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CHAPTER14ダッシュ法で圧倒的集中力を手に入れる

14章では、前章で触れた「ダッシュ法」について、詳しくお話しします。まず、実際に体験してみましょう。

目次

ダッシュ法を体験する

タイマー、筆記用具、罫線の入った紙を何枚か用意してください。はじめに「大切であると思っているのに、手をつけられずにいる課題」を1つ選んでください。どんなことでもかまいません。

大切なのは、やりたいと思いつつ「取り組むのを避けていること」だということです。この練習のルールは簡単です。

全力でダッシュするように、5分間休むことなく、課題について書き続ける。

これだけです。「休むことなく」というのは、文字どおりの意味です。ペンを止めてはいけません。見直しも不要ですし、言葉の選択や句読点、文法に気を使うこともありません。

とにかく、手を動かし続けてください。それでは、やってみましょう。

  1. 1タイマーを5分にセットする
  2. 2アラームが鳴るまで、とにかく課題について、書き続ける
  3. 3時間が来たらペンを置く
  4. 4自分の書いたものを読む。

「新しいアイデア」や「すぐにできる行動」など重要だと思われる部分にアンダーラインを引いてみる5アンダーラインを引いた部分を別の紙に書き写す練習は以上で終わりです。

この練習をする理由は2つあります。1つは、この方法が「ひらめきを得る」ために有効な方法だからです。アイデアを生み出す時の方法にぜひ加えてください。時間は5分間でなくてもかまいません。

事前に時間を決めて、その時間内は書くのをやめないことが大切です。もう1つは「たった5分間、完全に集中すれば、どれほどのことができるのか」を知ってもらうためです。

このたった5分間のダッシュで、それまでの何週間や何ヶ月以上の進歩があったり、ずっと悩んでいたアイデアに巡りあえたという人も珍しくありません。

期限の効果─時間を決めて、ダッシュする

もしも「きっかり5分間」ではなく、「5分間以上かけて課題について書いてほしい」というルールなら、どうなっていたでしょうか?「もっと深く考えられた」と思うかもしれませんが、現実はその反対となる場合がほとんどです。

どうしてそうなるかと言えば、時間に制限のない状況では、制限のある場合より効率が悪くなるからです。

簡単に言えば、終わりの時間が決まっているから集中して働けるのです。こうした効果を、私は「期限の効果」と呼んでいます。

仕事の効率は、期限の直前に最も高まるものです。終了時刻がはっきりしているほど、その傾向は強まります。昼休み返上で働いたり、だらだらと残業をする人には「期限の効果」が期待できません。

その結果、終業時刻に仕事をピタリとやめる人より仕事の効率が悪くなります。家に仕事を持って帰る人も同様です。

仕事とプライベートの境界が持てず、「期限の効果」が利用できていないのです。

抵抗感を克服する一番簡単な方法

今回、「取り組むのをずっと避けていた課題」を選んで考えてみました。この5分間の練習を終えた今「なぜ、ずっと避けていたんだろう?」と感じているのではないでしょうか。

この練習で見つけたアイデアをもっと考えてみたいとか、本書を読むことをストップして、こちらをやりたいと考えている人もいるはずです。

もしもそんなふうに考えが変わったとしたら、その理由は「ダッシュ法」には抵抗感を克服する効果があるからです。

たった5分間であれば、どんなにやりたくない課題でも取りかかれるでしょう。短時間でも、とにかく手がけさえすれば、仕事は前に進みます。

例えば「ファイルを取り出す」「メールアドレスを探す」といった小さなタスクでも、やってしまえば抵抗感は徐々に弱まります。

そして、誰にも備わっている〝現状を維持しようとする慣性の力〟が、動き出したあなたを前へ前へと進めてくれます。

「恐怖に打ち勝つ最良の方法は行動である」という言葉がありますが、まさに的を射た言葉なのです。

■インターバルがモチベーションを高める

ダッシュをした後で、一時的に仕事を完全にやめることにも大きな利点があります。それは、仕事をやめることで「もっとやりたい」という気持ちが高まることです。

人間の精神には、完璧を渇望する傾向があります。仕事を途中でやめると「まだ終わっていない。続けなければ」という気持ちになるのです。

適度な休憩をおいて仕事を再開すると、頭の中では仕事が進んでいることもあります。こうなると、休んでいた間も仕事をしていたようなものです。

EXERCISE10分間ダッシュで仕事を一気に片づける

もう1つのダッシュ法の練習をしてみましょう。今度はメールの処理などの単調な仕事を10分間ダッシュでやってみてください。

10分経ったら、2~3分の休憩をはさんでもう一度10分間ダッシュをします。これを3回くり返してください。ポイントは、10分経ったら、その都度仕事を完全にやめることです。

「仕事のきりが悪くてもそこでやめる」ことは大切なルールです。ダッシュ法で、どの程度、仕事が進んだでしょうか。

休憩なしで仕事を30分間続けた場合と比較してみてください。ダッシュ法を使うと、時間当たりの仕事量は相当増えるはず。

同時に、集中力が途切れることがなく、スムーズに仕事が進み、気分もリラックスした状態にあるのではないでしょうか。ダッシュ法は、新しい仕事に取りかかるのに、非常に効果的な方法です。

しかし、1日中、5分から10分の短いダッシュをくり返せば、さらに仕事全体の効率が高まるかと言えば、そうとも言えません。

そこでおすすめするのは、ダッシュの時間を5分間ずつ延長する方法です。つまり、最初は5分間、次は10分間、次は15分間と延ばしていくのです。ダッシュ時間は、最長40分です。

それ以上の時間、集中を持続するのはまず無理です。どうしても仕事を続けたければ、ダッシュ時間は延長せず、40分間ダッシュをくり返すことにしてください。

「集中力が落ちてきたな」と感じるまで、インターバルを取りながら仕事を続けます。インターバルを長く取りすぎると、慣性の力が低下するので要注意です。もしも、ダッシュに勢いがなくなったと感じたら時間を短くしましょう。一度、5分間にまで戻して、そこから再び時間を延長していくのもおすすめです。

ダッシュ法で複数の仕事をこなす

ダッシュ法に慣れてきたら、今度は複数の仕事を手がけてみましょう。まず5分間、プロジェクトAを手がけ、次の5分はプロジェクトBに取り組みます。再びAに戻り、今度は10分間ダッシュします。次にBで10分間です。この要領で、15分、20分と進めていきます。

こうやって2つの仕事に取り組めば、1時間40分の間、期限の効果をフルに活用して仕事に集中できることになります。

制限時間なしで仕事をするのに比べて驚くほど効率は高まり、より多くの仕事が完了できるようになるはずです。

では、ダッシュ法の途中で何らかの邪魔が入ったらどうすればよいでしょうか?その場合は、まずその原因を処理して、ダッシュをやめたところに戻りましょう。

ストップウォッチがあるなら残り時間を覚えておいて、問題を片づけたら、その時間から再開します。

■ダッシュ法を実際にやってみる

ここで、複数の仕事をするダッシュ法を練習してみましょう。課題を2つ選んでください。どんな課題を選んでもかまいませんが、あまり似通っていないものの方がよいでしょう。

2つのうち1つは、これまで先送りしていた課題にして、もう1つは毎日やるデイリー・タスクを選んでみてください。

例えば「メールの処理」と「ファイリング方法の検討」を交互に進めたり「戦略の立案」と「オフィスの整理」を交互に行うといった形がおすすめです。課題の数は2つ以上でもかまいません。

私は通常、10以上の仕事をリストアップしていますが、ダッシュ法の効果は絶大で、ほとんどの課題は最初の5分か次の10分で片づいてしまいます。

その結果、すぐにリストは縮小して、長いダッシュの必要な仕事だけが残ります。20分ダッシュまで残っているのはほんの少し。課題が次々と変わるので、バラエティが生まれ、仕事が楽しくなります。

■集中は休憩から生まれる

先ほど「期限の効果」を利用して、時間を制限して短時間働く方が集中力が出るというお話をしました。同様に、休憩も時間を限った方が、際限なく休むよりリラックスできるともお伝えしました。

そこで休憩時間を5分間と決めて、仕事を中断することで、その効果を試してみてください。休憩の間は、何をしてもかまいません。

コーヒーを入れても、新聞を読んでも、友達と話しても、ひと眠りしても、新鮮な空気を吸っても、あるいは別の仕事をしても結構です。

大切なのは、休憩の間、集中力を解放すること。そうすることで、仕事を再開した時に集中しやすくなります。

ダッシュ法はチェック・リスト方式で

ここで少し復習をします。TODOリストはオープン・リストです。仕事が追加され、どんどん長くなる可能性があります。一方、チェック・リストは、クローズ・リストです。

仕事は決まっていますから、項目を増やせば増やすほど、仕事の仕上がりが完璧に近づきます。ですから、TODOリストに頼らずに、コミットする仕事を明確に決めた上で、チェック・リストで仕事をする方が効率的で、成果も上がります。

ここまでが復習。さて、この復習を念頭に、あなたの仕事にダッシュ法を取り入れる具体的な方法を見ていくことにしましょう。

■ステップ1通常業務のリストを作り、5分ずつ割り振る

まず、あなたの通常業務のリストを作ってみてください。毎日、あなたがコミットしている仕事のリストです。ここでは例として、メール、手紙、電話、書類のファイリング、オフィスの整理、会計処理の6つが日常業務とします。リストができたら、各項目に5分間ずつ割り振ります。

■ステップ25分間ダッシュで仕事を処理する

ここで戦闘開始です。5分間ダッシュで仕事を処理していきましょう。ダッシュが終わったら、その項目の「5」を消去してください。仕事が終わっていなければ、次のダッシュ時間として、「10」と記入します。

最初の5分で完了した項目は、次のダッシュ時間に「5」と記入してください。この例では、手紙、電話、オフィスの整理の3つが、最初の5分間ダッシュで完了しています。その他の項目は、完了しなかったので、次は10分間ダッシュで取り組みます。

■ステップ310分間ダッシュで未完了の仕事に取り組む

10分間ダッシュで、メールが完了しました。この項目の数字が「5」に戻ります。手紙関連では、新しい仕事がありませんでしたから、数字は「5」のままです。電話については、新しいメッセージが入りました。

その処理が5分間で完了しなかったので、次のダッシュ時間が10分間に増えています。ファイリングはここで完了したので「5」に戻り、オフィスの整理も5分以内に終了したため、次も「5」のままです。最後の会計処理は仕事が残っており、ダッシュの時間が15分間に増えています。

ダッシュ法を機能させる7つのヒント

■ヒント1制限時間を厳守する

制限時間が来たら必ず仕事をやめてください。続けることを許してしまうと「期限の効果」が期待できません。ダッシュ中に、電話などでダッシュを中断せざるを得ないこともあるでしょう。その場合は、まずそちらを済ませ、できるだけ早く仕事に戻ってください。

■ヒント2インターバルは短く

インターバルは長くても2~3分までにして、次の項目のダッシュへすみやかに進みましょう。ここでしっかり休んでしまうと、集中力が途切れてしまいます。

■ヒント3タスクは充分小さくする

項目が「本を1冊書き上げる」では時間がかかりすぎます。「○ページ書く」とか「第○章を見直す」といった程度にしてください。それが完了したらダッシュを5分間に戻し、次のタスクを設定してそれに取りかかります。1つのタスクに時間がかかりすぎると、他の仕事が進みません。

■ヒント4リストの項目を増やしすぎない

ダッシュ法がいくら優れていても、仕事の項目数を増やしすぎないようにしましょう。手に負えないほどの仕事を抱えてしまっては、どんなシステムも機能しなくなるからです。

■ヒント5コミットした仕事はすべてリストアップする

リストにない仕事には取り組めません。コミットしたら必ずリストに入れるべきです。

■ヒント6休憩を取る

必ず一定の休憩時間を取ってください。40分に一度でも、5分間の休憩を取ると疲労度合いが大きく違ってきます。休憩の間は好きなことをしましょう。もちろん、休憩時間が終わったらすぐ仕事を再開しなくてはなりません。

■ヒント7タスクが完了したタイミングで休憩しない

リストのタスクが1つ完了しても、そこで休憩は取らないようにすること。すぐに次の項目に進み、休憩は決めた時間に取ります。理由は前にお話ししたとおり、人間の精神が常に完璧を求めることによります。

仕事が1つ終わった時点で休憩を取ると、心に「終了」という事実が刻み込まれてしまい、再開が難しくなります。

逆に、途中で仕事をやめると、気分が仕事を早く終わらせようと再開を望むようになるのです。

複数タスクをダッシュ法で片づける

複数タスクをダッシュ法で手付ける手順をおさえておきましょう。次の手順で取り組んでみてください。

■ステップ110の課題からなるリストを作る

ここ2~3週間で、あなたが日常的に行っている仕事、あるいは、やりかけの仕事をリストアップして、それをグループ分けしてください。

全部をどこかのグループに入れて、グループの数が10になるように、分類を調整してください。

厳密にする必要はありませんし、作業中にグループを変更してもかまいません。

■ステップ2課題グループごとに今日の目標を設定する

「今日届いたメールを処理する」といった完了形の課題もあれば「本を5ページ書く」「来月のニュースレターのデザインを考える」「分厚い雑誌の記事を読む」など、範囲を設ける形のものがあってもかまいません。

■ステップ3ダッシュ法を開始する

リストが完成したら戦闘開始です。周囲に誰もいないなら、ストップウォッチを使うのがおすすめです。人がいるなら静かに時間を計れるツールを準備しましょう。くり返しますが、期限の効果を生かすために、時間が来たらピタリと仕事をやめてください。制限時間を守らないと、集中力を失ってしまいます。

■ステップ4翌日もダッシュ法で取り組む

翌日は、前の日の終了時点からスタートしてもいいですし、新しく目標を作り直して、まったく新しくスタートをしてもかまいません。私の場合、「このままいけそうだ」という慣性が感じられる限り、前の日の仕事を続けます。

しかし、翌朝にミーティングなど、まったく別の仕事がある場合は、初めから、それもダッシュを5分間に戻してやり直す方がうまくいくケースがほとんどです。

CHAPTER14まとめ

●全力でダッシュするように、一定の時間、課題について書き続ける。事前に時間を決めて、その時間内は書くのをやめない。

●最初に5分と時間を区切れば、抵抗感があまり問題にならない。5分後に、インターバルを取ることで「やりたい気持ち」がさらに高まる。

●複数の課題にダッシュ法で取り組めば、さらに集中力を高めることができる。未完了の仕事は、次のダッシュを5分ずつ延長して取り組む。

●設定したダッシュ時間が過ぎたら、必ず仕事をストップさせる。

●休憩がモチベーションを高める。休憩も時間を限った方が、際限なく休むよりもリラックスできる。

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