様々な問題は解決すると信じていました。しかし、レッスンを重ねていくうちに、声の改善だけではすべての問題は解決しないのではないかと思うようになりました。いくらいい声で情報や思いを伝えても、自分本位の話し方だと伝わりません。声のよさだけが〝悪目立ち〟して、結局「何を言っているかよくわからない人」というレッテルを貼られてしまうのです。これからやっていただくのは、そんなレッテルを貼られないための「説明力」トレーニングです。

説明力が格段にアップする「話のフォーマット」トレーニングスピーチ、面接、会議、商談、プレゼン、講演など、話す場面や内容は色々あると思いますが、それらに共通する話の型(フォーマット)を持つようにしてください。フォーマットを持てば、最初にどんなことを話し、次に何を伝えればいいのか、どのように話せばいいのか、あれこれ考えなくてすむようになります。迷いや焦りがなくなるのです。どこにポイントを置いて伝えればいいかもわかります。強調しないといけない箇所、軽く流していい部分など、話にメリハリがついて、聞いている人の頭に入りやすくなるのです。話すほうも、聞くほうも、ストレスが減りますね。そうなれば、コミュニケーションが円滑に進み、生産性もアップします。「話のフォーマット」は、次の5つからつくるようにします。1.テーマにタイトルをつけて宣言する2.伝えたいことの数を宣言する3.キーワードを宣言する4.ストーリーを話す(理由、具体例、背景ほか)5.結論や主張を最後に繰り返す次から具体的に見ていきましょう。

1.テーマにタイトルをつけて宣言する(1)伝えたいテーマ(主題)には、必ずタイトルをつけるそれが、提案なのか、報告なのか、アドバイスを求めているのかなど、目的を明確にして、タイトルをつけてください。これによって、聞き手の脳は「これから~について話をするんだな」と準備ができます。準備の時間を与えてあげることが、「わかりやすさ」につながります。「テーマ」を明らかにしないまま、突然、詳細の話からスタートすると、相手の頭は軽い混乱状態に陥ります。「いったい何の話?」「これから何が始まるの?」「何を言おうとしてるの?」と、「????」があふれてきます。これでは、相手に理解してもらうことはできません。(2)テーマを伝える際の注意点1.文字数10~15文字以内に収めます。長すぎると相手は記憶できません。2.形式目的を明確に表現します。(例)「予算案の見直しについてお話しします」「資料のアドバイスが欲しいのですが」「承認していただきたい案件について話があります」2.伝えたいことの数を宣言する数を宣言することには、次の2つの効果があります。1つ目は脳の特性の活用できることです。人間の脳は空白を嫌います。たとえば「伝えたいことは3つあります」と話し手が宣言すると、聞き手は「その3つは何?」と、空白を埋めるように答えを求め、前のめりで話を聞こうとしてくれます。宣言した数の個数分、相手の頭の中に情報を受け取るコップが出現するイメージです。そのコップに情報を入れたいと、相手は欲して、聞いてくれるのです。

2つ目は「説明の反射神経」が鍛えられることです。これは、プレゼンやスピーチではなく、日常のビジネスの現場で求められる能力です。プレゼンやスピーチなど、比較的日程に余裕があるものなら、想定される質問の答えを準備する時間も取れるでしょう。しかし日常では、ほとんどの場合、話す場面は突然やってきます。たとえば上司に、「今度のプロジェクトの課題について説明して」と、いきなり話を振られたとしましょう。そんなときに、「えーーーっとですね。えーーっと、予算については問題ないのですが、企画部からのスケジュールの返事がまだ来てなくて、あっ、でも、締め切りまでには間に合うと思うのですが、担当者同士のコミュニケーションがうまくいっていないみたいで、とくに……」などと、しどろもどろの説明をしたなら、「頼りない」という印象を持たれてしまうでしょう。そんなことにならないためにも、まず、先に数字を宣言してしまうのです。答えが確定していなくても、とりあえず数をあげる。そのうえで、答えを考えるようにするのです。たとえば、「はい。今度のプロジェクトについて、課題は2つあります」と宣言します。すると、あなたの脳は、まるで検索エンジンにキーワードを打ち込んで答えを導き出すかのごとく、最適な答えをリサーチしはじめます。自分自身の脳に「答えをさがせ!」と指令が送られるのです。今話さないといけない最重要の事項が自然に導かれるのです。3.キーワードを宣言する次にキーワードを宣言します。[OK例]「はい。今度のプロジェクトについて、課題は2つあります。1つ目がスケジューリング、2つ目が担当者間のコミュニケーションです。というのも~(具体例や理由、根拠)」このなかの「スケジューリング」と「担当者間のコミュニケーション」がキーワードになります。ここまでの話を整理する意味で、「話のフォーマット」の1から3までを、働き方改革を例にとり、次にあげてみましょう。

【①テーマの宣言】(注意をこちらに向けさせる)これから、「働き方改革3つの課題」についてお伝えします。【②数の宣言】(聞いてみようと思わせる)押さえておくべきポイントは3つです。【③キーワードの宣言】(どういうこと?と関心を持たせる)(1)長時間労働(2)非正規と正社員の格差(3)労働人口不足(高齢者の就労促進)の3つの課題があげられます。かなりわかりやすいのではないでしょうか。ここで、ひとつ注意があります。②の数と③のキーワードの文字数ですが、なるべく少なく、そして、キーワードはできるだけシンプルにしてください。伝えたい気持ちが強すぎる人ほど、キーワードをたくさん並べたがるのですが、それが7つも8つもあると、聞いている人の頭に入ってきません。多くても3つくらいに留めておくと、頭に入りやすいです。また、キーワードは、短く名詞形にまとめてください。これが文章になると、とたんに頭に入って来づらくなります。4.ストーリーを話す(理由、具体例、背景ほか)キーワードを伝えたら、詳細(ストーリー)を伝えます。「はい。今度のプロジェクトについて、課題は2つあります。1つ目がスケジューリング、2つ目が担当者間のコミュニケーションです。というのも~(具体例や理由、根拠)」「というのも~」の箇所がストーリーです。ストーリーの伝え方にはコツがあります。・なぜそう主張できるのかという理由・なぜこれを伝えているのかという目的・具体例や事例を交えることによるイメージ喚起・どうしてそうなっているかという背景などを補足することで、伝えたい内容の説得力がアップします。再び「働き方改革」を例にとってみましょう。③キーワードの(1)長時間労働についてのストーリーです。まず(1)長時間労働についてお話しします。日本の長時間労働については、2013年に国連から、・多くの労働者が長時間労働に従事している・過労死や精神的なハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念するといった内容の是正勧告がされていました(事例)。国際的に見ても日本の長時間労働は深刻です。働き盛りの30~40代の長時間労働の割合が特に多い状態です(具体例)。そして、残業や長時間労働だけでなく、転勤・配転の命令にも応じなければならない実情があります(背景)。これを拒否すると、有期契約社員やパートとして働くことを余儀なくされることもあります。また長時間労働の問題は「出生率」にも影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なるためです。女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏みきれなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながります。次に、(2)非正規と正社員の格差についてお伝えします。――と続けていくと、全体図と詳細のバランスが取れます。5.結論や主張を最後に繰り返すここまでで、話の全体図を提示し、理解し、納得してもらうための素地ができました。聞き手も「そうか。なるほど」と納得してくれるはずです。ただ、どうしても、人間の理解力、記憶力には個人差があります。詳細の部分に集中しすぎて、そもそも何を目的とした話だったのか、わからなくなってしまう人もいるかもしれません。また、集中して話を聞くのが苦手な人もいるでしょう。「何の話だったっけ?」とテーマを忘れてしまうこともあります。それを防ぐために、最後にもう一度、話のテーマやポイントになることをつけくわえてください。

最後に、「色々とお話をしてまいりましたが、~ということで、今日の話を締めくくりたいと思います」と話の内容を総括するのです。そうすることで、全体像を聞き手にはっきり示すことができます。聞き手の頭の中も、「今回は〇〇について話を聞いた」とスッキリ整理されることでしょう。【参照】『5分で分かる「働き方改革」とは?取り組みの背景と目的を解説』https://bowgl.com/2017/09/07/workstylereformation/

日常でのトレーニングここで述べた、話し方のフォーマットは、どんなことにも応用できます。ふだんから、このフォーマットで考えたり話したりするクセをつけておくと、いざというときに困りません。たとえば、好きな食べ物についていうと、1.好きな食べ物は、2.2つあります。3.カレーとハンバーグです。4.カレーでは品川の名店Aが好きです。ハンバーグは五反田の名店Yが最高です。というぐあいです。とくに、ダラダラと話してしまう傾向のある人は、ぜひ試してみてください。

「間」のトレーニング「間」の4つの効用間は、話している途中に入れる、「声を発しない時間」です。「間」のない話し方というのは、余裕がなく映ります。あるいは「自分の言い分ばかりまくし立てて、協調性のない人だ」と思われる場合もあるでしょう。互いの言い分を理解し合うためにも、適度なところで「間」を取りながら、話すことが大切です。「間」を効果的に使うために心がけたいのは、次の4つの点です。1.理解・思いやりの「間」伝わる話し方をするためには、一方的に話すのではなく、聞き手とのコミュニケーションが大切です。話しているときに、「相手が理解できてなさそうだな?」「ついていけなくてつまらなそうかな?」と感じたら、話すスピードを落とし、「間」を多めに取るようにします。「間」には、自分の伝えたい内容を、相手が脳内で映像化できるまでの時間をプレゼントする、という意味合いがあります。早口で「間」のない話し方をすると、相手はあなたが話した内容の映像化が追いつきません。そうなると「話がわかりにくい人」という印象を与えてしまいます。「間」を取るうえで心がけたいのは、聞き手や相手への観察です。観察ができているからこそ、相手を思いやる「間」を適切なタイミングで挟むことができます。2.強調の「間」話している最中に相手の注意を引きたいとき、音量をアップすることも有効ですが、「間」を取ることでも同じ効果が得られます(……の部分が「間」です)。(例)本日一番のおすすめは……「こちらの商品です」。私が今日の講演会で一番お伝えしたいことは……「勇気」です。この場合のポイントは、少し大げさくらいに「間」を長く取ること。自分では「間」を空けているつもりでも、慣れていない人は、話が途切れる気がして短くなりがちです。3秒「間」を空けたいなら、倍の6秒空けるつもりでちょうどいいでしょう。3.話し始め・話す途中の息継ぎの「間」緊張する場面になると、早口になり、息つく暇もなく話し続けてしまう人がいます。早口になる原因は「酸欠」です。息を止めた状態から話し始めると、かならず酸欠になります。少ない酸素状況で、たくさんの情報をつめ込もうとすると、苦しくなって早口になるのです。そんな話し方では、ほんの5分話すだけでもクタクタになってしまうでしょう。そういう人は「話し始め」と「話す途中」に、適度に息継ぎの「間」を入れることです。話している最中に、意識して小さく息継ぎをしましょう。■話し始めのポイント話す前に、すべての息を吐ききった状態をつくります。無理なく自然に息を吸い込めると思います。入ってくる息を止めることなく、そのまま吐き出すつもりで、息に声をのせて話すようにしてみてください。■話している途中でのポイント息を吸うのは、「句点(。)」や「読点(、)」のタイミングで行ないます。鼻か、口から小さく息を吸い込むのがポイントです。そして、吸った息は絶対に止めないよう心がけます。息を止めれば、ノドが締まりやすくなるからです。また、息を吸い込みすぎないこともポイント。吸い込みすぎると吐けなくなって、声が前に出ていきません。イメージとして、ピンポン球ひとつ分程度の量の息を吸い込むくらいがちょうどいいでしょう。4.考えさせる「間」、感じさせる「間」プレゼンなどで、聞き手に強い印象を与えたいと思う場面では、前かがみになり、聴衆の目をじっと見つめながら沈黙するようにします。突然の沈黙は、大きな声を出すのと同じで、聞き手の注意をこちらに向けることができるからです。このとき聞き手は、軽いパニック状態に陥っています。そして、「何が起きたんだろう」「どうしたの?」と、次の言葉が出てくるのを、期待して待つことに

なります。このように、間を自在に活用できるようになれば、より説得力のある話し方になります。そして、声の良し悪しをより際立たせるのは、実は、声を出していない時間である「間」なのだということを理解してほしいと思います。とくにリーダーの立場にいる方には、ぜひ「いい声」+「間」で人を引っ張る力量を身につけていただきたいと願っています。

ここまでで、2時間の超短時間トレーニングは終了です。1回では不安という方は、PART2に戻って、トレーニングを繰り返してください。次のPART7では、講演やスピーチ直前、そして本番中に気をつけておきたいことをお伝えします。

コラム体を冷やさないあがり症の方は、スピーチやプレゼンの前に、首まわり、肩まわり、お腹まわりを冷やさないよう注意してください。ここが冷えると、筋肉が固くなります。固い筋肉は「固く緊張した声」を生むので、響きのある声が出にくくなります。一方、体が温まっていると、筋肉が柔らかくなります。柔らかな筋肉は「柔らかく余裕のある声」を生み、声に響きが出るようになるのです。とくにノドを冷やすと、「声」が出にくくなるので、本番前に冷たい飲み物を体に入れるのは避けてください。緊張してノドが渇くようなら、常温の水が一番おすすめ。また、ぬるめのハーブティーなども、気持ちが落ちつくのでおすすめです。

 

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