CHAPTER09究極の仕事術「マニャーナの法則」前章ではクローズ・リストこそが最強のツールであり、役に立つということをお話ししました。
この章では、毎日、仕事を確実に終わらせるクローズ・リストの作り方を具体的に説明します。これこそが名づけて「マニャーナの法則」です。
「マニャーナ(mañana)」とはスペイン語で「明日」という意味、「明日やる」を基本にすることで、仕事を完全に終わらせる画期的な方法です。
ここで少しおさらいをしておきましょう。これまでに学んだ2つの大切な原則を思い出してください。
実は、この2つの原則こそが「マニャーナの法則」なのです。
原則1新しく発生した仕事は「明日やる」を基本にする
原則2クローズ・リストを使う
「マニャーナの法則」とは?
「マニャーナの法則」の根底にあるのは「明日まで待てないほど、緊急な仕事はない」という考え方です。
ポジティブに表現すれば「1日に発生する仕事を集めて、必ず次の日にやる」と言い換えられます。つまり、常に仕事に1日分の「バッファー・ゾーン」を設ける考え方なのです。
イメージをつかんでいただくために簡単に説明すると、以下の3ステップです。
- ステップ1今日、新たに発生した仕事を集めておく
- ステップ2仕事を類別する
- ステップ3類別した方針に従って、翌日まとめて処理する
こうして、メールや電話のメッセージ、書類を翌日、集中して処理します。同時に、すぐに処理できない手間のかかるタスクは細分化して管理します。具体的な方法をご説明しましょう。
メール・電話・書類を翌日に集中処理する
■1メールの処理
メールに手を焼いている人が多い割には、システムを作って処理しようという声はあまり聞きません。誰もが場当たり的な処理をしているということでしょう。
「マニャーナの法則」に従えば、メールは着信日の翌日にまとめて処理することになります。狙いは、一定量の仕事をまとめて処理することで、処理効率を上げることです。
特にメールの持つメリットを2つあげると……。
●着信場所が1ヶ所に限られる
●整理がしやすい
1日分のメールを集めるのは簡単です。昨日のメールだけを別のフォルダに入れればよいだけ。そのフォルダがそのまま処理するべきメールのリストになります。処理のできたものから消去すれば、進捗状況は一目瞭然でわかります。
集中して処理すれば、残りのメールが減っていくのがわかりますから、モチベーションも高まります。その結果、さらに処理時間も短くなります。
■2電話のメッセージの処理
メールと同様、翌日に処理します。電話で連絡をもらったから、必ず緊急ということではないはずです。すべての電話に反射的に反応せず、内容次第で「今日中に」か「明日やる」かを判断しましょう。基本は「明日やる」です。
先にそれだけを伝えておけば、相手も心配することはないはずです。もちろん、メッセージの内容を書きとめておくことが大事。どこに書いておくかは、後ほどお話ししましょう。
■3書類の処理
書類に関しては、問題が2つあります。まずはその処理法、そしてファイリングの仕方です。まず処理法について説明をしましょう。書類は、メールとは違って、整理をしにくいのが難点です。書類はいろいろな場所から出てきます。
- ●郵便受けに入っている
- ●会議から書類を持ち帰る
- ●添付ファイルを印刷する
- ●メモを残す
- ●請求書が届く
- ●他部門から書類が来る
- ●メールする前に文章を印刷する
こうして、オフィスはあっという間に書類だらけになります。書類整理の第一歩は、新規の書類を置く場所を1ヶ所に絞ることです。まずは、そのためのトレイAを用意してください。
トレイAは、あくまで「新規の書類入れ」。ここに入れていいのは「翌日の処理待ちの書類」だけです。他の書類を入れてはいけません。
トレイAに入れた書類は、当日1日は積み上がるままに任せておきます。対応は翌日が基本です。メールと同じく1日分を集めて、次の日にまとめて処理するのです。
会議から書類を持ち帰ったら、ブリーフ・ケースに入った書類をトレイAに入れましょう。メモも、他の部署から来た書類も、ファイルのプリントも、請求書も、ファックスも、全部トレイAに直行です。
つまり、その日に出た書類はすべてトレイAに入れるだけです。1日分の書類は、その日の終わり(または翌朝)に、トレイAから別のトレイBに移します。こうすることで、トレイBは翌日1日の仕事のクローズ・リストになります。
今日、新たに届いた書類は、トレイAに入れるだけですから、トレイBのクローズ・リストの処理中に、新しい仕事に振り回されることはありません。
メールや留守番電話と同様、「今日中に」処理が必要な緊急の書類がないかのチェックだけは忘れないこと。「明日やる」を原則にして、すばやくチェックします。
手間のかかるタスクはプロジェクトになる
仕事のほとんどは、メールや電話、書類などによるコミュニケーションで発生します。
相手からのメッセージに何らかの返信メッセージを返して、コミュニケーションを完了させることで仕事も完了します。しかし、こうしたコミュニケーションが仕事のすべてではありません。
「レポートを提出してほしい」とか「プロジェクトを引き受けてほしい」といったメッセージの場合は、返信したからといって仕事が完了するわけではないからです。
これが「タスク」です。プロジェクトの立ち上げ、クライアントの要望、約束、ニーズの発生などがタスクを生み出します。タスクには簡単なものとそうでないものがありますね。
簡単なタスク
●保険会社に見積もりを依頼する
●机を整理する
●友人の誕生日プレゼントを買う
●コピー用紙を発注する
●インタビューを手配する
●メールで写真を送る手間のかかるタスク
●顧客獲得のためのプレゼンテーション資料を作る
●マーケティング・キャンペーンに関するレポートを作る
●新しい研修センターを立ち上げる
「手間のかかるタスク」は〝その場で終わる仕事〟ではありません。なぜ、すぐに終わらないかといえば、「手間のかかるタスク」は、細かいタスクの集合体だからです。
ですから「手間のかかるタスク」は「プロジェクト」と呼ぶのがふさわしいでしょう。タスクが「より細かいタスク」に分解できるなら、分解する前のタスクはプロジェクトになります。
例えば「レポートを書く」というタスクがあります。このタスクは、次のように分解が可能です。
●現状を分析する
●アウトラインを設計する
●序文を書くタスクにするか、プロジェクトにするかはあなた次第です。
要は、一度で終わらせるならタスクですし、複数のタスクに分解して、一部だけ終わらせるならプロジェクトです。
最初の「簡単なタスク」のリストをもう一度見てみましょう。このタスクも、簡単ではありますが、分解も可能です。
時間がない時や抵抗感が大きい時には、タスクの分解がすぐに仕事に取りかかる有効な手段になります。「簡単なタスク」を分解して、さらに簡単な第1段階のタスクを作ってみましょう。
「簡単なタスク」の第1段階
●保険会社の電話番号を調べる
●10分間、机の整理をする
●プレゼントの候補を書き出す
●インターネットでコピー用紙の価格を比較する
●インタビューが可能な日を調べる
●写真をスキャンする
手間のかかるタスクは、まずは分解して「第1段階」をつかみましょう。どのプロジェクトでも、「今、何をすればよいか」の答えが第1段階です。当然、それがタスクになります。
二等分法─すべての仕事を半分にする
ここで、第1段階を見つける手法として「二等分法」という応用のきくテクニックをご紹介しましょう。
簡単に言えば、すべての仕事を〝これ以上分けられないところまで分割し続ける〟という作業をした上で仕事に取りかかるという方法です。
具体的な事例で考えてみましょう。あなたがネットワーク・マーケティングの仕事を始めようと決断したとします。
早速、サプリメントの分野に優れた企業と契約を交わしました。ビジネスを成長させるには、まず、しっかりした方針を立てる必要があります。
しかし、仕事があまりに膨大で、立ちはだかる壁に圧倒されそうに感じます。ここで二等分法の出番です。最初に、仕事の半分を含むカテゴリーを考えることです。
要は全体をバランスよく二分できる分類法を探すのです(ぴったり半分でなくてもかまいません)。ここで、あなたは「ビジネス知識の習得」と考えたとしましょう。次に、この「ビジネス知識の習得」をさらに半分に分けます。
「ビジネス知識の習得」を半分にできる分類法を探してください。「製品知識の習得」だと思えれば、次のタイトルはそれです。「製品知識の習得」の半分が「製品カタログを読む」ことなら、それが次のタイトルです。
このあたりで行動を開始します。まずは、「製品カタログを読む」ことに取り組みましょう。二等分法では、新しいタイトルが、前のタイトルの半分の仕事を表すことになります。
この各タイトルが、あなたのすべき行動のチェック・リストになっているのがポイントです。仕事が順調に進んで「製品カタログを読む」が終わったら、そのタイトルを消去します。
二等分法では、リストの最後尾が常に第1段階です。この例では、次に「製品知識の習得」に取りかかることになります。
ここで「製品知識の習得」に関連して、他にやることがないかを考えてみてください。「実際に製品を使って知識を得よう」と考えたら、「製品の発注」をリストの最後尾に加えます。
発注が済んだら、同じようにタイトルを消してください。二等分法では、抵抗感が問題にならない状態になるまで分割を続けるのが理想的な方法です。
こうして小さく分割した上で、常に第1段階に集中すれば、結局はプロジェクト全体の仕事も集中して実行できることになります。
タスク・ダイアリーを活用しよう
簡単なタスクでも、プロジェクトの第1段階でも、1日分を集めて、翌日にまとめて処理するという原則は同じです。メールや書類と違い、タスクは概念です。
タスクとして書き出すことで、初めてメールや書類と同様の〝実体〟を与えることになります。タスク管理には「1日1ページの日記帳」を使うのが最適。これを「タスク・ダイアリー」と呼ぶことにしましょう。タスク・ダイアリーは例えば次のように使います。
例1今日、新たに発生したタスクの緊急度を判断する
例2(「今日中に」の必要がなければ)タスクを翌日のページに書き込む
例31日の終わりに、最終項目の下に線を引く(リストをクローズする)
例4「今日中に」と決断したタスクは、今日のページをクローズする
線の下に書き込むくり返しになりますが「新たなタスクは翌日に」が原則です。そうやってクローズ・リストを作成して、翌日にそのタスクに取り組むのです。
ただし、緊急に「今日中に」すると決めたタスクはクローズ・リストの下に書き込んで、適当な時間を選んで、その日にやるしかありません。ここでタスク・ダイアリーのメリットを整理しておきましょう。
メリット1新たなタスクに衝動的に反応するのを防ぐことができる
メリット2書くことで「今日中に」か「明日やる」かを、理性的に判断できる
メリット3最終項目の下に線が引いてあるので、その下の仕事は「追加仕事」とわかる(後で「今日中に」の緊急性があったかどうか、評価できる)
メリット4仕事に追われる原因は「クローズ・リスト」にない仕事をした可能性が高い。
それをチェックして、自分の仕事の仕方の評価ができる
メリット5緊急でも、重要でもない仕事に飛びつくことがなくなる
プロジェクトについては、16章でさらに詳しく解説します。ここでは、終わらなかったタスクの対応には2つの方法があることだけをお伝えしておきます。
方法1分解して、さらに小さなタスクにする
方法2完了するまで、翌日のリストに再登場させる
再登場させるのは「少しずつ頻繁に」やるためです。レポートの作成期間が1週間あるなら、まず「レポートを書く」というタスクを明日のページに書き込み、翌日はできるところまで進め、その翌日に再登場させます。
次の章で、タスク・ダイアリーの使い方を、さらに詳しく説明します。
EXERCISE「マニャーナの法則」をマスターする
次の仕事は、どのように処理しますか?「マニャーナの法則」に従って対応を考えてください。
<Q1>ファイルの添付されたメールが届いた。1ヶ月後の会議で、そのファイルに関するコメントを求められている。
<A1>もちろん「今日中に」やる必要はありません。ベストな対処法は、翌日(2日目)メールを読み、添付ファイルを印刷し「トレイA」に入れます。さらに翌日(3日目)添付ファイルを読み、コメントをメモします。
さらにコメントできそうなら、ファイルをトレイAに戻します。納得できるまでこれをくり返してください。
<Q2>クライアントとのビジネスランチから戻った。製品カタログをもらい、その場で引き受けた仕事についてはメモを取った。
<A2>オフィスに戻ったらすぐカバンから製品カタログとメモをトレイAに移しましょう。当日はそれで充分です。翌日(2日目)製品カタログとメモを読みます(理解できるまで「再登場」させてください)。必要なアクションが見つかったら、さらに翌日(3日目)のタスク・ダイアリーに記入します。
<Q3>週刊の専門誌を読み切れていない。2ヶ月分もためてしまった。
<A3>「やり残し」の典型です。最新号のみトレイAに入れ、その他は見えないところに置くか、思い切って捨ててください。
<Q4>書類を整理しようとしたところ、ファイルがいっぱいでこれ以上入らない。
<A4>明日のタスク・ダイアリーに「ファイルを整理する」と書き込んでください。
<Q5>職場の仲間からメール。「絶対面白いから、このウェブサイトを見てほしい」とサイトアドレスが送られてきた。
<A5>明日のタスク・ダイアリーに「仲間の勧めるサイトを見る」と書き込んでください。
<Q6>上司から「明日、クライアントとミーティングする手配をしろ」と指示された。
<A6>今日のページの線の下に「クライアントとのミーティングを手配する」と書き込み、時間を見つけて実行します。
<Q7>今年はクリスマスの買い物を早めにすることに決めた。
<A7>クリスマスの買い物をするために、「まず何をすればよいのか?」の「第1段階」を考え、答えを翌日のページに書き込んでください。
<Q8>大きなプロジェクトを手がけたいが、アイデアがまだ漠然としている。
<A8>明日のページの項目に「プロジェクトについて考える」を加えてください。
CHAPTER09まとめ
●「マニャーナの法則」の原則は次の2つ。1つは「新しく発生した仕事は『明日やる』を基本にする」、もう1つは「クローズ・リストを使う」である。
●「マニャーナの法則」の根底にあるのは「明日まで待てないほど緊急な仕事はない」という考え方。常に仕事に1日分のバッファー・ゾーンを設ける。
●手間のかかるタスクは、細かいタスクの集合体、すなわちプロジェクトである。手間のかかるタスクをより細かいタスクに分解し「第1段階」のタスクを抽出できれば、抵抗感が大きい仕事に取りかかる有効な手段になる。
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