はじめにみなさん、こんにちは。
片山立志です。
本書は、ストーリーのある斬新なタッチで描かれたマンガを使って、「貿易実務の基本」をわかりやすく解説しようという、おそらく日本で初めての書籍です。
そしてさらに著者であるわたしが貿易実務をわかりやすく指南するという、たいへんぜいたくな入門書です。
さて、国際貿易には、さまざまなリスクが潜んでいます。
貿易契約を結ぶにも言葉・慣習・文化などが異なった相手と契約を結ぶのですから、当然といえば当然ですね。
例えば、契約後も売主は、果たして代金は回収できるのだろうかと、心配になります。
一方の買主は、注文した貨物がきちんと届くのだろうかと、不安になります。
その他、異なる通貨で支払いをするので、為替リスクがつきまとったりと、心配事の種は尽きません。
また、近年は国家間で自由貿易を推進すべく、大幅な関税の撤廃・削減などを定めた協定(EPA/FTA)が次々に締結され、これらを有効に活用し、より有利な貿易条件で取引を行うことが求められています。
EPA/FTAを活用することで様々な恩恵を受けることができる反面、その適用を誤るとペナルティが生じる可能性があり、リスクもあります。
貿易実務を学ぶということは、これらのリスクをどのように解決し、カバーしていくかを学ぶということです。きちんとした知識を持たずに貿易実務を行うことは、たいへんに危険です。
そこで、本書の主人公・中堅食品商社に入社した和泉かもめは、猛勉強をします。
各々の手続きは、それぞれどのようなリスクをカバーするためにあるのか、先輩の指導を受けながら、理解していきます。
かもめは人一倍、がんばり屋です。みなさんもかもめに負けないよう、ぜひがんばって貿易実務の基礎を学んでいただきたいと思います。きっと、ロマンあふれる貿易の世界が、これまでよりずっと広がって見えてくることでしょう。
片山立志
マンガでやさしくわかる貿易実務
目次
はじめに
Prologue
貿易実務って何?
Story0貿易実務の世界へ
00貿易実務とは何だろう?
Part1貿易実務の流れをつかもう
- Story1流れをつかめ!
- 01貿易の流れ
- 02取引条件を決定する
Story0貿易実務の世界へ
貿易実務とは何だろう?00
貿易実務とは中堅食品商社『グッドトレード』の貿易事務課に配属された和泉かもめ。彼女が任されることになる(?)のは、貿易実務です。
貿易取引では『モノ・カネ・カミ(書類)』が密接に関わっています。貿易事務では、そのうちの『カミ(書類)』を専門的に扱い、スムーズに貿易取引が成立するようにしていくのが仕事です。
貿易取引において、カミ(書類)はときにモノやカネと同等の価値を持つことになるので、ちょっとした書類上のミスが大損害につながる場合もあります。
また、単に書類の整合性をチェックするだけではなく、輸出する商品が法的に問題ないかどうか、事前に許可や申請が必要かどうかも含めて、確認する必要があります。
法的な問題がクリアされていない場合、モノは予定通りに輸出することができなくなるのです。
さらに貿易実務全般では、モノやカネの流れにも関わっていくことになります。
ときにオフィスではなく、製造元の工場や港、空港に足を運び、モノ(商品)の品質や梱包状態をチェックする必要もあるでしょう。
また、代金回収手続きのため、銀行に赴くことがあるかもしれません。
一口に貿易実務、貿易事務、貿易営業事務といっても、企業によって任される業務は様々で、一部の書類だけを作成、チェックする業務もあれば、品質、輸送、代金回収……と『モノ・カネ・カミ(書類)』の管理すべてを任される場合もあります。
任される業務の分だけ、より専門的な知識が必要になってくるでしょう。
貿易実務は、たいへん責任のある仕事ですが、その分、やりがいもあります。
まずはこの本で、貿易全体の知識と、基本的な専門用語を身に付けていきましょう。
いろいろな貿易取引貿易取引には、商取引上の要望に応じて、いろいろな取引形態があります。
主な形態として、次の①~⑧が挙げられます。
①直接貿易②間接貿易③並行輸入④委託加工貿易⑤開発輸入⑥OEM輸入⑦仲介貿易(三国間貿易)⑧逆輸入①直接貿易とは、異なる国の売主と買主が、商社や流通業者を介さず、直接貿易取引を行う形態です。
メリットとしては、価格や取引条件について、取引相手と直接交渉できるので、商社や流通業者のマージンを省くことができます。
ただし買主は、品質や納期についてのリスクを直接負担しなければなりません。
また、貿易取引に不慣れな場合や、取引数量がそれほどまとまらない小口取引の場合は、かえって割高になる場合もあります。
②間接貿易とは、商社など貿易取引のプロを介して行う貿易です。
プロを介在させることで、トラブルの回避や対処も的確に行うことができます。
また、商社が数量をまとめ、効率的な検品を実施するなど、価格や品質、納期の面で有利となる場合もあります。
③並行輸入とは、ブランドのメーカーからではなく、第三国の専門店・販売店などを経由して、「真正品」を輸入する貿易です。
並行輸入品は違法なコピー商品ではありませんが、輸入してもメリットのある内外価格差の大きい商品、たとえば、付加価値の高いブランド製品や、高級外車などが対象になります。
また、メーカーが第三国向けに販売している商品なので、家電など、そのままでは日本の規格や仕様に合わない商品もあります。
④委託加工貿易とは、異なる国の委託者と受託者との間で行われる貿易です。
委託者(買主)は製品の原材料や部品を受託者(製造メーカー、工場など)に提供し、受託者がそれら材料を組立・加工したものを、委託者が輸入します。
委託者(買主)が外国にある企業などで、受託者が日本のメーカーなどである場合、それを「順委託加工貿易」といい、委託者が日本にある企業などで、受託者が外国の工場などである場合を「逆委託加工貿易」といいます。
⑤開発輸入とは、買主の仕様書に基づいて、海外の工場で生産・加工を行い、その製品を輸入する貿易です。
海外のメーカーに買主の自社ブランド製品を生産してもらい、それを輸入するので、製品は自社オリジナルといえます。
人件費や材料調達費など価格面において、自国で生産するよりもメリットがある場合に行われます。
⑥OEM輸入とは、海外メーカー側の仕様書に基づいて製造している商品に、買主側のブランドやロゴを付けて製造してもらい、買主の自社ブランド商品として販売するために輸入する貿易です。
したがって、商品の中身は買主側の自社オリジナルではありません。
⑦仲介貿易(三国間貿易)とは、日本の業者が仲介して、海外の輸出者と海外の輸入者間で行われる貿易です。
売買契約は輸出者と日本の仲介業者、輸入者と日本の仲介業者との間でそれぞれ交わされますが、商品である貨物は、海外の輸出者から直接、海外の輸入者宛てに輸出されます。
⑧逆輸入には、2つのケースがあります。
1つは、某国内メーカーAが海外に輸出販売した商品を、Aとは関係のない某商社Bが、某国内で独自に販売するために再輸入するケースです。
もう1つは、某国内メーカーCが、海外にある自社工場で、海外市場での販売を目的として製造した商品を、自国で販売するために輸入するケースです。
Part1貿易実務の流れをつかもう
Story1流れをつかめ!
貿易の流れ01
貿易取引の基本的な流れをつかむ貿易取引の基本的な流れを理解するためには、信用状を用いた取引について、しっかり理解することが重要です。
信用状はL/C(LetterofCreditの略)とも呼ばれ、輸入者の取引銀行が、輸出者への代金支払いを確約した保証状です。
信用状を用いた貿易取引の流れをまとめると、①~⑩のようになります。
①取引相手の選定②取引交渉③売買契約④信用状の開設(輸入者)⑤船積書類の作成(輸出者)⑥輸出通関、船積手続き⑦商品代金の回収(輸出者)⑧商品代金の決済(輸入者)⑨輸入通関⑩貨物の受領では①~⑩の項目について、それぞれ解説していきましょう。
①取引相手の選定貿易取引は、文化や商習慣が異なる外国との取引です。
そのため、取引先の選定にあたっては、国内取引と比べ、細心の注意が必要です。
契約から船積み、決済までに相当の期間を要することもあり、特に輸出をする上では、きちんと代金の回収ができるかどうかという、相手の信用状態を確認することが重要になります。
基本的には、銀行が支払いを保証する「信用状」を用いて代金回収リスクを回避しますが、場合によっては、取引契約時、支払条件について、代金の前払いや、代金の一部を着手金として前払いすることを、輸入者側に求める必要もあります。
特に、初回取引となる相手とは、取引交渉と並行して、その取引先候補と契約を交わして問題がないかどうか、相手の信用調査を行います。
よりよい取引先を選定するために、取引相手について、一般的に次の項目をチェックします。
Capital(資産、財政状態)Capacity(営業能力、経験、取引量)Character(品格、誠実性)Conditions(政治・経済的事情)~を3C(3CofCredit)、~を4Cと呼んでいます。
信用調査の具体的な方法としては、❶銀行に照会して行う方法、❷信用調査機関(ジェトロ、ダン社など)に調査を依頼する方法、❸取引先候補の取引先や同業者に照会して行う方法、❹海外商社名簿やムーディーズ社などの格付けを利用する方法などが挙げられます。
一般に広く利用されているのは❶の銀行照会で、自社の取引銀行を経由して、取引先候補の銀行信用照会先(BankReference)へ問合せしてもらいます。
②取引交渉取引交渉から契約成立までの流れは、次のようになります。
売手の市場調査(Marketing)および勧誘(Proposal)買手の引合い(Inquiry)申込み(Offer)・反対申込み(CounterOffer)承諾(Acceptance)もっとも実際の取引交渉は必ず輸出者(売主)側の勧誘から始まるというわけではなく、輸入者(買主)側の引合いから始まる場合もあります。
取引交渉の中心となるのが、申込みと反対申込みのやりとりです。
通常、相手の提示した条件をすんなり承諾することはほとんどなく、契約に向けて希望の条件を相手に提示していきます。
具体的には、商品の品質・規格、数量、価格、納期、支払条件などについて要望を挙げ、合意できるまでやりとりを行います。
の価格について、貿易取引では一般的に、インコタームズを用いて取り決めます。
インコタームズはFOB、CIFなどと称される貿易条件(TradeTerms)のことです。
インコタームズを用いることで、保険は売主と買主のどちらが付保するか、商品の引渡し場所はどこにするか、売主と買主それぞれの危険負担はどこからどこまでになるか、といった詳細条件を明確に取り決めることができます。
インコタームズについては、後ほど詳しく学びます。
ここではまず、申込みの種類について理解しましょう。
申込み(Offer)の種類には、次のものが挙げられます。
ア.確定申込み(FirmOffer)承諾回答の到着期限を定めたオファーで、期限までに相手から承諾の回答があれば、その時点で契約が成立します。
承諾の回答がない場合には、オファーは失効します。
イ.反対申込み(CounterOffer)数量、価格、納期など、相手から提示された条件の一部に修正や変更を求める申込み。
通常、この反対申込みを売手と買手との間で何回か繰り返し、互いの希望条件を歩み寄らせていきます。
ウ.サブコン・オファー(OfferSubjecttoSeller’sFinalConfirmation)買手(輸入者)の承諾で直ちに契約が成立するのではなく、オファーした売主(輸出者)の最終的な確認があって初めて契約が成立する、という条件をつけたオファーです。
たとえば、商社が売主となる場合、その商社は仕入先となる製造元に、最終的な確認をする必要があるときにこのオファーを利用します。
英語の”Subjectto…”は、「~を条件に」という意味です。
エ.先売り御免オファー(OfferSubjecttoPriorSale)買主(輸入者)の承諾前に商品が売り切れてしまった場合には、オファーは無効とする、と定めた条件付きオファーのことです。
③売買契約取引交渉の末、双方が承諾に至ったら、その条件を書面にまとめて売買契約を交わします。
売買契約自体は諾成契約といって、一方のオファーに他方が承諾すれば、口頭でも成立します。
ただし、貿易取引は法制度や商習慣が異なる、異国間の取引なので、契約の履行を円滑に進めるためにも、実務上は契約書を書面で交わします。
契約書は、売主(輸出者)が作成する注文請書型(SalesContract)と、買主(輸入者)が作成する注文書型(PurchaseOrder)があります。
売主、買主いずれかが作成し、相手方が署名すると、契約書として成立します。
また、契約書は、表裏の条項で構成されています。
表面は、取引交渉において合意した内容を所定の条件欄にタイプすることから、タイプ条項と呼ばれています。
裏面には、すべての取引に共通となる一般的な取引条件があらかじめ印刷されており、印刷条項または裏面約款と呼ばれています。
④信用状の開設契約書を交わしたら、輸入者は信用状(L/C)を開設します。
信用状を発行するのは、輸入者の取引銀行です。
信用状を発行する銀行を、信用状発行銀行(IssuingBank)または開設銀行(OpeningBank)と呼びます。
輸入地の信用状発行銀行は、信用状を発行したら、輸出地の銀行経由で、輸出者に信用状の内容を伝えます。
輸出者は、信用状の内容が契約内容通りか確認した上で、商品の製造、出荷準備にとりかかります。
この、輸出者に信用状の内容を通知する銀行は、通知銀行(AdvisingBank)と呼ばれます。
信用状とは、輸入者の取引銀行である信用状発行銀行が、海外の輸出者に対して、輸出者が信用状条件通りの船積書類を銀行に呈示することを条件に、輸入者に代わって代金の支払いを確約する保証状なのです。
輸出者と輸入者は、貿易取引に信用状を用いることによって、お金と商品の引換えを安心して行うことができます。
⑤船積書類の作成輸出者は、商品の製造、出荷準備、船腹予約(SpaceBooking)と並行して、船積書類を作成します。
船積書類は、信用状に記載された条件通りに揃えなくてはなりません。
信用状を用いた貿易取引では、基本的に次の3つの書類が求められます。
これらは三大船積書類といわれています。
商業送り状・インボイス(Invoice)船荷証券(B/L)保険証券(InsurancePolicy)保険証券は、輸出者が保険を付保する場合のみ、求められます。
、、の三大船積書類に加え、必要に応じて、梱包明細書・パッキングリスト(PackingList)、原産地証明書(CertificateofOrigin)などが求められることもあります。
⑥輸出通関、船積手続き商品出荷の準備が整ったら、いよいよ輸出通関と船積手続きです。
この手続きは、実際には輸出者自らが行うのではなく、通関業の許可をあわせ持つ海貨業者(通称、乙仲)と呼ばれる業者に委託します。
港湾内で貨物を扱う作業ができるのは、国土交通大臣の許可を受けた業者に限られています。
一方、税関への通関手続は、税関長の許可を受けた通関業者に限られています。
より円滑な船積み・荷卸し業務を行うために、最近では倉庫業や通関業、物流関連の幅広い免許をあわせ持つ海貨業者(港湾運送事業者)が増えています。
輸出用に梱包された貨物はまず、港湾近くにある、海貨業者の倉庫(保税蔵置場)に搬入され、検量されます。
検量とは、梱包された貨物の数量、寸法、重量の計測作業です。
輸出通関は通関業者(または通関業の許可を持つ海貨業者)が行います。
貨物を輸出通関するためには、税関へ輸出申告し、原則として貨物を保税地域へ搬入しなければなりません。
通常、海貨業者の倉庫が保税地域としての許可を受けています。
貨物は保税地域において、税関による検査を受け、問題がなければ輸出許可がおり、通関は完了します。
実際には、輸出申告は、ナックス(NACCS)という通関のオンラインシステムによって行われ、基本的に書面上で税関のチェックを受けます。
税関から商品内容などに関する質疑を受け、その後、輸出許可がおります。
必要に応じて、税関職員が貨物を開梱し、中身を検査する場合もあります。
輸出許可がおりた貨物は、船会社が指定する保税地域(埠頭やコンテナヤードなど)に運び込まれ、船積みされます。
貨物の船積みが完了すると、積込日が記載された船荷証券(B/L)が船会社から発行されます。
船荷証券は、貨物と同等の価値を持つ有価証券です。
輸出者は、船積みが完了したら、すみやかに輸入者に、船会社名や船舶名、出港(予定)日などを通知します。
これを船積通知(ShippingAdvice)といいます。
⑦商品代金の回収商品の船積みが完了したら、輸出者は信用状に記載された条件通りの船積書類と、これに為替手形を添えた「荷為替手形」を、自身の取引銀行に持ち込み、手形の買取り依頼をします。
これらの書類と引換えに、輸出者は商品の代金を受け取ることができます。
輸出者の荷為替手形を買い取る取引銀行を、買取銀行(NegotiatingBank)と呼び、通常、貿易取引をスムーズに進めるため、買取銀行と通知銀行は同じ銀行とすることがほとんどです。
ただし、買取銀行と信用状発行銀行との間でコルレス契約が交わされていない場合は、買取銀行と通知銀行が異なることもあります。
コルレス契約(為替取引契約)とは、異なる国の銀行間で資金の清算をする場合、どういう方法で清算するかについて、銀行同士であらかじめ取り決めている契約です。
輸入地側の銀行と、輸出地側の買取銀行との間では、コルレス契約に基づいて、信用状内容通りにお金の清算をします。
⑧商品代金の決済輸出地側の買取銀行は、輸出者から受け取った船積書類一式を、輸入地側の信用状発行銀行へ送ります。
信用状発行銀行は、船積書類一式が届き次第、輸入者に連絡を入れます。
輸入者が信用状に記載された通りに代金決済の手続きを行うと、信用状発行銀行は、輸入者に船積書類一式を渡します。
船積書類には船荷証券(B/L)の原本が含まれており、この書類がなければ輸入者は貨物を受け取ることができません。
⑨輸入通関輸入者は、貨物の輸入通関、荷受け作業を、海貨業者に依頼します。
依頼する際、輸入者は必要な作業を明記した輸入作業依頼書と、手続きに必要な書類一式を海貨業者に渡します。
必要な書類は、船荷証券(B/L)、インボイス、パッキングリスト、その他必要に応じて保険証券、原産地証明書、商品内容がわかるカタログなどの資料を添付します。
輸入地に到着した貨物は、港湾の、船会社が管理する保税地域(コンテナヤードやコンテナフレートステーション)に荷卸しされます。
通関業者(または通関業の許可を受けた海貨業者)は、税関に輸入・納税申告を行い、問題がなければそのまま輸入許可となります。
日本の場合、申告はNACCSを通じて行われます。
輸入税(関税、消費税、地方税)は原則として輸入許可の日までに、納税する必要があります。
なお、税関が必要に応じて、貨物自体を検査する場合もあります。
この場合の検査費用は荷主(輸入者)負担となります。
⑩貨物の受領輸入者から依頼を受けた海貨業者は、船会社に船荷証券(B/L)を呈示して、荷渡指図書(D/O:DeliveryOrder)の交付を受けます。
輸入許可がされたら、輸入許可通知書(ImportPermit)と荷渡指図書(D/O)を、船会社が管理する保税地域のオペレーター(在来船の場合は船長)に提出し、貨物を受け取ります。
海貨業者は、輸入作業依頼書の内容にしたがって、受け取った貨物を輸入者が指定する場所まで運搬し、輸入者へ貨物を引き渡します。
輸入者は貨物を受け取ったら、ただちに検品を行わなければなりません。
受け取った商品に不備があれば、ただちに輸出者に連絡をする必要があります。
場合によっては保険会社に連絡します。
取引条件を決定する02商慣習や文化が異なる外国との取引では、「これが常識だと思っていた」という、思い込みによる誤解が生じがちです。
貿易取引の際には、売主と買主の間で、取引条件を明確に決めておくことが重要になります。
お互いに確認しておくべき取引条件には、主に、①品質に関すること、②数量に関すること、③受渡しに関することなどが挙げられます。
ここでは、それぞれ確認しておくべき重要なポイントを押さえておきましょう。
①品質条件品質条件を決める方法としては、主に次の5つがあります。
見本売買(SalebySample)標準品売買(SalebyStandardQuality)銘柄売買(商標売買)(SalebyTrademarkorBrand)仕様書売買(SalebySpecification)規格売買(SalebyGradeorType)見本売買は、主に製品、加工品の取引に用いられます。
売主と買主との間で商品の見本を決め、その見本の品質を基準とする方法です。
標準品売買は、自然条件に左右されがちな農産物、水産物、畜産物などに用いられる方法です。
標準品を決めて、その品質とのずれを価格で調整します。
農産物、穀物類の取引では、当該季節の収穫物の中等品質を基準とする平均中等品質条件(FAQ:FairAverageQualityTerms)が用いられ、漁労品や木材などでは、売買するのに足る品質であることを基準とする適商品質条件(GMQ:GoodMerchantableQualityTerms)があります。
銘柄売買(商標売買)は、世界的に知られているトレードマークやブランドの高品質さを基準とする方法です。
仕様書売買は、機械類や化学品などの工業品について用いられる方法です。
設計図をもとに構造、成分、材質、耐久性などを詳細に取り決めて品質を明らかにします。
規格売買は、ISO(国際標準化機構)やJIS(日本産業規格)、JAS(日本農林規格)など公的に定められた規格を条件として品質を決める方法です。
これらの品質は、商品によって海上輸送中に品質が変化したり、劣化したりするものもあります。
そこで、品質に関する最終決定を、船積み時点にするか、陸揚げ時点にするか、決めておく必要もあります。
②数量条件商品の数量単位について、たとえば日本では重さには㎏(キロ)、長さにはm(メートル)などが用いられていますが、アメリカでは重さをlb(ポンド)、長さをft(フィート)などで表しています。
売主と買主の間で考え違いがあると、大きなトラブルの原因にもなります。
取引条件で数量を決める際には、使用する単位も明確にしておくことが大切です。
数量も、商品によって海上輸送中に増減が生じる場合があります。
そこで、数量の決定時点を、船積み時にするか、陸揚げ時にするか決めておくことが大切です。
鉱産物や穀物などのように、契約数量通りの引渡しが困難な場合は、あらかじめ”5%moreorlessatSeller’s(orBuyer’s)option”のように、数量過不足容認条件を取り決め、合意しておく必要があります。
③受渡条件受渡条件とは、受渡場所、受渡方法、受渡時期などについて取り決めることをいいます。
受渡場所は、商品をどこで引渡すかについて取り決めることです。
多くは売主の工場、売主側の国の港、買主側の国の港など、貿易取引では一般的にインコタームズのルールにしたがって取り決めます。
受渡方法は、貿易取引では原則、第三者である運送人が介在する間接引渡しになります。
受渡時期は、貿易取引では一般的に船積時期(TimeofShipment)のことをいいます。
天候などの自然条件や船会社都合の遅延などで変更が生じるケースが多いので、船積時期は特定の日に限定せず、ある一定の期間を定めて取り決める場合がほとんどです。
そのほか、船積港(PortofShipment)や仕向地(PortofDestination)を定めたり、積替え(Transshipment)を認めるかどうか、一契約の商品について分割船積(PartialShipment)を許容するかどうかについても、事前に取り決めておきます。
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