B/ Sの基本を理解する 前章では、管理会計をするうえで土台となる、「月次損益計算書」(月次 P/ L、正確には月次推移変動 P/ L)の読み方を紹介しました。 この章では、管理会計のもう1つの要「月次貸借対照表」(月次 B/ S)の読み方を見ていきます。月次 B/ Sを補足し、精緻な資金繰りをするためのもう1つのツールである「月次キャッシュフロー計算書」(月次 C/ F)については、次章で紹介します。 まずは、 B/ Sとはそもそも何かという基本中の基本、そして B/ Sを深く理解するポイント、という 2ステップで解説します。本章を読み終えれば、月次 B/ Sをどのように見ればいいのかがわかるはずです。 ● B/ Sは「会社の財産リスト」 そもそも、 B/ Sとは何なのでしょうか? 次ページに B/ Sの基本がわかる図を示しました。
勘のいい人はすぐおわかりですね。そう、 B/ Sとは「会社の財産リスト(持ち物リスト)」です。これが B/ Sの基本であり、本質です。 もう少し正確にいうと、 B/ Sとは「左側には会社の持ち物として、プラスの財産を金額とともに並べ、右側にはそれらを買うために、どのように、いくらお金を集めたかというお金の調達方法を金額とともに並べたもの」です。 つまり、 B/ Sとは、会社の財産のうち「自分のお金で買ったもの」がいくらで、「借金して買ったもの」がいくらかを示すものです。 こうした B/ Sの基本がわかると、会社の健康状態、つまり財務の状況がすぐにわかるようになります。 たとえば、財務関連の重要な指標に「自己資本比率」がありますが、これがパッとわかるようになります。「自己資本比率」は私が最も大切にしている経営指標で、この数字を認識できていない社長は、経営者失格と言われても仕方がないほどのものです。 私は、中小企業経営者向けのセミナーなどで、参加者の B/ Sの理解度を知るために、「あなたの会社の自己資本比率は何%ですか?」という質問をします。 経営の舵取りをする社長であれば、これは常に自分の頭の中に置いておくべきもので、本来は即答できなくてはいけません。 しかし、ほとんどの方が答えられません。 B/ Sの基本がわかっていないからです。 ひと言で「自己資本比率」を表現すると、「全財産のうち自分のものの割合」となります。具体的には、「自己資本」(自分のもの)を「総資産」(全財産)で割った比率です。「自己資本」は「純資産」ともいいます。「自己資本比率」は、「自己資本 ÷総資産 =純資産 ÷総資産」という式で導けます。 中小企業の社長の長期的な目標は、「自分のもの」の割合(自己資本比率)を高めて、現預金を増やすことです。 B/ Sの本質を確実に理解できてはじめて「自己資本比率を高める」「現預金を増やす」という目標の意味がわかり、迷いなく目的に向かって進み、会社を成長させることができます。 ● P/ Lは社員全員で作るもの、 B/ Sは社長が作るもの また、 B/ Sと P/ Lの異なる点として、「作る人の違い」があります。 中小企業の社長は、「社員が一丸となって努力した結果が P/ Lであり、 B/ Sだ」と思っているかもしれません。しかし、これは間違いです。
P/ Lは、会社の事業に関する一年間の成績なので、確かに社長をはじめとする全社員の努力の結果で、「社員全員で作るもの」といえます。売上を上げ、コストを下げる、社長以下全社員の努力の結果が経常利益となり、税金を引いた後に残るのが純利益です。 P/ Lは決算後に税務署に提出すれば、その期の P/ Lの役割は終わります。その決算期で出した P/ Lが赤字だったり、思ったような利益が上がらなければ、来期もみんなで新しい P/ Lを頑張って作っていこうということになります。 これに対して、 B/ Sは「社長が作るもの」であり、創業以来の結果です。 B/ Sの項目(勘定科目)をどうするかは、すべて社長が決めることだからです。 たとえば、借り入れ、土地の購入、定期預金の契約・解約、株の購入・貸し付けも、中小企業では必ず社長が決定します。 B/ Sには、歴代の社長の考え、経営方針が表されているといってもよく、創業以来の「社長の成績表」でもあるのです。 まとめると、 B/ Sは創業以来の「会社の財産リストであり、社長が作るもの」が基本になります。
これをしっかり押さえたうえで、さらに深く本質までつかんでほしいと考えています。このために、弊社では B/ Sの5つのポイントをお伝えしています。ポイント ❶ B/ Sはストックの情報としてとらえるポイント ❷ B/ Sは右から左への流れで見るポイント ❸ B/ Sは上から下へと見るポイント ❹ B/ Sを 1年基準で見るポイント ❺ B/ Sを累計で見る 以下の節では、これらを1つひとつ順にくわしく見ていきます。
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