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CHAPTER08最強のマネジメント・ツール「クローズ・リスト」

さて、いよいよ第2部からは、具体的な方法を説明していきます。まず、仕事のマネジメントにとって最強のツール「クローズ・リスト」からお話ししましょう。

このクローズ・リストを実際に使用している人はまだ少ないようです。「TODOリスト」を使っている……!?なるほど、それではタイム・マネジメントがうまくいっていないのも無理はありません。

目次

オープン・リストでは仕事をコントロールできない

TODOリストは「オープン・リスト」の典型です。仕事をしながら、別の仕事を追加することができます。

追加の仕事に制限がないので、1日の仕事の終わりに、朝よりも「未完了の項目」が増えていることもあるでしょう。

つまり、オープン・リストに頼っていると、いつまでたっても仕事が終わらないのです。

気になる仕事から片づけて、その他を後に回していれば「やり残し」の仕事の山ができるばかりです。前章のジョーとミックの話を思い出してください。

「いつでも持ってきて!」というジョーのやり方は、お客さんが無限に増えるオープン・リスト方式です。

修理中の車がどんどん増えて、長い間運転できないお客さんが増えていきます。これがリストに残った先送りされる仕事です。

一方で、修理能力と予約状況を把握して仕事を進めるミックのやり方がクローズ・リスト方式です。ミックは修理能力を超えた仕事の予約は受けつけません。

そのおかげで、お客さんは修理完了までの待ち時間を知ることができます。いつまでも待たされることはありません。

仕事を「明日やる」メリットは、クローズ・リストをフル活用できるということなのです。クローズ・リストは、仕事に制限を設けて効率を上げる手法、使い勝手においてもオープン・リストを上回ります。

仕事をクローズすれば早く完了できる

クローズ・リストの典型が「チェック・リスト」です。仕事の範囲に制限を設けているからです。ミックは、修理を引き受けた自動車ごとにチェック・リストを作っていました。

この場合、チェック項目をどれだけ増やしても、その1台に必要な修理個所の範囲を超えることはありません。

つまり、ミックは車ごとに仕事のクローズ・リストを持っていることになります。1台終われば2台目、それが終われば3台目という仕事の進め方は、ジョーとは対照的です。

さらに、クローズ・リストは他の使い方もあります。休暇明けにオフィスに出ると、メールが山ほど届いていたという状況で考えてみましょう。

オープン・リスト方式、つまり〝衝動の脳〟を活用して対応すると、読んだメールすべてにすぐ返信するということになるでしょう。

問題は、その間にも新着メールが届くことです。

新着メールに反射的に対応していては、いつまでたってもすべてのメールへの対応が終わらない可能性があります。

クローズ・リスト方式を取るなら、まず休暇中のメールをダウンロードして、新着メールの着信は停止するべきです。その上で集中してメールを処理します。この方法なら、1件ずつ〝衝動の脳〟で処理するよりも、より短時間で片づくはずです。

タイム・マネジメントの本には、たいてい「TODOリストを作れ」と書いてあります。それほどにTODOリストは時間管理の定番です。

しかし、TODOリストを継続できたという話は、ほとんど聞きません。続けている人は「仕事のやりがいはTODOリストの項目を消すことだ」という状態です。これでは〝リストの奴隷〟です。

チェック・リストを活用する

ショッピングリストは典型的なチェック・リストですが、他にも次のような場面でチェック・リストが使われています。

  • ●電話で話すべきポイントをメモしておく
  • ●新しい計画を段階ごとに分けて整理する
  • ●ホテルのベッドルームをスタッフに清掃させる効率のよい作業項目表を作る
  • ●顧客との間で合意した項目をリストにする

ムダなく効率よく働くためにチェック・リストは不可欠、新しい仕事に取りかかる時は「必要な行動のチェック・リストを作る」ことを習慣にしましょう。

EXERCISEチェック・リストで仕事の先送りを解決する

チェック・リストを実際に作ってみましょう。次のステップで取り組んでみてください。

ステップ1「いつかやろう」と思うだけで、手をつけていないプロジェクトはありませんか。ダイエット、語学の勉強、部屋の整理……など何でもかまいません。

ステップ2見つかったら、まず「今日から取りかかる」と決断します。

ステップ3そのプロジェクトを成功させる「行動リスト」を作ってください。

ステップ4リストを見て今日できることを探してください。

「今日やるのは無理だ」と感じるなら、項目をさらに細かく分解します。

ステップ5リストができ上がったら、最低でも、1つを完了してください。これでチェック・リストの練習は終わりです。チェック・リストを作ってみて、どう感じたでしょうか。

「いつかやろう」と思いつつ、抵抗感が大きくてずっと先のばしにしていたことに、すんなり着手できて驚かれたのではないでしょうか。

もう1つ、この練習で理解してほしいことがあります。

それは、チェック・リストを細分化して項目を増やすと、仕事に取りかかりやすく、作業効率もよくなることです。

プロジェクトの中身を細分化すればするほど、仕事は完璧になり、個々の項目の達成が容易になります。

TODOリストは反対です。項目が増えれば、より抵抗が大きく、取りかかりにくくなり、効率も低下します。項目が増えれば増えるほど、仕事の管理が難しくなるからです。

仕事のリストはクローズ・リストでなくてはならない

ここでクローズ・リストの特徴を考えてみましょう。今、仮に12項目の仕事があり、邪魔は入らず、新規の仕事もない日があったとします。仕事が終われば帰宅できます。

この12の仕事には関連性はありません。仕事の種類はさまざまです。量のあるもの、難しいもの、やりたくないもの、急ぎのもの、重大なものとバラエティに富んでいます。

ここで質問です。どの仕事から取りかかるべきでしょうか。あなたが正しいと思うものに印をつけてください。

  • □難しい仕事から
  • □簡単な仕事から
  • □緊急な仕事から
  • □重大な仕事から
  • □量の少ない仕事から
  • □量の多い仕事から
  • □やりたくない仕事から
  • □やりたい仕事から
  • □書いた順番に
  • □その他()

正解は「どれでもOK」です。仕事を終わらせるのが前提なら、どういう順番でやっても問題はないからです。しかし、すべてが終わらない可能性があるなら話は別です。

「やり残し」は翌日のリストに追加されます。それが続けば膨大な「やり残し」の山ができるのは明白。実は、優先順位の問題はここにあります。

いつも同じ方法で優先順位をつければ、必ず同じような仕事がやり残しになります。緊急な仕事に取り組む人は、どんな仕事も緊急になるまでやらないことになってしまうのです。

重要な仕事を選ぶ人は、重要度の低い仕事には目もくれません。この問題を解決するには、全体の仕事量を適切に保つしかありません。

できない仕事を引き受けない方がよいのはそのためです。それを実現するのが、このクローズ・リストなのです。くり返しますが、仕事をすべて完了できるなら順番はどうでもよいのです。

私の場合は、簡単な仕事を一番にします。

メールの一括処理を例にすると、1巡目はすぐ消去できるメール、2巡目は簡単に処理できるメールという要領で、難易度を上げていきます。

最後に熟考の必要な2、3通が残ります。この方法なら、かなりのスピードでメールの処理が可能です。クローズ・リストの考え方は、やり残した仕事の管理にも有効です。

残務がたまると気分が沈むものですが、そんな状態が続いた場合、私は「やり残し宣言」をします。遅れている仕事を「やり残し」のフォルダに放り込み、整理してしまうのです。この開放感は何とも言えません。

もちろん、いずれ「やり残し」のフォルダを片づける必要はありますが、これは11章でお話しする「ファースト・タスク」として処理します。

EXERCISEクローズ・リストの考え方を学ぶ

次のうち、どれがクローズ・リストの考え方によるものでしょうか?それぞれ検討してみてください。

<Q1>クルマにちょっとしたトラブルが多発している。どれも整備に出すほどの問題ではないので、故障のたびに内容をメモしておいて、次の点検で修理を頼むことにした。

<A1>クローズ・リストです。整備に出すまでは項目は増えていきますが、実際の修理に取りかかるわけではありません。逆に、項目の追加と実際の修理を並行して行うのがオープン・リストです。

<Q2>仕事が大幅に遅れているが、翌週は休暇の申請をしている。そこで、休みの前にやるべき仕事をリストアップし、その他は休みの後に回すことにした。

<A2>クローズ・リストの典型です。必要な仕事だけに集中できます。

<Q3>「お金、家の鍵、クルマの鍵」。家を出る時は、こう自分に問いかける。

<A3>備忘録としての簡単なチェック・リストです。チェック・リストはクローズ・リストの一種です。

<Q4>今日中にやる仕事のリストを作った。午前中にいくつか新しい仕事が入ったので、リストの最後に追加した。

<A4>答えは、新しい項目の加え方次第です。クローズ・リストにするには、当初のリストの最後に線を引いて、仕事をクローズする必要があります。

新しい仕事は、線の下に記入します。線の下の項目を当初からある項目を終えてから処理するなら、このリストはクローズ・リストです。当初からあるオープン・リストに新しい仕事を追加するよりも、仕事の効率が高い方法です。

CHAPTER08まとめ

●オープンリストは、新しい仕事が無制限に追加されるため、仕事をコントロールできない。オープンリストの典型がTODOリスト。これに対して、仕事に制限を設ける手法がクローズ・リストで、その典型がチェック・リスト。

●新しい仕事に取りかかる時はチェック・リストを作り、仕事の先送りを解決すること。リストを細分化して項目を増やすと、仕事に取りかかりやすく、作業効率も良くなる。

●クローズ・リストを活用すれば、全体の仕事量を適切に保つことができる。またやり残した仕事の管理にも有効。

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